JPH0674487B2 - 耐サワ−性の優れた高靱性電縫鋼管 - Google Patents
耐サワ−性の優れた高靱性電縫鋼管Info
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- JPH0674487B2 JPH0674487B2 JP61281841A JP28184186A JPH0674487B2 JP H0674487 B2 JPH0674487 B2 JP H0674487B2 JP 61281841 A JP61281841 A JP 61281841A JP 28184186 A JP28184186 A JP 28184186A JP H0674487 B2 JPH0674487 B2 JP H0674487B2
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- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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- E21B—EARTH OR ROCK DRILLING; OBTAINING OIL, GAS, WATER, SOLUBLE OR MELTABLE MATERIALS OR A SLURRY OF MINERALS FROM WELLS
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐サワー性の優れた高靭性電縫鋼管に関わ
り、さらに詳しくは例えば石油.天然ガス掘削、あるい
は輸送において湿潤硫化水素を含む環境下にあつては割
れ抵抗が高く、かつ低温靭性の優れた電縫鋼管に関す
る。
り、さらに詳しくは例えば石油.天然ガス掘削、あるい
は輸送において湿潤硫化水素を含む環境下にあつては割
れ抵抗が高く、かつ低温靭性の優れた電縫鋼管に関す
る。
(従来の技術) 近年生産される石油・天然ガス中には硫化水素を含む場
合が非常に多く、さらに海水、淡水などの水が共存する
場合には鋼表面で起こる腐食に基づく減肉だけではな
く、腐食によつて鋼表面で発生した水素が鋼中に侵入す
ることによつて破壊を起こすことがあり、問題となつて
いる。この破壊は高張力鋼に古くから認められる硫化物
応力割れとは異なり、外部からの付加応力がなくとも発
生が認められる。
合が非常に多く、さらに海水、淡水などの水が共存する
場合には鋼表面で起こる腐食に基づく減肉だけではな
く、腐食によつて鋼表面で発生した水素が鋼中に侵入す
ることによつて破壊を起こすことがあり、問題となつて
いる。この破壊は高張力鋼に古くから認められる硫化物
応力割れとは異なり、外部からの付加応力がなくとも発
生が認められる。
この破壊は、環境中から侵入した水素が母材中に存在す
る圧延方向に長く延びたMnSなどのA系硫化物系介在物
と地鉄との境界に集積してガス化し、そのガス圧によつ
て発生するもので、前記MnSなどのA系硫化物系介在物
が鋭い切り欠きとなり、これを割れの核として板面平行
割れに成長し、この板面平行割れが板厚方向に連結する
ものである。この種の割れを以下「水素膨れ割れ」と呼
ぶ。
る圧延方向に長く延びたMnSなどのA系硫化物系介在物
と地鉄との境界に集積してガス化し、そのガス圧によつ
て発生するもので、前記MnSなどのA系硫化物系介在物
が鋭い切り欠きとなり、これを割れの核として板面平行
割れに成長し、この板面平行割れが板厚方向に連結する
ものである。この種の割れを以下「水素膨れ割れ」と呼
ぶ。
こうした水素膨れ割れに対する抵抗の高い鋼について、
従来から様々な研究が成され、種々の鋼が提案されてい
る。それらは例えば特公昭57−17065号公報、或は特公
昭57−16184号公報等にその代表例がみられるごとくCu
やCo添加による割れ防止、極低S化によるMnSの減少、C
a或は稀土類元素等の添加によるSの固定などを利用す
るものであつて、これらの技術によつて現在までにかな
り厳しい環境にまで耐え得る鋼が開発されている。
従来から様々な研究が成され、種々の鋼が提案されてい
る。それらは例えば特公昭57−17065号公報、或は特公
昭57−16184号公報等にその代表例がみられるごとくCu
やCo添加による割れ防止、極低S化によるMnSの減少、C
a或は稀土類元素等の添加によるSの固定などを利用す
るものであつて、これらの技術によつて現在までにかな
り厳しい環境にまで耐え得る鋼が開発されている。
ところで電縫鋼管はホツトコイルなどの鋼板を成形し、
電縫溶接する物であつて、云うまでもなく鋼板との決定
的な相違は溶接部および溶接熱影響部が存在する事であ
る。然るに、電縫溶接部周辺の耐サワー性について検討
された例は従来殆ど見あたらない。これは通常の製造工
程においてMnSなどのA系硫化物系介在物が多く存在す
るのは、大型鋼塊では逆V偏析部であり、連鋳片では中
心偏析部であつて鋼板のエツジ部には殆ど存在しないな
どの理由から、鋼板のエツジ部同士を電縫溶接して製造
するいわゆる単幅材では、電縫溶接部周辺部分の耐サワ
ー性は良好であると理解されてきたからである。
電縫溶接する物であつて、云うまでもなく鋼板との決定
的な相違は溶接部および溶接熱影響部が存在する事であ
る。然るに、電縫溶接部周辺の耐サワー性について検討
された例は従来殆ど見あたらない。これは通常の製造工
程においてMnSなどのA系硫化物系介在物が多く存在す
るのは、大型鋼塊では逆V偏析部であり、連鋳片では中
心偏析部であつて鋼板のエツジ部には殆ど存在しないな
どの理由から、鋼板のエツジ部同士を電縫溶接して製造
するいわゆる単幅材では、電縫溶接部周辺部分の耐サワ
ー性は良好であると理解されてきたからである。
また、1つのホツトコイルを幅方向2以上に分割したう
えで製造する、いわゆる多条取りの電縫鋼管では、逆V
偏析部や中心偏析部などの水素膨れ割れ感受性の高い部
分が電縫溶接部の一方或は両方に位置するため、水素膨
れ割れに対する認識はあつたが、この場合にも対策とし
て主にMnSなどのA系硫化物系介在物の減少とミクロ偏
析の軽減といつた母材と同様の対策が施されてきた。
えで製造する、いわゆる多条取りの電縫鋼管では、逆V
偏析部や中心偏析部などの水素膨れ割れ感受性の高い部
分が電縫溶接部の一方或は両方に位置するため、水素膨
れ割れに対する認識はあつたが、この場合にも対策とし
て主にMnSなどのA系硫化物系介在物の減少とミクロ偏
析の軽減といつた母材と同様の対策が施されてきた。
これに対し本発明者らは電縫鋼管の電縫溶接部について
耐サワー性を詳細に検討した結果、MnSなどの硫化物系
介在物が存在しない場合でも電縫溶接部に水素膨れ割れ
を生ずる場合があり、しかも電縫溶接部の場合には板面
垂直割れ型の水素膨れ割れであることが母材部と異なつ
ていることを見いだした。更にこの水素膨れ割れは本質
的に鋼板エツジ部にミクロン偏析の少ない単幅材であつ
ても発生することが分かつた。この割れは従来知られて
いないものであつて、母材の板面平行型水素膨れ割れと
同等或はそれ以上に重大な問題である。しかも、この割
れは従来の水素膨れ割れに対する対策鋼を使用した電縫
鋼管であつても発生し、従来技術では防止できないこと
がわかつた。
耐サワー性を詳細に検討した結果、MnSなどの硫化物系
介在物が存在しない場合でも電縫溶接部に水素膨れ割れ
を生ずる場合があり、しかも電縫溶接部の場合には板面
垂直割れ型の水素膨れ割れであることが母材部と異なつ
ていることを見いだした。更にこの水素膨れ割れは本質
的に鋼板エツジ部にミクロン偏析の少ない単幅材であつ
ても発生することが分かつた。この割れは従来知られて
いないものであつて、母材の板面平行型水素膨れ割れと
同等或はそれ以上に重大な問題である。しかも、この割
れは従来の水素膨れ割れに対する対策鋼を使用した電縫
鋼管であつても発生し、従来技術では防止できないこと
がわかつた。
一方において近年石油,天然ガスが産出される地域はア
ラスカ、ソ連、北極海といつた極寒地にまで広がつてお
り、こうした地域で使用されるラインパイプには母材お
よび電縫溶接部の両方において低温靭性の優れているこ
とが要求される。このとき産出流体中に硫化水素を含む
場合には低温靭性と共に耐サワー性も必要であることは
云うまでもない。
ラスカ、ソ連、北極海といつた極寒地にまで広がつてお
り、こうした地域で使用されるラインパイプには母材お
よび電縫溶接部の両方において低温靭性の優れているこ
とが要求される。このとき産出流体中に硫化水素を含む
場合には低温靭性と共に耐サワー性も必要であることは
云うまでもない。
電縫鋼管においては、溶接部の靭性が母材に比べて低下
するため電縫溶接部も含めて靭性の優れた電縫鋼管につ
いても従来から様々な研究が成され、種々の方法および
鋼管が提案されている。それらは例えば特開昭54−1365
12号公報、特開昭57−140823号公報、特公昭58−53707
号公報あるいは特公昭58−53708号公報等にその代表例
がみられるごとく熱延工程の仕上げ温度および巻き取り
温度の管理による素材の靭性向上、造管後冷却速度の制
限による結晶粒度の制御、固溶Nの減少、Nb或はVによ
る結晶粒の微細化などを利用するものであつて、これら
の技術によつて現在迄に靭性のかなり優れた電縫鋼管が
開発されている。
するため電縫溶接部も含めて靭性の優れた電縫鋼管につ
いても従来から様々な研究が成され、種々の方法および
鋼管が提案されている。それらは例えば特開昭54−1365
12号公報、特開昭57−140823号公報、特公昭58−53707
号公報あるいは特公昭58−53708号公報等にその代表例
がみられるごとく熱延工程の仕上げ温度および巻き取り
温度の管理による素材の靭性向上、造管後冷却速度の制
限による結晶粒度の制御、固溶Nの減少、Nb或はVによ
る結晶粒の微細化などを利用するものであつて、これら
の技術によつて現在迄に靭性のかなり優れた電縫鋼管が
開発されている。
しかしながらこれらの電縫鋼管は通常の環境で使用され
る物であつて、硫化水素や水を含んだいわゆるサワー環
境で使用することを考慮したものではない。
る物であつて、硫化水素や水を含んだいわゆるサワー環
境で使用することを考慮したものではない。
本発明者らは電縫鋼管の電縫溶接部の靭性についても詳
細に検討した結果、耐サワー電縫鋼管の電縫衝合部にお
いて靭性が母材に比べて著しく劣化する場合があること
をみいだした。しかしてこの場合上述の各種従来技術を
もつてしても改善されないことがわかつた。
細に検討した結果、耐サワー電縫鋼管の電縫衝合部にお
いて靭性が母材に比べて著しく劣化する場合があること
をみいだした。しかしてこの場合上述の各種従来技術を
もつてしても改善されないことがわかつた。
本発明者らは、こうした板面垂直型という全く新しいタ
イプの水素膨れ割れに対する抵抗と靭性の両方の高い鋼
管を開発せんとして研究を続けて来た結果、第1図に模
式的に示す電縫鋼管1の電縫溶接部の水素膨れ割れ及び
靭性低下の原因は、電縫衝合部2およびその両側Z1およ
びZ2が500μm以内の熱影響部3に存在する板状の酸化
物系介在物であることを突き止めた。
イプの水素膨れ割れに対する抵抗と靭性の両方の高い鋼
管を開発せんとして研究を続けて来た結果、第1図に模
式的に示す電縫鋼管1の電縫溶接部の水素膨れ割れ及び
靭性低下の原因は、電縫衝合部2およびその両側Z1およ
びZ2が500μm以内の熱影響部3に存在する板状の酸化
物系介在物であることを突き止めた。
更にこれら板状の酸化物系介在物のうち、第1図に示さ
れる電縫衝合部2の両側Z1=Z2=500μm以内の横断面
でみた介在物の形状として板厚方向の長さと円周方向の
長さの比が2以上で、かつ長径2μm以上の介在物が水
素膨れ割れ発生の核となること、板厚方向の長さと円周
方向の長さとの比が2以上で、かつ長径2μm以上の介
在物が1mm2あたりの横断面中に5個を越えて存在するよ
うな酸化物系介在物の密度となるときには核発生した水
素膨れ割れが相互に結合して巨視的な割れに成長するこ
とを見いだした。
れる電縫衝合部2の両側Z1=Z2=500μm以内の横断面
でみた介在物の形状として板厚方向の長さと円周方向の
長さの比が2以上で、かつ長径2μm以上の介在物が水
素膨れ割れ発生の核となること、板厚方向の長さと円周
方向の長さとの比が2以上で、かつ長径2μm以上の介
在物が1mm2あたりの横断面中に5個を越えて存在するよ
うな酸化物系介在物の密度となるときには核発生した水
素膨れ割れが相互に結合して巨視的な割れに成長するこ
とを見いだした。
さらに本発明者らの研究によれば、これら板状の酸化物
系介在物はCa,Alを主成分とする複合酸化物であり、母
材中に予め存在した球状に近いこの酸化物系介在物が電
縫溶接時の熱影響によつて鋼の融点近くにまで加熱され
たうえスクイズロールによつて両側から加圧されるため
に板状に変形して生成することが明らかとなつた。
系介在物はCa,Alを主成分とする複合酸化物であり、母
材中に予め存在した球状に近いこの酸化物系介在物が電
縫溶接時の熱影響によつて鋼の融点近くにまで加熱され
たうえスクイズロールによつて両側から加圧されるため
に板状に変形して生成することが明らかとなつた。
本発明者らは以上の知見に基づき既に特願昭61−11073
号により、従来より主に脱酸を目的として添加されてき
たAlを極力減少させ、Ti或はZrを脱酸元素として使用す
ることによつて母材及び電縫溶接部の耐サワー性と靭性
に優れた電縫鋼管用鋼を提案している。その要旨とする
ところは、重量%でC:0.01〜0.35%、Si:0.02〜0.5%、
Mn:0.1〜1.8%、Al:0.005%超〜0.05%、Ca:0.0005〜0.
008%に加えて、Ti,Zrの1種又は2種を合計で0.01〜0.
2%含有し、かつP:0.015%以下、S:0.003%以下に制限
し、Ti/Al、Zr/Alまたは(Ti+Zr)/Alの値が2以上で
あつて、あるいはさらに(A)Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.1
〜1.0%、Cr:0.2〜3.0%の1種又は2種以上、及び/又
は(B)Mo:0.10〜1.0%、Nb:0.01〜0.15%、V:0.01〜
0.15%の1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不純物
からなることを特徴とする耐サワー性の優れた高靭性電
縫鋼管用鋼であり、就中電縫溶接時に変形しやすい介在
物の生成を防止するためにAl濃度が0.005%超〜0.05%
と高い場合においてTi/Al、Zr/Alまたは(Ti+Zr)/Al
の値を2以上とし、Alに代わる主な脱酸元素としてTi,Z
rを含有せしめた鋼である。
号により、従来より主に脱酸を目的として添加されてき
たAlを極力減少させ、Ti或はZrを脱酸元素として使用す
ることによつて母材及び電縫溶接部の耐サワー性と靭性
に優れた電縫鋼管用鋼を提案している。その要旨とする
ところは、重量%でC:0.01〜0.35%、Si:0.02〜0.5%、
Mn:0.1〜1.8%、Al:0.005%超〜0.05%、Ca:0.0005〜0.
008%に加えて、Ti,Zrの1種又は2種を合計で0.01〜0.
2%含有し、かつP:0.015%以下、S:0.003%以下に制限
し、Ti/Al、Zr/Alまたは(Ti+Zr)/Alの値が2以上で
あつて、あるいはさらに(A)Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.1
〜1.0%、Cr:0.2〜3.0%の1種又は2種以上、及び/又
は(B)Mo:0.10〜1.0%、Nb:0.01〜0.15%、V:0.01〜
0.15%の1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不純物
からなることを特徴とする耐サワー性の優れた高靭性電
縫鋼管用鋼であり、就中電縫溶接時に変形しやすい介在
物の生成を防止するためにAl濃度が0.005%超〜0.05%
と高い場合においてTi/Al、Zr/Alまたは(Ti+Zr)/Al
の値を2以上とし、Alに代わる主な脱酸元素としてTi,Z
rを含有せしめた鋼である。
尚、この場合の鋼は、Alが0.005%超という制限のもと
に脱酸元素として添加するTi或はZrと鋼中に含有するAl
の濃度がTi/Al、Zr/Alまたは(Ti+Zr)/Alの値で2以
上の関係にあるときにその目的とする耐サワー性および
靭性を獲得する事としている。ところが本発明者らはそ
の後の詳細な研究により、Alの濃度が重量%で0.005%
超〜0.05%の場合では、上記の関係を満足するTi,Zr,或
はTiとZrの両方を添加すると、鋳造時、鋼中にTi或はZr
の炭化物又は窒化物が大量に生成し、母材の靭性が著し
く劣化することがあることを見いだした。しかも、鋼中
に0.005%超のAlが含有されている場合には、脱酸元素
としてZrを最低0.001%添加すれば十分であり、適切な
成分系を選択すれば耐サワー性及び靭性の優れた電縫鋼
管用鋼を製造可能であることをも見いだした。
に脱酸元素として添加するTi或はZrと鋼中に含有するAl
の濃度がTi/Al、Zr/Alまたは(Ti+Zr)/Alの値で2以
上の関係にあるときにその目的とする耐サワー性および
靭性を獲得する事としている。ところが本発明者らはそ
の後の詳細な研究により、Alの濃度が重量%で0.005%
超〜0.05%の場合では、上記の関係を満足するTi,Zr,或
はTiとZrの両方を添加すると、鋳造時、鋼中にTi或はZr
の炭化物又は窒化物が大量に生成し、母材の靭性が著し
く劣化することがあることを見いだした。しかも、鋼中
に0.005%超のAlが含有されている場合には、脱酸元素
としてZrを最低0.001%添加すれば十分であり、適切な
成分系を選択すれば耐サワー性及び靭性の優れた電縫鋼
管用鋼を製造可能であることをも見いだした。
ところで、従来Zrを主な脱酸剤として用いた例は殆ど無
い。耐水素誘起割れ性に優れた高張力ラインパイプ用鋼
としてZrを0.10重量%以下含有した鋼が特開昭59−5365
6号公報に見られるが、この場合のZrは強度を増強する
為に用いるのであつて、鋼中酸素濃度を制御するための
脱酸はあくまでAlで行うものである。従つて溶接熱影響
部の介在物組成に関しては何等制限を設けておらず、そ
の結果Al2O3含有量の多い介在物が溶接熱影響部に多数
生成するので、板面垂直型の水素誘起割れを防止するこ
とは出来ない。また、Zrを0.01重量%〜0.1重量%含有
した耐水素誘起割れ性に優れた高靭性極低炭素ホツトコ
イルの製造方法が特開昭58−1015号公報に提唱されてい
るが、この場合のZrは鋼中のSと反応して硫化物の形態
制御を行うために添加するものであつて、やはり脱酸は
Alによつて行うものである。従つて、当然この場合の溶
接熱影響部の介在物組成はAl2O3を多く含有するものと
なり、板面垂直型水素誘起割れを防止することは全く不
可能である。
い。耐水素誘起割れ性に優れた高張力ラインパイプ用鋼
としてZrを0.10重量%以下含有した鋼が特開昭59−5365
6号公報に見られるが、この場合のZrは強度を増強する
為に用いるのであつて、鋼中酸素濃度を制御するための
脱酸はあくまでAlで行うものである。従つて溶接熱影響
部の介在物組成に関しては何等制限を設けておらず、そ
の結果Al2O3含有量の多い介在物が溶接熱影響部に多数
生成するので、板面垂直型の水素誘起割れを防止するこ
とは出来ない。また、Zrを0.01重量%〜0.1重量%含有
した耐水素誘起割れ性に優れた高靭性極低炭素ホツトコ
イルの製造方法が特開昭58−1015号公報に提唱されてい
るが、この場合のZrは鋼中のSと反応して硫化物の形態
制御を行うために添加するものであつて、やはり脱酸は
Alによつて行うものである。従つて、当然この場合の溶
接熱影響部の介在物組成はAl2O3を多く含有するものと
なり、板面垂直型水素誘起割れを防止することは全く不
可能である。
(発明が解決しようとする問題点) 上記の様な従来の欠点、即ち電縫衝合部靭性の低下およ
び電縫溶接部の板面垂直型水素膨れ割れが溶接熱影響部
に存在する板状の酸化物系介在物によつて発生する事を
解決する為に成されたものであつて、Zrを脱酸元素とし
て使用することにより鋼中の酸化物系介在物の組成を制
御し、ひいては耐サワー性と靭性の優れた電縫鋼管用鋼
を提供する事を目的としている。
び電縫溶接部の板面垂直型水素膨れ割れが溶接熱影響部
に存在する板状の酸化物系介在物によつて発生する事を
解決する為に成されたものであつて、Zrを脱酸元素とし
て使用することにより鋼中の酸化物系介在物の組成を制
御し、ひいては耐サワー性と靭性の優れた電縫鋼管用鋼
を提供する事を目的としている。
(問題点を解決する為の手段) 本発明者らは、鋼中には脱酸を目的としてAlを添加しな
い場合において、スラグからのAl2O3の巻き込み、耐火
物中のAl2O3の還元、あるいは耐火物の機械的損耗によ
つてAl2O3が不可避的に介在物として鋼中に存在し、そ
の平衡反応の結果鋼中に存在するAlの濃度が重量%で0.
005%を越える場合、もしくはZrによる脱酸の補助とし
てAlを意図的に添加し、鋼中Al濃度が0.005%を超える
場合においても、添加するZrの濃度が鋼中のAl濃度との
重量%比で2未満であつてしかもZrの濃度が0.001%以
上であり、溶接熱影響部の介在物中のAl2O3濃度が50%
以下であれば電縫溶接部の低温靭性、及び母材靭性の極
めて優れた電縫鋼管用鋼を製造可能であることを見いだ
した。
い場合において、スラグからのAl2O3の巻き込み、耐火
物中のAl2O3の還元、あるいは耐火物の機械的損耗によ
つてAl2O3が不可避的に介在物として鋼中に存在し、そ
の平衡反応の結果鋼中に存在するAlの濃度が重量%で0.
005%を越える場合、もしくはZrによる脱酸の補助とし
てAlを意図的に添加し、鋼中Al濃度が0.005%を超える
場合においても、添加するZrの濃度が鋼中のAl濃度との
重量%比で2未満であつてしかもZrの濃度が0.001%以
上であり、溶接熱影響部の介在物中のAl2O3濃度が50%
以下であれば電縫溶接部の低温靭性、及び母材靭性の極
めて優れた電縫鋼管用鋼を製造可能であることを見いだ
した。
尚、本発明において溶接熱影響部の介在物中のAl2O3濃
度というのは、溶接熱影響部中に存在する全ての介在物
を例えばヨウ素メタノール液等を用いて抽出分離し、そ
の介在物の全重量に対しての種々の形態で存在するAl2O
3の総重量の割合のことであって、介在物個々が含有す
る Al2O3の濃度を意味するのではない。
度というのは、溶接熱影響部中に存在する全ての介在物
を例えばヨウ素メタノール液等を用いて抽出分離し、そ
の介在物の全重量に対しての種々の形態で存在するAl2O
3の総重量の割合のことであって、介在物個々が含有す
る Al2O3の濃度を意味するのではない。
本発明はこうした知見に基づいてなされたもので、その
要旨とするところは、重量%でC:0.01〜0.35%、Si:0.0
2〜0.5%、Mn:0.1〜1.8%、Al:0.005%超〜0.05%、Ca:
0.0005〜0.008%に加えて、Zr:0.001〜0.015%を含有
し、かつP:0.015%以下、S:0.003%以下に制限し、(Ti
+Zr)/Alの値が2未満であつて、あるいはさらに
(A)Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.1〜1.0%、Cr:0.2〜3.0%
の1種又は2種以上、及び/又は(B)Mo:0.10〜1.0
%、Nb:0.01〜0.15%、Ti:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.1
5%の1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不純物か
らなる電縫鋼管用鋼を素材として用い、溶接熱影響部の
介在物に含まれるAl2O3の濃度が50%以下である溶接部
を有する事を特徴とする耐サワー性の優れた高靭性電縫
鋼管である。
要旨とするところは、重量%でC:0.01〜0.35%、Si:0.0
2〜0.5%、Mn:0.1〜1.8%、Al:0.005%超〜0.05%、Ca:
0.0005〜0.008%に加えて、Zr:0.001〜0.015%を含有
し、かつP:0.015%以下、S:0.003%以下に制限し、(Ti
+Zr)/Alの値が2未満であつて、あるいはさらに
(A)Cu:0.2〜0.6%、Ni:0.1〜1.0%、Cr:0.2〜3.0%
の1種又は2種以上、及び/又は(B)Mo:0.10〜1.0
%、Nb:0.01〜0.15%、Ti:0.005〜0.10%、V:0.01〜0.1
5%の1種又は2種以上を含有し、残部Fe及び不純物か
らなる電縫鋼管用鋼を素材として用い、溶接熱影響部の
介在物に含まれるAl2O3の濃度が50%以下である溶接部
を有する事を特徴とする耐サワー性の優れた高靭性電縫
鋼管である。
以下本発明を詳細に説明する。
(作 用) 最初に本発明において各成分範囲を前記のごとく限定し
た理由を以下に述べる。
た理由を以下に述べる。
まずCは、鋼の強度を最も安定して向上させる基本的な
元素であり、強度確保のため0.01%以上含有させる事が
必要であるが、0.35%を超えると鋼の靭性に対して好ま
しくない影響があるので、0.01〜0.35%とした。
元素であり、強度確保のため0.01%以上含有させる事が
必要であるが、0.35%を超えると鋼の靭性に対して好ま
しくない影響があるので、0.01〜0.35%とした。
次にSiは、強度を向上させる元素であるので0.02%以上
含有すべきであるが、靭性確保のため、上限含有量を0.
5%とすべきである。
含有すべきであるが、靭性確保のため、上限含有量を0.
5%とすべきである。
またMnは強度上必要な元素なので0.1%以上含有すべき
であるが、溶接性および靭性確保のためには上限含有量
を1.8%とすべきである。
であるが、溶接性および靭性確保のためには上限含有量
を1.8%とすべきである。
さらにCaは鋼中のSをCaSとして固定してMnSの生成を防
止することによつて母材の耐サワー性向上に非常に有効
な元素であり、母材の耐サワー性確保のために0.0005%
以上含有する事が必要であるが、0.008%を超えるとCaS
−CaOを主成分とする大型介在物を形成するので、上限
含有量は0.008%とすべきである。
止することによつて母材の耐サワー性向上に非常に有効
な元素であり、母材の耐サワー性確保のために0.0005%
以上含有する事が必要であるが、0.008%を超えるとCaS
−CaOを主成分とする大型介在物を形成するので、上限
含有量は0.008%とすべきである。
またZrはAlに代えて脱酸に使用する主要な元素である
が、0.001%未満ではAl量が0.005%を超えた場合に脱酸
力を失ない、0.015%を超えると鋼の靭性を低下させる
ため、0.001〜0.015%の含有量とすべきである。また、
このときZrの含有量は重量%でZr/Alの値が2未満とな
るときに良好な母材靭性を有し、加えて上記の効果を有
することが出来ることから、Zrの含有量は鋼中のAlの含
有量に対して、上記に定めた範囲内において決定すべき
である。
が、0.001%未満ではAl量が0.005%を超えた場合に脱酸
力を失ない、0.015%を超えると鋼の靭性を低下させる
ため、0.001〜0.015%の含有量とすべきである。また、
このときZrの含有量は重量%でZr/Alの値が2未満とな
るときに良好な母材靭性を有し、加えて上記の効果を有
することが出来ることから、Zrの含有量は鋼中のAlの含
有量に対して、上記に定めた範囲内において決定すべき
である。
なお本発明者らは、鋼管の断面および水素膨れ割れ、あ
るいは衝撃試験の破面を詳細に調査した結果、Zrで脱酸
を行つた場合にはCaとZrを主成分とする複合酸化物は電
縫溶接時に著しく変形しにくいことをみいだした。この
知見もまた本発明においてZrを含有させる理由となるも
のである。
るいは衝撃試験の破面を詳細に調査した結果、Zrで脱酸
を行つた場合にはCaとZrを主成分とする複合酸化物は電
縫溶接時に著しく変形しにくいことをみいだした。この
知見もまた本発明においてZrを含有させる理由となるも
のである。
一方AlはCa及びOと結合して変形しやすい介在物を生成
するために含有量は少ない程好ましいが、鋼の鋳造時に
耐火物或はスラグ等から不可避的に混入する場合、もし
くは脱酸の不完全を補うために添加する場合に含有量が
重量%で0.005%を超える場合がある。このようにAlが
0.005%を超える場合には母材の靭性を損なわない様に
重量%比でZ/Alの値が2未満となるように各成分を調節
すると、電縫溶接時に変形しやすい介在物の生成を完全
に抑制し、しかも母材靭性の良好な電縫鋼管用鋼を得る
ことができる。ただしAlが0.05%を超える場合にはAl2O
3を主体とする大型介在物を生成し易く、介在物中のAl2
O3濃度が50%超となり、ひいては鋼の母材靭性を低下さ
せること、及び連続鋳造などの造塊段階で鋳造用ノズル
内部にAl2O3を含む酸化物を晶出し、閉塞を起こす可能
性が大となるので、その上限を0.05%とする。
するために含有量は少ない程好ましいが、鋼の鋳造時に
耐火物或はスラグ等から不可避的に混入する場合、もし
くは脱酸の不完全を補うために添加する場合に含有量が
重量%で0.005%を超える場合がある。このようにAlが
0.005%を超える場合には母材の靭性を損なわない様に
重量%比でZ/Alの値が2未満となるように各成分を調節
すると、電縫溶接時に変形しやすい介在物の生成を完全
に抑制し、しかも母材靭性の良好な電縫鋼管用鋼を得る
ことができる。ただしAlが0.05%を超える場合にはAl2O
3を主体とする大型介在物を生成し易く、介在物中のAl2
O3濃度が50%超となり、ひいては鋼の母材靭性を低下さ
せること、及び連続鋳造などの造塊段階で鋳造用ノズル
内部にAl2O3を含む酸化物を晶出し、閉塞を起こす可能
性が大となるので、その上限を0.05%とする。
また、Pは母材の水素膨れ割れを伝播しやすくする元素
であるので0.015%以下とすべきである。
であるので0.015%以下とすべきである。
さらにSはMnと結合して母材部の水素膨れ割れの起点と
なるMnSを作るので、母材部の耐サワー性確保のために
は0.003%以下に抑えなければならない。
なるMnSを作るので、母材部の耐サワー性確保のために
は0.003%以下に抑えなければならない。
なお、Zr/Alの値を2未満と定めたのは以下の実験に基
づくものである。
づくものである。
まず以下の実験に供した鋼の基本成分は、C:0.03〜0.11
%,Si:0.06〜0.35%,Mn:0.61〜1.62%,P:0.005〜0.010
%,S:0.0002%〜0.0027%,Ca:0.0009%〜0.0042%であ
り、これらの鋼について耐サワー性及び靭性に対するZr
及びAlの影響を調べた。試験材の製造に当たつては、ま
ず、上記の鋼を通常の精練工程によつて溶製後熱間圧延
して11mm厚の鋼板としたあと、通常の工程によつて電縫
鋼管とした。尚電縫溶接部にはシーム・ノルマ(溶接部
焼準)を施したが、その加熱温度は950〜1020℃とし
た。
%,Si:0.06〜0.35%,Mn:0.61〜1.62%,P:0.005〜0.010
%,S:0.0002%〜0.0027%,Ca:0.0009%〜0.0042%であ
り、これらの鋼について耐サワー性及び靭性に対するZr
及びAlの影響を調べた。試験材の製造に当たつては、ま
ず、上記の鋼を通常の精練工程によつて溶製後熱間圧延
して11mm厚の鋼板としたあと、通常の工程によつて電縫
鋼管とした。尚電縫溶接部にはシーム・ノルマ(溶接部
焼準)を施したが、その加熱温度は950〜1020℃とし
た。
これらの電縫鋼管から第2図に示す要領で肉厚t1=11mm
の鋼管の電縫溶接部を含んで厚さt2=9mm,幅W=20mm,
長さl=100mmの試験片5を採取し、耐サワー性の評価
試験に供した。尚図中4は溶接方向である。また母材自
体からも同様な寸法、形状、採取方向の試験片を採取し
て耐サワー性の評価試験に供した。
の鋼管の電縫溶接部を含んで厚さt2=9mm,幅W=20mm,
長さl=100mmの試験片5を採取し、耐サワー性の評価
試験に供した。尚図中4は溶接方向である。また母材自
体からも同様な寸法、形状、採取方向の試験片を採取し
て耐サワー性の評価試験に供した。
耐サワー性の評価試験としては上記の試験片をH2Sを飽
和させた5%NaCl水溶液に0.5%CH3COOHを添加した溶液
(温度25℃,pH2.8〜3.8)中に96時間浸漬し割れを測定
した。割れ発生の有無は第3図に示す要領で、電縫溶接
部を含む試験片では試験片5の2断面について超音波探
傷し、その後断面の検鏡観察によつて判定した。
和させた5%NaCl水溶液に0.5%CH3COOHを添加した溶液
(温度25℃,pH2.8〜3.8)中に96時間浸漬し割れを測定
した。割れ発生の有無は第3図に示す要領で、電縫溶接
部を含む試験片では試験片5の2断面について超音波探
傷し、その後断面の検鏡観察によつて判定した。
第3図においてPは板面平行割れを対象とするUST探傷
方向、Rは板面垂直割れを対象とするUST探傷方向であ
る。母材自体より採取した試験片については第3図のP
についてのみ超音波探傷を行つた。
方向、Rは板面垂直割れを対象とするUST探傷方向であ
る。母材自体より採取した試験片については第3図のP
についてのみ超音波探傷を行つた。
一方靭性の評価試験としては、JIS4号衝撃試験片の電縫
鋼管のC方向より採取した母材部或は衝合部にノツチを
入れたものを使用し、母材部の靭性値と母材部と溶接部
とにおける破面遷移温度の差△vTrs(=母材部のvTrs−
衝合部のvTrs)を測定した。
鋼管のC方向より採取した母材部或は衝合部にノツチを
入れたものを使用し、母材部の靭性値と母材部と溶接部
とにおける破面遷移温度の差△vTrs(=母材部のvTrs−
衝合部のvTrs)を測定した。
第4図はZr量と板面垂直型膨れ割れの面積率との関係を
示す図である。Zr量を増加させると板面垂直型水素膨れ
割れの面積率は大きく減少し、Zrが0.001%以上では事
実上0とする事ができる事が判る。
示す図である。Zr量を増加させると板面垂直型水素膨れ
割れの面積率は大きく減少し、Zrが0.001%以上では事
実上0とする事ができる事が判る。
また、第5図は鋼中Al量と板面垂直型膨れ割れの面積率
との関係を示す図である。同図にみられるようにZr/Al
<2においてもZr≧0.001%であれば鋼中Alの濃度に係
わらず板面垂直型水素膨れ割れの面積率は零であり、良
好な耐サワー性が安定して得られることが判る。尚、板
面平行型水素膨れ割れの面積率は電縫溶接部及び母材の
両方において5%以下であつた。
との関係を示す図である。同図にみられるようにZr/Al
<2においてもZr≧0.001%であれば鋼中Alの濃度に係
わらず板面垂直型水素膨れ割れの面積率は零であり、良
好な耐サワー性が安定して得られることが判る。尚、板
面平行型水素膨れ割れの面積率は電縫溶接部及び母材の
両方において5%以下であつた。
第6図はZr/Alの値と母材の破面遷移温度の関係を示し
た図である。Zr/Alの増加にともなつてvTrsの値が増加
し、靭性値が劣化することが判る。Zr/Alの値が2未満
になるとvTrsは急激に低下し、母材靭性の良好な鋼を得
られることが判る。
た図である。Zr/Alの増加にともなつてvTrsの値が増加
し、靭性値が劣化することが判る。Zr/Alの値が2未満
になるとvTrsは急激に低下し、母材靭性の良好な鋼を得
られることが判る。
第7図はZr量と破面遷移温度差△vTrsの関係を示す図で
ある。Zr量が0.001%以上では△vTrsはほぼ0に近い値
であるが、0.001%未満になると著しく減少することが
判る。これはとりもなおさず、Zr<0.001%の場合には
溶接部のvTrsが母材部のvTrsに比べて著しく上昇する事
を意味する。即ち、Zrが0.001%以上鋼中に存在してい
ればAlの濃度に拘らず安定して高靭性を確保できる事が
判る。
ある。Zr量が0.001%以上では△vTrsはほぼ0に近い値
であるが、0.001%未満になると著しく減少することが
判る。これはとりもなおさず、Zr<0.001%の場合には
溶接部のvTrsが母材部のvTrsに比べて著しく上昇する事
を意味する。即ち、Zrが0.001%以上鋼中に存在してい
ればAlの濃度に拘らず安定して高靭性を確保できる事が
判る。
この様にZr/Alの値が2未満となるようにZrの濃度を制
御し、しかもZrを0.001%以上含有させることにより、
母材及び電縫溶接部の耐サワー性に優れ、かつ高靭性と
いう複合特性を満足させることが可能となる。
御し、しかもZrを0.001%以上含有させることにより、
母材及び電縫溶接部の耐サワー性に優れ、かつ高靭性と
いう複合特性を満足させることが可能となる。
以上が本発明の基本成分系であるが、本発明において
は、この他それぞれの用途に応じて(A)Cu,Ni,Crの1
種又は2種以上、及び又は(B)Mo,V,Ti,Nbの1種又は
2種以上を含有させることができる。
は、この他それぞれの用途に応じて(A)Cu,Ni,Crの1
種又は2種以上、及び又は(B)Mo,V,Ti,Nbの1種又は
2種以上を含有させることができる。
まず、Cu,NiおよびCrはいずれも母材の耐食性向上と鋼
中への水素侵入量減少のために効果を有する。
中への水素侵入量減少のために効果を有する。
Cuは0.20%未満では効果がなく、0.60%を超えると熱間
加工性に悪い影響を及ぼすので、0.20〜0.60%の範囲に
限定する。
加工性に悪い影響を及ぼすので、0.20〜0.60%の範囲に
限定する。
Niは0.1%未満では効果がなく、1.0%を超えると硫化物
応力割れを誘発する恐れがあるので0.1〜1.0%の範囲に
限定する。尚NiはCuによる熱間脆性を防止する目的で上
記範囲においてCuと同時に添加する事も出来る。
応力割れを誘発する恐れがあるので0.1〜1.0%の範囲に
限定する。尚NiはCuによる熱間脆性を防止する目的で上
記範囲においてCuと同時に添加する事も出来る。
Crは0.2%未満では効果がなく3.0%を超えると鋼の靭性
を低下させるので0.2〜3.0%の範囲に限定する。尚、Cr
はMnSの生成を防止する事を目的としてMnの含有量を0.6
%未満とした鋼に添加して強度及び靭性を向上させる元
素としても活用することが可能であり、この他の鋼の場
合も含め強度及び靭性を向上させる目的でCrを添加する
こともできる。
を低下させるので0.2〜3.0%の範囲に限定する。尚、Cr
はMnSの生成を防止する事を目的としてMnの含有量を0.6
%未満とした鋼に添加して強度及び靭性を向上させる元
素としても活用することが可能であり、この他の鋼の場
合も含め強度及び靭性を向上させる目的でCrを添加する
こともできる。
次にMo,V,TiおよびNbはいずれも鋼の強度を向上させる
元素であつて、Moは0.10%以上、Tiは0.005%以上、Nb
及びVは0.01%以上を含有させることによつて同等の強
度向上効果を示すが、Moは1.0%、Tiは0.1%、Nb及びV
は0.15%を超えて添加すると靭性を低下させる恐れがあ
るため、Moは0.10〜1.0%、Tiは0.005%〜0.1%で(Ti
+Zr)/Alの値が2未満、Nb及びVは0.01〜0.15%の範
囲に限定した。
元素であつて、Moは0.10%以上、Tiは0.005%以上、Nb
及びVは0.01%以上を含有させることによつて同等の強
度向上効果を示すが、Moは1.0%、Tiは0.1%、Nb及びV
は0.15%を超えて添加すると靭性を低下させる恐れがあ
るため、Moは0.10〜1.0%、Tiは0.005%〜0.1%で(Ti
+Zr)/Alの値が2未満、Nb及びVは0.01〜0.15%の範
囲に限定した。
上述の各合金成分はそれぞれ単独に、或は併用してもよ
い。
い。
Zrで脱酸し、Ca処理を施した鋼の介在物は脱酸生成物で
あるZrO2、Ca添加時に生ずるCaO、或はCaS、さらには耐
火物より混入もしくは補助脱酸によつて生じたAl2O3等
を主体とする複合酸化物と硫化物である。これらのう
ち、介在物成分として本発明の効果を阻害するものは低
融点化合物を生成する可能性のあるAl2O3であつて、そ
の低減が本発明の最大の特徴である。本発明者らは詳細
な研究によつて、電縫溶接熱影響部における介在物中の
Al2O3濃度が50%を超えると、介在物の組成の大部分が
融点が低く、極めて板状に変形し易いCa,Alを主体とす
る複合酸化物になる事をつきとめた。これが電縫溶接熱
影響部の介在物中のAl2O3濃度を50%以下とした理由で
ある。Al2O3の濃度は従つて低いほど良い。
あるZrO2、Ca添加時に生ずるCaO、或はCaS、さらには耐
火物より混入もしくは補助脱酸によつて生じたAl2O3等
を主体とする複合酸化物と硫化物である。これらのう
ち、介在物成分として本発明の効果を阻害するものは低
融点化合物を生成する可能性のあるAl2O3であつて、そ
の低減が本発明の最大の特徴である。本発明者らは詳細
な研究によつて、電縫溶接熱影響部における介在物中の
Al2O3濃度が50%を超えると、介在物の組成の大部分が
融点が低く、極めて板状に変形し易いCa,Alを主体とす
る複合酸化物になる事をつきとめた。これが電縫溶接熱
影響部の介在物中のAl2O3濃度を50%以下とした理由で
ある。Al2O3の濃度は従つて低いほど良い。
尚、本発明鋼において、不純物のうちN量は0.010%を
超えると溶接性に問題を生じるので好ましくないもので
あつて、0.010%以下であれば鋼の材質に著しい影響を
及ぼさないが、歪み時効の影響や円周溶接部の靭性など
も考慮すると少ない程良い。一方O量はCaの大部分が酸
化物とはならずSの固定に有効に利用されるためには0.
010%以下で少ないほど良い。さらに、本発明ではSの
固定を目的としてCaを鋼中に添加しているが、Ca以外で
もSの固定に有効な元素、例えばYをふくむREM、或はM
g,Ba等のアルカリ及びアルカリ土類金属の内の1種以上
を単独に或はCaと併用して添加してもよい。
超えると溶接性に問題を生じるので好ましくないもので
あつて、0.010%以下であれば鋼の材質に著しい影響を
及ぼさないが、歪み時効の影響や円周溶接部の靭性など
も考慮すると少ない程良い。一方O量はCaの大部分が酸
化物とはならずSの固定に有効に利用されるためには0.
010%以下で少ないほど良い。さらに、本発明ではSの
固定を目的としてCaを鋼中に添加しているが、Ca以外で
もSの固定に有効な元素、例えばYをふくむREM、或はM
g,Ba等のアルカリ及びアルカリ土類金属の内の1種以上
を単独に或はCaと併用して添加してもよい。
本発明に係る電縫鋼管の製造工程は熱間圧延のままでも
良く、或は熱間圧延直後の制御冷却工程、更には圧延材
を焼準、焼き戻し或は焼き入れ焼き戻しする等通常の鋼
材に使用される製造工程を適用する事ができる。更に、
電縫鋼管の一部又は全体に焼準、焼き戻し或は焼き入れ
焼き戻しする工程、ないしは造管後の温間絞り等の加工
熱処理技術を適用してもよい。何れの工程を適用又は併
用するかは強度,靭性などの特性確保の必要に応じて決
定すればよい。
良く、或は熱間圧延直後の制御冷却工程、更には圧延材
を焼準、焼き戻し或は焼き入れ焼き戻しする等通常の鋼
材に使用される製造工程を適用する事ができる。更に、
電縫鋼管の一部又は全体に焼準、焼き戻し或は焼き入れ
焼き戻しする工程、ないしは造管後の温間絞り等の加工
熱処理技術を適用してもよい。何れの工程を適用又は併
用するかは強度,靭性などの特性確保の必要に応じて決
定すればよい。
尚、本発明においてZrを脱酸に使用する目的の一つは、
溶鋼中の酸素濃度を下げて添加したCaをSの固定に有効
に作用させる事にもあるので、Zrによる脱酸はCaの添加
前に行うことが必要であり、更にZrを添加後RH処理など
の真空処理によつて溶鋼中の酸素濃度を下げることが好
ましい。その酸素濃度は、0.01%以下であつて、かつ出
来るだけ低い方が良い。
溶鋼中の酸素濃度を下げて添加したCaをSの固定に有効
に作用させる事にもあるので、Zrによる脱酸はCaの添加
前に行うことが必要であり、更にZrを添加後RH処理など
の真空処理によつて溶鋼中の酸素濃度を下げることが好
ましい。その酸素濃度は、0.01%以下であつて、かつ出
来るだけ低い方が良い。
以下本発明の効果を実施例により更に具体的に述べる。
(実施例) 第1表に示す組成の鋼を通常の精練工程によつて溶製
し、12.7mm厚の鋼板に熱間圧延後通常の工程によつて外
径406mmの電縫鋼管とした後、上記と同様の手法で耐サ
ワー性の評価試験を行つた結果を第1表に併せて示す。
し、12.7mm厚の鋼板に熱間圧延後通常の工程によつて外
径406mmの電縫鋼管とした後、上記と同様の手法で耐サ
ワー性の評価試験を行つた結果を第1表に併せて示す。
第1表より明らかなごとく本発明鋼管では電縫部及び母
材において水素膨れ割れは発生しておらず、かつ電縫部
においても靭性の低下は非常に小さいのに対し、比較鋼
管では電縫部に板面垂直型の水素膨れ割れが発生すると
ともに電縫部のvTrsが母材のそれに比べて著しく上昇す
るか、もしくは母材のvTrsが上昇しており、母材部或は
電縫溶接部の靭性が著しく低下している。また、比較鋼
管の内33と34は1〜32の鋼管と異なり、Zrによる脱酸を
Ca添加後に実施した鋼を素材として製造した電縫鋼管で
あり、化学組成は本発明の要件を満たすものの、溶接熱
影響部の介在物中に占めるAl2O3の濃度が50%を超えて
しまい、介在物が板状となつて低温靭性が劣化した例で
ある。
材において水素膨れ割れは発生しておらず、かつ電縫部
においても靭性の低下は非常に小さいのに対し、比較鋼
管では電縫部に板面垂直型の水素膨れ割れが発生すると
ともに電縫部のvTrsが母材のそれに比べて著しく上昇す
るか、もしくは母材のvTrsが上昇しており、母材部或は
電縫溶接部の靭性が著しく低下している。また、比較鋼
管の内33と34は1〜32の鋼管と異なり、Zrによる脱酸を
Ca添加後に実施した鋼を素材として製造した電縫鋼管で
あり、化学組成は本発明の要件を満たすものの、溶接熱
影響部の介在物中に占めるAl2O3の濃度が50%を超えて
しまい、介在物が板状となつて低温靭性が劣化した例で
ある。
(発明の効果) 上述の実施例からもわかる通り、本発明はpHが低く厳し
い環境においても水素膨れ割れが無くかつ低温靭性の優
れた高靭性電縫鋼管を提供する事を可能にしたものであ
り、産業の発展に貢献するところ極めて大なるものがあ
る。
い環境においても水素膨れ割れが無くかつ低温靭性の優
れた高靭性電縫鋼管を提供する事を可能にしたものであ
り、産業の発展に貢献するところ極めて大なるものがあ
る。
第1図は電縫鋼管の衝合部とその両側の板状に変形した
酸化物系介在物の存在領域を示す模式図、第2図は試験
片の採取要領を示す図、第3図はUST探傷方向を示す
図、第4図は鋼中Zr量と板面垂直型膨れ割れの面積率と
の関係を示す図、第5図は鋼中Al量と板面垂直型膨れ割
れの面積率との関係を示す図、第6図はZr/Alの値と母
材の破面遷移温度の関係を示す図、第7図は鋼中Zr量と
破面遷移温度差ΔvTrsの関係を示す図である。 1……電縫鋼管、2……電縫衝合部、3……熱影響部、
4……溶接方向、5……試験片。
酸化物系介在物の存在領域を示す模式図、第2図は試験
片の採取要領を示す図、第3図はUST探傷方向を示す
図、第4図は鋼中Zr量と板面垂直型膨れ割れの面積率と
の関係を示す図、第5図は鋼中Al量と板面垂直型膨れ割
れの面積率との関係を示す図、第6図はZr/Alの値と母
材の破面遷移温度の関係を示す図、第7図は鋼中Zr量と
破面遷移温度差ΔvTrsの関係を示す図である。 1……電縫鋼管、2……電縫衝合部、3……熱影響部、
4……溶接方向、5……試験片。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−119759(JP,A) 特開 昭58−1015(JP,A) 特開 昭59−53656(JP,A) 特開 昭62−170458(JP,A) 特開 昭61−124554(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で C:0.01〜0.35%、 Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.1〜1.8%、 Al:0.005%超〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.008% に加えて、 Zr:0.001〜0.015% を含有し、かつ P:0.015%以下、 S:0.003%以下 に制限し、Zr/Alの値が2未満であつて、残部Fe及び不
純物からなる電縫鋼管用鋼を素材として用い、溶接熱影
響部の介在物に含まれるAl2O3の濃度が50%以下である
溶接部を有する事を特徴とする耐サワー性の優れた高靭
性電縫鋼管。 - 【請求項2】重量%で C:0.01〜0.35%、 Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.1〜1.8% に加えて、 Cr:0.2〜3.0%、 Ni:0.1〜1.0%、 Cu:0.2〜0.6% の1種又は2種以上を含有し、さらに Al:0.005%超〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.008% に加えて、 Zr:0.001〜0.015% を含有し、かつ P:0.015%以下、 S:0.003%以下 に制限し、Zr/Alの値が2未満であつて、残部Fe及び不
純物からなる電縫鋼管用鋼を素材として用い、溶接熱影
響部の介在物に含まれるAl2O3の濃度が50%以下である
溶接部を有する事を特徴とする耐サワー性の優れた高靭
性電縫鋼管。 - 【請求項3】重量%で C:0.01〜0.35%、 Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.1〜1.8% に加えて、 Mo:0.10〜1.0%、 V:0.01〜0.15%、 Ti:0.005〜0.10%、 Nb:0.01〜0.15% の1種又は2種以上を含有し、さらに Al:0.005%超〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.008% に加えて、 Zr:0.001〜0.015% を含有し、かつ P:0.015%以下、 S:0.003%以下 に制限し、(Ti+Zr)/Alの値が2未満であつて、残部F
e及び不純物からなる電縫鋼管用鋼を素材として用い、
溶接熱影響部の介在物に含まれるAl2O3の濃度が50%以
下である溶接部を有する事を特徴とする耐サワー性の優
れた高靭性電縫鋼管。 - 【請求項4】重量%で C:0.01〜0.35%、 Si:0.02〜0.5%、 Mn:0.1〜1.8% に加えて、 Cr:0.2〜3.0%、 Ni:0.1〜1.0%、 Cu:0.2〜0.6% の1種又は2種以上、及び、 Mo:0.10〜1.0%、 V:0.01〜0.15%、 Ti:0.005〜0.10%、 Nb:0.01〜0.15% の1種又は2種以上を含有し、さらに Al:0.005%超〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.008% に加えて Zr:0.001〜0.015% を含有し、かつ P:0.015%以下、 S:0.003%以下 に制限し、(Ti+Zr)/Alの値が2未満であつて、残部F
e及び不純物からなる電縫鋼管用鋼を素材として用い、
溶接熱影響部の介在物に含まれるAl2O3の濃度が50%以
下である溶接部を有する事を特徴とする耐サワー性の優
れた高靭性電縫鋼管。
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