JPH0678348B2 - シラトラン化合物 - Google Patents

シラトラン化合物

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JPH0678348B2
JPH0678348B2 JP61052682A JP5268286A JPH0678348B2 JP H0678348 B2 JPH0678348 B2 JP H0678348B2 JP 61052682 A JP61052682 A JP 61052682A JP 5268286 A JP5268286 A JP 5268286A JP H0678348 B2 JPH0678348 B2 JP H0678348B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特定の構造式で表わされるシラトラン化合物
及び該シラトラン化合物を有効成分とする殺菌剤ならび
に制癌剤を提供するものである。
(従来の技術) 有機ケイ素化合物については、合成や生理活性について
研究が重ねられており、特定の有機ケイ素化合物群が制
癌活性や抗菌活性等の優れた生理活性を有することが知
られている。
有機ケイ素化合物のうち、下記式で示されるシラトラン
と呼ばれる化合物は、抗菌・抗カビ作用、殺虫作用、殺
鼠作用、発毛促進作用、抗腫腸作用等の種々の生理活性
を有することが見い出されている。
(但し、Rは置換又は非置換のアルキル基、アルコキシ
基、フェニル基を示す。) また、分子内にイミノ結合(C=N結合)を有するシラ
トラン化合物としては現在ままでに下記式で示される5
種類のみがルケヴィッチらによって合成され、マウスの
エーリッヒ癌に対して若干の制癌効果を示すことが報告
されているのみである〔イズベスチア・アカデミー・ナ
ウカ・ラティブ・エス・エス・アール(Izv.Akad.Nauk.
Latv・SSR)338(1987)〕。
(但し、XはCl,OH,OCH3,NO2,N(C2H5)2を示す。) (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、これらの化合物の制癌剤としての効果は
不十分であり、より優れた制癌効果のみならず幅広い生
理活性を有する新規な化合物の探索が望まれている。
(問題点を解決するための手段及び効果) 本発明者は長年に渡り、数多くの新規な有機ケイ素化合
物を合成し、該有機ケイ素化合物に関する種々の生理活
性作用に関する研究を続けて来た。
その結果、本発明者は、分子内に複素環を有する一群の
シラトラン化合物を合成することに成功し、該化合物群
が比類のない顕著な制癌活性ならびに殺菌活性を発現す
ることを見出し、本発明を完成し、ここに提案するに至
った。
即ち、本発明は、下記一般式(1) (式中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Arは非置
換あるいは置換のフラン環、チオフェン環、ピロール
環、チアゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イ
ミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン
環、ピラジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
環、インドール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、
キナゾリン環、キノキサリン環、カルバゾール環を示
し、nは1以上の整数を示し、mは0又は1を示す。) で表わされるシラトラン化合物及び該化合物を有効成分
とする殺菌剤ならびに制癌剤である。
上記一般式(1)中、Rで示されるアルキル基の炭素数
は特に限定されず、直鎖状又は分枝状の基が用いられる
が、原料入手の容易さから、炭素数は1〜6であること
が好適である。該アルキル基の具体例を示すと、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基が挙げられる。又、前記一般式(1)中、Ar
は、前記した各種の非置換又は置換の複素環である。こ
こで、これら素環の置換基としては、特に限定されるも
のではなく公知の置換基であれば良い。特に本発明の化
合物の殺菌効果及び制癌効果を勘案すると、次のような
な置換基であることが好ましい。即ち、ハロゲン原子、
ヒドロキシル基、アルキル基、アケニル基、アルキニ
基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アコキシアル
キル基、チオール基、アルキルチオ基、アルケニルチオ
基、フェニル基、水素原子がハロゲン原子、アルキル
基、アルコキシ基又はニトロ基で置換されたフェニル
基、フェノキシル基、水素原子がアルキル基又はハロゲ
ン原子で置換されたフェノキシ基、フェニルチオ基、水
素原子がアルキル基又はハロゲン原子で置換されたフェ
ニルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルキルカルボニル
基、アルコキシカルボニル基、カルバミド基、カボキシ
基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、ニトロ基、シ
アノ基、トリフルオロメチル基等の各基を挙げることが
でできる。
これらの各置換基のうち、ハロゲン原子の具体例として
は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素の各原子が挙げられ
る。又、アルキル基としては、前記のRで説明した基が
好適に用いられる。アルケニル基の炭素原子数は特に限
定されず、直鎖又は分枝状の基が用いられるが、原料入
手の容易さから、炭素数は2〜6であることが好適であ
る。該アルケニル基の具体例を示すと、ビニル基、アリ
ル基、ブテニル基が挙げられる。又、アルキニル基の炭
素原子数は特に限定されず、直鎖又は分枝状の基が用い
られるが、原料入手の容易さから、炭素数は2〜6であ
ることが好適である。該アルキニル基の具体例としては
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基が挙げられる。
又、アルコキシアルキル基の炭素原子数は特に限定され
ず用いられるが、原料入手の容易さから、炭素数は2〜
6であることが好適である。該アルコキシアルキル基の
具体例としてはメトキシメチル基、メトキシエチル基、
メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチ
ル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、プロポ
キシメチル基、プロポキシエチル基、ブトキシメチル
基、ブトキシエチル基が挙げられる。さらにアルコキシ
基、アルキルチオ基、(ジアルキル)アミノ基、アルキ
ルカルボニル基、アルコキシカルボニル基中に含まれる
アルキル基、ならびにフェニル基、フェノキシ基、フェ
ニルチオ基に置換されたアルキル基も既に述べたアルキ
ル基と同様に炭素数1〜6であることが好適である。ア
ルコキシ基の具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、
プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシキ基、ヘキソキ
シ基;アルキルチオ基の具体例としてはメチルチオ基、
エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチ
チオ基、ヘキシルチオ基;(ジアルキル)アミノ基の具
体例としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ
プロピルアミノ基、ジブチルアミノ基;アルキルカルボ
ニルル基の具体例としてはセチル基、エチルカルボニル
基、プロピルカルボニニ基;アルコキシカルボニル基の
具体例としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基、ペントキシカルボニル基;アルキル基置換フェニル
基の具体例としてはトリル基、エチルフェニル基、プロ
ピルフェニル基、ブチルフェニル基、ヘキシルフェニル
基;アルキル基置換フェノキシ基の具体例としてはメチ
ルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、プロピルフェノ
キシ基;アルキル置換フェニルチオ基の具体例としては
メチルフェニルチオ基、エチルフェニルチオ基、プロピ
ルフェニルチオ基等が挙げられる。さらにアルケニルオ
キシ基ならびにアルケニルチオ基中に含まれるアルケニ
基も既に述べたアルケニル基と同様に炭素数2〜6であ
ることが好適である。該基の具体例としてはアリルオキ
シ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセ
ニルオキシ基、ビニルチオ基、アリルチオ基、ブテニル
チオ基、ヘキセニルチオ基が挙げられる。さらに又、フ
ェニル基、フェノキシ基、フェニルチオ基の置換基とし
て含まれるハロゲン原子の具体例としては塩素、臭素、
フッ素、ヨウ素の各原子が挙げられる。さらにまた、カ
ルボキシル基及びスルホン酸基の塩としては、カリウ
ム、ナトリウム等のアルカリ金属塩や、マグネシウム、
カシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
前記一般式(1)中のArで示される各種複複素環に置換
するこれらの置換基の数は、特に限定されないが、通常
は1〜3であることが好ましい。置換基が複数の場合
は、置換基の種類は互いに同種であっても異種であって
も良い。
又、前記一般式(1)中、nは1以上の整数であれば良
いが、原料入手の容易さから、nは1〜4の整数、特に
1,3又は4であることが好適である。
本発明のシラトラン化合物は、ほとんどの場合常温常圧
に於いては一定の融点を有する結晶状の固体であり、ま
れに粘稠物である。
該シラトラン化合物が前記一般式(1)で示される化学
構造であることは一般に次の(イ)〜(ホ)の手段によ
って確認、固定することが出来る。
(イ) 赤外吸収スペクトル(IR)を測定することによ
りシラトラン化合物分子内に存在する特徴的な化学結合
ならびに官能基の種類を確認することが出来る。例えば
該シラトラン化合物は3000〜2800cm-1付近にCH結合に基
づく吸収、1650〜1600cm-1にCR=N結合に基づく吸収を
示す。さらに一般式(1)で示される該シラトラン化合
物においてm=1である場合には3500〜3300cm-1にNH結
合に基づく吸収を示す。
(ロ) 質量スペクトル(MS)を測定し、観察される各
ピーク(一般にはイオンの分子量mを荷電数eで割った
m/eで表わされる数)に相当する組成式を算出すること
により、測定に供した試料の結合様式さらに終局的には
その分子量を推定することが出来る。即ち、測定に供し
た試料を一般式 (但しR,Ar,n及びmは一般式(1)で示したものと同一
である。)で表わした場合、一般に分子量に相当する分
子イオンピーク(M )、分子イオンピークからArが脱
離したM −Arに相当するピーク、およびm/e174にN
(CH2CH2O)3Si に相当する強いピークが現われる。
(ハ) 13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測
定することにより、測定に供したシラトラン化合物中の
炭素原子の個数、炭素鎖の配列様式、炭素原子の結合様
式を知ることが出来る。即ち13C−NMR((テトラメチル
シラン基準)に於いて、上記一般式(1)中のR,Ar,n及
びmの種類に応じて、それぞれの13Cに基づく特有なピ
ークが観察される。
例えば一般式(1)中のnが3,mが0,ArがN−メチルピ
ロール環 である場合のシラトラン化合物について重クロロホルム
溶媒中で13C−NMRを測定し、その解析を行なった結果は
下記の通りであった(化学シフト値:δ,ppm)。
(ニ) 1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定
することにより、測定に供したシラトラン化合物中の水
素原子の個数、水素原子の結合様式を知ることが出来
る。即ち1H−NMR(テトラメチルシラン基準)に於い
て、上記一般式(1)中のR,Ar,n及びmの種類に応じ
て、それぞれの1Hに基づく特有なピークが観察される。
例えば一般式(1)中のnが3,mが0,Arが4,5−ジブロム
−2−チエニ基 である場合のシラトラン化合物について重クロロホルム
中で1H−NMRを測定し、その解析を行なった結果は下記
の通りであった(化学シフト値:δ,ppm)。
(ホ) 元素分析によって炭素、水素、窒素、ケイ素
(さらにハロゲン、イオウを含む場合にはハロゲンなら
びにイオウ)の各重量%を求め、次いで認知された各元
素の重量%の和を100から減じることにより、酸素の重
量%を算出することが出来、従って該シラトラン化合物
の組成式を決定することが出来る。
本発明のシラトラン化合物は前記一般式(1)中のn及
びmの値、R及びArの種類によって多少その性状が異な
るが、一般には常温常圧に於いては白色、淡黄色、淡褐
色、黄色、橙黄色、橙色、赤色、深赤色の結晶状固体で
あるが、粘稠物である場合もある。該シラトラン化合物
はクロロホルム、メチレンクロリド等の塩素系溶剤、メ
タノール、エタノール等のアルコール系溶剤、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルルホキシド等の極性
非水溶媒等には比較的よく溶け、ベンゼン、トルエン、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等には可溶であり、ヘ
キサン、エーテテ、リグロインには難溶であり、水には
不溶である。
本発明のシラトラン化合物の製造方法は特に限定され
ず、如何なる方法によってもよい。一般に好適に採用さ
れる代表的な製造方法を以下に説明する。即ち、一般式
(2) 〔式中、R,Ar,n及びmは一般式(1)中で示されたもの
と同一であり、R′はアルキル基である。〕で示される
トリアルコキシシランとトリエタノールアミンとを反応
させることによって好収率で目的とする本発明のシラト
ラン化合物を得ることが出来る。上記反応式を示せば下
記の通りである。
上記式で示されるトリアルコキシシランは、その製法に
限定されず、公知の製法で得られるものが特に制限され
ず使用出来る。一般式中のR′で示されるアルキル基の
具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、
iso−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。ま
た、上記の反応には触媒を用いることが好ましい。触媒
としては、ケイ素に結合したアルコキシ基を切断してト
リエタノールアミンとの交換反応を行なわせるものであ
れば特に限定されず使用することが出来るが、水酸化カ
リウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカ
リ金属の水酸化物で代表される塩基性化合物が少量でし
かも効果的である場合が多いので好適である。上記反応
の代表例は後述する実施例で詳述する。該反応は無溶媒
に於いても実施することが出来るが、通常溶媒の存在下
に実施するのが一般的である。該溶媒としては、原料、
生成物あるいは触媒と反応しない溶媒であれば特に限定
されず使用することが出来、一般にはエタノール、メタ
ノール、イソプロピアルコール等のアルコール系溶媒、
ジメトキシエタン、ジオキサン、アセトニトリル等が好
適に使用される。また前記反応条件は特に限定されるも
のではないが、一般には0〜200℃、好ましくは20〜150
℃の温度下に数分〜数日、通常5分〜50時間の範囲で選
べば充分である。また反応圧力は大気圧下に充分反応が
進行するので通常は常圧で実施すれば良く、必要に応じ
て加圧下あいは減圧下で実施することも出来る。
また、本発明のシラトラン化合物は一般式(3) N(CH2CH2O)3Si(CH2)n(NCH2CH2)mNH2 …(3) (但し、n及びmは一般式(1)と同様である。) で示されるアミノアルキルシラトランと、一般式(4) (但し、R及びArは一般式(1)と同様である。) で示される複素環を有するカルボニル化合物とを反応さ
せることによっても好収率で得ることが出来る。該反応
式を示せば下記の通りである。
上記反応の代表例は後述する実施例で詳述するが、該反
応は通常溶媒の存在下に実施するのが一般的である。該
溶媒としては原料又は生成物と反応しない溶媒であれば
特に限定されず使用することが出来、一般にはベンゼ
ン、トルエン、エタノール、プロパノール、アセトニト
リル、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等が
好適に使用される。また前記反応条件は特に限定される
ものではないが、一般には0〜200℃、好ましくは20〜1
50℃の温度下に数分〜数日、通常10分〜50時間の範囲で
選べば充分である。また該反応はいわゆる脱水反応であ
り、反応の進行と共に水が生成するので、溶媒として水
と共沸する性質を有するベンゼン、クロロホルム、エタ
ノール等を用い、反応液を加熱還流させ、生成した水を
共沸させて系外に除去する手段を用いたり、必要に応じ
て脱水剤や脱水触媒を用いることは、該反応を効率的に
進行させる上で好都合である。
本発明のシラトラン化合物は、通常上述のいずれの反応
式に従っても、各原料を等モル比で用いて好収率で得ら
れる。該シラトラン化合物が、反応終了後、結晶として
析する場合には、結晶を濾過することによって極めて純
品で得ることが出来る。また、該シラトラン化合物が反
応終了後に於いても溶液中に溶解している場合には溶媒
等の揮発成分を、常圧蒸留、減圧蒸留、真空蒸留等の手
段によって除くことにより得られる。このようにして得
られたシラトラン化合物は一般に純品であるが、さらに
高純度のシラトラン化合物を得る必要がある場合には、
再結晶、再沈澱等の精製手段を用いることも出来る。
本発明のシラトラン化合物は著しく生理活性にすぐれて
いて、制癌活性にすぐれた効果を発揮する。例えばマウ
スにおけるエールリッヒ腹水癌、ラットにおけるウオー
カーカルシノサルコーマ256腹水癌、およびマウスにお
けるP388白血病に対して極めて強力な制癌効果を発揮す
る。これらの効果から本発明のシラトラン化合物は各種
癌の予防、治療または処理の目的に好適に使用すること
ができる。本発明のシラトラン化合物は後述する実施例
からも明らかなように高い制癌活性を示すものが多い。
該シラトラン化合物の制癌活性は前記一般式(1)中の
n及びmの値、R及びArの種類によって変動するが、一
般にはnが3であるもの、Rが水素原子又はメチル基で
あるものが強い活性を示す傾向にある。また、Arで示さ
れる複素環としてはフラン環、チオフェン環、ピリジン
環、ベンゾフラン環が強い活性を示す傾向にある。ま
た、複素環の置換基としては塩素、臭素、ヨウ素等のハ
ロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ
基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアル
コキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基等のジアルキルアミノ寒、シアノ基、ニトロ基、ヒ
ドロキシ基等が好適な置換基として挙げられる。該置換
複複素環の具体例としては5−ヨード−2−チオフェ
ン、3−メトキシ−2−チオフェン、3−メチルチオ−
2−フラン、2,3−ジブロモ−2−チオフェン、3−ク
ロロ−2−ベンゾフラン、3−ジメチルアミノ−2−ベ
ンゾフラン、8−ヒドロキシ−5−キノリン、5−ニト
ロ−2−フラン、2−シノ−4−オキサゾー、5−ブロ
モ−2−チオフェン、5−メトキシカルボニル−4−ヨ
ード−2−フラン、3−シアノ−2−チオフェン、5−
ブロモ−2−ピリジン、4−クロロ−5−(p−メトキ
シフェニル)−2−チオフェン、5−エトキシ−4−メ
チル−4−チオフェン、2−メチルチオ−3−ベンゾチ
オフェン等が挙げられる。
本発明のシラトラン化合物を制癌剤として使用する場合
の使用形態は公知の如如何なる形態でも使用することが
できる。該使用形態の代表的なものを例示すると、経
口、非経口(例えば筋注、静注、皮下、腹腔内、直腸
内)または局所投与のいずれによっても患者に投与する
ことができる。その際の有効成分であるシラトラン化合
物の有効投与量は、投与すべき患者の年令、体重、症状
の軽重、癌の種類等に応じて異なるが、一般には、200
〜0.002mg/kg/日、好ましくは50〜0.02mg/kg/日とする
ことができる。該1日の投与量は1日1回のみ又は1日
数回(3〜5回)に分けて投与することができる。ま
た、上記の投与量は単なる指針であり、処置を行なう医
師の判断により、上記範囲を越えて投与することも可能
であることはいうまでもない。
上記有効成分の投与にあたって、上記シラトラン化合物
は、希望とする投与方法(経口、非経口又は局所)に応
じて、種々の剤形に製剤することができる。
例えば、経口投与に際しては、錠剤、丸薬、摺衣錠、散
薬包、顆粒、シロップ、カプセ剤等の剤形に製剤するこ
とができ、また、非経口投与に際しては、溶液又は懸濁
液、坐薬等の剤形に製剤することができる。
これら製剤中における有効成分の濃度は特に制限される
ものではなく、剤形に応じて広範に変えることができる
が、一般には0.05〜90重量%、好ましくは1〜60重量%
程度の濃度とすることができる。
上記製剤に使用しうる賦形剤としては当該分野常用され
ているものはいずれも使用可能であり、固体形態の製剤
に対しては、例えば、乳糖、しょ糖、でん粉、グリシ
ン、結晶セルロース、マンニット、ステリン酸マグネシ
ウム、流動パラフィン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナト
リウム等が挙げられ、また、液体形態の製剤に対して
は、例えば生理食塩水、界面活性剤液、ぶどう糖液、ア
ルコール、エステル類等が挙げられる。
かかる製剤の具体例を示せば次のとおりである。
製剤例1:注射剤 シラトラン化合物の所定量を含有するようにバイアルに
無菌的に分配し、密封して水分およびバクテリアを除去
する。使用前にリドカイン0.5%を含む生理食塩水の所
定量を添加して注射剤とすればよい。
製剤例2:カプセル剤 ステアリン酸マグネシウム0.6重量部に乳糖4.5重量部を
加えて撹拌混合することにより均一とし、さらに乳糖5
重量部と結晶セルロース10重量部を加えて混合する。こ
の混合物に予め微粉末化したシラトラン化合物20重量部
加えて、再度混合することにより調製粉末を得る。この
粉末をカプセル充填機を用いゼラチンカプセルに充填す
ることによりカプセル剤を製造すればよい。
製剤例3:錠剤 シラトラン化合物25重量部とマンニット20重量部をよく
混合粉砕した後、でんぷん糊として馬鈴署でんぷん4.7
重量部を加えた粒状化する。この粒子を60メッシュふる
いを通し、乾燥して所定の重量とし16メッシュふるいに
かける。次に、この粒子をステアリン酸マグネシウム0.
3重量部と混合して、なめらかにし、通常の方法により
錠剤成型機により圧縮して適当な大きさの錠剤とすれば
よい。
さらに又、本発明のシラトラン化合物は後述する実施例
からも明らかなように制癌活性のみならず殺菌活性にも
極めて幅広くすぐれた効果を発揮する。該殺菌活性は、
前記一般式(1)で示されるシラトラン化合物のほとん
どすべてに認められるが、一般式中のn及びmの値、R
及びArの種類を選択することにより非常にすぐれた活性
を示す。一般的にはnが3であるもの、Rが水素原子又
はメチル基であるものが強い活性を示す傾向にある。ま
た、Arで示される複素環としてフラン環、チオフェン
環、ピリジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環
が強い活性を示す傾向にある。また素環の置換基として
は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、
エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチ
オ基等のアルキルチオ基;フェニル基、置換基としてニ
トロ基、塩素原子等のハロゲン原子、メチル基等のアル
キル基、メトキシ基等のアルコキシ基を有するフェニル
基等が好適な置換基として挙げられ。該置換複素環の具
体例としては3−メトキシ−2−チオフェン、5−メチ
ル−2−フラン、5−ヨード−2−チオフェン、5−ブ
ロモ−2−フラン、3−メチルチオ−2−フラン、5−
(p−トリル)−2−チオフェン、4,5−ジブロモ−2
−チオフェン、1−(p−ニトロフェニル)−2−ピロ
ール、5−ニトロ−2−フラン、2−クロロ−5−フェ
ニルチオ−2−チオフェン、5−(3′,4′−ジクロロ
フェニル)−2−ピリジン、5−メトキシカルボニル−
4−ヨード−フラン、2−ブロモ−4−ピリジン、7−
メトキシ−5−ヨード−2−ベンゾフラン、4−クロロ
−6(m−クロロフェニル)−2−ピリジン、4−クロ
ロ−5−(p−メトキシフェニル)−2−チオフェン、
5−エトキシ−4−メチル−3−チオフェン、3,4−ジ
メトキシ−2−フラン、2−メチルチオ−3−ベンゾチ
オフェン等が挙げられる。
本発明のシラトラン化合物は、例えば担子菌類、そう菌
類、子のう菌類、不完全菌類及び細菌類等に属する多種
類の病原菌に対して広範囲に適用することができ、従っ
て、農薬あるいは医薬の活性成分として極めて有用であ
るといえる。
本発明のシラトラン化合物が極めて強い殺菌力を示す菌
類の具体例としては紋枯病菌、ゴマ葉枯病菌、ツル割病
菌、灰色カビ病菌、白鮮菌、黄色ぶどう球菌等が挙げら
れる。
以下に本発明のシラトラン化合物及びその製造例並びに
生理活性試験例を示す。しかしながら、本発明はこれら
に限定されるものではない。
実施例1 N−(3−ピリジルメチリデン)−γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン(8.00g)、トリエタノールアミン
(3.84g)、水酸化カリウム(0.30g)及びエタノール
(20ml)の混合物を2時間加熱還流した後、塩化アンモ
ニウム(0.30g)を加え、さらに1時間温やかに加熱し
た。エタノールを蒸留することによって除去し、残渣を
クロロホルム(50ml)で抽出し、クロロホルムを留去
し、残渣をエタノールから再結晶することにより融点12
0〜122℃の淡黄色結晶((5.58g)を得た。該生成物に
ついて赤外吸収スペクトルを測定したところ、第1図に
示すようなスペクトルが得られ、1640cm-1にCH=N結合
に基づく吸収を示した。その元素分析値はC56.00%、H
7.34%、N13.39%、Si8.98%であって、C15H23N3O3Si
(321.44)なる組成式に対する計算値C56.04%、H7.21
%、N13.07%、Si8.74%によく一致した。又、質量スペ
クトルを測定したところ、m/e321に分子量に相当する分
子イオンピーク(M )、m/e243に分子イオンピークか
らピリジン基が脱離したと考えられるピーク〔M −C5
H4N〕、m/e174にシラトラニル基、即ちN(CH2CH2O)3S
i に対応するピークを示した。さらに該化合物につ
き、テトラメチルシラン基準で重クロロホルム中におい
て13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した
ところ、第2図に示すようなスペクトルが得られ、該ス
ペクトルを解析した結果は次のとおりであった(化学シ
フト値:δ,ppm)。
以上の結果から、得られた淡黄色結晶がN−(3−ピリ
ジルメチリデン)−γ−アミノプロピルシストランであ
ることが明らかとなった。収率は67.4%であった。該化
合物の化合物番号をNo.1とする。
実施例2 γ−アミノプロピルシラトラン(3.68g)、3−メトキ
シ−2−チオフェンアルデヒド(2.25g)、ベンゼン(2
0ml)の混合物を3時間加熱還流させ、生成する水を共
沸させることにより除去しながら反応させた。反応溶液
を過し、冷所に放置することにより融点130〜132℃の
白色結晶(3.82g)を得た。該生成物について赤外吸収
スペクトルを測定したところ、第3図に示すようなスペ
クトルが得られ、1615cm-1にCH=N結合に基づく吸収を
示した。その元素分析値はC50.68%、H6.68%、N7.95
%、Si7.95%であって、C15H24N2O4SSi(356.52)なる
組成式に対する計算値C50.53%、H6.79%、N7.86%、Si
7.88%によく一致した。又、質量スペクトを測定したと
ころ、m/e357と356に分子量に相当する分子イオンピー
ク(M )、m/e341に分子イオンピークからメチル基が
脱離したと考えられるピーク〔M −CH3〕、m/e243に
分子イオンピークからメトキシチエニル基が脱離したと
考えられるピーク〔M −C5H5OS〕、m/e174にシラトラ
ニル基に対応するピークを示した。さらに該化合物につ
き、テトラメチルシラン基準で重クロロホルム中におい
て1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定したと
ころ、第4図に示すようなスペクトルが得られ、該スペ
クトルを解析した結果は次のとおりであった(化学シフ
ト値:δ、ppm)。
以上の結果から、得られた白色結晶がN−(3−メトキ
シ−2−チエニルメチリデン)−γ−アミノプロピルシ
ラトランであることが明らかとなった。収率は67.8%で
あった。該化合物の化合物番号をNo.2とする。
実施例3 実施例1又は2に記載したのと同様な方法によって下記
一般式で示されるシラトラン化合物を合成した。シラト
ラン化合物の構造、物性値、機器分析結果ならびに収率
を併せて第1表に示した。なお、第1表に示した化合物
の質量スペクトルを測定したところ、全ての化合物につ
いて分子量に相当する分子イオンピーク(M )とm/e1
74にシラトラニル基、すなわちN(CH2CH2O)3Si に対
応するピークが観察された。
実施例4 実施例3で得られたN−(5−ブロム−2−フリルメチ
リデン)−r−アミノプロピルシラトラン(化合物No.
8)を界面活性剤ツイーン80を含む生理食塩水に加えて
規定量の試料を含む懸濁液である6種類の試料溶液(12
59mg/kg、1000mg/kg、794mg/kg、631mg/kg、501mg/kgお
よび398mg/kgの投与量)を作成した。この試料溶液を用
いて体重20g前後のCDF1系マウスの雌それぞれ6匹の腹
腔内に注射投与して20日間試験を行ない、急性毒性値を
リッチフィールドとウィルコクソンの方法によりLD50を
求めたところ、620mg/kgであった。
実施例5 実施例2で得られたNo.2の化合物を、界面活性剤ツィー
ン80を含む生理食塩水に加えて規定量の試料を含む懸濁
液を作成し、この試料溶液を用いて、マウスのエールリ
ッヒ腹水癌に対する制癌活性を試験した。即ち、該試料
溶液を、エールリッヒ癌細胞数1×106個を有するスイ
スマウス(雌)6匹の腹腔内に0.5mlずつ9日間連続注
射投与し、40日間にわたる延命効果の結果から、平均生
存日数(MST)を求め、対照群(30匹)の平均生存日数
と比較することによりT/C(%)を算出した。即ち、平
均生存日数を験体(T)と対照体(C)について求め、
T/C×100(%)で算出した。概値は6匹の験体中4匹目
が死亡した日数を平均生存日数とし、これを対照体から
同様に求めた平均生存日数で除した値に100を掛けるこ
とにより求められる。結果を第2表に示す。ただし、対
照群としてはマウス30匹を使用したが表には6匹として
の平均値を記載した。
以上の結果から、投与量が200mg/kgである場合には6匹
中の生存匹数は6,400mg/kgである場合には6匹中の生存
匹数は4であって、No.2の化合物がエールリッヒ癌に対
して顕著な制癌活性を示すことが明らかとなった。
実施例5 実施例3で得られたNo.17の化合物を界面活性剤ツイー
ン80を含む生理食塩水に加えて規定量の試料を含む試料
溶液を作成した。該試料溶液を、P388リンパ白血病癌細
胞1×106個を有するCD2F1系マウス(雄)6匹の腹腔内
に0.5mlづつ9日間連続注射投与した。30日間にわたる
延命効果試験を調べたところ、投与量400mg/kgにおいて
はT/C(%)は136、投与量200mg/kgにおいてはT/C
(%)150なる値を示し、No.17の化合物がP388リンパ白
血病癌に対して有効であることを確認した。
実施例6 実施例3で得られたNo.41の化合物を界面活性剤ツイー
ン80を含む生理食塩水溶液に加えて試料溶液を調製し
た。この試料溶液を、腹腔内にウォーカーカルシノサル
コーマ256癌細胞数1×105個を有するスプラグドーレイ
系ラット(雌)6匹に対して、腹腔内注射を5日間連続
して施し1ケ月間にわたって延命効果を調べたところ、
投与量100mg/kgにおいてはT/C(%)は205、投与量50mg
/kgにおいてはT/C(%)195なる値を示し、No.41の化合
物がウォーカーカルシノサルコーマ256癌に対して充分
な制癌活性を示すことが明らかとなった。
実施例7 実施例1および3で得られた化合物につき、実施例5と
同様にしてマウスのエールリッヒ腹水癌に対する活性試
験を行なった。それらの結果を第3表に記載した。
実施例8 1.5%寒天を含む栄養培地を121℃で15分加熱滅菌した
後、50℃まで冷却し、これにあらかじめ生育させておい
た菌体又は胞子を無菌水に懸濁したものを入れて良く混
合し、シャーレに注入して平板に固化させた。実施例3
で合成したNo.22およびNo.25の化合物を約15%含有して
いるメタノール溶液に、直径8mmの円型ロ紙を浸し、ロ
紙上で余剰分を除き、固化した寒天培地上に置いた。約
30℃で24〜48時間培養後、阻止円の直径を測定した。供
試菌としてコクリオボラス・ミヤベナス(CM)、ペリキ
ュラリア・ササキ(PS)、フザリウム・オキシスポラム
(FO)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(TM)、
トリコフィトン・ルブラム(TR)、ミクロスポルム・ギ
プセウム(MG)、ポトリチス・シネレア(BC)、スタフ
ィロコッカス・オウレウス(SO)、アスペルギルス・ニ
ガー(AN)、キャンディダ・アルビカンス(CA)を用い
て行なった。抗菌試験の結果を第4表に示した。なお、
第4表の供試菌は全て略号で記載した。
実施例9 実施例1〜3で合成した化合物を実施例8と同様な方法
で抗菌試験を行ない、阻止円の直径を測定し、その結果
を第5表に示した。なお、第5表においても供試菌は全
て略号で記載し、該略号に続く数値は該略号で示される
供試菌に対する阻止円の直径をmm単位で表わしたもので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第3図は、それぞれ実施例1および実施例2
で得られた本発明のシラトラン化合物の赤外吸収スペク
トルを示す。また、第2図は実施例1で得られたシラト
ラン化合物の13C−核磁気共鳴スペクトルを、第4図は
実施例2で得られたシラトラン化合物の1H−核磁気共鳴
スペクトルを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Arは非置
    換あるいは置換のフラン環、チオフェン環、ピロール
    環、チアゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イ
    ミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン
    環、ピラジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
    環、インドール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、
    キナゾリン環、キノキサリン環、カルバゾール環を示
    し、nは1以上の整数を示し、mは0又は1を示す。) で表わされるシラトラン化合物。
  2. 【請求項2】一般式 (式中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Arは非置
    換あるいは置換のフラン環、チオフェン環、ピロール
    環、チアゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イ
    ミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン
    環、ピラジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
    環、インドール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、
    キナゾリン環、キノキサリン環、カルバゾール環を示
    し、nは1以上の整数を示し、mは0又は1を示す。) で表わされるシラトラン化合物を有効成分とする殺菌
    剤。
  3. 【請求項3】一般式 (式中、Rは水素原子又はアルキル基を示し、Arは非置
    換あるいは置換のフラン環、チオフェン環、ピロール
    環、チアゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イ
    ミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン
    環、ピラジン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
    環、インドール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、
    キナゾリン環、キノキサリン環、カルバゾール環を示
    し、nは1以上の整数を示し、mは0又は1を示す。) で表わされるシラトラン化合物を有効成分とする制癌
    剤。
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