JPH0681214A - 水棲生物の付着防止効果を有する繊維および繊維製品 - Google Patents

水棲生物の付着防止効果を有する繊維および繊維製品

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JPH0681214A
JPH0681214A JP4254030A JP25403092A JPH0681214A JP H0681214 A JPH0681214 A JP H0681214A JP 4254030 A JP4254030 A JP 4254030A JP 25403092 A JP25403092 A JP 25403092A JP H0681214 A JPH0681214 A JP H0681214A
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fiber
yarn
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weight
aquatic organisms
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JP4254030A
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Takao Shimizu
隆夫 清水
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】特定の粘度、滑り角度および溶解性パラメ−タ
−を有するポリマ−を0.1〜60重量%、ならびに防
汚剤を0.01〜60重量%含有してなる熱可塑性樹脂
よりなり、接触角が90度以上である繊維。 【効果】魚介類や人体に対する安全性が高く、繊維製品
からの亜含有物の溶出や脱落が少なく耐久性があり、水
棲生物の付着を長期間に亘って防止でき、かつ表面が滑
らかであり、しかも柔軟性に富んでいるので捕獲または
養畜した魚介類の損傷を招くことがなく、撚糸、整経、
整織、整編、整網等の際の加工性が良く、そのうえ使用
時の作業性が極めて良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海水や淡水に長期間接
触して使用された時に、水棲生物の付着が極めて少ない
繊維、およびそれを含む繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中で長期間使用される繊維製
品としては、たとえば漁業用定置網、養畜魚介類用いけ
す網等の水産用繊維製品;航路浮標、灯浮標、ブイ等の
係留に使用されるロ−プ;土木用に使用される汚濁防止
繊維膜等がある。これらの繊維製品は、海水や淡水に長
期間接触するうちに、その表面に種々の水棲生物、たと
えばアオサやケイソウ等の藻類、イソギンチャク等の腔
腸動物、イソカイメン等の海綿動物、ウズマキゴカイ等
の環形動物、コケムシ等の触手動物、フジツボ等の節足
動物、ホヤ等の原索動物、ムラサキイガイ等の軟体動物
が付着し生息する。
【0003】そして、これらの水棲生物の付着によっ
て、たとえば定置網では重量増加に伴う網の沈下、水流
抵抗増大による網の流失、接触・屈曲による網の破損、
捕獲した魚介類の損傷等の問題が生じている。また、い
けす網の場合、重量増大による網の沈下の他に、海水や
淡水の流動性低下による酸素欠乏、種々の水棲生物によ
る養畜魚介類の被害等の大きな障害等をきたすこととな
る。
【0004】海水や淡水に長期間接触して使用される繊
維製品の水棲生物の付着を防止するための対策として、
これまでトリブチルスズオキサイド、トリフェニルスズ
オキサイド、トリフェニルスズアセテ−ト、トリフェニ
ルスズクロライド等の有機スズ化合物で繊維製品を処理
する方法が広く採用されてきた。しかしながら、有機ス
ズ化合物の使用は、繊維製品を処理する際に激しい不快
臭や刺激臭を伴い、作業環境を劣悪にするという問題が
あった。しかも、有機スズ化合物が魚介類の体内に異常
に蓄積されると、魚介類の奇形や死滅等の重大な障害を
招き、人間がそのような魚介類を摂取した場合には人体
に多大な悪影響を及ぼすことが近年明らかにされてい
る。したがって、有機スズ化合物で処理された繊維製品
の使用は自主規制されるようになっており、全面禁止と
なる傾向にある。
【0005】そこで、上記のような大きな弊害を伴う有
機スズ化合物に代わり得る技術の一つとして、水棲生物
に対して付着阻害効果を有する銅、銀、亜鉛、ニッケル
などの金属、それらの化合物、または窒素系、硫黄系、
ハロゲン系等の有機化合物を使用する方法がある。そし
てこれらを繊維製品に付与する手段としてそれらの粉末
を天然樹脂、合成樹脂等からなる塗料に混合し、これを
繊維表面に塗装した後硬化させる方法がある。しかしな
がら、この方法は繊維が硬くなるため、撚糸・整経・製
織・製網等の加工性および使用時の作業性が劣ること、
また表面の粗さが原因で養畜魚介類を損傷すること等の
不都合が生じる。さらに、磨耗等によって比較的短期間
に有効成分および塗膜が脱落し、水棲生物の付着防止効
果が消失してしまう。
【0006】また、付着阻害効果を有する金属類、それ
らの化合物、または有機化合物の粉末を合成繊維の内部
に含有させる方法もあるが、十分な効果を奏する量を含
有させた場合は紡糸性・延伸性等の工程性、繊維の強
度、耐久性において実用に供することのできるものが得
られず、更に繊維の表面層に存する有効成分のみが効果
に寄与するだけであるので、結局は短期間に水棲生物の
付着防止効果が消失してしまう。
【0007】さらには、合成繊維、たとえばポリエステ
ルモノフィラメントにポリシロキサンを含有させる方法
も提案されているが(特開昭60−81312号公
報)、かかる方法では水棲生物の付着防止効果は奏せて
も、その効果が長期間に亘って持続しないという欠点を
有している。
【0008】以上のように、水棲生物の付着防止効果が
高く、永続的で、かつ強度、加工性、作業性等でも実用
に供することのできる繊維は現在まで得られていないの
が実情である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、魚介
類や人体に対する安全性が高く、耐久性があり、水棲生
物の付着を長期間に亘って防止できる繊維、およびそれ
を含む繊維製品を提供することにある。また、本発明の
目的は、繊維製品が粗くなったり硬くならず、捕獲また
は養畜した魚介類の損傷を招かない水棲生物の付着防止
用の繊維およびそれを含む繊維製品を提供することにあ
る。さらに、本発明の目的は、撚糸、整経・製織・製網
等の加工性がよく、使用時に作業性のよい網や綱等の繊
維製品に用いられる繊維、およびそれを含む繊維製品の
提供をも目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明らは上記課題を解
決すべく研究を行った結果、熱可塑性樹脂に特定の条件
を満足するポリマ−を含有する熱可塑性樹脂からなり、
特定の接触角を有する繊維が水棲生物の付着防止効果を
有し、さらにはその効果を長期間に亘り持続することが
できることを見出だし本発明に至った。
【0011】すなわち、本発明は、海洋資材、とくに漁
業用の繊維製品として、下記(I)〜(III)の条件を満
足するポリマ−を0.1〜60重量%、および防汚剤を
0.01〜60重量%含有してなる熱可塑性樹脂よりな
り、繊維表面における水の接触角が90度以上である繊
維を用いることにより、水棲生物の付着を防止すること
を特徴とするものである。 (I)25℃における粘度が1000センチスト−クス
以上 (II)水の滑り角度が12度以下 (III)
【数2】
【0012】本発明におけるポリマ−として有機ポリシ
ロキサンを用いることが好ましく、有機ポリシロキサン
として各種の有機シリコン化合物を用いることが可能で
あるが、熱可塑性樹脂の紡糸温度において揮発しにくい
ものが好適である。とくに150℃で24時間加熱処理
した際の減量率が1%以下のものが好ましい。具体例と
してはジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキ
サン、メチルフェニルポリシロキサン等を単独または2
種以上混合して使用することができる。
【0013】上記ポリマ−の粘度は、25℃で1000
センチスト−クス以上、好ましくは5000センチスト
−クス以上である。粘度が1000センチスト−クス未
満の場合、本発明の効果の持続性が低下してくる。これ
は、例えばポリマ−として有機ポリシロキサンを用いた
場合、その粘度があまり低いと有機ポリシロキサンの繊
維中での移行が起こりやすく、海水または淡水中で繊維
表面に移行した有機ポリシロキサンが繊維より抜け出や
すくなり、繊維中または繊維表面での有機ポリシロキサ
ンの濃度が低下してくるためと推測される。また、有機
ポリシロキサンの粘度が低くなると熱可塑性樹脂との相
分離が進行し、紡糸性、延伸性が著しく低下するのみな
らず、熱可塑性樹脂中の有機ポリシロキサンが繊維製品
を製造する工程で熱履歴を受け、繊維表面へ移行し、繊
維製品の風合が劣る。
【0014】また上記ポリマ−における水の滑り角度は
12度以下であることが必要である。ポリマ−における
水の滑り角度が12度を越えると、該ポリマ−を含有し
てなる熱可塑性樹脂からなる繊維および繊維製品の水棲
生物付着防止効果が極端に低下する。本発明において
は、水の滑り角度が8〜10度の範囲のポリマ−を使用
することが好ましい。さらに、上記のポリマ−の溶解性
パラメ−タ−(以下、SP値と略称する)と基材である
熱可塑性樹脂のSP値との間に下記の関係式が成立する
ことが重要である。
【0015】
【数3】
【0016】ポリマ−のSP値と熱可塑性樹脂のSP値
が上記の関係式を満足しないと、本発明の繊維および繊
維製品の水棲生物付着防止効果が極端に低下する。すな
わち、本発明においては、ポリマ−と基材である熱可塑
性樹脂とが適度に分散していることが必要である。
【0017】有機ポリシロキサンに代表される上記ポリ
マ−(以下、ポリマ−を有機ポリシロキサンに代表させ
て記述する)には熱可塑性樹脂と相溶しにくいため、繊
維の長さ方向に直角な断面(以後単に繊維断面と略す)
では熱可塑性樹脂中に島状態で分散している。本発明に
おいては、後述する防汚剤が有機ポリシロキサンを通路
にして繊維表面へ徐放されるために上記の効果が奏され
ると推量される。したがって、この徐放を円滑に行うた
めには、繊維断面における有機ポリシロキサンの島と島
とを結ぶ連絡路がある程度存していなければならず、そ
のためには該有機ポリシロキサンの添加量は0.1〜6
0重量%が必要である。添加量が0.1重量%未満の場
合、繊維断面の有機ポリシロキサンからなる島と島との
連絡路が極端に少なくなり、繊維表面への防汚剤の徐放
性が著しく減少する。また、添加量が60重量%を越え
ると、溶融紡糸工程でのフィルタ−詰まりや毛羽による
断糸が起こり易くなる。好ましくは1〜50重量%であ
る。とくに、後述するよう上記のポリマ−および防汚剤
を含有してなる熱可塑性樹脂を、熱可塑性樹脂からなる
芯糸に被覆してなる樹脂被覆糸の場合は、該ポリマ−を
10〜60重量%と多量に含有することができる。
【0018】本発明の防汚剤としては、水棲生物の阻害
効果を有する金属、それらの粉末、それらの合金、それ
らの化合物、あるいはかかる効果を有する有機化合物を
挙げることができる。上記の金属として、銅、銀、亜
鉛、錫、ニッケル等を挙げることができる。また金属化
合物としてはこれらの金属の酸化物、ハロゲン化物、硫
化物、および各種塩類等が挙げられ、有機化合物とし
て、たとえば2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ
ニトリル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジ
チオカルバミン酸亜鉛、N−フルオロジクロロメチルチ
オフタルイミド、N,N−ジメチル−N´−フェニル−
N´−フルオロジクロロメチルチオスルフォアミド、ジ
クロロフェニルジメチル尿素、ビス−2−ピリジルチオ
−1−オキシド亜鉛、2,4−チアゾリル−ベンズイミ
ダゾ−ル、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3
−オン、N−(2´,6´−ジエチルフェニル)2,3
−ジクロロマレイミド、4−クロロフェニル−3−ヨ−
ドプロパギルホルマ−ル、ジヨ−ドメチル−p−トリス
ルホン等が挙げられる。これらの金属、金属化合物、ま
たは有機化合物は単独でもしくは2種以上を適宜組み合
わせて用いることができる。なかでも金属、金属化合
物、有機ハロゲン系化合物、有機窒素硫黄系化合物また
はこれらの組み合わせが生物全般(動物、植物、微生物
等)を除去できることから好ましい。防汚剤として金属
またはそれらの合金、それらの化合物を使用する場合は
その平均粒径が5μ以下、特に1μ以下であることが、
溶融紡糸時のフィルタ−詰まりや毛羽・断糸を起こしに
くいので好ましい。
【0019】防汚剤の繊維への添加量は0.01〜60
重量%、好ましくは0.1〜50重量%、特に1〜30
重量%である。極微量の防汚剤が繊維中に含有されてい
るだけで水棲生物の付着防止効果を奏するが、実用上必
要な数か月以上の水棲生物の付着防止効果を維持させる
ためには0.1重量%以上の添加が必要である。また防
汚剤の繊維への添加量が60重量%を越えると溶融紡糸
時にフィルタ−詰まりや毛羽断糸を起こし易く、得られ
た繊維も硬くなって製網、製綱がしにくくなる。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂としてはポリエチレ
ンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト等のポ
リエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12
等のポリアミド;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン;ポリウレタン;ポリアクリレ−ト;ポリ
塩化ビニル,ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、テ
トラクロロエチレン等の弗素化合物;ポリビニルアルコ
−ル;エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体などの繊維
形成性樹脂が挙げられ、これらは単独でも2種以上の混
合物、共重合体であってもよい。またこれらの樹脂に
は、蛍光増白剤、導電性改良剤、紫外線吸収剤等の改質
剤、着色顔料、安定剤、難燃剤等の添加剤が含有されて
いてもよい。
【0021】本発明の繊維の断面形状はどのようなもの
であってもよく、円形または異形の形状とすることがで
きる。異形断面の場合は、たとえば偏平形、楕円形、三
角形〜八角形等の角形、T字形、3〜8葉形等の多葉形
等の任意の形状とすることができる。
【0022】また、本発明の繊維は有機ポリシロキサン
および防汚剤が添加されている熱可塑性樹脂を含む2種
類以上の熱可塑性樹脂が複合された形態を有していても
よい。複合繊維の形態は芯鞘型、海島型、貼合型、それ
らの混在型等の任意の形態にすることができる。芯鞘型
の場合は2層芯鞘型および3層以上の多層芯鞘型のいず
れでもよい。海島型の場合は島の形状、数、分散状態を
任意に選ぶことができる。貼合型の場合は繊維の断面に
おいて貼合面が直線状、円弧状、その他任意のランダム
な曲線状のいずれの状態になっていてもよく、複数の貼
合部分が互いに平行になっていても、放射線状になって
いても、その他任意の形状であってもよい。 そして、
そのような複合繊維においては有機ポリシロキサンおよ
び防汚剤が添加されている熱可塑性樹脂が繊維断面の2
0%以上の面積を有していることが好ましく、特に有機
ポリシロキサンおよび防汚剤が添加されている熱可塑性
樹脂の一部が繊維表面の一部または全部に露出している
ことが、水棲生物の付着防止効果の点で好ましい。
【0023】さらに、本発明の繊維形状はフィラメント
等の長繊維;ステ−プル等の短繊維;フィラメント糸;
紡績糸;本発明の繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合
成繊維との混繊糸や混紡糸;合撚糸;天然繊維、合成繊
維、再生繊維、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等から
なる紡績糸、フィラメント糸等を芯糸として用い、この
芯糸の周囲に本発明の繊維からなる紡績糸またはフィラ
メント糸をコイル状に巻き付けたコアヤ−ン、もしくは
溶融押出被覆法によって有機ポリシロキサンおよび防汚
剤が添加されている熱可塑性樹脂を被覆したカバ−ヤ−
ンなどのいずれでもよい。本発明の繊維は仮撚捲縮加
工、交絡処理等の任意の処理を施してあってもよい。ま
た本発明の繊維製品はそれらの繊維や糸からなる編織
物、不織布、最終的な魚網、ロ−プ、紐等の繊維製品の
いずれでもよい。
【0024】次に、本発明の繊維の製造方法について一
例を挙げて説明する。熱可塑性樹脂がポリエチレンテレ
フタレ−ト等のポリエステルの場合、有機ポリシロキサ
ンおよび防汚剤をポリエステルの重合完了から紡糸直前
までの間に任意に添加して混練した後、ノズル孔から押
し出して繊維化する方法が、樹脂の粘度低下、副反応、
可塑剤の分解等の問題が生じない点で好ましい。
【0025】ポリエステルの重合完了後、一旦ペレット
の形状に成形する工程を得る場合は、重量完了後に有機
ポリシロキサンおよび防汚剤を添加し、混練撹拌後ペレ
ット化してもよいが、樹脂の粘度低下、均一分散の困難
さ、重合釜の汚染等の点で、紡糸時、すなわち該ペレッ
トを再溶融した樹脂溶融流体中に有機ポリシロキサンお
よび防汚剤を添加し、その後スタチックミキサ−によっ
て混練して紡糸ノズル孔から押し出し繊維化する方が好
ましい。ポリエステルの重合前に有機ポリシロキサンお
よび防汚剤を各単量体と共に添加すると副反応等の問題
が生じるので好ましくない。
【0026】ポリエステルの重合完了後ペレット化する
工程を経ず、連続的に溶融樹脂を紡糸ノズルへ供給して
吐出させるような連続プロセスにおいては、重合完了か
ら紡糸直前までの任意の段階で、溶融樹脂中へ有機ポリ
シロキサンおよび防汚剤を添加し、次いでスタチックミ
キサ−で混練した後紡糸ノズル孔から吐出させるのが好
ましい。
【0027】熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用い
た場合、二軸混練押出機で有機ポリシロキサンおよび防
汚剤をポリオレフィンとともに均一に混練してペレット
化し、そのペレットを用いて紡糸して繊維化することが
できる。
【0028】このようにして得られた繊維は、繊維表面
における水の接触角が90度以上であるにもかかわら
ず、その表面に水棲生物の付着防止効果を有し、さらに
防汚剤を含有しているためにその効果を長期間に亘り持
続させることができるのである。また、繊維自体も強
度、耐久性、柔軟性を有しており、加工性にも極めて優
れている。
【0029】本発明の繊維、糸、繊維製品は海水や淡水
に長期間接触して使用される漁業用定置網、養畜魚介類
用生簀、海水や淡水の濾過フィルタ−等の水産用繊維製
品;航路浮標、灯浮標、ブイ等の係留に使用されるロ−
プ;土木用に使用される汚濁防止繊維膜等を構成する原
料繊維あるいは原料繊維製品として有効に使用すること
ができる。
【0030】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるもので
はない。実施例における有機ポリシロキサンの各物性、
ポリエステルの極限粘度および繊維の接触角は下記の方
法にて測定した。 (1)有機ポリシロキサンの粘度(センチスト−クス:
cs) 所定温度における動的粘度を、ウベロ−デ粘度計により
測定した極限粘度([η]:dl/g)を密度(ρ:g
/cm↑3)で除して算出した。 動的粘度ν(センチスト−クス)=[η]/ρ (2)有機ポリシロキサンにおける水の滑り角度(度) 擦りガラス板にワイヤ−直径0.64mmのロッドコ−
タ−を用いて有機ポリシロキサンを均一に塗布して、そ
の塗膜の上に0.2mlの蒸留水を滴下し、25℃、7
5%RHの恒温、恒湿中で滑り角度測定装置を用いて水
滴の滑り出す角度を測定した。 (3)有機ポリシロキサンのSP値 P.A.J.Small,J.Appl.Chem.,
3,71,(1953)に記載された方法によって求め
た。 (4)ポリエステルの極限粘度(dl/g) フェノ−ルとテトラクロルエタンとの等溶混合溶媒を用
い、30℃の恒温槽中でウベロ−デ粘度計により測定し
た。 (5)繊維表面における水の接触角(度) 原料樹脂をフィルム化し、その表面上に0.2mlの蒸
留水を滴下し、25℃、75%RHの恒温、恒湿中で傾
板法により水の接触角を測定した。
【0031】また実施例、比較例における水棲生物の付
着状況は以下の基準により目視で評価した。撚糸を4月
から翌年の10月までの18ケ月間、瀬戸内海の水深1
〜2mの位置に浸漬して海棲生物の付着状況を調べた。 段階 状 況 1 : 撚糸の表面積全体が付着生物に覆われている。 2 : 撚糸の表面積の約8割が付着生物に覆われている。 3 : 撚糸の表面積の約4割が付着生物に覆われている。 4 : 撚糸の表面積の約2割が付着生物に覆われている。 5 : 生物の付着が全く観察されない。
【0032】実施例1 TiO↓2が0.45重量%添加された[η]=0.6
5のポリエチレンテレフタレ−ト(以下PETと略す:
SP値=8.2)を30Φ押出機にて押し出し、該PE
Tの溶融樹脂ラインに、25℃における粘度が1000
00スト−クス、滑り角度が8.3度およびSP値が
7.4のジメチルポリシロキサンと平均粒径0.3μの
金属銅微粉末をそれぞれ7重量%、3重量%になるよう
に添加し(これらの混合物は予め120℃で絶乾および
脱泡しておく)、次いで42エレメントスタチックミキ
サ−(ケ−ニクス社製)で混練して、口金温度295
℃、引取り速度1000m/分で丸孔ノズルより押し出
した。該紡糸原糸をロ−ラ−プレ−ト方式を用い、温度
79℃のホットロ−ラ−および温度150℃のホットプ
レ−トで3.5倍に延伸し、75デニ−ル/36フィラ
メントのマルチフィラメントを得た。このフィラメント
の接触角は101度であった。次いで直径6.7mmの
綱状となるように撚糸にし、得られた撚糸の硬さ(剛直
性)を調べ、この撚糸を用いて直径5cmのロ−プを作
製し、作製のし易さを調べた。結果を表1に示す。また
海棲生物の付着状況を観察し結果を表1に示す。
【0033】比較例1 金属銅微粉末を添加しなかった以外は実施例1と全く同
様にして、紡糸、延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸
糸の接触角は101度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの
作製のし易さおよび海棲生物の付着状況を表1に示す。
【0034】比較例2 ジメチルポリシロキサンを添加しなかった以外は実施例
1と全く同様にして、紡糸、延伸、撚糸およびロ−プ化
した。延伸糸の接触角は86度であった。撚糸の硬さ、
ロ−プの作製のし易さおよび海棲生物の付着状況を表1
に示す。
【0035】比較例3 25℃での粘度が500センチスト−クス、滑り角度が
8.3度およびSP値が7.2のジメチルポリシロキサ
ンを使用した以外は実施例1と全く同様にして、紡糸、
延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸の接触角は10
0度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作製のし易さおよ
び海棲生物の付着状況を表1に示す。
【0036】比較例4 ジメチルポリシロキサンおよび金属銅微粉末を含まない
PETを用いて実施例1と全く同様にして、紡糸、延
伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸の接触角は16.
2度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作製のし易さおよ
び海棲生物の付着状況を表1に示す。
【0037】実施例2 PETに代えてナイロン6(1013B:宇部興産
(株)製:SP値=7.6)を用いる以外は実施例1と
同様にして、口金温度295℃、引取り速度1000m
/分で丸孔ノズルより押し出して得られた紡糸原糸をロ
−ラ−プレ−ト方式を用い、温度79℃のホットロ−ラ
−および温度150℃のホットプレ−トで3.5倍に延
伸し、75デニ−ル/36フィラメントのマルチフィラ
メントを得た。このフィラメントの接触角は98度であ
った。次いで直径6.7mmの綱1状となるように撚糸
にし、得られた撚糸の硬さ(剛直性)を調べ、この撚糸
を用いて直径5cmのロ−プを作製し、作成のし易さを
調べた。結果を表1に示す。また海棲生物の付着状況を
観察し結果を表1に示す。
【0038】実施例3 25℃の粘度が100000センチスト−クス、滑り角
度が8.3度およびSP値が7.4のジメチルポリシロ
キサンを20重量%、2,4,5,6−テトラクロロイ
ソフタロニトリル(ノプコサイドN−96、サンノプコ
社製)を20重量%含有させた低密度ポリエチレン(ス
ミカセンG804:住友化学工業(株)製)を、10回
/mの片撚糸であって1000デニ−ル/192フィラ
メントのポリエステルフィラメント100重量部に対し
て150重量部被覆した。被覆糸の接触角は102度で
あった。次いでこれを直径6.7mmの綱状となるよう
に撚糸した。得られた撚糸の硬さ(剛直性)を調べ、こ
の撚糸を用いて直径5cmのロ−プを作製し、作成のし
易さを調べた。結果を表2に示す。また海棲生物の付着
状況を観察し結果を表2に示す。
【0039】比較例5 2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルを添
加しなかった以外は実施例3と全く同様にして、紡糸、
延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸の接触角は10
5度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作製のし易さおよ
び海棲生物の付着状況を表2に示す。
【0040】比較例6 ジメチルポリシロキサンを添加しなかった以外は実施例
3と全く同様にして、紡糸、延伸、撚糸およびロ−プ化
した。延伸糸の接触角は85度であった。撚糸の硬さ、
ロ−プの作製のし易さおよび海棲生物の付着状況を表2
に示す。
【0041】比較例7 25℃での粘度が500センチスト−クス、滑り角度が
8.3度およびSP値が7.2のジメチルポリシロキサ
ンを使用した以外は実施例3と全く同様にして、紡糸、
延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸の接触角は99
度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作製のし易さおよび
海棲生物の付着状況を表2に示す。
【0042】比較例8 ジメチルポリシロキサンおよび2,4,5,6−テトラ
クロロイソフタロニトリルを含まない低密度ポリエチレ
ンを被覆樹脂とした以外は実施例3と全く同様にして、
紡糸、延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸の接触角
は100度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作製のし易
さおよび海棲生物の付着状況を表2に示す。
【0043】実施例4 2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルの代
わりに2,4−チアゾリル−ベンズイミダゾ−ル(TB
Z:神東塗料社製)を用いる以外は実施例3と全く同様
にして、紡糸、延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸
の接触角は101度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作
製のし易さおよび海棲生物の付着状況を表2に示す。
【0044】比較例9 ジメチルポリシロキサンを添加しなかった以外は実施例
4と全く同様にして、紡糸、延伸、撚糸およびロ−プ化
した。延伸糸の接触角は86度であった。撚糸の硬さ、
ロ−プの作製のし易さおよび海棲生物の付着状況を表2
に示す。
【0045】比較例10 25℃での粘度が500センチスト−クス、滑り角度が
8.3度およびSP値が7.2のジメチルポリシロキサ
ンを使用した以外は実施例4と全く同様にして、紡糸、
延伸、撚糸およびロ−プ化した。延伸糸の接触角は10
0度であった。撚糸の硬さ、ロ−プの作製のし易さおよ
び海棲生物の付着状況を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1および表2の結果から、本発明の繊維
からなる撚糸は18ケ月経過後も海棲生物の付着が全く
ないか、または極端に少なく、長期間海水中で使用する
ことができ得る。これに対し、防汚剤のみ、または本発
明の範囲外の物性を有する有機ポリシロキサンを使用し
た場合は、水棲生物の付着防止効果が不十分であり、長
期間に亘り使用できないことがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の繊維、糸、および繊維製品は、
魚介類や人体に対する安全性が高く、繊維製品からの含
有物の溶出や脱落が少なく耐久性があり、水棲生物の付
着を長期間に亘って防止できる。また本発明の繊維、
糸、および繊維製品は表面が滑らかであり、しかも柔軟
性に富んでいるので、捕獲または養畜した魚介類の損傷
を招くことがなく、撚糸、整経、製織、製編、製綱等の
際の加工性がよく、そのうえ、使用時の作業性が極めて
良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02G 3/44 D07B 1/02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(I)〜(III)の条件を満足するポリ
    マ−を0.1〜60重量%、および防汚剤を0.01〜
    60重量%含有してなる熱可塑性樹脂よりなり、繊維表
    面における水の接触角が90度以上である繊維。 (I)25℃における粘度が1000センチスト−クス
    以上 (II)水の滑り角度が12度以下 (III) 【数1】
  2. 【請求項2】請求項1記載の繊維を含む繊維製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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