JPH08134779A - 安全性、水棲生物付着防止効果を有する繊維 - Google Patents

安全性、水棲生物付着防止効果を有する繊維

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JPH08134779A
JPH08134779A JP27795594A JP27795594A JPH08134779A JP H08134779 A JPH08134779 A JP H08134779A JP 27795594 A JP27795594 A JP 27795594A JP 27795594 A JP27795594 A JP 27795594A JP H08134779 A JPH08134779 A JP H08134779A
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water
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Masahiko Nanjo
正彦 南條
Takao Shimizu
隆夫 清水
Yoshinuki Maeda
佳貫 前田
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚介類や人体に対する安全性が高く、耐久性
があり、水棲生物の付着を長期に亘って防止できる繊
維、および繊維製品を提供する。 【構成】 防汚剤が配合された繊維の表面が水溶性ポリ
マーで覆われていることを特徴とする水棲生物付着防止
効果を有する繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海水や淡水に長期間接
触して使用されたときに、水棲生物の付着が極めて少な
い繊維、およびそれから製造された繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中で長期間使用される繊維製
品としては、例えば漁業用定置網、養畜魚介類用いけす
網等の水産用繊維製品;航路浮標、灯浮標、ブイ等の係
留に使用されるロ−プ;土木用に使用される汚濁防止繊
維膜等がある。これらの繊維製品は、海水や淡水に長期
間接触するうちに、その表面に種々の付着性水棲生物、
たとえばアオサやケイソウ等の藻類、イソギンチャクや
ヒドロ虫等の腔腸動物、イソカイメン等の海綿動物、ウ
ズマキゴカイ等の環形動物、コケムシ等の触手動物、フ
ジツボ等の節足動物、ホヤ等の原索動物、ムラサキイガ
イ等の軟体動物が付着し、生息する。
【0003】そして、水棲生物の付着によって、例えば
定置網では重量増加に伴う網の沈下水流抵抗増大による
網の流失、接触・屈曲による網の破損、捕獲した魚介類
の損傷等の問題が生じている。また、いけす網の場合
も、重量増大による網の沈下の他に、海水や淡水の流動
性低下による酸素欠乏、種々の付着性水棲生物による養
畜魚介類の被害等の大きな障害をきたすことがある。
【0004】海水や淡水に長期間接触して使用される繊
維製品における上記のような水棲生物の付着を防止する
ための対策として、これまでトリブチルスズオキサイ
ド、トリフェニルスズオキサイド、トリフェニルスズア
セテ−ト、トリフェニルスズクロライド等の有機スズ化
合物で上記の繊維製品を処理する方法が広く使用されて
きた。しかしながら、有機スズ化合物の使用は、それを
用いて繊維製品を処理する際に激しい不快臭や刺激臭を
伴い作業環境を劣悪にするという問題があった。しか
も、有機スズ化合物が魚介類の体内に異常に蓄積される
と、魚介類の奇形や死滅等の重大な障害を招き、そして
人間がそのような魚介類を摂取した場合には人体に多大
な悪影響を及ぼすことが近年明らかにされている。従っ
て、有機スズ化合物で処理された繊維製品の使用は自主
規制されるようになっており、全面禁止となる傾向にあ
る。近年、有機スズを含有しない防汚剤が開発、市販さ
れてきているが、魚体蓄積性は回避できても、それを用
いて繊維製品を処理する際に防汚剤自体や有機溶媒に起
因する激しい不快臭や刺激臭を伴うため作業環境が劣悪
であり、作業者の健康を阻害するという問題が有ること
は変わらない。しかも後加工による防汚効果が持続する
のは、以前3カ月と言われたものが近年の海洋汚染によ
り1〜2カ月しか持たなくなっているのが現状である。
また、防汚剤の再処理のためには網に付着した水凄生物
を除去しなければならず、漁業従事者の労力を多大なも
のにしており、防汚効果が長期間持続し再処理の手間が
不要な製品が強く要望されている。
【0005】そこで、防汚剤による後加工に代わり得る
技術の一つとして、付着生物に対し付着阻害効果を有す
る銅、亜鉛、銀、ニッケルなどの金属粉を繊維内部に含
有させる方法が試みられている。しかし実用レベルで防
汚効果が認められるのは銅化合物のみであり、銅は海水
中への溶出速度が速すぎる欠点を有し、防汚効果が持続
するのはせいぜい3カ月〜半年間である。また、有機化
合物や銅化合物等の防汚剤を含有しない、いわゆる無公
害型防汚塗料として、表面の撥水性を利用したシリコー
ン系の防汚塗料がある。これはシリコーンオイルと流動
パラフィンの混合物でできた液状の層を形成させて生物
付着を防止するものである。これは、ある程度の防汚効
果が認められるものの、水棲生物の種類によっては全く
効果が無いものがあり、防汚効果が不十分である。
【0006】水棲生物の種類を問わず防汚効果を長期に
わたり持続させるには、防汚剤をある程度使用する必要
があり、しかも数年間の長期間に渡り防汚効果を持続さ
せるためには防汚剤を多量に繊維内部へ含有させる必要
がある。そのためどうしても防汚剤の種類を問わず繊維
強度が弱くなってしまう問題がある。この問題を解決す
るために、繊維の構造を芯鞘構造とし、鞘部だけに防汚
剤を配合して繊維強度を上げることが考えられるが、鞘
部の強度は低下するため、製網工程における過大張力に
より繊維表面が擦過され繊維粉と一緒に防汚剤が飛散し
作業場周辺を汚染したり、除放剤と一緒に防汚剤が繊維
表面に大量にブリードアウトし、繊維を取扱う作業者の
皮膚に防汚剤が付着して不快感を与えたり皮膚障害を生
じるおそれがあるまた、現在最も一般的に行われている
防汚剤の網への後加工においても、防汚処理工程におけ
る作業環境問題に加え、防汚処理した網を漁業従事者が
網を取り扱うことにより皮膚に防汚剤が付着することに
変わりない。
【0007】以上のように、金属あるいはその化合物、
および有機化合物を用いたもので水棲生物付着防止効果
が高く、永続的で、且つ強度、加工性、作業者の安全性
等で実用に供することができる繊維は現在まで得られて
いなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、魚介
類や人体に対する安全性が高く、耐久性があり、水棲生
物の付着を長期に亘って防止できる繊維、および繊維製
品を提供することにある。特に魚介類や人体に対する無
蓄積性という狭い範囲の安全性に止まらず、製網作業
者、魚業従事者が快適に作業できる水棲生物付着防止用
の繊維および繊維製品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、防汚剤が配合された繊維の表面が水溶性ポリマ
ーで覆われていることからなる水棲生物付着防止繊維を
提供することによって達成される。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の特長は防汚剤が配合された繊維の表面全体が水溶
性ポリマーで覆われていることにある。水溶性ポリマー
の目的は巻返し、撚糸、製網工程等での過大張力から繊
維を保護し、擦過での防汚剤の飛散による作業環境汚染
や、繊維表面に溶出してきた防汚剤が製網作業者や漁業
従事者の皮膚に直接触れるのを防止すると共に、繊維が
水中に浸漬されたなら速やかに溶解除去され、防汚効果
の妨げにならないことである。防汚剤の飛散による作業
環境汚染や作業者の皮膚への付着による皮膚障害は、防
汚剤の種類に関係なく程度の差はあっても少なからず生
じる問題である。すなわち、有効な防汚効果を持ち、し
かも作業者に全く無害である防汚剤は現在のところ存在
せず(人畜無害な防汚剤は防汚効果が不十分である)、
よって本発明は本発明実施例に使用される防汚剤に限ら
ず、すべての防汚剤から作業者の安全を確保するために
有効な手段であるといえる。
【0011】本発明で用いられる防汚剤としては海洋汚
染や魚体への悪影響のない非有機錫化合物系のものであ
ればよく、公知の剤すべてが使用できる。たとえば、メ
チレンビスチオシアネ−ト、マンガニ−ズエチレンジチ
オカルバメ−ト、エチレンビスジチオカルバミン酸亜
鉛、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメ
チルチウラムジスルフィド、2,3,5,6−テトラク
ロロ−4−(メチルスルホン)ピリジン、N−(フルオ
ロジクロロメチルチオ)フタルイミド、2−n−オクチ
ル−4−イソチアゾリン−3−オン等を挙げることがで
きる。該防汚剤の添加量は、少なすぎる場合は効果の低
下が生じ、また多すぎると製糸性の点で困難となるの
で、防汚剤の種類にもよるが、繊維に対して1〜20重
量%、特に5〜15重量%の範囲であることが好まし
い。また、本発明においては、かかる防汚剤の効果をよ
り一層向上させるために徐放剤を添加することができ
る。徐放剤として有機ポリシロキサン、流動パラフィン
等の液状飽和炭化水素などを挙げることができる。
【0012】本発明の繊維は、防汚剤および徐放剤を繊
維形成性ポリマーに配合して糸条化することによって得
ることができる。本発明で言う糸条とは溶融紡糸、湿式
紡糸、乾式紡糸等一般的な紡糸方法すべてによって製造
される糸条を示す。たとえば、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系
繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊
維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコー
ル系繊維、レーヨン等の再生繊維、アラミド系繊維、全
芳香族ポリエステル系繊維等の他、綿、羊毛等の天然繊
維からなる糸条を挙げることができる。本発明は、これ
らの糸条を加工した製品であるロープ、網、織編物、シ
ートを含むものである。
【0013】本発明に使用される水溶性ポリマーは溶解
速度がフイルム(厚さ約40μ)において25℃の人工
海水中で24時間以内に溶解、分離する速度を有し、繊
維全体に対する付着量が0.5重量%以上である。フイ
ルム(厚さ約40μ)が25℃の人工海水中で24時間
以内に溶解、分離する速度を持たないと、網を海水中に
浸漬したとき被膜が溶解除去されずに防汚効果の妨げと
なる。また付着量は0.5%以上必要であり、望ましく
は2〜7%である。付着量0.5%未満だと繊維表面を
完全に覆うことができず、あまり付着量が多くなると被
膜が溶解除去しにくくなり、防汚効果が不良となる。か
かる水溶性ポリマ−の被膜は直接繊維に付着させてもよ
く、またロ−プ、網、織編物、シ−ト等の繊維製品にし
た後に付着させてもよい。
【0014】本発明に用いられる水溶性ポリマーは、1
2000デニールに引揃えた糸条をスプリングテンサー
を通して100m/分の速度で走行させたとき、糸条張
力2Kgの張力において剥離しないだけの被膜接着性、
被膜強度を有することが好ましい。現在の魚網の主流で
ある無結節網製造工程において、最も糸条に負担がかか
るのは鉄砲巻き工程であり、鉄砲巻きの張力は糸条の種
類・糸条の太さにより異なる(太い糸条ほど巻き崩れを
防止するために巻き張力を高めにする必要がある)が、
一般的に12000デニールの糸条において2Kg以上
の張力で鉄砲巻きがなされるため、この条件において被
膜が剥離しないことが好ましい。張力範囲をデニール当
りで規定できないのは、太い糸条ほどデニール当たりの
鉄砲巻き張力が高めになること、および太さの異なる糸
条ではデニール当りの張力が同一でも、外力は糸条に均
一には懸からないため、被膜の耐久性を評価するときの
張力を単純にデニール当りの張力で論じる訳にはいかな
いためである。また、本発明に用いられる水溶性ポリマ
ーは12000デニールに引揃えた糸条に200T/M
の張り撚を与えて、剥離しないだけの被膜の柔軟性を有
することが好ましい。無結節網の製網工程においては1
2000デニールの糸条に対して下撚が200T/M程
度掛けられ、被膜の柔軟性が乏しいと糸条の撚による変
形に被膜が耐えられず剥離してしまうからである。さら
に、本発明に用いられる水溶性ポリマーはボビン巻きや
鉄砲巻きされた糸条同士が粘着して接着しないように耐
粘着性(ハリツキ防止)も要求される。一般的に、水溶
性ポリマーは空気中の水分を吸収する性質があり、製網
工場には温湿度調整設備がほとんど無いため、該水溶性
ポリマ−を温湿度の高い場所に放置すると被膜が柔らか
くなり粘着しやすくなる。糸条が粘着すると糸条が解舒
される際に被膜が剥離してしまい実用に供せなくなる。
このように本発明に用いられる水溶性ポリマーが糸条表
面の保護膜として機能するためには、被膜接着性、被膜
耐久性、被膜柔軟性、被膜の耐粘着性が要求される。
【0015】本発明に用いられる水溶性ポリマーとして
は海水への溶解性、被膜接着性、被膜耐久性、被膜柔軟
性、被膜の耐粘着性の条件を満たせば特に限定するもの
ではない。たとえば、ポリビニルアルコ−ル系、アクリ
ル系、水溶性ポリエステル系糊剤等の市販のタテ糸用糊
剤を用いることができる。このなかでポリビニルアルコ
−ル系糊剤は被膜の耐粘着性は良好であるが疎水性繊維
との接着性が悪いこと、被膜が硬く柔軟性が乏しいため
に、アクリル系、水溶性ポリエステル系糊剤がとくに望
ましい。ただしアクリル系、水溶性ポリエステル系糊剤
ならどれでも良いわけではなく、たとえばアクリル系糊
剤ではウオータージェットルーム(WJL)用糊剤は常
温の水、塩水に不溶のため、防汚効果の妨げとなり好ま
しくなく、吸湿性の大きい種類のアクリル系糊剤も耐粘
着性が劣るため好ましくない。また、水溶性ポリエステ
ル系糊剤も糊剤メーカー、銘柄によりその性質は大きく
異なっており、被膜の硬さ一つとっても硬いものから柔
軟なものまで種々市販されているので、上述の条件を満
たすような水溶性ポリエステル系糊剤を選択して用いる
ことが望ましい。特に望ましい市販のアクリル系糊剤の
例として、アクリル酸エステル系共重合体のプラスサイ
ズT−780(互応化学株式会社)、水溶性ポリエステ
ル系糊剤の例として、スルホン化ポリエステルのマーポ
ゾールTI(松本油脂製薬株式会社)を挙げることがで
きる。水溶性ポリマーのみの被膜より、助剤として界面
活性剤、平滑剤等を添加したり、アフターワキシング
剤、アフターオイル等を併用した被膜のほうが繊維との
接着性を良好にしたり、耐粘着性を向上させて糸条同士
が接着することを防止する効果を奏したり、被膜表面の
摩擦係数を小さくして被膜が剥がれ難くなる効果を奏す
るので好ましい。
【0016】本発明の繊維は防汚剤、徐放剤が配合され
た繊維形成性ポリマーを糸条化したものに水溶性ポリマ
ーを被覆させたものであるが、ロープ、網、織編物、シ
ート等の製品に防汚剤を後加工した場合でも水溶性ポリ
マーで保護膜を形成させることにより、防汚剤が作業者
の皮膚と直接触れないため、防汚剤に起因する皮膚障害
を防止するのに有効である。
【0017】次に、本発明の繊維の製造方法について説
明する。本発明の場合、いわゆる二軸混練押出機を用
い、防汚剤、徐放剤を繊維形成性ポリマ−と均一に混練
してペレット化し、そのペレットを用いて紡糸・繊維化
してもよいが、二軸混練押出機に紡糸ヘッドを取付け、
直接紡糸するほうが防汚剤の熱劣化を最小限に押さえる
ことができるので、より好ましい。
【0018】更に、溶融押出法によって樹脂被覆糸とし
て繊維化する場合、芯糸としては、紡績糸、フィラメン
ト糸等形態を問わず、更にこれらよりなる合撚糸等も目
的に応じて用いることができる。芯糸の素材は天然繊
維、合成繊維、再生繊維など特に限定するものではない
が、耐熱性、強力などの物性面から特に合成繊維よりな
るものが望ましい。なかんずく糸の融点あるいは分解温
度の高いものほど樹脂の被覆選択範囲が広がるために望
ましい。
【0019】防汚剤が添加される鞘成分の繊維形成ポリ
マ−としては、防汚剤の紡糸での熱劣化を最小限にする
ために、融点160℃以下のポリマーが望ましく、たと
えばポリヘキサメチレンテレフタレート、イソフタル酸
変性ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト、イソフタル酸
変性ポリエチレンテレフタレ−ト、イソフタル酸変性ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレン等が挙げられ
る。
【0020】上述の場合における芯/鞘重量比率は1/
3〜3/1が好ましく、約1/1が繊維の強度および防
汚効果の点で最も好ましい。芯/鞘重量比が1/3より
小さいと繊維の強度が低く、3/1より大きいと防汚効
果の持続性が小さくなると共に溶融押出法による樹脂被
覆糸の紡糸が困難になり、好ましくない。
【0021】このようにして得られた繊維の表面に水溶
性ポリマ−を特定量被膜することにより本発明の繊維は
得られる。水溶性ポリマ−の被膜方法はとくに限定はな
く、通常の被膜方法を採用することができる。
【0022】こうして得られた繊維はその表面に保護被
膜を持つため、製網工程の過酷な張力のために防汚剤が
繊維表面に過剰に析出したり飛散することを防止し、防
汚剤に触れることなく製網や漁業に作業者が安心して従
事できるものである。そしていったん水中に浸漬された
ら速やかに溶解除去されるため、防汚効果を妨げること
がない。
【0023】本発明の繊維は、そのまま、また、必要に
応じて他の繊維と混繊、混紡、撚合したのち、糸、ロ−
プ、紐、網、編織物、不織布等の繊維製品とすることが
できる。本発明の繊維および繊維製品は、海水や淡水に
長期間接触して使用される漁業用定置網、養畜魚介類用
生簀網、海水や淡水の濾過フィルタ−等の水産用繊維製
品;航路浮標、灯浮標、ブイ等の係留に使用されるロ−
プ;土木用に使用される汚濁防止繊維膜等を構成する原
料繊維あるいは原料繊維製品として有効に使用すること
ができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例により何等限定されるもの
ではない。なお防汚効果および、水溶性ポリマーの溶解
速度、被膜接着性・強度、被膜柔軟性、耐粘着性、安全
性の確認は次の方法により判定した。懸垂試験 糸条を合糸して約12000デニールとし、これを諸撚
(下撚S200T/M、上撚Z100T/M)にして約
24000デニールの諸撚糸を得た。これを用いて1目
5cmのかえるまた網を作成し、40cm×80cmの
銅管製枠に取付け、瀬戸内海地区の海中に水深1〜2m
の位置で懸垂し、1、3、6、12、24カ月後に引上
げ、生物の付着状況を観察し、次の5段階で評価した。 5・・・・生物の付着が何ら観察されない 4・・・・撚糸の表面積の約2割に生物が付着してい
る。 3・・・・撚糸の表面積の約4割に生物が付着してい
る。 2・・・・撚糸の表面積の約8割が付着生物に覆われて
いる。 1・・・・撚糸の表面積の約10割が付着生物に覆われ
ている。水溶性ポリマーの溶解速度 液状のものはそのまま、固形物はビーカーに水9に対し
て1の割合で加え、昇温しながら撹拌溶解させた後室温
まで冷却する。次に平滑なガラス板の上に乾燥後の厚み
が約40μになるよう水溶液を均一に広げて風乾した後
フイルムを採取する。そしてフイルムをビーカーに入れ
た25℃の人工海水の上に静かに置き、溶解(被膜の形
をなさなくなる)までの時間を測定した。人工海水の組
成は次の通りとする。 NaCl 27.213 g/l MgCl2 3.807 g/l MgSO4 1.658 g/l CaSO4 1.260 g/l K2 SO4 0.863 g/l CaCO3 0.123 g/l MgBr2 0.076 g/l 計 35.000 g/l被膜耐久性試験(被膜の剥離程度評価) 被膜を付与した糸条を12000デニールに収束して1
5T/Mの撚を掛けたものをスプリングテンサーを通し
て150m/分の速さで2.5Kgの張力を掛けて巻取
り、糸条表面を実体顕微鏡で観察して被膜の剥離程度を
次のように判定した。 ◎・・・被膜が全く剥離していない ○・・・被膜が90%以上残っている △・・・被膜が半分近く残っている ×・・・被膜が90%以上剥離している安全性の確認試験 パネラー5名(A、B、C、D、E)が懸垂試験魚網を
素手で触って皮膚への刺激性を評価し、次のように判定
した。 ○・・・皮膚刺激性が全く無い △・・・わずかに皮膚刺激性有り ×・・・強い皮膚刺激性有り
【0025】実施例1〜6 一般の2軸混練機直結カバーヤーン紡糸機において、芯
糸として1000d−192f、S80T/Mのポリエ
チレンテレフタレ−ト延伸糸(クラレ製、クラフテル)
を用い、ホッパーから[η]=1.0dl/g(フェノ
−ル/テトラクロロエタン等重量比、30℃で測定)の
イソフタル酸10モル%変性したポリヘキサメチレンテ
レフタレート(融点139℃)チップを供給し、保温ジ
ャケットに防汚剤としてデンシルS100;2,3,
5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリ
ジン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オ
ン、プレベント−ルA;3(N−フルオロジクロロメチ
ルチオ)フタルイミドの3種類を選び、徐放剤として、
38℃での粘度が76センチスト−クスの流動パラフィ
ン、25℃での粘度が900センチスト−クスのアルキ
ル変性ポリシロキサン(ト−レシリコン:SF841
6)を用い、配合比率が表1の重量比率になるように仕
込み、攪拌溶解させたものをモノーポンプでシリンダー
へ供給する。一方25℃での粘度が100000センチ
スト−クスのジメチルポリシロキサンをギャーポンプで
同じく表1の重量%になるように供給し、芯/鞘比が1
/1の2000デニールの樹脂被覆糸(CY)を得た。
このときの紡糸温度は160℃、紡糸速度100m/分
であった。
【0026】得られた糸条に松本油脂製マーポゾールT
I(スルホン化ポリエステル):助剤(松本油脂製薬製
サイジングワックスK−52)=98:2の重量%比に
配合された糊剤および互応化学工業製プラスサイズT−
780(アクリル酸エステル共重合体):水:助剤(松
本油脂製薬製サイジングワックスK−52)=78:2
0:2=の重量%比に配合された糊剤を1段ローラーで
付与した後、糸速度30m/分、チャンバー100℃、
シリンダー90℃で乾燥を行った。付着量は表−1に示
す通りであった。得られた糸条の懸垂試験および安全性
の確認試験の結果を表2に示す。いずれの糸条の水棲生
物付着効果は高く、安全性も高いものであった。
【0027】実施例7〜8 水溶性ポリマ−として、クラレポバールPVA−205
の8%溶液を用い、実施例1および実施例2と同様にし
て水溶性ポリマ−からなる被膜を有するCYを得た。得
られた糸条の懸垂試験および安全性の確認試験の結果を
表2に示す。水溶性ポリマ−であるPVA−205は繊
維との接着性が若干劣るために、接触時にやや皮膚刺激
を感じた人がいた。
【0028】比較例1〜3 水溶性ポリマ−として、松本油脂製マーポゾールW−4
50D(アクリル酸・アクリル酸エステル共重合体アン
モニウム塩)を用い、実施例と同様にして水溶性ポリマ
−からなる被膜を有するCYを得た。得られた糸条の懸
垂試験および安全性の確認試験の結果を表2に示す。水
溶性ポリマ−であるマ−ポゾルW−450Dは24時間
以内に人口海水に溶解しないため、被膜の剥離性は良好
であったが、防汚剤の溶出がなく、懸垂試験の結果は悪
いものであった。
【0029】比較例4〜6 水溶性ポリマ−を糸条表面に被膜しなかった以外は実施
例3〜5と同様にしてCYを製造した。得られた糸条の
懸垂試験および安全性の確認試験の結果を表2に示す。
水溶性ポリマ−で糸条表面が被膜されていないため、懸
垂試験結果は良好であったが、安全性の確認試験では全
員が皮膚刺激を感じていた。
【0030】比較例7〜8 防汚剤を添加せず、徐放剤のみを添加したCY(比較例
7)、および防汚剤も徐放剤も添加せず、ベースポリマ
ーのみのCY(比較例8)を製造した。得られた糸条の
懸垂試験および安全性の確認試験の結果を表2に示す。
防汚剤が添加されていないために、当然のことながら懸
垂試験結果は悪いものであった。
【0031】比較例9 比較例1で得られたCYからなる懸垂試験網に防汚塗料
(主防汚剤:トリブチルスズオキシド(TBTO)を後
加工したものを作製し、懸垂試験、安全性の確認試験を
行い、結果を表2に示す。防汚剤が添加された糸条に比
較しても、安全性の確認試験において強い皮膚刺激を感
じ、数人の皮膚がかぶれた。
【0032】
【表1】
【0033】表1中の略号は以下に示す通りである。防汚剤 デンシル:デンシルS100;2,3,5,6−テトラ
クロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン A−3 :プレベントールA−3;N−(フルオロジク
ロロメチルチオ)フタルイミド M−8 :2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3
−オン徐放剤 シリコン:東レ 高粘度シリコンSH−200 変性シリコン:東レ アルキル変性シリコンSF841
6 流パラ:流動パラフィンNo.350S糊剤種類 TI:松本油脂製マーポゾールTI(スルホン化ポリエ
ステル) T−780:互応化学工業製プラスサイズ780(アクリル
酸エステル共重合体) PVA:クラレポバールPVA−205(部分鹸化 重
合度500) W−450D:松本油脂製マーポゾールW−450D(WJ
R用アクリル系糊剤)
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の繊維は繊維の表面に形成された
水溶性被膜が、撚糸や編網工程等の厳しい張力から防汚
繊維を保護し、防汚剤が飛散して作業環境を汚染するの
を防止すると共に、漁業従事者の皮膚に防汚剤が直接触
れることを防止し、皮膚の弱い人でも安心して保護具な
しで扱うことができる。また、海中に浸漬されると表面
の保護被膜が速やかに溶解除去され、被膜付与しないも
のとなんら変わらぬ防汚性能を保つことができる。更
に、本発明は防汚繊維のみならず、防汚塗料膜からの保
護にも有効であり、幅広い応用が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/84 301 E

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防汚剤が配合された繊維の表面が水溶性
    ポリマーで覆われていることを特徴とする水棲生物付着
    防止効果を有する繊維。
  2. 【請求項2】 水溶性ポリマーの繊維全体に対する付着
    量が0.5重量%以上であり、該水溶性ポリマ−が25
    ℃の人工海水中で24時間以内に溶解するポリマ−であ
    ることを特徴とする請求項1記載の水棲生物付着防止効
    果を有する繊維。
JP27795594A 1994-11-11 1994-11-11 安全性、水棲生物付着防止効果を有する繊維 Pending JPH08134779A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN118685217A (zh) * 2024-06-05 2024-09-24 金浦新材料股份有限公司 一种海洋缆绳油剂及其制备方法
CN119824574A (zh) * 2024-12-24 2025-04-15 江苏金由新材料有限公司 一种耐磨高强环保型防污防生物附着的水体用复合纤维及其制备方法
CN119824575A (zh) * 2024-12-24 2025-04-15 江苏金由新材料有限公司 一种防污防生物附着的pe/ptfe复合纤维及其制备方法

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CN119824575B (zh) * 2024-12-24 2025-12-09 江苏金由新材料有限公司 一种防污防生物附着的pe/ptfe复合纤维及其制备方法

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