JPH0696594B2 - N−保護−α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造法 - Google Patents

N−保護−α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、N−保護−α−L−アスパルチル−L−フェ
ニルアラニンメチルエステル(N−保護−α−APM)の
製造法に関する。更に詳しくは、L−フェニルアラニン
(L−Phe)を硫酸あるいは塩化水素等の強酸触媒下に
メタノール(MeOH)でエステル化した反応液に触媒中和
のための塩基性水溶液と遊離のL−フェニルアラニンメ
チルエステル(PM)を抽出するための水と不混和性の有
機溶媒とを加え、次いで分層した有機溶媒層内に溶解し
ているPMとN−保護されたL−アスパラギン酸無水物 とを反応せしめてN−保護−α−APMを製造する方法に
関する。更にまたN−保護−α−APMの収率を向上させ
るために、上記の方法において、分層したL−フェニル
アラニンメチルエステルの有機溶媒溶液からメタノール
を一部または全部除去して調製される有機溶媒に溶解状
態のPMと とを反応させる前記方法の改良に関する。
本発明で得られるN−保護−α−APMは、常法により保
護基を除去することによりショ糖様の甘味を有し、新甘
味剤として注目されているアスパルテーム(α−L−ア
スパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル)に
容易に導くことができる。
使用されるN−保護基は、ベンジルオキシカルボニル基
(Z),ホルミル基(F)、および1−メチル−2−ア
セチルビニル基(K)の如きペプチド化学に普通に使用
されるN−保護基の一種である。
N−保護−α−APMは、 とPMとを縮合させることにより合成されるが、通常、PM
はその塩酸塩が原料として使用される。具体的には、PM
塩酸塩を有機溶媒中に懸濁し、有機塩基(好ましくはト
リエチルアミン)で中和し、PMを遊離させ、同時に生成
した塩を除去した後、上記有機溶媒の溶液状態のPMを と縮合させる方法、PM塩酸塩を水と有機溶媒との混合液
に懸濁し、無機塩基(好ましくは炭酸ナトリウム)で中
和し、遊離したPMを有機溶媒層へ抽出して、PMをこの有
機溶媒の溶液状態で と縮合させる方法(米国特許No.3786039参照)などが公
知である。
しかしながら、上記方法の場合には、PM塩酸塩を出発原
料としているため、L−Pheを塩化水素触媒下MeOHにて
エステル化した後にその塩酸塩を一旦分離させるを得
ず、収率、操作面からみて工業的には有利とは云えな
い。
従って、工業的には、L−PheをMeOHに懸濁し、硫酸あ
るいは塩化水素等の触媒存在下エステル化した後に塩基
を含む水溶液と難水溶液有機溶媒とをエステル生成反応
液に加えて触媒として使用した酸を中和しかつ遊離のPM
を有機溶媒中に抽出することにより得られるPMの有機溶
媒溶液を調製し、溶液状態のPMを と縮合させることがPM塩酸塩あるいはその硫酸塩の分離
工程がなく有利である。しかしながら、上記方法ではこ
のような利点があるものの、必ずしも縮合収率が良好と
は云えなかった。
そこで、本発明者等は、鋭意検討の結果、上のようにし
て調製されたPMの有機溶媒溶液からMeOHを除去すること
により、MeOHによる の分解を抑制し、N−保護−α−APMの生成収率を向上
せしむることを発見し、本発明を完成するに至った。
本発明においてL−Pheのメチルエステル化は常法で良
く、例えば、L−PheをMeOHに懸濁し、塩化水素ガスを
導入するFischerの方法、又、L−PheをMeOHに懸濁し、
濃硫酸を添加する方法によるとよい。この場合、MeOH
は、PMの収率を上げる為又反応溶媒として使用される
為、L−Pheに等モル以上使用され、通常、L−Pheに対
し6倍モル以上使用される。
L−Pheのメチルエステル化反応溶液の中和剤には、炭
酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,水酸化ナトリウム
の如き無機塩基類,トリエチルアミン,ピリジンの如き
有機塩基類より選択するとよい。これらは水溶液の形で
L−Pheのメチルエステル化反応溶液の中和に使用する
のがよい。
使用する塩基の量は、触媒として使用した硫酸又は塩化
水素などの強酸に等モル以上であればよいが、あまり大
量に使用するとエステルが加水分解するので、通常は1
〜2倍使用される。又、これら塩基の水溶液の濃度には
特に制限はないが、濃度が高すぎると中和によって生成
した塩が析出し、中和、抽出操作が困難となる。一方濃
度が低すぎると水層に移行するPMの量が多くなり、収率
面で不利となる。従って濃度としては通常1〜15%が使
用される。
一方、PMの抽出に使用される有機溶媒は、水と不混和性
であれば特に限定されないが、具体的には酢酸エチル,
酢酸メチルの如き酢酸エステル類,トルエン,キシレ
ン,ヘキサン,シクロヘキサンの如き炭化水素類,クロ
ロホルム,ジクロルメタン,エチレンジクロリドの如き
ハロゲン化炭化水素類が好適に用いられる。
L−Pheのメチルエステル化反応溶液に添加すべき中和
剤溶液および有機溶媒の添加順序等には格別の制限はな
く、要するに上記反応溶液中の酸触媒が中和されかつ同
反応溶液が水層とPMを含有する有機溶媒層との2層に分
層する条件であればよい。
塩基性水溶液と水不混和性有機溶媒とを添加したPM生成
反応液からPM含有有機溶媒溶液を得ることにも格別に困
難なことはなく、例えば次のように行なうとよい。上記
PM生成反応液を5〜30分間振とうまたは攪拌した後、静
置分層すればよい。
上記操作の際、L−Pheのメチルエステル化のときに使
用した過剰量のMeOHは大部分は水層に移行するが、一部
分は有機溶媒層に移行する。従って、得られたPMの有機
溶媒溶液はMeOHを含み、その濃度は、使用する溶媒の量
によっても異なるが、0.4〜10g/dl程度となる。
上のようなMeOHを含有するPMの有機溶媒溶液からMeOHを
除去することは、その溶液を濃縮する方法あるいはその
溶液から水を用いてMeOHを抽出する方法等により実施さ
れるが、収率や操作の容易性からいって、濃縮によりMe
OHを除去する方法が最も望ましい。
濃縮によりMeOHを除く条件は、PMの抽出に使用される有
機溶媒によって異なるが、通常真空度は10〜760Torrの
範囲で、温度は90℃以下で実施される。しかし、高温下
での濃縮操作は、PMの分解を促進するので、温度が60℃
以下の範囲で実施されるのが望ましい。
MeOHの除去の程度について、本発明者は次の知見を得
た。すなわち、MeOHを除去した後の溶液状態にあるPMを と反応させてN−保護−α−APMとするのであるが、こ
の際のN−保護−α−APMの生成収率はPMの有機溶媒溶
液中のMeOH濃度が減少するに従って向上する。
例えば、N−保護基がF基の場合は、PMの有機溶媒溶液
からMeOHを除去することにより、N−ホルミル−α−L
−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル
(F−α−APM)の生成収率は、MeOHの除去の程度にも
よるが、15%の向上が認められた。MeOH濃度と収率の関
係から判断してこの製造法におけるPMの有機溶媒溶液中
のMeOH濃度は、0.25g/dl以下に抑える事が望ましい。
また、N−保護基がZ基の場合は、PMの有機溶媒溶液か
らMeOHを除去することにより、除去の程度にもよるが、
N−ベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンメチルエステル(Z−α−AP
M)の生成収率は7%の向上が認められ、この製造法に
おけるPMの有機溶媒溶液中のMeOH濃度は、0.25g/dl以下
に抑える事が望ましい。
さらにまた、N−保護基がK基の場合は、MeOHを除去す
ることにより、6%の収率の向上が認められた。この方
法においても、PMの有機溶媒溶液中のMeOH濃度は、0.25
g/dl以下にすることが望ましい。
MeOHの除去されないままの、又は除去された有機溶媒溶
液中のPMは、 との縮合反応に供され、N−保護−α−APMとするが、
この反応は公知の方法または公知の方法から自明の方法
でよい(米国特許No.3786039)。
このようにして得られたN−保護−α−APMは適当な方
法で脱保護すれば、α−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニンメチルエステル(α−APM)とすることがで
きる。
本発明は、N−保護−α−APMの生成収率を向上させる
ため、最終目的物であるα−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンメチルエステル(α−APM)の収率を大
幅に向上させることができ、分離、精製工程の簡略化も
できるので工業的にきわめて有利なものである。
次の実施例は、本発明の詳細な例示のために与えられて
いる。実施例中に与えられている特定の詳細は本発明を
限定するものと考えられるべきではない。
実施例1 (1)L−Phe16.5gとMeOH40mlの懸濁液に98%硫酸8ml
を加え、85℃で4時間反応させた。得られた反応液にト
ルエン210ml及び10%炭酸ナトリウム水溶液80mlを加
え、30分間振とうした後に静置、分層してPMのトルエン
溶液227mlを得た。
この溶液中には0.091モルのPMが含まれており、MeOHの
濃度は0.80g/dlであった。
(2)N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物 の結晶13.2g(0.091モル)を酢酸19ml中に懸濁し、
(1)の操作で得られたPMのトルエン溶液を添加し、室
温で1.5時間反応させた後、反応液中のF−α−APMを高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量したとこ
ろ、F−α−APMはPMに対して65%生成していた。
実施例2 実施例1(1)におけると同様の操作で得られたPMのト
ルエン溶液を減圧下60℃で200mlまで濃縮することによ
り液中のMeOH濃度が0.001g/dl以下であるPMのトルエン
溶液を調製した。
同様にして、実施例1(1)におけると同様の操作で得
られたPMのトルエン溶液を濃縮することにより、液中の
MeOH濃度が0.25g/dlであるPMのトルエン溶液を調製し
た。
更に同様にして、実施例1(1)におけると同様の操作
で得られたPMのトルエン溶液を濃縮して液中のMeOH濃度
が0.50g/dlであるPMのトルエン溶液を調製した。
得られたPMの各トルエン溶液を、それぞれ実施例1
(2)の操作に従い、 と反応させ、生成したF−α−APMを定量したところ、
F−α−APMの収率はPMに対して、それぞれ、80%,79
%、および72%であった。
実施例3 N−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラギン酸
(Z−Asp)16.0gをトルエン24mlに懸濁し、それに95%
無水酢酸7.7gを添加し、その後室温で6時間反応させ
た。
得られたN−ベンジルオキシカルボニル−L−アスパラ
ギン酸無水物 の懸濁液に、実施例1(1)におけると同様の操作で調
製したPMのトルエン溶液を添加し、室温で1.5時間反応
させた後、生成したZ−α−APMをHPLCにて定量したと
ころ、Z−α−APMの収率はPMに対して75%であった。
実施例4 実施例1(1)におけると同様の操作によりPMのトルエ
ン溶液を3点調製し、各溶液のMeOH度が0.001g/dl以
下、0.25g/dlおよび0.43g/dlになるよう濃縮した。
得られたPMのトルエン溶液を、それぞれ、実施例3の操
作に従い、 と反応させ、生成したZ−α−APMを定量したところ、
Z−α−APMの収率はPMに対して、それぞれ、82%,80
%、および77%であった。
実施例5 (1)L−Phe19.9gをMeOH50mlに懸濁し、攪拌しながら
塩化水素ガス13gを吹き込んだ。室温で2日間放置後反
応液に380mlの酢酸エチル及び10%炭酸ナトリウム水溶
液180mlを添加し、30分間振とうし、静置分層したとこ
ろ、PMの酢酸エチル溶液445mlを得た。
この酢酸エチル溶液には、0.112モルのPMが含まれてお
り、MeOHの濃度は3.5g/dlであった。
(2)N−(1−メチル−2−アセチルビニル)−L−
アスパラギン酸ジナトリウム塩(K−Asp・Na2)26gに
酢酸エチル50ml、酢酸22mlを加え攪拌し、−20℃に冷却
し、無水酢酸12.5mlを添加し、一夜攪拌した。
この反応液を40℃に加温後、(1)で得られたPMの酢酸
エチル溶液を添加し、30分間攪拌した。その後、1規定
塩酸100mlを加え、1時間攪拌し、静置後水層を分離し
た。
水層中のα−APMをアミノ酸自動分析計(カラム及び充
填剤、9φ×100mm,日立2611樹脂)で定量したところ、
水層中のα−APMはK−Asp・Na2に対して50%生成して
いた。
(3)(1)と同様の操作で得られたPMの酢酸エチル溶
液を減圧下55℃で400mlまで濃縮することにより、溶液
中のMeOHはほとんど除去され、その濃度は0.001g/dl以
下であった。
このPMの酢酸エチル溶液を用い(2)と同様の操作で反
応を行なったところ、得られたα−APMの収率は65%で
あった。
(4)(1)と同様の操作でPMの酢酸エチル溶液を2点
調製し、それぞれを減圧下55℃で溶液中のメタノール濃
度が、それぞれ、0.80g/dl,0.25g/dlになるまで濃縮し
た。
これらのPMの酢酸エチル溶液を用い、(2)と同様の反
応を行なった。得られたα−APMの収率は、それぞれ、5
9%,64%であった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】L−フェニルアラニンを強酸の触媒下にメ
    タノールでエステル化して得た反応液に触媒中和のため
    の塩基性水溶液と遊離のL−フェニルアラニンメチルエ
    ステルを抽出するための水と不混和性の有機溶媒とを加
    え、ついで分層した有機溶媒層内に溶解しているL−フ
    ェニルアラニンメチルエステルとN−保護されたL−ア
    スパラギン酸無水物とを反応せしむることを特徴とする
    N−保護−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
    ンメチルエステルの製造法。
  2. 【請求項2】分層したL−フェニルアラニンメチルエス
    テルの有機溶媒溶液からメタノールを一部または全部除
    去して調製された有機溶媒に溶解状態のL−フェニルア
    ラニンメチルエステルとN−保護されたL−アスパラギ
    ン酸無水物とを反応せしめることを特徴とする特許請求
    の範囲第1項に記載のN−保護−α−L−アスパルチル
    −L−フェニルアラニンメチルエステルの製造法。
JP61003052A 1985-01-17 1986-01-10 N−保護−α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルの製造法 Expired - Lifetime JPH0696594B2 (ja)

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