JPH07121877B2 - 静注用非化学修飾免疫グロブリンの加熱処理方法 - Google Patents

静注用非化学修飾免疫グロブリンの加熱処理方法

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JPH07121877B2
JPH07121877B2 JP61126295A JP12629586A JPH07121877B2 JP H07121877 B2 JPH07121877 B2 JP H07121877B2 JP 61126295 A JP61126295 A JP 61126295A JP 12629586 A JP12629586 A JP 12629586A JP H07121877 B2 JPH07121877 B2 JP H07121877B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、静注用非化学修飾免疫グロブリンのウイルス
不活性のための加熱処理方法に関するものである。
〔従来技術〕
従来より、アルブミンなどの血漿蛋白について、そこに
混入してくる懸念のあるウイルスを不活化する最も確実
な方法として、水溶液状態での加熱処理法(以下、液状
加熱法と称す)が、Murray〔The New York Academy of
Medicine、31(5)、341〜358(1955)〕の報告に基づ
いてとられており、以来今日に至るまで長年にわたり汎
用され、疫学的にも液状加熱法のウイルス不活化効果が
立証されている。
しかしながら、アルブミンのように液状加熱に耐えるも
のは血漿蛋白の中でも極く限られており、特に生理活性
または生物活性を有する血漿蛋白は熱に対し非常に敏感
で、熱変形をおこし易く、活性の低下、消失を招きやす
い。
一方、液状加熱法とは別に、水分を含まないが、または
ほとんど含まない乾燥状態で、血漿蛋白の加熱処理(以
下、乾熱処理という)を行うと、液状加熱法に比べ、そ
の活性の低下が著しく抑制されることが血液凝固第VIII
因子をモデルとする実験で明らかとなった。しかし、一
般に乾熱処理においても、安定化剤を添加しなければ血
漿蛋白の活性低下はまぬがれ得ないし、また、水に対す
る溶解性および溶状が悪くなるというのが実情である。
ところで、加熱によるウイルス不活化の作用機序は、液
状加熱では主としてウイルスの蛋白質成分の変性に基づ
いているのに対し、乾熱処理では主にウイルスの脂質成
分の酸化によって傷害を受け、病原性が失われるといわ
れており、両方のウイルス不活化機構はお互いに重なり
合う部分があるものの、基本的には異なることが示唆さ
れている〔Rahn,Physical Methods of Sterilization o
f Macroorganisms. Bact.Rev.、1〜47、(194
5)〕。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、静注用非化学修飾免疫グロブリンを不
活化させることなく、夾雑が危惧されるウイルスを不活
性しうる当該免疫グロブリンの加熱処理方法を提供する
ことである。
本発明の他の目的は、静注用非化学修飾免疫グロブリン
の水に対する溶解性および溶状を良好に保ちうる静注用
非化学修飾免疫グロブリンのウイルス不活化加熱処理方
法を提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、静注用非化学修飾免疫グロブリンを特定
の安定化剤の存在下に乾熱処理することによって、静注
用非化学修飾免疫グロブリンの活性を失うことなくウイ
ルスを不活化でき、更に静注用非化学修飾免疫グロブリ
ンが顕著に安定化され、しかも、かかる条件下に乾熱処
理を行った非化学修飾免疫グロブリンは水に対する溶解
性および溶状が良いことを見出して本発明を完成した。
即ち、本発明は、静注用非化学修飾免疫グロブリンを乾
燥状態にて、特定の安定化剤の存在下で加熱することを
特徴とする静注用非化学修飾免疫グロブリンの加熱処理
方法に関するものであり、これによって当該免疫グロブ
リン中に夾雑が危惧されるウイルスが不活化され、かつ
静注用非化学修飾免疫グロブリンの安定性および水溶解
性が改善される。
本発明の静注用非化学修飾(ガンマ)免疫グロブリンと
は、 (1) 自然のままで何らの修飾や変化も受けておら
ず、従ってガンマ・グロブリンのフラグメントであるFa
b、F(ab′)、Fc等を含まず、 (2) 抗体価の低下がなく、 (3) 抗補体作用(補体結合性)が静注に際して安全
とみなされる20単位(C′H50値)よりも十分に低いと
いう諸性状を備えたものをいう。
本発明において使用する静注用非化学修飾免疫グロブリ
ンは、自然状態のものでしかも抗補体価の低いものであ
れば、いかなる方法で得たものであってもよいが、既存
の設備で製造できる、既に医薬として使用されている筋
注用免疫グロブリンを用い、酸性処理でその凝集体を切
り離して得るのが最も効率的である。しかし製造上の複
雑さや収量の低下を問題としないならば、非イオン系界
面活性剤を用いる方法で抗補体作用の原因となる免疫グ
ロブリン凝集体を除去し、抗補体価の低い静注用免疫グ
ロブリンとしたものを使用することが好ましい。
かかる静注用非化学修飾免疫グロブリンとしては、たと
えばヒト、ウマ及びマウス由来のものが例示され、それ
はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれで
もよく、好ましくはIgG、IgA又はIgMである。
本発明は、通常、静注用非化学修飾免疫グロブリン溶液
を凍結乾燥した後、含湿度3%以下(通常は、0.1〜1.5
%)の条件下で加熱することによって実施されるが、そ
の際、安定化剤を添加しておくことによって、静注用非
化学修飾免疫グロブリンの安定が促進され、また静注用
非化学修飾免疫グロブリンの溶解性および溶状が改善さ
れる。
本発明において安定化剤としては、ソルビトールおよび
二糖類から選ばれる少なくとも一種が必須条件であり、
更にマンニトール等の糖アルコール(ソルビトールを除
く。)、中性アミノ酸、中性の無機塩、有機塩酸、アル
ブミン、非イオン界面活性剤等を併用しても良い。
中性アミノ酸としては、たとえばグリシンが例示され
る。
中性塩の無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、リン酸ナトリウムなどが例示されている。
有機カルボン酸としては、酢酸、クエン酸などの生理的
に許容される塩、特にアルカリ金属塩(ナトリウム塩、
カリウム塩)があげられる。
二糖類としては、サッカロース、マルトース等が例示さ
れるがサッカロースが最良である。
安定化剤の使用量は、たとえば次の通りである。即ち、
静注用非化学修飾免疫グロブリン1w/v%溶液に対して、
0.8〜5w/v%程度の安定化剤濃度となるに相当する量で
ある。この添加量において、安定化効果が最も良好であ
る。
静注用非化学修飾免疫グロブリンは、通常凍結乾燥品と
して使用に供するが、安定化剤は、静注用非化学修飾免
疫グロブリンの凍結乾燥処理の前に添加しておくことが
好ましい。
また、安定化剤は、本発明の乾熱処理後に除去してもよ
いが、当該静注用非化学修飾免疫グロブリン製剤中にそ
のまま配合しておくことが好ましい。かくして静注用非
化学修飾免疫グロブリン製剤の保存安定性が改善され
る。
加熱処理は、夾雑するウイルスを不活化するに十分な温
度および時間行えばよく、通常は30〜100℃、好ましく
は60℃程度であり、加熱時間は、通常10分〜200時間、
好ましくは10〜100時間程度である。ここに夾雑するウ
イルスを不活化するとは、ウイルスの感染性を実質的に
なくすことを意味する。
本発明の加熱処理による不活化対象とされるウイルス
は、ヒト血漿蛋白に夾雑が危惧されるウイルスであり、
特に肝炎ウイルス、エイズウイルスなどである。
また、本発明の加熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うこ
とにより、加熱時の安定性をより高めることが出来る。
不活性ガスとしては、たとえば窒素ガス、アルゴン、ヘ
リウムなどが挙げられる。
さらに、静注用非化学修飾免疫グロブリンの精製度が約
90%以上のものについて、本発明に関する安定化剤によ
る安定化効果がより顕著である。
本発明乾燥処理における乾燥状態は実質的に無水の状態
であり、可及的に水分の少ない状態であることが好まし
い。水分の含量は、通常3%以下、好ましくは2%以下
であり、通常は0.1〜1.5%程度である。
本発明によるときは、貴重な血液製剤である静注用非化
学修飾免疫グロブリンの活性を大きく損失することな
く、製剤中に混入が危惧されているウイルスを不活化で
きるから、静注用非化学修飾免疫グロブリンの工業的製
法として有益である。
〔作用・効果〕
本発明の処理を経た静注用非化学修飾免疫グロブリン
は、ほとんど失活されておらず、そこに混入が危惧され
ているウイルスが不活化されている。従って、本発明の
処理を経た静注用非化学修飾免疫グロブリンの使用によ
ってヒト血漿蛋白に夾雑が危惧されるウイルス、特に肝
炎ウイルス、エイズウイルス等による感染の可能性が少
ない。
また、本発明の処理を経た静注用非化学修飾免疫グロブ
リンは、水に対する溶解性に優れており、水溶解物の溶
状が良好に保たれるものである。
〔実施例・実験例〕
以下、本発明を実施例および実施例により説明するが、
本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
以下の実施例および実験例の試験は次の方法によった。
(試験方法) 溶解性、溶状に関する外観性状としては、濁りが問題と
なることからO.D.600nmの吸光度を測定した。
重合体の定量は高速液体クロマトグラフィーで分析し
た。
抗補体価の測定は、カパットとマイヤーの方法〔Experi
mental Immunochemistry,225(1961)〕および西岡、岡
田の方法〔免疫の生化学、103、昭46(共立出版)に準
じた。即ち、100単位の補体が試料を加えることによっ
て何単位に減少するかを測定し、その減少単位を抗補体
価として表わした。
麻疹抗体価はHemagglutination Inhibition Test法によ
り測定し、国際単位(IU/150mg)で表わした。
ジフテリア抗毒素価はウサギ皮内法、HBsAg抗体価は赤
血球凝集反応法、IgG純度はセルロースアセテート膜電
気泳動で求めた。
実施例1 正常ヒト血漿よりコーン氏の冷アルコール分画法に従
い、Fr−II+III(IgG画分)を得た。このコーン画分II
+III1kgに0.001Mの塩化ナトリウム溶液10を加え、pH
を5.0に調整した後、ポリエチレングリコール、すなわ
ちPEG#4000を終濃度が8%になるように添加し、2℃
で遠心分離を行った。
得られた上清を1N−水酸化ナトリウムを用いてpH8.0と
した後、PEG#4000を終濃度が12%になるように加え、
2℃で遠心分離を行い、IgG画分を集めた。
このIgG画分を0.6%塩化ナトリウム溶液を用いIgG濃度
が7%になるように溶解せしめ、pHを6.5に調整した。
この溶液をDEAE−セファデックス(その1ml当たり50ml
溶液量)で0〜4℃の条件下約1時間接触処理し、処理
後上清を遠心分離で回収した。
この回収したIgG溶液100mlを別途調整したベンズアミジ
ンセファロース(登録商標、ファルマシア社製)カラム
5mlおよびヒト血液型物質フォルミルセルロファインカ
ラム3mlを通過させヒト血液型抗体を吸着除去した。こ
の工程での吸着により血液型抗体は(1:32)から(1:
2)に低下した。
この未吸着画分を冷水で5%溶液とし、さらにサッカロ
ースを5w/v%添加した。このIgG溶液のpHを6.3〜6.5に
修正後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥後の含湿度は、0.
8%であった。この凍結乾燥されたIgG粉末を60℃で72時
間加熱処理し、加熱処理前のIgGと比較しながら、溶解
性、HBsAg抗体価、麻疹抗体価、ジフテリア抗毒素価、
セルロースアセテート膜電気泳動、ゲル濾過の項目につ
き試験した結果、加熱処理後でも著明な変化はみられ
ず、本加熱条件下ではヒト静注用非化学修飾免疫グロブ
リンは安定であることがわかった。
実験例1(安定化剤の添加量) 実施例1に準じて調製した静注用非化学修飾免疫グロブ
リン(IgG)の5w/v%水溶液に、第1表記載の添加量で
各安定化剤を添加し、pHを6.3〜6.5に調整後、凍結乾燥
した。そのIgG粉末を60℃で72時間加熱処理した後、溶
解性、ジフテリア抗毒素価、麻疹抗体価について試験し
た。その結果を第1表に示す。試験方法は、「生物学的
製剤基準」に従った。
この結果、安定化剤の使用により、無添加(コントロー
ル)の場合に比べて安定性が改善されることが判った。
また、本発明の乾熱処理による有効な添加量は、4〜25
w/v%であることが判った。
実験例2 実施例1に準じて調整した静注用非化学修飾免疫グロブ
リン(IgG)の5w/v%水溶液に、サッカロースを10w/v%
加え、これに0.05Mリン酸緩衝液(pH7.1)のウイルス懸
濁液を加え、均一に混和した後に、凍結乾燥を行った。
凍結乾燥終了後、窒素ガスにて平圧に戻して密栓し、60
℃の温浴中に浸漬し、加熱した。なお、瓶中の温度が60
℃に達するまで10〜15分要するので、実際は加熱時間を
30分間延長して行った。
各ウイルスの感染性はプラーク フォーミング(plaque
forming)法にて測定した。
結果は第2表に示す通りである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静注用非化学修飾免疫グロブリンを乾燥状
    態にて、二糖類およびソルビトールから選ばれる少なく
    とも一種の安定化剤の存在下で加熱することを特徴とす
    る静注用非化学修飾免疫グロブリンの加熱処理方法。
  2. 【請求項2】含湿度3%以下の乾燥状態下で加熱するこ
    とからなる特許請求の範囲第(1)項記載の方法。
  3. 【請求項3】静注用非化学修飾免疫グロブリンがヒト、
    ウマまたはマウス由来であることを特徴とする特許請求
    の範囲第(1)項記載の方法。
  4. 【請求項4】ヒト、ウマまたはマウス由来の静注用非化
    学修飾免疫グロブリンがポリクローナルまたはモノクロ
    ーナル抗体であることを特徴とする特許請求の範囲第
    (3)項記載の方法。
  5. 【請求項5】静注用非化学修飾免疫グロブリンが、Ig
    G、IgAまたはIgMであることを特徴とする特許請求の範
    囲第(1)項記載の方法。
  6. 【請求項6】夾雑するウイルスが不活化されるまで加熱
    することを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の
    方法。
  7. 【請求項7】安定化剤の濃度が、静注用非化学修飾免疫
    グロブリンの1w/v%溶液に対して、0.8〜5w/v%の濃度
    となるに相当することを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項記載の方法。
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