JPH07186929A - アンチロックブレーキ方法およびその装置 - Google Patents

アンチロックブレーキ方法およびその装置

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JPH07186929A
JPH07186929A JP33193993A JP33193993A JPH07186929A JP H07186929 A JPH07186929 A JP H07186929A JP 33193993 A JP33193993 A JP 33193993A JP 33193993 A JP33193993 A JP 33193993A JP H07186929 A JPH07186929 A JP H07186929A
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wheel speed
speed
wheel
deviation
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JP33193993A
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English (en)
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Takayuki Furuya
隆之 古屋
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Hitachi Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制動距離をより短くできるアンチロックブレ
ーキ方法およびその装置を提供する。 【構成】 車輪速センサ30にて検出された車輪速VW
に基づいて制動中における車両の疑似車速VI を設定す
る疑似車速設定部41と、この疑似車速VI と車輪速V
W とに基づいて目標車輪速VS を設定する目標車輪速設
定部42と、車輪速VW が目標車輪速VS に追従するよ
うに制動力を調整する制動力調整部46とを具えたアン
チロックブレーキ装置において、目標車輪速VS と車輪
速VW との偏差ΔVを算出する車輪速偏差演算部43
と、この偏差ΔVの増減傾向に基づいてブレーキ液圧を
制御するための評価値Zを算出する評価値演算部44
と、偏差ΔVの大きさに基づいて評価基準値ZS1, ZS2
を設定する評価基準値設定部45とを具え、制動力調整
部46は評価値Zと評価基準値ZS1, ZS2とを比較して
ブレーキ液圧を制御するブレーキ液圧制御部47を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動中における車輪の
ロック状態を回避して制動距離を大幅に短くできるよう
にしたアンチロックブレーキ方法およびその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両に組み込まれるブレーキ装置は、こ
の車両を安全に走行させる上で非常に重要なものであ
り、従来から種々の補助機構を付設したものが知られて
いる。例えば、特開平3−54059号公報等ではブレ
ーキの作動中に車両が滑走するのを防止するアンチロッ
ク機構が付設され、より安全で確実なブレーキ操作を行
うことが可能となっている。
【0003】上述したアンチロック機構は、ブレーキの
作動中に車輪のロックの発生を防止するため、車輪がロ
ックぎみとなった場合に、この車輪に対するブレーキ力
を一時的に軽減し、車輪をロック状態から離脱させるよ
うにしたものであり、アンチロック機構専用の液圧ポン
プとブレーキのホイールシリンダとの間にブレーキ液の
供給側の電磁切換弁とブレーキ液の排出側の電磁切換弁
とを各車輪毎に設け、上述した液圧ポンプを電動モータ
によって駆動し、各車輪のロック状態に応じて一対の電
磁切換弁と排出側の電磁切換弁との作動を切り換え、ブ
レーキのホイールシリンダに対するブレーキ液の圧力を
調整している。
【0004】ところで、車両のタイヤと路面との間の摩
擦力は、タイヤのスリップ率によって大きく異なり、乾
燥した路面に対してはスリップ率が例えば10〜15%
前後の場合に最大となることが一般的に知られている。
このようなことから、上述したアンチロック機構を搭載
した車両の制動時においては、実際の車速よりも車輪の
周速度を最大摩擦力が得られるスリップ率、つまりこの
スリップ率と対応した周速度となるように、車輪に対す
る制動力を制御している。
【0005】通常、車両の走行速度(以下、これを車速
と呼称する)は左右の従動輪の周速の平均値で表すこと
ができるが、車両の制動時には路面とタイヤとの間にス
リップが発生するため、従動輪の周速度を検出するだけ
では正確な車速を検出することが根本的に不可能であ
る。このため、従来では車両の制動中に車輪がロックぎ
みとなった場合に制動力を一時的に解除し、この時の車
輪の周速度(以下、これを車輪速と呼称する)を検出す
ると共にその加速度を算出し、制動力の解除に伴って変
化する車輪の加速度が増速傾向からほぼ0に移行した時
点の車輪速を実際の車速として予測している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のアンチ
ロック機構を搭載したブレーキ装置にあっては、車輪速
が路面との間に最大摩擦力を発生する所定の周速度まで
低下したら、ホイールシリンダのブレーキ液圧を一時的
に減圧し、車輪速を回復させつつこの車輪加速度を減ず
べくブレーキ液圧を徐々に増圧し、車輪加速度が正から
0または負となった時点で再度減圧するようにし、以上
の操作を繰り返すことで制動距離の短縮を図りながら車
両を安全に停止させるようにしている。
【0007】このため、従来のアンチロック機構を搭載
したブレーキ装置は、路面とタイヤとの間に最大摩擦力
が得られ、かつ車両の制動に大きく寄与する状態と、制
動力を一時的に解除することによって制動力が不足気味
となる状態とを交互に周期的、例えば200〜300ミ
リ秒毎に繰り返すことになり、制動距離の大幅な短縮を
見込めない。
【0008】というのも、上述の周期はホイールシリン
ダに対するブレーキ液圧の給排状態や路面の摩擦係数の
違い等の影響で必ずしも一定ではなく、周期が短いと制
動力不足気味の状態が頻繁に起ることとなるからであ
る。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、従来のものよりも制動
距離をより短くすることのできるアンチロックブレーキ
方法およびその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による第一の形態
は、車輪の回転速度を検出する車輪速検出ステップと、
この車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づい
て制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設
定ステップと、この疑似車速設定ステップにて設定され
た疑似車速と前記車輪速検出ステップにて検出された車
輪速とに基づき、所定の制動力が得られる目標車輪速を
設定する目標車輪速設定ステップと、前記車輪速検出ス
テップにて検出される車輪速が目標車輪速に追従するよ
うに、前記車輪に対する制動力を調整する制動力調整ス
テップとを具えたアンチロックブレーキ方法において、
前記目標車輪速設定ステップにて設定された目標車輪速
と、前記車輪速検出ステップにて検出された前記車輪の
回転速度との偏差を算出する車輪速偏差演算ステップ
と、この車輪速偏差演算ステップにて算出された目標車
輪速と前記車輪の回転速度との偏差の増減傾向に基づ
き、ホイールシリンダに対するブレーキ液圧を制御する
ための評価値を算出する評価値演算ステップと、前記車
輪速偏差演算ステップにて算出された目標車輪速と前記
車輪の回転速度との偏差の大きさに基づき、評価基準値
を設定する評価基準値設定ステップとを具え、前記制動
力調整ステップは、前記評価値演算ステップにて算出さ
れた評価値と、前記評価基準値設定ステップにて設定さ
れた評価基準値とを比較してブレーキ液圧を制御するブ
レーキ液圧制御ステップを有することを特徴とするもの
である。
【0011】本発明による第二の形態は、車輪の回転速
度を検出する車輪速検出手段と、この車輪速検出手段に
て検出された車輪速に基づいて制動中における車両の疑
似車速を設定する疑似車速設定手段と、この疑似車速設
定手段にて設定された疑似車速と前記車輪速検出手段に
て検出された車輪速とに基づき、所定の制動力が得られ
る目標車輪速を設定する目標車輪速設定手段と、前記車
輪速検出手段にて検出される車輪速が目標車輪速に追従
するように、前記車輪に対する制動力を調整する制動力
調整手段とを具えたアンチロックブレーキ装置におい
て、前記目標車輪速設定手段にて設定された目標車輪速
と、前記車輪速検出手段にて検出された前記車輪の回転
速度との偏差を算出する車輪速偏差演算手段と、この車
輪速偏差演算手段にて算出された目標車輪速と前記車輪
の回転速度との偏差の増減傾向に基づき、ホイールシリ
ンダに対するブレーキ液圧を制御するための評価値を算
出する評価値演算手段と、前記車輪速偏差演算手段にて
算出された目標車輪速と前記車輪の回転速度との偏差の
大きさに基づき、評価基準値を設定する評価基準値設定
手段とを具え、前記制動力調整手段は、前記評価値演算
手段にて算出された評価値と、前記評価基準値設定手段
にて設定された評価基準値とを比較してブレーキ液圧を
制御するブレーキ液圧制御手段を有することを特徴とす
るものである。
【0012】
【作用】本発明によると、ブレーキ開始時点における車
輪の回転速度を車輪速検出手段により検出し、この車輪
速に基づいて制動中の車両の疑似車速を疑似車速設定手
段にて設定する。そして、この疑似車速に基づいて所定
の制動力が得られる目標車輪速を目標車輪速設定手段に
て設定し、この目標車輪速に対して車輪速検出手段によ
り検出される車輪速が追従するように、制動力調整手段
により車輪に対する制動力が調整される。
【0013】一方、目標車輪速設定手段にて設定された
目標車輪速と、車輪速検出手段にて検出された前記車輪
の回転速度との偏差を車輪速偏差演算手段にて算出す
る。さらに、この車輪速偏差演算手段にて算出された目
標車輪速と車輪の回転速度との偏差の増減傾向に基づ
き、評価値演算手段にてホイールシリンダに対するブレ
ーキ液圧を制御するための評価値を算出する。また、評
価基準値設定手段は、車輪速偏差演算手段にて算出され
た目標車輪速と車輪の回転速度との偏差の大きさに基づ
いて評価基準値を設定する。そして、制動力調整手段の
ブレーキ液圧制御手段が評価値演算手段にて算出された
評価値と、評価基準値設定手段にて設定された評価基準
値とを比較してブレーキ液圧を制御する。
【0014】
【実施例】本発明による制動力制御装置を後輪駆動車に
応用した一実施例について図1〜図8を参照しつつ詳細
に説明する。
【0015】本実施例の概略機構を表す図2およびその
ブレーキ液圧制御回路の一部を表す図3に示すように、
マイクロコンピュータを含む制御ユニット(以下、これ
をECUと記述する)40には、操舵車輪である右前輪
10FRおよび左前輪10FLの回転に応じたパルス信号を
このECU40にそれぞれ出力する車輪速センサ3
FR, 30FLと、駆動車輪である右後輪20RRおよび左
後輪20RLの回転に応じたパルス信号を上述したECU
40にそれぞれ出力する車輪速センサ30RR, 30RL
が接続している。各車輪10FR, 10FL, 20RR, 20
RLにそれぞれ配設されたホイールシリンダ50と、運転
者がブレーキペダル52を踏むことによってブレーキ液
圧を発生するマスタシリンダ54とは、主液通路56を
介して連通しており、この主液通路56の途中には各ホ
イールシリンダ50のブレーキ液圧を切換制御するアク
チュエータユニット60がそれぞれ介装されており、前
記ECU40にはブレーキペダル52の踏み込みを検出
してそのオン信号をECU40に出力するブレーキスイ
ッチ57が接続している。
【0016】各アクチュエータユニット60は、ホイー
ルシリンダ50の液圧の増圧を切換え制御するために主
液通路56に介設された増圧切換制御弁61と、減圧を
切換え制御するために減圧通路58に介設された減圧切
換制御弁62と、ホイールシリンダ50の減圧時にこの
ホイールシリンダ50からのブレーキ液が貯えられるリ
ザーバ63とを具え、これらアクチュエータユニット6
0のリザーバ63に貯えられたブレーキ液を主液通路5
6に戻すためのポンプ64と、このポンプ64を駆動す
るモータ65とが主液通路56とこれらアクチュエータ
ユニット60との間に介装されている。
【0017】前記ECU40は、運転者がブレーキペダ
ル52を踏み込んだ時点からの車両の減速割合を予め設
定し、この状態において路面に対しタイヤが最大摩擦力
を発生するような車輪速となるように、ホイールシリン
ダ50に対するブレーキ液の給排を自動的に調整するア
ンチロックブレーキ制御(以下、これをABS制御と記
述する)を行う。ただし、この状態を継続したままでは
実際の車速の変化を把握することができないので、定期
的に制動力を低下させて車輪速を実際の車速まで戻し、
この時点から再び車両の減速割合をこの間の実際の車両
の減速割合に基づいて設定し直し、この状態において路
面に対しタイヤが最大摩擦力を発生するような車輪速の
変化となるように、ホイールシリンダ50に対するブレ
ーキ液の給排を切り換える。
【0018】このような本実施例における基本的な制御
機構を図1に示し、その制御手順の流れを図4に示す。
すなわち、ECU40はM100のステップにて各車輪
速センサ30FR, 30FL, 30RR, 30RLの出力に基づ
き、各車輪10FR, 10FL,20RR, 20RLの回転速度
(以下、これを車輪速と略称する)VFR, VFL, VRR,
RL(以下、これらをまとめてVW と記述する場合があ
る)と、これらの速度変化率である車輪加速度αW とを
算出し、これらを図示しないメモリに順次記憶する。
【0019】つまり、M100のステップでの車輪速セ
ンサ30FR, 30FL, 30RR, 30RLによる車輪速VW
の検出操作が、本発明における車輪速検出ステップに該
当し、ECU40はこの図4のフローチャートに示され
たプログラムを所定周期毎、例えば、5ミリ秒毎に実行
する。
【0020】次に、ECU40に組み込まれた疑似車速
設定部41は、M100のステップにて算出された車輪
速VW のうち、最大の車輪速VWSに基づいてブレーキの
制動操作中に設定される車両の走行速度(以下、これを
疑似車速と呼称する)VI をM200のステップにて算
出する。つまり、このM200での疑似車速設定部41
における疑似車速VI の算出操作が、本発明における疑
似車速設定ステップに該当する。この疑似車速VI を算
出するのは、従動輪である前輪10FR, 10FLが制動中
はスリップ状態にあるため、非制動時のようにこれら前
輪10FR, 10FLの回転速度の平均値をそのまま車両の
実際の走行速度として制動時に利用できないためであ
る。また、制動中における車輪10FR, 10FL, 2
RR, 20RLは少なくともスリップ状態にあり、実際の
車速よりも低回転状態となっているため、最もスリップ
量が少ないと予想される最大の車輪速VWSを疑似車速V
I として採用する。
【0021】このような本実施例における疑似車速設定
部41による疑似車速VI の演算手順を図5に示す。す
なわち、ECU40はまずM201のステップにてブレ
ーキスイッチ57がオンか否かを判定し、ブレーキスイ
ッチ57がオフである、すなわちブレーキペダル52が
踏まれていないと判断した場合には、従動輪である左右
の前輪10FR, 10FLにスリップが発生していないの
で、M202のステップに移行し、下式のように左右の
前輪10FR, 10FLの車輪速VFR, VFLの平均値を疑似
車速VI として採用する。
【0022】
【数1】VI =(VFR+VFL)/2 そして、このM202のステップにて算出された疑似車
速VI をM203のステップにてブレーキ開始時点t0
における車両の走行速度(以下、これをブレーキ開始車
速と呼称する)VO として採用した後、M204のステ
ップにて後述する初回減速割合算出済フラグFVPおよび
周期カウンタのカウント値CS1をそれぞれ0にリセット
する。
【0023】一方、M201のステップにてブレーキス
イッチ57がオン、すなわちブレーキペダル52が踏ま
れていると判断した場合には、M205のステップに移
行してECU40に内蔵された図示しないクロックパル
スを上述した制御サイクル毎に積算、すなわち周期カウ
ンタのカウント値CS1を1つカウントアップする。この
周期カウンタは、後述するようにブレーキ開始時点t0
からの車両の減速度を算出するためのものである。次
に、車輪速VWSから算出される車輪加速度αW が加速傾
向から減速傾向へ変わったか否かが各車輪10FR, 10
FL, 20RR, 20RL, 毎にM206のステップにて判定
される。このM206のステップにおける判定操作は、
制動操作後の車輪速が実際の車速よりも遅くなるため、
制動力を一時的に解除した状態では路面との摩擦に伴っ
て実際の車速まで車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RL
の回転が復帰することから、車輪速VW が実際の車速に
まで復帰したか否かを判断するために行われる。
【0024】このM206のステップにて前回の車輪加
速度αW(n-1)が0以上であって、かつ今回の車輪加速度
αW(n)が負である、すなわち今回初めて車輪加速度α
W(n)が負に転じたと判断した場合には、M207のステ
ップに移行してブレーキペダル52を踏み込んでから最
初の車両の減速度が算出されたことを意味する初回減速
度算出済フラグFVPを1にセットし、この車輪速復帰時
点t2 での疑似車速VIとして当該車輪速復帰時点t2
における車両の走行速度(以下、これを復帰実車速と呼
称する)VP を採用する。なお、M206のステップに
て車輪加速度αが正である、すなわち車輪速V
実際の車速にまで復帰していないと判断した場合には、
M207のステップを介することなくM208のステッ
プへ移行し、初回減速度算出済フラグFVPが1にセット
されているか否かを判定する。
【0025】このM208のステップにて初回減速度算
出済フラグFVPが0にリセットされている、すなわち実
際の車速を検知するために制動力の一時的な低下操作を
一回も行っていないと判断した場合には、M209のス
テップへ移行し、前回の疑似車速VI に基づいて下式
(1) により今回の疑似車速VI を算出する。
【0026】
【数2】 VI =VI −K1 ・・・ (1) ただし、K1 は摩擦係数μの大きい乾燥状態の路面に対
する車両の最大の減速度を想定して予め設定した速度差
であり、上記(1) 式によってブレーキ開始時点t0 から
の車両の減速度が設定される。
【0027】そして、M208のステップにおいて、初
回減速度算出済フラグFVPが1にセットされている、す
なわち実際の車速を検知するために制動力の一時的な低
下操作をすでに行っていると判断した場合には、M21
0のステップに移行してブレーキ開始時点t0 における
ブレーキ開始車速VO と、車輪速復帰時点t2 における
復帰実車速VP および周期カウンタのカウント値CS1
を用いて下式(2) により、上述した1制御サイクル当り
の実際の車両の減速量VK を算出する。
【0028】
【数3】 VK =(VO −VP )/CS1 ・・・ (2) 次に、M211のステップにて1制御サイクル当りの減
速度VK を用い、上述した(1) 式に代えて下式(3) によ
り疑似車速VI を算出する。
【0029】
【数4】 VI =VI −VK −K2 ・・・
(3) ただし、Kは、路面状況等の変化や(2) 式にて算出
される1制御サイクル当りの実際の車両の減速度VK
誤差等により、疑似車速VI が実際の車速より大きく設
定されてしまい、これに伴って制動力が弱すぎる状態が
発生するのを確実に防止するための安全性を考慮した毎
時0km以上の速度補正量である。
【0030】つまり、実際の車両の減速度VK が(2) 式
にて算出されるまでは、予め設定された減速度となるよ
うに、(1) 式に基づいて制動中の疑似車速VI を推定す
るが、実際の車両の減速度VK が(2) 式にて算出された
後は、これに対応した(3) 式に基づいて制動中の疑似車
速VI をより正確に推定することができる。
【0031】このようにして、M209またはM211
のステップにて制動中の疑似車速VI を推定した後、こ
の疑似車速VI が最大車輪速VWSよりも小さいか否かを
M212のステップにて判定する。そして、このM21
2のステップにて疑似車速VI が最大車輪速VWSよりも
小さい、すなわち上述した制動力の一時的な低下操作が
開始されたと判断した場合や、路面状況の変化等が発生
したと判断した場合には、(1) 式あるいは(3) 式にて算
出された疑似車速VI を採用せず、M213のステップ
にて上述した最大車輪速VWSを今回の疑似車速VI とし
て採用し、再びM201以降のステップを繰り返す。ま
た、M212のステップにて疑似車速VI が最大車輪速
WS以上である、すなわち制動操作により車輪10FR,
10FL,20RR, 20RLがスリップ状態にあると判断し
た場合には、特に問題がないので再びM201以降のス
テップを繰り返す。
【0032】上述した疑似車速VI の演算ルーチンによ
り算出される疑似車速VI に基づき、M300のステッ
プにて各車輪10FR, 10FL, 20RR, 20RLのスリッ
プ率Sが疑似車速VI と各車輪速VW とを用いて下式
(4) によりそれぞれ算出される。
【0033】
【数5】 S=(VI −VW ) /VI ・・・
(4) 次に、M400のステップにてホイールシリンダ50に
対してブレーキ液圧の制御を行うアンチロックブレーキ
制御(以下、これをABS制御と記述する)において、
上述したホイールシリンダ50に対する減圧や増圧、あ
るいは液圧保持のモードを決定するルーチンが実行され
る。
【0034】本実施例における上述した操作は、ECU
40内に設けた後述する目標車輪速設定部42にて設定
される目標車輪速Vと、車輪速センサ30FR, 30
FL, 30RR, 30RLにて検出される各車輪速VW との偏
差ΔVをECU40内に設けた車輪速偏差演算部43に
て算出し、この車輪速偏差演算部43にて算出された偏
差ΔVの増減傾向、つまりその変化率βに基づき、EC
U40内に設けた評価値演算部44にてホイールシリン
ダに対するブレーキ液圧を制御するための評価値Zを算
出する。同時に、車輪速偏差演算部43にて算出された
偏差ΔVの大きさに基づき、評価基準値設定部45にて
評価基準値ZS1, ZS2を設定し、ECU40に設けた制
動力調整部46内のブレーキ液圧制御部47にてこれら
評価値Zと評価基準値ZS1, ZS2とが比較され、比例微
分制御により行われる。
【0035】このようなホイールシリンダ50に対する
ブレーキ液圧の制御の流れを図6のフローチャートに示
す。すなわち、まず、M401のステップにてABS制
御中であることを意味するABS制御中フラグFB が1
にセットされているか否かを判定し、ABS制御中フラ
グFB が1にセットされていない、すなわちABS制御
中ではないと判断した場合には、M402のステップに
移行し、前記(4) 式で算出されたスリップ率Sが路面に
対してタイヤが最大摩擦力を得られるスリップ率、例え
ば0. 15以上か否かを判定する。スリップ率Sが0.
15未満である、すなわち車輪がロック気味ではないと
判断した場合には、再びM401のステップに戻る。ま
た、このM402のステップにおいてスリップ率Sが
0. 15以上である、すなわち車輪がロック気味になっ
ている可能性があると判断した場合には、M403のス
テップに移行し、ABS制御中フラグFB を1にセット
して後述するM404のステップへ移行する。
【0036】一方、M401のステップにてABS制御
中フラグFB が1にセットされている、すなわちABS
制御中であると判断した場合には、M405のステップ
に移行して増圧カウンタのカウント値CP が所定値B以
上か否かを判定する。この増圧カウンタの所定値Bは車
両が停止するのに十分な値であって、路面状況や車速等
に基づいて予め適当な値に設定される。つまり、このM
405のステップにて増圧カウンタのカウント値CP
所定値B未満である、すなわち車両が停止状態にないと
推定した場合には、後述するM404のステップに移行
する。逆に、増圧カウンタのカウント値CP が所定値B
以上である、すなわち車両が停止状態となっている可能
性があると判断した場合には、M406のステップに移
行してスリップ率Sが路面に対してタイヤが最大摩擦力
を得られるスリップ率である上述した0. 15以下か否
かを判定する。
【0037】そして、このM406のステップにてスリ
ップ率Sが0. 15以上である、すなわち車両はまだ完
全に停止していないと判断した場合には、後述するM4
04のステップへ移行する。また、M406のステップ
にてスリップ率Sが0. 15以下である、すなわち車両
が停止状態にあると判断した場合には、M407のステ
ップに移行してABS制御中フラグFB を0にリセット
し、さらに増圧カウンタのカウント値CP を0にリセッ
トして再びS401のステップに戻る。
【0038】前記M404のステップでは、後述する目
標車輪速VS と各車輪速VW との偏差ΔVを下式(5) に
基づいて算出する。つまり、車輪速偏差演算部43での
下式(5) の演算操作が本発明の車輪速偏差演算ステップ
に該当する。
【0039】
【数6】 ΔV=VS −VW ・・・ (5) そして、M408のステップに移行し、(5) 式にて算出
された目標車輪速VSと各車輪速VW との偏差ΔVの絶
対値が、所定値J以上であるか否かを判定する。このM
408のステップにて目標車輪速VS と各車輪速VW
の偏差ΔVの絶対値が、偏差基準値J以上である、すな
わち偏差ΔVの収束性が充分に確保されていないと判断
した場合には、M409のステップにて偏差カウンタの
カウント値CV を一つ繰り上げた後、M410のステッ
プにてこの偏差カウンタのカウント値CV が所定値D以
上であるか否かを判定する。
【0040】このM410のステップにてこの偏差カウ
ンタのカウント値CV が所定値D以上である、すなわち
路面摩擦係数が変化したり、車輪に対する荷重が連続し
て変化し、偏差ΔVの収束性がある一定時間確保されて
いないと判断した場合には、M411のステップに移行
して後述する増圧評価基準値ZS1および減圧評価基準値
S2をそれぞれ0に設定し、後述する増圧出力および減
圧出力のみ選択され、保持出力が選択されないように
し、さらに後述するM412のステップに移行する。評
価基準値設定部45での上述した増圧評価基準値ZS1
よび減圧評価基準値ZS2をそれぞれ0に設定する操作
が、本発明における評価基準値設定ステップに該当す
る。
【0041】前記M408のステップにて目標車輪速V
S と各車輪速VW との偏差ΔVの絶対値が、所定値J未
満である、すなわち偏差ΔVの収束性が確保されている
と判断した場合には、M413のステップに移行して偏
差カウンタのカウント値CVを一つ繰り下げた後、M4
14のステップにて後述する増圧評価基準値ZS1を所定
値L1 (ただし、L1 <0)に設定すると共に減圧評価
基準値ZS2を所定値L2 (ただし、L2 >0)に設定す
る。そして、M415のステップにて偏差カウンタのカ
ウント値CV が0以下であるか否かを判定する。評価基
準値設定部45での上述した増圧評価基準値ZS1を所定
値L1 に設定すると共に減圧評価基準値ZS2を所定値L
2 に設定する操作が、本発明における評価基準値設定ス
テップに該当する。
【0042】このM415のステップにて偏差カウンタ
のカウント値CV が0以下の場合には、偏差カウンタの
カウント値CV を0にリセットし、後述するM412の
ステップに移行する。また、M415のステップにて偏
差カウンタのカウント値Cが0以下ではないと判断し
た場合には、そのままM412のステップに移行する。
【0043】さらに、前記M410のステップにて偏差
カウンタのカウント値Cが所定値D未満である、す
なわち偏差ΔVの収束性の悪化がある一定時間以上継続
していないと判断した場合には、M414のステップに
移行する。
【0044】前記M410のステップでは、(5) 式によ
り算出された目標車輪速VS と各車輪速VW との偏差Δ
Vとその変化率βとに基づき、M412のステップにて
下式(6) により比例微分制御のための評価値Zを算出
し、ホイールシリンダ50に対するブレーキ液圧の減圧
や増圧、あるいは液圧保持のモードを決定する。つま
り、評価値演算部44での下式(6) の演算操作が本発明
の評価値演算ステップに該当する。
【0045】
【数7】 Z=G(ΔV+K・β) ・・・ (6) ただし、GおよびKは車両の特性等に基づいて予め設定
された正の値を持つ係数である。
【0046】次に、M417のステップにて評価値Zが
予め設定された0より小さい増圧評価基準値ZS1以下で
あるか否かを判定し、評価値Zが増圧評価基準値ZS1
り小さい、すなわち目標車輪速VS が実際の車輪速VW
より下回るか、あるいは下回る方向に向かっていると判
断した場合には、M418のステップにてホイールシリ
ンダ50に対する増圧指令を出力し、増圧切換制御弁6
1を開、減圧切換制御弁62を閉としてホイールシリン
ダ50のブレーキ液圧を上昇させた後、M419のステ
ップにて増圧カウンタのカウント値CP を1つ加算し、
再びM401のステップに戻る。
【0047】一方、M417のステップにて評価値Zが
増圧評価基準値ZS1を越えていると判断した場合には、
M420のステップに移行し、前記評価値Zが予め設定
された0よりも大きな減圧評価基準値ZS2以上であるか
否かを判定する。このM420のステップにて評価値Z
が減圧評価基準値ZS2以上である、すなわち目標車輪速
S が実際の車輪速VW より上回るか、あるいは上回る
方向に向かっていると判断した場合には、M421のス
テップに移行してホイールシリンダ50に対する減圧指
令を出力し、増圧切換制御弁61を閉、減圧切換制御弁
62を開としてホイールシリンダ50のブレーキ液圧を
下降させた後、M422のステップに移行して増圧カウ
ンタのカウント値CP を0にリセットして再びM401
のステップに戻る。
【0048】また、M420のステップにて評価値Zが
減圧評価基準値ZS2未満である、すなわち評価値Zが増
圧評価基準値ZS1と減圧評価基準値ZS2との間にあるこ
とから、目標車輪速VS が実際の車輪速VW にほぼ近い
状態であると判断した場合には、M423のステップに
移行して保持指令を出力し、増圧切換制御弁61を閉、
減圧切換制御弁62を閉としてホイールシリンダ50の
ブレーキ液圧を保持した後、M417のステップに移行
する。
【0049】このように、偏差ΔVの絶対値が所定値J
より大きい状態が所定時間継続した場合、増圧評価基準
値ZS1および減圧評価基準値ZS2をそれぞれ0に設定す
ることにより、ホイールシリンダ50に対するブレーキ
液圧をそのままの状態に保持することなく、増圧かある
いは減圧することにより、目標車輪速VS と各車輪速V
W との偏差ΔVを迅速に収束させることができ、制動距
離をより短くすることができる。上述したM417〜M
423のステップが、本発明におけるブレーキ液圧制御
部47におけるブレーキ液圧制御ステップに該当する。
【0050】なお、増圧カウンタを設けて増圧出力毎に
そのカウント値CP をカウントアップして行き、上述し
たブレーキ液給排モード決定ルーチンの初期段階のM4
05のステップにて増圧カウンタのカウント値CP が所
定値Bを越えたか否かを判定することにより、車両が停
止状態であるかを判断する理由は、車両が停止状態にあ
る時には、評価値Zが増圧増圧評価基準値ZS1と減圧評
価基準値ZS2との間にあり、ホイールシリンダ50に対
するブレーキ液圧の保持出力を行なう必要がないにもか
かわらず、増圧切換制御弁61に保持出力を出してしま
うからである。
【0051】M400のステップにおけるブレーキ液給
排モード決定ルーチンが終了すると、M500のステッ
プにて目標スリップ率SO および目標車輪速VS の決定
のためのルーチンがECU40の目標車輪速設定部42
にて実行される。基本的には、車輪FR, 10FL, 2
RR, 20RLに対する制動力を周期的に低下させて車輪
速VW を実際の車速まで戻すための周期カウンタのカウ
ント値CS2が予め設定した値Aに達する度に、疑似車速
I および車輪速VW よりも大きな第二の目標車輪速V
S を設定する一方、これ以外の期間は所定の制動力が得
られる第一の目標車輪速VS を設定する。このため、目
標車輪速VS の初期値を算出する際に利用される目標ス
リップ率SO を、第二の目標車輪速VS の場合と第一の
目標車輪速VS の場合とでECU40内に組み込まれた
目標車輪速切換部48にて切り換えるようにしており、
この初期値を基準として目標車輪速VS をそれまでの疑
似車速VI の減速度に対応して漸次減少させるようにし
ている。
【0052】このような本実施例における目標車輪速設
定部42および目標車輪速切換部48での処理手順を図
7のフローチャートに示す。すなわち、M501のステ
ップにてABS制御中フラグFB が1にセットされてい
るか否かを判断し、ABS制御中フラグFB が0にリセ
ットされている、すなわちABS制御中ではないと判断
した場合には、M502のステップに移行して周期カウ
ンタのカウント値CS2および切換フラグFC および目標
車輪速設定済フラグFV を0にリセットした後、再びM
501のステップに戻る。
【0053】また、M501のステップにてABS制御
中フラグFB が1にセットされている、すなわちABS
制御中であると判断した場合には、M503のステップ
に移行して周期カウンタのカウント値CS2を1つ繰り上
げてM504のステップに移行する。このM504のス
テップでは周期カウンタのカウント値CS2が所定値A以
上か否かを判定し、周期カウンタのカウント値CS2が所
定値A以上である、すなわち実際の車速を判断するため
に制動力を一時的に解除する時期に達していると判断し
た場合には、M505のステップに移行して周期カウン
タのカウント値CS2を0にリセットし、さらに切換フラ
グFC を1にセットする。そして、M506のステップ
にて目標スリップ率SO を車速判定用の目標スリップ
率、例えば−0. 1に設定することにより、ホイールシ
リンダ50に対して減圧出力が実行され、制動力が徐々
に解除されて車輪速VW を増速傾向に切り換えることが
できる。
【0054】上述したM506のステップに続いてM5
07のステップでは、目標車輪速設定済フラグFV が1
にセットされているか否かを判定し、これが1にセット
されていない、すなわち車両の実際の減速度が算出され
ていないと判断した場合には、M508のステップにて
目標車輪速VS を下式(7) により算出した後、M509
のステップにて目標車輪速設定済フラグFV を1にセッ
トし、再びM501のステップに戻る。
【0055】
【数8】 VS =(1−SO )・VI ・・・ (7) また、M507のステップにて目標車輪速設定済フラグ
V が1にセットされていると判断した場合には、M5
10のステップにて今回の目標車輪速VS(n)を下式(8)
にて算出し、再びM501のステップに戻る。
【0056】
【数9】 VS(n)=VS(n-1)−VK ・・・ (8) つまり、前記(2) 式により、1制御サイクル当りの実際
の車両の減速量VK が算出されるまでの初回減速度割合
算出済フラグFVPが0にリセットされている状態では、
(1) 式にて算出される疑似車速VI に基づいて(7) 式に
より目標車輪速VS を算出するが、1制御サイクル当り
の実際の車両の減速量VK が算出された後の初回減速度
割合算出済フラグFVPが1にセットされた状態では、
(8) 式にてより正確な目標車輪速VS が算出される。
【0057】一方、M504のステップにて周期カウン
タのカウント値CS2が所定値A未満である、すなわち実
際の車速を判断するために制動力を一時的に解除する新
たな時期にまだ達していないと判断した場合には、M5
11のステップに移行して切換フラグFC が1にセット
されているか否かを判定する。このM511のステップ
にて切換フラグFC が1にセットされている、すなわち
実際の車速を判断するために制動力を一時的に解除して
いる状態にあると判断した場合には、M512のステッ
プに移行して車輪速VW が疑似車速VI にまで回復した
かをみるため、車輪加速度αW が0以上で、かつスリッ
プ率Sが所定値、例えば0. 05以下か否かを判定す
る。このM512のステップにて車輪加速度αW が負で
あるか、あるいはスリップ率Sが0. 05を越えてい
る、つまり車輪速VW が充分に回復していないと判断し
た場合には、前記M506のステップに移行して目標ス
リップ率SO として車速判定用のスリップ率である−
0. 1を選択し、M508およびM510のステップに
て実際の車速を検出するための第二の目標車輪速VS
算出する。
【0058】このように、切換フラグFC が1にセット
されている状態では、目標スリップ率SO として車速判
定用のスリップ率である−0. 1を採用し、前記(7) 式
にて算出される第二の目標車輪速VS の初期値をその直
前の最大車輪速VWSまたは疑似車速VI よりも大きく設
定することにより、ブレーキのホイールシリンダ50か
らブレーキ液が迅速に排出されるようにし、さらにこの
状態からそれまでの疑似車速VI の減速度に応じて第二
の目標車輪速VS を減少させることにより、制動効果の
少ない切換フラグFC が1にセットされている期間を短
くすることができる。
【0059】逆に、前記M512のステップにて車輪加
速度αW が0以上で、かつスリップ率Sが0. 05以下
である、すなわち車輪速VW が疑似車速VI にまで回復
していると判断した場合には、M513のステップにて
切換フラグFC および目標車輪速設定済フラグFV をそ
れぞれ0にリセットした後、M514のステップに移行
して目標スリップ率SO として路面に対しタイヤが最大
摩擦力を得られるスリップ率、例えば0. 15を採用
し、M507のステップに移行して所定の制動力が得ら
れる第一の目標車輪速VS を前述したM508およびM
510のステップにて設定する。
【0060】なお、この目標車輪速設定部42にて設定
される第一の目標車輪速VS および第二の目標車輪速V
S を所定の条件で切り換える本発明の目標車輪速切換部
48は、上述した周期カウンタを有するECU40の一
部で構成される。また、上述したM512のステップに
おいて、スリップ率Sが0ではなく、0. 05以下であ
るか否かを判断するようにしたのは、ノイズ等の混入に
よる誤判断を防止するためである。さらに、路面に対し
てタイヤが最大摩擦力を得られる目標スリップ率とし
て、本実施例では0. 15を採用したが、車両の走行状
態や路面状況等に基づいて変更するようにしても良い。
【0061】上述した本実施例における制動操作を行っ
た場合の実際の車速と疑似車速と車輪速と目標車輪速と
の関係を図8に模式的に示しておく。この図8から明ら
かなように、切換フラグが1にセットされている状態で
は、第二の目標車輪速Vs が車輪速復帰時点t2 まで常
に減少していることから、この車輪速復帰時点t2 から
制動力が有効に作用するまでの時間が短くなり、車輪速
復帰時点t2 における車輪速を第一の目標車輪速Vs
対して迅速に収束させることができる。
【0062】このように、本実施例ではブレーキペダル
52の踏込みによるブレーキ開始時点t0 から所定の
間、摩擦係数の大きな乾燥路における車両の減速度を想
定して設定した速度差値K1 を用いてこの間の疑似車速
I を算出し、この疑似車速VI に基づいて設定される
第一の目標車輪速VS に車輪速Vw を収束させ、所定時
間経過後にホイールシリンダ50の液圧を減圧すること
により、車輪速VW を実際の車速まで復帰させ、これに
より実際の車両の減速度を修正するようにしたが、疑似
車速VI に基づいて設定される第一の目標車輪速VS
対し、車輪速Vwを所定の許容差で追従させても良く、
本実施例で採用した目標車輪速Vを車輪のスリップ
率に換算して上述した制御を行うようにしても良い。ま
た、ブレーキ開始時点t0 から車輪速VW が所定の閾値
以下に達した場合、直ちに減圧を開始して車輪速VW
早急に実際の車速と対応した車輪速にまで復帰させ、実
際の車両の減速度を算出することにより、より早く正確
な疑似車速VI を得ることも可能である。
【0063】
【発明の効果】本発明のアンチロックブレーキ方法およ
びその装置によると、目標車輪速と各車輪速との偏差の
大きさに応じて評価基準値を設定することにより、例え
ば目標車輪速と各車輪速との偏差が大きい場合、ホイー
ルシリンダに対するブレーキ液圧をそのままの状態に保
持することなく、増圧かあるいは減圧することにより、
目標車輪速と各車輪速との偏差を迅速に収束させること
ができ、制動距離をより短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアンチロックブレーキ装置を後輪
駆動車に応用した一実施例における制御ブロック図であ
る。
【図2】本実施例におけるアンチロックブレーキ装置の
システム概念図である。
【図3】本実施例におけるブレーキ液圧回路の一部を表
す概念図である。
【図4】本実施例における基本的な制御手順の一例を表
すフローチャートである。
【図5】本実施例における疑似車速設定部の処理の流れ
を表すフローチャートである。
【図6】本実施例における車輪速偏差演算部および評価
基準値設定部および評価値演算部およびブレーキ液圧制
御部の処理の流れを表すフローチャートである。
【図7】本実施例における目標車輪速設定部および目標
車輪速切換部の処理の流れを表すフローチャートであ
る。
【図8】本実施例における実際の車速と疑似車速と車輪
速と目標車輪速との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
10FR, 10FL, 20RR, 20RL 車輪 30FR, 30FL, 30RR, 30RL 車輪速センサ 40 ECU(制御ユニット) 41 疑似車速設定部 42 目標車輪速設定部 43 車輪速偏差演算部 44 評価値演算部 45 評価基準値設定部 46 制動力調整部 47 ブレーキ液圧制御部 48 目標車輪速切換部 50 ホイールシリンダ 52 ブレーキペダル 57 ブレーキスイッチ 61 増圧切換制御弁 62 減圧切換制御弁 A 周期カウンタの予め設定した値 B 増圧カウンタの所定値 CS1, CS2 周期カウンタのカウント値 CP 増圧カウンタのカウント値 FC 切換フラグ FV 目標車輪速設定済フラグ FB ABS制御中フラグ FVP 初回減速度算出済フラグ G 係数 K 係数 K1 速度差 K2 速度補正量 L1,L2 所定値 S 車輪のスリップ率 SO 目標スリップ率 t0 ブレーキ開始時点 t2 車輪速復帰時点 VFR, VFL, VRR, VRL, VW 車輪速 VWS 最大車輪速 VO ブレーキ開始車速 VI 疑似車速 VS 目標車輪速 VP 復帰実車速 VK 1制御サイクル当りの実際の車両の減速量 ΔV 目標車輪速と車輪速との偏差 Z 評価値 ZS1 増圧評価基準値 ZS2 減圧評価基準値 αW 車輪加速度 αWS 最大車輪加速度 β 目標車輪速と車輪速との偏差の変化率

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出ス
    テップと、 この車輪速検出ステップにて検出された車輪速に基づい
    て制動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設
    定ステップと、 この疑似車速設定ステップにて設定された疑似車速と前
    記車輪速検出ステップにて検出された車輪速とに基づ
    き、所定の制動力が得られる目標車輪速を設定する目標
    車輪速設定ステップと、 前記車輪速検出ステップにて検出される車輪速が目標車
    輪速に追従するように、前記車輪に対する制動力を調整
    する制動力調整ステップとを具えたアンチロックブレー
    キ方法において、 前記目標車輪速設定ステップにて設定された目標車輪速
    と、前記車輪速検出ステップにて検出された前記車輪の
    回転速度との偏差を算出する車輪速偏差演算ステップ
    と、 この車輪速偏差演算ステップにて算出された目標車輪速
    と前記車輪の回転速度との偏差の増減傾向に基づき、ホ
    イールシリンダに対するブレーキ液圧を制御するための
    評価値を算出する評価値演算ステップと、 前記車輪速偏差演算ステップにて算出された目標車輪速
    と前記車輪の回転速度との偏差の大きさに基づき、評価
    基準値を設定する評価基準値設定ステップとを具え、 前記制動力調整ステップは、前記評価値演算ステップに
    て算出された評価値と、前記評価基準値設定ステップに
    て設定された評価基準値とを比較してブレーキ液圧を制
    御するブレーキ液圧制御ステップを有することを特徴と
    するアンチロックブレーキ方法。
  2. 【請求項2】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手
    段と、 この車輪速検出手段にて検出された車輪速に基づいて制
    動中における車両の疑似車速を設定する疑似車速設定手
    段と、 この疑似車速設定手段にて設定された疑似車速と前記車
    輪速検出手段にて検出された車輪速とに基づき、所定の
    制動力が得られる目標車輪速を設定する目標車輪速設定
    手段と、 前記車輪速検出手段にて検出される車輪速が目標車輪速
    に追従するように、前記車輪に対する制動力を調整する
    制動力調整手段とを具えたアンチロックブレーキ装置に
    おいて、 前記目標車輪速設定手段にて設定された目標車輪速と、
    前記車輪速検出手段にて検出された前記車輪の回転速度
    との偏差を算出する車輪速偏差演算手段と、 この車輪速偏差演算手段にて算出された目標車輪速と前
    記車輪の回転速度との偏差の増減傾向に基づき、ホイー
    ルシリンダに対するブレーキ液圧を制御するための評価
    値を算出する評価値演算手段と、 前記車輪速偏差演算手段にて算出された目標車輪速と前
    記車輪の回転速度との偏差の大きさに基づき、評価基準
    値を設定する評価基準値設定手段とを具え、 前記制動力調整手段は、前記評価値演算手段にて算出さ
    れた評価値と、前記評価基準値設定手段にて設定された
    評価基準値とを比較してブレーキ液圧を制御するブレー
    キ液圧制御手段を有することを特徴とするアンチロック
    ブレーキ装置。
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