JPH0722586B2 - 歯科用切削具の製造法 - Google Patents

歯科用切削具の製造法

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JPH0722586B2
JPH0722586B2 JP2098413A JP9841390A JPH0722586B2 JP H0722586 B2 JPH0722586 B2 JP H0722586B2 JP 2098413 A JP2098413 A JP 2098413A JP 9841390 A JP9841390 A JP 9841390A JP H0722586 B2 JPH0722586 B2 JP H0722586B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は歯科治療あるいは歯科技工用に用いる歯科用切
削具の製造法の改良に関するものである。
(従来の技術) 従来歯科用切削具としては、鉄系の合金鋼、あるいは超
硬合金、超微粒子超硬合金またはサーメットを素材と
し、切削刃および刃溝をその頭部Aに持つ第1図のよう
な構成の歯科用バーが使用されている。ここで被切削物
である人歯は、エナメル質の場合ヌープ硬さで343前後
と一般のガラス並の高い硬度を有している為、切削にお
ける切削刃の耐久性を乏しく、作業中に急速な切削性能
の劣化を生じるという欠点がある。また、金属基材の表
面にダイヤモンドパウダーをニッケルまたはクロムメッ
キを用いて強固に電着させた切削面を頭部Bにもつ第2
図のような構成の歯科用ダイヤモンドポイントも用いら
れ、このものはエナメル質のように高い硬度を有してい
る被切削物の研削には適するが、ヌープ硬さで68前後と
より軟質の人歯象牙質の研削では歯科用バーと異なり、
切り屑を排出する刃溝を持たない為、目詰まりにより切
削性能が低下するという不利がある。このような切削性
能の劣化した切削具を継続して使用すると、作業性が低
下するばかりでなく、多量の摩擦熱と微振動が生じ、こ
の発熱は患者に不快感や疼痛を与え、また、微振動は二
次カリエスの発生を誘起する可能性がある。さらに最近
においてはエアタービン、エアベアリングを使用した高
速回転型のハンドピースが普及するのに伴い、歯科用切
削具にはより一層の耐久性が求められるようになってき
た。
(発明が解決しようとする課題) 上述した不利、欠点を解決し、被切削物の硬度を問わず
終始安定した研削性能を維持し、耐久性に優れた歯科用
切削具として金属製歯科用バーの表面にダイヤモンド薄
膜を形成することが考えられたが、鉄系の合金鋼上にダ
イヤモンド膜を形成することは極めて困難である。そこ
で、超硬合金、超微粒子超硬合金あるいはサーメットを
用いてもダイヤモンド膜とは通常その密着性が悪いので
種々の中間膜を介して密着性を改善しようとする技術が
開発されている。例えば特開昭58-126972号公報には、
セラミック系の中間膜を形成した後、ダイヤモンド薄膜
を形成することが記載されている。また、特開昭59-159
981号公報には、金属の中間膜上にダイヤモンド薄膜を
形成してなる工具が記載されている。しかしながらこれ
らのいづれの方法でも、中間膜を形成した後、ダイヤモ
ンド薄膜を形成するという分離独立した工程を組合わせ
ることにより成り立っているため、各層間の密着性が必
ずしも充分でなく、これらの技術により実用的な歯科用
切削具を得ることは難しい。
本発明は、被切削物の硬度を問わず、終始安定した切削
性能を有し、かつ耐久性に優れた歯科用切削具を提供し
ようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、このような課題を解決すべく、切削刃表
面へのダイヤモンド薄膜形成法について種々検討した結
果、超硬合金、超微粒子超硬合金あるいはサーメット基
材の表面に、Wよりなる薄膜を被覆した後、炭素源を含
有するマイクロ波励起プラズマガスにより浸炭させてWC
とし、それと同時に基材表面に焼結密着させてWCよりな
る中間膜とし、引続き同装置内で中間膜上にダイヤモン
ド状炭素多結晶層を付着形成せしめた歯科用切削具によ
れば前記諸課題を解決することを見出し本発明を完成す
るに至った。その要旨は、超硬合金、超微粒子超硬合金
およびサーメットの内から選ばれた1種の材質からなる
歯科用バーを基材とし、その頭部の刃溝を有する切削刃
表面にWを0.01〜1.0μmの厚さに蒸着した後、該蒸着
膜を水素および炭化水素ガスを原料としたマイクロ波励
起プラズマガス中で浸炭させてWCとし、それと同時に基
材表面に焼結密着させてWCよりなる中間膜とし、さらに
該中間膜の表面にダイヤモンド状炭素多結晶膜を成膜す
ることを特徴とする歯科用切削具の製造法、および超硬
合金、超微粒子超硬合金およびサーメットの内から選ば
れた1種の材質からなる切削刃基材表面に、厚さ0.01〜
1.0μmのWよりなる蒸着膜を被覆した後、水素および
炭化水素ガスを原料としたマイクロ波励起プラズマガス
中で浸炭させてWC中間膜とし、それと同時にプラズマガ
スの熱輻射によりWC中間膜と基材表面を1,000〜1,500℃
の範囲に加熱して焼結密着させ、さらにこの中間膜の表
面に水素対炭化水素ガスの体積混合比率が50:1〜200:1
である混合ガスを原料としたマイクロ波励起プラズマに
よる気相沈積法によりダイヤモンド状炭素多結晶膜を成
膜させてなることを特徴とする歯科用切削具の製造法に
ある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の歯科用切削具は、JIS B 4053に規定されている
超硬合金、超微粒子超硬合金あるいはサーメットより選
ばれた材質からなる歯科用バーを基材とするもので、そ
の合金組成は、超硬合金にあっては、金属相としてCoを
含有する硬質相がWCからなる焼結体、超微粒子超硬合金
ではW、Ti、Ta、VおよびCrの各金属カーバイドの内1
種以上を硬質相とし、金属相としてCoを含有する焼結体
である。また、サーメットは、硬質相にTi,TaおよびNb
の各炭化物および/または各窒化物を、金属相にCoまた
はNiを使用した焼結体である。以上3種類の合金組成の
金属相であるCoまはNi含有率は5〜15重量%が好まし
い。
次に、歯科用切削具の製造法について述べる。先ず、上
記各合金組成に相当する金属粉末、金属炭化物または窒
化物粉末に有機溶剤、パラフィン等を混合し充分混練
し、これを金型とプレスにより例えば第1図のような頭
部に刃溝をもつ切削刃はを有する歯科用切削具に成形す
る。次いで800〜1,000℃の水素気流中で予備焼結し、研
削加工により切削刃および刃溝を施し、最後に1,350〜
1,550℃の温度で本焼結を行ない、歯科用バー基材とし
て仕上げられる。続いてこの歯科用バー基材を真空蒸着
器内に設置し、系内を2×10-5〜1×10-7Torrまで減圧
した状態でW膜を厚さが0.01〜1.0μmとなるよう蒸
着、被覆する。以上の焼結体の製造法および真空蒸着法
はそれぞれ公知の方法として知られているもので良い。
本発明の最大の特徴は、このW被覆超硬合金、超微粒子
超硬合金またはサーメット製歯科用バー基材の表面を浸
炭、焼結処理を加えてWC中間膜とした後、ダイヤモンド
状多結晶炭素を付着させ、被切削材を選ぶことなく、長
期間の切削耐久性を保ったことである。この浸炭、焼結
処理とは、炭化水素ガスをマイクロ波によりプラズマ化
して活性な炭素分子を作り、これをW蒸着膜と反応させ
てWCとし、同時にプラズマによる加熱でこのWCと基材表
面とを焼結一体化させる方法である。この浸炭、焼結に
より得られたWC相は、該反応時に基材表面のCo成分がWC
相に拡散移動して基材表面と強固に結合する。原料とし
て炭素源にメタン、エタン、プロパン等の炭化水素ガス
と水素ガスとの混合ガスを使用する。この混合ガスの体
積比率は水素:炭化水素=50:1〜600:1が良く、第3図
に示した装置を使用して処理する。この装置の石英ガラ
ス製反応器3の内部にある基材支持台2の上に未加工の
歯科用バーを設置(マイクロ波に対して頭部のみ露出さ
せ、柄部は遮蔽する)した後、器内を1×10-5〜1×10
-3Torrとなるように真空ポンプ5で減圧する。次いでこ
の反応器内に前述した比率の炭化水素ガスおよび水素ガ
スを夫々のボンベ10、11から導入し混合しつつ流通させ
る。反応器内の圧力は、器内のバーの温度およびバーの
表面のW膜への浸炭の度合いに大きな影響を与えるが、
本発明においては2〜50Torrの範囲となるように圧力調
整弁6により調整を行なう。マグネトロン発振器13より
発振され、2.45GHz用方型導波管12中に伝播してきた周
波数2.45GHzのマイクロ波およびマイクロ波反射板4に
より反射された該マイクロ波の反射波が反応器内を流通
する混合ガスに吸収されることによりプラズマ火炎が生
じる。このマイクロ波反射板4は、反応器後方の2.45GH
z用方型導波管中を約7cmの範囲で可動し、バーの廻りに
発生するプラズマ火炎の位置を調整することができる。
また、インピーダンス整合用スタブ7は、マイクロ波の
混合ガスへの効果的な吸収を意図して、2.45GHz用方型
導波管中に挿入されている金属製の棒体であり、その挿
入深度は自動インピーダンス整合器8により可変とされ
る。マイクロ波高周波電力は、バーの表面温度が800〜
1,500℃、好ましくは1,000〜1,500℃の範囲となるよう
に調整される。バーの温度が800℃未満ではプラズマに
より浸炭生成したWCとバー基材との焼結反応が遅く、ま
た1,500℃を越えると基材表面より移動してくるCoが多
くなり過ぎ、このCoが活性な炭素分子と反応することで
表面にグラファイト成分が付着してしまう為、後述のダ
イヤモンド状多結晶炭素膜の生成が難しくなる。W蒸着
膜への充分な浸炭を行なう為にはW蒸着膜の厚さはあま
り厚くては困難で1.0μm未満であることが好ましい。
続いて前述の浸炭、焼結により形成されたWC中間膜上
に、ダイヤモンド状多結晶炭素膜を形成させる。このダ
イヤモンド状炭素膜は公知の方法であるマイクロ波励起
プラズマによる気相沈積法によれば良いが、本発明に適
した成膜条件としては、炭素源をメタン、エタン、プロ
パン等の炭化水素ガスとし、水素ガスとの混合ガスを使
用する。この混合ガスの体積比率は炭化水素ガス:水素
=1:50〜1:200がよい。この炭化水素ガス/水素の比率
が1/200未満であると、沈積するダイヤモンド状炭素膜
を構成する結晶粒塊の粗大化が生じ、形成されたダイヤ
モンド状炭素膜の剥離強度が低下してしまい、逆に1/50
を超えると、形成されたダイヤモンド膜中にグラファイ
ト成分の混入が目立つようになり、切削時の耐久性を向
上させるに足る膜硬度が得られなくなる。このマイクロ
波励起プラズマ沈積法はWC中間膜の形成と同様、第3図
に示した装置を使用して実施する。前述の浸炭焼結処理
に引続き、反応器内に前述した比率の炭化水素ガスおよ
び水素ガスを夫々のボンベ10、11から導入、混合しつつ
流通させる。反応器内の圧力は反応器中のバーの温度お
よび形成されるダイヤモンド状炭素膜を構成する結晶の
形状と組成に大きく影響を与えるが、本発明においては
15〜10Torrの範囲となるように圧力調整弁6によって調
整する。このバーの表面温度は800〜1,100℃となるよう
にマイクロ波高周波電力を調整する。バーの温度が800
℃未満ではダイヤモンド状炭素膜の形成が遅く、概ね1,
100℃以上の温度では形成されたダイヤモンド膜中にグ
ラファイト成分の混入が目立つようになるので、反応中
のバーの温度は800℃〜1,100℃の範囲とするのが好まし
い。このような反応条件下では、炭化水素ガスが水素を
主体としたプラズマにより熱分解され、WC中間膜上に均
一なダイヤモンド状多結晶炭素膜として形成される。
以下、本発明の実施態様を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜9、比較例1〜5) Coを10重量%、Tiを20重量%含有し、他がWCよりなる超
硬合金を用いてJIS T 5201のストレートハンドピース用
6枚刃の形状を有する歯科用バー(第1図)を作成し
た。次にこのバーをアセトンにより洗浄後真空蒸着器内
に設置し、系内を3×10-6Torrまで減圧した後、赤外線
ランプによりバー表面が200℃となるよう加熱した。次
に電子ビームによりWを溶融、蒸発させ、バー刃面での
W蒸着膜の膜厚が、第1表に記載の所定の膜厚となるよ
うに20分から60分蒸着した。次にこのバーを反応器内に
設置し、反応器内を0.01Torrまで減圧した後、水素およ
びメタンガスの比率が200:1の割合となるよう調整した
混合ガスを100cc/minの流量で系内に導入流通させつ
つ、系内圧力を8Torrに維持した。この雰囲気下でマグ
ネトロンから発振した周波数2.45GHzのマイクロ波を該
反応器内に導いてバー周辺にプラズマ火炎を発生させ、
バーが1020℃となるようマグネトロンの発振出力を調整
し、3時間にわたり浸炭、焼結処理を行なった。この
後、プラズマ火炎を維持した状態で、水素およびメタン
ガスの比率を第1表に記載の所定の割合となるように調
整し、また系内圧力を30Torrにし、バーの温度が850℃
となるようマグネトロン発振出力を調整し、15時間にわ
たり反応を行なわせ、ダイヤモンド状炭素膜を形成し
た。このようにして得られた歯科用切削具について、JI
S T 5201の側刃切削試験に準じて、連続した二度にわた
る切削試験を行ない、切削に要した時間および切削後の
刃面の状態を調べ耐久試験とした。
[切削試験条件] 被切削材:アクリル板(板厚1mm)、切削回転数:2,000r
pm、側刃切削距離:第1、第2回切削とも各10mm、切削
荷重:0.5kgf。
薄膜法によるX線回折を用いて調べた浸炭、焼結により
形成されたWC中間膜の組成を、この耐久試験の結果と合
わせて第1表に併記した。この組成は浸炭、焼結により
得られたWC相に、該反応時に基材表面のCo成分がWC相に
拡散移動して基材表面と強固に結合していることを示し
ている。これより本発明による歯科用切削具が二度にわ
たる切削試験のいずれにおいても20秒以内で切削を完了
することが判かる。また、本発明による歯科用切削具が
従来の歯科用切削具である比較例1および5に対しより
安定した切削力と耐久性を有すること が明らかである。
(発明の効果) 本発明によれば従来のものと比較してより安定した切削
力と、優れた耐久性を有する歯科用切削具を操作するこ
とができ、歯科医療の上でその利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は切削刃および刃溝を有する歯科用バーの側面
図、第2図はダイヤモンドポイントの側面図である。第
3図はマイクロ波プラズマ気相沈積法反応装置の概念図
である。主な記号は次の通りである。 A……歯科用バー頭部(切削刃および刃溝) B……歯科用ダイヤモンドポイント頭部(研削面) 1……歯科用バー、2……基材支持台 3……反応管、4……反射板 5……真空ポンプ、6……圧力調整弁 7……インピーダンス整合用スタブ 8……自動インピーダンス整合器 9……流量調節弁 10……炭化水素ガスボンベ 11……水素ガスボンベ 12……2.45GHz用方型導波管 13……マグネトロン発振器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超硬合金、超微粒子超硬合金およびサーメ
    ットの内から選ばれた1種の材質からなる歯科用バーを
    基材とし、その頭部の刃溝を有する切削刃表面にタング
    ステン(W)を0.01〜1.0μmの厚さに蒸着した後、該
    蒸着膜を水素および炭化水素ガスを原料としたマイクロ
    波励起プラズマガス中で浸炭させてタングステンカーバ
    イド(WC)とし、それと同時に基材表面に焼結密着させ
    てWCよりなる中間膜とし、さらに該中間膜の表面にダイ
    ヤモンド状炭素多結晶膜を成膜することを特徴とする歯
    科用切削具の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のWC中間膜が、W蒸着膜を
    水素対炭化水素ガスの体積混合比率を50:1〜600:1とし
    たマイクロ波励起プラズマガス中で浸炭されてなる歯科
    用切削具の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のダイヤモンド状炭素多結
    晶膜が、水素対炭化水素ガスの体積混合比率を50:1〜20
    0:1としたマイクロ波励起プラズマによる気相沈積法に
    より成膜されてなる請求項1または2に記載の歯科用切
    削具の製造法。
  4. 【請求項4】超硬合金、超微粒子超硬合金およびサーメ
    ットの内から選ばれた1種の材質からなる切削刃基材表
    面に、厚さ0.01〜1.0μmのWよりなる蒸着膜を被覆し
    た後、水素および炭化水素ガスを原料としたマイクロ波
    励起プラズマガス中で浸炭させてWC中間膜とし、それと
    同時にプラズマガスの熱輻射により該WC中間膜と基材表
    面を1,000〜1,500℃の範囲に加熱して焼結密着させ、さ
    らにこの中間膜の表面に水素対炭化水素ガスの体積混合
    比率が50:1〜200:1である混合ガスを原料としたマイク
    ロ波励起プラズマによる気相沈積法によりダイヤモンド
    状炭素多結晶膜を成膜することを特徴とする歯科用切削
    具の製造法。
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