JPH07268648A - 金属材料の複合表面処理方法 - Google Patents

金属材料の複合表面処理方法

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JPH07268648A
JPH07268648A JP6479894A JP6479894A JPH07268648A JP H07268648 A JPH07268648 A JP H07268648A JP 6479894 A JP6479894 A JP 6479894A JP 6479894 A JP6479894 A JP 6479894A JP H07268648 A JPH07268648 A JP H07268648A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融金属に対する耐腐食性に優れていると共
に、耐摩耗性も良好な金属部品を得る。 【構成】 スリーブ7の外表面にライニング層7aを形
成した。ライニング層7aは下盛層と上盛層とからな
る。下盛層はCo基合金を材料としてプラズマ粉体溶接
法によって形成する。上盛層はCo基合金と約10〜9
0vol%のWC,CrC,TiC,NbCの少なくと
も1種類を材料として熱間静水圧法によって形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料の複合表面処
理方法で耐腐食性、耐摩耗性を要求される一般金属部品
に適用され、特に、耐腐食性、耐摩耗性が必要とされる
連続亜鉛めっき装置の被処理材(鋼板)をめっき浴中で
搬送するためのロールのスリーブや軸受に対する複合表
面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板に亜鉛めっきを施すには、鋼板をス
ナウトから溶融亜鉛浴槽に投入し、めっき浴中でガイド
ロールの周囲を搬送しつつ、スナップロールによって浴
槽から引き上げていた。ところで、ガイドロールのスリ
ーブ及び軸受は、溶融亜鉛による侵食が発生しないこ
と、摩耗(主に付着したドロスによる)が少ないという
性能を要求されている。そこで、従来では、これらの部
品には、SUS316L(日本工業規格)等のステンレ
ス鋼を使用するか、これらの材料の表面にCo基合金を
肉盛溶接あるいは溶射していた。しかし、従来の表面処
理では耐腐食性に関して満足するものの、耐摩耗性は不
十分であり、6〜15日間の寿命であった。
【0003】また、WC系の金属を溶接あるいは溶射す
ることも採用されたが、この方法ではWCの厚い層を形
成することができず、長寿命につながらないこと、溶接
法ではWCが均一に分散されず、摩耗むらが生じた。
【0004】
【発明の目的、構成、作用、効果】そこで、本発明の目
的は、溶融金属に対する耐腐食性に優れていることは勿
論のこと、耐摩耗性も良好な金属材料の複合表面処理方
法を提供することにある。
【0005】以上の目的を達成するため、本発明に係る
金属材料の複合表面処理方法は、金属材料の表面に溶接
又は溶射によってCo基合金からなる下盛層を形成し、
この下盛層の表面に熱間静水圧法によって、Co基合金
と約10〜90vol%のタングステンカーバイト、ク
ロムカーバイト、チタンカーバイト、ニオブカーバイト
の少なくとも1種類を含む上盛層を形成することを特徴
とする。
【0006】溶接には、ガス、アーク、プラズマを用い
た種々の方法があり、ワイヤ、粉末に形成された溶接材
料を溶融させて金属材料表面に肉盛りを行う。特に、プ
ラズマ粉体溶接法とは、移行性プラズマアーク(Plasma
Transferred Arc)を利用した溶接法であり、電気アー
クによって溶接トーチ内にアルゴンガスのプラズマを発
生させ、ここに粉末を供給して溶融し、さらにプラズマ
アークにより母材表面に溶接を行う。熱間静水圧法(Ho
t Isostatic Pressing)とは、高圧加熱容器に被処理品
を装填し、高温加熱下で不活性の圧媒ガス(通常、アル
ゴンガスを使用する)によって等方的に超高圧を加え、
金属−金属(粉末)の拡散接合を行う。
【0007】一般に、溶接では硬さに限界があり、溶射
では厚さに限界がある。本発明では、Co基合金を溶接
又は溶射によって形成した下盛層の表面に、Co基合金
とWC,CrC,TiC,NbCの少なくとも1種類と
が冶金結合された上盛層を熱間静水圧法によって形成し
たため、溶融亜鉛、アルミニュウム等に対する耐腐食性
に優れていることは勿論、下盛層及び上盛層が全体とし
て約800〜1600Hvの硬度がクラックの発生なし
で得られ、亜鉛めっきのドロスの硬度は680Hvであ
るため、耐摩耗性も十分に備え、従来品の3倍以上の寿
命を維持することができる。
【0008】特に、Co基合金にSi,Bを含有させれ
ば、熱間静水圧処理で下盛層が溶融し、金属材料と下盛
層との間のみならず、下盛層と上盛層との間も冶金結合
となる。
【0009】本発明において、下盛層は金属材料と上盛
層との媒体として働き、なおかつ、金属材料と上盛層の
熱膨張の緩和作用がある。従って、本発明で複合表面処
理された金属部品は、使用中にライニング層(下盛層、
上盛層)が圧力で剥離したりするおそれがない。
【0010】
【実施例】以下、本発明に係る金属材料の複合表面処理
方法の実施例について添付図面を参照して説明する。
【0011】(連続亜鉛めっき装置)図1は鋼板に対す
る連続亜鉛めっき装置を示し、主に、溶融亜鉛浴槽1と
スナウト2とガイドロール3と一対のスナップロール
4,4とで構成されている。スナウト2は鋼板Sを溶融
亜鉛浴槽1に連続的に投入するためのもので、窒素等の
不活性ガスが充填されている。ガイドロール3及びスナ
ップロール4,4はそれぞれ支軸5,6,6を備え、図
示しない駆動源に連結され、矢印方向に定速で回転駆動
される。なお、この連続亜鉛めっき装置には、図示しな
いが、他に、インゴット投入装置、ドロス回収装置、ロ
ール3,4,4の架台等が設けられている。
【0012】(実施品)ところで、本発明者らは、前記
ガイドロール3の支軸5を被覆するスリーブ7と(図2
参照)とその軸受8(図3参照)に、耐腐食性、耐摩耗
性向上のために以下に説明する表面ライニング層7a,
8aを形成した。図2、図3において付された数値は各
部分の寸法(単位mm)である。
【0013】ライニング層7a,8aは、それぞれの母
材表面にプラズマ粉体溶接法によってCo基合金からな
る下盛層を形成して厚さ3mmに研削し、この下盛層表
面に熱間静水圧法によってCo基合金とタングステンカ
ーバイトからなる厚さ5mmの上盛層を形成した。スリ
ーブ7及び軸受8の材料はいずれもSUS316L(日
本工業規格)である。下盛層は粒度#100〜350の
Co基合金を材料とし、上盛層は粒度#350のCo基
合金と粒度#325のタングステンカーバイト40vo
l%との混合物を材料とした。
【0014】各材料の化学成分は第1表に示すとおりで
ある。
【0015】
【表1】
【0016】ここで、プラズマ粉体溶接法と熱間静水圧
法について説明する。 (プラズマ粉体溶接法)プラズマ粉体溶接法は、図4に
示すように、溶接トーチ10の中心孔11にタングステ
ン電極12を設け、中心孔11にアルゴンガスを供給し
てガスプラズマを発生させる。溶接トーチ10の先端か
らはパイロットアークPa及びメインアークMaが噴出
する。同時に、溶接トーチ10の粉末供給孔13からC
o基合金粉末を供給する。この粉末はメインアークMa
によって溶融し、母材15の表面に溶着し、肉盛層15
aになる。また、溶接トーチ10のガス供給孔14から
はシールドガス(通常、アルゴンガス)が供給される。
【0017】このようなプラズマ粉体溶接法は他の溶接
法(被覆アーク溶接、ティグ溶接、ミグ溶接、サブマー
ジ溶接、ガス溶接)と比較して、以下の特徴を有してい
る。 (1)母材への溶け込み深さが小さく、希釈率は通常5
%以下である。従って、1層で目標の化学成分の肉盛金
属が得られる。 (2)肉盛材料として粉末を用いるため、材料をワイヤ
やロッドに形成する必要がなく、一般金属の他各種炭化
物を主成分とする超硬複合合金の肉盛も容易に行うこと
ができ、炭化物含有量の調整も自由である。 (3)アルゴンガス中での自動溶接であるため、ブロー
ホール等の欠陥が少ない。 (4)溶融溶接であるため、母材との結合は冶金結合で
あり、剥離等の問題はない。
【0018】プラズマ粉体溶接法で使用される材料の主
要成分は、例えば、28Cr−3W−1C−Co(硬度
450Hv)、30Cr−8W−1.5C−Co(硬度
550Hv)、30Cr−10W−2.5C−Co(硬
度650Hv)である。
【0019】(熱間静水圧法)次に、熱間静水圧法は、
図5に示す装置を使用して処理される。この熱間静水圧
装置は、概略、本体部20と、プレスフレーム25と、
ガス供給部30と、搬送部35と、加熱電源制御部40
とで構成されている。本体部20は、被処理品を収容す
るために圧力容器21の内部にMoヒータ22を設け、
加熱炉を構成している。プレスフレーム25は、圧力容
器21内のガス圧を保持するためのもので、鋼板積層構
造になっている。ガス供給部30は、Ar圧媒ガスを圧
力容器21に加圧注入し、処理後回収するためのもの
で、ガス圧縮機31、圧力調整器32、ガス集合装置3
3、真空ポンプ34等によって構成されている。搬送部
35は被処理品を圧力容器21に送り込み、処理後取り
出すためのものである。
【0020】この熱間静水圧法では、被処理品を圧力容
器21に収容すると共に材料粉末を投入し、加圧加熱処
理を行う。加圧及び加熱の条件は図6に示すとおりであ
る。
【0021】(実施品の性能)以上の如きプラズマ粉体
溶接法及び熱間静水圧法で複合表面処理されたスリーブ
7及び軸受8の性能について説明する。
【0022】肉盛層のミクロ組織を顕微鏡写真をとって
見たところ、未溶解のWCが均一に分散した組織を示し
た(写真の添付は省略する)。肉盛層の深さ方向硬度は
図7に示すように分布し、750Hv程度の均一な分布
を示した。プラズマ粉体溶接法単独では700Hv程度
が限界であり、クラックの発生のおそれもある。しか
し、熱間静水圧法を併用することにより、800〜16
00Hvの硬度が得られ、クラックの発生もない。但
し、本実施品ではドロスの硬度680Hvに対応させて
約750Hvの硬度が得られるようにした。肉盛層の厚
さに関しては、下盛層は約0.5〜3mm、上盛層は約
2〜15mmが適当である。
【0023】耐摩耗性に関しては、図8に示すように、
回転台50の上面にエメリーペーパー51を貼り付けた
ピンオンデスク摩耗試験によって評価した。試験片52
は前述の方法で形成された肉盛層を備えている。試験条
件は第2表に示すとおりである。
【0024】
【表2】
【0025】ピンオンデスク摩耗試験の結果は図9に示
すとおりである。線A,Bは従来の肉盛溶接法にて製作
した試験片の結果であり、AのステライトNo.6とは
28Cr−3W−1C−Coを主要成分とするCo基合
金である。線Cは本実施品の結果であり、線Dの超硬合
金に匹敵する耐摩耗性を示した。
【0026】次に、Zn耐腐食性に関しては、図10に
示すように、溶融亜鉛を満たしたるつぼ55に肉盛層の
みからなる試験片59を浸漬し、このるつぼ55を断熱
容器56内にセットしてヒータ57で加熱した。試験条
件は第3表に示すとおりであり、試験後の板厚減及び断
面ミクロ組織の観察(電子顕微鏡による)に基づくZn
の拡散量によって評価した。
【0027】
【表3】
【0028】Zn浸漬結果を第4表に示す。第4表から
明らかなように、全ての試験片で板厚減は認められなか
った。しかし、断面ミクロ組織の観察によれば、Znの
拡散層厚に違いが認められた。本実施品であるWC複合
合金は、従来の肉盛溶接を行ったステライトNo.6、
CrC合金に比べて、Zn拡散層厚が10μmと小さ
く、優れたZn耐腐食性を示した。
【0029】
【表4】
【0030】(実機使用実績)次に、前記スリーブ7、
軸受8を図1に示した連続亜鉛めっき装置に使用した実
機使用実績を説明する。実機使用条件は第5表に示すと
おりである。なお、ここで使用されたスリーブ及び軸受
は下盛層が3mmの厚さ、上盛層が5mmの厚さであ
る。
【0031】
【表5】
【0032】以下の第6表に実機使用結果を示す。比較
品1,2はそれぞれ従来の肉盛溶接によって肉盛層を形
成したもので、16日間の使用によって筋状の摩耗が発
生し、寿命となった。これに対して、実施品は20日間
の使用によっても筋状の摩耗は認められず、軸受は40
日以上、スリーブは120日以上の使用が可能であっ
た。
【0033】
【表6】
【0034】ところで、前記熱間静水圧法による上盛層
の形成に使用する材料であるが、Co基合金と混合され
るタングステンカーバイトの混合比は約10〜90vo
l%の範囲が好ましい。10vol%を下回ると耐摩耗
性が低下し、90vol%を上回るとクラックが発生す
るおそれがある。
【0035】また、熱間静水圧法による上盛層の形成に
Co基合金と混合して使用する材料としては、前記タン
グステンカーバイトの他にクロムカーバイト、チタンカ
ーバイト、ニオブカーバイトを使用することができ、少
なくともこれらの材料を1種類であるいは任意の割合
で、例えば、炭化物の混合比としては、約50vol%
のTiCと30vol%のWC、又は約40vol%の
WCと20vol%のTiCと20vol%のNbC、
の割合で混合して使用可能である。
【0036】なお、本発明に係る金属材料の複合表面処
理方法は、前記実施例に限定するものではなく、その要
旨の範囲内で種々に変更可能である。特に、下盛層の形
成はプラズマ粉体溶接法以外にガス、アーク等を用いた
種々の肉盛溶接法あるいは肉盛溶射によって形成しても
よい。さらに、本発明の適用部品はガイドロール3のス
リーブ7や軸受8に限定することなく、スナップロール
4の部品等であってもよい。あるいは、溶融亜鉛めっき
浴中ロール部品以外にも、耐腐食性、耐摩耗性を要求さ
れる金属部品に広く本発明を適用できる。
【0037】また、プラズマ粉体溶接法の溶接条件、熱
間静水圧法の処理条件は、金属部品の大きさ、形状に合
わせて種々の条件を採用できる。さらに、金属材料とし
ては316L以外に、オーステナイト系、フェライト系
のステンレスでも良好な効果を得ることができる。これ
らの使い分けは、使用条件を考慮して決められる。例え
ば、Zn浴中で使用する場合、高温脆性が小さいオース
テナイト系、フェライト系が良好であり、フェライト系
はオーステナイト系に比較して熱膨張率が小さく、熱間
静水圧による拡散層が健全に保たれ、フェライト系は好
ましい材料である。勿論これら以外の材料であってもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続亜鉛めっき装置を示す概略構成図。
【図2】本発明を適用したスリーブを示す断面図。
【図3】本発明を適用した軸受を示し、(A)は正面
図、(B)は側面図。
【図4】プラズマ溶接トーチを示す断面図。
【図5】熱間静水圧装置を示す概略構成図。
【図6】熱間静水圧法の処理条件を示すチャート図。
【図7】実施品の肉盛層硬度を示すチャート図。
【図8】ピンオンデスク摩耗試験機を示す概略構成図。
【図9】実施品の摩耗試験結果を示すチャート図。
【図10】実施品の腐食試験装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
7…スリーブ 7a…ライニング層 8…軸受 8a…ライニング層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辰巳 佳宏 兵庫県尼崎市常光寺1丁目9番1号 大阪 富士工業株式会社内 (72)発明者 上田 実 兵庫県姫路市林田町下伊勢970番地 金属 技研株式会社姫路工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料の表面に、溶接又は溶射によっ
    てCo基合金からなる下盛層を形成し、 前記下盛層の表面に、熱間静水圧法によって、Co基合
    金と約10〜90vol%のタングステンカーバイト、
    クロムカーバイト、チタンカーバイト、ニオブカーバイ
    トの少なくとも1種類を含む上盛層を形成すること、 を特徴とする金属材料の複合表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記下盛層は厚みが約0.5〜3mmで
    あり、前記上盛層は厚みが約2〜15mmであることを
    特徴とする請求項1記載の金属材料の複合表面処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記下盛層はプラズマ粉体溶接によって
    形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    金属材料の複合表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記Co基合金にケイ素、ホウ素を含有
    させたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項
    3記載の金属材料の複合表面処理方法。
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