JPH07287103A - ガラス製光学部品 - Google Patents

ガラス製光学部品

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JPH07287103A
JPH07287103A JP6104854A JP10485494A JPH07287103A JP H07287103 A JPH07287103 A JP H07287103A JP 6104854 A JP6104854 A JP 6104854A JP 10485494 A JP10485494 A JP 10485494A JP H07287103 A JPH07287103 A JP H07287103A
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layer
moo
antireflection film
film
substrate
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JP6104854A
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English (en)
Inventor
Bunji Akimoto
文二 秋元
Takeshi Kawamata
健 川俣
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Yoshiki Nitta
佳樹 新田
Toshiaki Oimizu
利明 生水
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス基板を加熱することなく光学薄膜をガ
ラス基板上に形成する。 【構成】 基板側から第1層目を光学薄膜厚が2nm以
上のシリコン系酸化物層とし、第2層以降に真空蒸着法
により形成されたMoO3 あるいはWO3 の少なくとも
いずれか一方の物質を含む層を少なくとも一層含むよう
に構成した。MoO3 ,WO3 はシリコン系酸化物と密
着性が良く、MoO3 ,WO3 の蒸着にあたって基板加
熱を必要としない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空蒸着法を用いて多
層膜よりなる反射防止膜あるいはフィルターを設けたガ
ラス製光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりガラス製光学部品の表面に多層
膜からなる反射防止膜やフィルターを蒸着する提案は数
多くなされている。かかる反射防止膜やフィルターの成
膜は、例えば特公昭64−8801号公報や特開平2−
234102号公報に記載されるように、一般に光学部
品に積層する膜の光学部品に対する密着性を十分なもの
にするため、基板(光学部品)を200℃以上に加熱し
た状態で真空蒸着によりおこなわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ガラス製光学
部品(基板)に多層膜よりなる反射防止膜あるいはフィ
ルターを真空蒸着法により形成する際、上記従来技術の
公報に示すように、基板加熱を行わないと、膜の十分な
耐久性や所望の屈折率を得ることができない。このよう
に基板加熱を行うと、基板を真空蒸着装置内にセットし
た後、真空蒸着による成膜の前後において基板の加熱、
冷却時間が必要となり、その時間は加熱、冷却にそれぞ
れ少なくとも30分を要し、生産性が悪くなるという問
題があった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、真空蒸着をする際に基板(ガラス製光学部品)
を無加熱の状態とし、生産性良く十分な耐久性と光学特
性を有する多層膜よりなる反射防止膜あるいはフィルタ
ーを成膜したガラス製光学部品を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のガラス製光学部品は、蒸発源からの輻射熱
の低い高屈折率材料としてMoO3 、WO3 を使用し、
抵抗加熱法、電子線加熱法等の一般的な真空蒸着法によ
り表面にMoO3 層、WO3 層を成膜して構成した。
【0006】すなわち、請求項1のガラス製光学部品
は、基板側から第1層目を光学的膜厚が2nm以上のシ
リコン酸化物層とし、第2層以降に真空蒸着法により形
成されたMoO3 あるいはWO3 の少なくともいずれか
一方の物質を含む層を少なくとも一層含むように構成し
てなる反射防止膜あるいはフィルターを設けて構成し
た。
【0007】また、請求項2のガラス製光学部品は、最
表層に撥水効果を有する層を設けてなる反射防止膜ある
いはフィルターを成膜して構成した。
【0008】さらに、請求項3のガラス製光学部品は、
真空蒸着法により形成されたMoO 3 あるいはWO3
少なくとも一方の物質を含む層を高屈折率層とし、真空
蒸着法により形成されたSiO2 層を低屈折率層として
構成してなる反射防止膜あるいはフィルターを設けた。
【0009】
【作用】
(請求項1,3の作用)MoO3 およびWO3 は従来、
反射防止膜やフィルターの光学薄膜用材料としてはほと
んど注目されていなかった材料である。MoO3 および
WO3 は、低いエネルギーで容易に蒸発させることがで
きる材料であり蒸発源からの輻射熱を低く抑えることが
できるため、熱によるダメージを基板に与えることがな
い。また、従来において良く用いられているCeO2
びZnSよりも傷つきにくく、比較的耐湿性も高い。さ
らに、完全に酸化した状態であれば可視域で光の吸収も
ほとんどなく、屈折率は1.85〜2.1程度(成膜条
件によって変化する)である。したがって、MoO3
WO3 を高屈折率物質として使用し、充分な性能を有す
る反射防止膜やフィルター(以下、両者を含めて光学薄
膜ともいう。)を形成することが可能である。
【0010】なお、MoO3 ,WO3 を用いた光学薄膜
を構成する場合、両者ともガラス基板との密着性が悪
く、直接ガラス基板上に成膜するとテープ剥離試験で剥
離してしまう。ところが、シリコン酸化物層を2nm以
上ガラス基板表面に成膜し、この酸化物層の上にMoO
3 ,WO3 を用いた光学薄膜を設けるとテープ剥離試験
で剥離しないことを見い出した。しかし、ガラス基板表
面に成膜するシリコン酸化物層の膜厚が2nm未満で
は、その上に成膜したMoO3 ,WO3 膜が十分な密着
力を有しないことを確認した。
【0011】また、MoO3 ,WO3 を用いた光学薄膜
を構成する場合、他の誘電体との混合物にしても良いの
はもちろんであり、MoO3 とWO3 との混合物でも良
いし、MoO3 と他の誘電体、WO3 と他の誘電体、あ
るいはMoO3 とWO3 と他の誘電体という混合物も用
いることが可能である。この場合、特にAl2 3 との
混合により耐ヒートサイクル性や機械的強度が向上する
ことを確認した。
【0012】さらに、MoO3 やWO3 を蒸着材料とし
て、電子ビームにより加熱して蒸着を行うとした場合、
電子ビームが反射してしまって、蒸着材料を加熱するこ
とが難しいが、MoO3 やWO3 に他の誘電体を少量混
合することにより電子ビームの反射を抑制することがで
きることを確認した。
【0013】また、他の誘電体を混合することにより、
蒸着用ペレットの割れやスプラッシュを防止する効果も
得られる。この場合の混合物としては、前述のAl2
3 の他に、SiO2 ,ZrO2 ,Ta2 5 ,TiO2
のいずれでも効果のあることが確認できている。これら
の高融点物質との混合物を蒸着材料とした場合には、蒸
着の際の蒸気圧が大幅に異なることから、基板に成膜さ
れる膜中にはMoO3,WO3 のみしか存在しないこと
になる。混合物の添加量としては1重量%以上あれば充
分である。この蒸着材料を用いることにより、通常の蒸
着装置を用いて生産性良く反射防止膜やフィルター用の
光学薄膜を作成することが可能となった。
【0014】(請求項2の作用)MoO3 やWO3 を用
いた光学薄膜を長期間高湿度下に放置すると密着性がや
や劣化するという問題を生じることがあるが、最表層に
撥水処理層を設けることで解決できた。これは、最表層
に撥水効果を有する層を設けているために、光学薄膜の
内部に水分が吸収されにくくなるからである。撥水効果
を有する層の材料やその形成方法としては、十分な撥水
効果及び耐久性があるものであれば特に限定するもので
はない。また、層の厚さは、光学薄膜の機能を担う程
度、例えば光学的膜厚10〜250nm程度に厚くして
も良いし、光学的に影響を及ぼさない程度、例えば10
nm以下のものでも良いことを確認した。
【0015】本発明に用いられる基板とは、光学ガラス
はもちろん、アクリル,ポリカーボネイト,アモルファ
スポリオレフィン,CR−39(商品名),エネルギー
硬化型樹脂等の合成樹脂や、高温にさらされないことが
要求されるCCD等の光学デバイスや光学部材、あるい
は接合品等を含む。また、膜の形成には、真空蒸着法を
用いると良い。
【0016】
【実施例1】本発明の実施例1では、ガラス基板にFK
5を用い、このガラス基板の表面に表1で示す5層構成
の反射防止膜を形成して構成した。波長546.07n
mの屈折率ne =1.49のガラスFK5よりなる基板
の表面に、SiO2 とMoO3 とを基板側から交互にS
iO2 をnd(光学的膜厚)=2nm、MoO3 をnd
=65nm、SiO2 をnd=40nm、MoO3 をn
d=110nm、SiO2 をnd=135nmの5層に
積層したものである。
【0017】
【表1】
【0018】上記構成の反射防止膜は、図1に示す真空
蒸着装置を用いて成膜した。10は真空チャンバーで、
真空チャンバー10内の下方位置には、抵抗加熱蒸発源
11および電子銃蒸着源12がそれぞれ配列されてい
る。13は抵抗加熱装置に取り付けた抵抗加熱用溶融ボ
ートで、14は電子銃蒸発源のハースライナである。真
空チャンバー10内の上方位置には、基板1を取付可能
にし軸中心に回転自在の回転ドーム15が配列されてい
る。16は図示を省略した真空ポンプに接続された真空
排気管である。蒸着源から基板1までの距離は520m
mである。上記の説明からも分かるように本装置は従来
の反射防止膜を形成する装置と何ら異なる点はない。
【0019】次に、図1の真空蒸着装置を用い、表1に
示す膜構成の反射防止膜をガラス基板上に形成する方法
を説明する。回転ドーム15にFK5からなるガラス基
板1を取り付けるとともに第2層及び第4層のMoO3
層はMoO3 を顆粒状にしたものをMo製ボート13に
入れて真空チャンバー10内を2×10-4Paまで減圧
した後、酸素ガスの分圧を全圧が2×10-2Paになる
まで導入しながら抵抗加熱法により形成した。また、第
1層、第3層及び第5層のSiO2 層は、SiO2 を顆
粒状にしたものをハースライナ14に入れて電子ビーム
法により形成した。ここで第1層のSiO2 層は光学的
膜厚が2nmであり光学特性に影響を与えない。
【0020】こうして形成した反射防止膜表面に、抵抗
加熱用溶融ボート13にフッ素系シリコンオイルを含浸
させた多孔質物質を入れ加熱する事により、含浸させた
オイル成分のみを蒸発させ撥水処理層を設けた。この撥
水処理層の光学的膜厚は3nm度であり光学特性には全
く影響を及ぼさない。
【0021】本実施例の反射防止膜および撥水処理層を
設けたガラス製光学部品の分光反射率を図2に示す。図
2に示すように、本実施例の分光反射率は十分な特性を
有していた。また、セロハンテープによる剥離試験によ
って膜の密着性を評価したところ、その結果は良好であ
った。さらに、ガラス基板の面積度の変化もなかった。
【0022】さらに、温度45℃、湿度95%の環境下
で300時間放置した後に膜の密着性や光学特性を調べ
たが、放置前と比較して変化はなく、十分な耐湿性を有
していることが確認された。比較のために、最表層に撥
水処理を設けない以外は全く本実施例のガラス製光学部
品と同様にして作成したサンプルを、湿度95%の環境
下で300時間放置したセロハンテープによる密着製試
験を行ったところ、反射防止膜は剥離してしまった。こ
れにより、本実施例のように撥水処理層を設けることで
耐湿性が向上することが分かる。
【0023】なお、本実施例においては、MoO3 が解
離して酸素欠乏状態になり可視光を吸収するようになる
事を防ぐため成膜中に酸素ガスを導入したが、酸素ガス
に加えて酸素プラズマを用いたりしても同様の効果が得
られた。
【0024】
【実施例2】本発明の実施例2では、実施例1と同様に
ガラス基板としてFK5を用い、そのガラス基板の表面
に表2で示す5層構成の反射防止膜を形成して構成し
た。すなわち、本実施例においては、波長546.07
nmで屈折率ne =1.49のガラスFK5よりなる基
板の表面に、基板側から第1層としてSiO2 をnd=
35nm、第2層としてWO3 をnd=60nm,第3
層としてSiO2 をnd=40nm、第4層としてWO
3 をnd=120nm、第5層としてSiO2 をnd=
140nmを交互に積層した。
【0025】
【表2】
【0026】本実施例における上記反射防止膜は、図1
に示す真空蒸着装置を用い、WO3を原料としてW製の
ボートを用いて形成した。それ以外は上記実施例1と全
く同様にして形成した。こうして形成した反射防止膜の
分光反射率は、図3に示すように十分な特性を有してお
り、また密着性も良好であった。
【0027】
【実施例3】本発明の実施例3では、上記実施例と同様
にガラス基板としてFK5を用い、このガラス基板の表
面に表3で示す5層構成の反射防止膜を形成して構成し
た。
【0028】
【表3】
【0029】上記反射防止膜は、図1に示す真空蒸着装
置を用いて形成した。第2層および第4層のMoO3
WO3 は、MoO3 とWO3 粉末を2:1の重量比で混
合した顆粒を用いて形成した。すなわち、上記混合した
顆粒をMo製ボート13に入れ、真空チャンバー10内
に酸素ガスが8×10-3Paになるまで導入しながら抵
抗加熱法により、波長546.07nmでの屈折率ne
=1.49のガラスFK5よりなる基板の表面に、基板
側から第1層としてSiO2 をnd=20nm、第2層
としてMoO3 +WO3 をnd=30nm、第3層とし
てSiO2 をnd=50nm、第4層としてMoO3
WO3 をnd=260nm、第5層としてSiO2 をn
d=120nmを交互に積層した。それ以外は実施例1
と同様にして形成した。
【0030】こうして形成した反射防止膜の表面に抵抗
加熱用溶融ボート13にフッ素系シリコンオイルを含浸
させた多孔質物質を入れ加熱することにより含浸させた
オイル成分のみを蒸発させた撥水処理層を設けた。この
撥水処理層の光学的膜厚(nd)は3nm程度であり光
学的特性にはまったく影響を及ぼさない。
【0031】本実施例における反射防止膜の分光反射率
は、図4に示すように十分な特性を有しており、また密
着性も良好であった。こうして反射防止膜を成膜した基
板を温度45℃、湿度95%の環境下で300時間放置
した後に膜の密着性や光学特性を調べたが、放置前と比
較して変化はなく十分な耐湿性を有していることが確認
された。比較のために、最表層に撥水層を設けない以外
はまったく本実施例のガラス製光学部品と同様にして作
成したサンプルを、湿度90%の環境下で300時間放
置した後、セロハンテープによる密着性試験を行ったと
ころ反射防止膜は剥離してしまった。これにより、本実
施例のようにフッ素系物質より成る撥水処理層を設ける
ことで耐湿性が向上することが分かる。
【0032】
【実施例4】本発明の実施例4では、上記実施例と同様
にガラス基板としてFK5を用い、このガラス基板の表
面に表4で示す3層構成の反射防止膜を形成して構成し
た。
【0033】
【表4】
【0034】上記反射防止膜は、図1に示す真空蒸着装
置を用いて形成した。第1層のSiO2 層はSiO2
料をMo製ボート13に入れて酸素ガスを導入しながら
抵抗加熱法により形成した。第2層のMoO3 層はMo
3 粉末97〜98重量%とAl2 3 粉末3〜2重量
%とを混合してペレット状に固めたものを原料としてハ
ースライナ14に載置し電子ビーム法により形成した。
成膜内容は波長546.07nmでの屈折率ne =1.
49のガラスFK5よりなる基板の表面に、MoO3
SiO2 とを基板側から交互に第1層のSiOX (1≦
X ≦2)をnd=120nm、第2層のMoO3 をnd
=240nm、第3層のSiO2 をnd=120nmの
第3層に積層したものである。それ以外は、第1実施例
と全く同様にして形成した。
【0035】上記のようにして形成した反射防止膜の分
光反射率は図5に示すような特性を有しており密着性も
良好であった。
【0036】本実施例においては、MoO3 にAl2
3 を少量添加したものを蒸着材料として用いたために電
子ビームが反射すること無く蒸着材料を電子ビームで容
易に加熱することができた。なお、Al2 3 の代わり
にZrO2 、Ta2 5 、TiO2 を混合しても同様の
効果が得られた。
【0037】
【実施例5】本実施例の実施例5では、ガラス基板に波
長546.07nmでの屈折率neが1.58のガラス
BaLF4を用い、このガラス基板の表面に表5で示す
5層構成の反射防止膜を形成して構成した。反射防止膜
は、基板側からSiO2 、MoO3 +SiO2 を交互に
積層して構成した。
【0038】
【表5】
【0039】上記反射防止膜は、図1に示す真空蒸着装
置を用いて形成した。MoO3 とSiO2 との混合物層
は、MoO3 顆粒とSiO2 顆粒とを重量比で4:1と
なるように混合したものを蒸着材料とし、これをハース
ライナ14に入れて酸素ガスを全圧が1×10-2Paに
なるまで導入しながら電子ビーム法により蒸着した。成
膜内容は波長546.07nmでの屈折率ne =1.5
8のガラスBaLF4よりなる基板の表面に、MoO3
とSiO2 の混合物とSiO2とを基板側から交互に第
1層としてSiO2 をnd=40nm、第2層としてM
oO3 +SiO2 をnd=40nm、第3層としてSi
2 をnd=50nm、第4層としてMoO3 +SiO
2 をnd=270nm、第5層としてSiO2 をnd=
120に積層したものである。
【0040】上記のようにして反射防止膜の分光反射率
は図5に示すように十分な特性を有しており密着性も良
好であった。また、本実施例における反射防止膜はMo
3にSiO2 を混合しているために特にヒートサイク
ルに強く「20℃、1時間→40℃、1時間→20℃、
1時間→70℃、1時間保持」を1サイクルとして20
サイクルを繰り返した後でも密着性の低下やクラックの
発生等問題は一切生じなかった。
【0041】SiO2 の混合量は10重量%以上で上記
と同様の効果が得られる。混合量を変化させることで屈
折率を変化させることも可能である。また、WO3 とS
iO2 との混合膜でも同様に耐ヒートサイクル性等の耐
久性に優れていることを確認した。
【0042】
【実施例6】本発明の実施例6では、波長546.07
nmでの屈折率ne が1.49のガラスFK5よりなる
ガラス基板の表面にSiO2 とWO3 とを交互に積層し
て表6に示すように構成した780nmの赤外線カット
フィルターを形成して構成した。
【0043】
【表6】
【0044】上記赤外線カットフィルターは、図1に示
す真空蒸着装置を用いて形成し、真空チャンバー10内
を2×10-4Paまで減圧した状態で酸素ガスは導入し
ない状態で成膜した。成膜内容は、基板表面側からSi
2 をnd=98nm蒸着した後、SiO2上にWO3
を195nm蒸着し、更にこの上にSiO2 をnd=1
95nm蒸着した後、SiO2 上にWO3 を195nm
蒸着し、表6に示すような14層の膜を成膜した。その
他の工程は実施例2と同様にして行った。
【0045】こうして形成した赤外線カットフィルター
の表面に、実施例3と同様に抵抗加熱用溶融ボート13
にフッ素系シリコーンオイルを含浸させた多孔物質を入
れ加熱する事により、含浸させたオイル成分のみを蒸発
させ撥水処理層を設けた。この撥水処理層の光学的膜厚
は3nm程度であり光学特性には全く影響を及ぼさな
い。
【0046】上記のように形成した赤外線カットフィル
ターの分光透過率を測定したところ図7のようになって
おり、780nmの赤外線カットフィルターとして十分
な特性を有していた。また、セロハンテープによる剥離
試験による密着性評価の結果は良好であった。また基板
の面精度の変化もなかった。さらに、温度45℃、湿度
95%の環境下で300時間放置した後に膜の密着性や
光学特性を調べたが、放置前と比較して変化はなく十分
な耐湿性を有していることが確認された。比較のため
に、最表層に撥水層を設けない以外はまったく本実施例
のガラス製光学部品と同様にして作成したサンプルを、
温度15℃、湿度40%の環境下で20分放置した後、
温度35℃、湿度70%の環境下にさらした場合、表面
にくもりを生じたが、本実施例のサンプルにおいては最
表層に設けたフッ素系物質より成る撥水処理層の効果に
より同様の試験をしても表面にくもりを生じることは無
く、防曇性が向上した。
【0047】なお、本発明は、真空蒸着をする際に基板
(ガラス製光学部品)を無加熱の状態とし、生産性良く
十分な耐久性と光学特性を有する多層膜よりなる反射防
止膜あるいはフィルターを成膜したガラス製光学部品を
提供することを目的として、以下のように構成すること
ができる。第1に、基板側から第1層目を光学的膜厚が
2nm以上のシリコン酸化物層とし、第2層以降に真空
蒸着法により形成されたMoO3 +WO3 層を少なくと
も一層含むように構成してなる反射防止膜を設けてガラ
ス製光学部品を形成する。第2に、基板側から第1層目
を光学的膜厚が2nm以上のシリコン酸化物層とし、第
2層以降に真空蒸着法により形成されたMoO3 +Si
2 層を少なくとも一層含むように構成してなる反射防
止膜を設けてガラス製光学部品を形成する。
【0048】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のガラス
製光学部品において、請求項1の発明にあっては、基板
上に、PVD法(物理的蒸着法)により形成された、M
oO3あるいはWO3 の少なくともいずれか一方を含む
物質からなる層を少なくとも一層含む構成とすることに
より、従来の成膜装置に何ら改造を加えることなく蒸発
源からの輻射熱を低く抑えることができ、ガラス基板の
加熱及び冷却を必要とせずに十分な耐久性と密着性を有
する光学薄膜をガラス基板上に形成する事が可能とな
る。更に、ガラス基板とMoO3 あるいはWO3 の少な
くともいずれか一方を含む物質からなる層の間にシリコ
ン酸化物層を設けたので、MoO3 あるいはWO3 の少
なくともいずれか一方を含む物質からなる層の密着力が
向上した。
【0049】請求項2の発明にあっては、反射防止膜の
最表層に撥水効果を有する層を設けた構成とすることに
より、反射防止膜の内部に水分が供給されにくくなり、
MoO3 やWO3 を用いた場合の弱点である耐湿性を大
幅に向上させることができる。また、反射防止膜が曇る
不具合が減少する。
【0050】請求項3の発明にあっては、基板から第1
層目の低屈折材料には光学的膜厚が2nm以上のシリコ
ン酸化物を、高屈折率材料はMoO3 あるいはWO3
少なくともいずれか一方を含む物質からなる層とするこ
とにより、特に耐ヒートサイクル性の高い光学膜を構成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例における反射防止膜、フィル
ターを形成する真空蒸着装置を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例1における反射防止膜の分光反
射率を示す図である。
【図3】本発明の実施例2における反射防止膜の分光反
射率を示す図である。
【図4】本発明の実施例3における反射防止膜の分光反
射率を示す図である。
【図5】本発明の実施例4における反射防止膜の分光反
射率を示す図である。
【図6】本発明の実施例5における反射防止膜の分光反
射率を示す図である。
【図7】本発明の実施例6における赤外線カットフィル
ターの分光透過率を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 三田村 宣明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 新田 佳樹 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板側から第1層目を光学的膜厚が2n
    m以上のシリコン酸化物層とし、第2層以降に真空蒸着
    法により形成されたMoO3 あるいはWO3の少なくと
    もいずれか一方の物質を含む層を少なくとも一層含むよ
    うに構成してなる反射防止膜あるいはフィルターを設け
    たことを特徴とするガラス製光学部品。
  2. 【請求項2】 反射防止膜あるいはフィルターは、その
    最表層に撥水効果を有する層を設けてなることを特徴と
    する請求項1記載のガラス製光学部品。
  3. 【請求項3】 真空蒸着法により形成されたMoO3
    るいはWO3 の少なくとも一方の物質を含む層を高屈折
    率層とし、真空蒸着法により形成されたSiO2 層を低
    屈折率層として構成してなる反射防止膜あるいはフィル
    ターを設けたことを特徴とするガラス製光学部品。
JP6104854A 1994-04-19 1994-04-19 ガラス製光学部品 Pending JPH07287103A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006311321A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 撮像装置及びそれを用いた携帯端末装置
JP2012113045A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Seiko Epson Corp 光学多層膜、光学素子、撮像アッセンブリー、デジタルカメラ及び光学多層膜の製造方法

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