JPH07296652A - 酸化物超電導体線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体線材の製造方法

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JPH07296652A
JPH07296652A JP6083477A JP8347794A JPH07296652A JP H07296652 A JPH07296652 A JP H07296652A JP 6083477 A JP6083477 A JP 6083477A JP 8347794 A JP8347794 A JP 8347794A JP H07296652 A JPH07296652 A JP H07296652A
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partial pressure
oxygen
oxygen partial
temperature curve
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JP6083477A
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Kazuyuki Shibuya
和幸 渋谷
Takashi Hase
隆司 長谷
Seiji Hayashi
征治 林
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 部分溶融時の酸素ガスの発生を抑制すること
によって結晶のランダム生成・成長を抑えることがで
き、且つ良好な臨界電流密度が得られる様な酸化物超電
導体線材の製造方法を提供する。 【構成】 ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製造用
原料を加熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上昇さ
せた後、温度を一定に保つかもしくは若干変化させる条
件下で部分溶融温度曲線より上の領域まで酸素分圧を低
下させて部分溶融状態に移行させ、次に温度を一定に保
つかもしくは若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線
より下の領域まで酸素分圧を上昇させることによって配
向凝固させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超電導体線材を
製造するための新規な方法に関するものである。本発明
の方法によって製造される酸化物超電導体線材は、テー
プ状、丸線(断面円形)、平角線(断面矩形)等の形状
に加工することができ、且ついずれの形状においても良
好な臨界電流密度が得られるので、酸化物超電導体を幅
広い分野に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】Bi系2212型等の酸化物超電導体は
溶融状態からの結晶成長が容易であり、またテープ状に
線材化した際の配向組織も良好なものになるという理由
から、溶融プロセスを利用した線材化技術の開発が進め
られている。ところで、部分溶融状態から配向凝固させ
つつ酸化物超電導体線材を製造するに当たって従来最も
広く行われている方法は、酸化物超電導体の粉末を、一
定酸素分圧(一般には大気圧)の下で温度を上昇させて
部分溶融状態とした後、徐冷することによって配向凝固
させるという方法であった。この様な温度制御による熱
処理法を用いて、例えばBi系2212型酸化物超電導
体を線材化する場合には、以下に示す様な銀シース法及
びディップコート法が用いられる。
【0003】(i )銀シース法として、銀パイプ等のシ
ース材にBi系2212粉末を封入して伸線加工及び圧
延加工を施してシース線材とし、この線材に上記熱処理
を行うことによって、銀シース材内面に配向相を得る方
法: K. Heine et al., A.P.L. 55 (1989) 2441(短尺)、 T. Asano et al., J.J.A.P. 29 (1990) L1066 (短
尺)、 K. Shibutani et al., J.J.A.P. 30 (1991) 3371(コ
イル)、 K. Shibutani et al., IEEE Trans. Appl. Supercon
d. 3 (1993) 935(コイル)。 (ii)ディップコート法として、スラリー状に調製した
Bi系2212を銀テープ基材上に塗布した後、上記熱
処理を行うことによって、銀基材上に配向相を得る方
法: J. Shimoyama et al., J.J.A.P. 31 (1992) L163(コ
イル)。
【0004】しかしながら、上記熱処理法には以下の様
な問題が見られる。 (a )処理系全体に、一斉に均一な温度変化をもたらす
ことは困難であり、局部的に温度勾配が生じる。その結
果、全体に均一な超電導特性(臨界電流密度)が得られ
ない。このことは、大型のコイルを処理する場合に特に
顕著に見られる(銀シース法及びディップコート法の両
方における問題点)。 (b )部分溶融時に酸素ガスが発生し、長手方向にみて
局部的に有効断面積の小さな部分(酸素ポア)ができて
しまい、長尺の臨界電流密度(以下Jcと略記する)が
低下する。このことは、特に銀シース法によって丸線、
平角線及びテープ線に加工する際に顕著に見られる。 (c )酸素ポアが発生するとその発生部位から配向が始
まり、その結果結晶のランダム生成・成長を招く。結晶
配向にかかわる核生成は、気相と液相の界面から、すな
わち酸素分圧(酸素濃度)の高いところから始まること
が知られている(Wei Zhang et al., Physica C 218 (1
993) 141)。特に銀シース法を用いた場合には、酸素ポ
アが存在すると銀シース近傍界面から結晶化が起こら
ず、内面に存在する気相・液相界面から配向が始まるの
でランダム配向となりやすいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、部分
溶融時の酸素ガスの発生を抑制することによって結晶の
ランダム生成・成長を抑えることができ、テープ、丸
線、平角線等の形状に線材化したときにも良好な臨界電
流密度が得られる様な酸化物超電導体線材の製造方法を
提供することにある。また、本発明の他の目的は、部分
溶融時のシース内の酸素濃度勾配を制御することにより
シース壁に沿って核生成を発生させることによって、結
晶のランダム生成・成長を抑えることができ、テープ、
丸線、平角線等の形状に線材化したときにも良好な臨界
電流密度が得られる様な酸化物超電導体線材の製造方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の酸化物超電導体線材の製造方法とは、部分溶融状
態から配向凝固させて酸化物超電導体線材を製造するに
あたり、温度−酸素分圧相図における部分溶融温度曲線
に基づいて、処理雰囲気の酸素分圧を制御して行う点に
要旨を有するものである。
【0007】好適な実施態様においては、以下の製造方
法を包含する: ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製造用原料を加
熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上昇させた後、
温度を一定に保つかもしくは若干変化させる条件下で部
分溶融温度曲線より上の領域まで酸素分圧を低下させて
部分溶融状態に移行させ、次に温度を一定に保つかもし
くは若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線より下の
領域まで酸素分圧を上昇させることによって配向凝固さ
せる方法、 ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製造用原料を加
熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上昇させた後、
酸素分圧を一定に保つかもしくは若干変化させる条件下
で部分溶融温度曲線より上の領域まで温度を上昇させて
部分溶融状態に移行させ、次に温度を一定に保つかもし
くは若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線より下の
領域まで酸素分圧を上昇させることによって配向凝固さ
せる方法、 ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製造用原料を加
熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上昇させた後、
温度を一定に保つかもしくは若干変化させる条件下で部
分溶融温度曲線より上の領域まで酸素分圧を低下させて
部分溶融状態に移行させ、次に酸素分圧を一定に保つか
もしくは若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線より
下の領域まで温度を低下させることによって配向凝固さ
せる方法。
【0008】これらの方法は、銀シース中に酸化物超電
導体線材製造用原料を封入してから行うことが好まし
い。また、上記酸化物超電導体線材は、Bi系2212
型酸化物超電導体線材であることが好ましい。
【0009】
【作用】部分溶融時に発生する酸素ガスは酸素ポアの発
生原因となり、その結果結晶のランダム生成・成長を形
成し易いことは上述した通りである。この様な酸素ガス
の発生を抑制する方法としては、 原料粉として、銀を添加したBi2 Sr2 Ca1 Cu
2 Agxy を用いる方法 (T. Kanai et al., Supercond. Sci. Technol. 6 (199
3) 510-513)、 溶融時の酸素分圧を高める方法 (K. Nomura et al., A.P.L. 62 (1993) 2131-2133)、
及び 溶融時のガス圧を高める方法 (井上他、第50回低温工学・超電導学会講演概要集、
P235) 等が報告されているが、いずれの方法も上述した温度制
御による熱処理法に基づく方法であって、基本的には温
度を変数として用い、酸素分圧や大気圧は定数とし用い
る方法であることには変わりがない。
【0010】本発明の製造方法は、結晶化が酸素分圧
(大気組成の酸素濃度を変化させて制御する:以下、P
2 と略記する場合がある)の高い部分から始まる点に
着目してなされたものであり、結晶の配向凝固を、従来
の様に温度制御による方法ではなく、PO2 を制御して
行った点に特徴を有するものである。
【0011】すなわち、本発明の酸化物超電導体線材の
製造方法は、酸化物超電導体線材製造用原料を部分溶融
状態から配向凝固を行わせて酸化物超電導体線材を製造
するにあたり、温度−酸素分圧相図における部分溶融温
度曲線に基づいて、処理雰囲気の酸素分圧を制御して行
う方法である。
【0012】この様な方法においてはいろいろな制御手
段を組み合わせて実施することができるので、以下に示
す様な種々の作用効果が得られる。 処理温度をほぼ一定に保ち、酸素分圧のみを徐々に変
化(上昇)させることによって、処理系全体を一斉に均
一に変化させることができる。 PO2 の高い条件下で一斉に部分溶融させることによ
り、酸素ポアの発生を極力抑えることができる。仮に酸
素ポアが発生したとしても処理系全体に均等に起こるの
で酸素ポアの分布が小さく分散することになる。 PO2 を徐々に上昇させることによって酸素が徐々に
内部へ拡散するので、結晶化が外部から始まって中心部
へ進むことになる。従って結晶のランダム生成・成長を
抑えることができる。 従来の方法によれば、特に丸線や平角線の場合にJc
が低いため結晶のランダム生成・成長が顕著に見られた
が、本発明の製造方法によれば、これらの形状において
も高いJcを得ることができる。従って、巻き返しを含
むソレノイドコイル型の巻線も可能になり、酸化物超電
導体線材をコイル化して大きなマグネット等として処理
する場合に有用である。 酸素濃度を制御しつつ全圧を高めてPO2 を上昇させ
る場合には、熱処理終了後に温度を室温まで下げる際、
炉内の気圧が高いために放熱が速やかに起こるので、炉
内を急激に冷却するという効果が得られる。このことに
よって、例えばBi系2212相が820℃以下で非超
電導相であるBi系2201相に分解するのを抑制する
ことができる。
【0013】従来の温度制御による方法では、上記分解
を抑制するために、熱処理終了後の冷却速度を制御する
方法が行われていた(特開平5−20943号及び特開
平5−234438)が、本発明の製造方法によればこ
の様な温度制御を行わなくとも、必然的に上記作用効果
が得られるのである。
【0014】図1は、Bi系2212銀シース線材にお
いて、温度を一定に保つかもしくは若干変化させた条件
下で、PO2 を徐々に上昇させた場合、時間(t)の経
過と共に部分溶融温度(Tpm)が上昇することによっ
て結晶の凝固(すなわち結晶化点、図中◎で示す)が、
銀シース壁側から中心部へ向かって進む過程を示したも
のである。同図において、太線はPO2 、点線はTp
m、細線は温度をそれぞれ表す。図1に示す様に、酸素
の拡散を考慮すればPO2 (酸素濃度)の勾配は外側か
ら中心部に向かうにつれて低くなる。本発明の方法によ
れば、シース内の酸素濃度勾配を制御することにより銀
シース壁側から中心部に向かって結晶化が進むことにな
るので、シース管壁の形状にそった結晶配向が得られる
ことになる。従来の様に一定酸素分圧の下で温度のみを
変化させた場合には、PO2 の微妙な高低差に応じてP
2 の若干高いところからランダムに結晶生成が始まる
のに比べれば、本発明の方法は、配向凝固を格段に制御
し得るものである。その際、銀の酸素透過性を考慮して
処理雰囲気を高PO2 下にして、銀とBi系2212相
の界面から核生成を起こさせる様にすれば、銀界面から
結晶成長が生じるのでランダム生成・成長を極力抑える
ことができる。
【0015】上記した本発明の製造方法は、基本的には
以下の3つの方法を包含するものである。
【0016】第1の方法は、ある酸素分圧下に酸化物超
電導体線材製造用原料を加熱して部分溶融温度曲線以下
の温度まで上昇させた後、温度を一定に保つかもしくは
若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線より上の領域
まで酸素分圧を低下させて部分溶融状態に移行させ、次
に温度を一定に保つかもしくは若干変化させる条件下で
部分溶融温度曲線より下の領域まで酸素分圧を上昇させ
ることによって配向凝固させるものである。
【0017】第2の方法は、ある酸素分圧下に酸化物超
電導体線材製造用原料を加熱して部分溶融温度曲線以下
の温度まで上昇させた後、酸素分圧を一定に保つかもし
くは若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線より上の
領域まで温度を上昇させて部分溶融状態に移行させ、次
に温度を一定に保つかもしくは若干変化させる条件下で
部分溶融温度曲線より下の領域まで酸素分圧を上昇させ
ることによって配向凝固させるものである。
【0018】第3の方法は、ある酸素分圧下に酸化物超
電導体線材製造用原料を加熱して部分溶融温度曲線以下
の温度まで上昇させた後、温度を一定に保つかもしくは
若干変化させる条件下で部分溶融温度曲線より上の領域
まで酸素分圧を低下させて部分溶融状態に移行させ、次
に酸素分圧を一定に保つかもしくは若干変化させる条件
下で部分溶融温度曲線より下の領域まで温度を低下させ
ることによって配向凝固させるものである。
【0019】上記方法のうち、第1方法及び第2方法
は、PO2 を低下もしくは温度を上昇させることによっ
て一旦部分溶融状態とした後、温度をほぼ一定に保って
PO2を上昇させる方法であり、その作用機序は上述し
た通りである。なお、上記第2の方法において、部分溶
融温度曲線以上の温度まで上昇させて部分溶融状態に移
行させてから、次に温度を一定に保つかもしくは若干変
化させる条件下で部分溶融温度曲線より下の領域まで酸
素分圧を上昇させることによって配向凝固させてもよ
い。また、上記方法のうち第3方法は、PO2 を低下さ
せることによって部分溶融状態とした後、温度を低下さ
せる方法であるが、この様な方法によっても上記第1及
び第2の方法と同様の効果が得られるものである。これ
らの方法は、いずれも酸素ポアの発生を抑制するという
観点から、可能な限りPO2 の高い状態で行うことが好
ましく、その意味からすれば、上記第1の方法および第
2の方法を用いることが推奨される。
【0020】これらの3つの方法を含めた本発明の製造
方法を、部分溶融温度−酸素分圧相図上において、従来
の温度制御による方法と対比させて示したのが図2であ
る。図中、(1)は本発明の第1方法、(2)は本発明
の第2方法、および(3)は本発明の第3方法である。
図2から分かる様に、従来の製造方法では基本的には温
度のみによる制御(図中では、縦軸方向のみによる制
御)であったのに対して、本発明の製造方法はいずれの
方法も、少なくともPO2 を制御する工程(すなわち、
図中では横軸方向による制御)を包含するものである。
なお、図面では温度を一定にして酸素分圧を変化させて
図示している箇所があるが、これは便宜上この様に図示
したものであって、実際には温度を若干変化させる場合
も本発明の製造方法に包含される。
【0021】すなわち、本発明の製造方法は基本的には
処理系内の温度をほぼ一定にして酸素分圧を制御する方
法であるが、系内への熱の出入りを全く認めないという
ものではない。例えば、(i)発熱反応系もしくは吸熱反
応系の場合には、それぞれ温度を低下もしくは上昇させ
ることによって処理系内の温度をほぼ一定に保つことが
好ましく、(ii)断熱系の場合であっても系内の温度幅
をある程度設けることは可能であり、無限大の時間をか
けて処理系内の温度をほぼ一定に保ってもよい。この様
に、本発明の方法はこれらの操作もすべて含めて、処理
系内の温度をほぼ一定に保つという工程を達成するもの
である。また、図面では酸素分圧を一定にして温度を変
化させて図示している箇所があるが、これは便宜上この
様に図示したものであって、実際には酸素分圧を若干変
化させる場合も本発明の製造方法に包含される。
【0022】本発明の製造方法においてPO2 を変化さ
せる方法としては特に限定されず、全圧を変化させるこ
とによってPO2 を変化させてもよいし、あるいは全圧
を一定にして窒素ガスを除去、あるいは窒素ガスと酸素
ガスの混合ガスを導入することによって変化させてもよ
い。好ましくは、全圧を一定にして、窒素ガスまたは酸
素ガスをガス濃度計でモニターしながらフローする方法
が用いられる。また、固相状態から部分溶融状態へ移行
させる場合におけるPO2 の減少速度は特に限定されな
いが、処理系を均一にして原料粉の組成ずれを防止する
という観点からすれば、0.1〜5bar/hrの範囲
であることが好ましい。また、部分溶融状態から配向凝
固させる場合におけるPO2 の上昇速度は、結晶の高配
向化の観点からも徐々に上昇させることが好ましい。好
ましい上昇速度は0.05bar/hr以下であり、よ
り好ましい上昇速度は0.005bar/hr以下であ
る。更に、同様に結晶の高配向化の観点からPO2
0.5bar/hr以上であることが好ましく、より好
ましくは1.0bar/hr以上である。
【0023】また、本発明の製造方法において、固相状
態から部分溶融状態へ移行させる場合における温度の上
昇速度、もしくは部分溶融状態から配向凝固させる場合
における温度の低下速度は特に限定されないが、処理系
を均一にして原料粉の組成ずれを防止するという観点か
らすれば、5〜20℃/hrの範囲であることが好まし
い。
【0024】本発明の製造方法は、Bi系2212型、
Bi系2223型等のBi系酸化物、Tl系酸化物等に
応用できる。なお、本発明の製造方法は上述した様に、
部分溶融状態から配向凝固させて酸化物超電導体線材を
製造するにあたり、その工程を制御する点に特徴を有す
るものであって、酸化物超電導体の粉末を線材化する方
法については特に限定されず、従来用いられている銀シ
ース法、ディップコート法、ジェリーロール法、電着法
等が用いられるが、このうち、特に銀シース法を用いる
ことが推奨される。この銀シース法を用いれば、シース
内の酸素濃度勾配を制御することによりシース壁に沿っ
て核生成を発生させることができるので、結晶の配合制
御を行うことができる。なお、Bi系2212型酸化物
超電導体粉末において、Ca1モルに対して銀を0.0
5〜0.5モルの割合で添加すれば、溶融時の酸素ガス
の発生を更に抑制するという観点から更に有効である。
【0025】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0026】
【実施例】実験例 原料粉末としてBi23 ,SrCO3 ,CaCO3
CuO及びAg2 Oの各粉末を、各元素のモル比がB
i:Sr:Ca:Cu:Ag=2.1:2.0:1.
0:1.9:0.1となる様に秤量して混合した後、大
気中750℃で24時間、仮焼して粉砕混合し、更に大
気中820℃で36時間仮焼することによって、原料粉
(仕込み組成Bi2.1 Sr2.0 Ca1.0 Cu1.9 Ag
0.1x )を作製した。 各酸素分圧における上記原料
粉の部分溶融温度を、部分溶融時の吸熱ピークを測定す
る示差熱分析法によって測定した。この様にして得られ
た部分溶融曲線を図3に示す。
【0027】実施例 上記実験例で作製した原料粉を用いて、下記に示す方法
によって丸線、平角線、及びテープ状の線材に加工し
た。 (i )丸線:外径6.0mm、内径4.0mmの銀パイプ
(99.9%)に封入後、ローラーダイス(溝ロール)
伸線を行うことにより、丸線(φ:1.2mm)に加工し
た。 (ii)平角線:上記(i )の方法により加工された丸線
(φ:1.2mm)を、更にクロスロール圧延機で偏平加
工することにより、平角線(w:2.0mm×t:0.5
mm)に加工した。 (iii )テープ:長さ1500mm、外径6.0mm、内径
4.0mmの銀パイプに充填し、ローラーダイス(溝ロー
ル)伸線とロール圧延を行うことによって、テープ
(w:10.0mm×t:0.1mm)状に加工した。
【0028】各形状の線材について、それぞれ以下に示
す様な(A)〜(D)の熱処理を行い、温度4.2K,
磁界0T中におけるJc(A/cm2 )を測定した。な
お、Jcの測定は0.5μV/cm下で行った。また、
以下の図4〜7において実線は温度変化を、点線はPO
2 変化をそれぞれ示す。
【0029】(A)本発明の第1方法による熱処理 まず、PO2 =1.0bar(02 100%)中で88
2℃まで加熱した。その後、温度は変化させずに、全圧
を1.0barに保ったままN2 を導入することによ
り、PO2 を0.5barまで低下させた(0.5ba
r/hrで1時間)。これによって部分溶融相に移行す
る。次に、排気側に設置された酸素濃度計で酸素濃度を
モニターしながら、純02 ガスを10分間隔で5〜10
L/minの流速でショット的に導入することにより、
PO2 を1.0barまで上昇させた(0.025ba
r/hrで20時間)。図4にこの熱処理パターンを示
す。
【0030】(B)本発明の第1方法による他の熱処理 まず、PO2 =2.0bar(02 =20%,N2 =8
0%,全圧=10.0bar)下で884℃まで加熱し
た。その後、温度は変化させずに、全圧を10.0ba
rに保ったままN2 を導入することにより、PO2
1.0bar(0 2 =10%,N2 =90%)まで低下
させた(1.0bar/hrで1時間)。これによって
部分溶融相に移行する。次に、PO2 =1.0barで
30分間保持した後、排気側に設置された酸素濃度計で
酸素濃度をモニターしながら、純0 2 ガスを10分間隔
で30L/minの流速でショット的に導入することに
より、PO2 を2.0barまで上昇させた(0.05
bar/hrで20時間)。図5にこの熱処理パターン
を示す。
【0031】(C)本発明の第2方法による熱処理 まず、PO2 =1.0bar(02 =10%,N2 =9
0%,全圧=10.0bar)下で884℃まで加熱し
た。これによって部分溶融相に移行する。その後、温度
は変化させずに、全圧を10.0barに保ったまま、
排気側に設置された酸素濃度計で酸素濃度をモニターし
ながら、純02 ガスを10分間隔で30L/minの流
速でショット的に導入することにより、PO2 =2.0
bar(02 =20%,N2 =80%)まで上昇させた
(0.05bar/hrで20時間)。図6にこの熱処
理パターンを示す。
【0032】(D)本発明の第3方法による熱処理 まず、PO2 =2.0bar(02 =20%,N2 =8
0%,全圧=10.0bar)下で884℃まで加熱し
たその後、全圧を10.0barに保ったままN2 を導
入することにより、PO2 を1.0bar(02 =10
%,N2 =90%)まで低下させた(1.0bar/h
rで1時間)。これによって部分溶融相に移行する。次
に、PO2 を一定にしたまま、温度を884℃から84
4℃まで徐冷させた(2℃/hで20時間)。図7にこ
の熱処理パターンを示す。各線材におけるJcの測定結
果を表1に示す。なお、表中のJc値は、各線材を3個
測定した際の平均値で示した。
【0033】
【表1】
【0034】表1から明らかな様に、本発明の製造方法
を用いれば、線材を丸線、平角線、及びテープのいずれ
の形状にした場合においても良好なJc値が得られた。
このうち、特に(B)の製造方法を用いれば、最も優れ
たJc特性が得られることが分かった。
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法は上記構成からなって
いるので、部分溶融時の酸素ガスの発生を抑制すること
によって結晶のランダム生成・成長を抑えることができ
る。また、部分溶融時のシース内の酸素濃度勾配を制御
することによりシース壁に沿って核生成を発生させるこ
とによって、結晶のランダム生成・成長を抑えることが
できる。この様な製造方法によって、酸化物超電導体を
テープ、丸線、平角線等の形状に線材化したときにも良
好な臨界電流密度が得られる。また、本発明の製造方法
を適用すれば、巻き返しを含むソレノイドコイル等の作
製が可能であり、酸化物超電導体線材を様々な技術分野
で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Bi系2212銀シース線材における結晶の凝
固過程を示すグラフである。
【図2】従来の熱処理パターンと本発明の熱処理パター
ンを、温度−酸素分圧相図上で対比させて示したグラフ
である。
【図3】実施例における部分溶融温度曲線を示すグラフ
である。
【図4】実施例において(A)の熱処理パターンを示す
グラフである。
【図5】実施例において(B)の熱処理パターンを示す
グラフである。
【図6】実施例において(C)の熱処理パターンを示す
グラフである。
【図7】実施例において(D)の熱処理パターンを示す
グラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 29/22 501 B 8216−4G H01B 12/04 ZAA

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体線材製造用原料を部分溶
    融状態から配向凝固させて酸化物超電導体線材を製造す
    るにあたり、温度−酸素分圧相図における部分溶融温度
    曲線に基づいて、処理雰囲気の酸素分圧を制御して行う
    ことを特徴とする酸化物超電導体線材の製造方法。
  2. 【請求項2】 ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製
    造用原料を加熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上
    昇させた後、温度を一定に保つかもしくは若干変化させ
    る条件下で部分溶融温度曲線より上の領域まで酸素分圧
    を低下させて部分溶融状態に移行させ、次に温度を一定
    に保つかもしくは若干変化させる条件下で部分溶融温度
    曲線より下の領域まで酸素分圧を上昇させることによっ
    て配向凝固させるものである請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製
    造用原料を加熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上
    昇させた後、酸素分圧を一定に保つかもしくは若干変化
    させる条件下で部分溶融温度曲線より上の領域まで温度
    を上昇させて部分溶融状態に移行させ、次に温度を一定
    に保つかもしくは若干変化させる条件下で部分溶融温度
    曲線より下の領域まで酸素分圧を上昇させることによっ
    て配向凝固させるものである請求項1に記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ある酸素分圧下に酸化物超電導体線材製
    造用原料を加熱して部分溶融温度曲線以下の温度まで上
    昇させた後、温度を一定に保つかもしくは若干変化させ
    る条件下で部分溶融温度曲線より上の領域まで酸素分圧
    を低下させて部分溶融状態に移行させ、次に酸素分圧を
    一定に保つかもしくは若干変化させる条件下で部分溶融
    温度曲線より下の領域まで温度を低下させることによっ
    て配向凝固させるものである請求項1に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 銀シース中に酸化物超電導体線材製造用
    原料を封入して行う請求項1〜4のいずれかに記載の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化物超電導体線材がBi系221
    2型酸化物超電導体線材である請求項1〜5のいずれか
    に記載の製造方法。
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