JPH0774193B2 - ジペプチド誘導体及びその製法並びに用途 - Google Patents

ジペプチド誘導体及びその製法並びに用途

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JPH0774193B2
JPH0774193B2 JP17855986A JP17855986A JPH0774193B2 JP H0774193 B2 JPH0774193 B2 JP H0774193B2 JP 17855986 A JP17855986 A JP 17855986A JP 17855986 A JP17855986 A JP 17855986A JP H0774193 B2 JPH0774193 B2 JP H0774193B2
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雅之 齊藤
直樹 樋口
昌樹 橋本
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は一般式(1): (式中、mは1ないし8の整数を表し、nは0ないし6
の整数を表し、R1は水素原子を表し、R2は水素原子、炭
素数3ないし5の分岐アルキル基、フエニル基、ヒドロ
キシフエニル基、またはメチルチオ基を表すか、または
R1とR2は一緒になつて炭素窒素間の結合を表し、Xはア
ラルキル基、アリール−アルケニル基、またはアリール
オキシ基を表すが、但し、nが0のときR2は水素原子以
外の意味を表す。) を有するジペプチド誘導体、その製造法およびその用途
に関する。
さらに詳しく述べれば、本発明の前記一般式(1)を有
する化合物はプロリルエンドペプチダーゼ(EC,3.4.21.
26.Prolyl−endopeptidase)に対し、酵素阻害活性を示
すのみならず、脳内における器質性障害にもとずく症状
の改善・治療に有効な化合物である。
ここで「脳内の器質性障害」とは脳梗塞後遺症、脳出血
後遺症、脳動脈硬化後遺症などの脳虚血性障害に由来す
る諸症状および老年痴呆、初老期痴呆、健忘症、頭部外
傷後遺症、脳手術後遺症などに由来する各種器質的障害
を意味する。
(従来技術) プロリルエンドペプチダーゼは、神経伝達物質とされて
いる、サブスタンスP、TRH(甲状腺刺激ホルモン)及
びノイロテンシンや記憶と関係があると考えられている
バソプレシンに作用し、これらを不活性化することが知
られている。一方長崎大学薬学部の鶴、芳本両氏は、プ
ロリルエンドペプチダーゼ活性を阻害する化合物がラツ
トのスコポラミンによる実験的健忘症を予防することを
見出し、記憶の固定にプロリルエンドペプチダーゼ イ
ンヒビターが関与すると推論した。またこの結果プロリ
ルエンドペプチダーゼ インヒビターが健忘症の予防お
よび治療に利用できる可能性を示唆している。
事実、本発明の前記一般式(1)で表わされる新規ジペ
プチド誘導体は実験動物を用いた実験により、その健忘
症に対する効果が確認された。
脳細胞は、その周囲の環境(細胞外液)と全くかけ離れ
た細胞内環境を保持し、その差を維持し乍ら生きている
が、そのためには絶えずエネルギーを産生し供給し続け
なければならない。脳の神経細胞が必要とするエネルギ
ーの大部分は酸素とブドウ糖により供給されており、こ
れらのエネルギー源は脳内にはほとんど貯蔵されていな
いため、常時血液から補給されている。
仮りに脳に障害が起こり、酸素とブドウ糖の供給が壮絶
したとすると、一般的にはエネルギー代謝障害が段階的
に進行し、時間の経過とともに細胞は機能を失い、やが
て器質的にも崩壊し、その機能を正常に営むことができ
なくなる。
このため、脳組織のエネルギー源を安定供給し、脳神経
細胞の外部環境を一定に保つために、脳血管自身の脳血
流を調整する機構がよく発達している。
脳血管障害を内科的に治療する場合、これまで各種の脳
循環改善剤、脳血管拡張剤、脳代謝改善剤などが使用さ
れてきた。しかしながら、これらの薬剤は自覚症状の改
善は認められるものの、神経症状の改善はほとんど認め
られないのが現状である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、前記の脳内の各種障害に起因する症状の
改善・治療に対して密接に関与していると考えられるプ
ロリルエンドペプチダーゼ阻害活性および抗健忘症活性
を有する化合物を見出すべく鋭意研究を重ねてきた。さ
らに、毒性の充分低い新規な化合物を見出すべく、天然
化合物として安全性の高い脂肪酸さらにはアミノ酸、ペ
プチド系化合物の組合せにより天然物に近似した化合物
を合成し、前記一般式(1)で表わされる抗プロリルエ
ンドペプチダーゼ活性を有する事を見出した。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は鋭意研究の結果、前記一般式(1)で表わさ
れる新規ジペプチド誘導体が抗プロリンエンドペプチダ
ーゼ活性を有し、またこの新規ジペプチド誘導体が実験
モデル動物に対し抗健忘症作用も併せ持つという全く新
しい知見を得、本発明を完成するに至つた。
すなわち、本発明の式(1)で表わされる新規ジペプチ
ド誘導体は脳内の器質性障害に起因する精神機能症状の
改善・治療に有効であり、特に健忘症に対し有効な化合
物である。
本発明の式(1)の化合物は、プロリン残基、及び直鎖
型脂肪酸を含む点で、従来よく知られているピラセタム
誘導体系の抗健忘症剤とは大きく異なつており、さらに
アミノ酸又はペプチド誘導体であるため、生体に対する
毒性も極めて低いものである。
本発明化合物は、一般的ペプチド合成法により合成する
ことができるが、以下に説明する本発明の合成法によれ
ば都合よく合成される。なお各略号は次の意味を表わ
す。
Pro:プロリン残基 Phe:フエニルアラニン残基 Val:バリン残基 Leu:ロイシン残基 OMe:メチルエステル残基 WSCD:N−エチル−N′,N′−ジメチルアミノプロピルカ
ルボジイミド 本発明の一般式(1)の化合物は、次のようにして合成
することができる。
一般式(2): 〔式中、mおよびXは前記と同一意義を表し、Aは水酸
基、ハロゲン原子または基: (ここで、mおよびXは前記と同一意義を有する。)を
表す。〕 を有するカルボン酸、酸ハライドまたは酸無水物を、一
般式(3): (式中、n、R1およびR2は、前記の意義を有し、Bは低
級アルキル基を表す。) を有するアミノ酸エステル誘導体と塩基存在下で反応さ
せ、次いでエステル基を加水分解することにより、一般
式(4) (式中、m、n、R1、R2およびXは、前記と同一意義を
表す。) を有するアシルアミノ酸を得る。さらにこの化合物
(4)をプロリンアルキルエステル塩酸塩と、塩基存在
下で反応させることにより、一般式(1a): (式中、m、n、R1、R2およびXは、前記と同一意義を
有し、Bは低級アルキル基を表す。) を有する化合物を得、該化合物を還元して一般式(1
b): (式中、m、n、R1、R2およびXは前記と同一意義を有
する。) を有する化合物に変換し、次いで、該化合物のピロリジ
ン環上のヒドロキシメチル基を酸化してアルデヒド基に
変換することにより、前記一般式(1)の目的化合物を
得ることが出来る。
一般式(1)の化合物の上記合成法は、一般に用いられ
ているアミノ基のアシル化反応並びにペプチド合成反応
であり、式(3)を有する出発成分がカルボン酸、酸ハ
ライドまたは酸無水物のいづれであるかにより、用いら
れる塩基等の試薬は異なる。例えば酸ハライドを用いる
場合、塩基としてトリエチルアミンなどのトリアルキル
アミンが好ましいが、アルカリ金属の水酸化物の水溶
液、アルカリ金属の炭酸塩などでもよい。
酸無水物を用いる場合、前述のアルカリ金属の水酸化物
の水溶液、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
ど又はアルカリ金属の炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、
炭酸カリウムなどがあげられる。
又カルボン酸を用いる場合、反応に関与しない有機溶媒
中で縮合剤、例えばWSCD、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミドなどが用いられる。
次に、上記の反応において、化合物(1a)を化合物(1
b)に還元するには、化合物(1a)を水素化ホウ素ナト
リウムとともに含む第3ブチルアルコールまたはテトラ
ヒドロフランの懸濁液に、メタノールを滴加することに
より、収率よく還元され、アルコール体(1b)に変換す
ることができる。
ここに例示した方法を含む一般的な方法として水素化ホ
ウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素
亜鉛、水素化ホウ素カリウムなどの還元剤を化合物(1
a)のアルコール溶液中に加えることによつてもアルコ
ール体(1b)は得られる。
さらに、アルコール体(1b)から一般式(1)の目的化
合物に変換する工程は、化合物(1b)を有機溶媒中で、
酸化剤と処理すればよい。この酸化反応に用いられる溶
媒は、反応に関与しないものであればよいが、ジメチル
スルホキシドが最もよい。又酸化剤としては三酸化イオ
ウ−ピリジン錯体、ジメチルスルホキシド、ジメチルス
ルホキシド−ジシクロヘキシルカルボジイミド−リン
酸、酸化銀、二酸化マンガン、などが例示される。
以下の調製例および実施例により、本発明をさらに詳述
する。調製例は、実施例1〜9で用いる出発化合物の合
成法を例示するものである。
調製例 (a) N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノ
イル〕−Pro−OH オルトヒドロキシ−(E)−スチルベン(10mモル)と
水酸化カリウム(15mモル)を乾燥ジメチルスルフオキ
シド(10ml)に溶解する。この溶液に4−ブロモ酪酸エ
チルエステル(11mモル)を加え、室温で一昼夜撹拌す
る。反応終了後、水とベンゼンで分液し、有機層を無水
硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を留去するとオルト
ヒドロキシ−(E)−スチルベニルオキシ酪酸エチルエ
ステルを得る。これを少量のエタノールに溶解し、1N水
酸化ナトリウム水溶液約100mlを加え、室温で約3時間
撹拌する。反応終了後、10N塩酸で反応液を酸性(pH〜
2)にし、酢酸エチルで抽出する。この有機層を無水硫
酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を留去すると、o−
(E)−スチルベニルオキシ酪酸を得る。
次にこのオルト−(E)−スチルベニルオキシ酪酸(5m
モル)とL−プロリンメチルエステル塩酸塩(5mモル)
を乾燥塩化メチレン約100mlに溶解し、等モルのトリエ
チルアミンを加える。この溶液に1.2当量のWSCDを加
え、一昼夜室温にて撹拌する。反応終了後、反応液を1N
塩酸飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び飽和
食塩水の順番に洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウム上
で乾燥後溶媒を留去する。残渣をシリカゲルを用いた中
圧カラムクロマトグラフイーを用いて精製すると、オル
ト−(E)−スチルベニルオキシブタノイル−L−プロ
リンメチルエステルを得る。これを少量のメタノールに
溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液100mlを加えて室温
で約3時間撹拌する。反応終了後、10N塩酸で反応液を
酸性にし(pH〜2)、酢酸エチルで抽出する。この有機
層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を留去する
と、オルト−(E)−スチルベニルオキシブタノイル−
L−プロリンを得る。
上記(a)で、プロリンメチルエステル塩酸塩のかわり
に、(ア)フエニルアラニンエチルエステル塩酸塩、
(イ)ロイシンエチルエステル塩酸塩、(ウ)バリンエ
チルエステル塩酸塩を用いることにより、それぞれ、
(ア′)N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノ
イル〕−Phe−OH、(イ′)N−〔o−(E)−スチル
ベニルオキシブタノイル〕−Leu−OH、(ウ′)N−
〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−Val
−OHを得ることができた。
(b) N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−
Pro−OH 上記(a)で、オルトヒドロキシ−(E)−スチルベン
のかわりに、p−ベンジルフエノールを用いることによ
り、目的化合物を得る。
上記(b)でプロリンメチルエステル塩酸塩のかわり
に、(ア)フエニルアラニンエチルエステル塩酸塩、
(イ)ロイシンエチルエステル塩酸塩、(ウ)バリンエ
チルエステル塩酸塩を用いることにより、それぞれ、
(ア′)N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−
Phe−OH、(イ′)N−(p−ベンジルフエノキシブタ
ノイル)−Leu−OH、(ウ′)N−(p−ベンジルフエ
ノキシブタノイル)−Val−OHを得ることができた。
(c) N−(p−フエノキシ−フエノキシペンタノイ
ル)−Pro−OH 上記(a)で、オルトヒドロキシ−(E)−スチルベン
のかわりに、p−フエノキシフエノールを用いることに
より、目的化合物を得る。
実施例1 N−(o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル)−
Pro−Pro−CHO(SUAM−1420) N−(o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル)−
Pro−OH(1当量)、Pro−OMe塩酸塩(1当量)、トリ
エチルアミン(1当量)及びWSCD塩酸塩(1当量)を乾
燥塩化メチレンに溶解し、室温で一昼夜撹拌したのち、
反応液を1N塩酸、水、飽和重曹水、水、飽和食塩水の順
に洗い、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減
圧留去して得られる残渣を、シリカゲルを用いたカラム
クロマトグラフイーで精製し、N−(o−(E)−スチ
ルベニルオキシブタノイル)−Pro−Pro−OMe(参考例
番号1a)を得た。
次に、上記化合物(1.0g)と水素化ホウ素ナトリウム
(330mg)を第3ブチルアルコール(10ml)に溶解し、
加熱撹拌する(70〜80℃)。次いで還流下乾燥メタノー
ル(2.4ml)を滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流撹
拌した。反応液を室温にもどし、氷冷下に水(数ml)を
加え未反応の水素化ホウ素ナトリウムを分解した。メタ
ノールと第3ブチルアルコールを減圧留去した後、酢酸
エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られ
た残渣をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフイー
で精製し、N−(o−(E)−スチルベニルオキシブタ
ノイル)−Pro−Pro−CH2OH(参考例番号1b)(920mg)
を得た。
さらに、上記化合物(900mg)とトリエチルアミン(1.1
ml)を無水ジメチルスルフオキシド(5ml)に溶解し、
撹拌下に三酸化イオウ−ピリジン錯体(1.2g)のジメチ
ルスルフオキシド(5ml)溶液を加えた。室温で約20分
間撹拌後、氷水(100ml)に注ぎ、酢酸エチルで抽出
し、10%クエン酸溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和
食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒
を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルを用いたカラ
ムクロマトグラフイで精製し、目的化合物(640mg)を
得た。
実施例2〜9 上記N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイ
ル〕−Pro−OHの代わりに、 N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−
Phe−OH、 N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−
Leu−OH、 N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−
Val−OH、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Pro−O
H、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Phe−O
H、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Leu−O
H、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Val−O
H、 N−(p−フエノキシ−フエノキシペンタノイル)−Pr
o−OH、 を用い、実施例1と同様に実施例2〜9を行うことによ
り、 N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−
Phe−Pro−CHO(SUAM 1421)、 N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−
Leu−Pro−CHO(SUAM 1422)、 N−〔o−(E)−スチルベニルオキシブタノイル〕−
Val−Pro−CHO(SUAM 1423)、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Pro−Pro
−CHO(SUAM 1424)、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Phe−Pro
−CHO(SUAM 1425)、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Leu−Pro
−CHO(SUAM 1426)、 N−(p−ベンジルフエノキシブタノイル)−Val−Pro
−CHO(SUAM 1427)、 N−(p−フエノキシ−フエノキシペンタノイル)−Pr
o−Pro−CHO(SUAM 14462)、 を得た。
得られた化合物の物理化学的データは表1に示す。ま
た、中間体として得られる、(a)エステル体および
(b)アルコール体に関するデータは、参考例として表
2に示す。
なお、表1の化合物はいづれも油状であり、四塩化炭
素、エーテル、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチ
ルおよびメタノールに可溶である。
本化合物がZ−グリシル−プロリル−β−ナフチルアミ
ドのプロリルエンドペプチダーゼによる分解を阻止する
効力について調べた結果、後述の実施例10に示されるご
とく大へん強い抗プロリルエンドペプチダーゼ活性を示
し、パパイン、ブロメライン、トリプシン、キモトリプ
シン、サーモライシン、ペプシン等のプロテイナーゼに
は全く阻害活性を示さなかつた。
また、このようにして得た本化合物は新規であり、実施
例11で示すように抗健忘症作用を有する。
実施例10 抗プロリルエンドペプチダーゼ活性の測定 抗プロリルエンドペプチダーゼ活性の測定は、芳本(T.
YoshimotoおよびD.Tsuru.Agr.Biol.Chem.42、2417、197
8)等の方法で行つた。即ち、0.0025M Z−グリシル−
プロリン−β−ナフチルアミド0.25ml、0.1Mリン酸緩衝
液(pH7.0)0.99mlおよび本発明の抗プロリルエンドペ
プチダーゼ化合物の溶液0.01mlを含む混合液を試験管中
で37℃、3分間加温した後、プロリルエンドペプチダー
ゼ溶液(0.2単位/ml)を0.1ml加え、35℃で10分間反応
させた。その後、1M酢酸緩衝液(pH4.0)中のトリトン
X−100(TritonX−100)溶液2.0mlを界面活性剤の最終
濃度が10%となるように加え、室温に15分間放置したの
ち、410nmにおける吸光度(a)を測定した。
同時に抗プロリルペプチダーゼ化合物の溶液の代りに緩
衝液のみを用いた盲検の吸光度(b)を測定し、プロリ
ルエンドペプチダーゼ阻害率を、次式: 〔(b−a)/b〕×100 により計算し、50%阻害に必要な量〔IC50〕を求めた。
試験結果を表3に示す。
実施例11 ラツトを用いたスコポラミンによる実験的健忘症の予防
効果の測定(腹腔内投与) 本発明の抗プロリルエンドペプチダーゼ化合物につい
て、スコポラミンによる長期記憶固定阻害を防止する効
果を検討した。即ち、本発明の化合物を0.2mg/kgまたは
1mg/kg含有する生理食塩水を夫々ウイスター(Wister)
系雄性ラツト(100〜120g)の腹腔に1回投与し、投与
1時間後に電気シヨツクによる受動的回避学習を行な
い、直後にスコポラミン3mg/kgを腹腔内投与した。
効果の判定は、24時間後の受動的回避テストで、供試化
合物を投与しないでスコポラミン及び生理食塩水を腹腔
内投与した対照動物群と、供試化合物の投与及びスコポ
ラミンの投与を共に行つた動物群の各々につき、健忘症
ラツト、非健忘症ラツトの数を対比する事により行なつ
た。試験結果を表4に示す。
実施例12 マウスによる急性毒性試験 CDF−1系雄性マウス(体重27.2〜30.1g)(アワズ実験
動物より購入)を用い、本発明化合物の急性毒性を検討
した。
薬液は、各化合物をDMSOに溶解し、マウス1匹あたり0.
1mlを腹腔内投与した。各投与群に5匹のマウスを使用
し、投与後24時間および48時間の時点で観察した。各化
合物の平均投与量を表4に示す。
表 4 化合物 平均投与量mg/kg No.1 SUAM 1423 >400 No.2 SUAM 1424 >400 No.3 SUAM 1427 >400 この結果、上記投与量では、24および48時間後に、各
群、いずれも健全で毒性は何ら認められなかつた。
本発明はまた脳内における器質性障害にもとずく症状の
改善・治療に有効な本発明化合物および製薬上許容され
る補助剤を含有する医薬組成物を包含する。
これら活性成分および医薬組成物は、カプセル、錠剤お
よび粉末のような固形投薬形態に、またはエリキシー
ル、シロツプおよび懸濁液のような液体投薬形態で経口
投与される。又非経口的に、例えば注射剤および坐薬と
しても用いられる。
医薬用組成物に含まれる固形投薬としての補助剤は、例
えば固形粉末状の担体、ラクトース、サツカロース、デ
キストロース、マンニツト、ソルビツト、セルロース、
グリシンなどが挙げられる。
又滑沢剤としては二酸化珪素、タルク、ステアリン酸マ
グネシウム、ポリエチレングリコール、結合剤として澱
粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリ
ウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ンなどが例示される。崩壊剤としては澱粉、寒天などが
ある。
本発明の化合物の投与量は成人に対して1日当り、普通
10〜4000mg好ましくは100〜1000mgの服用量で経口投与
を行なうか、あるいは1〜2000mg、好ましくは50〜500m
gの服用量で非経口投与する。投与量は、投与される疾
患の種類・患者の年令、体重、症状の程度、投与形態に
よつても異なることは明らかである。
製剤例1. 活性物質 10部 乳糖 75部 重質酸化マグネシウム 15部 を均一に混合し、錠剤、カプセル剤とした。
製剤例2. 活性物質 45部 澱粉 15部 乳糖 40部 を均一に混合し、散剤、顆粒剤とした。
製剤例3. 活性物質 1部 界面活性剤 5部 生理食塩水 94部 を加温混合、滅菌して注射剤とした。
(発明の効果) 以上に示した様に本発明による化合物は顕著な抗エンド
プロリルペプチダーゼ活性及び抗健忘症作用を示す。
又、急性毒性試験の結果から、400mg/kg/マウスでも毒
性のない事が示され、安全域も充分広く、健忘症の予防
および治療のための医薬として有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1): (式中、mは1ないし8の整数を表し、nは0ないし6
    の整数を表し、R1は水素原子を表し、R2は水素原子、炭
    素数3ないし5の分岐アルキル基、フエニル基、ヒドロ
    キシフエニル基、またはメチルチオ基を表すか、または
    R1とR2は一緒になつて炭素窒素間の結合を表し、Xはア
    ラルキル基、アリール−アルケニル基、またはアリール
    オキシ基を表すが、但し、nが0のときR2は水素原子以
    外の意味を表す。) を有するジペプチド誘導体。
  2. 【請求項2】一般式: (式中、mは1ないし8の整数を表し、nは0ないし6
    の整数を表し、R4は水素原子、炭素数3ないし5の分岐
    アルキル基、フエニル基、ヒドロキシフエニル基、また
    はメチルチオ基を表し、Xはアラルキル基、アリール−
    アルケニル基、またはアリールオキシ基を表すが、但
    し、nが0のときR4は水素原子以外の意味を表す。) を有する特許請求の範囲第1項記載の化合物。
  3. 【請求項3】一般式: (式中、mは1ないし8の整数を表し、Xはアラルキル
    基、アリール−アルケニル基、またはアリールオキシ基
    を表す。) を有する特許請求の範囲第1項記載の化合物。
  4. 【請求項4】Xがスチリル基、ベンジル基またはフエノ
    キシ基である特許請求の範囲第1項記載の化合物。
  5. 【請求項5】一般式(2) 〔式中、mは1ないし8の整数を表し、Xはアラルキル
    基、アリール−アルケニル基、またはアリールオキシ基
    を表し、Aは水酸基、ハロゲン原子または基: (ここで、mおよびXは上記定義に同じである。)を表
    す。〕 を有するカルボン酸、酸ハライドまたは酸無水物を、一
    般式(3): (式中、nは0ないし6の整数を表し、R1は水素原子を
    表し、R2は水素原子、炭素数3ないし5の分岐アルキル
    基、フエニル基、ヒドロキシ基またはメチルチオ基を表
    すか、またはR1とR2は一緒になつて炭素窒素間の結合を
    表し、Bは低級アルキル基を表すが、但し、nが0のと
    きR2は水素原子以外の意味を表す。) を有するアミノ酸エステル誘導体と塩基存在下で反応さ
    せ、次いでエステル基を加水分解して、一般式(4): (式中、m、n、R1、R2およびXは前記定義に同じであ
    る。) を有するアシルアミノ酸誘導体とし、さらにこの化合物
    を塩基存在下でプロリンアルキルエステル塩酸塩と反応
    させ、生成化合物のピロリジン環上のアルキルエステル
    置換基を還元し、次いで酸化することを特徴とする、一
    般式(1): (式中、m、n、R1、R2およびXは前記定義に同じであ
    る。) を有するジペプチド誘導体の製造法。
  6. 【請求項6】塩基がトリアルキルアミン、アルカリ金属
    の水酸化物またはアルカリ金属の炭酸塩である特許請求
    の範囲第5項記載の製造法。
  7. 【請求項7】一般式(1): (式中、mは1ないし8の整数を表し、nは0ないし6
    の整数を表し、R1は水素原子を表し、R2は水素原子、炭
    素数3ないし5の分岐アルキル基、フエニル基、ヒドロ
    キシフエニル基、またはメチルチオ基を表すか、または
    R1とR2は一緒になつて炭素窒素間の結合を表し、Xはア
    ラルキル基、アリール−アルケニル基、またはアリール
    オキシ基を表すが、但し、nが0のときR2は水素原子以
    外の意味を表す。) を有するジペプチド誘導体を有効成分として含むプロリ
    ルエンドペプチダーゼ活性阻害剤。
  8. 【請求項8】一般式(1): (式中、mは1ないし8の整数を表し、nは0ないし6
    の整数を表し、R1は水素原子を表し、R2は水素原子、炭
    素数3ないし5の分岐アルキル基、フエニル基、ヒドロ
    キシフエニル基、またはメチルチオ基を表すか、または
    R1とR2は一緒になつて炭素窒素間の結合を表し、Xはア
    ラルキル基、アリール−アルケニル基、またはアリール
    オキシ基を表すが、但し、nが0のときR2は水素原子以
    外の意味を表す。) を有するジペプチド誘導体を有効成分として含む抗健忘
    症剤。
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