JPH0791215B2 - α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方法 - Google Patents

α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方法

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JPH0791215B2
JPH0791215B2 JP63314155A JP31415588A JPH0791215B2 JP H0791215 B2 JPH0791215 B2 JP H0791215B2 JP 63314155 A JP63314155 A JP 63314155A JP 31415588 A JP31415588 A JP 31415588A JP H0791215 B2 JPH0791215 B2 JP H0791215B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン
酸またはそのアルキルエステルを経済的に、かつ高純度
で製造することを可能ならしめる方法に関するものであ
る。さらに詳しくは、イソブチルベンゼンを酸触媒の存
在下にエチレンと反応させ、p−イソブチルエチルベン
ゼンを製造する工程、得られたp−イソブチルエチルベ
ンゼンを気相で脱水素触媒の存在下に脱水素させ、p−
イソブチルスチレンを製造する工程、および得られたp
−イソブチルスチレンを、遷移金属錯体カルボニル化触
媒の存在下、一酸化炭素および水または一酸化炭素およ
び低級アルコールと反応させることにより、α−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのアルキル
エステルを製造する工程からなる、α−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステル
の経済的な製造方法に関するものである。
本発明の目的生成物の一つであるα−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸アルキルは、公知の方法により
酸またはアルカリで加水分解すれば容易にα−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸に変換できることが知
られている。このα−(4−イソブチルフェニル)プロ
ピオン酸は、英国特許第971700号公報、フランス特許第
1549758号公報、特公昭40−7178号公報および特公昭40
−7491号公報に記載されているように、解熱、鎮痛、消
炎効果を持つ有用な医薬品(商品名;イブプロフェン)
となる化合物である。
[従来の技術および発明が解決しようとする課題] α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそ
のアルキルエステルは、従来より極めて多くの化合物を
出発物質として、種々の方法により合成されている。
しかしながら、α−(4−イソブチルフェニル)プロピ
オン酸またはそのアルキルエステルを安価で経済的に、
かつ高純度に合成するためには、 (イ)単純な化合物を出発原料とすること、 (ロ)各工程における中間体もできる限り単純で安定な
化合物が使える反応を利用すること、 (ハ)高価な試薬を利用せず安価な試薬または触媒を利
用すること、 (ニ)工程数はできる限り少ないこと、および (ホ)イソブチル基は異性化を起こしやすいので、各工
程の反応の際に、できるだけ異性化などを起こさない反
応を利用すること、 などが要求される。
しかるに、例えば、α−(4−イソブチルフェニル)プ
ロピオン酸またはそのアルキルエステルの合成方法とし
て提案されている特開昭50−40541号公報、特開昭51−1
0042号公報および特開昭52−65243号公報などでは、い
ずれも出発物質それ自体として、複雑で高価なものを利
用しているか、またはグリニヤール試薬のような不安定
で取扱いの困難な試薬を用いているので、安価な経済的
な方法とは言い難い。
また、α(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の製
法を開示している特開昭49−13351号公報および特開昭5
0−4040号公報は、いずれもイソブチルベンゼンを出発
原料としているが、触媒として塩化アルミニウムを用い
ているので、イソブチル基が異性化しやすく、また、高
価な試薬を使用している。
さらに、フランス特許第1549758号公報、特公昭47−245
50号公報、特開昭49−95938号公報、特開昭52−57338号
公報、特開昭52−97930号公報、特開昭52−131553号公
報、特開昭53−7643号公報、特開昭53−18535号公報お
よび特開昭56−154428号公報に記載された方法は、p−
イソブチルアセトフェノンを出発物質とする方法であ
る。
しかし、p−イソブチルアセトフェノンは、後述の如く
安価な化合物とは言えない。これはイソブチルベンゼン
から合成するのが最も経済的であるが、イソブチルベン
ゼンからp−イソブチルアセトフェノンに変換すること
自体経済的観点からは好ましくないことではない。すな
わち、p−イソブチルアセトフェノンへ変換するために
は、高価でかつ不安定な原料である塩化アセチルを使用
せざるを得ず、しかも反応触媒として水分に対して非常
に敏感な無水塩化アルミニウムを、少なくとも塩化アセ
チルと同じモル数、すなわち大量に使用しなくてはなら
ない。例えば、この変換反応が化学量論的に100%の収
率であったと考えても、p−イソブチルアセトフェノン
を1トン製造するためには、700kgという大量の無水塩
化アルミニウムを使用する必要がある。また反応終了後
には、無水塩化アルミニウムを失活した結果生ずる水酸
化アルミニウムが410kgおよび塩素イオン750kgと、目的
とするp−イソブチルアセトフェノンの製造量を大幅に
上回る1160kgもの廃棄物を無害な形にまで処理する必要
がある。従って出発物質としてのp−イソブチルアセト
フェノン自体が高価であることはいうまでもない。さら
にp−イソブチルアセトフェノンからα−(4−イソブ
チルフェニル)プロピオン酸への変換も、複雑な中間生
成物を経由するなど、工業的観点からは必ずしも経済的
な方法とは言い難い。
ところで、特開昭52−51338号公報、特開昭52−6233号
公報、特開昭52−97930号公報、および特開昭59−10545
号公報などは、p−イソブチルスチレンからヒドロフォ
ルミル化反応あるいはレッペ反応によりα−(4−イソ
ブチルフェニル)プロピオン酸を製造する方法を提案し
ている。このp−イソブチルスチレンを使用する方法
は、p−イソブチルスチレンが単純で安定な化合物であ
り、また、ヒドロフォルミル化反応やレッペ反応等が高
価な試薬などを消費しないために、α−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸を製造する方法として経済的
に優れた方法であるが、これらの従来技術によるp−イ
ソブチルスチレンの製造方法では、複雑な反応経路をと
るか、高価な試薬を使用するなどのために、その利点が
失われている。
また、特開昭61−24537号公報によると、イソブチルベ
ンゼンとアセトアルデヒドとを硫酸触媒の存在下に縮合
反応させて1,1−ビス(p−イソブチルフェニル)エタ
ンとし、これを酸触媒により接触分解してp−イソブチ
ルスチレンとし、このp−イソブチルスチレンと一酸化
炭素および水または一酸化炭素およびアルコールとをカ
ルボニル化錯体触媒の存在下に反応させてα−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸またはそのアルキルエ
ステルを製造する方法を開示している。しかし上記公報
に記載されているように、硫酸を用いる方法では、1,1
−ビス(p−イソブチルフェニル)エタンを製造する工
程で貴重な原料であるイソブチルベンゼン自体のスルホ
ン化反応を避けることはできず、その結果一部のイソブ
チルベンゼンはスルホン化物として損失となるために経
済的に好ましくない。また、この縮合反応は脱水反応で
あるため、硫酸を一度使用した後は、生成した水のため
に触媒としての硫酸の濃度が低下し、そのために使用済
みの硫酸の濃度を、例えば、装置の腐食などが懸念され
る高温蒸留などにより回復させなければ、触媒は再使用
できない。その上、硫酸相には多量のスルホン化物が溶
解しており、単なる蒸留では触媒濃度の回復は容易では
ない。従って、無水硫酸あるいは発煙硫酸などを加える
ことによって、生成した水を化学反応で除去するなどの
方法を用いざるを得ないため、触媒コストも割高にな
る。
以上述べてきたように、α−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造に
関する従来の技術はまだまだ経済的な方法であるとは言
えない。
そこで、前述したように、p−イソブチルスチレンはα
−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸を製造する
上で有用な中間体であり、このp−イソブチルスチレン
を安価に製造する方法が望まれる。
このp−イソブチルスチレンを安価に製造する方法とし
て、p−イソブチルエチルベンゼンの脱水素が考えられ
る。さらに、このp−イソブチルエチルベンゼンを安価
に製造する方法として、イソブチルベンゼンのエチレン
によるエチル化が考えられる。しかしながら、このよう
な組合せはもちろん、各素反応についても全く知られて
いない。さらに、従来の類似技術から予想されること
は、このような簡素な反応の組合せが、非常に困難であ
るということである。
酸触媒を用いたモノアルキルベンゼンのエチレンによる
エチル化反応は従来からよく知られている。例えば、Ku
ts,W.M.,&B.B.Corson,J.Org.Chem.,16,699,(1951)に
よると、トルエンをシリカ−アルミナ触媒下でエチレン
と反応させると、o:m:p=29:50:21の比率でエチルトル
エンが生成している。また、本発明者らの検討による
と、シリカ−アルミナ触媒下でエチレンをエチルベンゼ
ンと反応させると、o:m:p=28:31:41の比率でジエチル
ベンゼンが生成し、イソプロピルベンゼンと反応させる
とo:m:p=24:39:37の比率でイソプロピルエチルベンゼ
ンが生成し、sec−ブチルベンゼンと反応させるとo:m:p
=12:49:39の比率でsec−ブチルエチルベンゼンが生成
することがわかった。また、Allen,R.H.,&L.D.Yats,J.
Am.Chem.Soc.,83,2799(1961)によると、トルエンをフ
ッ化水素触媒下でエチレンと反応させると、o:m:p=42:
33:25の比率でエチルトルエンが生成しており、これが
平衡組成であることが確かめられている。また、Schlat
ter,M.J.,&R.D.Clark,J.Am.Chem.Soc.,75,361(1953)
によると、トルエンをフッ化水素触媒下でイソブテンと
反応させると、m:p=67〜7:33〜93の比率でtert−ブチ
ルトルエンが生成し、o−tert−ブチルトルエンの生成
は認められていない。しかしながら、トルエンを1−ブ
テンあるいは2−ブテンでアルキル化すると、o:m:p=3
5:33:32の比率でsec−ブチルトルエンが生成している。
さらに、トルエンをプロピレンでアルキル化しても、o:
m:p=41:26:33であることが確かめられている。
以上のように、モノアルキルベンゼンのアルキル化によ
る生成物の位置異性の配向性は、具体的に各個別の化合
物について検討する他はないものである。さらに、これ
らの反応生成物のほとんどはo−、m−、p−の位置異
性体の混合物である。しかしながら、一般に、ジアルキ
ルベンゼンの3種の位置異性体を高純度に蒸留分離する
ことが困難であることもよく知られている。例えば、キ
シレンのo−、m−、p−体の常圧換算沸点(以下、単
に沸点と称することがある)はそれぞれ144.4℃、139.1
℃、138.4℃、また、エチルトルエンのo−、m−、p
−体の沸点はそれぞれ165.2℃、161.3℃、162.0℃であ
り、これらの位置異性体混合物からo−体は何とか蒸留
分離して精製できるが、m−体とp−体を蒸留分離する
ことは非常に困難である。また、イソプロピルトルエン
のo−、m−、p−体の沸点はそれぞれ178℃、175℃、
177℃、ジエチルベンゼンのo−、m−、p−体の沸点
はそれぞれ183℃、182℃、184℃、また、sec−ブチルト
ルエンのo−、m−、p−体の沸点はそれぞれ196℃、1
94℃、197℃であり、これらの位置異性体混合物からど
れかの成分を高純度に蒸留分離して精製することは非常
に困難である。さらに、イソプロピルエチルベンゼンの
o−、m−、p−体の沸点はそれぞれ193℃、192℃、19
7℃であり、これらの位置異性体混合物からp−体は何
とか蒸留分離して精製できるが、o−体とm−体を蒸留
分離することは非常に困難である。
しかるに、本発明のエチル化工程(I)における目的生
成物はp−体のイソブチルエチルベンゼンであるが、イ
ソブチルベンゼンのエチレンによるアルキル化方法は従
来報告されていない。それ故反応混合物中のイソブチル
エチルベンゼンの位置異性体の比率およびそれらの混合
物からの高純度のp−イソブチルエチルベンゼンの分離
精製の方法についても知られていない。もちろん、この
p−イソブチルエチルベンゼンはα−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸製造の原料としても全く知られ
ていない。
芳香族炭化水素の脱水素反応における従来技術をみる
と、構造の異なるアルキル基を複数もち、かつどのアル
キル基も脱水素される可能性のあるようなポリアルキル
ベンゼンの、特定の1つの置換基のみを選択的に脱水素
するような技術は、今まで知られていない。例えば、特
開昭62−6528号、特開昭56−135425号、特開昭58−1890
34号、特開昭59−120243号、特開昭61−158940号などの
公報に見られるようなメチルエチルベンゼンを脱水素し
てメチルスチレンを製造する方法、あるいは特開昭56−
155648号、特開昭56−155649号、特開昭56−155650号、
特開昭56−155651号、特開昭56−155652号、特開昭60−
115534号などの公報に見られるようなターシャリーブチ
ルエチルベンゼンを脱水素してターシャリーブチルスチ
レンを製造する方法、さらには特開昭62−29537号公報
などに見られるようなジエチルベンゼンを脱水素してエ
チルスチレンまたはジビニルベンゼンを製造する方法な
どが開示されている。しかし、メチルエチルベンゼンお
よびターシャリーブチルエチルベンゼンは、脱水素され
る可能性のあるエチル基をどちらも持っているが、もう
一つの置換基はメチル基とターシャリーブチル基であ
り、共に脱水素される可能性のないものである。従っ
て、これらの化合物の脱水素反応における副反応はクラ
ッキング反応であり、脱水素反応そのものの選択性は問
題とならない。また、ジエチルベンゼンを脱水素する場
合は、脱水素される可能性のあるアルキル基、すなわち
エチル基を二つ持っているが、どちらのエチル基が一つ
脱水素されても生成するのはエチルスチレンただ一つで
あり、二つの置換基のどちらか一方を選択する必要はな
い上、目的生成物はジエチルベンゼンであるので、前記
エチルスチレンの残りのエチル基をさらに脱水素すれば
よい。つまり二つのエチル基に区別がなく、特に問題で
はないのである。
本発明におけるp−イソブチルエチルベンゼンの選択的
脱水素によるp−イソブチルスチレンの製造技術は、こ
れらの公知の従来技術と根本的に異なる。具体的には、
原料のp−イソブチルエチルベンゼンの芳香核に結合し
ている置換基はエチル基とイソブチル基であり、これら
はどちらも脱水素されてそれぞれビニル基と2−メチル
−1−プロペニル基または2−メチル−2−プロペニル
基(以下、これらを置換プロペニル基と称することがあ
る)などになる可能性を持っている。すなわち、p−イ
ソブチルエチルベンゼンのエチル基のみが脱水素される
とp−イソブチルスチレンとなり、イソブチル基のみが
脱水素されると4−(2′−メチル−1′−プロペニ
ル)エチルベンゼンまたは4−(2′−メチル−2′−
プロペニル)エチルベンゼンなどになる。また、エチル
基とイソブチル基の両方が脱水素されると、4−(2′
−メチル−1′−プロペニル)ビニルベンゼンまたは4
−(2′−メチル−2′−プロペニル)ビニルベンゼン
などとなる。このように、p−イソブチルエチルベンゼ
ンは脱水素され得る異なるアルキル基を二つ持ち、しか
もどちらが脱水素されるかによって生成物が全く異な
る。
報文Journal of Catalysis 34,167〜174(1974)による
と、クメンの脱水素の反応速度定数は、Bi2UO6−酸化ウ
ラン系触媒を用いた場合、エチルベンゼンの脱水素反応
速度定数の約2倍であると報じている。また、報文Azer
b.Khim.Zh.1968,(2),59−62(Russ)によると、イソ
プロピルエチルベンゼンを脱水素して同一分子内のアル
キル基の脱水素選択性を比較すると、イソプロピル基の
み脱水素されたイソプロペニルエチルベンゼンの生成量
の、エチル基のみ脱水素されたイソプロピルスチレンの
生成量に対する比は2以上であり、選択率を上げるため
に反応温度を下げると、この比は3以上になると報じて
いる。これらの公知文献からわかることは、分岐型のイ
ソプロピル基と直鎖型のエチル基とでは、約2〜3倍分
岐型のイソプロピル基の方が脱水素され易いということ
である。また、本発明者らの検討によると、酸化鉄系触
媒の存在下にp−sec−ブチルエチルベンゼンを脱水素
した場合、反応温度550℃、p−sec−ブチルエチルベン
ゼンに対するスチームのモル比93、p−sec−ブチルエ
チルベンゼンの触媒との接触時間0.2秒の条件で、p−s
ec−ブチルエチルベンゼンの転化率が43.4重量%、p−
sec−ブテニルエチルベンゼン:p−sec−ブチルスチレン
の比がおよそ2:1となり、sec−ブチル基の方がエチル基
の約2倍脱水素されやすく、反応条件等を変化させて
も、この傾向が逆転することはないことが確かめられ
た。この事実から、前述のイソプロピルエチルベンゼン
の文献と同様に、分岐型の炭素数4sec−ブチル基の方
が、直鎖型のエチル基よりも脱水素されやすいと考えら
れる。しかし、このような方法では本発明の目的を達成
することはできない。
すなわち、イソブチルエチルベンゼンの脱水素工程の目
的性生物は、エチル基のみ脱水素されたp−イソブチル
スチレンである。そのため、p−イソブチルスチレンの
選択率の高いp−イソブチルエチルベンゼンの脱水素方
法、すなわち、p−イソブチルエチルベンゼンのもつエ
チル基とイソブチル基のうちエチル基のみを選択的に脱
水素する方法の開発が切に望まれていた。
またさらに、p−イソブチルエチルベンゼンを脱水素し
て得られる脱水素反応混合物中にはヒドロカルボキシル
化またはヒドロエステル化反応に活性なオレフィンの不
純物も含有されており、特に4−(2′−メチル−1′
−プロペニル)エチルベンゼン、4−(2′−メチル−
2′−プロペニル)エチルベンゼン、4−(2′−メチ
ル−1′−プロペニル)ビニルベンゼン、4−(2′−
メチル−2′−プロペニル)ビニルベンゼン等が問題と
なることが、本発明者らの研究で明かとなった。本発明
の目的が医薬品またはその原料中間体であることを考え
ると、ヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル化工
程におけるこれらの不純物の影響が問題となり、その解
決も望まれていた。
[課題を解決するための手段] 本発明は、下記の工程(I)、工程(II)および工程
(III)からなることを特徴とする工業的かつ経済的な
α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸またはそ
のアルキルエステルの製造方法を提供するものである。
工程(I):イソブチルベンゼンを、酸接触の存在下に
反応温度−10〜600℃、エチレン/イソブチルベンゼン
の比を0.005〜100(モル比)、反応圧力1kg/cm2以上の
条件でもってエチレンと反応させることによりp−イソ
ブチルエチルベンゼンを製造する工程。
工程(II):前記工程(I)で得られたp−イソブチル
エチルベンゼンを気相で、反応温度300〜650℃、反応圧
力50kg/cm2以下、接触時間0.005〜20秒、p−イソブチ
ルエチルベンゼンの転化率80重量%以下の条件でもって
周期律表中第IB族、第2B族、第6A族、第7A族および第8
族から選ばれる金属を含む脱水素金属触媒の存在下に脱
水素させることによりp−イソブチルスチレンを製造す
る工程。
工程(III):前記工程(II)で得られたp−イソブチ
ルスチレンを、遷移金属錯体カルボニル化触媒の存在
下、反応温度40〜250℃、一酸化炭素圧力10〜600kg/cm2
の条件下、一酸化炭素および水もしくはアルコールと反
応させることによりα−(4−イソブチルフェニル)プ
ロピオン酸またはそのアルキルエステルを製造する工
程。
以下本発明をさらに詳述する。
本発明における工程(I)は、イソブチルベンゼンを酸
触媒の存在下にエチレンと反応させ、p−イソブチルエ
チルベンゼンを製造する工程である。
工程(I)で使用する酸触媒としては、イソブチル基の
異性化が起こりにくい条件ならば、通常のエチル化触媒
としての固体酸、無機酸、有機酸、フリーデル・クラフ
ト触媒、ヘテロポリ酸、イソポリ酸および強酸型陽イオ
ン交換樹脂などの酸触媒が使用できる。例えば、硫酸、
リン酸などの無機酸;塩化アルミニウム、塩化ジルコニ
ウム、塩化亜鉛、塩化バナジウム、塩化チタン、塩化ベ
リリウム、フッ化ホウ素、フッ化水素などのフリーデル
・クラフト触媒;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸などの有機酸;
ヘテロポリ酸;イソポリ酸;シリカ−アルミナ、ゼオラ
イトなどの固体酸;ナフィオン樹脂(商品名;デュポン
社製)などで代表されるバーフロロスルホン酸樹脂など
の強酸型陽イオン交換樹脂などが使用できる。
反応温度は、通常−10〜600℃の範囲から選択される。
反応温度がこの範囲より低いと反応速度が遅くなり、エ
チル化の転化率を高めるためには長時間の反応時間が必
要となり好ましくない。また、反応温度がこの範囲より
高いと、分解反応あるいはイソブチル基の構造異性化が
著しくなる上、せっかく生成したp−イソブチルエチル
ベンゼンがさらにエチル化を受けるといった副反応が増
加するので好ましくない。
以下、より好ましいエチル化酸触媒についてさらに具体
的に説明する。
シリカ−アルミナを触媒として用いる場合、使用するシ
リカ−アルミナは天然系でも合成系でもよく、またこれ
らの混合物であっても使用できる。反応温度は好ましく
は150〜600℃、さらに好ましくは200〜500℃である。ト
リフロロメタンスルホン酸および/またはフッ化水素を
触媒として用いる場合、使用するトリフロロメタンスル
ホン酸またはフッ化水素は、純品でも水溶液でも、ま
た、これらの混合物でも使用できる。本発明者等の検討
の結果、トリフロロメタンスルホン酸およびフッ化水素
は、イソブチルベンゼンのエチル化に関してほぼ同等の
触媒効果を示し、同一条件のもとでは生成物もほぼ同等
であることが判明した。反応温度は好ましくは−10〜20
0℃、さらに好ましくは−5〜150℃である。
ヘテロポリ酸を触媒として用いる場合、使用するヘテロ
ポリ酸は、例えばケイタングステン酸、リンタングステ
ン酸、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸などのモリ
ブデンやタングステンによって生ずる一群のヘテロポリ
酸であり、ヘテロ原子として、P、B、V、As、Si、G
e、Sn、Ti、Zr、Ce、Th、Fe、Pt、Mn、Co、Ni、Te、
I、Al、Cr、Rh、Cu、Seなどを含有するものが使用でき
る。反応温度は好ましくは150〜600℃、さらに好ましく
は200〜500℃である。
ゼオライトを触媒として用いる場合、使用するゼオライ
トは、例えばHX型ゼオライトまたはHY型ゼオライトまた
は水素ホージャサイトなどの水素ゼオライトを含有する
ものが使用できる。これらの水素ゼオライトは、NaXゼ
オライト、NaYゼオライト、Naホージャサイトなどのよ
うなアルカリ金属塩を、カチオン交換により一部もしく
は全部をプロトン型に転化させたものであり、これらは
強い固体酸性を示す。反応温度は好ましくは100〜400
℃、さらに好ましくは150〜350℃である。
ナフィオン樹脂などの陽イオン交換樹脂を使用する場合
には、反応温度は50〜300℃、好ましくは100〜250℃の
範囲から選択される。
エチレンの反応圧力は、好ましくは1kg/cm2以上あれば
特に制限はない。反応圧力がこの範囲より低いと反応速
度が遅くなり、エチル化の転化率を高めるためには、長
時間の反応時間を必要とし、事実上実施できない。
反応器に供給するエチレン/イソブチルベンゼンの比
は、モル比で0.005〜100、好ましくは0.01〜50である。
この比よりエチレンが少ないと目的のイソブチルエチル
ベンゼンの生成が少なく、また反応にこれよりエチレン
の供給量が多いときはジエチル体以上の副生物が多くい
ずれも好ましくない。
エチル化の反応形態は、気相あるいは液相のいずれでも
よく、反応形式も回分式あるいは固定床、移動床、流動
床などの流通式のいずれにおいても反応させることがで
きる。また、エチレンの反応器への導入についても、密
閉式あるいは流通式のいずれにおいても導入できる。
さらに、反応に不活性であって目的物との分離が容易で
ある限り適宜に溶剤を使用することもできる。
上記の条件下で反応した反応生成物中のイソブチルエチ
ルベンゼンは、いずれもo−イソブチルエチルベンゼ
ン、m−イソブチルエチルベンゼン、p−イソブチルエ
チルベンゼンの混合物になる。
上記のようにして得られたエチル化反応混合物中の3つ
のイソブチルエチルベンゼン位置異性体は、次の工程で
ある脱水素反応、およびその次の工程であるヒドロエス
テル化反応に対して有意な反応性の差異を示さないの
で、次の脱水素工程(II)の原料であるp−イソブチル
エチルベンゼンを、この段階で高純度に分離精製する必
要がある。
本発明者らは、特定の条件下ならば蒸留にp−イソブチ
ルエチルベンゼンが高純度に分離できることを見いだし
た。
すなわち、蒸留塔への供給流は、少なくともイソブチル
エチルベンゼンの位置異性体を含む混合物であり、イソ
ブチルエチルベンゼン位置異性体混合物の合計に対する
p−体の重量の割合が5%以上、好ましくは10%以上と
なるものを用いる。イソブチルベンゼンのエチル化で
は、通常位置異性体混合物中のp−イソブチルエチルベ
ンゼン含有量は、最高でも60%程度である。イソブチル
エチルベンゼンの製造方法及びその反応条件によりある
程度はp−体の含有量は変化する。それ故、適宜にp−
体含有量の多いものを使用すれば良い。
該混合物中のイソブチルエチルベンゼン以外の成分は、
本発明の目的を達成する上で障害とならないものであれ
ば、とくに制限はない。上記混合物中のイソブチルエチ
ルベンゼン以外の成分は、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼ
ン、n−プロピルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、n
−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、イソブチル
ベンゼン、ジエチルイソブチルベンゼン、トリエチルイ
ソブチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、ジ
エチルケトン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタンなどでもよい。前記位置異性体混合物中の
合計に対するp−体の重量の割合が5%未満では混合物
中の目的成分が少なすぎて、たとえ高度に精密な蒸留を
行っても高純度のp−イソブチルエチルベンゼンを有効
に蒸留分離できない。
また、本発明で用いる蒸留塔は、理論段数20段以上、好
ましくは30段以上の蒸留塔を用いる。理論段数が20段未
満だと、高純度のp−イソブチルエチルベンゼンを有効
に蒸留分離できない。
本発明においては、回収するp−イソブチルエチルベン
ゼンは、常圧換算沸点で213〜216℃の範囲にある成分を
主とする留分として回収される。
蒸留方法には特に制限はなく、連続式、回分式、または
減圧、常圧、加圧、あるいは単塔式、多塔式などを問わ
ない。
上記のエチル化により得られる反応混合物には、通常p
−イソブチルエチルベンゼンのほかに大量にm−/o−イ
ソブチルエチルベンゼンが生成する。従って、p−イソ
ブチルエチルベンゼンを前記蒸留により分離すると大量
のm−/o−イソブチルエチルベンゼン、そのほかイソブ
チルジエチルベンゼン、イソブチルトリエチルベンゼン
などのイソブチルポリエチルベンゼンなどが残る。本発
明では、これら大量の異性体をも有効利用できることも
見いだした。
すなわち、その一つの方法は、蒸留分離した残りのm−
/o−イソブチルエチルベンゼンまたはイソブチルポリエ
チルベンゼンの少なくとも一部を前記工程(I)のエチ
ル化工程に原料エチレンの少なくとも一部として戻し、
環状使用することである。かくすることにより原料エチ
レンの供給量を減らすことができ、イソブチルベンゼン
の選択性が向上すると共に副生物を有効に利用できると
いう効果が生じる。工程(I)に戻すことのできるm−
/o−イソブチルエチルベンゼンまたはイソブチルポリエ
チルベンゼンの量は、エチル化の反応速度などを考慮し
適宜に決定できる。工程(I)に戻すm−/o−イソブチ
ルエチルベンゼンまたはイソブチルポリエチルベンゼン
の量に応じて、適宜に工程(I)に供給すべきエチレン
の量を減らすことができる。
副生する異性体を有効に利用するもう一つの方法は、m
−/o−イソブチルエチルベンゼンまたはイソブチルポリ
エチルベンゼンを不均化触媒により不均化しp−イソブ
チルエチルベンゼンを製造する方法である。
すなわち、本発明者らは、m−/o−イソブチルエチルベ
ンゼンまたはイソブチルポリエチルベンゼンを酸触媒に
より不均化するとp−イソブチルエチルベンゼンが生成
することを見いだした。
この不均化反応の触媒及びその反応条件は、前記工程
(I)で説明したエチレンによるエチル化反応に利用す
る酸触媒及びそのための反応条件が使用できる。例え
ば、不均化触媒としては硫酸、リン酸、フッ化水素など
の無機酸;塩化アルミニウム、塩化ジルコニウム、塩化
亜鉛、塩化バナジウム、塩化チタン、塩化ベリリウム、
フッ化ホウ素などのフリーデル・クラフト触媒;ベンゼ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフロロメ
タンスルホン酸などの有機酸;ケイタングステン酸、ケ
イモリブデン酸などのヘテロポリ酸;イソポリ酸;シリ
カ−アルミナ、ゼオライトなどの固体酸;ナフィオン樹
脂(商品名;デュポン社製)などで代表されるパーフロ
ロスルホン酸樹脂などの強酸型陽イオン交換樹脂などが
使用できる。
不均化の反応温度は触媒によって適宜選ぶことができる
が、分解反応やイソブチル基の異性化反応などの副反応
ができるだけ起こらない条件を選ぶ必要がある。通常は
−10〜600℃の範囲から選択できる。
以下、好ましいいくつかの不均化触媒についてさらに具
体的に説明する。
シリカ−アルミナを触媒として用いる場合、反応温度は
好ましくは150〜600℃、さらに好ましくは200〜500℃で
ある。反応温度がこれらの範囲より低いと反応速度が遅
くなり、不均化の転化率を高めるためには長時間の反応
時間が必要となり好ましくない。また、反応温度がこの
範囲より高いと、分解反応あるいはイソブチル基の骨格
異性化が著しくなり好ましくない。
トリフロロメタンスルホン酸および/またはフッ化水素
を触媒として用いる場合、反応温度は好ましくは−10〜
200℃、さらに好ましくは−5〜150℃である。
ヘテロポリ酸を触媒として用いる場合、反応温度は好ま
しくは150〜600℃、さらに好ましくは200〜500℃であ
る。
HX型ゼオライトまたはHY型ゼオライトまたは水素ホージ
ャサイトなのどの水素ゼオライトを含有するものを触媒
として用いる場合、反応温度は好ましくは100〜400℃、
さらに好ましくは150〜350℃である。
ナフィオン樹脂などの陽イオン交換樹脂を使用する場合
には、反応温度は50〜300℃、好ましくは100〜250℃の
範囲から選択される。
不均化に供給すべきものは、m−またはo−体のいずれ
かである。また、イソブチルジエチルベンゼンやイソブ
チルトリエチルベンゼンなども供給し不均化させること
もできる。もちろんこれらの混合物を供給することもで
きる。さらに不均化工程には、必要に応じてイソブチル
エチルベンゼンを共存させることもできる。
また、適宜の溶媒を不均化反応に使用することもでき、
該不均化反応および前述したp−イソブチルエチルベン
ゼンの分離精製に悪影響をもたらさないものであれば特
に制限はない。
不均化の反応形態は気相、液相のいずれで不均化するこ
ともでき、また反応方法も回分式、連続式、固定床、移
動床、流動床などを問わない。
本発明の不均化反応により得られた反応混合物は、通常
はp−体を含むイソブチルエチルベンゼンの位置異性体
混合物である。それ故、これからp−体を分離するに
は、前記エチル反応における反応混合物からp−イソブ
チルエチルベンゼンを蒸留分離する方法に依ることがで
きる。すなわち、p−イソブチルエチルベンゼンを少な
くとも5重量%、好ましくは10重量%以上を含む異性体
混合物を用い、理論段数が20段以上、好ましくは30段以
上の蒸留塔により蒸留し常圧換算沸点213〜216℃の範囲
にある成分を主とする留分としてp−イソブチルエチル
ベンゼンを分離精製することができる。
上記不均化反応により製造したp−イソブチルエチルベ
ンゼンは、前記工程(I)で得られたp−体と共にまた
は単独で次の工程(II)に供給することができる。
本発明の方法における工程(II)は、前記工程(I)ま
たは前記不均化工程から得られたp−イソブチルエチル
ベンゼンを脱水素することにより、p−イソブチルスチ
レンを製造する工程である。さらに詳しくは、特定の条
件下脱水素触媒の存在下、p−イソブチルエチルベンゼ
ンのエチル基のみを選択的に脱水素してp−イソブチル
スチレンを製造する方法に関するものである。
脱水素触媒は、周期律表中第IB族、第2B族、第6A族、第
7A族及び第8族から選ばれる金属を含む金属触媒であ
り、具体的には鉄、銅、亜鉛、ニッケル、パラジウム、
白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、
クロム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、チタン、ジ
ルコニウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マ
グネシウム、セリウム、セシウム、ルビジウムなどの金
属化合物が例示され、これらを適宜組み合わせたものも
有効に使用しうる。好ましくは鉄、銅、クロームから選
ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒である。これら
金属は、金属単体でも使用できるほか酸化物、塩化物、
硫化物、水素化処理物などいずれの形態でも使用でき
る。特に酸化鉄系触媒、銅−クロム系触媒などはp−イ
ソブチルスチレンへの選択性が高く、本発明の目的には
有効である。
通常、脱水素触媒は長時間使用しているとコーキング等
によりしだいに少しづつ活性が低下してくるので、その
場合は触媒を、例えば500℃程度の高温で、空気等でデ
コーキングすることにより、初期の活性を再現すること
ができる。また、必要であれば、200〜500℃の温度で水
素の流れの中に置くことによる水素処理を行ってもよ
い。
脱水素温度は、触媒の組成、接触時間、希釈モル比など
に応じて300〜650℃、好ましくは400〜650℃の範囲内で
選択することができる。反応温度がこの範囲より高くな
ると、分解反応のみならず、生成したp−イソブチルス
チレンがさらに脱水素されるといった副反応が急激に多
くなり、p−イソブチルスチレンの選択率が著しく低下
する。これはp−イソブチルエチルベンゼンの損失が大
きいだけでなく、生成物分布が非常に複雑になって蒸留
等によるp−イソブチルスチレンおよびp−イソブチル
エチルベンゼンなどの分離が困難になるので好ましくな
い。また、反応温度がこの範囲より低いと、p−イソブ
チルエチルベンゼンの選択率は高いが反応速度が著しく
低下して経済性が悪くなるのでこれも好ましくない。
脱水素反応によって生成するオレフィンは重合性である
ため、反応層中でのオレフィン濃度が高い状態を高温で
続けると、せっかく生成したp−イソブチルスチレンの
一部が重合して損失となる。これを避けるためには、非
還元性ガス、例えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴン
ガス、スチーム、酸素ガスなどを同伴させてオレフィン
濃度を希釈により下げることが有効である。ベンゼンな
どの脱水素されにくい溶媒で希釈することもできる。ま
た、脱水素の触媒活性を維持するために、反応層にスチ
ームを同伴して脱水素を行うのもよい。スチームの量に
は、特に制限はない。
脱水素工程(II)における反応形式は固定床、移動床、
流動床のいずれを用いても、本発明の目的を達成でき
る。
反応圧力は、上記反応条件下で生成したp−イソブチル
スチレンが気化しうる範囲であれば特に制限はないが、
通常50kg/cm2以下、好ましくは常圧ないし10kg/cm2が経
済的である。
原料p−イソブチルエチルベンゼンと触媒の接触時間
は、0.005〜20秒、好ましくは0.01〜10秒の範囲で適宜
選択できるが、更に好ましくは0.05〜5秒の範囲で選択
するのが適当である。接触時間がこれより短いと、反応
率が低くて好ましくない。また、接触時間がこれより長
いと、生成したp−イソブチルスチレンがさらに脱水素
されるなどの副反応が大きくなり、p−イソブチルスチ
レンの選択率が下がるので、これも好ましくない。反応
形式、反応ガス組成、触媒の組成、反応温度、あるいは
原料ガスの予熱温度等の種々の組合せの相違により、上
記範囲内で適宜変化せしめることができる。
さらに当然ながら、上記工程(II)を連続式で行うこと
もでき、また回分式で行うこともできる。
ところで、本発明においては反応条件およびそれぞれの
因子の反応に与える影響については、p−イソブチルエ
チルベンゼンの転化率とp−イソブチルスチレンの選択
率との関係でまとめることができることが本発明者等の
研究から明らかになった。
すなわち、前記反応条件下で得られるp−イソブチルエ
チルベンゼンの任意の転化率xに対して、p−イソブチ
ルスチレンへの選択率yは一次関数 y=ax+b (a、bは触媒固有の定数) の関係にある。図1に、後述の実施例で得られたp−イ
ソブチルエチルベンゼンの転化率とp−イソブチルスチ
レンの選択率の関係(以後、脱水素性能直線と呼ぶ)の
例を示す。例えば、前記反応条件内で、ある条件を設定
すれば、そのときの転化率に対応する脱水素性能直線上
の点は、実際に得られるp−イソブチルスチレンの選択
率を示している。従って、使用する脱水素触媒の性能直
線に応じて、望みの選択率に対応するp−イソブチルエ
チルベンゼンの転化率を与えるような反応条件を選べば
良い。例えば、銅−クロム系触媒の場合、本発明におい
ては、p−イソブチルエチルベンゼンの転化率を80重量
%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50
重量%以下に保つのが適当である。また、例えば、酸化
鉄系触媒の場合、本発明においては、p−イソブチルエ
チルベンゼンの転化率を好ましくは80重量%以下、さら
に好ましくは70重量%以下に保つのが適当である。転化
率がこれらの範囲を越えるとp−イソブチルスチレンへ
の選択率が急激に低下して前記脱水素性能直線から離脱
し、副生成物のみならず、クラッキング生成物も多くな
り好ましくない。転化率が上記の範囲内にある場合、転
化率が低ければ低いほど選択率は高くなるが、p−イソ
ブチルスチレンの生成率は前記転化率と選択率の積であ
るから、あまり転化率を低くとものも、後に続く蒸留な
どによる未反応p−イソブチルエチルベンゼンの分離回
収操作にかかる負担が大きくなり好ましくない。経済的
には5重量%以上の転化率に保つのが適当であろう。
以上のように、本発明の脱水素工程(II)の方法により
p−イソブチルエチルベンゼンを脱水素すれば、従来の
予想に反して、エチル基のみが一方的に脱水素され、驚
くべき高選択率でp−イソブチルスチレンを製造するこ
とが可能になった。
本発明の工程(III)では、工程(II)の方法で得られ
たp−イソブチルスチレンを、一酸化炭素および水また
は一酸化炭素およびアルコールによるヒドロカルボキシ
ル化またはヒドロエステル化によりp−イソブチルスチ
レンを遷移金属錯体触媒を用いてα−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルへ
変換する。
ヒドロカルボキシル化反応において、p−イソブチルス
チレンを一酸化炭素および水の存在下で反応させ、α−
(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸が得られる。
また、ヒドロエステル化反応においては、p−イソブチ
ルスチレンを一酸化炭素および任意の低級アルキル基を
有する低級アルコールの存在下で反応させ、α−(4−
イソブチルフェニル)プロピオン酸のアルキルエステル
が得られる。例えば、メチルアルコールならばα−(4
−イソブチルフェニル)プロピオン酸メチルが得られ
る。
上記のヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル化に
使用される遷移金属錯体触媒としては、パラジウム、ロ
ジウム、イリジウム等の遷移金属錯体であり、特にパラ
ジウムの錯体である。これらの遷移金属は、ハロゲン原
子、三価リン化合物あるいはカルボニル錯化合物などと
して一酸化炭素を配位子として含有するものが使用され
る。遷移金属、例えばパラジウムは、0〜2価のものが
使用される。
触媒の具体例としては、ビストリフェニルホスフィンジ
クロロ錯体、ビストリブチルホスフィンジクロロ錯体、
ビストリシクロヘキシルホスフィンジクロロ錯体、π−
アリルトリフェニルホスフィンジクロロ錯体、トリフェ
ニルホスフィンピペリジンジクロロ錯体、ビスベンゾニ
トリルジクロロ錯体、ビスシクロヘキシルオキシムジク
ロロ錯体、1,5,9−シクロドデカトリエン−ジクロロ錯
体、ビストリフェニルホスフィンジカルボニル錯体、ビ
ストリフェニルホスフィンアセテート錯体、ビストリフ
ェニルホスフィンジナイトレート錯体、ビストリフェニ
ルホスフィンスルフェート錯体、テトラキストリフェニ
ルホスフィン錯体および一酸化炭素を配位子の一部に持
つ、クロロカルボニルビストリフェニルホスフィン錯
体、ヒドリドカルボニルトリストリフェニルホスフィン
錯体、ビスクロロテトラカルボニル錯体、ジカルボニル
アセチルアセトナート錯体等を挙げることができる。
触媒は、錯体として反応系に供給して使用することもで
き、また、配位子となる化合物を別個に反応系に供給
し、反応系内において錯体を生成させて使用することも
できる。
錯体触媒、または錯体を作り得る化合物の使用量は、p
−イソブチルスチレン1モルに対して0.0001〜0.5モ
ル、好ましくは0.001〜0.1モルである。また、配位子と
なり得る化合物の添加量はパラジウム、ロジウム、イリ
ジウムなどの錯体の核となり得る遷移金属1モルに対し
て0.8〜10モル、好ましくは1〜4モルである。
さらに、反応を促進する目的で塩化水素、三フッ化ホウ
素などの無機ハロゲン化物を添加しても良い。
これらハロゲン化物を添加する場合は、錯体触媒、また
は、錯体を作り得る化合物1モルに対し、ハロゲン原子
として0.1〜30倍モル、好ましくは1〜15倍モルを使用
する。添加量が0.1モル未満の場合、触媒の種類によっ
ても異なるが、添加の効果が見られないこともある。ま
た、30倍モルを越える時は、触媒活性がかえって低下す
るとともに、p−イソブチルスチレンの二重結合にハロ
ゲンが付加する等、目的の反応が抑制される。
ヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル化反応は、
反応温度は40〜250℃、好ましくは70〜120℃で行う。反
応温度が40℃未満では、反応速度が著しく遅くなり、実
用上実施することができない。また、250℃を越える温
度では、重合反応や錯体触媒の分解が生じ好ましくな
い。
一酸化炭素圧は10kg/cm2以上であれば適宜選択できる。
10kg/cm2未満では実用上実施できないほど反応が遅くな
る。また、また、一酸化炭素圧は高いほど反応が速やか
に進行し好ましいが、高すぎる圧力は反応器の耐圧を非
常に高くする必要がでてくるなど、製造装置の点からお
のずと限界がある。従って、実用上は600kg/cm2以下の
圧力で充分である。
反応は一酸化炭素の吸収が見られなくなるまで行えばよ
く、通常は4〜20時間の反応時間が充分である。
アルコールはメチルアルコール、エチルアルコール、n
−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびイソ
ブチルアルコールなどの炭素数1〜4の低級アルコール
が使用されるが、好ましくはメチルアルコールである。
ヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル化反応の終
了後、反応物は抽出あるいは蒸留分離すれば、容易に目
的化合物である高純度のα−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルと触媒と
に分離することができる。回収された錯体触媒は再度使
用することができる。
本発明によって得られるα−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸のアルキルエステルは、常法によりこ
れを酸またはアルカリ触媒の存在下に加水分解すること
により、容易にα−(4−イソブチルフェニル)プロピ
オン酸に変換できる。
[発明の効果] 本発明の方法は、イソブチルベンゼンをエチレンにより
直接エチル化してp−イソブチルエチルベンゼンを製造
し、得られたp−イソブチルエチルベンゼンのエチル基
を選択的に脱水素してこれを効率よくp−イソブチルス
チレンに転化せしめ、かつこのp−イソブチルスチレン
を選択的にヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル
化することによって、工業的かつ経済的な実施を可能に
したものである。
本発明の工程(I)では、イソブチルベンゼンのエチル
化によって生成するイソブチルエチルベンゼンの3種の
位置異性体を含む混合物から、蒸留によりp−イソブチ
ルエチルベンゼンを高純度で分離回収でき、また、反応
生成物中のp−イソブチルエチルベンゼン以外の成分
も、リサイクルあるいは不均化等により有効にp−イソ
ブチルエチルベンゼンに変換し得る。すなわち、イソブ
チルベンゼンのエチル化反応混合物から、本発明の蒸留
方法で高純度のp−イソブチルエチルベンゼンを分離
し、他の成分を工程(I)の原料としてリサイクルし、
および/または、不均化して結果としてイソブチルベン
ゼンのp−イソブチルエチルベンゼンへの選択率を高め
ることが可能となった。これらの技術の確立により、p
−位にのみ選択的に置換基を導入しなければならないと
いう、従来受けてきた大きな制約を免れることができ、
経済的に大変有利になった。
本発明の工程(II)の条件でp−イソブチルエチルベン
ゼンの脱水素を行うと、高い選択率p−イソブチルスチ
レンを製造できる。従って前述したように、本発明の方
法で得られた脱水素反応混合物を、例えば水層と分液、
乾燥後、蒸留などといった二〜三の簡単な単位操作だけ
で、高純度のp−イソブチルスチレンおよび未反応のp
−イソブチルエチルベンゼンが得られる。またこの未反
応p−イソブチルエチルベンゼンは、回収して再び脱水
素の原料とすることができる。また、工程(II)の反応
混合物をそのまま工程(III)の原料として用いること
もできる。
また、ヒドロカルボキシル化またはヒドロエステル化工
程(III)で得られる反応混合物は、簡単な減圧蒸留あ
るいは抽出などで、医薬の中間原料として充分使用でき
る高純度のα−(4−イソブチルフェニル)プロピオン
酸またはそのアルキルエステルを分離できる。
以下、実施例により本発明を詳述する。
[実施例] ここで以下の実施例に示すように、エチル化工程
(I)、脱水素工程(II)およびヒドロカルボキシル化
またはヒドロエステル化工程(III)を行った。
p−イソブチルエチルベンゼンの製造[工程(I)] 実施例No.1 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン600mlとシリカ−
アルミナ触媒IS−28(商品名;触媒化成工業(株)品)
26gとを1のオートクレーブに仕込み、撹拌しながら
系内に温度を250℃にしたのちエチレンを張り込んで圧
力を20kg/cm2に保ったまま12時間反応させた。反応終了
後、触媒をろ別してガスクロマトグラフィーで分析し
た。反応混合物の組成を表1に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率19.7重量%、消費
したイソブチルベンゼンのモル数に対する生成したp−
イソブチルエチルベンゼンのモル数の割合(以下、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率と称する)は17.6
%、イソブチルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p
=40:31:29であった。
実施例No.2 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン600mlとシリカ−
アルミナ触媒N633L(商品名;日揮化学(株)品)26gと
を1のオートクレーブに仕込み、撹拌しながら系内の
温度250℃にしたのちエチレンを張り込んで圧力を20kg/
cm2に保ったまま12時間反応させた。反応終了後、触媒
をろ別してガスクロマトグラフィーで分析した。反応混
合物の組成を表2に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率40.0重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率18.7%、イソブチ
ルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=37:32:31で
あった。
実施例No.3 シリカ−アルミナ触媒IS−28(商品名;触媒化成工業
(株)品)を粒径1mm〜2mmに調整し、内径12mm、長さ1m
のステンレス管に64ml(32.8g)充填し、系内を窒素で
置換した。
この反応槽に純度99.8重量%のイソブチルベンゼンを64
ml/hrで流し、触媒の温度を250℃に保ちながらエチレン
を張り込んで圧力20kg/cm2とし、エチレンの流速をイソ
ブチルベンゼンとの張り込みモル比1に調整した。反応
を開始して138時間経過した後の反応混合物を冷却し、
気液を分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した
ところ、表3のような組成が得られた。
この結果イソブチルベンゼンの転化率21.2重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率17.9%、イソブチ
ルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=41:30:29で
あった。
実施例No.4 実施例No.3で得られた反応混合物6kgを10の三つ口フ
ラスコに入れ、内径30mm、長さ1.5mのガラス管に東京特
殊金網(株)製充填物Heli Pack No.3 metalを充填
した理論段数35段の蒸留塔を用いて回分式で蒸留したと
ころ、p−イソブチルエチルベンゼンの純度97重量%以
上の留分が204g(回収率73.9%)であった。
実施例No.5 純度99.8重量%のイソブチルベンゼ600mlと純度99重量
%のトリフロロメタンスルホン酸30mlとを1のオート
クレーブに仕込み、撹拌しながら系内の温度を0℃にし
たのちエチレンを張り込んで圧力を10kg/cm2に保ったま
ま4時間反応させた。反応終了後、反応混合物をCa(O
H)2で中和したのち水洗してガスクロマトグラフィー
で分析した。反応混合物の組成を表4に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率7.5重量%、p−
イソブチルエチルベンゼへの選択率21.1%、o:m:p=46:
27:27であった。
実施例No.6 純度99.8重量%のイソブチルエチルベンゼン600mlと純
度99重量%のトリフロロメタンスルホン酸30mlとを1
のオートクレーブに仕込み、撹拌しながら系内の温度を
90℃にしたのちエチレンを張り込んで圧力を20kg/cm2
保ったまま3.5時間反応させた。反応終了後、反応混合
物をCa(OH)2で中和したのち水洗してガスクロマトグ
ラフィーで分析した。反応混合物の組成を表5に示す。
この結果イソブチルベンゼの転化率38.7重量%、p−イ
ソブチルエチルベンゼンへの選択率16.9%、o:m:p=42:
29:29であった。
実施例No.7 純度99.8重量%イソブチルベンゼン600mlと純度99重量
%のトリフロロメタンスルホン酸30mlとを1のオート
クレーブに仕込み、撹拌しながら系内の温度を135℃に
したのちエチレンを張り込んで圧力を10kg/cm2に保った
まま1時間反応させた。反応終了後、反応混合物をCa
(OH)2で中和したのち水洗してガスクロマトグラフィ
ーで分析した。反応混合物の組成を表6に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率54.6重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率17.5%、o:m:p=3
7:31:32であった。
実施例No.8 純度99.8重量%イソブチルベンゼン600mlと純度99.7重
量%のフッ化水素30mlとを1のオートクレーブに仕込
み、撹拌しながら系内の温度を0℃にしたのちエチレン
を張り込んで圧力を20kg/cm2に保ったまま3時間反応さ
せた。反応終了後、反応混合物をCa(OH)2で中和した
のち水洗してガスクロマトグラフィーで分析した。反応
混合物の組成を表7に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率7.1重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率23.3%、o:m:p=4
3:27:30であった。
実施例No.9 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン600mlと純度99.7
重量%のフッ化水素30mlとを1のオートクレーブに仕
込み、撹拌しながら系内の温度を25℃にしたのちエチレ
ンを常圧で張り込んで圧力を常圧に保ったまま12時間反
応させた。反応終了後、反応混合物をCa(OH)2で中和
したのち水洗してガスクロマグラフィーで分析した。反
応混合物の組成を表8に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率5.2重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率22.3%、o:m:p=4
8:25:27であった。
実施例No.10 実施例No.6と同一条件で反応を繰り返し、得られた反応
混合物6kgを10の3つ口フラスコに入れ、内径30mm、
長さ1.5mのガラス管に東京特殊金網(株)製充填物 He
li Pack No.3 metalを充填した理論段数35段の蒸留
塔を用いて回分式で蒸留したところ、p−イソブチルエ
チルベンゼンの純度97重量%以上の留分が382g(回収率
80.6%)であった。
実施例No.11 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン436gとリンタング
ステン酸水和物[P205・24WO3・nH20)4.46gとを1の
オートクレーブに仕込み、撹拌しながら系内の温度を25
0℃にしたのちエチレンを張り込んで圧力を20kg/cm2
保ったまま12時間反応させた。反応終了後、触媒をろ別
してガスクロマトグラフィーで分析した。反応混合物の
組成を表9に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率21.5重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率20.4%、イソブチ
ルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=40:30:30で
あった。
実施例No.12 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン426gとケイタング
ステン酸水和物[SiO2・12WO3・26H2O]4.52gとを1
のオートクレーブに仕込み、撹拌しながら系内の温度を
250℃にしたのちエチレンを張り込んで圧力を20kg/cm2
に保ったまま12時間反応させた。反応終了後、触媒をろ
別してガスクロマトグラフィーで分析した。反応混合物
の組成を表10に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率16.0重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率19.6%、イソブチ
ルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=39:30:31で
あった。
実施例No.13 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン600mlとリンモリ
ブデン酸水和物[P2O5・24MoO3・nH2O]6gとを1のオ
ートクレーブに仕込み、撹拌しながら系内の温度を280
℃にしたのちエチレンを張り込んで圧力を20kg/cm2に保
ったまま12時間反応させた。反応終了後、触媒をろ別し
てガスクロマトグラフィーで分析した。反応混合物の組
成を表11に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率17.7重量%、p−
イソブチルエチルベンゼンへの選択率20.6%、イソブチ
ルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=38:31:31で
あった。
実施例No.14 実施例No.11と同一条件で反応を繰り返し、得られた反
応混合物10kgを15の3つ口フラスコに入れ、内径30m
m、長さ1.5mのガラス管に東京特殊金網(株)製充填物H
eli Pack No.3 metalを充填した理論段数35段の蒸留
塔を用いて回分式で蒸留したところ、p−イソブチルエ
チルベンゼンの純度97重量%以上の留分が451g(回収率
85.1%)であった。
実施例No.14A 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン522gとHXゼオライ
ト26,2gとを1のオートクレーブに仕込み、撹拌しな
がら系内の温度を160℃にしたのちエチレンを張り込ん
で圧力を20kg/cm2に保ったまま12時間反応させた。反応
終了後、触媒を濾過してガスクロマトグラフイーで分析
した。反応混合物の組成を次に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率29.6%、p−イソ
ブチルエチルベンゼンへの選択率21.0%、イソブチルエ
チルベンゼンの位置異性体は、o:m:p:=39:25:36であっ
た。
実施例No.14B 純度99.8重量%イソブチルベンゼン522gとHYゼオライト
26.1gとを1のオートクレーブに仕込み、撹拌しなが
ら系内の温度を170℃にしたのちエチレンを張り込んで
圧力20Kg/cm2に維持したまま12時間反応させた。、反応
終了後、触媒を濾過してガスクロマトグラフイーで分析
した。反応混合物の組成を次表に示す。
この結果、イソブチルベンゼンの転化率33.1重量%、p
−イソブチルエチルベンゼンへの選択率19.6重量%、イ
ソブチルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=40:2
5:35であった。
実施例No.14C 純度99.8重量%のイソブチルベンゼン522gと水素ホージ
ヤサイト26.2gとを1のオートクレーブに仕込み、撹
拌しながら系内の温度を200℃にしたのちエチレンを張
り込み、圧力を20Kg/cm2に維持したまま12時間反応させ
た。反応終了後、触媒を濾過してガスクロマトグラグイ
ーで分析した。結果を下記表に示す。
この結果、イソブチルベンゼンの転化率28.7重量%、p
−イソブチルエチルベンゼンへの選択率20.0%、イソブ
チルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p:=40:25:35
であった。
実施例No.14D 実施例No.14Bと同一条件で反応を繰り返し、得られた反
応混合物6Kgを10の三つ口フラスコに入れ、内径30m
m、長さ1.5mのガラス管に東京特殊網(株)製充填物Hel
i Pack No.3 metalを充填した理論段数35段の蒸留塔
を用いて回分式で蒸留したところ、p−イソブチルエチ
ルベンゼンの純度97重量%以上の留分が388g(回収率8
2.9%)が得られた。
実施例No.15 実施例No.14の蒸留にて、上記p−イソブチルエチルベ
ンゼン以外の留分を混合してガラスクロマトグラフィー
で分析したところ、下記表12のようであった。
この混合物500gとシリカ−アルミナ触媒N633L 25gを内
容量1のオートクレーブに入れ、系内の気相部分を窒
素で置換して、撹拌下270℃で24時間不均化反応させ、
反応混合物から触媒をろ別して有機相をガスクロマトグ
ラフィーで分析した結果を表13に示す。
この不均化反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブ
チルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が15g
(回収率56.6%)であった。
実施例No.16 実施例No.15と同様に、前記表12の混合物500gと純度99
重量%のトリフロロメタンスルホン酸25gを1オート
クレーブに入れ、撹拌下110℃で24時間不均化反応さ
せ、反応混合物をCa(OH)2で中和した後水洗して有機
相をガスクロマトグラフィーで分析した結果を表14に示
す。
この不均化反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブ
チルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が16g
(回収率68.1%)であった。
実施例No.17 実施例No.15と同様に、前記表12の混合物500gと純度99.
7重量%のフッ化水素25gを1オートクレーブに入れ、
撹拌下110℃で24時間不均化反応させ、反応混合物をCa
(OH)2で中和した後水洗して有機相をガスクロマトグ
ラフィーで分析した結果を表15に示す。
この不均化反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブ
チルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が15g
(回収率65.2%)であった。
実施例No.18 実施例No.15と同様に、前記表12の混合物500gとリンタ
ングステン酸25gを1オートクレーブに入れ、撹拌下2
50℃で24時間不均化反応させ、反応混合物から触媒をろ
別して有機相をガスクロマトグラフィーで分析した結果
を表16に示す。
この不均化反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブ
チルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が19g
(回収率67.9%)であった。
実施例No.18A 実施例No.15と同様に、前記表12の混合物500gとHXゼオ
ライト25gを1のオートクレーブに入れ、撹拌下170℃
で24時間不均化反応させ、反応混合物から触媒をろ別し
てガスクロマトグラフイーで分析した結果を次表に示
す。
この不均化反応混合物を1の三つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イブチ
ルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が24g(回
収率71.6%)が得られた。
実施例No.18B 実施例No.15と同様に、前記表12の混合500gとHYゼオラ
イト25gを1のオートクレーブに入れ、撹拌下180℃で
24時間不均化反応させ、反応混合物から触媒をろ別しガ
スクロマトグラフイーで分析した結果を次表に示す。
この不均化反応混合物を1の三つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イブチ
ルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が25g(回
収率70.4%)が得られた。
実施例No.18C 実施例No.15と同様に、前記表12の混合物500gと水素ホ
ージヤサイト25gを1のオートクレーブに入れ、撹拌
下200℃で24時間不均化反応させ、反応混合物から触媒
をろ別して有機相をガスクロマトグラフイーで分析した
結果を次表に示す。
この不均化反応混合物を1の三つ口フラスコに入れ、
実施例No.14と同様にして蒸留したところ、p−イブチ
ルエチルベンゼンの純度97重量%以上の留分23g(回収
率65.7%)が得られた。
実施例No.19 前記表12の混合物500gとシカ−アルミナ触媒N633L 250
を内容量1のオートクレーブに入れ、撹拌下エチレン
圧20kg/cm2、250℃で12時間反応させ、反応混合物から
触媒をろ別して有機相をガスクロマトグラフィーで分析
した結果を表17に示す。この結果、イソブチルベンゼン
の転化率24.3%、p−イソブチルエチルベンゼンへの選
択率27.8%であった。
この反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブチルエ
チルベンゼンの純度97重量%以上の留分が28g(回収率7
0.9%)であった。
実施例No.20 上記表12の混合物500gと純度99重量%のトリフロロメタ
ンスルホン酸25gを内容量1のオートクレーブに入
れ、撹拌下エチレン圧20kg/cm2、110℃で12時間反応さ
せ、反応混合物をCa(OH)2で中和した後水洗して有機
相をガスクロマトグラフィーで分析した結果を表18に示
す。この結果、イソブチルベンゼンの転化率26.3%、p
−イソブチルエチルベンゼンへの選択率29.2%であっ
た。
この反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブチルエ
チルベンゼンの純度97重量%以上の留分が32g(回収率7
2.7%)であった。
実施例No.21 前記表12の混合物500gと純度99.7重量%のフッ化水素25
gを内容量1のオートクレーブに入れ、撹拌下エチレ
ン圧20kg/cm2、110℃で12時間反応させ、反応混合物をC
a(OH)2で中和した後水洗して有機相をガスクロマト
グラフィーで分析した結果を表19に示す。この結果、イ
ソブチルベンゼンの転化率26.0%、p−イソブチルエチ
ルベンゼンへの選択率29.5%であった。
この反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブチルエ
チルベンゼンの純度97重量%以上の留分が31g(回収率7
0.5%)であった。
実施例No.22 上記表12の混合物500gとリンタングステン酸25gを内容
量1のオートクレーブに入れ、撹拌下エチレン圧20kg
/cm2、250℃で12時間反応させ、反応混合物から触媒を
ろ別して有機相をガスクロマトグラフィーで分析し結果
を表20に示す。この結果、イソブチルベンゼンの転化率
24.9%、p−イソブチルエチルベンゼンへの選択率26.8
%であった。
この反応混合物を1の3つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブチルエ
チルベンゼンの純度97重量%以上の留分が26g(回収率6
6.7%)であった。
実施例No.22A 上記表12の混合物500gとHXゼオライト25gを1のオー
トクレーブに入れ、撹拌下エチレン圧20Kg/cm2、160℃
で12時間反応させ、反応混合物から触媒をろ別して有機
相をガスクロマトグラフイーで分析した結果を次表に示
す。この結果、イソブチルベンゼンの転化率26.8%、p
−イソブチルエチルベンゼンへの選択率22.2%であっ
た。
この反応混合物を1の三つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イブチルエチ
ルベンゼンの純度97重量%以上の留分が22g(回収率68.
8%)であった。
実施例No.22B 上記表12の混合物500gとHYゼオライト25gを1のオー
トクレーブに入れ、撹拌下エチレン20Kg/cm2、170℃で1
2時間反応させ、反応混合物から触媒をろ別して有機相
をガスクロマトグラフイーで分析した結果を次表に示
す。この結果、イソブチルベンゼンの転化率28.8%、p
−イソブチルエチルベンゼンへの選択率23.1%であっ
た。
この反応混合物を1の三つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イブチルエチ
ルベンゼンの純度97重量%以上の留分が28g(回収率71.
8%)が得られた。
実施例No.22B 上記表12の混合物500gと水素ホージャサイト25gを1
のオートクレーブに入れ、撹拌下エチレン圧20Kg/cm2
200℃で12時間反応させ、反応混合物から触媒をろ別し
て有機相をガスクロマトグラフイーで分析した結果を次
表に示す。この結果、イソブチルベンゼンの転化率28.7
%、p−イソブチルエチルベンゼンへの選択率23.2%で
あった。
この反応混合物を1の三つ口フラスコに入れ、実施例
No.14と同様にして蒸留したところ、p−イブチルエチ
ルベンゼンの純度97重量%以上の留分が27g(回収率69.
2%)が得られた。
実施例No.23 o−イソブチルエチルベンゼン:m−イソブチルエチルベ
ンゼン:p−イソブチルエチルベンゼン=40:47:13の混合
液5kgと1,1−ビス(p−イソブチルフェニル)エタン1k
gを10の3口フラスコに入れ、内系30mm、長さ1.0mの
ガラス管に東京特殊金網(株)製充填物Heli Pack N
o.3 metalを充填した理論段数24段の蒸留塔を用いて回
分式で蒸留したところ、p−イソブチルエチルベンゼン
の純度97重量%以上の留分が126g(回収率19.4%)であ
った。
実施例No.23A 純度99.8重量%イソブチルベンゼン600mlと、ナフィオ
ン樹脂ペレット(NFION、商品名:デュボン社製、径1m
m、長さ3〜5mm)30gとを1のオートクレーブに仕込
み、撹拌しながら径内の温度を180℃にした後エチレン
を仕込んで圧力を20kg/cm2に保ったまま12時間反応させ
た。反応終了後、触媒を濾別してガスクロマトグラフィ
ーで分析した。反応混合物の組成を下表に示す。
この結果イソブチルベンゼンの転化率47.0重量%、p−
イソブチルエチルエンゼンへの選択率12.2重量%、イソ
ブチルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=38:29:3
3であった。
実施例23B 前記実施例No.15と同様に、前記表12の混合物500gとナ
フィオン樹脂ペレット(NFION、商品名:デュボン社
製、径1mm、長さ3〜5mm)30gとを1のオートクレー
ブに入れ、撹拌下180℃で24時間反応させ、反応混合物
から触媒を濾別して有機相をガスクロマトグラフィーで
分析した結果を下表に示す。
この不均化反応混合物を1の三口フラスコに入れ、実
施例No.14と同様にして蒸留したところp−イソブチル
エチルベンゼンの純度97重量%以上の留分が20g(回収
率69.0%)であった。
実施例23C 前記表12の混合物500gとナフィオン樹脂ペレット(NFIO
N、商品名:デュボン社製、径1mm、長さ3〜5mm)30gと
を、内容量1のオートクレーブに入れ、撹拌下エチレ
ン圧20kg/cm2、180℃で12時間反応させ、反応混合物か
ら触媒を濾別して有機相をガスクロマトグラフィーで分
析した結果を下表に示した。この結果、イソブチルベン
ゼンの転化率43.5%、p−イソブチルエチルベンゼンへ
の選択率21.8%であった。
この反応混合物を1の三口フラスコに入れ、実施例N
o.14と同様にして蒸留したところ、p−イソブチルエチ
ルベンゼンの純度97重量%以上の留分が40g(回収率75.
5%)であった。
p−イソブチルスチレンの製造[工程(II)] 実施例No.24 カリウムおよびクロムを助触媒とする酸化鉄系の脱水素
触媒(日産ガードラー(株)製、G−64A)を粒径1mm〜
2mmに調整し、内径12mm、長さ1mのステンレス管に20ml
充填した。
p−イソブチルエチルベンゼン(以下、PBEと称すこと
がある)を10ml/hr、および水90ml/hrを、予熱管を経
て、温度550℃で触媒層に通し脱水素させた(触媒との
接触時間0.2秒、p−イソブチルエチルベンゼンに対す
るスチームのモル比93)。脱水素物は冷却し、ガスおよ
び水を分離したのち、有機相についてガスクロマトグラ
フィーによりp−イソブチルエチルベンゼンの転化率お
よびp−イソブチルスチレン(以下、PBSと称すること
がある)の選択率を確認した。
脱水素物の有機相は、主としてPBE、PBS、4(2′−メ
チル−1′−プロペニル)エチルベンゼン(以下、1−
MPEと称することがある)、4−(2′−メチル−2′
−プロペニル)エチルベンゼン(以下、2−MPEと称す
ることがある)、4−(2′−メチル−1′−プロペニ
ル)ビニルエンゼン(以下、1−MPVと称することあ
る)、4−(2′−メチル−2′−プロペニル)ビニル
ベンゼン(以下、2−MPVと称することがある)から成
り、その組成は、表21のようであった。
これから、PBEの転化率は31%、PBSの選択率は83%であ
ることがわかり、高い選択率でPBSに脱水素されている
ことが確認できた。
脱水素物の各成分を分離し、Mass、IR、NMRで確認した
ところ、p−イソブチルエチルベンゼンについては原料
に用いたものと全く同一であり、sec−ブチルベンゼン
やtert−ブチルベンゼンの生成は認められず、イソブチ
ル基の異性化等の副反応は生じていないことを確認でき
た。またPBSついても、ブチル基はイソブチル基であ
り、その置換位置はp−位であった。
実施例No.25〜28 実施例No.24に準じて、反応温度を変えて脱水素反応を
行った。得られた結果を実施例No.24の結果と一緒に表2
2に示した。
実施例No.29〜33 実施例No24に準じて、接触時間を変えて脱水素反応を行
った。得られた結果を表23に示した。
実施例No.34〜38 CuO 43重量%、Cr2O3 42重量%、SiO2 15重量%からな
る銅−クロム系の脱水素触媒を使用して、実施例No.24
に準じて、反応温度を変えて脱水素反応を行った。得ら
れた結果を表24に示した。
実施例No.39〜43 Cr2O3 18重量%、CuO 39重量%、ZnO 38重量%からなる
銅−クロム系脱水素触媒を使用して、実施例No.24に準
じて脱水素反応を行った。
得られた結果を表25に示した。
実施例43A 前記実施例No.24に準じて、脱水素金属触媒の金属を替
えて、下表の金属触媒によりPBEの脱水素を行った。金
属はいずれも酸化物とし、シリカに担持させたものを用
いた。結果は下表に示す。金属 転化率(%) 選択率(%) Ag 31 62 Cg 12 64 Cr 22 61 Zz 13 52 Mo 16 53 W 11 59 Mn 11 61 Tc 12 60 Re 20 57 Ru 17 68 Os 12 70 Co 21 59 Rh 32 48 Ir 25 51 Ni 48 41 Pd 46 43 Pt 44 40 α−(4−イソブチルフエニル)プロピオン酸またはそ
のアルキルエステルの製造[工程(III)] 実施例No.44:ヒドロカルボキシル化 実施例No24で得られた脱水素物の有機相を蒸留により精
製して得られた純度97.8重量%のp−イソブチルスチレ
ン50g、ビスジクロロトリフェニルホスフィンパラジウ
ム5.5g、10%塩酸水溶液80g、それに溶媒としてトルエ8
0mlを500mlオートクレーブに入れ、撹拌しながら常温で
一酸化炭素により100kg/cm2まで加圧した後、120℃に達
するまで昇温しながら昇圧し、300kg/cm2まで加圧し
た。反応によって一酸化炭素の吸収が無くなった後、24
時間反応を続けた。
反応終了後冷却して反応混合物を回収し、分液ロートで
油層と水層を分離し、油層を8%水酸化ナトリウム水溶
液50mlで3回抽出した後、抽出水溶液を分液後の水層と
混合し、塩酸を加えてpH2にした。しかる後にクロロホ
ルム500mlで3回抽出し、抽出液を減圧にしてクロロホ
ルムを留去してα−(4−イソブチルフェニル)プロピ
オン酸の淡黄色の結晶52.3gを得た。p−イソブチルス
チレンの転化率100%、α−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸への選択率89.0%を得た。
実施例No.45 実施例No.24で得られた脱水素物の有機相202.43g、ビス
ジクロロトリフェニルホスフィンパラジウム5.5g、10%
塩酸水溶液80gを500mlオートクレーブに入れ、撹拌しな
がら常温で一酸化炭素により100kg/cm2まで加圧した
後、120℃に達するまで昇温しながら昇圧し、300kg/cm2
まで加圧した。反応によって一酸化炭素の吸収が無くな
った後、24時間反応を続けた。
反応終了後冷却して反応混合物を回収し、分液ロートで
油層と水層を分離し、油層を8%水酸化ナトリウム水溶
液50mlで3回抽出した後、抽出水溶液を分液後の水層と
混合し、塩酸を加えてpH2にした。しかる後にクロロホ
ルム500mlで3回抽出し、抽出液を減圧にしてクロロホ
ルムを留去してα−(4−イソブチルフェニル)プロピ
オン酸の淡黄色の結晶50.2gを得た。p−イソブチルス
チレンの転化率100%、α−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸への選択率87.3%、4−(2′−メチ
ル−1′−プロペニル)エチルベンゼンの置換プロペニ
ル基のヒドロカルボシル化率0%、4−(2′−メチル
−2′−プロペニル)エチルベンゼンの置換プロペニル
基のヒドロカルボキシ化率0.8%、4−(2′−メチル
−1′−プロペニル)ビニルベンゼンの置換プロペニル
基のヒドロカルボキシル化率0%、および4−(2′−
メチル−2′−プロペニル)ビニルベンゼンの置換プロ
ペニル基のヒドロカルボキシル化率0.6%を得た。
実施例No.46:ヒドロエステル化 実施例No.24で得られた脱水素物の有機相を蒸留により
精製して得られた純度97.8重量%のp−イソブチルスチ
レン70.4g、メタノール25.5ml、それに溶媒としてトル
エン40ml、溶媒としてPdCl2 0.0756g、助触媒としてCuC
l2 0.0292g、さらに配位子のトリフェニルホスフィン
0.2161gを200mlオートクレーブに入れ、撹拌しながら90
℃に昇温したのち、一酸化炭素で70kg/cm2の圧力に保
ち、8時間反応させた。反応終了後冷却し、反応混合物
をガスクロマトグラフィーで分析した結果、p−イソブ
チルスチレンの転化率99.6%、α−(4−イソブチルフ
ェニル)プロピオン酸メチルエステルへの選択率90.9%
を得た。
実施例No.47 実施例No.24で得られた脱水素物の有機相285.0g、メタ
ノール25.5ml、触媒としてPdCl2 0.0756g、助触媒とし
てCuCl2 0.292g、さらに配位子のトリフェニルホスフィ
ン 0.2161gを500mlオートクレーブに入れ、撹拌しなが
ら90℃に昇温したのち、一酸化炭素で70kg/cm2の圧力に
保ち、8時間反応させた。反応終了後冷却し、反応混合
物をガスクロマトグラィーで分析した結果、p−イソブ
チルスチレンの転化率99.8%、α−(4−イソブチルフ
ェニル)プロピオン酸メチルエステルへの選択率88.9
%、4−(2′−エチル−1′−プロペニル)エチルベ
ンゼンの置換プロペニル基のヒドロエステル化率0%、
4−(2′−メチル−2′−プロペニル)エチルベンゼ
ンの置換プロペニル基のヒドロエステル化率0.6%、4
−(2′−メチル−1′−プロペニル)ビニルベンゼン
の置換プロペニル基のヒドロエステル化率0%、および
4−(2′−メチル−2′−プロペニル)ビニルベンゼ
ンの置換プロペニル基のヒドロエステル化率0.3%を得
た。
α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸メチルエ
ステルの加水分解によるα−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオン酸の製造 実施例No.48 実施例No.46のα−(4−イソブチルフェニル)プロピ
オン酸メチルエステル30gと10%の水酸化ナトリウム水
溶液150mlとを攪拌しながら還流させ約3時間加水分解
を行った。冷却後混合物を静置分離させ下層の水相をノ
ルマルヘキサンで洗浄した。
水相に5%塩酸を加えPHを2に調製し、分離した油分を
ノルマルヘキサンで抽出し水洗した。ノルマルヘキサン
を減圧で蒸発分離し、淡黄色の粗α−(4−イソブチル
フェニル)プロピオン酸結晶23.9gを得た。
粗α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸をノル
マルヘキサン溶媒で再結晶させ白色の精製α−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸(融点75−76℃)結晶
20.7gを得た。このもののスペクトルなどは標品と一致
した。
実施例No.49 実施例No.47のヒドロエステル化反応混合物100gと10%
の水酸化ナトリウム水溶液150mlとを撹拌しながら還流
させ約3時間加水分解を行った。冷却後混合物を静置分
離させ下層の水相をノルマルヘキサンで洗浄した。
水相に5%塩酸を加えPHを2に調製し、分離した油分を
ノルマルヘキサンで抽出した水洗した。ノルマルヘキサ
ンを減圧で蒸発分離し、淡黄色の粗α−(4−イソブチ
ルフェニル)プロピオン酸結晶22.4gを得た。
粗α−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸をノル
マルヘキサン溶媒で再結晶させ白色の精製α−(4−イ
ソブチルフェニル)プロピオン酸(融点75−76℃)結晶
19.9gを得た。このもののスペクトルなどは標品と一致
した。
比較例No.1 純度99.8重量%のエチルベンゼン500mlを実施例No.1と
同様にしてエチレンと反応させた。反応終了後、反応混
合物をガスクロマトグラフィーで分析した。反応混合物
の組成を表26に示す。
この結果エチルベンゼンの転化率28.2重量%、ジエチル
ベンゼンの位置異性体はo:m:p=28:30:42であった。
比較例No.2 純度100重量%のイソプロピルベンゼン500mlを実施例N
o.1と同様にしてエチレンと反応させた。反応終了後、
反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した。反応
混合物の組成を表27に示す。
この結果イソプロピルベンゼンの転化率34.7重量%、イ
ソプロピルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=11:
51:38であった。
比較例No.3 純度99.8重量%のsec−ブチルベンゼン500mlを実施例N
o.1と同様にしてエチレンと反応させた。反応終了後、
反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した。反応
混合物の組成を表28に示す。
この結果sec−ブチルベンゼンの転化率26.8重量%、sec
−ブチルエチルベンゼンの位置異性体は、o:m:p=12:4
9:39であった。
比較例No.4 実施例No.24に準じて、p−sec−ブチルエチルベンゼン
(純度97.5重量%)の脱水素反応を行った。結果は表29
の通りであった。
【図面の簡単な説明】
図は脱水素反応におけるPBEの転化率とPBSへの選択率の
関係を示す。図において実線は、酸化鉄系脱水素触媒を
用いた本発明の実施例No.24〜33におけるPBEの転化率と
PBSへの選択率をもって示した脱水素性能直線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 61/00 300

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の工程(I)〜(III) 工程(I):イソブチルベンゼンを、酸触媒の存在下に
    反応温度−10〜600℃、エチレン/イソブチルベンゼン
    の比0.005〜100(モル比)、反応圧力1Kg/cm2以上の条
    件でエチレンと反応させることによりp−イソブチルエ
    チルベンゼンを製造する工程、 工程(II):前記工程(I)で得られたp−イソブチル
    エチルベンゼンを気相で、反応温度300〜650℃、反応圧
    力50Kg/cm2以下、接触時間0.005〜20秒、p−イソブチ
    ルエチルベンゼンの転化率80重量%以下の条件で周期律
    表第1B族、第2B族、第6A族、第7A族および第8族から選
    択された金属を含む脱水素金属触媒の存在下に脱水素さ
    せることによりp−イソブチルスチレンを製造する工
    程、 工程(III):前記工程(II)で得られたp−イソブチ
    ルスチレンを、遷移金属錯体カルボニル化触媒の存在
    下、反応温度40〜250℃、一酸化炭素圧力10〜600kg/cm2
    の条件下、一酸化炭素および水もしくはアルコールと反
    応させることによりα−(4−イソブチルフエニル)プ
    ロピオン酸またはそのアルキルエステルを製造する工程 から成ることを特徴とするα−(4−イソブチルフエニ
    ル)プロピオン酸またはそのアルキルエステルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記工程(I)の反応混合物から得られる
    o−イソブチルベンゼン、m−イソブチルエチルベンゼ
    ンまたはイソブチルポリエチルベンゼンの少なくとも一
    部を、該工程(I)に循環させて成る請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】前記工程(I)の反応混合物から得られる
    o−イソブチルエチレンベンゼン、m−イソブチルエチ
    ルベンゼンまたはイソブチルポリエチルベンゼンの少な
    くとも一部を、酸触媒の存在下で−10〜600℃の条件
    下、不均化反応させることによりp−イソブチルエチル
    ベンゼンを製造し、得られたp−イソブチルエチルベン
    ゼンを前記工程(II)の原料とする請求項1記載の製
    法。
  4. 【請求項4】前記工程(I)または前記請求項3におい
    て、得られたイソブチルエチルベンゼン位置異性体混合
    物からp−イソブチルエチルベンゼンを蒸留により高純
    度に分離精製するに際し、蒸留塔への供給流としてイソ
    ブチルエチルベンゼン位置異性体中にp−イソブチルエ
    チルベンゼンを5重量%以上含む混合物を用いて理論段
    数20段以上の蒸留塔により蒸留し、常圧換算沸点が213
    〜216℃の範囲にある成分を主とする留分としてp−イ
    ソブチルエチルベンゼンを分離して成る請求項1または
    3記載の方法。
  5. 【請求項5】前記工程(I)および請求項3における酸
    触媒がシリカ−アルミナであり、反応温度が150〜600℃
    である請求項1または3記載の方法。
  6. 【請求項6】前記工程(I)および請求項3における酸
    触媒がトリフロロメタンスルホン酸および/またはフッ
    化水素であり、反応温度が−10〜200℃である請求項1
    または3記載の方法。
  7. 【請求項7】前記工程(I)および請求項3における酸
    触媒がヘテロポリ酸であり、反応温度が150〜600℃であ
    る請求項1または3記載の方法。
  8. 【請求項8】前記工程(I)または請求項4における酸
    触媒としてHX型ゼオライトまたはHY型ゼオライトまたは
    水素ホージャサイトを用いて反応温度100〜400℃で反応
    させる請求項1または4記載の方法。
  9. 【請求項9】前記工程(III)で得られたα−(4−イ
    ソブチルフエニル)プロピオン酸のアルキルエステル
    を、酸またはアルカリ触媒の存在下に加水分解すること
    により、α−(4−イソブチルフエニル)プロピオン酸
    を製造する請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】前記工程(II)における脱水素金属触媒
    が鉄、銅、クロムから選択された少なくとも一種の金属
    を含有して成る請求項1記載の方法。
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