JPH0794082A - 電子放出用冷陰極の製造方法 - Google Patents

電子放出用冷陰極の製造方法

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JPH0794082A
JPH0794082A JP25904493A JP25904493A JPH0794082A JP H0794082 A JPH0794082 A JP H0794082A JP 25904493 A JP25904493 A JP 25904493A JP 25904493 A JP25904493 A JP 25904493A JP H0794082 A JPH0794082 A JP H0794082A
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JP
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layer
cold cathode
metal material
oxide film
electrode
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JP25904493A
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English (en)
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Yasushi Tantani
恭史 段谷
Yasunori Kima
泰則 来間
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子放出に適した構造をもつ電子放出用冷陰
極を容易に作成する。 【構成】 図(a) に示すように、錐状電極9を形成す
る。この錐状電極9は、最終的に形成すべき冷陰極の粗
形状をなすものであり、ほぼ錐形をしているが、先端部
分は鋭利ではない。この錐状電極9に対して陽極酸化を
行い、図(b) に示すように、表面に酸化膜9aを形成さ
せる。酸化を受けなかった部分が内部電極9bとして残
るが、この内部電極9bは、鋭利な先端部をもつ。そこ
で、酸化膜9aのみを除去し、内部電極9bを残すよう
にすれば、この内部電極9bを冷陰極として用いること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子放出用冷陰極の製造
方法、特に、真空マイクロ素子などに用いる電子放出用
冷陰極を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の普及に伴い、真空管の技術
は忘れ去られた存在となっていたが、ここ数年になって
この真空管の技術が再び注目を集めている。いわゆる真
空マイクロ素子の開発である。この真空マイクロ素子
は、長年にわたる半導体素子の研究で培われた半導体の
微細加工技術を利用して、同一基板上に微細な真空管を
集積したものである。すなわち、この素子は、冷陰極と
引出電極と陽極とを備え、引出電極によって冷陰極から
電子を引き出してこれを陽極へと放出させるものであ
る。引出電極に印加する電圧を制御することにより、冷
陰極から放出される電子の量を制御することができる。
【0003】半導体素子では、固体中を電子が移動する
ため、動作速度はその固体中の電子の移動度によって支
配される。これに対し、真空マイクロ素子では、真空中
を電子が移動するため、半導体素子に比べて非常に高速
な動作が可能であり、真空の利点を生かした電荷輸送媒
体として注目を集めている。また、この真空マイクロ素
子の研究にともなって冷陰極の開発が行われており、平
面ディスプレイ等への応用が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、真空マ
イクロ素子は、原理的には真空管と同じではあるが、そ
の大きさは真空管とは比べ物にならないくらい微細なも
のであり、その製造には高度な微細加工技術が必要であ
る。特に、冷陰極は、電子を放出しやすい表面形状に加
工する必要があり、このような微細加工は非常に困難で
ある。従来、この冷陰極の材料としては、W,Ta,M
oなどの高融点金属が用いられており、電子放出部先端
を曲率半径1μm以下に加工し、10V/cm程度の
強電界がこの先端に集中するようにして電子放出を行っ
ている。この冷陰極に加工不良が存在すると、それが原
因で、真空マイクロ素子の動作が不安定になる。
【0005】しかしながら、この冷陰極先端の曲率半径
を1μm以下に加工するためには、非常に高度な微細加
工技術が必要である。たとえば、シリコン基板上に冷陰
極を形成する場合には、シリコンの面方位のエッチング
レートの違いを利用したエッチングを行う方法が一般的
であるが、精度良い加工を行うには非常に高度な技術が
必要となる。また、ガラス基板上に冷陰極を形成する場
合には、斜め蒸着を利用する方法が一般的であり、たと
えば、英文誌「Journal of Applied Physics:Vol. 39,
No. 7, p3504-3505(1968)」には、このような斜め蒸着
を利用した方法が紹介されている。しかし、この斜め蒸
着を利用する方法も、高度の技術力とノウハウが必要と
なる。
【0006】そこで本発明は、電子放出に適した構造を
もつ電子放出用冷陰極を容易に作成する方法を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 本願第1の発明は、冷陰極と引出電極と陽極とを
備え、引出電極によって冷陰極から電子を引き出してこ
れを陽極へと放出させる装置、に用いられる冷陰極の製
造方法において、錐状電極を形成した後、この錐状電極
の表面を酸化することにより所定の厚みの酸化膜を形成
させ、この酸化膜を除去することにより尖鋭な先端をも
った錐状の冷陰極を得るようにしたものである。
【0008】(2) 本願第2の発明は、上述の第1の発
明に係る製造方法において、錐状電極を金属材料により
構成し、この金属材料に対する陽極酸化法により酸化膜
の形成を行うようにしたものである。
【0009】(3) 本願第3の発明は、上述の第2の発
明に係る製造方法において、互いに異なるエッチング特
性を有し、かつ、それぞれの酸化物同士も互いに異なる
エッチング特性を有するような第1の金属材料と第2の
金属材料とを用意し、基板上に第1の金属材料層を形成
し、この第1の金属材料層上に第2の金属材料層を形成
し、第2の金属材料層に対してエッチングを施して第2
の金属材料からなる錐状電極を形成し、第1の金属材料
層の露出面および錐状電極の表面を陽極酸化することに
より、第1の金属材料酸化膜および第2の金属材料酸化
膜を形成させ、第2の金属材料酸化膜をエッチング除去
することにより第2の金属材料からなる冷陰極を得ると
ともに、第1の金属材料酸化膜を、冷陰極と引出電極と
の間の絶縁層として利用するようにしたものである。
【0010】(4) 本願第4の発明は、上述の第3の発
明に係る製造方法において、基板として透明な基板を、
第1の金属材料としてタンタルを、第2の金属材料とし
てアルミニウムを、それぞれ用い、タンタル層の露出領
域におけるすべての厚み部分が酸化されるような条件で
陽極酸化を行うようにしたものである。
【0011】(5) 本願第5の発明は、上述の各発明に
係る製造方法において、尖鋭な先端をもった錐状の冷陰
極を得たのち、この冷陰極の表面に異なる材料からなる
膜を形成するようにしたものである。
【0012】
【作 用】
(1) 本願第1の発明によれば、錐状電極の表面が酸化
されることにより所定の厚みの酸化膜が形成される。こ
のように表面に対する酸化を行った場合、酸化を受けな
かった内部は、酸化前に比べてひとまわり小さな錐状電
極となる。本願発明者は、この内部の錐状電極の先端部
分が、尖鋭化されるという事実を見出だしたのである。
そこで、表面の酸化膜を除去して内部の錐状電極のみを
残すようにすれば、大きさはひとまわり小さくなるが、
先端部が尖鋭化され、電子放出に適した構造をもった冷
陰極が得られることになる。この方法によれば、酸化前
の錐状電極は鋭利な先端部を有している必要がないた
め、高度な尖鋭化のための技術は必要なくなる。
【0013】(2) 本願第2の発明では、錐状電極を金
属材料で構成し、この表面を陽極酸化法によって酸化し
ている。陽極酸化法では、酸化対象となる金属に電圧
(化成電圧)を印加することになるが、この化成電圧を
調節することによって、形成される酸化膜の膜厚を制御
することができる。したがって、所望の構造をもった冷
陰極を容易に製造することが可能になる。
【0014】(3) 本願第3の発明では、基板上に第1
の金属材料層が形成され、その上に第2の金属材料から
なる錐状電極が形成される。これら2種類の金属材料は
同時に酸化される。このとき、第1の金属材料層は基板
面に対する保護層として機能する。錐状電極の表面に形
成された酸化膜は除去されて、先端部が尖鋭な冷陰極の
みが残されるが、第1の金属材料の酸化膜はそのまま残
され、冷陰極と後に形成される引出電極との間の絶縁層
として利用される。このため、十分な絶縁層をもった電
子放出素子が容易に製造できるようになる。
【0015】(4) 本願第4の発明では、タンタルとア
ルミニウムとが2種類の金属として用いられる。これら
は互いに異なるエッチング特性を有し、また、これらの
酸化物も互いに異なるエッチング特性を有する。しか
も、タンタルの酸化物は、透光性を有する。したがっ
て、タンタル層の露出領域におけるすべての厚み部分が
酸化されるような条件で陽極酸化を行い、透明の基板を
用いるようにすれば、冷陰極が形成された時点におい
て、この冷陰極形成領域を除くすべての部分が透明な構
造を実現することができ、後に引出電極などを形成する
プロセスにおいて、冷陰極をマスクとした背面露光を行
うパターニングが利用できるようになる。
【0016】(5) 本願第5の発明では、尖鋭な先端を
もった錐状の冷陰極の表面に異なる材料膜が形成され
る。このような材料膜は、酸化や腐食を受けやすい材料
を冷陰極として用いた場合に、保護膜として利用するこ
とができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。まずはじめに、従来の一般的な真空マイクロ素
子の構造について説明する。図1は、平板型のディスプ
レイを駆動するための真空マイクロ素子の一般的な構造
を示す断面図である。ここでは、説明の便宜上、ディス
プレイの1画素分を駆動する構造のみを示し、各部の実
際の寸法比を無視して描いてある。ガラス基板1は、こ
の素子を支持するために十分な厚みを有し、その上に配
線層2が形成されている。この配線層2の上には、冷陰
極3および絶縁層4が形成され、絶縁層4の上には引出
電極5が形成されている。配線層2は、冷陰極3に電圧
を供給するためのもので、ITO,ZnO:Alなどの
透明導電膜や、Al,Au,W,Mo,Ti,Ta,N
b,Crなどの金属薄膜を、0.02〜1.0μm程度
の厚みに形成することによって構成されている。この上
に形成された冷陰極3は、W,Ta,Moなどの高融点
金属からなる円錐状の電極である。また、絶縁層4は、
SiO,Alなどを0.5〜3.0μm程度の
厚みに堆積させることにより得られた層であり、引出電
極5は、Al,Au,W,Mo,Ti,Ta,Nbなど
の金属薄膜を、0.02〜1.0μm程度の厚みに形成
したものである。引出電極5は、冷陰極3の先端部の高
さとほぼ同等の高さに位置する。
【0018】一方、もう1枚のガラス基板6の下面に
は、陽極7および蛍光体層8が形成されている。陽極7
は、ITO,ZnO:Alなどの透明導電膜を0.3〜
1.0μm程度の厚みに形成したものであり、蛍光体層
8は、ZnO:Zn等の蛍光体により厚み10μm程度
の層を形成したものである。ガラス基板1の上面に形成
された構造体と、ガラス基板6の下面に形成された構造
体とは、図1に示すように、対向するように配置され、
両者間の空隙は真空状態に保たれる。
【0019】このような構造をもった真空マイクロ素子
は、真空管と同様の動作を行う。すなわち、冷陰極3を
カソード、陽極7をアノード、引出電極5をグリッド、
として各電極に所定の電圧をかければ、冷陰極3から電
子を引き出し、これを陽極7へ放出させることができ、
この電子の放出量を引出電極5に与える電圧によって制
御することができる。蛍光体層8は、陽極7へ向かった
電子の衝突を受けて発光する。この発光は、陽極7およ
びガラス基板6ごしに図面上方から観測される。
【0020】さて、このような構造をもった真空マイク
ロ素子を製造する上で、最も困難な工程は、円錐状の冷
陰極3を形成する工程である。比較的低い電界による電
子の放出を可能にするためには、冷陰極3の先端を鋭く
する必要があるが、そのような微細加工は非常に困難で
ある。しかも、図1には、平板状ディスプレイの1画素
分に相当する構造だけが示されているが、実際には、こ
のような構造が縦横に多数配列され、それぞれの冷陰極
3の加工精度をほぼ同じ精度にする必要がある。縦横に
配列された複数の冷陰極3の加工精度にムラが生じる
と、ディスプレイ画面としてムラのあるものになってし
まう。本発明は、このような問題を解決するためになさ
れたものであり、次のような方法によって冷陰極が製造
される。
【0021】まず、図2を参照しながら、本発明に係る
電子放出用冷陰極の製造方法の基本原理を説明する。は
じめに、図2(a) に示すように、錐状電極9を形成す
る。この錐状電極9は、最終的に形成すべき冷陰極の粗
形状をなすものであり、ほぼ錐形をしているが、先端部
分は鋭利ではない。図の例では、錐状電極9は、いわゆ
る裁頭円錐形をしており、先端部分は直径Dの円形とな
っている。このように、先端部が平坦な錐形構造をもっ
た錐状電極9は、比較的容易に形成できる。先端部の形
状にはそれほど高い加工精度は要求されないからであ
る。本発明では、このような粗形状をなす錐状電極9を
形成した後、その表面を酸化させるのである。図2(b)
は、こうして表面を酸化させた状態の断面図である。図
にハッチングを施した部分に酸化膜9aが形成されてお
り、酸化を受けなかった部分が内部電極9bとして残る
ことになる。本願発明者は、こうして形成される内部電
極9bが、鋭利な先端部をもった錐状構造をなすことを
見出だしたのである。すなわち、酸化を行った後、酸化
膜9aのみを除去し、内部電極9bを残すようにすれ
ば、この内部電極9bを冷陰極として用いることができ
るのである。こうして形成された冷陰極は、先端部が尖
鋭化されており、電子の放出に適した形状となってい
る。この方法による先端部の尖鋭化は、従来のエッチン
グ法による尖鋭化よりも微細なものである。
【0022】このような原理に基づいて冷陰極を製造す
れば、電子放出に適した尖鋭な先端構造をもつ電子放出
用冷陰極を容易に作成することができるようになる。同
一基板上に多数の冷陰極を形成する場合であっても、こ
の基板に対して一様に酸化を行うようにすれば、ほぼ均
一な先端構造をもった冷陰極の形成が可能になる。ここ
で、形成される酸化膜9aの厚みは、酸化を行うプロセ
スの条件によって決定される。特に、錐状電極9aとし
て金属材料を用い、陽極酸化法(錐状電極9に正の電圧
を印加しながら行う酸化方法)を用いた酸化プロセスを
行えば、酸化膜9aの厚みは、化成電圧(錐状電極9に
印加する電圧)によって制御することができる。一般
に、ある層を酸化して酸化膜を形成すると、この酸化膜
の厚みはもとの層の厚みよりも大きくなる。別言すれ
ば、酸化により、層は厚み方向に膨らむことになる。す
なわち、酸化は内方向と外方向との双方に向かって行わ
れることになる。図2(b) において、もとの錐状電極9
の形状が破線で示されているが、この破線で示した輪郭
よりも外側の部分が外方向に向かって酸化した部分であ
り、内側の部分が内方向に向かって酸化した部分であ
る。内部電極9bの先端部の尖鋭化に関与するのは、内
方向に向かう酸化である。そこで、本明細書では、内方
向に向かう酸化により形成された酸化膜9aの厚み部分
を、内方向酸化膜厚dと呼ぶことにする(図2(b) 参
照)。この内方向酸化膜厚dの値がある一定のレベルを
越えると、内部電極9bの先端部が尖鋭化されることに
なる。一般的な基準としては、内方向酸化膜厚d=(錐
状電極先端部直径D)/2程度となるような条件で酸化
を行えば、十分に尖鋭化された内部電極9bを得ること
ができる。
【0023】続いて、上述の基本原理に基づいた電子放
出用冷陰極の製造プロセスを、断面図を参照しながら、
より具体的な実施例に基づいて詳述する。なお、以下の
断面図においては、図示の便宜上、各部の寸法比を無視
して描いてある。
【0024】<第1の実施例>まず、図3に示すよう
に、透明な絶縁性基板として、ガラス基板11を用意
し、この上に、透明な導電膜としてITO層12を成膜
する。更にその上に、第1の金属材料層としてタンタル
層13を、第2の金属材料層としてアルミニウム層14
を、それぞれ成膜する(各層の厚みに関しては後述す
る)。各層の成膜には、たとえばスパッタ法や、真空蒸
着法を用いればよい。続いて、アルミニウム層14上に
フォトレジストを塗布して特定形状にパターニングを行
い、図4に示すようなレジスト層15を形成する。この
実施例は、円錐形の冷陰極を形成させる例であるため、
レジスト層15は平面的には円形パターンであるが、角
錐形の冷陰極を形成させるのであれば、それに応じて多
角形パターンとすればよい。次に、このレジスト層15
をマスクとして用い、アルミニウム層14に対するエッ
チングを行う。この実施例では、アルミニウム用エッチ
ング溶液(菱江化学株式会社製 MR−ALE)を約4
0℃まで加熱維持し、この溶液中に基板全体を約4.5
分間浸漬させることにより、エッチングを行った。この
結果、図5に示すように、アルミニウム層14の一部分
が錐状電極16として残ることになる。この錐状電極1
6は、いわゆる裁頭円錐形をしており、製造すべき冷陰
極の粗形状をなすものである。続いて、十分な水洗を行
った後に乾燥させ、レジスト層15を除去する。
【0025】続いて、本発明の特徴となる酸化工程を行
う。この実施例では、酸化膜厚の制御を容易に行うこと
ができる陽極酸化法を用いて酸化を行っている。すなわ
ち、電解質溶液として、5%(重量%)のホウ酸アンモ
ニウム水溶液を用意し、攪拌したこの電解質溶液中に、
十分に乾燥させた基板全体を浸漬させる。一方、対極と
してプラチナ板を同様に浸漬させ、この対極と錐状電極
16との間に、錐状電極16側が陽極となるように電圧
を印加して、室温において0.5mA/cmという定
電流密度で酸化を行った。印加電圧を0Vから所定の化
成電圧まで上昇させてゆき、後述する所定の膜厚の酸化
膜が得られるまで酸化を行った。なお、この陽極酸化に
用いる電解質溶液は、上述したホウ酸アンモニウム水溶
液に限られるものではなく、この他にも種々の電解質溶
液を用いることができる。たとえば、電解質溶液に用い
る溶媒としては、水の他、種々の有機溶媒(エチレング
リコール、メタノール、グリセリン、プロピオン酸な
ど)を用いることができるし、溶質としては、クエン
酸、アジピン酸、ホウ酸、乳酸、アクリル酸などの中性
有機酸や、ホウ砂、クエン酸アンモニウム、酒石酸アン
モニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの中性、弱酸性、あ
るいは弱アルカリ性の塩を用いることができる。また、
対極としては、プラチナの代わりに、アルミニウム、ス
テンレス、炭素などを用いることも可能である。
【0026】図6は、上述した酸化工程が完了したとき
の状態を示す断面図である。錐状電極16の表面は酸化
により酸化膜16a(Al)が形成されており、
酸化を受けなかった部分が内部電極16bとして残るこ
とになる。なお、上述した酸化工程では、錐状電極16
とともにタンタル層13の露出領域も酸化を受けること
になる。このため、タンタル層13の露出領域は酸化膜
13a(Ta)となり、非露出領域がタンタル層
13bとして残ることになる。タンタル層13を形成し
ておくのは、上述した陽極酸化の工程により、ITO層
12が損傷を受けるのを保護するためである。ここで注
目すべき点は、タンタル層13の露出領域については、
すべての厚み部分が酸化されている点である。別言すれ
ば、タンタル層13の露出領域は、表面だけではなく、
深部に至るまで酸化が行われており、すべてが酸化膜1
3aに変わっている。これは、タンタルの酸化物(Ta
)が透光性を有するという性質に着目し、後の工
程において、背面露光を可能にするための配慮である。
すなわち、タンタル自体は透光性を有しないため、後に
背面露光を行うためには、タンタル層13の露出領域に
ついては、すべての厚みにわたって酸化させ、透光性を
有する酸化膜13aに変えておく必要があるのである。
【0027】酸化工程終了後、基板全体を十分に水洗
し、乾燥させ、アルミニウムの酸化膜16aの剥離を行
う。この実施例では、剥離溶液として、5%リン酸+2
%クロム酸水溶液を用意し、この水溶液を約85℃まで
加熱維持し、基板全体を約15分間浸漬させることによ
り剥離を行った。この結果、図7に示すように、アルミ
ニウムの酸化膜16aだけが剥離除去され、露出した内
部電極16bは冷陰極17を形成する。この剥離工程で
は、タンタルの酸化膜13aは全く影響を受けない。
【0028】以上が本発明に係る電子放出用冷陰極の製
造方法のプロセスであるが、続いて、この冷陰極に対し
て用いられる引出電極の形成プロセスをひき続き行う場
合について説明しておく。まず、図8に示すように、レ
ジスト層18を形成する。このレジスト層18は、少な
くとも冷陰極17が完全に覆われる程度の厚みが必要で
ある。レジスト塗布後、プリベークを行い、ここで背面
露光を行う。すなわち、図の下方から光を照射してレジ
スト層18を感光させるのである。前述したように、ガ
ラス基板11およびITO層12は透明であり、また、
タンタルの酸化膜13aも透光性を有する。したがっ
て、基板裏面側からの背面露光を行うと、タンタル層1
3bおよびアルミニウムの冷陰極17をマスクとした露
光を行うことができ、現像を行うことにより、図9に示
すように、冷陰極17の形成領域にのみレジスト層18
aを残すことができる。続いて、図10に示すように、
基板全面に絶縁層19を形成する。この絶縁層19とし
ては、たとえば、SiO,Al,ショットガラ
スなどをスパッタ法あるいは真空蒸着法を用いて成膜す
ればよい。更にその上に、図11に示すように、ゲート
電極層20を形成する。このゲート電極層20として
は、たとえば、Al,Au,W,Mo,Ti,Ta,N
bなどの金属材料をスパッタ法あるいは真空蒸着法を用
いて成膜すればよい。最後に、レジスト層18aの剥離
(いわゆるリフトオフ)を行い、十分な水洗と乾燥を行
えば、図12に示す構造を得る。この構造は図1の下部
に示した電子放出素子の構造と等価である。レジスト層
18aの剥離には、たとえば、アセトンなどの剥離液を
用いればよい。もちろん、剥離液としては、他の構造部
分に影響を与えずにレジスト層18aの剥離を行うこと
のできるものであれば、どのようなものを用いてもかま
わない。
【0029】続いて、上述した工程における各層の厚み
および陽極酸化の条件に関して検討を行う。まず、図3
におけるITO層12,タンタル層13,アルミニウム
層14の厚みについて考えてみる。ITO層12は、冷
陰極に対する配線層として機能する導電膜であるため、
配線層として適当な厚みであれば、特に制約はない。こ
の実施例では、0.1〜0.5μm程度の厚みでITO
層12を形成した。これに対して、タンタル層13およ
びアルミニウム層14は、形成する冷陰極17の大きさ
および陽極酸化の条件を考慮して最適な厚みを決定する
のが好ましい。まず、アルミニウム層14の厚みは、形
成する冷陰極17の直径の半分程度の厚みにするのが好
ましい。たとえば、直径5μmの円錐状の冷陰極17を
形成するのであれば(レジスト層15の直径が5μ
m)、アルミニウム層14の厚みは2.5μm程度にす
るのが好ましい。このような厚みにしておけば、図5に
示すようなエッチングにより、先端がある程度尖った錐
状電極16を形成することができる。
【0030】一方、タンタル層13の厚みは、陽極酸化
の条件に基づいて決定する必要がある。なぜなら、前述
したように、陽極酸化が完了した時点において、タンタ
ル層13の露出領域はすべての厚み部分について酸化が
行われている必要がある(その理由は、後に背面露光を
行えるように、すべての厚み部分を透光性をもった酸化
膜に変えておく必要があるためである)。ところで、陽
極酸化の条件は、図2(b) に示す内方向酸化膜厚dに基
づいて決定すべきであり、この内方向酸化膜厚dの値
は、図2(a) に示す錐状電極9の裁頭部の直径Dを考慮
して決定すべきである(前述のように、d=D/2程度
であれば、先端部が十分に鋭利な内部電極9bが得られ
る)。
【0031】いま、より具体的に、直径5μmの円錐状
の冷陰極17を形成する場合を例にとって、陽極酸化の
最適条件およびタンタル層13の厚みの最適値を決定し
てみる。図5において、直径5μmの円形パターンをも
ったレジスト層15を用いてエッチングを行った場合、
得られる錐状電極16の裁頭部の直径Dは0.24μm
程度であることが、実験により確認できている。したが
って、図2(b) に示す内方向酸化膜厚dの値はほぼ0.
12μm程度とするのが好ましい。ここで、陽極酸化を
行う上での化成電圧(酸化時に印加する電圧)と形成さ
れる酸化膜の膜厚との関係を求めてみると、図13に示
す表のような関係が得られる。この表における化成電圧
は、酸化工程時に錐状電極に印加する電圧値を示してお
り、陽極酸化膜厚は、各化成電圧を印加したときに得ら
れる酸化膜の厚みをアルミニウム酸化膜とタンタル酸化
膜とのそれぞれについて示しており、内方向酸化膜厚d
は、酸化によって得られるアルミニウム酸化膜の内方向
酸化膜厚を示している。
【0032】上述したように、直径5μmの円形パター
ンを用いた場合、内方向酸化膜厚dの値は0.12μm
程度とするのが好ましい。したがって、この表によれ
ば、化成電圧150Vという条件で陽極酸化を行えばよ
いことがわかる。こうして、陽極酸化の最適条件が決定
できる。一方、この化成電圧150Vという陽極酸化条
件では、タンタル層の酸化膜厚は、図13の表によると
約0.25μmとなっている。タンタルの場合、0.2
5μmの厚みの酸化膜を形成したとき、この0.25μ
mのうちの0.1μmが内方向酸化膜厚となる。したが
って、もとのタンタル層13の厚みは0.1μmとする
のが好ましいことがわかる。
【0033】<第2の実施例>まず、図14に示すよう
に、絶縁性基板21を用意し、この上に、タンタル層2
2、タングステン層23、アルミニウム層24、をそれ
ぞれ成膜する。後述するように、タングステン層23の
一部が冷陰極として利用されることになる。したがっ
て、直径5μm程度の円錐状の冷陰極を形成するのであ
れば、前述した第1の実施例と同様に、タングステン層
23の厚みはその半分の2.5μm程度にするのが好ま
しい。また、タングステンに対して、冷陰極を形成する
のに適した陽極酸化を行うには、化成電圧を140V程
度にするのが好ましく、この化成電圧におけるタンタル
についての内方向酸化膜厚dは0.09μm程度である
ので、タンタル層22の厚みは少なくとも0.1μm程
度必要になる。また、アルミニウム層24は、後述する
ように、キャップ層としての機能を果たすため、0.1
〜0.5μm程度の厚みに形成するのが好ましい。な
お、これらの各層は、スパッタ法あるいは真空蒸着法に
よって成膜すればよい。
【0034】続いて、アルミニウム層24上にフォトレ
ジストを塗布して特定形状にパターニングを行い、図1
5に示すようなレジスト層25を形成する。この実施例
は、円錐形の冷陰極を形成させる例であるため、レジス
ト層25は平面的には円形パターンであるが、角錐形の
冷陰極を形成させるのであれば、それに応じて多角形パ
ターンとすればよい。次に、このレジスト層25をマス
クとして用い、アルミニウム層24に対するエッチング
を行う。エッチング方法は第1の実施例と同様である。
この結果、図16に示すように、アルミニウム層24の
一部分がキャップ層24aとして残ることになる。そこ
で、このキャップ層24aをマスクとして、タングステ
ン層23に対するエッチングを行う。タングステンに対
するエッチング溶液としては、Hを用いた。この
結果、図17に示すようなタングステンからなる錐状電
極26が得られる。この錐状電極26は、いわゆる裁頭
円錐形をしており、製造すべき冷陰極の粗形状をなすも
のである。
【0035】続いて、図18に示すように、絶縁層27
を形成する。この絶縁層27としては、たとえば、Si
,Al,ショットガラスなどをスパッタ法あ
るいは真空蒸着法を用いて成膜すればよい。更にその上
に、図19に示すように、ゲート電極層28を形成す
る。このゲート電極層28としては、たとえば、Ta,
Nb,Crなどの金属材料をスパッタ法あるいは真空蒸
着法を用いて成膜すればよい。なお、絶縁層27および
ゲート電極層28の膜厚は、これらの膜厚の合計が、錐
状電極26の高さとほぼ等しくなるようにするのが好ま
しい。たとえば、錐状電極26の高さが2.5μmの場
合、絶縁層27の厚みを2.3μm、ゲート電極層28
の厚みを0.2μmとすることができる。
【0036】次に、キャップ層24aの剥離(いわゆる
リフトオフ)を行い、図20に示す構造を得る。続い
て、本発明の特徴となる酸化工程を行い、錐状電極26
の先端部の尖鋭化を行う。このとき、錐状電極26に対
して電圧を印加して陽極酸化を行うようにし、ゲート電
極層28に対しては電圧を印加しないように注意する。
さもないと、ゲート電極層28までもが酸化されてしま
うことになる。この陽極酸化に用いる電解質溶液として
は、0.5Mリン酸を使用した。もっとも、この陽極酸
化に用いる電解質溶液は、リン酸だけに限られるもので
はなく、この他にも種々の電解質溶液を用いることがで
きる。たとえば、電解質溶液に用いる溶媒としては、水
の他、酢酸や種々の有機溶媒(エチレングリコール、メ
タノール、グリセリン、プロピオン酸など)を用いるこ
とができるし、溶質としては、クエン酸、アジピン酸、
ホウ酸、乳酸、アクリル酸などの中性有機酸や、ホウ
砂、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、炭酸カリウムなどの中性または弱酸
性の塩を用いることができる。
【0037】図21は、上述した酸化工程が完了したと
きの状態を示す断面図である。錐状電極26の表面には
酸化により酸化膜26aが形成されており、酸化を受け
なかった部分が内部電極26bとして残ることになる。
なお、上述した酸化工程では、錐状電極26とともにタ
ンタル層22の露出領域も酸化を受けることになる。こ
のため、タンタル層22の露出領域は酸化膜27aとな
る。続いて、タングステンの酸化膜26aの除去を行え
ば、露出した内部電極26bが冷陰極29を形成し、図
22に示す構造を得る。この酸化膜26aの除去は、た
とえば、5%(重量%)ホウ酸アンモニウム水溶液に浸
漬させればよい。
【0038】なお、化成電圧を140Vとして陽極酸化
を行った場合、タングステンの内方向酸化膜厚dは、約
0.07μm程度となる。したがって、錐状電極26の
裁頭部の直径Dが0.14μm程度までであれば、この
条件の酸化により尖鋭な先端部をもった冷陰極が得られ
る。直径Dがより大きい場合には、理論的には化成電圧
を上昇させて、内方向酸化膜厚を厚くすればよいのであ
るが、実際には、タングステンに対する陽極酸化では、
化成電圧を140V以上に上昇させると安定した酸化膜
生成ができなくなる。したがって、このような場合は、
化成電圧を140Vとした陽極酸化を数回続けて行うよ
うにし、酸化膜の形成と除去(溶解)を繰り返し行うよ
うにすればよい。陽極酸化による酸化膜の形成とその溶
解とを何度繰り返して実行しても、内部のタングステン
に悪影響が及ぶことはない。
【0039】<第3の実施例>この第3の実施例は、前
述した第1の実施例の変形例である。まず、図23に示
すように、透明なガラス基板11を用意し、この上に、
第1の金属材料層としてタンタル層13を、第2の金属
材料層としてアルミニウム層14をそれぞれ成膜する。
この構造は、図3に示す第1の実施例の構造において、
ITO層12を省略したものである。このように、第3
の実施例では、ITO層12が不要になる点に特徴があ
る。その理由については後述する。また、タンタル層1
3の厚みも、第1の実施例とは若干異なる。すなわち、
第1の実施例では、タンタル層13の厚みを0.1μm
としたが、この第3の実施例では、これを0.12〜
0.125μm程度とし、若干厚めに設定してある。こ
の理由についても後述する。
【0040】続いて、アルミニウム層14上にフォトレ
ジストを塗布して特定形状にパターニングを行い、図2
4に示すようなレジスト層15を形成し、このレジスト
層15をマスクとして用い、アルミニウム層14に対す
るエッチングを行い、図25に示すように、錐状電極1
6をもった構造を得る。この工程は、前述の第1の実施
例の工程と全く同様である。この後、レジスト層15を
除去して陽極酸化を行う点も、前述の第1の実施例と同
様である。陽極酸化の条件は、やはり化成電圧150V
に設定して行った。ただ、第1の実施例と異なる点は、
上述したように、タンタル層13の厚みがやや厚く設定
されている点である。このため、同じ条件で陽極酸化を
行ったとしても、この第3の実施例では、タンタル層1
3は全厚みに関して完全な酸化は行われず、基板側の一
部分が酸化を受けなかった層として残ることになる。図
26は、この陽極酸化終了後の状態を示している。内部
電極16bで覆われている非露出部分にタンタル層13
bが残る点は、第1の実施例と同様であるが、それ以外
の露出した部分については、表面側は酸化を受けて酸化
膜13aが形成されるが、基板側は酸化を受けずに残存
タンタル層13cとして残ることになる。この実施例で
は、厚み0.025μm程度の残存タンタル層13cが
残った。
【0041】次に、第1の実施例と同様に、図26に示
すアルミニウムの酸化膜16aを剥離除去して、図27
に示すように、冷陰極17を露出させる。そして、図2
8に示すように、全面にレジスト層18を形成し、背面
露光によって、このレジスト層18の一部を感光させ
る。ただ、この背面露光の条件は、第1の実施例とは若
干異なる。第1の実施例では、図8に示すような構造に
おいて背面露光が行われており、この構造では、ITO
層12および酸化膜13aがいずれも透明であるため、
レジスト層18のうち、タンタル層13bおよび冷陰極
17によって影になる部分が非露光部、それ以外の部分
が露光部となった。ところが、この第3の実施例では、
図28に示すような構造において背面露光が行われてお
り、本来露光されるべき部分(レジスト層18のうち、
タンタル層13bおよび冷陰極17によって影になる部
分以外の部分)に照射される光が、残存タンタル層13
cによって遮光されることになる。残存タンタル層13
cは、タンタルの金属層であるため酸化層のような透光
性は有しない。ただ、前述のように、厚みが0.025
μm程度の非常に薄い膜であるため、完全な遮光性をも
っているわけでもない。したがって、本来露光されるべ
き部分には、第1の実施例と比べれば弱いものの、この
背面露光によって光が照射されることになる。そこで、
この第3の実施例では、背面露光の時間を長めにとるこ
とにより、レジスト層18が十分に感光するようにし
た。具体的には、第1の実施例における背面露光が数秒
であったのに対し、この第3の実施例における背面露光
では、3分間ほどの時間をとることにより、十分な露光
を行うことができた。
【0042】こうして、レジスト層18に対する背面露
光が完了したら、これを現像することにより、図29に
示す構造を得ることができる。この図29の構造は第1
の実施例における図9に示す構造と等価である。すなわ
ち、図9に示す構造におけるITO層12の役割を、残
存タンタル層13cが果たしていることになる。そもそ
も、第1の実施例においてITO層12を形成したの
は、冷陰極17に対する配線層として機能させるためで
ある。ところが、この第3の実施例においては、残存タ
ンタル層13cに冷陰極17に対する配線層としての機
能を果たさせることができるため、ITO層12を設け
る必要はなくなるのである。なお、図29の構造が得ら
れた後は、第1の実施例と同様に、絶縁層19およびゲ
ート電極層20が形成される。
【0043】要するに、この第3の実施例の特徴は、タ
ンタル層13の基板側の一部を酸化せずに残存タンタル
層13cとして残し、この残存タンタル層13cを第1
の実施例におけるITO層12の代わりとして用いる点
にある。このとき、残存タンタル層13cの厚みの設定
が重要である。残存タンタル層13cがあまり厚くなり
すぎると、光の透過率が低下してくるため、背面露光の
工程においてレジスト層18を十分に感光させることが
できなくなるために問題である。逆に、残存タンタル層
13cがあまり薄くなりすぎると、導電層としての抵抗
率が高くなってくるため、冷陰極17に対する配線層と
しての機能に問題が生じる。そこで、0.12μmの厚
みのタンタル層を表面側から陽極酸化する場合に、陽極
酸化時の化成電圧(これは、残存タンタル層の厚みを左
右する条件となる)と、残存タンタル層の透過率との関
係を実験により調べてみた。図30は、この実験結果を
示すグラフである。横軸に化成電圧、縦軸に透過率をと
り、それぞれの関係が示されている。化成電圧が高くな
るほど、透過率は増加することがわかる。これは、化成
電圧が高いほど、陽極酸化が進行し、残存タンタル層の
厚みが小さくなるためである。本実施例における陽極酸
化時の化成電圧は150Vであり、この条件による酸化
では、配線層として十分に機能し得る厚みの残存タンタ
ル層13cが得られるとともに、この厚みの残存タンタ
ル層13cにおいて、背面露光により十分に感光させる
ことができる透過率が得られている。
【0044】<その他の実施例>以上、本発明を3つの
実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施
可能である。たとえば、上述の方法で生成した冷陰極の
表面に対して、更に別な金属の膜をスパッタ法や真空蒸
着法によって成膜することも可能である。たとえば、ア
ルミニウムの冷陰極を形成した場合、一般にアルミニウ
ムは融点が比較的低く、酸化しやすいという性質を有す
るため、電子放出用の冷陰極としては必ずしも適当な材
料ではない。そこで、このアルミニウムの冷陰極の表面
に、タンタルなどの金属膜を成膜して保護膜として用い
るようにすれば、電子放出により適した冷陰極が生成で
きる。この保護膜の厚みを0.05μm程度に抑えれ
ば、冷陰極の先端部の尖鋭度に影響を与えることはな
い。
【0045】上述の第1の実施例におけるタンタル層1
3は、2つの機能を有している。第1の機能は、陽極酸
化時にITO層12を保護する機能であり、第2の機能
は、酸化膜13aとしてゲート電極層20と冷陰極17
との間の絶縁性を高める機能である。しかしながら、こ
のタンタル層13は本発明において必須の構成要素では
なく、タンタル層13を用いずとも本発明は実施可能で
ある。また、上述の実施例ではいずれも陽極酸化法によ
り酸化を行っているが、熱酸化等の別の酸化法を用いて
もかまわない。
【0046】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、先端部が
尖鋭化されていない錐状電極を生成し、その表面に酸化
膜を形成してこれを除去することにより、先端部の尖鋭
化を行うようにしたため、尖鋭な先端部をもった冷陰極
を容易に製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一般的な縦型真空マイクロ素子の構造を
示す断面図である。
【図2】本発明に係る電子放出用冷陰極の製造方法の基
本原理を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例において、基板上に3層
構造を形成した状態を示す断面図である。
【図4】図3に示す状態において、円形パターンをもっ
たレジスト層15を形成した状態を示す断面図である。
【図5】図4に示す状態において、レジスト層15をマ
スクとしたエッチングを行い、錐状電極16を形成した
状態を示す断面図である。
【図6】図5に示す錐状電極16に対して、陽極酸化を
行った状態を示す断面図である。
【図7】図6に示す酸化膜16aを除去した状態を示す
断面図である。
【図8】図7に示す状態において、レジスト層18を形
成した状態を示す断面図である。
【図9】図8に示す状態において、背面露光を行いレジ
スト層のパターニングを行った状態を示す断面図であ
る。
【図10】図9に示す状態において、更に絶縁層19の
形成を行った状態を示す断面図である。
【図11】図10に示す状態において、更にゲート電極
層20の形成を行った状態を示す断面図である。
【図12】図11に示す状態において、レジスト層18
aの剥離を行った状態を示す断面図である。
【図13】陽極酸化の種々の条件(化成電圧と酸化膜厚
との関係)を示す表である。
【図14】本発明の第2の実施例において、基板上に3
層構造を形成した状態を示す断面図である。
【図15】図14に示す状態において、円形パターンを
もったレジスト層25を形成した状態を示す断面図であ
る。
【図16】図15に示す状態において、レジスト層15
をマスクとしたエッチングを行い、キャップ層24aを
形成した状態を示す断面図である。
【図17】図16に示すタングステン層23に対して、
エッチングを行い、錐状電極26を形成した状態を示す
断面図である。
【図18】図17に示す状態において、更に絶縁層27
の形成を行った状態を示す断面図である。
【図19】図18に示す状態において、更にゲート電極
層28の形成を行った状態を示す断面図である。
【図20】図19に示す状態において、キャップ層24
aの剥離を行った状態を示す断面図である。
【図21】図20に示す状態において、錐状電極26に
対する陽極酸化を行った状態を示す断面図である。
【図22】図21に示す状態において、酸化膜26aを
除去した状態を示す断面図である。
【図23】本発明の第3の実施例において、基板上に2
層構造を形成した状態を示す断面図である。
【図24】図23に示す状態において、円形パターンを
もったレジスト層15を形成した状態を示す断面図であ
る。
【図25】図24に示す状態において、レジスト層15
をマスクとしたエッチングを行い、錐状電極16を形成
した状態を示す断面図である。
【図26】図25に示す錐状電極16およびタンタル層
13の表面部分に対して、陽極酸化を行った状態を示す
断面図である。
【図27】図26に示す酸化膜16aを除去した状態を
示す断面図である。
【図28】図27に示す状態において、レジスト層18
を形成した状態を示す断面図である。
【図29】図28に示す状態において、背面露光を行い
レジスト層のパターニングを行った状態を示す断面図で
ある。
【図30】本発明において、タンタル層に対する陽極酸
化時の化成電圧と、酸化されずに残った残存タンタル層
の透過率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ガラス基板 2…配線層 3…冷陰極 4…絶縁層 5…引出電極 6…ガラス基板 7…陽極 8…蛍光体層 9…錐状電極 9a…酸化膜 9b…内部電極 11…ガラス基板 12…ITO層 13…タンタル層 13a…タンタルの酸化膜 13b…タンタル層 13c…残存タンタル層 14…アルミニウム層 15…レジスト層 16…錐状電極 16a…アルミニウムの酸化膜 16b…内部電極 17…冷陰極 18,18a…レジスト層 19…絶縁層 20…ゲート電極層 21…絶縁性基板 22…タンタル層 23…タングステン層 24…アルミニウム層 24a…キャップ層 25…レジスト層 26…錐状電極 26a…タングステンの酸化膜 26b…内部電極 27…絶縁層 27a…酸化膜 28…ゲート電極層 29…冷陰極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷陰極と引出電極と陽極とを備え、引出
    電極によって冷陰極から電子を引き出してこれを陽極へ
    と放出させる装置、に用いられる冷陰極の製造方法にお
    いて、 錐状電極を形成した後、この錐状電極の表面を酸化する
    ことにより所定の厚みの酸化膜を形成させ、この酸化膜
    を除去することにより尖鋭な先端をもった錐状の冷陰極
    を得ることを特徴とする電子放出用冷陰極の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、錐状電
    極を金属材料により構成し、この金属材料に対する陽極
    酸化法により酸化膜の形成を行うことを特徴とする電子
    放出用冷陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、互いに
    異なるエッチング特性を有し、かつ、それぞれの酸化物
    同士も互いに異なるエッチング特性を有するような第1
    の金属材料と第2の金属材料とを用意し、 基板上に第1の金属材料層を形成し、この第1の金属材
    料層上に第2の金属材料層を形成し、前記第2の金属材
    料層に対してエッチングを施して第2の金属材料からな
    る錐状電極を形成し、前記第1の金属材料層の露出面お
    よび前記錐状電極の表面を陽極酸化することにより、第
    1の金属材料酸化膜および第2の金属材料酸化膜を形成
    させ、前記第2の金属材料酸化膜をエッチング除去する
    ことにより第2の金属材料からなる冷陰極を得るととも
    に、前記第1の金属材料酸化膜を、冷陰極と引出電極と
    の間の絶縁層として利用するようにしたことを特徴とす
    る電子放出用冷陰極の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法において、基板と
    して透明な基板を、第1の金属材料としてタンタルを、
    第2の金属材料としてアルミニウムを、それぞれ用い、
    タンタル層の露出領域におけるすべての厚み部分が酸化
    されるような条件で陽極酸化を行うことを特徴とする電
    子放出用冷陰極の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法に
    おいて、尖鋭な先端をもった錐状の冷陰極を得たのち、
    この冷陰極の表面に異なる材料からなる膜を形成するよ
    うにしたことを特徴とする電子放出用冷陰極の製造方
    法。
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