JPH0812474A - 炭素−SiC複合材料の製造方法 - Google Patents

炭素−SiC複合材料の製造方法

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JPH0812474A
JPH0812474A JP25060292A JP25060292A JPH0812474A JP H0812474 A JPH0812474 A JP H0812474A JP 25060292 A JP25060292 A JP 25060292A JP 25060292 A JP25060292 A JP 25060292A JP H0812474 A JPH0812474 A JP H0812474A
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resin
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silicon
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JP25060292A
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Takashi Matsumoto
喬 松本
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Toyo Tanso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、不浸透性及び耐摩耗性に優れており、
製造も簡単でコストも低く、しかも複雑な形状にも適用
できる炭素−炭化珪素複合材料の新たな製造方法を提供
しようとする。 【構成】平均細孔半径が0.5μm以上の炭素基材を製
品形状に加工した素材に、樹脂或いはその溶媒液に金属
Si粉を混合懸濁したスラリーを、所定の部分にのみ塗
布、乾燥、硬化し、さらに1500℃以上で焼成するこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素基材の表面の所定
部位のみが、炭素と炭化珪素が混合する複合材料に変
成、転換された複合材料の新規な製造方法に関する。
【0002】このような炭素−SiC複合材料は、耐摩
耗性が要求される摺動部材、例えば軸受、シャフト軸、
ピストンシリンダー内壁、ピストンリング、スラスト
板、バルブ摺動部構成部品、ベーン等に適用される。
【0003】
【従来の技術】機械用炭素製品の利用面で主なものは、
大別すると軸受け、ピストンリング、シール、及びベー
ン等であり、全て相手材料との手動接触の状態で使用さ
れるものである。したがってこれらの目的には、潤滑性
を含めた摺動性が、極めて重要な要素となる。金属材料
の場合には、手動摩擦による発熱、焼付き、動力損失等
の障害を防止するために、通常潤滑油が使用される。
【0004】しかし、潤滑油は高温になると流出、蒸
発、分解が起こり、低温では流動性を失って凝固し、ま
た液体中で使用する場合は、液中に分散、溶解するなど
により、いずれもその機能を損失することが多い。
【0005】更に用途によっては液体中への油分の混入
を嫌う場合もあり、あるいは機械構造上、給油の不可能
なこともある。
【0006】炭素材料は、構造上C軸方向の結合力が弱
いため、結晶の六角網面の滑りによって自己潤滑性があ
り、上記のような通常の潤滑性が使えないか、あるいは
給油が困難な場合には特に好適である。
【0007】また炭素材料は、自己潤滑性に加えて耐食
性、耐熱性にも優れ、強度的に金属材料に及ばない点を
除いて、機械用材料としての要求をほとんど満足でき
る。
【0008】主な特徴を要約すると次のようである。 (1)自己潤滑性があり、給油の必要が無い。 (2)熱伝導性が良好で、局部的に昇温しない。 (3)熱膨張係数が小さい。 (4)耐熱性に優れている。 (5)耐蝕性に優れている。 (6)加工が容易で、各種形状の物が製造可能である。
【0009】したがって摺動材料としては、炭素材料と
セラミックス、超硬合金などと組み合わせて使用するこ
とが多い。更に近年では、炭化珪素を主成分とする焼結
体からなる硬質材料が使われるようになってきた。
【0010】これは炭化珪素質焼結体が極めて高い硬
度、優れた耐熱性及び耐食性、さらにはセラミックスと
しては異例の高い熱衝撃性を有しているからである。
【0011】しかしながら、一方では逆に超高硬質材料
であるために、ダイヤモンド砥石による切削でしか加工
できないため、複雑な形状の摺動材料を製造することが
難しく、また摩擦係数が大きいので、相手材の摩擦を早
めるという欠点がある。
【0012】優れた特性を持ちながら、上記のような欠
点がある炭化珪素質材料を複雑な形状の摺動材料として
利用し易くするために考えられた方法としては、これを
焼結体単体(バルク材)として使わずに、他の基材の表
面に被覆層として形成させて利用するコーティング法が
ある。
【0013】コーティング法には、化学蒸着法と転換法
の二つがあり、いずれの方法においても基材としては一
般に炭素材料が使われる。
【0014】化学蒸着法は、珪素化合物の熱分解と化学
反応を利用して炭化珪素を生成させ、これを炭素質基材
の表面に蒸着させる方法である。この方法は、切削加工
が容易な炭素材料が基材なので、複雑形状の摺動材料の
製造が容易であり、得られた炭化珪素質被覆層も高純度
で緻密なものではあるが、被覆層と基材との結合が弱
く、機械的または熱的な繰り返し応力の作用を受ると、
被覆層が剥離し易いという重大な欠点を持つ。
【0015】一方転換法は、二酸化珪素と炭素または珪
素との反応により生成させた一酸化珪素ガスを、炭素基
材表面の炭素と直接反応させて、炭化珪素からなる被覆
層を形成する方法であり、例えば特開平1−26496
9号に開示されている。この方法で得られた炭化珪素質
被覆層は、炭素基材との結合は強固であるが、緻密さの
点で劣るものである。
【0016】これは[化1]及び[化2]の反応によっ
て炭素原子の半分が一酸化炭素ガスになって飛散してし
まい、その結果被覆層は炭素基材とほぼ同じくらいに気
孔率が大きくなる。したがって、気密性、不浸透性が要
求される部分に使用するためには熱硬化性樹脂等を含浸
して基材の気密性を向上させる必要がある。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】しかし乍ら上記方法は、非常に特殊な装置
を必要とし、炭化珪素は難加工性材料であり、加工に手
間がかかり、不必要部分もコートされるため、コスト的
にも高い材料となる。そこで炭素基材のうち、炭化珪素
に転化する必要の無い部分は特殊な治具、または不活性
な粉体を用い覆いをして転化する方法が特開昭56−1
20584号または特開昭57−7880号で提案され
ている。また炭素基材の表面に溝を設け、その部分にS
iをのせて熱処理し、炭化珪素に転化させる方法も特開
昭61−136961号で提案されているが、操作が繁
雑であり、作業性も悪く、コスト的にも高くなる欠点が
あった。
【0020】
【発明が解決しようとする問題点】そこで本発明は、従
来の摺動材料における上記諸問題を解決し、耐熱性、不
浸透性及び耐摩耗性に優れており、製造も簡単でコスト
も低く、しかも複雑な形状にも適用できる炭素−炭化珪
素複合材料の新たな製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0021】更に換言すればすでに上記で述べた通り、
炭素基材の硬度、耐摩耗性を改質するために、その表面
をより硬く、より耐摩耗性の高い炭化珪素質に転換、改
質することが行われているが、このような場合、必ずし
も炭素部材の表面全体を炭化珪素質に改質する必要はな
く、特に摩耗の激しい摺動部分のみ、即ち所定部分のみ
を選択的、部分的に改質すれば事足りることが多い。
【0022】本発明は、上記の主旨に基づき、炭素基材
の所定部位の表面のみを選択的に極めて簡便かつ効率良
く炭化珪素質に部分的に改質、変成する新規なる手段を
提供しようとするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者は、様々な条件
を実験した結果、平均細孔半径が0.5μm以上の炭素
基材を製品形状に加工し、必要な部分にのみ珪素粉末と
樹脂、中でも造膜性が高く、一旦硬化したあとは流動性
がなく、残炭率の低い樹脂、たとえばポリアミドイミ
ド、ポリビニールアルコール、ポリアミド樹脂等より選
ばれた1以上の樹脂の溶液を混合してスラリーとし、こ
れを塗布し、乾燥、硬化、さらに1500℃以上の高温
で炭素基材と溶融珪素を反応させ、部分的に炭化珪素に
転化させることにより、従来の摺動材料の問題点をこと
ごとく解決することができ、本発明を完成したものであ
る。
【0024】
【発明の作用並びに構成】本発明を更に詳しく説明す
る。
【0025】(1)製造方法自体は通常の炭素基材の製
造方法を用いて行えば良いが、ここで用いる炭素基材
は、一般黒鉛材、等方性材料等があげられる。なかでも
平均細孔半径が0.5μm以上の基材を製品形状に加工
したものを用いることが望ましい。平均細孔半径が0.
5μm未満であると、珪素と樹脂を混合したスラリーを
塗布した時に気孔に浸透しにくくなる。
【0026】(2)使用する樹脂は、造膜性が高く残炭
率が低い樹脂、例えば好ましくはポリアミドイミド、ポ
リビニールアルコール、ポリアミドイミド樹脂等が例示
出来、その他芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポ
リフェニレンベンゾイミダゾール、ポリフェニレンベン
ゾビスイミダゾール、ポリチアゾール、ポリp−フェニ
レンビニレン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチア
ゾール、等も使用出来る。これ等は1種又は2種以上で
使用される。特にポリアミドイミド樹脂が更に望まし
い。溶媒としてはジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキサイド、Nメチル−2ピロ
リドン等の溶媒に溶解して使用する。残炭率が高い樹
脂、例えばフルフリルアルコール、、フェノール樹脂等
を使用すると、後の工程で高温熱処理を行ったときに、
炭素基材の表面に樹脂の炭化物及びそれと珪素との反応
生成物が固着して、容易に除去できなくなることがあ
り、あまり望ましくない。
【0027】(3)この溶液に珪素粉末を混合分散して
スラリーとする。
【0028】(4)このスラリーを炭素基材にはけ塗
り、スプレー等の適宜な手段で珪化を望む部分にのみ塗
布する。
【0029】スラリーの溶剤部分は、一部蒸発、一部は
基材に浸透し、主として樹脂とこれに微細にくるまわれ
たSi粉から成る層が基材上に残る。
【0030】(5)この後、約300℃で2時間乾燥、
硬化する。この操作により、溶剤は蒸散し、樹脂は完全
に硬化する。
【0031】(6)(1)〜(5)のようにして得られ
た材料を、不活性ガスによる置換等の非酸化的雰囲気
下、又は10Torr以下の真空中で高温熱処理する。
昇温速度は約800℃/hrで、約1550〜1600
℃で20分間保持する。加熱手段は特に限定されるもの
でなく、適当な手段で行えば良い。この操作によってS
i成分は溶融し樹脂の炭化層を通って、炭素基材の細孔
内に侵入し、炭素と反応してSiCとなる。
【0032】(7)こうして得られた炭素−SiC複合
材料は、Siと樹脂の炭化物が基材の表層に若干残存、
付着している場合には、これを取り除く。
【0033】本発明方法による場合、炭素基材(細孔半
径)、Si粉(粒度)、樹脂の選択等の相乗効果によっ
て、炭素基材の珪化加工後に表面に残る残渣物は非常に
少なく、かつ軟質であるので、これを容易に取り除くこ
とができ、用途に応じた表面の精密加工を直ちに施すこ
とができる。このことも大きな特徴の一つである。
【0034】(8)炭素基材の珪化された部分の厚さは
通常0.5〜3.5mmであり、この層の厚さは(樹脂+S
i粉)混合物の塗布量の増減によって調節できる。
【0035】(9)このような方法で得られた、珪化さ
れた層の面分析写真の結果を図1に示す。これは炭素質
の部分(黒色)とSiC質の部分(灰色)との面積積算
値の比率から、それ等両成分の比率を求める方法である
が、若干条件を変えて調製した試料では、C/SiC比
率は70/30〜30/70の範囲であり、平均して炭
素基材の表層部分の約50%が炭化珪素質に改質されて
いることが判る。但し熱処理部分は炭素質100%のま
まであることは勿論である。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例で示す。
【0037】
【実施例1】嵩密度が1.77、平均細孔半径が1.8μ
mの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製グレード名「Si
C−12」)をφ52.5/φ42.5に加工し、一方ポ
リアミドイミド樹脂(「Al−10」、小原化工製)を
Nメチル−2ピロリドンに溶解し、20%溶液とした。
この溶液に珪素粉末(和光純薬工業製:粒度30〜50
μ)60重量部を混合しスラリーとした。
【0038】このスラリーを基材の内周部分に約3mm厚
さで塗布した後、乾燥機中300℃で硬化した。
【0039】更に真空炉にて1600℃まで昇温、30
分保持した後、冷却し取りだした。製品は塗布した部分
よりSiが溶融、基材に浸透し黒鉛と反応し、SiC化
しており、表面より2.5mmの深さまでSiC層が形成
されていた。このものの定性分析結果を以下に示す。
【0040】1 定性分析(面分析) (1)前処理 資料をMMA(メチルメタアクリレート)にて包埋後研
磨し、次いで研磨表面にC蒸着を施した。
【0041】(2)測定条件 加速電圧 20KV 試料電流 0.6nA 測定時間 200sec 使用装置 EMAX−2700(堀場製)
【0042】(3)結果 Siの面分析写真を図1に示す。
【0043】2 面積比率 (1)結果 表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【実施例2】嵩密度1.70g/cm2、平均細孔半径1.5
μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製、「ISEM−
1」グレード名)を用い、以下製造方法は実施例1と同
様にして、SiC層を2.0mm形成させた。ただし使用
樹脂はポリアミド(小原化工(株)製)をN−メチルピロ
リドン20%溶液にして用いた。
【0046】
【実施例3】嵩密度1.85g/cm2、平均細孔半径0.8
μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製「ISO−5
0」、グレード名)に、SiC層を1.0mm部分的に形
成させた。
【0047】ただし、使用樹脂はポリビニールアルコー
ル20%水溶液にして用いた。
【0048】
【実施例4】嵩密度1.86g/cm2、平均細孔半径0.2
5μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製「ISO−8
6」グレード名)を用いて、同様にSiC層を0.2mm
形成した。
【0049】ただし使用樹脂は実施例1と同じくポリア
ミドイミド樹脂の20%溶液として用いた。
【0050】
【比較例1】嵩密度1.90g/cm2、平均細孔半径0.2
μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製「ISO−8
8」グレード名)を用いて前記実施例1と同様の製造方
法にて珪化処理を行った。炭素珪素の珪化層が認められ
なかった。
【0051】
【比較例2】嵩密度1.70g/cm2、平均細孔半径1.5
μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)「ISEM−1」
グレード名)を用い、液状フェノール樹脂(住友デュレ
ズ(株)製「PQ−50273」)と珪素粉末を混合しス
ラリー状として、塗布、以下前記比較例1の製造方法に
て珪化した。処理後、塗布部に硬い固着物(珪素−ガラ
ス状炭化物)が付着し、それを取り除くのが困難であっ
た。又珪化処理部の表層にクラックが発生していて、良
好な炭化珪素の層が形成されていなかった。実施例1〜
4及び比較例1〜2の複合材料の物性を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】炭素材の特定部位の表面のみを選択的に
珪化する簡便かつ経済的な新しい方法を見出した。
【0054】この方法によって得られた材料は摺動部材
として好適である。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】
【0057】面分析写真
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】(9)このような方法で得られた、珪化さ
れた層の面分析写真の結果を図1に示す。これは炭素質
の部分(斜線の部分)とSiC質の部分(白い部分)と
の面積積算値の比率から、それ等両成分の比率を求める
方法であるが、若干条件を変えて調製した試料では、C
/SiC比率は70/30〜30/70の範囲であり、
平均して炭素基材の表層部分の約50%が炭化珪素質に
改質されていることが判る。但し熱処理部分は炭素質1
00%のままであることは勿論である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素基材の表面の所定
部位のみが、炭素と炭化珪素が混合する複合材料に変
成、転換された複合材料の新規な製造方法に関する。
【0002】このような炭素−SiC複合材料は、耐摩
耗性が要求される摺動部材、例えば軸受、シャフト軸、
ピストンシリンダー内壁、ピストンリング、スラスト
板、バルブ摺動部構成部品、ベーン等に適用される。
【0003】
【従来の技術】機械用炭素製品の利用面で主なものは、
大別すると軸受け、ピストンリング、シール、及びベー
ン等であり、全て相手材料との手動接触の状態で使用さ
れるものである。したがってこれらの目的には、潤滑性
を含めた摺動性が、極めて重要な要素となる。金属材料
の場合には、手動摩擦による発熱、焼付き、動力損失等
の障害を防止するために、通常潤滑油が使用される。
【0004】しかし、潤滑油は高温になると流出、蒸
発、分解が起こり、低温では流動性を失って凝固し、ま
た液体中で使用する場合は、液中に分散、溶解するなど
により、いずれもその機能を損失することが多い。
【0005】更に用途によっては液体中への油分の混入
を嫌う場合もあり、あるいは機械構造上、給油の不可能
なこともある。
【0006】炭素材料は、構造上C軸方向の結合力が弱
いため、結晶の六角網面の滑りによって自己潤滑性があ
り、上記のような通常の潤滑性が使えないか、あるいは
給油が困難な場合には特に好適である。
【0007】また炭素材料は、自己潤滑性に加えて耐食
性、耐熱性にも優れ、強度的に金属材料に及ばない点を
除いて、機械用材料としての要求をほとんど満足でき
る。
【0008】主な特徴を要約すると次のようである。 (1)自己潤滑性があり、給油の必要が無い。 (2)熱伝導性が良好で、局部的に昇温しない。 (3)熱膨張係数が小さい。 (4)耐熱性に優れている。 (5)耐蝕性に優れている。 (6)加工が容易で、各種形状の物が製造可能である。
【0009】したがって摺動材料としては、炭素材料と
セラミックス、超硬合金などと組み合わせて使用するこ
とが多い。更に近年では、炭化珪素を主成分とする焼結
体からなる硬質材料が使われるようになってきた。
【0010】これは炭化珪素質焼結体が極めて高い硬
度、優れた耐熱性及び耐食性、さらにはセラミックスと
しては異例の高い熱衝撃性を有しているからである。
【0011】しかしながら、一方では逆に超高硬質材料
であるために、ダイヤモンド砥石による切削でしか加工
できないため、複雑な形状の摺動材料を製造することが
難しく、また摩擦係数が大きいので、相手材の摩擦を早
めるという欠点がある。
【0012】優れた特性を持ちながら、上記のような欠
点がある炭化珪素質材料を複雑な形状の摺動材料として
利用し易くするために考えられた方法としては、これを
焼結体単体(バルク材)として使わずに、他の基材の表
面に被覆層として形成させて利用するコーティング法が
ある。
【0013】コーティング法には、化学蒸着法と転換法
の二つがあり、いずれの方法においても基材としては一
般に炭素材料が使われる。
【0014】化学蒸着法は、珪素化合物の熱分解と化学
反応を利用して炭化珪素を生成させ、これを炭素質基材
の表面に蒸着させる方法である。この方法は、切削加工
が容易な炭素材料が基材なので、複雑形状の摺動材料の
製造が容易であり、得られた炭化珪素質被覆層も高純度
で緻密なものではあるが、被覆層と基材との結合が弱
く、機械的または熱的な繰り返し応力の作用を受ると、
被覆層が剥離し易いという重大な欠点を持つ。
【0015】一方転換法は、二酸化珪素と炭素または珪
素との反応により生成させた一酸化珪素ガスを、炭素基
材表面の炭素と直接反応させて、炭化珪素からなる被覆
層を形成する方法であり、例えば特開平1−26496
9号に開示されている。この方法で得られた炭化珪素質
被覆層は、炭素基材との結合は強固であるが、緻密さの
点で劣るものである。
【0016】これは[化1]及び[化2]の反応によっ
て炭素原子の半分が一酸化炭素ガスになって飛散してし
まい、その結果被覆層は炭素基材とほぼ同じくらいに気
孔率が大きくなる。したがって、気密性、不浸透性が要
求される部分に使用するためには熱硬化性樹脂等を含浸
して基材の気密性を向上させる必要がある。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】しかし乍ら上記方法は、非常に特殊な装置
を必要とし、炭化珪素は難加工性材料であり、加工に手
間がかかり、不必要部分もコートされるため、コスト的
にも高い材料となる。そこで炭素基材のうち、炭化珪素
に転化する必要の無い部分は特殊な治具、または不活性
な粉体を用い覆いをして転化する方法が特開昭56−1
20584号または特開昭57−7880号で提案され
ている。また炭素基材の表面に溝を設け、その部分にS
iをのせて熱処理し、炭化珪素に転化させる方法も特開
昭61−136961号で提案されているが、操作が繁
雑であり、作業性も悪く、コスト的にも高くなる欠点が
あった。
【0020】
【発明が解決しようとする問題点】そこで本発明は、従
来の摺動材料における上記諸問題を解決し、耐熱性、不
浸透性及び耐摩耗性に優れており、製造も簡単でコスト
も低く、しかも複雑な形状にも適用できる炭素−炭化珪
素複合材料の新たな製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0021】更に換言すればすでに上記で述べた通り、
炭素基材の硬度、耐摩耗性を改質するために、その表面
をより硬く、より耐摩耗性の高い炭化珪素質に転換、改
質することが行われているが、このような場合、必ずし
も炭素部材の表面全体を炭化珪素質に改質する必要はな
く、特に摩耗の激しい摺動部分のみ、即ち所定部分のみ
を選択的、部分的に改質すれば事足りることが多い。
【0022】本発明は、上記の主旨に基づき、炭素基材
の所定部位の表面のみを選択的に極めて簡便かつ効率良
く炭化珪素質に部分的に改質、変成する新規なる手段を
提供しようとするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者は、様々な条件
を実験した結果、平均細孔半径が0.5μm以上の炭素
基材を製品形状に加工し、必要な部分にのみ珪素粉末と
樹脂、中でも造膜性が高く、一旦硬化したあとは流動性
がなく、残炭率の低い樹脂、たとえばポリアミドイミ
ド、ポリビニールアルコール、ポリアミド樹脂等より選
ばれた1以上の樹脂の溶液を混合してスラリーとし、こ
れを塗布し、乾燥、硬化、さらに1500℃以上の高温
で炭素基材と溶融珪素を反応させ、部分的に炭化珪素に
転化させることにより、従来の摺動材料の問題点をこと
ごとく解決することができ、本発明を完成したものであ
る。
【0024】
【発明の作用並びに構成】本発明を更に詳しく説明す
る。
【0025】(1)製造方法自体は通常の炭素基材の製
造方法を用いて行えば良いが、ここで用いる炭素基材
は、一般黒鉛材、等方性材料等があげられる。なかでも
平均細孔半径が0.5μm以上の基材を製品形状に加工
したものを用いることが望ましい。平均細孔半径が0.
5μm未満であると、珪素と樹脂を混合したスラリーを
塗布した時に気孔に浸透しにくくなる。
【0026】(2)使用する樹脂は、造膜性が高く残炭
率が低い樹脂、例えば好ましくはポリアミドイミド、ポ
リビニールアルコール、ポリアミドイミド樹脂等が例示
出来、その他芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポ
リフェニレンベンゾイミダゾール、ポリフェニレンベン
ゾビスイミダゾール、ポリチアゾール、ポリp−フェニ
レンビニレン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチア
ゾール、等も使用出来る。これ等は1種又は2種以上で
使用される。特にポリアミドイミド樹脂が更に望まし
い。溶媒としてはジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキサイド、Nメチル−2ピロ
リドン等の溶媒に溶解して使用する。残炭率が高い樹
脂、例えばフルフリルアルコール、、フェノール樹脂等
を使用すると、後の工程で高温熱処理を行ったときに、
炭素基材の表面に樹脂の炭化物及びそれと珪素との反応
生成物が固着して、容易に除去できなくなることがあ
り、あまり望ましくない。
【0027】(3)この溶液に珪素粉末を混合分散して
スラリーとする。
【0028】(4)このスラリーを炭素基材にはけ塗
り、スプレー等の適宜な手段で珪化を望む部分にのみ塗
布する。
【0029】スラリーの溶剤部分は、一部蒸発、一部は
基材に浸透し、主として樹脂とこれに微細にくるまわれ
たSi粉から成る層が基材上に残る。
【0030】(5)この後、約300℃で2時間乾燥、
硬化する。この操作により、溶剤は蒸散し、樹脂は完全
に硬化する。
【0031】(6)(1)〜(5)のようにして得られ
た材料を、不活性ガスによる置換等の非酸化的雰囲気
下、又は10Torr以下の真空中で高温熱処理する。
昇温速度は約800℃/hrで、約1550〜1600
℃で20分間保持する。加熱手段は特に限定されるもの
でなく、適当な手段で行えば良い。この操作によってS
i成分は溶融し樹脂の炭化層を通って、炭素基材の細孔
内に侵入し、炭素と反応してSiCとなる。
【0032】(7)こうして得られた炭素−SiC複合
材料は、Siと樹脂の炭化物が基材の表層に若干残存、
付着している場合には、これを取り除く。
【0033】本発明方法による場合、炭素基材(細孔半
径)、Si粉(粒度)、樹脂の選択等の相乗効果によっ
て、炭素基材の珪化加工後に表面に残る残渣物は非常に
少なく、かつ軟質であるので、これを容易に取り除くこ
とができ、用途に応じた表面の精密加工を直ちに施すこ
とができる。このことも大きな特徴の一つである。
【0034】(8)炭素基材の珪化された部分の厚さは
通常0.5〜3.5mmであり、この層の厚さは(樹脂
+Si粉)混合物の塗布量の増減によって調節できる。
【0035】(9)このような方法で得られた、珪化さ
れた層の面分析写真の結果を図1に示す。これは炭素質
の部分(斜線の部分)とSiC質の部分(白い部分)と
の面積積算値の比率から、それ等両成分の比率を求める
方法であるが、若干条件を変えて調製した試料では、C
/SiC比率は70/30〜30/70の範囲であり、
平均して炭素基材の表層部分の約50%が炭化珪素質に
改質されていることが判る。但し熱処理部分は炭素質1
00%のままであることは勿論である。
【0036】
【実施例】以下に本発明を実施例で示す。
【0037】
【実施例1】嵩密度が1.77、平均細孔半径が1.8
μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製グレード名
「SiC−12」)をφ52.5/φ42.5に加工
し、一方ポリアミドイミド樹脂(「Al−10」、小原
化工製)をNメチル−2ピロリドンに溶解し、20%溶
液とした。この溶液に珪素粉末(和光純薬工業製:粒度
30〜50μ)60重量部を混合しスラリーとした。
【0038】このスラリーを基材の内周部分に約3mm
厚さで塗布した後、乾燥機中300℃で硬化した。
【0039】更に真空炉にて1600℃まで昇温、30
分保持した後、冷却し取りだした。製品は塗布した部分
よりSiが溶融、基材に浸透し黒鉛と反応し、SiC化
しており、表面より2.5mmの深さまでSiC層が形
成されていた。このものの定性分析結果を以下に示す。
【0040】1 定性分析(面分析) (1)前処理 資料をMMA(メチルメタアクリレート)にて包埋後研
磨し、次いで研磨表面にC蒸着を施した。
【0041】(2)測定条件 加速電圧 20KV 試料電流 0.6nA 測定時間 200sec 使用装置 EMAX−2700(堀場製)
【0042】(3)結果 Siの面分析写真を図1に示す。
【0043】2 面積比率 (1)結果 表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【実施例2】嵩密度1.70g/cm2、平均細孔半径
1.5μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製、「I
SEM−1」グレード名)を用い、以下製造方法は実施
例1と同様にして、SiC層を2.0mm形成させた。
ただし使用樹脂はポリアミド(小原化工(株)製)をN
−メチルピロリドン20%溶液にして用いた。
【0046】
【実施例3】嵩密度1.85g/cm2、平均細孔半径
0.8μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製「IS
O−50」、グレード名)に、SiC層を1.0mm部
分的に形成させた。
【0047】ただし、使用樹脂はポリビニールアルコー
ル20%水溶液にして用いた。
【0048】
【実施例4】嵩密度1.86g/cm2、平均細孔半径
0.25μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製「I
SO−86」グレード名)を用いて、同様にSiC層を
0.2mm形成した。
【0049】ただし使用樹脂は実施例1と同じくポリア
ミドイミド樹脂の20%溶液として用いた。
【0050】
【比較例1】嵩密度1.90g/cm2、平均細孔半径
0.2μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)製「IS
O−88」グレード名)を用いて前記実施例1と同様の
製造方法にて珪化処理を行った。炭素珪素の珪化層が認
められなかった。
【0051】
【比較例2】嵩密度1.70g/cm2、平均細孔半径
1.5μmの等方性黒鉛材料(東洋炭素(株)「ISE
M−1」グレード名)を用い、液状フェノール樹脂(住
友デュレズ(株)製「PQ−50273」)と珪素粉末
を混合しスラリー状として、塗布、以下前記比較例1の
製造方法にて珪化した。処理後、塗布部に硬い固着物
(珪素−ガラス状炭化物)が付着し、それを取り除くの
が困難であった。又珪化処理部の表層にクラックが発生
していて、良好な炭化珪素の層が形成されていなかっ
た。実施例1〜4及び比較例1〜2の複合材料の物性を
表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】炭素材の特定部位の表面のみを選択的に
珪化する簡便かつ経済的な新しい方法を見出した。
【0054】この方法によって得られた材料は摺動部材
として好適である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】面分析図

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均細孔半径が0.5μm以上の炭素基材
    を製品形状に加工した素材に、樹脂或いはその溶媒液に
    金属Si粉を混合懸濁したスラリーを、所定の部分にの
    み塗布、乾燥、硬化し、さらに1500℃以上で焼成す
    ることを特徴とする炭素−炭化珪素複合材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】上記樹脂がポリイミドアミド、ポリビニー
    ルアルコール、ポリアミド樹脂の少なくとも1種以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の複合材料の製造
    方法。
JP25060292A 1992-08-25 1992-08-25 炭素−SiC複合材料の製造方法 Pending JPH0812474A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0983981A4 (en) * 1997-03-31 2000-12-27 Toyo Tanso Co CARBON-SILICON-CARBIDE COMPOSITE
JP2008063222A (ja) * 2007-10-09 2008-03-21 Toyo Tanso Kk 炭素−炭化ケイ素複合材料
WO2014007406A1 (ja) 2012-07-06 2014-01-09 トーカロ株式会社 溶射被覆層を有する炭素材料

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