JPH08182921A - ポリオレフィン複合微多孔質膜 - Google Patents

ポリオレフィン複合微多孔質膜

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JPH08182921A
JPH08182921A JP33763894A JP33763894A JPH08182921A JP H08182921 A JPH08182921 A JP H08182921A JP 33763894 A JP33763894 A JP 33763894A JP 33763894 A JP33763894 A JP 33763894A JP H08182921 A JPH08182921 A JP H08182921A
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JP
Japan
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layer
polyolefin
membrane
composite
microporous membrane
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JP33763894A
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English (en)
Inventor
Seiya Koyanagi
精也 小▲やなぎ▼
Michiharu Uenishi
理玄 上西
Jun Kamo
純 加茂
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分画で、高フラックスなる特性を備えたポ
リオレフィン製微多孔質膜を得ること。 【構成】 微粒子不含ポリオレフィンと微粒子含有ポリ
オレフィンとの複合膜を延伸開孔し、分離機能を受け持
つa層中に含まれる微細孔の円換算孔径Da と、補強機
能を受け持つb層中に含まれるスリット状微細孔の円換
算孔径Db との比Db /Da を5以上とした高分画、高
フラックス特性を備えたポリオレフィン複合微多孔質
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限外濾過、精密濾過等
に使用するポリオレフィン製複合微多孔質膜に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】微多孔質膜は、工業排水処理、工業分野
で用いる工程水の処理、人工腎臓・血漿分離等の医療分
野、食品関連分野、家庭用浄水器分野、エアーフィルタ
ー・バグフィルター等の空気浄化分野など幅広い分野に
使用されている。
【0003】このような用途に用いられる微多孔質膜材
料としては、数多くのポリマー材料が研究され、様々な
膜が開発されている。例えば、特開昭57−66114
号公報には、中空糸膜の長軸方向に配向したミクロフィ
ブリルと、中空糸膜の断面方向に配向したスタックドラ
メラとの結節部とから形成される微細孔が中空糸膜の膜
壁内に積層され、かつ、膜の一表面から他表面に向かっ
て貫通しており、その孔径が厚み方向に均一であるポリ
エチレン微多孔質膜が開示されている。
【0004】この膜は、ポリエチレンを溶融賦形し、こ
の賦形物をさらに延伸することによって製造されてい
る。すなわち、特定の紡糸条件でポリエチレンを賦形し
た後にアニール処理を施して、賦形物の膜壁内にラメラ
積層結晶(スタックドラメラ)を形成させ、次いで、こ
の賦形物を延伸してこのスタックドラメラ間を剥離させ
るとともに、ラメラ積層結晶間を結ぶフィブリルを成長
させることにより、上記の特定の構造を有する微多孔質
膜が形成される。この膜は、上記特定の微多孔質構造を
有しているため機械的強度に優れており、しかも、その
製造過程で溶剤を使用しないことから、その安全性に優
れるという特徴を有している。以下では本方法を溶融賦
形延伸法と称する。
【0005】また、ポリオレフィンに微粒子を分散させ
たものを溶融賦形し、この賦形物を延伸してポリオレフ
ィン中空繊維状微多孔質膜を製造する方法が、特開平1
−293102号公報および特開平6−15152号公
報に開示されている。この方法は、ポリオレフィンに微
粒子を分散させたものを溶融賦形し、この賦形物を延伸
することにより、膜のマトリックスとなるポリオレフィ
ンと微粒子との界面を剥離させて微細孔を形成させ、こ
の微細孔が膜の一表面から他表面へ向かって貫通した構
造のポリオレフィン微多孔質膜を製造するものである。
以下では本方法を微粒子添加延伸法と称する。
【0006】近年、高分画すなわち微粒子の阻止能力が
高く、かつ、水透過速度あるいは空気透過速度の高い膜
が要求されてきている。これを実現するため複合膜すな
わち大きさの異なる微小孔を有する少なくとも2つの層
が積層された複合構造を有する微多孔質膜が、以下に示
す、、にて提案されている。
【0007】上記溶融賦形延伸法を応用し、分子量の
異なる同種ポリオレフィンポリマーを複合化ノズルより
押し出し、延伸を行い、分離機能層および補強機能層を
形成する方法および複合膜が、特開昭63−75116
号公報に開示されている。
【0008】微粒子添加法において、あらかじめ微多
孔質フィルムを作製しておき、これを多孔質ポリオレフ
ィン系樹脂フィルム基材にホットメルト接着剤を介して
貼り合わせた複合微多孔質膜が、特開平3−26434
5号公報に開示されている。
【0009】含有率の異なる2種類の微粒子含有ポリ
オレフィンをダイより共押し出しし、シート状物とした
後、延伸し、厚み方向に孔径差を有する複合微多孔質膜
を作製する方法および該複合膜が、特開平2−2968
40号公報に開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上に述べた複合微多孔
質においては、大きな分子量差を有するポリオレフィ
ンを安定に紡糸することが困難であり、分離機能層と補
強機能層との孔径差に限界がある。
【0011】複合微多孔質においては、貼り合わせ部
分において孔が連通しておらず、実用上、十分なほど透
過速度が得られにくい。
【0012】複合微多孔質においては、大きな孔径を
形成させ、水透過速度を大きくするために、より大きな
微粒子を、高い含有率で使用する。多孔質膜中の微粒子
含有率が多くなると、膜が脆く、機械的強度とくに伸度
の点で実用性が低下しやすい。さらに、脆い膜を用いた
モジュールは、実用上、過剰な応力が作用した場合、寿
命が短くなりやすい。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、高分画
で、水透過速度が高く、かつ機械的強度に優れたポリオ
レフィン微多孔質膜を提供することを目的として鋭意検
討した結果、膜壁が特定の構造を有するポリオレフィン
製微多孔質膜とすることにより、上記目的を達成するこ
とを見出だした。
【0014】すなわち、本発明の要旨とするところは、
補強機能を受け持つ微多孔質層b層の少なくとも片面に
分離機能を受け持つ微多孔質層a層が積層されており、
a層はポリオレフィンのみによって形成されており、b
層は平均粒径 0.1μm〜10μmである微粒子を10wt%〜
80wt%含有したポリオレフィンにて形成されており、各
々の層の微小空孔は膜の延伸方向に配列しており、か
つ、該微小空孔は各々の層内および層間で互いに連通し
ているとともに、複合膜の一方の表面から他方の表面ま
で連通しており、a層内の微小空孔の円換算平均孔径D
a とb層内のスリット状微小空孔の円換算平均孔径Db
が次式(4) 、(5) 、(6) を満足し、機械的強度に優れる
ことを特徴とするポリオレフィン複合微多孔質膜にあ
る。
【数4】
【数5】
【数6】
【0015】以下、本発明について説明する。本発明の
微多孔質膜は、補強機能を受け持つ微多孔質層b層の少
なくとも片面に分離機能を受け持つ微多孔質層a層が積
層されている複層構造となっている。本発明の微多孔質
複合膜の構造は、例えば、b層の片面にa層が積層され
た二層構造のもの、b層の両面にa層が積層された三層
構造でもよい。
【0016】各々の層は、微小空孔を有しており、該微
小空孔は膜の延伸方向に配列しており、かつ、該微小空
孔は各々の層内および層間で互いに連通して、複合膜の
一方の表面から他方の表面まで積層連通した微小空孔を
形成している。
【0017】a層は、膜の延伸方向に配列したミクロフ
ィブリルまたはその収束物と、膜の延伸方向と垂直な方
向に配列したスタックドラメラとの結節部とから形成さ
れ、ミクロフィブリルまたはその収束物との間隙部分が
微細孔となっている。
【0018】a層中の微細孔の大きさは、円換算平均孔
径Da が0.05〜2μmであり、より好ましい範囲は 0.1
〜1.5 μmである。Da が0.05μm以上とした本発明の
微多孔質膜では水透過速度が良好であり、また、Da
2μm以下の微多孔質膜は、微粒子の阻止能力が良好で
ある。本発明で述べる円換算平均孔径とは、微細孔面積
に等しい円の直径値である。
【0019】微多孔質層a層は、複合膜において分離機
能を担っており、阻止可能な粒子の直径は、通常、微孔
の平均孔径Da よりも小さい。その理由としては、孔の
形状が円形状でなくスリット状または鼓状であること
と、処理液が多数の微細孔の積層構造の間をすり抜ける
様式で膜を透過していくため、粒子径が、微細孔の円換
算平均孔径Da よりも小さい粒子でもa層内で阻止され
るためである。
【0020】a層の厚みは、 0.5〜10μmであることが
好ましく、より好ましくは1〜8μmの範囲である。a
層の厚みを 0.5μm未満とすると、a層中にピンホール
欠陥が発生しやすい傾向にあり、一方、a層の厚みを10
μmを越えたものとすると、複合微多孔質膜の水透過速
度が低下する傾向にある。
【0021】本発明の膜においてポリオレフィンとして
は、オレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であれ
ばとくに限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ−4-メチルペンテン-1が好ましい。本発明の複
合微多孔質膜のa層にポリエチレンを使用する場合に
は、密度が0.960 以上でメルトインデックス値(MI
値)が0.05〜15である本質的に分岐の少ない高密度ポリ
エチレンを使用するのが好ましい。より好ましいものと
しては、密度が0.965 以上でMI値が 0.1〜7なるポリ
エチレンである。
【0022】密度およびMI値はそれぞれ ASTMD-1505
および ASTMD-1238 によって測定される値である。
【0023】密度が0.960 未満あるいはMI値が15を越
える高密度ポリエチレンは結晶性が低いために、複合微
多孔質膜のa層中にミクロフィブリルとスタックドラメ
ラとの結節部とから構成される微小孔が形成されにく
い。また、MI値が0.05未満のポリエチレンは、溶融粘
度が高すぎて、安定した紡糸が困難になる傾向にある。
【0024】複合微多孔質膜のa層にポリプロピレンを
使用する場合には、アイソタクチックまたはシンジオタ
クチックポリプロピレンを用いることが好ましく、その
MI値が 0.1〜10の範囲にあるものであることが好まし
い。MI値が 0.1未満のポリプロピレンは紡糸が困難で
あり、MI値が10を越えたポリプロピレンは分離機能を
受け持つa層を多孔質構造の複合膜とすることが難し
い。a層中に存在する微小孔は、上記ミクロフィブリル
とスタックドラメラとの結節部から形成される微小孔お
よびミクロフィブリルが有機高分子にて部分的に結束さ
れた鼓状の微小空孔のいずれをも含むものである。
【0025】微多孔質層b層は、複合膜において分離機
能を受け持つ微多孔質層a層を指示する補強機能を担っ
ている。b層は膜の延伸方向に配向した微細孔の積層構
造を有しており、この微細孔はミクロフィブリルとスタ
ックドラメラとの結節部とからなるもの、あるいはスリ
ット状微細孔とによって形成されている。b層中の微細
孔の大きさは、円換算平均孔径Db で2〜10μmであ
る。Db が2μm未満なるb層を有する複合微多孔質膜
では、水透過速度が低下する傾向にあり、一方、Db
平均孔径が10μmを越える場合、微孔を有するb層を備
えた複合微多孔質膜が、外力によってつぶれ変形しやす
い。
【0026】Db とDa の比Db /Da は、5以上 100
以下であることが必要である。Db/Da が5未満の複
合微多孔質膜では、本発明の目的とする高分画で水透過
速度が高い膜とはなりにくい。また、Db /Da が 100
を越えるような複合微多孔質膜は、その膜を安定に製造
することが難しい傾向にある。
【0027】b層は、平均粒子径が 0.1〜10μm、好ま
しくは 0.5〜10μmの微粒子を10〜80wt%、好ましくは
20〜70wt%含有している。含有量が80wt%を越える場
合、a層、b層の膜厚比にもよるが、複合膜全体の破断
伸度が低下しやすい。10wt%未満の場合、b層の開孔率
が低くなり、複合膜の水透過速度が低下しやすい。
【0028】b層中に含まれる微粒子の平均粒子径は
0.1〜10μmであればとくに制限はなく、無機微粒子、
有機微粒子のいずれも使用することができる。無機微粒
子としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウ
ム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アルミ
ナ、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、クレー
等が挙げられ、有機微粒子としてはナイロン樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、架橋ポリスチレン樹
脂、架橋PMMA樹脂、架橋シリコーン樹脂、ゴム微粒子等
が挙げられる。
【0029】また、本発明で用いる微粒子は、膜のマト
リックスとなるポリオレフィン中への分散性を向上させ
るために表面処理を施されていてもよい。
【0030】b層の厚みは、30〜500 μmである。30μ
m未満の場合、b層は十分な補強効果を示さず、不適切
である。 500μmを越える場合、a層の厚みにもよる
が、複合膜のうちb層の占める割合が多くなり、複合膜
が機械的に脆くなりやすく、実用性に欠ける。
【0031】a、b層の開孔率は、両層とも30〜80vol
%とすべきである。より好ましくは50〜80vol %とすべ
きである。両層とも開孔率が30vol %以下だと、複合膜
の水透過速度が低下しやすい。また、両層とも80vol %
以上の開孔率の場合、複合膜が外力によって変形しやす
い。
【0032】複合微多孔質膜のb層にポリエチレンを使
用する場合には、その密度にはとくに制限はなく、本質
的に分岐の少ない線状のポリエチレンであれば、高密度
ポリエチレンでも低密度ポリエチレンでも使用すること
ができる。また、そのMI値は溶融賦形が可能な範囲で
ある0.05以上のものであれば使用できる。
【0033】複合微多孔質膜のb層にポリプロピレンを
使用する場合には、そのMI値は 0.1以上で、溶融賦形
が可能であれば、とくに制限はない。
【0034】本発明の複合微多孔質膜のマトリックスと
なるポリオレフィンとしてポリ−4-メチルペンテン-1を
使用する場合には、a層形成用ポリオレフィン、b層を
形成するポリオレフィンともに、MI値が10〜220 の範
囲にあればいかなるものをも用いることができる。
【0035】本発明の複合微多孔質膜は、a層とb層と
で異種のポリオレフィンを使用してもよいが、各層間の
密着性を向上させること、膜の溶融賦形安定性や延伸安
定性を向上させるとの観点から、同種のポリオレフィン
を使用することが好ましい。
【0036】複合微多孔質膜のa層およびb層形成ポリ
オレフィンとして同種のポリオレフィンを使用する場合
には、同一分子量のポリオレフィンを使用してもよい
し、分子量の異なるポリオレフィンを使用してもよい。
【0037】本発明の複合微多孔質膜は、上で述べたa
層、b層の厚み、開孔率、b層中の微粒子含有率とする
ことによって機械的特性に優れた複合膜とすることがで
きる。この複合膜の破断伸度は、室温下(20〜25℃)10
%以上である。
【0038】本発明の複合微多孔質膜の形状には、とく
に制限はないが、中空繊維膜または平膜として使用され
ることが一般的であり、用途に応じて好ましい形状のも
のとするのがよい。
【0039】本発明の複合微多孔質膜は、高分画、高フ
ラックスを有している。高フラックスの水準としては、
本発明の複合微多孔質膜の分画する粒子の径、例えば、
阻止可能な粒子径が0.03μm以上の分野で使う場合に
は、水透過速度が2リットル/m2・hr・mmHg以上である
ことであり、より好ましくは 2.5リットル/m2・hr・mm
Hg以上、さらに好ましくは3リットル/m2・hr・mmHg以
上である。複合微多孔質膜の阻止可能な粒子の直径が0.
05μm以上の分野で使う場合には、水透過速度が3リッ
トル/m2・hr・mmHg以上であることが好ましく、より好
ましくは4リットル/m2・hr・mmHg以上、さらに好まし
くは5リットル/m2・hr・mmHg以上である。また、複合
微多孔質膜の阻止可能な粒子の直径が0.15μm以上の分
野で使う場合には、水透過速度が6リットル/m2・hr・
mmHg以上であることが好ましく、より好ましくは8リッ
トル/m2・hr・mmHg以上、さらに好ましくは10リットル
/m2・hr・mmHg以上であり、また、該膜の阻止可能な粒
子の直径が 0.2μm以上の分野で使う場合には、水透過
速度が10リットル/m2・hr・mmHg以上であることが好ま
しく、より好ましくは13リットル/m2・hr・mmHg以上、
さらに好ましくは15リットル/m2・hr・mmHg以上であ
る。
【0040】また、本発明のポリオレフィン複合微多孔
質膜に親水性を付与するために、該複合不均一多孔質膜
の微小空孔表面の少なくとも一部に、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のケン化物からなる薄膜、または、ジアセ
トンアクリルアミドと架橋性モノマーとの重合体薄膜を
保持させるのがよい。このようにすることにより、少な
くともa層中のミクロフィブリルは結束され、a層中の
微小空孔は鼓状の形状となり、さらに高分画で高フラッ
クスの膜とすることができる。
【0041】エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物
からなる薄膜、または、ジアセトンアクリルアミドと架
橋性モノマーとの重合体の薄膜は、本発明のポリオレフ
ィン複合微多孔質膜の微小空孔表面の少なくとも一部に
保持され、実質的に微多孔質膜の親水性が向上されるよ
うに保持されていればよく、必ずしも微多孔質膜の全表
面に重合体が保持されている必要はない。
【0042】エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物
(エチレン−ビニルアルコール系共重合体)は、ランダ
ム共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体等いずれ
のタイプの共重合体であってもよいが、該共重合体中の
エチレンの共重合量は20〜70モル%の範囲にあることが
好ましい。エチレンの共重合量が20モル%未満なる共重
合体は、ポリオレフィン微多孔質膜に対する接着性が低
く、多孔質膜の微小空孔表面に形成した親水性薄膜層の
剥離が起こりやすくなる傾向にある。また、エチレンの
共重合量が70モル%を越えたエチレン−ビニルアルコー
ル系共重合体は親水性が低くなる傾向にある。とくに、
エチレンの共重合量が25〜50モル%のエチレン−ビニル
アルコール系共重合体が、ポリオレフィンに対する接着
性が良好で、かつ、親水性がよく好ましい。
【0043】ジアセトンアクリルアミドと架橋性モノマ
ーとの親水性架橋重合体は、モノマー成分としてジアセ
トンアクリルアミドを50wt%以上含有し、かつ、架橋性
モノマーを含有する系から得られた架橋重合体であるこ
とが好ましい。該架橋重合体を作るに際しては、これら
のモノマーの他に架橋性または非架橋性モノマーを併用
してもよい。
【0044】架橋性モノマーとしては、ジアセトンアク
リルアミドと共重合可能なビニル結合やアリル結合等の
重合性不飽和結合を2個以上有するモノマー、あるい
は、前記重合性不飽和結合を1個含有し、かつ、化学結
合反応等によって架橋結合を生成する官能基を少なくと
も1個有するモノマーであって、ジアセトンアクリルア
ミドと共通の良溶媒を有するモノマーが挙げられる。
【0045】その具体例としては、N,N-メチレンビスア
クリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルア
ミド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート、ジビニルベンゼン、2,2-ビス(4-メタクリロイ
ロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレンジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)
アクリレート等が挙げられる。
【0046】また、ポリオレフィン微多孔質膜上に形成
する重合体薄膜は、その親水性の程度が大きいほど、親
水化多孔質膜の透水性能が良好であり、その使用開始時
において短時間で膜面全体に水が均一に浸透するので、
その使い勝手がよくなる。そこで親水性架橋重合体を生
成させるのに用いる架橋性モノマーとしては、親水性の
程度が十分な水溶性の架橋性モノマーを用いることが好
ましい。このような水溶性の架橋性モノマーとは、30℃
の水に対する溶解度が 1.0g/dl以上である架橋性モノ
マーであり、その例としては、N,N-メチレンビスアクリ
ルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド
等が挙げられる。
【0047】次に、本発明の多孔質膜の製造方法につい
て述べる。本発明のポリオレフィン複合微多孔質膜は、
微粒子を分散させたポリオレフィンポリマーよりなる補
強層の少なくとも片面に、微粒子を含有していないポリ
オレフィンポリマー層を積層させた溶融賦形物を延伸す
ることにより製造することができる。微粒子は、b層形
成用ポリオレフィン中に均一に分散されていることが好
ましい。微粒子の分散に極端な偏りがある賦形物は、後
の工程である延伸が不均一となり高倍率に延伸すること
が困難になる傾向にあり、好ましくない。
【0048】b層を構成するポリオレフィン組成物は、
ポリオレフィン20〜80wt%と、微粒子80〜20wt%である
ことが好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン80〜
30wt%、微粒子20〜70wt%の範囲である。微粒子の含有
率が80wt%を越えたポリオレフィン混合物より形成した
賦形物は、延伸が困難になる傾向にあり、逆に微粒子含
量が20wt%未満のポリオレフィン組成物よりの賦形物は
延伸してもDb /Daが5〜100 なる特徴を備えた補強
機能を有する微多孔質層とはなりにくい傾向にあり、好
ましくない。
【0049】微粒子の平均粒子径は 0.1〜10μmである
ことが好ましく、より好ましくは、0.5〜10μmの範囲
である。平均粒子径が 0.1μmより小さい微粒子を含む
ポリオレフィン組成物の賦形物は延伸を行ってもDb
a が5〜100 なる特徴を備えた補強機能を有する多孔
質層を形成しにくい。逆に平均粒子径が10μmを越える
微粒子を含むポリオレフィン組成物の賦形物は延伸によ
り膜中に生じる微細孔の孔径が大きくなりすぎて、機械
的強度の良好な補強機能を備えた層を形成できない傾向
にある。
【0050】微粒子のポリオレフィンへの分散方法とし
てはとくに限定されず、公知の方法を用いることがで
き、例えば、一軸あるいは二軸のスクリュー押し出し機
による溶融混練法を用いるのがよい。
【0051】本発明の微多孔質複合膜を作るには、微粒
子を分散させたポリオレフィンと微粒子を含有していな
いポリオレフィンとを、2つ以上の吐出口を有する口金
から、各々同時に溶融押し出して、微粒子を分散させた
ポリオレフィン組成物よりなるb層形成用賦形物の少な
くとも片面に、微粒子を含有していないポリオレフィン
よりなるa層形成用賦形物を積層させた賦形物を得る。
上記賦形物は、目的とする微多孔質膜の形状に応じて適
当な口金を使用し、種々の形状に賦形できる。例えば、
目的とする微多孔質膜の形状が平膜の場合には、共溶融
押し出し型の積層フィルム押し出し装置であるTダイ型
押出機や、チューブラー型押出機を用いて、二層以上の
フィルム状積層物である賦形物とするのがよい。
【0052】また、目的とする微多孔質膜が中空繊維膜
の場合には、多重円筒タイプの中空繊維製造用ノズルを
用いて、前記2種のポリオレフィン組成物を二層以上の
未延伸中空繊維状積層物よりなる賦形物とするのがよ
い。
【0053】賦形物の溶融押し出し温度は、ポリオレフ
ィンの融点(以下、Tmという)+20℃〜Tm+150 ℃の範
囲であることが好ましい。賦形物の押し出し温度がTm+
20℃未満ではポリオレフィンの溶融が不完全となり、メ
ルトフラクチャーが起こりやすく、得られた賦形物は延
伸工程で延伸を安定に行うことが難しい。逆に、ポリオ
レフィンの賦形をTm+150 ℃を越えた温度で行った賦形
物は、延伸してもa層は微多孔質構造となりにくくな
る。
【0054】目的とする微多孔質膜が中空繊維膜の場合
には、ノズルから吐出されたポリマーは、ドラフト比5
〜5000の範囲で巻き取ることが好ましい。ドラフト比を
5より小さい条件として巻き取った賦形物は、延伸して
もa層は微多孔質構造となりにくくなる傾向にあり、ド
ラフト比が5000を越えて巻き取った未延伸糸はポリマー
の配向が進み、後の工程で高倍率に延伸することが困難
になる傾向にある。
【0055】本発明の複合微多孔質膜は、a層とb層と
で異種のポリオレフィンを使用してもよいが、微多孔質
膜各層間の密着性の問題や、膜の賦形安定性の問題か
ら、同種のポリオレフィンを使用することが好ましい。
a層、b層形成用ポリオレフィンとして同種のポリオレ
フィンを使用して微多孔質膜を作る場合には、同一分子
量のポリオレフィンを使用してもよいし、分子量の異な
るポリオレフィンを使用してもよい。微多孔質膜の溶融
賦形の際には、b層形成用成分中に微粒子が分散してい
るため、b層形成用組成物として微粒子の含有率が20wt
%を越える組成物を用いる場合には、a層形成用ポリオ
レフィンとして、b層形成用ポリオレフィンより低分子
量のポリオレフィンを使用することが好ましい。
【0056】このようにして得られた未延伸複合賦形物
は、賦形軸方向に高度に配向している。この未延伸賦形
物は、 100〜220 ℃の温度で30分以上アニール処理する
ことが好ましい。このアニール処理により該賦形物の結
晶構造を完全なものに成長させることができる。
【0057】次いで得られた賦形物を延伸するが、通
常、賦形物の賦形軸方向に行う。この延伸は冷延伸に引
き続いて熱延伸を行う二段以上の延伸法を採用するのが
よい。賦形物の冷延伸は、40℃以下の室温で、5〜150
%延伸することが好ましく、賦形物の変形速度は3%/
秒以上なる条件とするのが好ましい。
【0058】熱延伸は、90〜180 ℃の温度範囲で、賦形
物の変形速度は30%/分以上なる条件で行うことが好ま
しい。また、賦形物の熱延伸を二段以上の多段延伸法で
行うこともできる。冷延伸と熱延伸を合わせた賦形物の
総延伸量は、 200〜900 %(すなわち、延伸比 3.0〜1
0.0倍)の範囲にあることが好ましい。賦形物の総延伸
量を 200%未満として得た多孔質膜中の微細孔は、それ
ぞれ独立しており、膜の一表面から他表面へ向った連通
孔を形成しにくい傾向にあり、好ましくない。逆に賦形
物の総延伸量を 900%を越える条件で延伸すると、延伸
時に賦形物の破断現象が発生しやすくなる傾向にあり、
好ましくない。
【0059】本発明の微多孔質膜が平膜の場合には、賦
形物を賦形軸方向に一軸延伸するか、必要により、さら
に膜の横方向に延伸を加え、得られる微多孔質膜の機械
的強度を向上させることもできる。また、必要に応じて
得られた微多孔質中空繊維膜を熱延伸温度以上で熱セッ
トを行ってもよい。
【0060】本発明の複合微多孔質膜の特徴は、分離機
能層a層と補強機能層b層からなる二層以上の複層構造
を有しており、とくに、微粒子を分散させたポリオレフ
ィン組成物の賦形層の少なくとも片面に微粒子を含有し
ていないポリオレフィンの賦形層を積層させた賦形物を
延伸開孔することにある。該賦形物は、延伸することに
より開孔し、多孔質構造となるが、本発明の複合膜で
は、賦形物の多孔質化のメカニズムがa層とb層とで異
なっている点に大きな特徴を有する。
【0061】賦形物のa層形成用層は、冷延伸により賦
形物中のスタックドラメラ結晶構造が緩和することなく
破壊され、ミクロクレーズが発生し、さらに、熱延伸す
ることにより、このミクロクレーズをより拡大して、そ
の延伸軸方向に配向したミクロフィブリルとスタックド
ラメラとの結節部で構成されるスリット状微多孔質構造
が形成される。
【0062】一方、賦形物のb層形成用層は、上記のメ
カニズムでスリット状微細孔が形成されるとともに、賦
形物の冷延伸によって該層中の微粒子周辺のマトリック
スポリマー層にボイドを発生せしめ、さらに、熱延伸す
ることによってこのボイドを延伸拡大してスリット状の
微細孔を形成するとともに、ポリオレフィンの分子鎖を
引き伸ばしてフィブリル構造を形成する。
【0063】従って、本発明の複合微多孔質膜のb層で
は、フィブリルとフィブリルとの間隙部分が微粒子の粒
子径に応じた大きさのスリット状微細孔となり、流体の
透過効率が高く、かつ、補強効果を有した微多孔質層が
形成されることとなり、本発明の複合微多孔質膜は、良
好な分画特性と高い透水速度を備えた微多孔質膜とする
ことができるのである。
【0064】さらに、本発明のポリオレフィン複合多孔
質膜は、親水性を付与するために、該複合微多孔質膜の
微小空孔表面の少なくとも一部に、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体のケン化物からなる薄膜、または、ジアセト
ンアクリルアミドと架橋性モノマーとを含むモノマー類
を重合させてなる親水性架橋重合体薄膜を保持させるの
がよい。エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物から
なる薄膜を複合微多孔質膜の微小空孔表面に保持させる
には、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物である
エチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いるのがよ
い。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体を複合微多孔
質膜の微小空孔表面に保持した後にケン化する方法も採
用できる。
【0065】エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはそ
のケン化物であるエチレン−ビニルアルコール系共重合
体を該複合微多孔質膜の微小空孔に保持させるために
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体の溶液を該複合微多孔質膜の
微小空孔表面に塗布した後、乾燥して溶剤を除去すれば
よい。エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化処理は、
例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中にポリ
マー被覆微多孔質膜を浸漬し、一定時間加熱処理し、該
ポリマー中のビニルアセテート部分のアセチル基を水酸
基に転化することによって行うことができる。
【0066】また、ジアセトンアクリルアミドと架橋性
モノマーとを含むモノマー類を重合させてなる親水性架
橋重合体を膜の微小空孔表面に保持させるためには、該
モノマー類の溶液を膜の微小空孔表面に塗布し、乾燥し
て溶剤を除去した後に、重合すればよい。重合方法は、
熱重合法、光重合法、放射線重合法、プラズマ重合法等
の重合方法を用い得る。
【0067】上述した方法により得た本発明のポリオレ
フィン複合微多孔質膜は、その微小空孔表面の少なくと
も一部に、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物か
らなる薄膜、または、ジアセトンアクリルアミドと架橋
性モノマーとの親水性架橋重合体の薄膜を保持させたも
のとなっており、ミクロフィブリルは結束され、微小空
孔は鼓状の微孔となっており、その透水特性は極めて良
好である。
【0068】また、ポリオレフィン複合微多孔質膜のb
層から微粒子を抽出した後に、エチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物からなる薄膜、または、ジアセトンア
クリルアミドと架橋性モノマーとの親水性架橋重合体薄
膜を該複合微多孔質膜の微小空孔表面に保持させてもよ
い。
【0069】本発明の複合微多孔質膜の形状にはとくに
制限はないが、中空繊維膜または平膜として使用される
ことが一般的であり、用途に応じて好ましい形状で使用
できる。微多孔質膜の形状が中空繊維膜である場合に
は、外径が2mm以下であることが好ましく、より好まし
い範囲は20〜1,000 μmである。また、膜厚は 500μm
以下であることが好ましく、より好ましい範囲は5〜40
0 μmである。
【0070】微多孔質中空繊維膜の外径が2mm以下のも
のは、その中空形状を良好に保つことができ、とくに外
圧がかかった場合にも扁平化しにくいものとなる。ま
た、外径が20μmより大きい中空繊維膜は、その紡糸時
に糸切れが発生しにくく、均一な性能を備えたものを作
り得るという利点がある。また、微多孔質膜が平膜であ
る場合には、膜厚は5〜500 μm、より好ましい範囲は
5〜400 μmである。
【0071】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0072】膜の阻止可能な粒子径の測定、および水透
過速度は、微多孔質膜の細孔表面をあらかじめエタノー
ルまたは界面活性剤に浸漬した後、水と置換して親水化
処理を施してから行った。また、膜の阻止可能な粒子径
および水透過速度を測定する際には、複合膜の分離層
(a)層側から流体を透過させて測定した。
【0073】阻止可能な粒子径は、多孔質膜に粒子径既
知の均一粒子分散液(ダウ・ケミカル社製ポリスチレン
ラテックス)を透過させ、濾液中の粒子濃度と原液中の
粒子濃度をUV吸光度法にて測定することにより求め
た。以下の式により粒子阻止率(%)を算出し、阻止率
が90%以上となる最小の粒子径を阻止可能な粒子径とし
た。この指標は膜の実用的な孔径を与えるものである。
【0074】
【実施例1】密度0.968g/cm3、メルトインデックス値
5.5の高密度ポリエチレン80重量部、平均粒径 2.0μm
の架橋シリコーン微粒子20重量部を混合し、二軸押し出
し機により 180℃で混練し、ペレットを得た。
【0075】同心円上に配置された二つの円環状の吐出
口を有する中空繊維製造用ノズルを用いて、外側の吐出
口から密度0.968g/cm3、メルトインデックス値 5.5の高
密度ポリエチレンを、内側の吐出口から上記の高密度ポ
リエチレンと架橋シリコーン微粒子の混合物を 180℃で
溶融し押し出し、ドラフト比 3,500で紡糸した。
【0076】得られた未延伸中空繊維を 115℃で1時間
アニール処理した。続いて室温で1秒につき 160%の変
形速度で60%冷延伸した後、 105℃で1分間につき20%
の変形速度で総延伸量が 250%(すなわち、総延伸倍率
が 3.5倍)となるよう熱延伸した。得られたポリエチレ
ン複合中空繊維膜は、外径 800μm、内径 500μm、膜
厚 150μmであった。中空繊維膜の外表面、内表面およ
び断面を走査型電子顕微鏡(以下SEMと略記)で観察
した結果、中空繊維膜は分離機能層(a層)である外層
と、補強層(b層)である微粒子を含んだ内層からな
り、a層の厚みは3μm、b層の厚みは 147μmであっ
た。
【0077】また、各層にはスリット状微小空孔が厚み
方向に対して垂直な方向に配列しており、かつ、該スリ
ット状微小空孔は各々の層内および層間で互いに連通し
て、該中空繊維膜の一方の表面から他方の表面までつな
がった微小空孔を形成していることが認められた。SE
M写真より計算したa層のスリット状微小空孔の円換算
平均孔径Da は0.27μm、b層のスリット状微小空孔の
円換算平均孔径Db は3.9μmであり、Db /Da は14
と不均一性の大きいものであった。この中空繊維膜の水
透過速度は 2.0リットル/m2・hr・mmHgであり、阻止可
能な粒子径は0.03μmであった。
【0078】
【実施例2】紡糸の際に、同心円上に配置された二つの
円環状の吐出口を有する中空繊維製造用ノズルの外側の
吐出口から、高密度ポリエチレンと架橋シリコーン微粒
子の混合ペレットを、内側の吐出口から、密度0.968g/c
m3、メルトインデックス値 5.5の高密度ポリエチレン
を、溶融し押し出す以外は、実施例1と同様の条件を用
いてポリエチレン複合中空繊維膜を得た。得られた中空
繊維膜は、外層に補強層が、内層に分離層が形成された
不均一複合中空繊維膜であった。この中空繊維膜の性能
を表2に示す。
【0079】
【実施例3〜7】実施例1と同様にして、外層が分離
層、内層が補強層となるように、表1に示す条件でポリ
オレフィン複合不均一中空繊維膜を得た。得られた中空
繊維膜の性能を表2に示す。
【0080】
【実施例8】実施例4で得られた中空繊維膜を1規定塩
酸中に室温で24時間浸漬し、炭酸カルシウム微粒子を抽
出した。得られた中空繊維膜の水透過速度は18リットル
/m2・hr・mmHgであり、阻止可能な粒子径は0.15μmで
あった。
【0081】
【実施例9】エチレン共重合量32モル%のエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(日本合成化学工業株式会社
製、ソアノールDC3203)を75vol %のエタノール水溶液
に加熱溶解させ、1wt%溶液を用意した。次いで、この
溶液を50℃に保持し、実施例4で得られたポリエチレン
複合不均一中空繊維膜を溶液中に浸漬し、5分間放置し
た。続いて、過剰の共重合体溶液を除いた後、50℃の熱
風乾燥機中で2時間乾燥して、親水化ポリエチレン複合
不均一中空繊維膜を得た。
【0082】得られた中空繊維膜は、水濡れ性が良く、
水に漬けると容易に濡れ、特別の親水化処理をすること
なしに15リットル/m2・hr・mmHgの水透過速度を示し
た。また、この中空繊維膜の阻止可能な粒子径は0.15μ
mであった。この中空繊維膜に対して、乾燥処理と水で
の湿潤処理とを10回ずつ交互に繰り返したが、水透過速
度の低下は認められなかった。
【0083】
【実施例10】実施例9において、中空繊維膜として実施
例8で得た中空繊維膜を用いる他は実施例9と同様にし
て親水化中空繊維膜を得た。得られた親水化中空繊維膜
は、水濡れ性が良く、水に漬けると容易に濡れ、特別の
親水化処理をすることなしに18リットル/m2・hr・mmHg
の水透過速度を示した。また、この親水化中空繊維膜の
阻止可能な粒子径は0.15μmであった。この中空繊維膜
に対して、乾燥処理と水での湿潤処理とを10回ずつ交互
に繰り返したが、水透過速度の低下は認められなかっ
た。
【0084】
【実施例11】エチレン−酢酸ビニル共重合体(共重合モ
ル組成比55:45)3重量部をトルエン97重量部に溶解し
て得た25℃の溶液中に、実施例5で得られたポリプロピ
レン複合不均一中空繊維膜を30秒間浸漬した後、真空乾
燥により50℃で3時間乾燥して溶剤の除去を行った。次
に、水酸化ナトリウム10gを1リットルの水に溶解した
アルカリ水溶液中に浸漬し、70℃で1時間ケン化処理を
行った後、水洗し、乾燥して親水化ポリプロピレン複合
不均一中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜は、水濡
れ性が良く、水に漬けると容易に濡れ、特別の親水化処
理をすることなしに20リットル/m2・hr・mmHgの水透過
速度を示した。また、この中空繊維膜の阻止可能な粒子
径は0.20μmであった。この中空繊維膜に対して、乾燥
処理と水での湿潤処理とを10回ずつ交互に繰り返した
が、水透過速度の低下は認められなかった。
【0085】
【実施例12】実施例6で得たポリエチレン複合不均一中
空繊維膜を、ジアセトンアクリルアミド100 重量部、N-
ヒドロキシメチルアクリルアミド5重量部、ベンゾイル
パーオキサイド1重量部およびアセトン 1,000重量部か
らなる処理溶液に12秒間浸漬した後、窒素中に取り出し
5分間風乾した。続いて、この中空繊維膜を窒素雰囲気
中において65℃で60分間加熱処理し、次いでエタノール
50vol %水溶液中に10分間浸漬し、さらに温水中で2分
間超音波洗浄することにより不要成分を洗浄除去した。
次に熱風乾燥して、重合体が保持された親水化ポリエチ
レン複合不均一中空繊維膜を得た。得られた中空繊維膜
は、水濡れ性が良く、水に漬けると容易に濡れ、特別の
親水化処理をすることなしに35リットル/m2・hr・mmHg
の水透過速度を示した。また、この中空繊維膜の阻止可
能な粒子径は0.20μmであった。この中空繊維膜に対し
て、乾燥処理と水での湿潤処理とを10回ずつ交互に繰り
返したが、水透過速度の低下は認められなかった。
【0086】
【実施例13】密度0.920g/cm3、メルトインデックス値18
の線状低密度ポリエチレン50重量部、平均粒径 1.0μm
の炭酸カルシウム微粒子50重量部を混合し、二軸押し出
し機により 180℃で混練し、ペレットを得た。
【0087】同心円上に配置された三つの円環状の吐出
口を有する中空繊維製造用ノズルを用いて、外側と内側
の吐出口から密度0.968g/cm3、メルトインデックス値
5.5の高密度ポリエチレンを、中間の吐出口からは上記
の線状低密度ポリエチレンと炭酸カルシウム微粒子の混
合物を 180℃で溶融、押し出し、ドラフト比 3,500で紡
糸した。
【0088】得られた未延伸中空繊維を 115℃で1時間
アニール処理した。続いて、室温で1秒につき80%の変
形速度で80%冷延伸した後、 110℃で1分間に7%の変
形速度で総延伸量が 400%(すなわち、総延伸倍率が
5.0倍)となるよう熱延伸した。得られたポリエチレン
複合中空繊維膜は、外径 380μm、内径 270μm、膜厚
55μmであった。中空繊維膜の外表面、内表面および断
面をSEMで観察した結果、中空繊維膜は中間層である
補強層(b層)の両面に分離機能層(a層)が積層した
三層構造を有しており、外層および内層の厚みは各々2
μm、中間層の厚みは51μmであった。
【0089】また、各層にはスリット状微小空孔が厚み
方向に対して垂直な方向に配列し、かつ、該スリット状
微小空孔は各々の層内および層間で互いに連通して、該
中空繊維膜の一方の表面から他方の表面までつながった
微小空孔を形成していることが認められた。SEM写真
より計算したa層のスリット状微小空孔の円換算平均孔
径Da は 0.8μm、b層のスリット状微小空孔の円換算
平均孔径Db は 4.2μmであり、Db /Da は 5.3と不
均一性の大きいものであった。この中空繊維膜の水透過
速度は11リットル/m2・hr・mmHgであり、阻止可能な粒
子径は0.15μmであった。
【0090】
【実施例14】実施例1において中空繊維用ノズルを用い
るかわりに積層フィルム用Tダイを用いてポリエチレン
複合二層平膜を得た。得られた複合平膜の膜厚は 150μ
mであった。SEM観察により、平膜は分離機能層(a
層)と補強層(b層)である微粒子を含んだ層からな
り、a層の厚みは3μm、b層の厚みは 147μmであっ
た。
【0091】また、各層にはスリット状微小空孔が厚み
方向に対して垂直な方向に配列しており、かつ、該スリ
ット状微小空孔は各々の層内および層間で互いに連通し
て、該平膜の一方の表面から他方の表面までつながった
微小空孔を形成していることが認められた。SEM写真
より計算したa層のスリット状微小空孔の円換算平均孔
径Da は0.27μm、b層のスリット状微小空孔の円換算
平均孔径Db は 3.9μmであり、Db /Da は14と不均
一性の大きいものであった。この平膜の水透過速度は
2.0リットル/m2・hr・mmHgであり、阻止可能な粒子径
は0.03μmであった。
【0092】
【表1】
【表2】
【0093】
【比較例1】密度0.968g/cm3、メルトインデックス値
5.5の高密度ポリエチレン95重量部、平均粒子径25μm
の架橋ポリスチレン粒子(綜研化学株式会社製 SGP-100
C )5重量部を混合し、二軸押し出し機により 200℃で
混練し、ペレットを得た。
【0094】実施例1と同様な二重円環状の吐出口を有
するノズルを用いて、外側の吐出口から密度0.968g/c
m3、メルトインデックス値 5.5の高密度ポリエチレン
を、内側の吐出口から上記の高密度ポリエチレンと架橋
ポリスチレン粒子の混合物を 170℃で溶融、押し出し、
ドラフト比 800で巻き取った。
【0095】得られた未延伸中空繊維を 125℃で16時間
アニール処理した。続いて、室温で1秒につき50%の変
形速度で40%冷延伸した後、 120℃で1分間に 220%の
変形速度で総延伸量が 290%(すなわち総延伸倍率が
3.9倍)となるように熱延伸した。得られたポリエチレ
ン複合中空繊維の外径、内径、a層、b層の厚み、
a、Db 値を表1に示す。また、この複合中空繊維の
阻止可能な粒子の直径、水透過速度、破断伸度も表1に
示す。本複合中空繊維は、水透過速度が低く、実用上、
十分でない。
【0096】
【比較例2、3】比較例1で用いた高密度ポリエチレン
と架橋ポリスチレン粒子の混練時、配合量を表1に示す
値とした以外は、混練温度、紡糸条件、アニール処理条
件、延伸条件は、比較例1と同一の条件下で複合中空繊
維を作製した。得られた繊維の外径、内径、a層、b層
の膜厚、Da 、Db 値を表1に示す。また、これら繊維
の阻止可能な粒子の直径、水透過速度、破断伸度を表1
に示す。比較例2においては、水透過速度および破断伸
度が低く、比較例3においては破断伸度が低く、ともに
実用上十分でない。
【0097】さらに比較例2、3で得た複合中空繊維に
対して実施例11と同一の親水化処理を行ったが、これら
の親水化複合中空繊維の水透過速度は 1.6〜1.8 リット
ル/m2・hr・mmHgと実用上十分でなかった。
【0098】
【発明の効果】本発明により、厚み方向に対して不均一
性の高いポリオレフィン複合不均一多孔質が得られる。
また、本発明の複合不均一多孔質膜は、高分画で高フラ
ックスであり、かつ、耐圧性、機械的強度、耐溶剤性に
優れるため、医療用途・食品関連分野、家庭用浄水器分
野、空気浄化分野、工業排水処理や石油精製等の工業分
野、その他の濾過分離用途等、幅広い分野に適性を有し
ている。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補強機能を受け持つ微多孔質層b層の少
    なくとも片面に分離機能を受け持つ微多孔質層a層が積
    層されており、a層はポリオレフィンのみによって形成
    されており、b層は平均粒径 0.1μm〜10μmである微
    粒子を10wt%〜80wt%含有したポリオレフィンにて形成
    されており、各々の層の微小空孔は膜の延伸方向に配列
    しており、かつ、該微小空孔は各々の層内および層間で
    互いに連通しているとともに、複合膜の一方の表面から
    他方の表面まで連通しており、a層内の微小空孔の円換
    算平均孔径Da とb層内のスリット状微小空孔の円換算
    平均孔径Db が次式(1) 、(2) 、(3) を満足し、機械的
    強度に優れることを特徴とするポリオレフィン複合微多
    孔質膜。 【数1】 【数2】 【数3】
  2. 【請求項2】 分離機能を受け持つ微多孔質層a層の微
    小空孔が有機高分子で被覆されていることを特徴とする
    請求項1記載のポリオレフィン複合微多孔質膜。
  3. 【請求項3】 破断伸度が10%以上であることを特徴と
    する請求項1〜請求項2記載のポリオレフィン複合微多
    孔質膜。
  4. 【請求項4】 阻止可能な粒子の直径が0.03μm以上で
    あり、かつ、水透過速度が2リットル/m2・hr・mmHg以
    上なる特性を備えていることを特徴とする請求項1〜請
    求項3記載のポリオレフィン複合微多孔質膜。
  5. 【請求項5】 阻止可能な粒子の直径が0.05μm以上で
    あり、かつ、水透過速度が3リットル/m2・hr・mmHg以
    上なる特性を備えていることを特徴とする請求項1〜請
    求項3記載のポリオレフィン複合微多孔質膜。
  6. 【請求項6】 阻止可能な粒子の直径が0.15μm以上で
    あり、かつ、水透過速度が6リットル/m2・hr・mmHg以
    上なる特性を備えていることを特徴とする請求項1〜請
    求項3記載のポリオレフィン複合微多孔質膜。
  7. 【請求項7】 阻止可能な粒子の直径が 0.2μm以上で
    あり、かつ、水透過速度が10リットル/m2・hr・mmHg以
    上なる特性を備えていることを特徴とする請求項1〜請
    求項3記載のポリオレフィン複合微多孔質膜。
  8. 【請求項8】 ポリオレフィン微多孔質膜が、ポリエチ
    レン、ポリプロピレン、ポリ−4-メチルペンテン-1の中
    から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィンにて構成
    されていることを特徴とする請求項1〜請求項7記載の
    ポリオレフィン複合微多孔質膜。
  9. 【請求項9】 複合多孔質膜が、中空繊維膜であること
    を特徴とする請求項1〜請求項3記載のポリオレフィン
    複合微多孔質膜。
  10. 【請求項10】 複合多孔質膜が、平膜であることを特徴
    とする請求項1〜請求項3記載のポリオレフィン複合微
    多孔質膜。
  11. 【請求項11】 ポリオレフィン複合多孔質膜の微小空孔
    表面の少なくとも一部に、エチレン−ビニルアルコール
    系共重合体の薄膜が保持されていることを特徴とする請
    求項1〜請求項10記載の親水化ポリオレフィン複合微多
    孔質膜。
  12. 【請求項12】 ポリオレフィン複合多孔質膜の微小空孔
    表面の少なくとも一部に、ジアセトンアクリルアミドと
    架橋性モノマーとの重合体を被覆させたことを特徴とす
    る請求項1〜請求項10記載の親水化ポリオレフィン複合
    微多孔質膜。
  13. 【請求項13】 架橋性モノマーとして、水溶性の架橋性
    モノマーを用いたことを特徴とする請求項12記載の親水
    化ポリオレフィン複合微多孔質膜。
  14. 【請求項14】 微粒子を含有しないポリオレフィンと、
    微粒子を含有するポリオレフィンを2層以上の多層に複
    合吐出して賦形物を作り、この賦形物を延伸し作製した
    ことを特徴とする請求項1〜請求項10記載のポリオレフ
    ィン複合微多孔質膜。
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