JPH0822222B2 - 2―ケト酪酸の製造法 - Google Patents

2―ケト酪酸の製造法

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JPH0822222B2
JPH0822222B2 JP32329189A JP32329189A JPH0822222B2 JP H0822222 B2 JPH0822222 B2 JP H0822222B2 JP 32329189 A JP32329189 A JP 32329189A JP 32329189 A JP32329189 A JP 32329189A JP H0822222 B2 JPH0822222 B2 JP H0822222B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規な微生物と該微生物による2−ケト酪酸
の製造法に関する。2−ケト酪酸は例えばイソロイシン
発酵の原料あるいは光学活性なヒドロキシ酪酸、光学活
性なアミノ酪酸、抗生物質であるパウロマイシンAなど
の原料となる。
(従来の技術) 従来、2−ケト酪酸を工業的に合成する方法として
は、シュウ酸ジエチルとプロピオン酸ジエチルを脱水縮
合させた後、濃硫酸で加水分解する方法が知られてい
る。このほか、アセトアルデヒドとシアノメチルクロラ
イドを出発物質として多段階で得る方法や、2−メタン
スルホニルオキシクロトン酸を加水分解する方法、エト
キサリルプロピオン酸エチルエステルを加水分解する方
法等が公知である。
また、上記の化合合成法とは別に、微生物を用いる方
法については、アエロバクター・アエロゲネス(Aeroba
cte aerogenes)、ミクロコッカス・リソデイクトリカ
ス(Micrococus lysodeiktricus)、トルロプシス・ユ
ーティリス(Torulopsis utilis)、エッシェリシア・
コリ(Eschelichia coli)、サッカロマイセス・セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)などが産出するジヒ
ドロキシ酸デヒドラターゼ(Dihydroxyacid dehydratas
e(4.2.1.9))が、2,3−ジヒドロキシ酪酸を基質と
し、これを2−ケト酪酸に変換する能力を持つことなど
が知られている(Wixom,R.L.et al.,Biochim.Biophys.A
cta.53,433(1961))。
(発明が解決しようとする問題点) これら従来の方法は、化学合成法では、多段階の合成
を必要としたり、出発原料が高価であったりするため工
業的に有利な方法ではなく、また、微生物を用いる方法
では、生成収率が低いためにやはり工業生産には適さな
い。そこで、安価な合成法の確立が求められていた。本
発明は、従来法よりも安価に2−ケト酪酸の製造を可能
ならしめるものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、2−ケト酪酸製造の原料として、安価
なクロトン酸から容易にトレオ体またはエリスロ体とし
て有機合成される2,3−ジヒドロキシ酪酸に着目した。
そして、2,3−ジヒドロキシ酪酸を効率よく2−ケト酪
酸に変換する酵素系をもつ微生物を得るために、基質と
してトレオ体を用いて広く天然界から検索した結果、シ
ュードモナス・プチダに属する微生物が、トレオ−2,3
−ジヒドロキシ酪酸を効率よく2−ケト酪酸に変換する
酵素系をもつことを見いだし、発明を完成した。
すなわち、本発明は2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケ
ト酪酸に変換する能力を有するシュードモナス・ブチダ
5D3A株(微工研菌寄第11126号)およびシュードモナス
属に属し、2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケト酪酸に変
換する能力を有する微生物あるいはその処理物の存在下
に、2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケト酪酸に変換して
2−ケト酪酸を蓄積せしめ、これを採取することを特徴
とする2−ケト酪酸の製造法である。
従来、2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケト酪酸に変換
する酵素系をシュードモナス属細菌が産生することは公
知ではなかった。したがって、2,3−ジヒドロキシ酪酸
を2−ケト酪酸に変換する酵素系をもつ本願の微生物
は、新規なものである。
本発明に使用される酵素系は、シュードモナス属に属
する細菌が有する2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケト酪
酸に変換する作用を利用するものである。
本発明者らは、トレオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸を効
率よく2−ケト酪酸に変換する酵素系をもつ微生物を天
然界から検索した結果、5D3A株(微工研菌寄第11126
号)を単離した。5D3A株は、トレオ−2,3−ジヒドロキ
シ酪酸を2−ケト酪酸に変換する活性を有するが、資化
することが出来ない。この性質は、変換した2−ケト酪
酸を効率よく蓄積するためには有利であり、5D3A株(微
工研菌寄第11126号)は、本発明に用いる微生物として
好ましいものである。5D3A株(微工研菌寄第11126号)
の菌学的性質を以下に示す。
以上の菌学的諸性質を基準として、Bergey's Manual
of Determinative Bacteriology第8版(1974)の分類
基準により検索すると、5D3A株(微工研菌寄第11126
号)は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putid
a)であると同定された。
本発明は、シュードモナス属に属する微生物を使用し
て、2−ケト酪酸を製造する方法に関するものである。
本発明において使用するシュードモナス属に属し、2,
3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケト酪酸に変換する能力を
有する微生物としては、上記シュードモナス・プチダ
(Pseudomonas putida)5D3A株(シュードモナス・プチ
ダTE3467とも呼ぶ)(微工研菌寄第11126号)が例示さ
れるが、該菌株に限定されない。該微生物の処理物と
は、該微生物の培養物から精製された酵素ならびに該酵
素の固定化物などを意味する。
本発明において原料となるトレオ(またはエリスロ)
−2,3−ジヒドロキシ酪酸は、一般にクロトン酸から合
成される。合成法については、4酸化オスミウム触媒の
存在下に、クロトン酸をN−メチルモルホリン−N−オ
キサイドによって酸化する方法(Frank B.Armstrong,et
al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1985,691(1985))
また、4酸化オスミウムと過酸化水素の存在下にクロト
ン酸から合成する方法(F.W.Bachelorand G.A.Miana,ca
nadian J.Chem.,47,4089(1969))などが公知である。
本発明の微生物を培養するための培地組成としては、
炭素源・窒素源・無機物及び必要に応じて少量の微量栄
養素を含むものであれば、合成培地または天然培地のい
ずれも使用可能である。培地に使用する炭素源として
は、グリセリン、グルコース、可溶性でんぷん等、資化
されるものならばいずれも可能である。トレオ(または
エリスロ)−2,3−ジヒドロキシ酪酸は、それ自身は炭
素源にならないが、この反応系に関与する酵素系を誘導
する効果があり、培地中に添加することが好ましい。ま
た、窒素源としては、アンモニウム塩、硝酸塩等が用い
られる。たとえば、硝酸アンモニウムまたは硫酸アンモ
ニウムである。無機イオンとしては、リン酸イオン、マ
グネシウムイオン、カリウムイオン、その他が適宜用い
られる。さらに、有機栄養素として、酵母エキス、ペプ
トン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが適宜用
いられる。
上記培地にて、本発明の微生物をpH6〜8(好ましく
は7.2)、温度17〜28℃(好ましくは25℃)において12
〜24時間培養する。調製された微生物の培養物は、トレ
オ(またはエリスロ)−2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−
ケト酪酸に変換する酵素系をもつものである。このよう
な培養物はそのまま酵素源として反応に使用してもよ
く、また、培養物を遠心分離などで分離して得られる生
菌株、その乾燥菌体、あるいは、分離した菌体を超音波
処理・自己消化・磨砕などの方法により処理して得られ
る菌体処理物、さらにはこれらの菌体よりの抽出物なら
びに該抽出物より得られる酵素の粗製物または精製物と
して使用してもよい。もちろん、これらの固定化菌体ま
たは固定化酵素としても使用できる。
本発明方法ではこのようにして調製した菌体、菌体処
理物、固定化菌体などを触媒として用い、トレオ(また
はエリスロ)−2,3−ジヒドロキシ酪酸を反応液中で変
換せしめて、2−ケト酪酸を生成蓄積せしめる。
反応液には、2−ケト酪酸の生成率を高めるために、
基質であるトレオ(またはエリスロ)−2,3−ジヒドロ
キシ酪酸の他に、2価カチオンの添加が好ましく、例え
ば反応液中に1mMの塩化コバルトを共存させることによ
り、著しく生成効率を高めることができる。基質の使用
量には制限が無いが、好ましくは100mMである。酵素反
応は、通常pH8〜10(好ましくは9.0)、温度は10〜40℃
(好ましくは25℃)において行う。
反応時間は、目的に応じ適宜設定されるものである
が、通常1〜20時間である。
得られた反応液からの2−ケト酪酸の採取方法は、例
えば、反応液を遠心分離した上清をクロマトグラフィー
により分画する等の方法に従って行うことができる。
(実施例) 以下、実施例を挙げて説明するが、これらは例示であ
って本発明を限定するものではない。
なお、トレオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸の定量は高速
液体クロマトグラフ法で、2−ケト酪酸の定量は、2,4
−ジニトロフェニルヒドラジンを用いて分光光度法によ
り行った。
実施例 1 グリセリン0.5%、トレオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸0.
3%、酵母エキス0.15%、硫酸アンモニウム0.1%、リン
酸一カリウム0.15%、リン酸二カリウム0.15%、食塩0.
1%、硫酸マグネシウム七水塩0.02%ほか微量要素を含
む培地(pH7.2)を肩付きフラスコに50ml入れ、120℃で
20分間殺菌した。これにシュードモナス、プチダ5D3A株
(微工研菌寄第11126号)を接種し、25℃で12時間、振
とう培養した。この培養液より菌体を遠心分離により採
取した後、100mMトレオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸を含む
100mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)で、菌体濃度が40mg
/mlになるように懸濁した。また、懸濁の際には同時に
塩化コバルトを濃度1mMになるよう加えた(全量10m
l)。この反応液を、振とうしながら25℃、0〜24時間
保持し、2−ケト酪酸生成量を測定した。結果を第1表
に示す。
また、菌体濃度が10、20、80mg/mlの場合でも同様の
操作を行った。その結果を、菌体濃度40mg/mlの場合を
含めて、第1図に示す。
第1図は、遠心分離により採取した菌体を、100mMト
レオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸を含む100mMトリス−塩酸
緩衝液(pH9.0)で、菌体濃度がそれぞれ10、20、40、8
0mg/mlにまなるように懸濁し、また、懸濁の際に同時に
塩化コバルトを濃度1mMになるよう加えた反応液(全量1
0ml)を、振とうしながら25℃、0〜24時間保持した場
合の2−ケト酪酸生成量を示したものである。
図中の記号○−○は菌体濃度10mg/mlの場合を、以下
△−△は20mg/ml、□−□は40mg/ml、●−●は80mg/ml
の場合をそれぞれ表す。
実施例 2 グリセリン0.5%、酵母エキス0.15%、硫酸アンモニ
ウム0.1%、りん酸一カリウム0.15%、りん酸二カリウ
ム0.15%、食塩0.1%、硫酸マグネシウム七水塩0.02%
ほか微量要素を含む培地(pH7.2)に、さらに0〜2.0mM
の範囲でトレオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸を添加して、
肩つきフラスコに50ml入れ、120℃で20分間殺菌した。
それぞれにシュードモナス・プチダ5D3A株(微工研菌寄
第11126号)を接種し、25℃で12時間振とう培養のの
ち、菌体を遠心分離により集めた。
集めた菌体を、100mMトレオ−2,3−ジヒドロキシ酪酸
を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)で、菌体濃度
が20mg/mlになるようにそれぞれ懸濁した。また、懸濁
の際には同時に塩化コバルトを濃度1mMになるよう加え
た(全量10ml)。これらの反応液を、振とうしながら25
℃、24時間保持し、2−ケト酪酸生成量を測定した。結
果を第2表に示す。
(発明の効果) 本発明は、新規な微生物ならびに該微生物による2−
ケト酪酸の製造法を提供するものであり、実施例におい
て示されたごとく、効率よく2−ケト酪酸の生成が可能
であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、2−ケト酪酸生成量を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 7/40 C12R 1:38)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2,3−ジヒドロキシ酪酸を2−ケト酪酸に
    変換する能力を有するシュードモナス・プチダ5D3A株
    (微工研菌寄第11126号)。
  2. 【請求項2】シュードモナス属に属し、2,3−ジヒドロ
    キシ酪酸を2−ケト酪酸に変換する能力を有する微生物
    あるいはその処理物の存在下に、2,3−ジヒドロキシ酪
    酸を2−ケト酪酸に変換して、2−ケト酪酸を蓄積せし
    め、これを採取することを特徴とする2−ケト酪酸の製
    造法。
JP32329189A 1989-12-12 1989-12-12 2―ケト酪酸の製造法 Expired - Lifetime JPH0822222B2 (ja)

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