JPH0832077A - 薄膜トランジスタの水素化方法 - Google Patents

薄膜トランジスタの水素化方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、水素化によってTFTの多結晶シ
リコン層内の欠陥の完全な消滅を図って、電流−電圧特
性を向上させる。 【構成】 第1工程で、水素プラズマドーピング法によ
って、TFT1の多結晶シリコン層16内に水素をドー
ピングして、その多結晶シリコン層16内の大部分の欠
陥を消滅させる。その後第2工程で、多結晶シリコン層
16上または多結晶シリコン層16上のストッパ層17
上に水素を含む非晶質窒化シリコン膜23を形成した
後、アニール処理によって、水素を含む非晶質窒化シリ
コン膜23中から水素を放出させ、この放出した水素を
多結晶シリコン層16内に拡散して多結晶シリコン層1
6内の残りの欠陥を消滅させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜トランジスタ〔以
下TFT(Thin Film Transistor)と記す〕の多結晶
シリコン層内の欠陥を消滅させるTFTの水素化方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、チャネル領域に多結晶シリコンを
用いた多結晶シリコンTFTは、基板上にアドレス回路
およびクロック回路を搭載したLCD(liquid crysta
l display)に利用するために広範囲に研究されてい
る。そして多結晶シリコンをレーザアニール処理で形成
するプロセスは、高い関心が持たれている。それは、安
価なガラス、プラスチックスまたはセラミックスからな
る基板上に、低温プロセスで多結晶シリコンを形成する
ことが可能になるからである。
【0003】次に、TFTの構造を図3の概略断面図に
よって説明する。この図3では、パッシベーション膜を
形成する前までのボトムゲート型のTFT50の構造を
示す。
【0004】図に示すように、ガラス基板51上にはゲ
ート電極52が形成されていて、このゲート電極52の
表面には陽極酸化膜53が形成されている。そして上記
陽極酸化膜53を覆う状態に窒化シリコン膜54と酸化
シリコン膜55とが積層されている。そして酸化シリコ
ン膜55上にはレーザ結晶化法によって多結晶化した多
結晶シリコン層56が形成されている。さらにゲート電
極52の上方の多結晶シリコン層56上には、酸化シリ
コンからなるストッパ層57が形成されている。
【0005】上記ストッパ層57の両側には、ソース・
ドレイン領域になるドープ層58,59が形成され、ス
トッパ層57の下方の多結晶シリコン層56がチャネル
領域60になる。上記ドープ層58,59は、例えばn
型不純物〔リン(P),ヒ素(As)またはアンチモン
(Sb)〕を含む多結晶シリコンからなる。上記各ドー
プ層58,59には、ソース・ドレイン電極61,62
が接続されている。
【0006】上記レーザ結晶化法は、非晶質シリコン層
を急速に結晶化するので、形成される多結晶シリコンの
結晶粒径は小さくなる。そのため、多数の結晶粒界が存
在することになる。そこで、低リークなTFTを製造す
るためには結晶粒界の欠陥を低減することが必要にな
る。
【0007】その方法には水素化がある。水素化の方法
には、水素プラズマを用いて水素をドーピングする方法
と、水素を含む非晶質窒化シリコン膜から水素を拡散さ
せる方法とがある。
【0008】次に上記図3で説明したTFT50の多結
晶シリコン層56を水素化する方法を以下に説明する。
水素プラズマによるプラズマドーピング法によって、水
素を酸化シリコンからなるストッパ層57を通してチャ
ネル領域60が形成される多結晶シリコン層56にドー
ピングする。その結果、多結晶シリコン層56は水素化
される。また別の方法としては、水素を含む非晶質窒化
シリコン膜(図示省略)を成膜してから、膜中の水素を
ストッパ層57を通してチャネル領域60が形成される
多結晶シリコン層57に拡散させる。その結果、多結晶
シリコン層57は水素化される。
【0009】次いで、多結晶シリコン層57を水素化す
る前後におけるTFT50のドレイン電流−ゲート電圧
特性(以下電流−電圧特性と記す)の変化を、図4の電
流−電圧特性図によって説明する。図では、縦軸にドレ
イン電流を示し、横軸にゲート電圧を示す。
【0010】図に示すように、水素化する以前のTFT
50の電流−電圧特性は、(a)で示す実線のようにな
った。すなわち、正の印加電圧の増加に対してドレイン
電流の増加が小さい。このことは、このTFTのスイッ
チング特性が悪いことを示している。そこで60分間の
水素化処理を行った後、再びTFT50の電流−電圧特
性を調べた。その結果、(b)に示す破線のようになっ
た。このように、正の印加電圧の増加に対してドレイン
電流の増加が大きくなっている。つまり、ON/OFF
電流比は6桁近く増加し、ドレイン電流−ゲート電圧曲
線の勾配も大きくなっている。このことは、結晶粒界が
水素によって埋め込まれたため、リーク電流が少なくな
ったことによる。
【0011】例えば、酸化シリコン内の水素の有効拡散
係数を10-10 cm2 /sとして、多結晶シリコン内の
水素の有効拡散係数を10-12 cm2 /sとする(単結
晶シリコンの値の1/10)。この場合には、30nm
の厚さの多結晶シリコン膜を水素化するのに10秒かか
る。TFTの多結晶シリコン層の水素化は上記計算値よ
りもさらに時間がかかる。これはドープ層やソース・ド
レイン電極等によって多結晶シリコン層の一部分が覆わ
れているために、水素の拡散が遅くなるからである。こ
のことを考慮して計算した水素化時間は2.5×103
秒になり、その値は実験結果とほぼ一致する。
【0012】なお、さらに水素化を行うと、多結晶シリ
コン層の水素が過剰になって、電流−電流特性を劣化さ
せることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記説
明した従来の技術では以下のような課題がある。 1.水素プラズマを用いた水素化は、一般に多結晶シリ
コン層中の欠陥を低減するが、完全に欠陥を消滅するこ
とは不可能である。それは、水素プラズマによって欠陥
が低減されるとともに新たな欠陥が発生するからであ
る。
【0014】2.TFTを60分間以上プラズマにさら
した場合には、トランジスタ特性の劣化が観測される。
これはプラズマにさらされている間に、チャネル領域が
ストッパ層を通して欠陥を発生させるようなエネルギー
的粒子や紫外線によって連続的にさらされるためであ
る。
【0015】ここで紫外線照射によるTFTの特性変化
を図5の電流−電圧特性の変化図によって説明する。図
5に示すように、(a)で示す破線は、紫外線(水銀ラ
ンプ、主な波長λ=253.7nm,184.9nm)
を照射した後、水素プラズマによるプラズマドーピング
法によって水素化したTFTの電流−電圧特性を示す。
さらに(b)で示す2点鎖線は、紫外線を照射した後の
電流−電圧特性を示す。この図から明らかなように、紫
外線照射によって、TFTの電流−電圧特性は劣化す
る。そして(c)で示す実線は再び水素プラズマによる
プラズマドーピングを行って水素化を行った後のTFT
の電流−電圧特性を示している。これで明らかなよう
に、水素化処理によって、TFTの電流−電圧特性は回
復する。このように紫外線が照射されることによって、
TFTの多結晶シリコン層内に欠陥を発生させることが
わかる。
【0016】上記水素化に用いる水素プラズマは110
nm〜162nmの範囲の強い紫外線を放射する。その
エネルギーは上記議論した値よりも高いため、TFTに
損傷を与えることが十分に予想される。このため、水素
プラズマによるプラズマドーピングによって水素化した
TFTの品質は劣化する。
【0017】3.水素を含む非晶質窒化シリコン(a−
SiNx :H)膜を用いて多結晶シリコン層を水素化す
る方法では、非晶質窒化シリコン膜の内部から放出され
る水素の量が不十分なため、レーザアニール処理で多結
晶シリコン層を水素化して欠陥を完全に消滅させること
ができない。
【0018】本発明は、TFTのチャネル領域を形成す
る多結晶シリコン層の欠陥を消滅させてTFT特性の向
上を図るのに優れたTFTの水素化方法を提供すること
を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたTFTの水素化方法である。すな
わち、第1工程で、水素プラズマドーピング法によっ
て、TFTの多結晶シリコン層内に水素をドーピングし
て、その多結晶シリコン層内の大部分の欠陥を消滅させ
る。その後第2工程で、多結晶シリコン層上に設けた酸
化シリコンからなるストッパ層上または多結晶シリコン
層上に水素を含む非晶質窒化シリコン膜を堆積した後、
アニール処理によって、水素を含む非晶質窒化シリコン
膜中から水素を放出させ、この放出した水素を多結晶シ
リコン層内に拡散して多結晶シリコン層内の残りの欠陥
を消滅させる。
【0020】
【作用】上記TFTの水素化方法では、第1工程の水素
プラズマドーピング法によって、TFTの多結晶シリコ
ン層内の大部分の欠陥が消滅するが、水素プラズマによ
る水素化で新たに欠陥が発生する。そして第2工程で、
水素を含む非晶質窒化シリコン膜を堆積した後のアニー
ル処理によって、水素を含む非晶質窒化シリコン膜中か
ら放出させた水素を多結晶シリコン層内に拡散して、そ
の多結晶シリコン層内に残存する欠陥を消滅させる。し
たがって、第1工程で新たに発生した欠陥も消滅される
ので、多結晶シリコン層内から欠陥が完全に無くなる。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を図1の水素化方法の工程図
により説明する。図では、一例として、ボトムゲート型
TFTのチャネル領域を形成する多結晶シリコン層の水
素化を示す。
【0022】図1の(1)に示すように、TFT1は、
以下のように構成されている。すなわち、ガラス基板1
1上にはゲート電極12が形成されていて、ゲート電極
12の表面には陽極酸化膜13が形成されている。また
陽極酸化膜13を覆う状態に窒化シリコン膜14と酸化
四膜15とが積層されている。この酸化シリコン膜15
上にはレーザ結晶化法によって結晶化した多結晶シリコ
ン層16が形成されている。さらにゲート電極12の上
方の多結晶シリコン層16上には酸化シリコンからなる
ストッパ層17が形成されている。
【0023】上記ストッパ層17の両側の上記多結晶シ
リコン層16上には、ソース・ドレイン領域になるドー
プ層18,19が形成され、ストッパ層17の下方の多
結晶シリコン層16がチャネル領域20になる。上記各
ドープ層18,19は、例えばn型不純物〔リン
(P),ヒ素(As)またはアンチモン(Sb)〕を含
む多結晶シリコンからなる。さらに上記ドープ層18,
19にはソース・ドレイン電極21,22が接続されて
いる。
【0024】次に上記構成のTFT1に対して水素化を
行う。まず、図1の(2)に示す第1工程を行う。この
工程では、水素プラズマドーピングを行う。この方法で
は、水素プラズマ31中の水素Hをストッパ層17を通
して、TFT1の多結晶シリコン層16内(チャネル領
域20内)にドーピングする。そして、多結晶シリコン
層16内の大部分の欠陥を消滅させる。このとき、水素
プラズマによって、多結晶シリコン層16の内部には新
たな欠陥が発生する場合がある。
【0025】次いで図1の(3)に示す第2工程を行
う。この工程では、多結晶シリコン層16上のストッパ
層17上に水素を含む非晶質窒化シリコン(以下a−S
iNx:Hと記す)膜23を形成する。このa−SiNx
:H膜23は数%〜40%の範囲内のうちの所定の濃
度の水素を含んでいる。そして上記a−SiNx :H膜
23はパッシベーション膜としての機能を持つ。その
後、アニール処理によって、a−SiNx :H膜23か
ら水素Hを外部に放出させ、a−SiNx :H膜23の
界面からストッパ層17を通して水素Hを多結晶シリコ
ン層16内に拡散する。その結果、多結晶シリコン層1
6内は水素化される。上記アニール処理は、例えばレー
ザ光を照射するレーザアニール処理によって行う。
【0026】上記実施例で説明した水素化方法では、第
1工程の水素プラズマドーピング法によって、TFT1
の多結晶シリコン16内に水素をドーピングすることか
ら、その多結晶シリコン層16の内部に発生していた欠
陥の大部分は消滅する。そして第2工程では、アニール
処理によってa−SiNx :H膜23中から水素を放出
させ、その水素Hをストッパ層17を通して多結晶シリ
コン層16内に拡散させる。そのため、多結晶シリコン
層16内に残存する欠陥が消滅する。このとき、第1工
程の水素プラズマによる水素化で新たに発生した欠陥も
第2工程を行うことによって消滅する。そのため、多結
晶シリコン層16内には水素化によって消滅可能な欠陥
は存在しなくなる。なお、a−SiNx :H膜23から
の水素拡散だけでは不十分な水素化は、予め水素プラズ
マドーピングを行うことによって補っている。
【0027】次にa−SiNx :H膜を堆積してアニー
ル処理した後のTFT1におけるドレイン電流−ゲート
電圧特性(以下電流−電流特性と記す)を図2によって
説明する。図では、縦軸はドレイン電流を示し、横軸は
ゲート電圧を示す。図に示すように、ON/OFF電流
比は8桁近く増加し、ドレイン電流−ゲート電圧曲線の
勾配も大きくなっている。このような電流−電圧特性
は、われわれの知る限りにおいて、低温プロセスによっ
てガラス基板上に形成されたボトムゲート型TFTとし
ては最も優れた特性値を示している。
【0028】上記説明では、多結晶シリコン層上に酸化
シリコンからなるストッパ層を設けた構造のTFTの水
素化方法を説明したが、ストッパ層を設けない構造のT
FTにも本発明の水素化方法は適用することが可能であ
る。
【0029】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
水素プラズマドーピング法によって、TFTの多結晶シ
リコン層内の大部分の欠陥を消滅させた後、水素を含む
非晶質窒化シリコン膜を堆積した後のアニール処理によ
って、水素を含む非晶質窒化シリコン膜中から水素を放
出させて多結晶シリコン層内に拡散させて、その多結晶
シリコン層内に残存する欠陥を消滅させる。このため、
水素プラズマによる水素化で新たに発生した欠陥も水素
拡散によって消滅することができる。したがって、多結
晶シリコン層内から欠陥を完全に消滅できる。したがっ
て、本発明の水素化方法を使って水素化したTFTで
は、今までに報告されているボトムゲート型のTFTの
うち最も優れたドレイン電流−ゲート電圧特性が得られ
る。このため、LCDおよび類似のデバイスのアドレス
回路およびクロック回路に用いることで、それらの特性
の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すTFTの水素化方法の工
程図である。
【図2】本発明による水素化後のTFTの電流−電圧特
性図である。
【図3】従来のTFTの概略断面図である。
【図4】水素化前後のTFTの電流−電圧特性図であ
る。
【図5】紫外線照射によるTFTの電流−電圧特性の変
化図である。
【符号の説明】
1 TFT 16 多結晶シリコン層 17 ストッパ層 23 a−SiNx :H膜 H 水素

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素プラズマドーピング法によって、薄
    膜トランジスタの多結晶シリコン層内に水素をドーピン
    グして、該多結晶シリコン層内の大部分の欠陥を消滅さ
    せる第1工程と、 前記多結晶シリコン層上に設けた酸化シリコンからなる
    ストッパ層上または前記多結晶シリコン層上に水素を含
    む非晶質窒化シリコン膜を堆積した後、アニール処理に
    よって、前記水素を含む非晶質窒化シリコン膜中から水
    素を放出させ、放出した水素を前記多結晶シリコン層内
    に拡散して該多結晶シリコン層内の残りの欠陥を消滅さ
    せる第2工程とからなることを特徴とする薄膜トランジ
    スタの水素化方法。
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