JPH0832235B2 - キメラp450発現プラスミド及び該プラスミドを保持する酵母菌株 - Google Patents

キメラp450発現プラスミド及び該プラスミドを保持する酵母菌株

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JPH0832235B2
JPH0832235B2 JP25826290A JP25826290A JPH0832235B2 JP H0832235 B2 JPH0832235 B2 JP H0832235B2 JP 25826290 A JP25826290 A JP 25826290A JP 25826290 A JP25826290 A JP 25826290A JP H0832235 B2 JPH0832235 B2 JP H0832235B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、キメラP450発現プラスミド及び該プラスミ
ドを保持する酵母菌株に関する。本発明により得られる
酵母菌株は、キメラP450のシグナルペプチドを完全に切
断することによって成熟型のラット肝P450C25への変換
を効率的に行う能力を有する。上記の酵母菌株により生
産された酵素(成熟型のラット肝P450C25)と、フェレ
ドキシンおよびNADPH−フェレドキシン還元酵素とを用
い、医薬品として有用なステロイド類、活性型ビタミン
D3などを合成することができる。
<従来技術> P450は微生物から哺乳動物にいたるまで広く生物界に
存在するヘム蛋白質であり、電子伝達系の末端酵素とし
て種々の脂溶性化合物を基質として1原子酸素添加反応
を触媒する。末端酵素であるP450分子種は多様であり、
それぞれが異なる基質特異性を示すので、非常に広範囲
の脂溶性化合物を水酸化することができる。哺乳動物の
P450依存性電子伝達系はその構成酵素から、ミクロソー
ムに局在化するミクロソーム型とミトコンドリアに局在
するミトコンドリア型に分けられる。前者では、フラビ
ンアデニンジヌクレオチドとフラビンモノヌクレオチド
を分子内に補酵素として含有するNADPH−P450還元酵素
(還元酵素)がNADPHからの電子をP450へ供給し、後者
では、フラビンアデニンジヌクレオチドを補酵素として
分子内に含有するNADPH−フェレドキシン還元酵素、お
よび非ヘム鉄を補酵素として分子内に含有するフェレド
キシンがNADPHからの電子をP450へ供給することによ
り、種々の脂溶性基質に対して水酸化反応を触媒する。
本発明者らはすでに、数種のミクロソーム型P450を酵
母内で発現させる組換え体酵母菌株を用いることにより
工学的に有用な水酸化反応を行うことに成功した。すな
わち、ラット肝P450MC遺伝子、ウシ副腎P45017α遺伝子
やウシ副腎P450C21遺伝子をそれぞれ単離し、これらの
遺伝子を含有する発現プラスミドを作製し、これら発現
プラスミドを用いて酵母を形質転換することにより、ミ
クロソーム型P450を産生する酵母菌株を得た(特開昭61
−56072、特開平1−47380、特開平2−31680)。これ
らの酵母菌株はそれぞれのミクロソーム型P450分子種に
依存した1原子酵素添加活性を示した。また、ラット肝
還元酵素遺伝子や酵母還元酵素遺伝子を単離し、P450還
元能を有する酵素を酵母内で発現させることに成功した
(特開昭62−19085、特開平2−211880)。さらに、発
明者らは、ミクロソーム型P450と還元酵素の両酵母を酵
母内で産生する酵母菌株(特開昭62−104582)や両酵素
の機能を1分子内に併せ持つ新規モノオキシゲナーゼの
作出に成功した(特開昭63−44888、特開平2−23870、
特開平2−249488)。以上のような技術により、本発明
者らはこれらミクロソーム型P450産生酵母菌株を用い
て、医薬品として有用なアセトアミノフェンやステロイ
ドホルモン中間体の合成を可能にした。
一方、分子内にヘムを含有するような複雑な構造を有
し、かつミトコンドリア内膜に局在化する膜蛋白質、た
とえばミトコンドリア型P450を酵母内で発現させた例は
今までに知られていない。
<発明が解決しようとする課題> ミトコンドリア型P450の関与する生体反応は生理的に
重要な化合物、例えば活性型ビタミンD3などの合成反応
が多いため、産業上応用可能性が高い。このためミトコ
ンドリア型P450を産生する酵母菌株の創成が望まれてい
た。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、分子内にヘムを含有するような複雑な
構造を有する膜蛋白質であるラット肝P450C25の成熟度
(酵素)を酵母内で効率的に産生させるために誠意努力
の結果、ラット生体内において正常に機能している本来
のシグナル配列の代わりに、上記のP450分子種とは全く
別異な構造及び機能である蛋白質が有する外来のシグナ
ル配列に交換することによって、強い活性を有する成熟
型のラット肝P450C25を酵母内で産生させることに成功
し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、酵母チトクロムC酸化酵素サブ
ユニットIVのN末端29アミノ酸残基からなるシグナル配
列をN末端に有し、501アミノ酸残基からなる成熟型の
ラット肝P450C25をC末端に有するキメラP450を発現さ
せるプラスミド及び該プラスミドを保持する酵母菌株を
提供するものである。
上記の酵母菌株から部分精製した成熟型のラット肝P4
50C25は、ウシ副腎アドレノドキシン(以下、ADXと略
す)およびウシ副腎NADPH−アドレノドキシン還元酵素
(以下、ADRと略す)と共役させることにより、THCある
いは1α−OH−ビタミンD3からTeHCあるいは1α,25−
(OH)ビタミンD3をそれぞれ生成することができた。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で用いられるラット肝P450C25は、ラット生体
内においては、533アミノ酸からなる前駆体として細胞
質内で合成されたのち、そのN末端に存在する移行シグ
ナルが認識され、ミトコンドリア内膜へ取り込まれ(ミ
トコンドリア内に局在化し)、そこでプロセッシングが
行われ、501アミノ酸からなる成熟型(分子量約53KD)
になる。本発明では、酵母内においても上記と同様な作
用が行われるようなラット肝P450C25前駆体を発言させ
ることが第一の目的である。
ラット生体内において正常に機能している本来のシグ
ナル配列をそのまま有するラット肝P450C25前駆体を酵
母内で発現させても、酵母内ではラット生体内のように
ミトコンドリア内膜へ取り込まれ、そこで正常なプロセ
ッシングが行われ、501アミノ酸からなる成熟型に完全
になることはなかった。このため、P450分子あたりの酵
素活性が低い。本発明により得られる酵母菌株は、ラッ
ト生体内において正常に機能している本来のシグナル配
列の代わりに、上記のP450分子種とは全く別異な構造及
び機能である蛋白質が有する外来のシグナル配列に交換
したラット肝P450C25前駆体を酵母内で発現する。偶然
にも、該ラット肝P450c25前駆体が有する特異なシグナ
ルペプチドは酵母内で完全に切断された。その結果、酵
母内において成熟型のラット肝P450C25への変換が効率
的に行なわれるようになり、前記目的を達成することが
可能になった。
本発明に用いられるラット肝450C25をコードするcDNA
はすでに公知であり、通常の操作法でこれを単離するこ
とができる。たとえば、ラット肝P450C25遺伝子は、プ
ラスミドpLMT25(Usui et al.,(1990)FEBS 262,135−
138)から単離できる。
本発明のラット肝P450C25前駆体を発現するプラスミ
ドは酵母チトクロムC酸化酵素サブユニットIVのN末端
29アミノ酸残基からなるシグナル配列をN末端に有し、
501アミノ酸残基からなる成熟型のラット肝P450C25をC
末端に有するキメラP450遺伝子を酵母アルコール脱水素
酵素(ADH)遺伝子のプロモーターおよび同ターミネー
ターを保持する酵母発現ベクターpAAH5(Methods in En
zymology,101,partC,p192−201)に挿入することにより
構築することができる。宿主としてサッカロミセス・セ
レビシエAH22株が望ましい。酵母チトクロムC酸化酵素
サブユニットIVのN末端29アミノ酸残基からなるシグナ
ル配列をN末端に有し、501アミノ酸残基からなる成熟
型のラット肝P450C25をC末端に有するキメラP450を発
現させるプラスミドによる宿主酵母の形質転換は、アル
カリ金属(LiCl)を用いる方法、プロトプラスト法など
公知の方法で行うことができる。このようにして得られ
た形質転換酵母菌体は、キメラP450を酵母内で発現し、
つぎに該キメラP450が有する特異なシグナル配列をほほ
完全に切断することによって、成熟型のラット肝P450
C25への変換を効率的に行なう能力を有する。該形質転
換酵母を通常の培養方法に準じて培養することにより成
熟型のラット肝P450C25を製造することができる。
<実施例> 以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。本
発明は実施例のみに限定されるものではなく、本発明の
技術分野における通常の変更をすることができる。
実施例1 発現プラスミドpAC25の構築 以下の実施例で、制限酵素によるDNAの切断、アルカ
リホスファターゼによるDNAの脱リン酸化、DNAリガーゼ
によるDNAの結合などの反応は、特に断らない限り、通
常20〜200μの反応容積を用いて、これらの酵素類を
市販するメーカー(例えば、宝酒造(株))が製品に添
付した反応条件で実施した。ラット肝P450C25発現プラ
スミドpAC25を第1図に示すように構築した。
ラット肝P450C25遺伝子を含むプラスミドpLMT25(Usu
i et al.,(1990)FEBS 262,135−138)を制限酵素EcoR
IとSacIで同時消化し、P450C25N末端側の領域を含む約3
20bpのEcoRI−SacI断片と、C末端側の領域を含む約158
0bpのSacI−EcoRI断片を低融点アガロースゲル電気泳動
により回収した。これらの断片を市販のベクタープラス
ミドpUC19のEcoRI、SacI部位にサブクローニングし、そ
れぞれpUC25NおよびpUC25Cを得た。pUC25NをEcoRI、Nco
Iで同時消化して得られる約2880bpの断片と合成リンカ
ーLC252: (左右両端にそれぞれEcoRI、NcoI認識部を持ち、内側
にHind III認識部位を持つ)とのリガーゼ反応を行い、
大腸菌HB101株を形質転換した。得られた形質転換体か
ら、Birnboim−Dolyの方法に従い、プラスミドDNAを調
製し、制限酵素消化による解析を行い、合成リンカーが
挿入された目的のプラスミドを得た。さらに塩基配列を
決定することにより、合成リンカー部分の配列を確認
し、得られたプラスミドをpUC25NHとした。
一方、ラット肝P450C25C末端側の領域を含むpUC25Cを
NcoI、EcoRIで同時消化して得られる約4kbの断片と、市
販のHind IIIリンカーとのリガーゼ反応を行い、大腸菌
HB101株を形質転換した。形質転換体からプラスミドDNA
を調製し、P450C25の3′非翻訳領域にHind III部位が
作出されたプラスミドをpUC25CHとした。
pUC25NHおよびpUC25CHをHind III、SacIで同時消化し
て得られるそれぞれ約270bpおよび1370bpの断片と、市
販のベクタープラスミドpUC18をHind III消化しアルカ
リホスファターゼ処理を施したものとのリガーゼ反応を
行ったのち、大腸菌HB101株を形質転換した。形質転換
体からプラスミドDNAを調製し、pUC25NHおよびpUC25CH
由来のDNA断片を一つずつ含むプラスミドをpUC25Hとし
た。pUC25HをHind III消化し、ラット肝P450C25前駆体
をコードする約1640bpのcDNA断片を調製し、この断片
と、Hind III消化後アルカリホスファターゼ処理を施し
た酵母発現ベクターpAAH5N(特開平2−211880)とのリ
ガーゼ反応を行った後、大腸菌HB101株を形質転換し
た。形質転換体からプラスミドDNAを調製し、DNA構造を
確認し、ラット肝P450C25前駆体遺伝子がADHプロモータ
ーとターミネーターに対して、順方向に挿入されたプラ
スミドをpAC25とした。
実施例2 発現プラスミドpACC253の構築 本発明者らはすでに、ウシ副腎ミトコンドリアのタン
パク質を酵母で発現させる場合に、そのシグナルペプチ
ド部分を酵母チトクロムc酸化酵素サブユニットIV(以
下、COX IVと略す)のものに置換すると発現量が著しく
増加することを見いだしている(特開平4−30793)。
そこで、酵母ミトコンドリアで成熟型のラット肝P450
C25を安定に高発現させることを目的として、そのシグ
ナル配列部分をCX IVのものに置換したプラスミドpACC2
53を第2図に示すように構築した。
ラット肝P450C25のN末端側遺伝子を含むプラスミドp
UC25NをPstI、SacIで同時消化し、約150bpの断片を回収
した。この断片と合成リンカーLC253: (左右両端にそれぞれHind III、PstI認識部位を持つ)
および市販のベクターpU19のHind III−SacI断片とのリ
ガーゼ反応を行い、大腸菌HB101株を形質転換した。形
質転換体からプラスミドDNAを調製し、制限酵素消化に
より解析し、断片および合成リンカーが挿入された目的
のプラスミドを得た。さらに、塩基配列を決定すること
により、合成リンカー部分の配列を確認し、得られたプ
ラスミドをpBSCC253とした。このプラスミドと上述のプ
ラスミドpUC25CHをHind III、SacIで同時消化し、COX I
Vのシグナルペプチドおよびラット肝P450C25N末端部分
をコードする遺伝子断片(約260bp)とラット肝P450C25
C末端部分をコードする遺伝子断片(約1370bp)をそれ
ぞれ回収した。これらの断片と市販のベクタープラスミ
ドpUC18−Hind III断片とのトリプルライゲーションを
行い、大腸菌HB101株を形質転換した。形質転換体から
プラスミドDNAを調製し、制限酵素消化により解析し、
両断片が挿入されたプラスミドpUCC253Hを得た。pUCC25
3HをHind III消化し、約1630bpのキメラP450cDNA断片を
調製し、これと、Hind III消化後アルカリホスファター
ゼ処理を施した酵母発現ベクターpAAH5N(特開平2−21
1880)とのリガーゼ反応を行ったのち、大腸菌HB101株
を形質転換した。形質転換体から調製したプラスミドDN
Aの構造を制限酵素消化により確認し、キメラP450遺伝
子がADHプロモーターとターミネーターに対して順方向
に挿入されたプラスミドをpACC253とした。
実施例3 発現プラスミドによる酵母の形質転換 サッカロミセス・セレビシエAH22(ATCC38626)[ρ
0]株(ミトコンドリア様のオルガネラは存在するが、
ミトコンドリアDNAを持たない株)、[ρ+]株(正常
なミトコンドリアおよび、そのDNAを持つ)を、5mlのYP
D培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2%グル
コース)中で30℃、18時間培養したのち、1mlの酵母培
養液を遠心分離し、集菌した。菌体を、0.2M LiCl溶液
1mlで洗浄したのち、1M LiCl溶液20μに懸濁した。
これに、70%ポリエチレングリコール4000溶液30μ、
発現プラスミド溶液10μ(約1μgDNA)を添加して、
充分に混合したのち、30℃で1時間インキュベートし
た。ついで、140μの水を加えSD合成培地プレート
(2%グルコース、0.67%酵母窒素源アミノ酸不含、20
μg/mlヒスチジン、2%寒天)上にまき、30℃で3日間
インキュベートすることにより、プラスミドを保持する
形質転換体を得た。プラスミドpAC25、pACC253で形質転
換した酵母を、それぞれAH22[ρ0](pAC25)株、AH2
2[ρ+](pAC25)株、AH22[ρ0](pACC253)株、A
H22[ρ+](pACC253)株とした。
実施例4 ラット肝P450C25の生産 実施例3で得たAH22[ρ0](pAC25)株、AH22[ρ
+](pAC25)株、AH22[ρ0](pACC253)株、AH22
[ρ+](pACC253)株およびコントロールAH22[ρ
0](pAAH5)株、AH22[ρ+](pAAH5)株をSD合成培
地(2%グルコース、0.67%アミノ酸不含酵母窒素源、
20μg/mlヒスチジン)300mlでそれぞれ約2×107細胞/m
lまで培養し、集菌後100mMリン酸カリウム(pH7.0)で
洗浄したのち、100mMリン酸カリウム(pH7.0)2mlに懸
濁した。2本のキュベットに菌懸濁液を1mlずつ分注
し、サンプル側キュベットに一酸化炭素を吹き込んだの
ち、両キュベットにジチオナイト5〜10mgを添加した。
よく攪拌したのち400〜500nmの差スペクトルを測定し、
Δε(450nm−490nm)=91mM-1cm m-1をもとにしてヘム
含有P450量を算出した。その結果、AH22[ρ0]、[ρ
+](pAC25)株およびAH22[ρ0]、[ρ+](pACC2
53)株はいずれも菌体当たり約2×104分子のヘム含有P
450タンパク質を産生することが判明した。それに対し
て、コントロールAH22[ρ0]および[ρ+](pAAH
5)株ではヘム含有P450の産生は認められなかった。
実施例5 再構成系におけるP450C25依存性酸化活性の
測定 ウシ副腎ADXおよびウシ副腎ADRとの再構成系におい
て、コントロールAH22[ρ+](pAAH5)株、AH22[ρ
+](pAC25)株およびAH22[ρ+](pACC253)株から
調製した細胞小器官画分を用いてP450C25に依存した水
酸化活性を測定した。
形質転換酵母菌体からの細胞分画は以下の方法に従っ
た。形質転換体の約×107菌体/ml培養液から約4×1010
菌体分を集菌し、ザイモリアーゼ溶液(10mMトリス−塩
酸(pH7.5)、2.0Mソルビトール、0.1mMジチオスレイト
ール、0.1mM EDTA、0.3mg/mlザイモリアーゼ10T)に懸
濁し、30℃で1時間インキュベートしてスフェロプラス
トを調製した。これをソニケーションバッファー(10mM
トリス−塩酸(pH7.5)、0.65Mソルビトール、0.1mMジ
チオスレイトール、0.1m MEDTA、1μg/mlロイペプチ
ン、1μg/mlペプスタチン)に懸濁し、テフロンホモジ
ナイザーでホモジナイズすることにより菌体を破砕し
た。3000×g、5分間の遠心分離により、沈澱1を取り
除き、上清1′を得た。沈澱1をソニケーションバッフ
ァーに懸濁し再度ホモジナイズしたのち、3000×g、5
分間遠心分離し沈澱1(未破砕菌体・核画分)および上
清1″を得た。上清1′および1″を併せて上清1と
し、10,000×g、20分間遠心分離し、沈澱2(ミトコン
ドリア画分)と上清2を得た。上清2をさらに120,000
×g、70分間遠心分離し、沈澱3(ミクロソーム画分)
と上清3(細胞質画分)に分けた。ミトコンドリア画分
およびミクロソーム画分を酸化活性測定に用いる場合
は、各酵母細胞小器官画分に終濃度0.5%のコール酸を
加え、あらかじめミトコンドリアあるいはミクロソーム
膜からのタンパク質の可溶化を行った。
THC27位水酸化活性は、以下の方法で測定した。100mM
トリス−塩酸(pH7.8)、0.5mM EDTA、14nmol[3H]TH
C、4nmolウシ副腎ADX、0.1Uウシ副腎ADR、100mM NADPH
からなる反応混液に可溶化した各酵母細胞小器官画分
(0.34mgタンパク質を含む)を加え全容を0.5mlとし、
一定時間37℃でインキュベートした。5ml酢酸エチルを
加えて反応を停止し、ボルテックスミキサーで1分間攪
拌後遠心し、酢酸エチル層4mlを乾固した。これを少量
の酢酸エチルに溶解し、シリカゲル薄層クロマトグラフ
ィー(TLC)に供した。TLCは酢酸エチル:アセトン=7.
3を溶媒として展開した。展開後、TLCプレートの基質お
よび生成物部分の放射活性をスキャナーを用いて測定し
た。再構成系におけるTHC27位水酸化活性を測定した結
果、AH22[ρ+](pAAH5)株のミトコンドリア画分を
用いた場合はTeHCの位置に放射活性のピークは検出でき
なかったが、形質転換株の場合にはTeHCのピークが検出
できた。基質および生成物のピーク面積からAH22[ρ
+](pAC25)株のミトコンドリア画分、ミクロソーム
画分、AH22[ρ+](pACC253)株のミトコンドリア画
分およびミクロソーム画分を用いた場合、反応時間1時
間でそれぞれ約27、13、26、25%のTHCがTeHCに変換さ
れたことが判った。
一方、1α−OH−ビタミンD325位水酸化活性は次のよう
にして測定した。100mMトリス−塩酸(pH7.8)、0.5mM
EDTA、100nmol 1α−OH−ビタミンD、4nmolウシ副腎AD
X、0.1Uウシ副腎ADR、100mM NADPHからなる反応混液に
可溶化した各酵母細胞小器官画分を加え全容を0.5mlと
し、一定時間37℃でインキュベートした。5mlベンゼン
を加えて反応を停止し、ボルテックスミキサーで1分間
攪拌後遠心し、ベンゼン層4mlを乾固した。これを少量
のイソプロパノールに溶解し、HPLCで分析した。HPLCの
条件を以下に示す。
1.カラム;ファインパックシル5(日本分光社製) 2.容媒;ヘキサン:メタノール:イソプロパノール=8
4:8:8 3.流速;1.2ml/分 4.カラム温度;室温 5.検出波長;265nm 再構成における1α−OH−ビタミンD325位水酸化活性
を測定したところAH22[ρ+](pAAH5)株のミトコン
ドリア画分は活性を示さなかったが、形質転換株ではHP
LC分析により1α,25−(OH)ビタミンD3の位置にピ
ークが検出できた。ピークの高さから、0.34mgタンパク
質を含むAH22[ρ+](pAC25)株のミトコンドリア画
分およびミクロソーム画分の1α,25−(OH)ビタミ
ンD3産生量は、反応時間1時間でそれぞれ約23pmolおよ
び12pmolと算出した。また、キメラP450産生AH22[ρ
+](pACC253)株のミトコンドリア画分およびミクロ
ソーム画分も同程度の活性を示した。以上、ラット肝P4
50C25依存性水酸化活性測定の結果から、酵母内で産生
された成熟型のラット肝P450C25は活性発現に必要なヘ
ムを分子内に含有しており、再構成系において、ウシ副
腎ADXおよびウシ副腎ADRと電子伝達系を構成することに
より成熟型のラット肝P450C25に依存した酸化活性を発
揮できることが判った。
<発明の効果> 本発明の形質転換酵母菌体によって、初めて分子内に
ヘムを含有するような複雑な構造を有する膜蛋白質であ
るラット肝450C25の成熟型(酵素)を酵母内で効率的に
産生させることが可能になった。
さらに、形質転換株から粗精製した成熟型のP450C25
はウシ副腎ADXとウシ副腎ADRとの再構成系において、TH
Cおよび1α−OH−ビタミンD3からそれぞれTeHCおよび
1α,25(OH)ビタミンD3を生産した。すなわち、P45
0C25はTHC27位および1α−OH−ビタミンD325位の両水
酸化活性を示した。現在、ミトコンドリアに局在化する
P450分子種としてはウシ副腎P450SCCやP45011βなどに
ついて異種細胞(サル腎由来COSl細胞)での発現が試み
られているが、いずれも産生量およびのそ活性は低い。
また、ラット肝P450C25について、COS1細胞における発
現の報告があるが、THCに対する活性しか検出されてい
ない。今回、本発明者らはミトコンドリア型P450として
は初めて酵母における機能発現に成功した、酵母内にお
いて産生された成熟型のラット肝P450C25はTHC27位およ
び1α−OHビタミンD325位の両水酸化活性を示した。
肝臓におけるコレステロールから胆汁酸の生合成には
数種類のP450が関与しており、それらのうちP450C25はT
HCからTeHCへの変換を触媒する。脳腱黄色腫症の患者は
先天的に本酵素が欠損していることが明らかにされてい
る。本症は黄色腫や憎悪性の神経障害を特徴とし、患者
のアキレス腱部、肺および脳内に黄色腫が生じ、白内障
や知能低下その他の重篤な症状が生じてくる。本症患者
血清中にはコレスタノールが正常値の10倍から100倍に
増加することが知られており、現在はこれを利用した診
断方法や、放射性同位元素により標識したTHCを使って
本酵素の活性を測定する方法が用いられている。本発明
により得られる形質転換酵母菌株を培養することにより
成熟型のラット肝P450C25の大量生産が可能になったの
で、単離、精製した本酵素に対する抗体を作製すれば、
これを用いてP450C25を高感度で検出できることから脳
腱黄色腫症の診断に有効であると考えられる。
一方、ビタミンD3が活性型になるには、まず25位の水
酸化、ついで1α位の水酸化が必要である。食物から取
り込まれ、あるいは生体内で生合成されたビタミンD3
生体内で活性型である1α,25−(OH)ビタミンD3
なりカルシウムの代謝調節を担うホルモンとして、ま
た、細胞の分化促進や細胞性免疫機能の調節に重要な役
割を果たしている。従って、1α,25−(OH)ビタミ
ンD3は骨粗そう症、慢性腎不全、ビタミンD抵抗性クル
病、骨軟化症の骨病変および副甲状腺機能低下病などの
治療に有効である。現在、1α,25−(OH)ビタミンD
3は少量生産でよいことから複雑な化学合成法に依って
いる。本発明によって、酵母で産生した成熟型のラット
肝P450C25とウシ副腎ADX、ADRを結合することによって
活性型ビタミンD3生産のバイオリアクターとして利用す
ることができる。また、本発明者らはすでに、ミトコン
ドリア型電子伝達系構成成分の1つであるADXを酵母で
発現させることに成功した。この酵母菌体から部分精製
したADXは、ウシ副腎ADR精製標品およびウシ副腎P450SC
C精製標品とともに、コレステロールからプレグネノロ
ンを生成することができた(特開平4−30793)。ま
た、ウシ副腎ADR遺伝子は公知であり、その発現も容易
である。さらに本発明者らはP450とNADPH−チトクロムP
450還元酵素とを酵母内で同時発現させる技術も開発し
ている(特開昭62−104582)。従って今後、P450C25とA
DXおよびADRの同時発現株を創製すれば、ステロイド化
合物酸化反応用バイオリアクターとして利用することに
より現在行われている複雑な化学合成法を、より単純化
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の発現プラスミドpAC25の構築工程を
示す。 第2図は、本発明の発現プラスミドpACC253の構築工程
を示す。制限酵素部位は、Ec:EcoI,Nc:NcoI、Sc:SacI、
Hd:Hind III、Nt:NotI、Ps:PstIを示す。 また図中の はラット肝P450C25翻訳領域を、 は酵素チトクロムc酸化酵素サブユニットIV翻訳領域
を、P、TはそれぞれADHプロモーター、ターミネータ
ーを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:865) (C12N 9/02 C12R 1:865) (72)発明者 大川 秀郎 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内 (56)参考文献 FEBS Lett.p135−138 (1990)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酵母チトクロムC酸化酵素サブユニットIV
    のN末端29アミノ酸残基からなるシグナル配列をN末端
    に有し、501アミノ酸残基からなる成熟型のラット肝P45
    0C25をC末端に有するキメラP450を発現されるプラスミ
  2. 【請求項2】酵母チトクロムC酸化酵素サブユニットIV
    のN末端29アミノ酸残基からなるシグナル配列をコード
    する塩基配列と501アミノ酸残基からなる成熟型のラッ
    ト肝P450C25をコードする塩基配列からなるキメラP450
    遺伝子を含有するプラスミド
  3. 【請求項3】下の制限酵素地図で表されるpACC253
  4. 【請求項4】請求項1記載のプラスミドを保持する酵母
    菌株
  5. 【請求項5】請求項2記載のpACC253を保持する酵母菌
  6. 【請求項6】請求項3記載のpACC253を保持するサッカ
    ロミセス・セレビシエAH22
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FEBSLett.p135−138(1990)

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