【発明の詳細な説明】
磁気記録媒体用の改良された二軸配向コポリエステルフィルム
発明の背景1)
発明の分野
本発明は金属磁気記録媒体用の改良された二軸配向コポリエステルフィルムに
関する。さらに詳しくは、本発明は、上に磁気記録層を被覆すると、薄いフィル
ムの磁気記録媒体を形成することができる、滑らかな表面およびすぐれたランニ
ング特性を有する二軸配向コポリエステルフィルムに関する。用いるコポリエス
テルはそのジエステルまたは二酸の少なくとも25モル%が4,4′−ジ安息香
酸である。コポリエステルの残りは当業界で公知の他の二酸またはジエステルか
ら形成しうる。2)
従来技術
磁気テープから出る信号を改良することは、それぞれの製造業者の目標となっ
ている。特に、バックグラウンドノイズ、ヒス、ドロップアウトはできるだけ低
いレベルに制限しなければならない。ノイズの観点から、基体表面はできるだけ
滑らかであるのが好ましい。他方、基体の加工性および取り扱い性、特に巻き取
りおよび巻き出しの観点から、フィルム表面の滑らかさは都合がわるい。特に、
フィルム表面の滑らかさはフィルム表間のスリップ性を乏しくし、ブロッキング
現象の原因となる。従って、基体支持体の表面は、磁気記録層を有する面では滑
らかであり、そして巻き取り時に隣接面と接する面では粗い必要がある。改良さ
れた表面を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)基体は、例えはヨーロ
ッパ特許出願第0 203 604号またはトイツ特許出願第34 14 31
0号に記載されているが、これらのフィルムは改良されたテープ基体における他
の要求について固有の問題を有している。
磁気テープ工業に関連する別の要求は、より薄い磁気記録媒体テープをつくり
だす要求である。これは同じスペースにまたはより小さい容量に貯蔵される情報
をますます多くすることを可能にし、同時に、ビデオテープにおいてはよりすぐ
れた画像、そしてオーディオテープにおいてはより明快な音を可能にする。磁気
記録フィルムの厚さを減じることができるような、良好な機械的性質の基体が好
ましい。従って、フィルムを薄くしうるような高い剛性(引っ張りモジュラス)
および強度が求められている。
テープ、特にPETテープの強度を高める1つの解決法として、”超伸長”法
を用いると、特に縦の”機械方向”の、磁気記録媒体の強度を大きく増加するこ
とができる。しかしながら、そのようなフィルムは横方向の強度に乏しく、その
ためフィルム自体が畳まれて記録器中で詰まることが多くなり、テープが損なわ
れる。さらに、磁気記録媒体が薄くなるにつれて、磁気テープがその物理的限界
を越えて引っ張られる場台、ゆがみが生じることがある。ゆがんだテープはまた
記録情報を減少させる。
磁気記録テープに伴う別の問題は熱安定性である。夏に自動車の車内温度が6
5℃を越えることは珍しくない。収縮する磁気記録テープは好ましくない。収縮
は、磁気記録媒体が夏の自動車内部におけるような高温にさらされるときに生じ
うる。(測定のために、より高い温度をしばしば選択して、基体の差をよりきわ
だたせる。)
本発明の目的は、高いヤング率、良好な引っ張り強さおよび低収縮率を含めた
すぐれた機械的性質を有するフィルムを製造することである。
本発明の別のねらいは、基体をさらに加工するとすぐれた磁気記録フィルムを
つくることができる、すぐれたランニング特性および良好な耐摩耗性を有する滑
らかな表面を基体上につくりだすことである。
他のねらい、目的および態様、並びにその利点は、次の詳細な説明で明らかに
なるであろう。発明の概要
本発明は、フィルムの2つの表面が異なる粗さを有する二軸配向単一または多
層コポリエステルフィルムであって、少なくとも1つの層は本質的にPENBB
よりなり、フィルムの第1の表面は直径0.2−2μmの大きな突起を有し、第
2
の表面は突起がないかまたは第1の表面上の大きな突起よりも直径が小さい小さ
な突起を有することを特徴とする、上記のフィルムに関する。
好ましい具体例では、本発明は、表面を粗くするために細かな粒状充填材媒質
を含有させた二軸配向PENBBフィルム(B)に関する。フィルムの片面また
は両面は、表面の粗さを変えるカバー層(層Aおよび任意の層C)を有していて
もよい。このフィルム(A)の片面は他の面(面BまたはC)よりも滑らかであ
り、より滑らかな面Aはより密度の高い磁気記録層、例えば金属タイプのものを
被覆するのに適している。層Cは、存在するならば、耐摩耗性の改良に投立つも
のである。
最も広い意味では、本発明は、一方の表面(A)は滑らかであり、他方の表面
(BまたはC)は直径が0.2−2μm、および少なくとも103、かつ106/
mm2未満の密度で配置された平均高さが2−20nmの大きな突起;および直
径が10−100nm、および106−109/mmの密度で分布した平均高さが
1−10nmの任意の小さな突起を有し;縦方向のヤング率および横方向のヤン
グ率の合計が12GPa以上であり、各方向の収縮率が150℃、15分で1%
未満である、二軸配向PENBBフィルムに関する。好適具体例の説明
本発明に適したコポリエステルは、次の反復単位:
を含む4,4′−ジ安息香酸または4,4′−ジメチルナフタレートのジエステ
ルまたは二酸を少なくとも25モル%含有する。
本発明の目的に対して、そのようなBB含有コポリエステルをPENBBと呼
ぶ。
コポリエステルの残りは他のジカルボン酸またはそれらのエステル同等物、例
えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジー(4−フェニル)−アセチレン
ジカルボン酸、セバシン酸、マロン酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸
、スベリン酸、コハク酸等、またはこれらの混合物から形成しうる。ナフタレン
−2,6−ジカルボン酸またはそのエステル同等物はコポリエステルの残りの部
分に好ましいものである。
本発明で用いるのに好ましいジオールはエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール
、1,6−ヘキサンジオール、ナフタレングリコール、1,10−デキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等である。エチレングリコールが好
ましいグリコールである。
本発明の有用なPENBBコポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート/4,4′−ビベンゾエート、ポリブチレンテレフタレート/4,4′−
ビベンゾエート、ポリプロピレンテレフタレート/4,4′−ビベンゾエート、
ポリエチレンナフタレート/4,4′−ビベンゾエート、ポリエチレンテレフタ
レート/アゼアレート/4,4′−ビベンゾエート、ポリエチレンテレフタレー
ト/アジペート/4,4′−ビベンゾエート、ポリエチレンテレフタレート/ア
ジペート/4,4′−ビベンゾエート、ポリエチレンテレフタレート/4,4′
−ビベンゾエート等よりなりうる。
好ましい具体例では、PENBBはエチレングリコール、およびほぼ等モル量
(6:4ないし4:6)の4,4′−ジ安息香酸および2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸またはジカルボン酸自体のジアルキルエステルの混合物から製造された
コポリエステルよりなる。反応動力学に影響を及ぼすために、過剰量のグリコー
ルを用いると有利である。二酸またはジエステルとグリコールとの反応の後、重
縮合反応を公知の方法に従って行う。二酸またはそれらのエステル同等物および
グリコールは均一に混合し、当業界で周知のエステル交換触媒の存在下で約20
0℃に加熱する。この反応でオリゴマーまたは低分子量のポリエステルが得られ
、その後、これを重縮合触媒の存在下で重縮合反応を行う。さらに、安定剤、酸
化
防止剤、艶消剤、顔料、充填剤および静電防止剤を原料またはコポリエステルと
混合してもよい。
適した触媒は当業界で周知のマンガン、コバルト、マグネシウム、亜鉛、カル
シウム化合物等である。好ましいエステル交換触媒は、用いる場合、マンガンお
よび/またはコバルトをベースにする。このましい重縮合触媒は酸化アンチモン
のような化合物である。そのような触媒は周知であり、従来法において一般的で
ある。
米国特許第3,008,934号には、酸誘導単位として4,4′−ビベンゾ
エート、および2,6−ナフタルジカルボキシレートを含む多量の他のジカルボ
キシレートを含有するコポリエステルが記載されている。また、これらのコポリ
エステルから製造された配向繊維およびフィルムも記載されているが、二軸配向
PENBBフィルムについては記載および示唆されていない。特に、PETフィ
ルムに較べて改良された剛性(引っ張りモジュラス)、MDおよびTDの両方に
おける引っ張り強さ、並びに熱安定性および寸法安定性を有するフィルムについ
ては、米国特許3.008,934号に記載はない。
本発明のPENBBフィルムは押し出し法によって製造することができる。二
軸配向PENBBフィルムに希望する機械的性質を得るには、押し出し後のPE
NBB重合体のIV値(対数粘度数、濃度0.2g/dlおよび温度25℃のペ
ンタフルオロフェノールおよびヘキサフルオロイソプロパノールの1:1重量比
混合物中で測定)は>0.5dl/g、好ましくは>0.55dl/gであるの
がよい。
コポリエステル樹脂はまず加熱して溶融し、次に幅の広いスロットダイを通し
て磨かれた回転キャスティングドラム上に非晶質シートの形に押し出す。非晶質
シート押し出し物を急速に冷却、すなわち急冷して、コポリエステルのキャスト
シートを形成する。キャストシートをキャスティングドラムから取り外し、フィ
ルム移動方向(縦方向)または縦方向に垂直な方向(横方向)のいずれかの一方
向に延伸し、同時に、ガラス転移温度とコールド結晶化温度より約30℃高い温
度との間の温度に加熱する(両温度とも、差動走査熱量計、DSCによって容易
に測定される)。
本発明のPENBBフィルムは二軸配向されている(縦方向および横方向の両
方に延伸されている)。縦方向および横方向の全体延伸比は12ないし1:10
、好ましくは1:2.5ないし1:5である。全体延伸比の積は1−30、好ま
しくは5−20にすべきである。二軸延伸は、確実に十分に等方性にするために
複屈折が<0.2、好ましくは<0.1となるように行う。ここで測定する複
置で測定した、フィルム面における最大屈折率と最小屈折率との差の絶対値であ
る。
フィルムを配向させた後、熱硬化段階となってフィルムの性質が定まる。熱硬
化段階はコールド結晶化温度とコポリエステル組成物の溶融温度との間の温度で
生じる。熱硬化の後、フィルムをロールに巻き取る。
フィルムの最終の全体厚さが2−15μm、好ましくは4−12μmとなるのが
望ましい。
本発明の二軸配向PENBBフィルムの主な特徴は、より粗い面(BまたはC
)の表面が:
(a) 直径0.2−2μm、高さ約2−20nmの多数の大きな突起;お
よび
(b) 任意に、直径約10−約100nm、高さ約1−10nmの多数
の小さな突起
を含むことである。
他の(より滑らかな)面Aにはそのような小さな突起を含有させてもよいが、
大きな突起を含有させてはいけない。この面A上に、磁気記録層として薄い金属
フィルムを施す。
大きなおよび小さな突起の分布密度もまた重要である。大きな突起の分布密度
は少なくとも103であり、かつ106/mm未満である。小さな突起の分布密度
は106−109/mmである。コポリエステル基体表面上のこれらの大きなおよ
び小さな突起がこれらの条件を満たすならば、面Aに施した磁気金属記録層のノ
イズは劇的に減少し、得られる磁気フィルムはすぐれたランニング性、熱安定性
および適当な厚さの減少と共に、著しくすぐれたノイズレベルを有するものとな
る。
大きな突起の直径は0.5−2μm、特に0.5−1.5μmであり、高さは5
−20nm、特に7−15nm、そしてこの分布密度は104−105/mmであ
るのが好ましい。小さな突起の直径は50−100nm、高さは約1−10nm
、特に2−7nm、そして小さな突起の分布密度は107−108/mmであるの
が好ましい。
本発明のPENBBの表面上の大きなおよび小さな突起の直径、高さおよび分
布密度は次の方法で測定される。
大きな突起の直径の場合は、フィルム表面を示差干渉顕微鏡により写真をとり
、突起の直径を約400倍の写真に基づいて測定し、平均値を計算する。
任意の小さな突起の場合は、表面を約45,000倍の走査電子顕微鏡で写真
をとる。平均直径を20の突起の直径から計算する。
大きな突起の高さを測定するには、突起のピークから底までの距離を、本発明
の二軸配向PENBBに表面に接触する高精度針を有するプロフィロメーターを
使用することによって測定する。
任意のより小さな突起の場合、高さは、面方向に約80,000倍、垂直方向
に約800,000−2,400,000倍で走査電子顕微鏡を用いて測定する
。平均の高さは10の突起から計算する。
大小の両突起の分布密度の測定には、大きなまたは小さな突起の直径の測定に
使用したタイプのフィルム表面の5枚の写真をとり、写真から測定した突起の数
およびそれらの分布密度をフィルム表面のmm2当たりで計算する。一般に、大
きな突起の直径と密度分布の両方を測定する場合、約400×の写真をとる。小
さな突起の直径の測定の場合、走査電子顕微鏡は一般に約45,000×にする
。小さな突起の高さおよび分布密度の測定の場合、走査電子顕微鏡は約80,0
00×にする。
フィルム表面の上記の大きなおよび小さな突起は、より大きなおよびより小さ
な固体不活性微粒子をフィルムの表面層に含有させて製造すると都合がよい。
コポリエステルに含有させる不活性固体微粒子は、それらがコポリエステルの
物理的および化学的性質に悪影響を及ぼさない限り限定されないが、良好な取り
扱い性およびフィルムの巻き取り性をもたらす適した粒子を次に示す。そのよう
な微粒子は以下の通りである
(a) 二酸化珪素(その水素化物、珪藻土、珪砂および石英を含む);
(b) アルミナ;
(c) 少なくとも30重量%のSiO2を含有するシリケート[例えば、
非晶質または結晶質クレー鉱物、アルミノシリケート(焼成生成物または水和物
を含む)、クリソタイル、ジルコニウム、フライアッシュ等];
(d) Mg、Zn、ZrおよびTiのような金属酸化物;
(e) Ca、MgおよびBaの硫酸塩;
(f) Li、NaおよびCaの燐酸塩(モノヒトロゲン塩またはジヒドロ
ゲン塩を含む);
(g) Li、NaおよびKのベンゾエート;
(h) Ca、Ba、ZnおよびMnのテレフタレート;
(i) Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Pb、Sr、Mn、Fe、Coお
よびNiのチタネート;
(j) BaおよびPbのクロメート;
(k) 炭素(例えば、カーボンブラックおよびグラファイト);
(l) ガラス(ガラス粉末およびガラスビーズ);
(m) CaおよびMgのカーボネート;
(n) 蛍石;
(o) ZnおよびMoの硫化物;
(p) ポリテトラフルオロエチレンポリエチレンのような有機重合体物質
の粉末;および
(q) タルク、弗化リチウム、およびCa、Ba、ZnおよびMnの有機
酸塩。
ポリスチレン、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートのような架橋重合
体でできた微粒子を使用することも可能である。粒子は1種のものでも、数種の
混合物でもよい。粒子の形は不規則状、フレーク状、球状または細長い形でもよ
い。不活性固体微粒子の平均直径は0.05−2μm、特に0.05−1μmであ
るのが好ましい。上記の表面形状(topography)は、より大きな不活
性固体微粒子を二軸配向PENBBフィルムの基層(層B)に、そして任意のよ
り小さな固体微粒子をカバー層(AおよびC)に含有させることによって製造さ
れる。カバー層はフィルム全体の厚さの0.05−20%にし、必要な厚さは使
用するより大きな不活性微粒子の種類によって決まり、簡単な実験によって決定
することができる。
より大きな不活性固体微粒子は、直径1μmを越える粒子が5重量%、特に2
重量%を越えてはいけない。コポリエステルに含有させるより大きな不活性固体
微粒子の量は、コポリエステルの重量に基づいて、一般に0.005−1重量%
、好ましくは0.005−0.5重量%である。
より大きな不活性固体微粒子は、様々な公知の方法によってコポリエステルに
分散することができる。例えば、不活性固体微粒子は、エステル交換反応中にグ
リコールスラリーの形で加えることができる。また、粒子は、粒子がコポリエス
テル中に均一に分散されるように、重縮合反応の直前または重縮合反応中に反応
室へ加えてもよい。不活性固体微粒子を混合することにより、PENBBフィル
ムの延伸および熱硬化後に、層BまたはCのフィルム表面により大きな突起が生
じる。
任意のより小さな突起は、より小さな不活性粒子をカバー層AおよびCに含有
させることによって製造される。そのような任意のより小さな粒子の平均直径は
一般に10−100nm、好ましくは50−100nmである。カバー層Aおよ
びCは比較的薄いので、任意のより小さな微粒子は過剰量のより大きな粒子を含
まないことが必須である。すなわち、0.3μmより大きな粒子の量は、より小
さな微粒子の全量の5重量%未満にすべきである。
カバー層AまたはCは、好ましくは製造中に、フィルムを重合体分散または溶
液で被覆する方法、またはベースフィルムと他の重合体、好ましくはポリエステ
ル、より好ましくはコポリエステルの層とを同時押し出しすることによる方法、
の2つの方法のいずれかによって製造することができる。より小さな微粒子は被
覆分散液もしくは溶液中にまたは同時押し出し重合体中に任意に含まれる。同時
押し出し重合体の場合、これらは層B中のより大きな不活性微粒子に用いたのと
同様な方法で分散するのが好ましい。
PENBBフィルムの表面Aおよび任意にC上の小さな突起が被覆によって形
成される場合、無機または有機のより小さな不活性固体微粒子および有機重合体
結合剤よりなる被覆組成物は、好ましくはPENBBフィルムを二軸配向するた
めの延伸の間に、少なくとも一方向に延伸したフィルムの第1の表面の片面また
は両面に施す。上に示すコポリエステルと混合されたまたは均一に配合された不
活性固体微粒子はまた被覆組成物に用いうるが、上に示されたより小さな不活性
微粒子に対する大きさの制限を適用する。
被覆組成物は溶剤ベースのものでも、水性ベースのものでもよい。水性ベース
の被覆組成物を用いるのが好ましい。従って、重合体結合剤は水溶性または水分
散性であるのが好ましい。変性ポリエステル共重合体、アクリレート、メタクリ
レート、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、デンプン、セル
ロース等に基づく公知の水性ベース被覆組成物が許容される。当業界で一般的な
かつ公知の、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂を用いる溶剤ベース被覆もまた満足なものである。
有機重合体結合剤中のより小さな不活性固体微粒子の量は、用いる二軸配向度
によって変わる。一般に、より小さな不活性固体微粒子の適量は、用いる有機重
合体結合剤100重量部当たり、0−50重量部、より好ましくは20−30重
量部である。被覆組成物はまた適当な添加剤、例えば架橋剤、重合触媒、熱安定
剤またはUV吸収剤、静電防止剤、表面活性剤、充填剤分散物または潤滑剤を有
効量で含有する。有機重合体結合剤の適量は一般に被覆組成物の1−20重量%
、好ましくは被覆組成物の2−10重量%である。二軸配向PENBBフィルム
の表面上の被覆の厚さは、乾燥重量に基づいて、一般に1−5mg/m2、好ま
し
くは1−2.5mg/m2である。被覆組成物はロール被覆、グラビア被覆、エ
アナイフ被覆、メニスカス被覆、反転グラビア被覆または浸漬によって塗布する
ことができる。被覆フィルムの乾燥および硬化は、被覆組成物の溶剤または水性
部分がすばやく蒸発するのに十分な温度で行う。被覆を二軸配向フィルムの延伸
の間で施すとき、一般に二軸配向PENBBフィルム製造プロセスの最後の延伸
および熱硬化段階は、溶剤および水を蒸発させるのに十分なものである。
二軸配向PENBBフィルムの面AおよびCの表面形状が同時押し出しによっ
てつくられる場合、任意に上記のより小さな固体不活性微粒子を含有する、これ
らの層のメルトをマルチマニホールド同時押し出しダイに供給し、そこでこれら
を層Bのためのメルトと合わせ、合わせたメルト層をチルロール上に押し出す。
同時押し出しした重合体は、二軸配向コポリエステルフィルムのフィルムの製
造および延伸プロセスに耐え、そしてコポリエステル層Bに対して十分な接着性
を示す熱可塑性重合体である。ポリエステルおよびコポリエステル、特に、層B
のコポリエステルより低い融点のものが、層AおよびCの同時押し出しに使用さ
れる。そのようなポリエステルおよびコポリエステルは、例えばポリエチレンテ
レフタレート、および他の二酸、例えばイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレン2,6−ジカルボ
ン酸および/または4,4′−ジ安息香酸等、および/または他のジオール、例
えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、p−キシレンジオールおよび
/または1,4−シクロヘキサンジメチロール等とのその共重合体、ポリ−1,
4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレートおよびその共重合体、並
びにポリエチレン2,6−ナフタレート/4,4′−ビベンゾエートおよびその
共重合体である。同時押し出し層に含まれるより小さな不活性微粒子の量は、全
体の層の0−50重量%である。層Aおよび任意の層Cは同じまたは異なる粒子
含有量の同じまたは異なる重合体でできている。層Cは、存在するならば、層A
よりも薄いのが好ましい。
層Aと任意の層Cとの同時押し出しの後、同時押し出しした二軸配向PENB
Bフィルムの延伸および熱硬化を上記のように進める。
二軸配向PENBBフィルムの被覆したまたは同時押し出しした滑らかな面A
の表面粗さ値Raは5nm以下であり、Rzは100nm以下であるのが望ましい
。
本発明の被覆したまたは同時押し出しした二軸配向PENBBフィルムのより
粗い表面BまたはCの表面粗さ(Ra)は一般に2−100nm、好ましくは3
−20nmである。表面の最高のピークと最低の谷との差の平均(Rz)は一般
に20−1,000nm、好ましくは30−200nmである。
次の実施例は本発明を説明するものである。これらの実施例において、次の測
定法を用いる:
平均センターライン表面粗さ
Raは、高精度表面粗さテスタープロフィロメーターを使用することによって
測定する。長さが約1.24cmのフィルムの試料を用いる。プロフィロメータ
ーは、半径2μmの針を使用し0.08mmのカットオフで荷重30mgの下で
フィルム表面を横切って引く。通常、表面粗さは少なくとも4つの測定値の平均
である。
平均表面粗さ
ピークないし谷の平均表面粗さ(Rz)は、前述のプロフィロメーター、荷重
、針およびカットオフで測定する。高いピークと低い谷の差の平均は、一般に5
つの測定の平均である。
引っ張り特性
引っ張り特性は、次のパラメーターを用いて、ドイツ、ウルムのZwick社
製の引っ張り試験機で測定した:
試料寸法 150×15mm
試験を行う長さ 100mm
延伸率(モジュラス) 10mm/分
延伸率(引っ張り強さ)および伸び率 100mm/分
熱収縮率
熱収縮率は、強制空気オーブン中で150℃に15分さらした後、100×1
00mm平方のフィルム試料の寸法変化を測ることによって測定した。
実施例1
(混ぜもののないコポリエステルの製造)
306重量部のジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート、303重量
部のジメチル4,4′−ビベンゾエート、368重量部のエチレングリコールお
よび0.7部の酢酸マンガン四水和物を、シールガスライン(N2)、等圧化装
置、温度計、冷却機、真空ラインを備えた一般的な重縮合反応器へ導入し、2.
5時間撹拌し、その間、メタノールを留去する。0.675重量部のトリフェニ
ルホスフエートおよび0.2259重量部の三酸化アンチモンを次ぎに重縮合触
媒として加え、混合物を撹拌しながら270℃に加熱する。真空にし、温度を2
85℃に上げ、2.5時間維持する。
残りのメルトをグラニュールにする。グラニュールは白色で不透明な結晶であ
る。グラニュールのIV値を測定すると0.56dl/gである[25℃のペン
タフルオロフェノール/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比1:1)中、
0.1g/mlの濃度で測定]。
グラニュールをさらに20時間240℃にて真空下、固相で縮合する。この処
理の後のIV値は1.1dl/gである。融点(Tm)は270℃である。
実施例2
(より大きな不活性微粒子を有するコポリエステルの製造)
289重量部のジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよび322
重量部のジメチル4,4′−ビベンゾエートを用い、そしてトリフェニルホスフ
ェートおよび三酸化アンチモンを加える直前に、BaSO4粒子のエチレングリ
コール中のスラリー23部をエステル化混合物に加える以外は、実施例1と同じ
手順に従う。このスラリーは、平均粒径が1.0μmのBaSO410重量部をエ
チレングリコール30重量部に分散することによって製造する。得られるコポリ
エステルは0.3重量%のBaSO4粒子を含み、281℃で溶融する。
実施例3
実施例1および2により製造したコポリエステルをそれそれ別の押し出し機中
で溶融し、2つのギヤーポンプによりマルチマニホールドスロットダイへ送り、
合わせ、実施例1の重合体は層Aを形成し、実施例2の重合体は基層Bを形成す
る2層フィルムを形成し、そしてチルロール上で20℃に冷却する。このように
して得た非晶質フィルムを125℃に加熱し、MDに3.5倍、次いでTDに3
.5倍に延伸する。次ぎに、フィルムを制御下、260℃で10秒間熱硬化する
と、粗い面と滑らかな面を有する厚さ8μmの2層二軸配向PENBBフィルム
が得られ、これは容易に巻き取ることができる。層Aの厚さは0.5μmであり
、層Bの厚さは7.5μmである。
機械的性質は次の通りである
MD TD 単位
引っ張りモジュラス 9.2 8.0 GPa
引っ張り強さ 24.0 18.0 MPa
破断点伸び 25 7 %
各面のRa値は次の通りである:
粗い面(B) 15nm
滑らかな面(A) 4nm
150℃の強制空気オーブン中で25分処理した後に測定した収縮率は、MD
およびTD共に0.3%である。50%RHおよび25℃でのフィルムの吸水率
は0.04%である。
実施例4
(比較)
ただ1つの押し出し機を使用する以外は、単一層フィルムを実施例3と同様の
方法で実施例1のコポリエステルから製造する。延伸後、しわと粘着性のために
このフィルムを巻き取るのは困難である。
フィルム部分の粗さRaは次の通りである
面A 4nm
面B 4nm
実施例5
BaSO4の代わりに、平均直径が0.1μmのカオリンを最終濃度が0.1重
量%となる量で加える以外は、実施例2と同様にコポリエステルを製造する。
水性の2重量%固体被覆組成物を重量比が10:5:2:1:9のアルミニウ
ムアクリレート、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレンジグリシジ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルおよび平均粒度75n
mのコロイドシリカから製造する。
コポリエステルを310℃の押し出し機中で溶融し、そして非晶質シートを得
るためのピニング(Pinning)を用いて、スロットダイを通して25℃に
温度調節したチルロール上に単一層として押し出す。非晶質シートを125℃で
縦方向に3.5倍延伸する。次ぎに、フィルムの両面を異なる量の被覆を有する
グラビアロールによって被覆し、フィルムを125℃で横方向に3.5倍延伸し
、260℃で熱硬化して、全体の厚さが8μmの3層の二軸配向PENBBフィ
ルムを得る。層Aの厚さは20nmであり、層Cの厚さは2nmである。
フィルムは粘着せずに取り扱いおよび巻き取りを容易に行うことができ、すぐ
れた耐摩耗性を示す。面AのRaは4nmであり、面Cのそれは7nmである。
面AのRzは60nmであり、面Cのそれは80nmである。面Cは平均高さ1
1nmおよび平均直径0.8μmの大きな突起を20,000mm2、平均高さ4
nmおよび平均直径70nmの小さな突起を4107/mm2有する。
従って、本発明により、上記の目的、ねらいおよび態様を十分に満足させる、
磁気テープ基体フィルムとして有用な二軸配向PENBBフィルムが得られた。
本発明を特定の具体例と共に説明してきたが、前記の説明に照らして見れば当業
者にとって多くの変更が可能なことは明らかである。従って、そのような変更は
すべて本発明の範囲および広い範囲に包含されるものである。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年9月22日
【補正内容】
34条補正 請求の範囲の差し替え
請求の範囲
1. フィルムの2つの表面が異なる表面粗さを有する二軸配向単一または多層
コポリエステルフィルムであって、少なくとも1つの層が本質的にPENBBよ
りなり、フィルムの第1の表面は直径0.2−2μmの大きな突起を有し、第2
の表面は突起がないかまたは直径が第1の表面上の大きな突起の直径より小さい
小さな突起を有することを特徴とする、上記の二軸配向単「または多層コポリエ
ステルフィルム。
2. 第1の表面が、大きな突起の他に、直径10−100nmの小さな突起を
有する、請求項1の二軸配向コポリエステルフィルム。
3. 大きな突起の高さが2−20nmである、請求項1または2の二軸配向コ
ポリエステルフィルム。
4. 第2の表面の突起が直径10−100nmの小さな突起である、請求項1
または2の二軸配向コポリエステルフィルム。
5. 小さな突起の高さが1−10nmである、請求項1または2の二軸配向コ
ポリエステルフィルム。
6. 大きな突起の分布密度が>103/mm2である、請求項1または2の二軸
配向コポリエステルフィルム。
7. 大きな突起の分布密度が<106/mm2である、請求項1または2の二軸
配向コポリエステルフィルム。
8. 第2の表面上の突起の分布密度が≧106/mmである、請求項1または
2の二軸配向コポリエステルフィルム。
9. 第2の表面上の突起の分布密度が≦109/mmである、請求項1または
2の二軸配向コポリエステルフィルム。
10. フィルムが粒子を含有している、請求項1または2の二軸配向コポリエ
ステルフィルム。
11. フィルムが基層Bおよびカバー層AまたはCよりなる2層フィルムであ
る、請求項1または2の二軸配向コポリエステルフィルム。
12. フイルムが基層Bおよび基層Bの表面上のカバー層Aおよび基層Bの他
の表面上のカバー層Cよりなる3層フィルムである、請求項1または2の二軸配
向コポリエステルフィルム。
13. 基層Bが本質的にPENBBよりなる、請求項11の二軸配向コポリエ
ステルフィルム。
14. 基層Bが直径0.05−2μmの大きな粒子を含んでいる、請求項11
の二軸配向コポリエステルフィルム。
15. カバー層Aおよび/またはCが直径0.01−0.1μmの小さな粒子
を含んでいる、請求項11の二軸配向コポリエステルフィルム。
16. フィルムの複屈折が<0.2であり、PENBBのIV値が>0.5d
l/gである、請求項1または2の二軸配向コポリエステルフィルム。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
B29K 105:16
B29L 7:00
9:00
C08L 67:00
(72)発明者 チュー,エーウォン
アメリカ合衆国ニュージャージー州07869,
ランドルフ,ラドトケ・ロード 130
(72)発明者 フリント,ジョン・アンソニー
アメリカ合衆国ニュージャージー州07922,
バークリー・ハイツ,レナピ・レーン
150
(72)発明者 クーマン,ボド
ドイツ連邦共和国デー―6258 ルンケル
5,リンデンシュトラーセ 5