JPH086203B2 - 熱可塑性合成繊維の製造方法 - Google Patents

熱可塑性合成繊維の製造方法

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JPH086203B2
JPH086203B2 JP61157039A JP15703986A JPH086203B2 JP H086203 B2 JPH086203 B2 JP H086203B2 JP 61157039 A JP61157039 A JP 61157039A JP 15703986 A JP15703986 A JP 15703986A JP H086203 B2 JPH086203 B2 JP H086203B2
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
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    • DTEXTILES; PAPER
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Description

【発明の詳細な説明】 {産業上の利用分野} 本発明は、熱可塑性合成繊維の製造方法に関する。更
に詳しくは、高強度で熱的安定性の優れた糸条を紡糸工
程のみの一工程で、低コストで製造することが可能な熱
可塑性合成繊維の製造方法に関する。
{従来の技術} 従来より、熱可塑性重合体を溶融し、口金より紡出
し、冷却、固化して低配向の未延伸糸として巻取った
後、該未延伸糸を加熱しながら延伸して実用可能な機械
的性質を備えた延伸糸とする合成繊維の製造方法が知ら
れている。
近年、このような製造方法のコストダウン、省エネル
ギーなどをはかるべく、紡糸工程のみの一工程で、延伸
糸を製造しようという試みが種々提案されている。
そのひとつに、紡糸工程と延伸工程を直結し、溶融紡
糸された未延伸糸を一旦巻き上げることなく引続き加熱
したローラを用いて延伸する直接紡糸延伸法があり、数
多く提案されている。
しかしながら、この方法は、延伸のため、高温のロー
ラを高速で回転させる必要があるため、エネルギー効率
が悪く、コストダウン効果が計れないという欠点を有し
ている。
これに対し、特公昭35−3104号公報で開示されている
如く、口金から紡糸した糸条を高速度で引取ることによ
って実用上充分な特性を有する繊維を得る試みがなされ
ている。
しかしこの方法では、極めて高い引取り速度が必要と
なり、特殊な高速ワインダが必要となる時、設備コスト
が甚大になり、また、高速で糸条を引取るために、単糸
切れの無い安定な操業を維持することが困難である等の
問題があった。
更に、特公昭45−1932号公報には、溶融紡糸した糸条
を冷却固化させ、引続いて80℃以上の加熱ゾーンを通過
させた後、4000m/分以上の高速で引取り、延伸糸を得る
方法が開示されている。
この方法によれば、比較的低コストで繊維を製造する
ことが可能であるが、従来の延伸糸に比べて得られる糸
条の機械的特性に依然差があり、また4000m/分以上の高
速引取りを行う必要があるなどの問題を有していた。
一方、特公昭35−2721号公報、特公昭38−2016号公
報、あるいは特開昭58−169513号公報には、紡出した糸
条を液体浴中を走行通過させ、引取って延伸糸を得る方
法が記載されている。
このような方法によれば、確かに液体の粘性抵抗によ
って糸条が一挙に延伸され、伸度の低い糸が得られる
が、その時糸条に作用する急激な力のため、糸条の強度
は低くなり、乾熱収縮率、沸騰水収縮率等の高い、いわ
ゆる熱的安定性の悪い糸条しか得られないという欠点を
有していた。
{発明が解決しようとする問題点} 以上詳述した如く、従来の方法では、紡糸工程のみの
一工程で強度特性、および熱的安定性の優れた糸条を低
コストで得ることは実現されていない。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、紡糸
工程において、一挙に強度特性、および熱的安定性の双
方に優れた糸条を低コストで、かつ安定に製造すること
ができる熱可塑性合成繊維の製造方法を提供せんとする
ものである。
{問題点を解決するための手段} 上記の目的を達成するための本発明の構成は、熱可塑
性重合体を溶融紡糸するに際して、口金から紡出した糸
条を、口金下に設置した深さが40mm以上、280mm以下の
液体浴中をほぼ直線状に走行通過させ、引き続いて圧力
が1kg/cm2以上、3kg/cm2以下の加圧蒸気が充満し、両端
に糸条通過のできる狭窄部を有する加熱容器中を走行通
過させた後、引き取ることを特徴とする熱可塑性合成繊
維の製造方法である。
本発明の方法においては、熱可塑性重合体を紡糸口金
より紡出し、該紡出糸条をまず口金下に設置した液体浴
中をほぼ直線状に走行通過させることが重要である。そ
して、紡糸工程のみの一工程で強度特性の優れた延伸糸
を得るには、一旦糸を冷却、固化せしめた後、糸の引取
り力に抗して糸の応力を上昇させることが有効であるこ
とを知見した。
このような手段として、例えば通常の冷却風を糸条に
吹きつけ、冷却、固化せしめた後、糸道ガイド等に巻き
付ける手段が考えられるが、このような場合には、応力
上昇ははかれても、ガイドによる擦過のために、著しく
単糸が損傷を受け、紡糸中の毛羽が増大したり、また、
特に単糸繊度の大きな糸条の紡糸に際しては、冷却風で
充分冷却されずにガイドに接触することとなり、ガイド
への糸条の融着、あるいはガイドによる擦過を受け易く
なり、目的とする物性の優れた糸条を得ることはできな
い。
これに対して、液体浴を用いる本発明方法によれば、
糸条の冷却固化と同時に液体の粘性により、引取り力に
抗した抵抗を糸条にかけることができ、均一な延伸を行
なうことが可能となるのである。また、液体浴中をほぼ
直線状に走行通過させることにより、単糸間でムラのな
い糸条を得ることができる。
一方、本発明においては、液体槽から糸条を引出す糸
条通路は、実質的に流体的に充分シールされた狭窄部と
することが重要である。
一般に、紡糸工程で引取られる糸条の速度は、数千m/
分にも及ぶため、液体槽より引出される糸条には多量の
液体が随伴し、周囲に飛び散り、操業現場の環境が損わ
れ、また、後述する引続いて行われる糸条の加熱処理の
障害となる。
そこで、本発明では、液体槽から糸条を引出す糸条通
路を実質的に流体的にシールされた狭窄部となし、糸条
に随伴する液体の量を少なくするようにした。
次に本発明方法においては、液体槽から引き出した糸
条を引続いて外気よりも高圧の加圧蒸気が充満した加熱
容器中を走行通過させて引取ることが重要である。本発
明者らの知見によると、紡出糸条を液体浴中を走行通過
させた後引取っただけの糸条では、液体の粘性により、
延伸は可能でも液体浴中で生じる急激な変形のために、
強度は一般的に低く、収縮率の高い熱的安定性の悪い糸
条しか得られないことがわかった。
そこで本発明者らは鋭意検討の結果、液体槽から引出
した糸条を引続いて外気よりも高圧の加圧蒸気が充満し
た加熱容器中を走行通過させることが前記糸質の改善に
有効なことを見出した。
前記加熱容器の両端部は、流体的に充分シールされた
糸条通過のできる狭窄部を有しているとともに、加熱容
器の内部には外気よりも高圧の加圧蒸気が充満している
ことが重要である。
液体槽より糸条を引き出す糸条通路は前述のように充
分シールされたものとしているとはいえ、若干の液体が
糸条に付着して液体槽より引き出され、これに空気が随
伴して加熱容器中に持ち込まれることになる。そこで、
本発明では、加熱容器の両端部を流体的に充分シールさ
れた狭窄部とすることによって、加熱容器への随伴流の
持ち込みを少なくするとともに、加熱容器中に外気より
も高圧の加圧蒸気を充満させることによって糸条を効率
的に、均一に加熱できるようにした。
以上のように口金から紡出した糸条を、口金下に設け
た液体浴中をほぼ直線状に走行通過させ、実質的に流体
的に充分シールされた狭窄部より引き出し、引続いて両
側に糸条が通過できる程度の狭窄部を有し、内部に加圧
蒸気が充満した加熱容器中を走行通過させ、該糸条を引
取ることにより、始めて低コストで高強度かつ熱的安定
性の優れた糸条の製造が紡糸工程のみの一工程で実現で
きるのである。
以下本発明を図面に基づき更に詳しく説明する。
第1図は本発明の一実施例であり、口金1から溶融紡
糸された糸条Yは、口金下に設置された液体2を有する
液体槽3内に入り、冷却固化された後、底部の糸条が通
過できる程度に狭窄にされた狭窄部4より外部へ引き出
され、ガイド5を経て熱処理装置6の内部を走行通過
し、ガイド8を経てオイリング装置9により油剤付与さ
れたのち、引取りローラ10,11に引取られ、ワインダ12
に巻取られる。
なお、オイリング装置9は、熱処理装置6の上流側に
設けてもよい。また、熱処理装置6を引取りローラ10,1
1の間に設け、引取りローラ10,11の速度を変えることに
よって熱処理装置6における糸条張力が任意に設定でき
るように構成することもできる。
前記熱処理装置6は、両端に糸条Yの通過できる程度
に狭窄にされた狭窄部7,7′を有し、加圧蒸気13が供給
管14より供給され、熱処理装置6の内部に充満し、走行
糸条Yを熱処理する。また、該熱処理装置6は、筒状あ
るいは横断面が矩形状のチューブでもよく、要は加圧蒸
気13が充満し、走行する糸条を加熱できるものであれば
よい。さらに、熱処理装置6の周囲にテープヒータ(図
示せず)を巻きつけて、特にスタート時のドレン発生を
少なくしたり、錘間の温度差を少なくしたりすることも
できる。なお、熱処理装置6の最外周には、放散熱量を
少なくするため、断熱材(図示せず)等で適宜囲うこと
が好ましい。
前記液体槽3には、液体供給管15より液体2が供給さ
れ、オーバフロー管16よりオーバフローした液体17が排
出され、液深さが一定に保たれるようになっている。
本発明においては、液体槽3は、底部に糸条が通過で
きる程度に狭窄にされた狭窄部4を有しており、糸条に
随伴する液体の量を少なくするようにしている。もし、
液体槽3の糸条通路のシールが不十分であれば、糸条に
随伴する液体の量が多くなり、引続いて行なわれる加熱
延伸ゾーンで熱処理むらを引き起し、均一な糸条を得る
ことができず、また熱処理が十分に行なわれずに目標と
する糸物性が得られない等の問題が生じ、またさらに、
液体が飛散して周囲の環境を著しく損う等の問題とな
る。
第2図は、本発明方法において好ましく適用される液
体槽の一実施例を示す縦断面図である。また、第3図
は、第2図のA−A部における横断面図である。
液体槽の底部には筒状ハウジング18がボルト(図示せ
ず)にて固定され、該ハウジング18の内部に、内面に糸
条が通過できる程度の細いスリット20を有する円筒状ス
リーブ19が着脱自在に挿入され、フランジ21、ボルト22
によりハウジング18に固定されている。前記スリーブ19
の内部には、円柱状のプラグ23が着脱自在に挿入され、
抜け止めピン24によって前記フランジ21に固定、抜け止
めがなされる。
また、実施例に示した如きのシール方法によれば、ス
リット20が実質的な糸条通路になるので、該スリットの
幅と深さを糸条Yが通過し得るだけの微少面積にしてお
けば、該スリット部の圧力損失で液体槽3内部の液深さ
に対して糸条通路からの液洩れをシールすることが可能
になる。
なお、本実施例においては、糸条Yに随伴する液体を
更に少なくするために、圧空26を供給管25より前記スリ
ット20に開口したノズル孔27に導き、糸条Yに随伴した
液体を吹き飛ばし、前記プラグ23に設けた貫通孔28より
排気孔29を経て排気管30よりミスト31を排出するように
している。このようにすることにより、糸条Yに随伴す
る液体をほぼ完全に除くことができるために、加熱装置
6での熱処理効率が損われず、均一な物性の糸条をより
安定して得ることが可能となる。
本発明においては、液体槽出口における糸条への液体
付着量は、糸重量に対して20%以下とすることが好まし
く、更に10%以下とすることがより好ましい。
液体槽3へ、液体2が供給管15より供給される。16は
オーバフロー管であり、液体槽3の底部より挿入され、
キャップ35を底部に締めつけ、Oリング34を押しつけ、
Oリングを半径方向に変形させることにより、オーバー
フロー管16を位置決めし、オーバフロー管16と液体槽3
の隙間からの液洩れをシールするようにしている。オー
バフロー管16より溢れた液体17は排出され、液深さはオ
ーバフロー管の挿入長さに応じて一定に保たれる。液深
さの変更は、前記キャップ35を緩め、Oリング34の押し
つけ力を除いてオーバフロー管の挿入長さを変更するこ
とによって容易に行なえ、かつ任意の液深さを連続的に
設定することができる。
33は、トレイであり、糸通しの際、紡出糸条を容易に
スリーブ19の筒状部に導くために有効であり、また液体
4を糸条が走行通過する際に液体の流れを整流し、糸揺
れを防止するのに有効である。
次に、熱処理装置6は両端に糸条通過のできる狭窄部
7,7′を有し、内部の加圧蒸気13が該狭窄部より噴出し
ないように流体的に十分シールされていることが重要で
ある。もし、熱処理装置6のシールが不十分であれば、
加圧蒸気13の流出が大きくなってエネルギーロスが増す
ばかりでなく、糸条Yに随伴する流体の持ち込みも大き
くなって、熱処理装置6の内部の温度、圧力を均一に保
つことが難しくなり、かつ加圧蒸気13の流出により、単
糸のもつれが生じ易くなり、安定に糸条を引き取ること
が困難となるなど、本発明の目的とする強度特性の優れ
た糸を、安定に、かつ低コストで製造することができな
い。
第4図は、本発明において使用する熱処理装置の縦断
面図である。
加圧蒸気13は、供給管14よりハウジング42の内部に供
給され、フィルタ44より均一に流入し、熱処理筒41,4
1′の内部に充満する。該熱処理筒41,41′の端部には、
内周面に糸条通過のできる細いスリットを有する円筒状
スリーブ38,38′が着脱自在に挿入され、端部をフラン
ジ39,39′で押え、ボルト40,40′で熱処理筒41,41′に
固定されている。
前記円筒状スリーブ38,38′の内部には、円柱状のプ
ラグ36,36′が着脱自在に挿入され、抜け止めピン37,3
7′によってスリーブ38,38′に固定され、蒸気13の圧力
に対して抜け止めがなされる。
排出管45は、特にスタート時等に発生したドレン46を
効率よく排出するためのものである。
第5図は、第4図のB−B部の横断面図であるが、前
記熱処理筒41の内部に挿入された円筒状スリーブ38の内
面に糸条通過のできるスリット47が設けてあり、該円筒
状スリーブ38の内部にガイドピン36を挿入することによ
って実質的なシール部の面積をスリット47の面積とする
ものである。本実施例の如きシール方法によれば、スリ
ット47の面積を糸条Yが通過し得るだけの微少面積にし
ておけば、該スリット部の圧力損失で実質的に流体シー
ルが十分に行なえるので、本発明の目的とする強度特性
の優れた糸条を紡糸工程のみの一工程で得ることが可能
となるのである。
なお、本発明方法において、口金1から液体2の液面
までの間の糸条Yの冷却は、室温空気による自然冷却で
もよいが、この間の糸道を安定に保つことが均一な糸条
を得るために好ましく、外気の乱れによる糸条の揺れを
防止するため、金網、鋼板、多孔板、あるいはこれらの
組み合せによるフードを口金と液面の間に設けたり、あ
るいは通常の整流された冷却風を紡出糸条の片側より糸
条に吹きつけ、糸道を安定化する等の手段を用いてもよ
い。
次に前記液体槽および熱処理装置への糸掛けを第1
図、第2図、第4図に示した実施例に基いて説明する。
まず、液体供給管15の上流側に設けた3方弁(図示せ
ず)で液体2の供給を停止し、液体槽3の内部に残った
液体2を排出し、圧空供給管25の上流側に設けた弁(図
示せず)を閉じて、圧空26の供給を停止する。次に加圧
蒸気の供給管14の上流側に設けた3方弁(図示せず)で
加圧蒸気13の供給を停止し、熱処理装置6の内部に残っ
た加圧蒸気13を排出して熱処理装置6の内部に大気圧状
態に戻す。
その後、抜け止めピン24,37,37′を抜き、プラグ23,3
6,36′を各々スリーブ19,38,38′より抜く。次いで熱処
理装置6の下流側のスリーブ38′にサクションガン等の
糸条吸引手段(図示せず)を取り付け、口金から紡出さ
れた糸条Yの液体槽3のスリーブ19より落下させ、熱処
理装置6の上流側のスリーブ38に導き、吸引させて熱処
理装置6の内部に糸通しを行なう。
その後、前記糸条Yをガイド5,8に掛け、スリーブ19,
38,38′の各スリット20,47に糸条Yを通した後、プラグ
23,36,36′を各々スリーブ19,38,38′に入れ、ピン24,3
7,37′を入れてシールが完了する。その後、圧空供給管
25の上流側に設けた弁(図示せず)を開いて圧空26を供
給し、液体供給管15の上流側に設けた3方弁(図示せ
ず)と、加圧蒸気供給管14の上流側に設けた3方弁(図
示せず)とを操作して、液体2および加圧蒸気13を各々
液体槽3および熱処理装置6に供給し、糸条Yをローラ
10,11によって引取って巻取機12により巻取る。
なお、スタート時に熱処理装置6が冷えている場合に
は、多量のドレンが発生する。このような時、排出管45
の下流側のバルブ(図示せず)の開度を加減してドレン
排出をスムーズに行なうことができる。
また、特に単糸繊度が太い糸条を紡糸する場合には、
液体槽の液体が無い状態で糸掛けを行なう必要があるた
め、糸が十分冷却されず、融着、断糸などのトラブルを
引き起すことがあるので、このような場合に対しては、
糸掛け時のみ吐出量を少なくして空気による自然冷却で
紡出糸条を冷却固化するようにしたり、通常の整流され
た冷却風を紡出糸条の片側より吹き付け、強制的に冷却
するようにしたり、あるいは液体槽の位置を口金に対し
て予め下げておき、空冷長を長くし、糸掛け後、元の位
置に戻したり、さらには少量の液体を液体槽のスリーブ
19のスリット20に紡出糸条が入る直前で付与する、ある
いはこれら方法の組み合せで糸掛かけすることにより、
融着、断糸等のトラブルの無い糸掛けが可能となる。
本発明に適用できる溶融紡糸可能な熱可塑性重合体
は、ポリ−ε−カプラミド、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリテトラメチ
レンアジパミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド、
ポリドデカンメチレンドデカミド、ポリメタキシレンア
ジパミド、ポリパラキシレンアジパミド等のポリアミド
類、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレート、ポリエチレン1,2−ジヘエノシエタンP
P′−ジカルボキシレート、ポリナフタレンテレフタレ
ート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン−1等のポリオレフィン類、及びポリ弗
化エチレン−ポリ弗化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアセタール類、通常の
溶融紡糸可能な熱可塑性重合体であり、それぞれ2種類
以上の共重合ポリマ及び混合ポリマ類を含む。
上記熱可塑性重合体のうち、特にポリエステル類を用
いると、本発明の効果がより顕著となる。
本発明の方法における液体としては、水が好ましい
が、有機溶剤、無機塩、油剤、あるいはこれらの水溶液
を用いることもできる。
液体の温度、深さ、口金と液面の間の空冷長等は、紡
糸する糸条の太さ、温度、引取速度、周囲の温度等に応
じて紡出糸条に過度の急冷、液体中での過度の延伸等が
生じないように、また液体槽の底部に設けた糸条通路の
入口では十分に糸条が冷却固化しているように各々選定
する必要がある。液体として水を用いた場合の具体的な
温度としては、後述する表1の実験No1〜5および表2
の実験No7〜11の各実施例で示しているように、15℃以
上、80℃以下の温度が好ましい。また、液体の温度の変
動幅は、これが著しいと錘内、錘間の糸条の物性むらが
生じるので、なるべく小さく抑えるのが好ましく、好ま
しくは±10℃、より好ましくは±5℃以下とするのがよ
い。
また、液体浴の具体的な深さとしては、後述する表1
の実験No1〜5、表2の実験No7〜11および表3の実験No
13〜17の各実施例で説明しているように、40mm以上、28
0mm以下の範囲の深さにすることが大切である。
次に熱処理装置に用いられる加圧蒸気の圧力は、本発
明の効果を著しくするためには、1kg/cm2以上、3kg/cm2
以下にする。なお、本発明で常圧(大気圧)とは0kg/cm
2の圧力である。また、加圧蒸気の充満した熱処置筒の
長さは5cm〜1m程度で十分である。
加圧蒸気の温度は、飽和蒸気温度であることが好まし
いが、配管途中のドレン発生を少なくするために過熱蒸
気を用いても構わない。また、本発明の目的とする物性
向上効果は引取速度を2500m/分以上とすると、特に顕著
となり好ましい。さらにまた操業性や糸掛け性、紡糸安
定性等の点で引取速度は3000〜6000m/分とすることが特
に好ましい。
なお、本実施例では、液体槽の下端の狭窄部および熱
処理装置の両端の狭窄部の態様として、内面上に糸条通
過のできるスリットを設けた円筒状スリーブと、該スリ
ーブに着脱自在に挿入できるプラグとで狭窄部を形成す
る装置を示したが、要は、液体槽内の液体および熱処理
装置の内部の加圧蒸気が実質的に流体的に充分シールで
きるものであることが重要なので、必ずしもこれに限定
されるものではない。
実施例1 第1図乃至第5図に示した紡糸引取装置を用いて固有
粘度[η]=0.63のポリエチレンテレフタレートチップ
を紡糸温度295℃、室温15℃で紡糸した。
口金は孔径0.5mmφ、孔数2のものを用い、吐出量26.
7g/分で紡糸した。口金面より液体槽液面までの空冷距
離は1400mmであり、熱処理装置の加圧蒸気の充満した容
器は、長さは40cm、内径は60mmφの円筒形状のものを用
い、両端の狭窄部のスリット寸法は幅0.2mm、深さ0.2m
m、長さ30mmのものを用いた。
熱処理装置への加圧蒸気の供給は、瀘過径が100μの
環状フィルタにより均一に整流しながら熱処理装置内へ
供給するようにした。
液体槽の下端部の狭窄部のスリット寸法は、幅0.2m
m、深さ0.5mm、長さ30mmのものを用い、スリットの中央
で0.5kg/cm2の圧力の圧空をスリットとほぼ直交方向に
吹き出し、液体の随伴流を除去した。冷却槽出口での糸
条に残留する液体は重量比約7%であった。液体として
は水を用い、供給側で給水加熱器により水温を変えて供
給するようにした。
糸条は、熱処理装置内部で熱延伸された後、外部へ出
て所定の油剤を付与され、引取速度4000m/分の速度で引
取られ、60デニール、2フィラメントの糸条として巻取
られた。
比較のため、第1図の紡糸引取装置において、熱処理
装置を除去し、その他は前記本発明実施例と同様にして
紡糸し、引取糸を得た。
本発明実施例と比較例で得られた糸条の物性を表1に
示した。
表1の実験No1〜5の結果をNo6の比較例と比べると明
らかなように、本発明紡糸方法で得られた糸条は、強度
や高く、伸度を延伸糸並に低くすることができ、機械的
性質の優れたものであり、沸収が低いため、このまま実
用に供することが可能なものであることがわかる。ま
た、水深さが40mmの場合に比べて80mmの方が冷却が十分
になされるため、より優れた性質の糸条が得られる。更
に、加圧蒸気の圧力を上げると、強度は上るが、伸度が
下がり、すなわち延伸性が増すが、3kg/cm2以上にする
と、伸度低下が著しくなることがわかる。
実施例2 第1図乃至第5図に示した紡糸引取装置を用いて、硫
酸相対粘度=2.6のナイロン6チップを紡糸温度265℃、
室温15℃で紡糸した。その他の条件は実施例1に示した
のと同条件で紡糸し、引取速度4000m/分の速度で60デニ
ール、2フィラメントの糸条として巻取られた。
比較例として、第1図の紡糸引取装置において、熱処
理装置を除去し、その他は前記本発明実施例と同様にし
て紡糸し、引取糸を得た。本発明実施例と比較例で得ら
れた糸条の物性を表2に示す。
表2の実験No7〜11の結果をNo12の比較例と比べると
明らかなように、本発明方法で得られた糸条は強度が高
く、機械的性質の優れたものであることがわかる。
水深さが80mmのものに比べて180mmの方が冷却が十分
になるため、より優れた性質の糸条が得られる。更に、
280mmにすると、伸度は若干下がり、強度はほぼ同等で
あり、水深さは180mm前後で十分であることがわかる。
また、加圧蒸気の圧力を上げると、強度は上るが、3k
g/cm2以上に上げると、伸度低下が著しくなることがわ
かる。
実施例3 第1図乃至第5図に示した紡糸引取装置を用いて固有
粘度[η]=0.63のポリエチレンテレフタレートチップ
を紡糸温度295℃、室温15℃で紡糸した。
口金は孔径0.15mmφ、孔数34ケのものを用い、吐出量
15g/分で紡糸した。
その他の条件は、実施例1に示したものと同条件で紡
糸し、引取速度は4000m/分の速度で34デニール、34フィ
ラメントの糸条として巻取られた。比較例として、第1
図の紡糸引取装置において、熱処理装置を除去したも
の、同じく第1図の紡糸引取装置において、液体槽を除
去したもの、液体槽と熱処理装置を除去したものとな
し、その他は前記本発明実施例1と同様にして紡糸し、
引取糸を得た。
本発明実施例と比較例で得られた糸条の物性を表3に
示す。
表3の実験No13〜17の結果をNo18〜20の比較例と比べ
ると明らかなように、本発明方法で得られた糸条は強度
が高く、沸収の低い機械的、熱的性質の優れたものであ
ることがわかる。特に、実験No19で示した液体槽を用い
ない熱処理装置のみの比較例においては、比較的高強度
の物性の糸条を得ることができるが、本発明実施例によ
れば、より一層、強度の高い物性の糸条を得ることがで
きる。また、水深さが40mmのものに比べて80mmのものは
強度が若干上がるが、伸度が下がる傾向があり、水深さ
は40mm前後で十分であることがわかる。
{効果} 本発明は、以下説明した構成とすることにより、次の
如き優れた作用効果を奏する。すなわち、 本発明では紡出した熱可塑性重合体を、深さが40mm
以上、280mm以下の液体浴中を走行通過させた後、引続
いて圧力が1kg/cm2以上、3kg/cm2の加圧蒸気中を走行通
過させることにより、従来では低強度の糸しかできなか
った比較的低速の引取速度で高強度の、熱的安定性の優
れた糸を紡糸工程のみの一工程で製造することができ
る。
また、従来、単糸が切れ易く、安定に紡糸すること
が困難であった単糸3デニール以下、さらには1デニー
ル以下の極細糸が、本発明方法によれば比較的低速で得
られるために、糸切れの少ない安定な紡糸が実現できる
というメリットをもたらす。
更に、従来の冷却風による冷却方法では、糸条の冷
却が不充分で、紡糸工程のみの一工程では機械的物性、
熱的安定性の優れた糸条を得ることができなかった単糸
3デニール以上、さらには10デニール以上の極太糸につ
いても、本発明方法によれば、機械的物性、熱的安定性
の優れた糸条を紡糸工程のみの一工程で製造することが
できる。
このため、わざわざ新たな紡糸機を作ることなく、
現在の紡糸機に一部改造と施すのみで、上記メリットの
ある製糸設備が低コストで実現でき、産業上極めて有意
義なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る熱可塑性合成繊維の製造方法の
代表的な実施態様を示す概略図である。第2図は、本発
明方法を実施するに際し、好ましく適用される液体槽の
縦断面図である。第3図は、第2図のA−A矢視横断面
図である。第4図は、本発明方法を実施するに際し、好
ましく適用される熱処理装置の縦断面図である。第5図
は、第4図のB−B矢視横断面図である。 図面中の符号の説明 1:口金、2:液体 3:液体槽、4:狭窄部 5,8:ガイド、6:熱処理装置 7,7′:狭窄部、9:給油装置 10,11:引取りローラ 12:巻取機

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性重合体を溶融紡糸するに際して、
    口金から紡出した糸条を、口金下に設置した深さが40mm
    以上、280mm以下の液体浴中をほぼ直線状に走行通過さ
    せ、引き続いて圧力が1kg/cm2以上、3kg/cm2以下の加圧
    蒸気が充満し、両端に糸条通過のできる狭窄部を有する
    加熱容器中を走行通過させた後、引き取ることを特徴と
    する熱可塑性合成繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】液体浴中で紡出糸条を延伸することを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の熱可塑性合成繊維の
    製造方法。
  3. 【請求項3】紡出糸条を加熱容器中で延伸するととも
    に、熱処理することを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の熱可塑性合成繊維の製造方法。
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