JPH09194353A - Hsp60ファミリーに属するタンパク質のジンゲロール含有合成抑制剤 - Google Patents
Hsp60ファミリーに属するタンパク質のジンゲロール含有合成抑制剤Info
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- JPH09194353A JPH09194353A JP8027353A JP2735396A JPH09194353A JP H09194353 A JPH09194353 A JP H09194353A JP 8027353 A JP8027353 A JP 8027353A JP 2735396 A JP2735396 A JP 2735396A JP H09194353 A JPH09194353 A JP H09194353A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 分子量57キロダルトンから68キロダルト
ンまでの間の熱ショックタンパク質(HSP60ファミ
リー)がその発症に関与する自己免疫疾患(例えば、I
型糖尿病や慢性関節リウマチなど)の患者の生理学的状
態を有効に改善させ、前記病気を効果的に治療すること
ができる、HSP60ファミリーに属するタンパク質の
合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 ジンゲロール又はその誘導体を有効成分
として含有する。
ンまでの間の熱ショックタンパク質(HSP60ファミ
リー)がその発症に関与する自己免疫疾患(例えば、I
型糖尿病や慢性関節リウマチなど)の患者の生理学的状
態を有効に改善させ、前記病気を効果的に治療すること
ができる、HSP60ファミリーに属するタンパク質の
合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 ジンゲロール又はその誘導体を有効成分
として含有する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジンゲロール又は
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールを有効成分とし
て含有する、分子量が57キロダルトン(kD)から6
8kDまでの間の熱ショックタンパク質群(以下、HS
P60ファミリーと称する)に属するタンパク質の合成
抑制剤に関する。本発明によるHSP60ファミリーに
属するタンパク質の合成抑制剤は、特に、HSP60フ
ァミリーに属するタンパク質の組織内合成を抑制するこ
とにより、HSP60ファミリーに属するタンパク質が
発症に関与するものと考えられている自己免疫疾患、例
えばI型糖尿病、慢性関節リウマチなどの病気の患者の
生理学的状態を有効に改善させ、I型糖尿病や慢性関節
リウマチなどの自己免疫疾患を効果的に治療することが
できる。
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールを有効成分とし
て含有する、分子量が57キロダルトン(kD)から6
8kDまでの間の熱ショックタンパク質群(以下、HS
P60ファミリーと称する)に属するタンパク質の合成
抑制剤に関する。本発明によるHSP60ファミリーに
属するタンパク質の合成抑制剤は、特に、HSP60フ
ァミリーに属するタンパク質の組織内合成を抑制するこ
とにより、HSP60ファミリーに属するタンパク質が
発症に関与するものと考えられている自己免疫疾患、例
えばI型糖尿病、慢性関節リウマチなどの病気の患者の
生理学的状態を有効に改善させ、I型糖尿病や慢性関節
リウマチなどの自己免疫疾患を効果的に治療することが
できる。
【0002】
【従来の技術】近年、自己免疫疾患が大きな問題となっ
ている。自己免疫疾患とは、本来ならば自己の身体を構
成する成分に対しては攻撃しないはずの免疫系が、自己
の組織と反応して破壊してしまう病気であり、例えば、
I型糖尿病や慢性関節リウマチなどが含まれる。例え
ば、近年わが国では、経済・社会・文化の発達と、生活
水準の向上や生活様式の変化に伴って、糖尿病患者は著
しく増加し、病態も重症化、複雑化してきた。糖尿病学
の進歩によって、患者の予後は改善したとはいえ、特有
な網膜症、腎症及び神経障害が多発し、加えて動脈硬化
も促進され、健康と社会活動に多大な支障をきたしてい
る。糖尿病のうち、I型糖尿病(インスリン依存性糖尿
病;insulin-dependent diabetes mellitus ;IDD
M)の発生率は、多くの国でこの数十年間に数倍に増加
し、現在生きているヒトの1%は70才になるまでにI
型糖尿病に罹病するものと予想されている。
ている。自己免疫疾患とは、本来ならば自己の身体を構
成する成分に対しては攻撃しないはずの免疫系が、自己
の組織と反応して破壊してしまう病気であり、例えば、
I型糖尿病や慢性関節リウマチなどが含まれる。例え
ば、近年わが国では、経済・社会・文化の発達と、生活
水準の向上や生活様式の変化に伴って、糖尿病患者は著
しく増加し、病態も重症化、複雑化してきた。糖尿病学
の進歩によって、患者の予後は改善したとはいえ、特有
な網膜症、腎症及び神経障害が多発し、加えて動脈硬化
も促進され、健康と社会活動に多大な支障をきたしてい
る。糖尿病のうち、I型糖尿病(インスリン依存性糖尿
病;insulin-dependent diabetes mellitus ;IDD
M)の発生率は、多くの国でこの数十年間に数倍に増加
し、現在生きているヒトの1%は70才になるまでにI
型糖尿病に罹病するものと予想されている。
【0003】I型糖尿病は、インスリン産生細胞である
膵臓ランゲルハンス島のβ細胞だけが自己免疫的に破壊
されるためにインスリン欠乏状態となる疾患で、臓器特
異的な自己免疫疾患である(Atkinson, M. A. et al.:
"Sci. Am.", 263 : 42-49, 1990; Todd JA.: "Immunol.
Today", 11: 122-129, 1990)。I型糖尿病をおこす自
己免疫過程は、非常に厳密に膵臓だけに限られており、
しばしば大人になる前に発症してくることが多い。I型
糖尿病が臨床的に発症するときには、膵島の炎症(膵島
炎)があり、インスリンを産生しているβ細胞の大半が
特異的に失われる(Atkinson, M. A., et al.: "Sci. A
m.", 263 : 62-67, 1990)。糖尿病の臨床症状は、β細
胞の大部分(おそらく90%以上)が再生できない程度
にまで破壊された後に初めて現れ、患者の生存はインス
リンの外的供給に依存することになる。即ち、臨床診断
によって発見することができる時期には、この自己免疫
反応が既に不可逆的な損傷を与えており、しかもその多
くは顕著な自覚症状を示さない等、I型糖尿病は多くの
問題を含んでいる。
膵臓ランゲルハンス島のβ細胞だけが自己免疫的に破壊
されるためにインスリン欠乏状態となる疾患で、臓器特
異的な自己免疫疾患である(Atkinson, M. A. et al.:
"Sci. Am.", 263 : 42-49, 1990; Todd JA.: "Immunol.
Today", 11: 122-129, 1990)。I型糖尿病をおこす自
己免疫過程は、非常に厳密に膵臓だけに限られており、
しばしば大人になる前に発症してくることが多い。I型
糖尿病が臨床的に発症するときには、膵島の炎症(膵島
炎)があり、インスリンを産生しているβ細胞の大半が
特異的に失われる(Atkinson, M. A., et al.: "Sci. A
m.", 263 : 62-67, 1990)。糖尿病の臨床症状は、β細
胞の大部分(おそらく90%以上)が再生できない程度
にまで破壊された後に初めて現れ、患者の生存はインス
リンの外的供給に依存することになる。即ち、臨床診断
によって発見することができる時期には、この自己免疫
反応が既に不可逆的な損傷を与えており、しかもその多
くは顕著な自覚症状を示さない等、I型糖尿病は多くの
問題を含んでいる。
【0004】また、慢性関節リウマチは、関節滑膜を病
変の主座とする慢性炎症性疾患である。病変部位はとき
として関節滑膜のみにとどまらず、全身に及ぶこともま
れではない。関節滑膜に初発した炎症は、やがて滑膜増
殖、更に軟骨及び骨の破壊を起こし、関節組織の破壊が
引き起こされる。その結果、患者は社会的にも家庭的に
も著しく制限を受けるのみならず、経済的負担も無視で
きないものとなる。慢性関節リウマチの患者数は人口の
0.1〜0.3%とされる。これは慢性関節リウマチの
確診例であって、疑診例などや慢性関節リウマチの周辺
疾患を含めると患者数はその10倍前後にも増えるもの
と思われる。
変の主座とする慢性炎症性疾患である。病変部位はとき
として関節滑膜のみにとどまらず、全身に及ぶこともま
れではない。関節滑膜に初発した炎症は、やがて滑膜増
殖、更に軟骨及び骨の破壊を起こし、関節組織の破壊が
引き起こされる。その結果、患者は社会的にも家庭的に
も著しく制限を受けるのみならず、経済的負担も無視で
きないものとなる。慢性関節リウマチの患者数は人口の
0.1〜0.3%とされる。これは慢性関節リウマチの
確診例であって、疑診例などや慢性関節リウマチの周辺
疾患を含めると患者数はその10倍前後にも増えるもの
と思われる。
【0005】一方、熱ショックタンパク質(heat shock
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞を何らかのストレス、例えば、熱、重金属、薬剤、
アミノ酸類似体、又は低酸素(低濃度酸素)などで刺激
することにより、細胞に発現される一群のタンパク質で
ある。熱ショックタンパク質は、自然界に普遍的に存在
しており、細菌、酵母、植物、昆虫、及びヒトを含む高
等動物により産生される。
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞を何らかのストレス、例えば、熱、重金属、薬剤、
アミノ酸類似体、又は低酸素(低濃度酸素)などで刺激
することにより、細胞に発現される一群のタンパク質で
ある。熱ショックタンパク質は、自然界に普遍的に存在
しており、細菌、酵母、植物、昆虫、及びヒトを含む高
等動物により産生される。
【0006】HSPは、その種類は多種多様であるが、
分子量の大きさからHSP90ファミリー(例えば、9
0kD又は110kDのHSPなど)、HSP70ファ
ミリー(例えば、70〜73kDのHSPなど)、HS
P60ファミリー(例えば、57〜68kDのHSPな
ど)、低分子HSPファミリー(例えば、20kD、2
5〜28kD、又は47kDのHSPなど)の4ファミ
リーに大別することができる。なお、本明細書において
は、特定分子量を有するHSPを、HSPとその直後に
記載する数字とによって示すものとし、例えば、分子量
60kDのHSPを『HSP60』と称するものとす
る。以上のように、HSPには多くの種類が存在する
が、これらは分子量だけでなく、構造、機能、又は性質
などもそれぞれ異なるものである。ストレスへの応答に
加えて、これらのタンパク質の中には構成的に合成され
るものがあり、正常な環境の下で、タンパク質のフォー
ルディング、アンフォールディング、タンパク質サブユ
ニットの会合、タンパク質の膜輸送のような、必須の生
理的な役割を演じていることが示されている。熱ショッ
クタンパク質としてのこれらの機能は、分子シャペロン
と称される。
分子量の大きさからHSP90ファミリー(例えば、9
0kD又は110kDのHSPなど)、HSP70ファ
ミリー(例えば、70〜73kDのHSPなど)、HS
P60ファミリー(例えば、57〜68kDのHSPな
ど)、低分子HSPファミリー(例えば、20kD、2
5〜28kD、又は47kDのHSPなど)の4ファミ
リーに大別することができる。なお、本明細書において
は、特定分子量を有するHSPを、HSPとその直後に
記載する数字とによって示すものとし、例えば、分子量
60kDのHSPを『HSP60』と称するものとす
る。以上のように、HSPには多くの種類が存在する
が、これらは分子量だけでなく、構造、機能、又は性質
などもそれぞれ異なるものである。ストレスへの応答に
加えて、これらのタンパク質の中には構成的に合成され
るものがあり、正常な環境の下で、タンパク質のフォー
ルディング、アンフォールディング、タンパク質サブユ
ニットの会合、タンパク質の膜輸送のような、必須の生
理的な役割を演じていることが示されている。熱ショッ
クタンパク質としてのこれらの機能は、分子シャペロン
と称される。
【0007】自己免疫疾患の病因に関して注目されてい
ることのひとつに、分子相同性(molecular mimicry)が
ある。すなわち、自己抗原が微生物などの外来抗原と共
通抗原性をもっている場合、微生物感染によって生成さ
れる抗体や感作リンパ球が交叉反応によって自己の組織
を攻撃してしまう結果、自己免疫疾患が発症するものと
考えられている(Atkinson, M. A. et al.: "Sci. A
m.", 263 : 42-49, 1990;Shinha, A. A. et al.: "Scie
nce", 248 : 1380-1388, 1990)。例えば、細菌のHSP
60ファミリーに属するタンパク質は、結核、らい病、
梅毒、在郷軍人病、又はライム病などの主たる抗原であ
り(Young, R. A. et al.: "Cell", 59:5-8, 1989)、
かつ、細菌のHSP60ファミリーに属するタンパク質
は強い免疫原性を有し、及び自己の(宿主であるヒト
の)タンパク質との分子相同性を有するために、感染症
がトリガーとなった分子相同性による自己免疫疾患が発
症するものと考えられている。
ることのひとつに、分子相同性(molecular mimicry)が
ある。すなわち、自己抗原が微生物などの外来抗原と共
通抗原性をもっている場合、微生物感染によって生成さ
れる抗体や感作リンパ球が交叉反応によって自己の組織
を攻撃してしまう結果、自己免疫疾患が発症するものと
考えられている(Atkinson, M. A. et al.: "Sci. A
m.", 263 : 42-49, 1990;Shinha, A. A. et al.: "Scie
nce", 248 : 1380-1388, 1990)。例えば、細菌のHSP
60ファミリーに属するタンパク質は、結核、らい病、
梅毒、在郷軍人病、又はライム病などの主たる抗原であ
り(Young, R. A. et al.: "Cell", 59:5-8, 1989)、
かつ、細菌のHSP60ファミリーに属するタンパク質
は強い免疫原性を有し、及び自己の(宿主であるヒト
の)タンパク質との分子相同性を有するために、感染症
がトリガーとなった分子相同性による自己免疫疾患が発
症するものと考えられている。
【0008】例えば、糖尿病の患者やその家族の血中に
検出される64kDタンパク質と反応する抗体(64k
D自己抗体)はβ細胞特異的であるし、また糖尿病と診
断される直前によく出現しやすい。すなわち、I型糖尿
病において発症の原因と考えられている膵島細胞抗原
は、分子量64kDの糖タンパク質(Baekkeskov, S. e
t al.: "Nature", 298 : 167-169, 1982)である。64
kDタンパク質に対する抗体はヒトの糖尿病のみならず
(Atkinson, M. A. et al.: "Lancet", 335 : 1357-136
0, 1990)、BBラット(Baekkeskov, S. et al.: "Scie
nce", 224 : 1348-1350, 1984)やNODマウス(Atkins
on, M. A. et al.: "Diabetes", 37: 1587-1590, 1988)
などのように、自然にI型糖尿病を発症し、ヒトのI型
糖尿病の多くの特徴を示す、I型糖尿病のモデル動物に
おいても検出される。I型糖尿病における膵臓β細胞の
64kDタンパク質は、サイトカインや熱刺激で誘導さ
れるので、熱ショックタンパク質である可能性がある。
検出される64kDタンパク質と反応する抗体(64k
D自己抗体)はβ細胞特異的であるし、また糖尿病と診
断される直前によく出現しやすい。すなわち、I型糖尿
病において発症の原因と考えられている膵島細胞抗原
は、分子量64kDの糖タンパク質(Baekkeskov, S. e
t al.: "Nature", 298 : 167-169, 1982)である。64
kDタンパク質に対する抗体はヒトの糖尿病のみならず
(Atkinson, M. A. et al.: "Lancet", 335 : 1357-136
0, 1990)、BBラット(Baekkeskov, S. et al.: "Scie
nce", 224 : 1348-1350, 1984)やNODマウス(Atkins
on, M. A. et al.: "Diabetes", 37: 1587-1590, 1988)
などのように、自然にI型糖尿病を発症し、ヒトのI型
糖尿病の多くの特徴を示す、I型糖尿病のモデル動物に
おいても検出される。I型糖尿病における膵臓β細胞の
64kDタンパク質は、サイトカインや熱刺激で誘導さ
れるので、熱ショックタンパク質である可能性がある。
【0009】I型糖尿病のモデル動物であるNODマウ
スにおける膵臓ランゲルハンス島β細胞の64kDタン
パク質は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のH
SP60ファミリーに属するタンパク質に対する抗体と
免疫学的に交叉反応性を示す自己抗原であることが示さ
れている。このように、HSP60ファミリーに属する
タンパク質と64kDタンパク質自己抗原との間に免疫
学的交叉が観察されることにより、膵臓β細胞の64k
Dタンパク質がHSP60ファミリーの一員である可能
性があり、HSP60ファミリーに属するタンパク質の
エピトープと交叉する自己免疫の機序が、I型糖尿病の
発症に関与することが示唆されている。また、結核菌の
HSP60ファミリーに属するタンパク質に特異性を有
するTリンパ球のクローンを移入すると、幼若NODマ
ウスにランゲルハンス島炎と高血糖を引き起こす。ま
た、結核菌のHSP60ファミリーに属するタンパク質
を免疫原性のある投与方法、すなわちアジュバントとと
もにNODマウスに注射すると、糖尿病を早期に発症さ
せ得る(Elias, D. et al.: "Proc. Natl. Acad. Sci.
USA", 87: 1576-1580, 1990)。マイコバクテリアのHS
P60ファミリーに属するタンパク質に対する動物の免
疫反応がI型糖尿病を引き起こすというこれらの事実
は、マイコバクテリアのHSP60ファミリーに属する
タンパク質に対する抗体と交叉反応する抗原に対する免
疫系による攻撃が、β細胞に障害を与えることを示して
いる。
スにおける膵臓ランゲルハンス島β細胞の64kDタン
パク質は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のH
SP60ファミリーに属するタンパク質に対する抗体と
免疫学的に交叉反応性を示す自己抗原であることが示さ
れている。このように、HSP60ファミリーに属する
タンパク質と64kDタンパク質自己抗原との間に免疫
学的交叉が観察されることにより、膵臓β細胞の64k
Dタンパク質がHSP60ファミリーの一員である可能
性があり、HSP60ファミリーに属するタンパク質の
エピトープと交叉する自己免疫の機序が、I型糖尿病の
発症に関与することが示唆されている。また、結核菌の
HSP60ファミリーに属するタンパク質に特異性を有
するTリンパ球のクローンを移入すると、幼若NODマ
ウスにランゲルハンス島炎と高血糖を引き起こす。ま
た、結核菌のHSP60ファミリーに属するタンパク質
を免疫原性のある投与方法、すなわちアジュバントとと
もにNODマウスに注射すると、糖尿病を早期に発症さ
せ得る(Elias, D. et al.: "Proc. Natl. Acad. Sci.
USA", 87: 1576-1580, 1990)。マイコバクテリアのHS
P60ファミリーに属するタンパク質に対する動物の免
疫反応がI型糖尿病を引き起こすというこれらの事実
は、マイコバクテリアのHSP60ファミリーに属する
タンパク質に対する抗体と交叉反応する抗原に対する免
疫系による攻撃が、β細胞に障害を与えることを示して
いる。
【0010】また、HSP60ファミリーに属するタン
パク質は、慢性関節リウマチの動物モデルであるラット
のアジュバント関節炎や、ヒトのリウマチ関節炎に関連
していることが知られている。例えば、慢性関節リウマ
チの場合、細菌の菌体タンパク質である熱ショックタン
パク質のなかでもHSP60ファミリーに属するタンパ
ク質は、関節軟骨に存在するプロテオグリカンと分子相
同性をもっていることが明らかとなっている。ラットの
アジュバント関節炎ではHSP60ファミリーに属する
タンパク質反応性Tリンパ球の関与が示されている("C
urr. Top. Microbiol. Immunol.", 145 : 27-83, 198
9)。この疾患は、放射線照射を受けた免疫学的に無防備
の(native)ラットに、結核菌のHSP60ファ
ミリーに属するタンパク質に対して反応性のTリンパ球
のクローンを移入することにより、前記ラットに移すこ
とができることが見出された("Science", 219 : 56-5
8, 1983; "Nature", 331: 171-173, 1988)。このTリ
ンパ球は同時に関節のプロテオグリカンとも交叉反応性
を示す("Proc. Natl. Acad. Sci. USA", 82: 5117-512
0, 1985)。このHSP60ファミリーに属するタンパク
質で誘導される調節性Tリンパ球は、溶連菌やプリステ
インによる関節炎でも認められている。従って、アジュ
バント関節炎は、抗HSP60ファミリーに属するタン
パク質Tリンパ球により引き起こされる自己免疫疾患の
ようである。また、ヒトの若年性関節リウマチでもHS
P60ファミリーに属するタンパク質反応性Tリンパ球
の関与が考えられている。
パク質は、慢性関節リウマチの動物モデルであるラット
のアジュバント関節炎や、ヒトのリウマチ関節炎に関連
していることが知られている。例えば、慢性関節リウマ
チの場合、細菌の菌体タンパク質である熱ショックタン
パク質のなかでもHSP60ファミリーに属するタンパ
ク質は、関節軟骨に存在するプロテオグリカンと分子相
同性をもっていることが明らかとなっている。ラットの
アジュバント関節炎ではHSP60ファミリーに属する
タンパク質反応性Tリンパ球の関与が示されている("C
urr. Top. Microbiol. Immunol.", 145 : 27-83, 198
9)。この疾患は、放射線照射を受けた免疫学的に無防備
の(native)ラットに、結核菌のHSP60ファ
ミリーに属するタンパク質に対して反応性のTリンパ球
のクローンを移入することにより、前記ラットに移すこ
とができることが見出された("Science", 219 : 56-5
8, 1983; "Nature", 331: 171-173, 1988)。このTリ
ンパ球は同時に関節のプロテオグリカンとも交叉反応性
を示す("Proc. Natl. Acad. Sci. USA", 82: 5117-512
0, 1985)。このHSP60ファミリーに属するタンパク
質で誘導される調節性Tリンパ球は、溶連菌やプリステ
インによる関節炎でも認められている。従って、アジュ
バント関節炎は、抗HSP60ファミリーに属するタン
パク質Tリンパ球により引き起こされる自己免疫疾患の
ようである。また、ヒトの若年性関節リウマチでもHS
P60ファミリーに属するタンパク質反応性Tリンパ球
の関与が考えられている。
【0011】また、慢性関節リウマチの患者の滑液中か
らマイコバクテリア由来のHSP60ファミリーに属す
るタンパク質に対して、特異的に反応するTリンパ球が
取り出されている("Lancet", II: 478-480, 1988; "Na
ture", 339 : 226, 1989; "Annu. Rev. Immunol.", 1
1: 637, 1993)。このように、マイコバクテリアのHS
P60ファミリーに属するタンパク質と交叉反応性を示
すタンパク質が高濃度に慢性関節リウマチの軟骨/パン
ヌス接合部に認められるのに対し、正常な組織や他の疾
患による慢性の炎症を呈する組織においては認められな
い("Scand. J. Immunol.", 31: 283-288, 1990)。更
に、HSP60ファミリーに属するタンパク質に対する
抗体がヒト及びラットの慢性関節リウマチで検出される
(Kaufmann,S. H. E., et al.: "Immunol. Today", 11:
129-136, 1990)ことからも、慢性関節リウマチの病因
がマイコバクテリアのHSP60ファミリーに属するタ
ンパク質と構造の類似した自己抗原に対する自己免疫で
あるという可能性がある。従ってHSP60ファミリー
に属するタンパク質に対する免疫応答の存在はラット及
びヒトの両方の関節炎に関連している。
らマイコバクテリア由来のHSP60ファミリーに属す
るタンパク質に対して、特異的に反応するTリンパ球が
取り出されている("Lancet", II: 478-480, 1988; "Na
ture", 339 : 226, 1989; "Annu. Rev. Immunol.", 1
1: 637, 1993)。このように、マイコバクテリアのHS
P60ファミリーに属するタンパク質と交叉反応性を示
すタンパク質が高濃度に慢性関節リウマチの軟骨/パン
ヌス接合部に認められるのに対し、正常な組織や他の疾
患による慢性の炎症を呈する組織においては認められな
い("Scand. J. Immunol.", 31: 283-288, 1990)。更
に、HSP60ファミリーに属するタンパク質に対する
抗体がヒト及びラットの慢性関節リウマチで検出される
(Kaufmann,S. H. E., et al.: "Immunol. Today", 11:
129-136, 1990)ことからも、慢性関節リウマチの病因
がマイコバクテリアのHSP60ファミリーに属するタ
ンパク質と構造の類似した自己抗原に対する自己免疫で
あるという可能性がある。従ってHSP60ファミリー
に属するタンパク質に対する免疫応答の存在はラット及
びヒトの両方の関節炎に関連している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
情に鑑み、I型糖尿病や慢性関節リウマチなどの自己免
疫疾患の患者の生理学的状態を有効に改善することがで
き、それらの自己免疫疾患を効果的に治療することので
きる方法を開発するために、HSP60ファミリーに属
するタンパク質に対して合成抑制作用を示す化合物に関
して種々検討を重ねてきた。その結果、本発明者らは、
意外にも、ショウキョウの成分であるジンゲロール、又
はその誘導体、特に[6]−ジンゲロールが、病態を示
す組織の細胞におけるHSP60ファミリーに属するタ
ンパク質の合成を特異的に抑制することを見出した。す
なわち、ジンゲロール、又はその誘導体を投与すること
により、細胞内でのHSP60ファミリーに属するタン
パク質の合成が抑制され、従って、I型糖尿病や慢性関
節リウマチなどの自己免疫疾患の治療が可能であること
を見出したのである。本発明はこうした知見に基づくも
のであり、I型糖尿病や慢性関節リウマチなどの自己免
疫疾患を効果的に治療することのできる、HSP60フ
ァミリーに属するタンパク質の合成抑制剤を提供するこ
とを目的とする。
情に鑑み、I型糖尿病や慢性関節リウマチなどの自己免
疫疾患の患者の生理学的状態を有効に改善することがで
き、それらの自己免疫疾患を効果的に治療することので
きる方法を開発するために、HSP60ファミリーに属
するタンパク質に対して合成抑制作用を示す化合物に関
して種々検討を重ねてきた。その結果、本発明者らは、
意外にも、ショウキョウの成分であるジンゲロール、又
はその誘導体、特に[6]−ジンゲロールが、病態を示
す組織の細胞におけるHSP60ファミリーに属するタ
ンパク質の合成を特異的に抑制することを見出した。す
なわち、ジンゲロール、又はその誘導体を投与すること
により、細胞内でのHSP60ファミリーに属するタン
パク質の合成が抑制され、従って、I型糖尿病や慢性関
節リウマチなどの自己免疫疾患の治療が可能であること
を見出したのである。本発明はこうした知見に基づくも
のであり、I型糖尿病や慢性関節リウマチなどの自己免
疫疾患を効果的に治療することのできる、HSP60フ
ァミリーに属するタンパク質の合成抑制剤を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、ジン
ゲロール又はその誘導体、特に[6]−ジンゲロールを
有効成分として含有することを特徴とする、分子量57
キロダルトンから68キロダルトンまでの間の熱ショッ
クタンパク質(すなわち、HSP60ファミリーに属す
るタンパク質)の合成抑制剤に関する。本明細書におい
て、「HSP60ファミリー」とは、前記のとおり、分
子量が57kD〜68kDの熱ショックタンパク質群を
意味する。また、HSP60ファミリーに属するタンパ
ク質としては、例えば、HSP60(すなわち、分子量
60kDの熱ショックタンパク質)、HSP58(すな
わち、分子量58kDの熱ショックタンパク質)、HS
P65(すなわち、分子量65kDの熱ショックタンパ
ク質)、又はGroEL(すなわち、原核生物、例え
ば、大腸菌などの分子量約64kDの熱ショックタンパ
ク質)などを挙げることができる。
ゲロール又はその誘導体、特に[6]−ジンゲロールを
有効成分として含有することを特徴とする、分子量57
キロダルトンから68キロダルトンまでの間の熱ショッ
クタンパク質(すなわち、HSP60ファミリーに属す
るタンパク質)の合成抑制剤に関する。本明細書におい
て、「HSP60ファミリー」とは、前記のとおり、分
子量が57kD〜68kDの熱ショックタンパク質群を
意味する。また、HSP60ファミリーに属するタンパ
ク質としては、例えば、HSP60(すなわち、分子量
60kDの熱ショックタンパク質)、HSP58(すな
わち、分子量58kDの熱ショックタンパク質)、HS
P65(すなわち、分子量65kDの熱ショックタンパ
ク質)、又はGroEL(すなわち、原核生物、例え
ば、大腸菌などの分子量約64kDの熱ショックタンパ
ク質)などを挙げることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の合成抑制剤は、有効成分としてジンゲロ
ール又はその誘導体を含有する。本明細書においてジン
ゲロールとは、例えば、[3]−ジンゲロール([3]
−gingerol)、[4]−ジンゲロール([4]
−gingerol)、[5]−ジンゲロール([5]
−gingerol)、[6]−ジンゲロール([6]
−gingerol)、[8]−ジンゲロール([8]
−gingerol)、[10]−ジンゲロール([1
0]−gingerol)、又は[12]−ジンゲロー
ル([12]−gingerol)等を意味する。本発
明においては、それらのジンゲロール同族体は、単独で
用いることもできるし、あるいは、異なる複数のジンゲ
ロールを組み合わせて同時に用いることもできる。本発
明の合成抑制剤において用いられるジンゲロールとして
は、特に、[6]−ジンゲロール〔(S)−5−ヒドロ
キシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)
−3−デカノン;C17H26O4 =294.38〕が最も
好適である。[6]−ジンゲロールは、式
する。本発明の合成抑制剤は、有効成分としてジンゲロ
ール又はその誘導体を含有する。本明細書においてジン
ゲロールとは、例えば、[3]−ジンゲロール([3]
−gingerol)、[4]−ジンゲロール([4]
−gingerol)、[5]−ジンゲロール([5]
−gingerol)、[6]−ジンゲロール([6]
−gingerol)、[8]−ジンゲロール([8]
−gingerol)、[10]−ジンゲロール([1
0]−gingerol)、又は[12]−ジンゲロー
ル([12]−gingerol)等を意味する。本発
明においては、それらのジンゲロール同族体は、単独で
用いることもできるし、あるいは、異なる複数のジンゲ
ロールを組み合わせて同時に用いることもできる。本発
明の合成抑制剤において用いられるジンゲロールとして
は、特に、[6]−ジンゲロール〔(S)−5−ヒドロ
キシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)
−3−デカノン;C17H26O4 =294.38〕が最も
好適である。[6]−ジンゲロールは、式
【化1】 で表される化合物であり、例えば、ショウキョウ等の生
薬に含まれている。
薬に含まれている。
【0015】本発明の合成抑制剤に含有されるジンゲロ
ール又はその誘導体は、化学合成によって、又は天然物
から抽出して精製することによって、調製することがで
きる。あるいは、市販品を用いてもよい。また、本発明
の合成抑制剤において有効成分として用いるジンゲロー
ルを、天然物から抽出する場合には、ジンゲロールを含
有する植物の全体又は一部分(例えば、全草、葉、根、
根茎、茎、根皮、若しくは花)をそのまま用いて、又は
簡単に加工処理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末
化)したもの(例えば、生薬)を用いて抽出する。抽出
条件は一般的に植物抽出に用いられる条件ならば特に制
限はない。
ール又はその誘導体は、化学合成によって、又は天然物
から抽出して精製することによって、調製することがで
きる。あるいは、市販品を用いてもよい。また、本発明
の合成抑制剤において有効成分として用いるジンゲロー
ルを、天然物から抽出する場合には、ジンゲロールを含
有する植物の全体又は一部分(例えば、全草、葉、根、
根茎、茎、根皮、若しくは花)をそのまま用いて、又は
簡単に加工処理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末
化)したもの(例えば、生薬)を用いて抽出する。抽出
条件は一般的に植物抽出に用いられる条件ならば特に制
限はない。
【0016】本発明におけるジンゲロールは、生薬から
抽出する場合、これに限定するものではないが、例えば
ショウキョウから抽出することが好ましい。ショウキョ
ウ(生姜:Ginger;Zingiberis Rh
izoma)とは、ショウガ(Zingiber of
ficinale Roscoe)の根茎の生又は乾燥
物を意味し、それらの部分を単独であるいは任意に組み
合わせて使用することができる。
抽出する場合、これに限定するものではないが、例えば
ショウキョウから抽出することが好ましい。ショウキョ
ウ(生姜:Ginger;Zingiberis Rh
izoma)とは、ショウガ(Zingiber of
ficinale Roscoe)の根茎の生又は乾燥
物を意味し、それらの部分を単独であるいは任意に組み
合わせて使用することができる。
【0017】本発明による合成抑制剤において有効成分
として用いるショウキョウ抽出物は、前記のジンゲロー
ル、特に[6]−ジンゲロールを含有していればよく、
従って、ショウキョウの粗抽出物を用いることができ
る。本発明で用いるショウキョウ抽出物の製造方法とし
ては、ショウキョウを、例えば、水(例えば、温水、好
ましくは熱湯)によって抽出するか、又は有機溶媒を用
いて抽出する。有機溶媒としては、例えば、メチルアル
コール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト
ン、メチルイソブチルケトン、石油エーテル、シクロヘ
キサン、四塩化炭素、トルエン、ベンゼン、ジクロロメ
タン、クロロホルム、エーテル、ピリジン、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、又はアセトニトリルなどを用いることができ、こ
れらの有機溶媒を単独、又は適宜組み合わせ、一定の比
率で混合し、更には無水又は含水状態で用いることがで
きる。好ましくは、エチルアルコール−水混合溶媒、エ
チルアルコール、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、
アセトン、又は熱石油エーテル等が望ましい。
として用いるショウキョウ抽出物は、前記のジンゲロー
ル、特に[6]−ジンゲロールを含有していればよく、
従って、ショウキョウの粗抽出物を用いることができ
る。本発明で用いるショウキョウ抽出物の製造方法とし
ては、ショウキョウを、例えば、水(例えば、温水、好
ましくは熱湯)によって抽出するか、又は有機溶媒を用
いて抽出する。有機溶媒としては、例えば、メチルアル
コール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト
ン、メチルイソブチルケトン、石油エーテル、シクロヘ
キサン、四塩化炭素、トルエン、ベンゼン、ジクロロメ
タン、クロロホルム、エーテル、ピリジン、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、又はアセトニトリルなどを用いることができ、こ
れらの有機溶媒を単独、又は適宜組み合わせ、一定の比
率で混合し、更には無水又は含水状態で用いることがで
きる。好ましくは、エチルアルコール−水混合溶媒、エ
チルアルコール、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、
アセトン、又は熱石油エーテル等が望ましい。
【0018】水抽出又は有機溶媒抽出の方法としては、
通常の生薬抽出に用いられる方法を用いることができ、
例えば(乾燥)ショウキョウ1重量部に対し、水又は有
機溶媒5〜300重量部を用いて、攪拌しながら、その
沸点以下の温度で加熱還流することが望ましい。抽出工
程は、通常は5分〜7日間、好ましくは10分〜24時
間実施し、必要に応じて、攪拌等の補助的手段を加える
ことにより、抽出時間を短縮することができる。
通常の生薬抽出に用いられる方法を用いることができ、
例えば(乾燥)ショウキョウ1重量部に対し、水又は有
機溶媒5〜300重量部を用いて、攪拌しながら、その
沸点以下の温度で加熱還流することが望ましい。抽出工
程は、通常は5分〜7日間、好ましくは10分〜24時
間実施し、必要に応じて、攪拌等の補助的手段を加える
ことにより、抽出時間を短縮することができる。
【0019】抽出工程終了後、濾過又は遠心分離等の適
当な方法により、水又は有機溶媒抽出液から、不溶物を
分離して粗抽出物を得ることができる。なお、本発明の
合成抑制剤において、天然物より抽出、分画したジンゲ
ロール、特に[6]−ジンゲロールを用いる場合には、
前記の粗抽出物を特に精製することなく、そのまま使用
してもよい。常法による熱水抽出物又は有機溶媒抽出物
の他に、前記の粗抽出物を各種有機溶媒又は吸着剤等に
より、更に処理した精製抽出物も、本発明の合成抑制剤
の有効成分として用いることができる。これらの粗抽出
物及び各種の精製処理を終えた精製抽出物を含むショウ
キョウ抽出物は、抽出したままの溶液を用いても、溶媒
を濃縮したエキスを用いても良いし、溶媒を留去し乾燥
した粉末、更には結晶化して精製したもの、あるいは粘
性のある物質を用いても良く、またそれらの希釈液を用
いることもできる。こうして得られたショウキョウ抽出
物は、ショウキョウに含まれるジンゲロール(例えば、
[3]−ジンゲロール、[4]−ジンゲロール、[5]
−ジンゲロール、[6]−ジンゲロール、[8]−ジン
ゲロール、[10]−ジンゲロール、及び/又は[1
2]−ジンゲロール等)を混合物として含み、同時に原
料のショウキョウに由来する不純物を含んでいる。
当な方法により、水又は有機溶媒抽出液から、不溶物を
分離して粗抽出物を得ることができる。なお、本発明の
合成抑制剤において、天然物より抽出、分画したジンゲ
ロール、特に[6]−ジンゲロールを用いる場合には、
前記の粗抽出物を特に精製することなく、そのまま使用
してもよい。常法による熱水抽出物又は有機溶媒抽出物
の他に、前記の粗抽出物を各種有機溶媒又は吸着剤等に
より、更に処理した精製抽出物も、本発明の合成抑制剤
の有効成分として用いることができる。これらの粗抽出
物及び各種の精製処理を終えた精製抽出物を含むショウ
キョウ抽出物は、抽出したままの溶液を用いても、溶媒
を濃縮したエキスを用いても良いし、溶媒を留去し乾燥
した粉末、更には結晶化して精製したもの、あるいは粘
性のある物質を用いても良く、またそれらの希釈液を用
いることもできる。こうして得られたショウキョウ抽出
物は、ショウキョウに含まれるジンゲロール(例えば、
[3]−ジンゲロール、[4]−ジンゲロール、[5]
−ジンゲロール、[6]−ジンゲロール、[8]−ジン
ゲロール、[10]−ジンゲロール、及び/又は[1
2]−ジンゲロール等)を混合物として含み、同時に原
料のショウキョウに由来する不純物を含んでいる。
【0020】また、ジンゲロール誘導体としては、例え
ば、天然物中に本来含有されているジンゲロール誘導
体、抽出又は分画の際の化学的処理によって変換したジ
ンゲロール誘導体、及び化学的修飾を行ったジンゲロー
ル誘導体等が含まれる。天然物中に本来含有されている
ジンゲロール誘導体としては、例えば、[6]−ジンジ
ャージオール([6]−gingerdiol)、
[8]−ジンジャージオール([8]−gingerd
iol)、[10]−ジンジャージオール([10]−
gingerdiol)、メチル[6]−ジンジャージ
オール(methyl[6]−gingerdio
l)、メチル[6]−ジンジャージオールジアセテート
(methyl [6]−gingerdiol di
acetate)、又はデヒドロジンゲロン(dehy
drozingerone)等を挙げることができる。
抽出若しくは分画の際の化学的処理によって変換したジ
ンゲロール誘導体としては、例えば、[6]−ショウガ
オール([6]−shogaol)、[8]−ショウガ
オール([8]−shogaol)、[10]−ショウ
ガオール([10]−shogaol)、又はジンゲロ
ン(zingerone)等を挙げることができる。化
学的修飾を行ったジンゲロール誘導体としては、例え
ば、メチルジンゲロール(methylgingero
l)、ジメチルジンゲロール(dimethylgin
gerol)、又はジニトロフェニルジンゲロール(d
initrophenylgingerol)等を挙げ
ることができる。なお、前記のジンゲロール又はその誘
導体には、立体異性体が存在し、本発明では、それらの
任意の純粋な立体異性体又はそれらの混合物を用いるこ
とができる。
ば、天然物中に本来含有されているジンゲロール誘導
体、抽出又は分画の際の化学的処理によって変換したジ
ンゲロール誘導体、及び化学的修飾を行ったジンゲロー
ル誘導体等が含まれる。天然物中に本来含有されている
ジンゲロール誘導体としては、例えば、[6]−ジンジ
ャージオール([6]−gingerdiol)、
[8]−ジンジャージオール([8]−gingerd
iol)、[10]−ジンジャージオール([10]−
gingerdiol)、メチル[6]−ジンジャージ
オール(methyl[6]−gingerdio
l)、メチル[6]−ジンジャージオールジアセテート
(methyl [6]−gingerdiol di
acetate)、又はデヒドロジンゲロン(dehy
drozingerone)等を挙げることができる。
抽出若しくは分画の際の化学的処理によって変換したジ
ンゲロール誘導体としては、例えば、[6]−ショウガ
オール([6]−shogaol)、[8]−ショウガ
オール([8]−shogaol)、[10]−ショウ
ガオール([10]−shogaol)、又はジンゲロ
ン(zingerone)等を挙げることができる。化
学的修飾を行ったジンゲロール誘導体としては、例え
ば、メチルジンゲロール(methylgingero
l)、ジメチルジンゲロール(dimethylgin
gerol)、又はジニトロフェニルジンゲロール(d
initrophenylgingerol)等を挙げ
ることができる。なお、前記のジンゲロール又はその誘
導体には、立体異性体が存在し、本発明では、それらの
任意の純粋な立体異性体又はそれらの混合物を用いるこ
とができる。
【0021】本発明の合成抑制剤は、ジンゲロール若し
くはその誘導体、又はジンゲロール含有植物、例えば、
ジンゲロール含有生薬(特には、ショウキョウ)より抽
出、分画したジンゲロール含有抽出物を、それ単独で、
又は好ましくは製剤学的若しくは獣医学的に許容するこ
とのできる通常の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動
物(特にはヒト)に投与することができる。投与剤型と
しては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロ
ップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射
剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若
しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。こ
れらの経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリ
ウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、
マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリ
ン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシ
チン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネ
シウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなど
の賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動
性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安
定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、
常法に従って製造することができる。例えば、[6]−
ジンゲロール1重量部と乳糖99重量部とを混合して充
填したカプセル剤などである。
くはその誘導体、又はジンゲロール含有植物、例えば、
ジンゲロール含有生薬(特には、ショウキョウ)より抽
出、分画したジンゲロール含有抽出物を、それ単独で、
又は好ましくは製剤学的若しくは獣医学的に許容するこ
とのできる通常の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動
物(特にはヒト)に投与することができる。投与剤型と
しては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロ
ップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射
剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若
しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。こ
れらの経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリ
ウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、
マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリ
ン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシ
チン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネ
シウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなど
の賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動
性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安
定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、
常法に従って製造することができる。例えば、[6]−
ジンゲロール1重量部と乳糖99重量部とを混合して充
填したカプセル剤などである。
【0022】非経口投与方法としては、注射(皮下、静
脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなか
で、注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の
調製においては、有効成分としてのジンゲロール若しく
はその誘導体(特には[6]−ジンゲロール)、又はジ
ンゲロール含有植物抽出物、例えば、ジンゲロール含有
生薬抽出物(特には、ショウキョウ抽出物)の他に、例
えば、生理食塩水、リンゲル液等の水溶性溶剤、植物
油、若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ
糖、若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助
剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤等を任意
に用いることができる。また、本発明の合成抑制剤は、
徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて
投与してもよい。例えば、本発明の合成抑制剤をエチレ
ンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、この
ペレットを治療すべき組織中に外科的に移植することが
できる。
脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなか
で、注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の
調製においては、有効成分としてのジンゲロール若しく
はその誘導体(特には[6]−ジンゲロール)、又はジ
ンゲロール含有植物抽出物、例えば、ジンゲロール含有
生薬抽出物(特には、ショウキョウ抽出物)の他に、例
えば、生理食塩水、リンゲル液等の水溶性溶剤、植物
油、若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ
糖、若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助
剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤等を任意
に用いることができる。また、本発明の合成抑制剤は、
徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて
投与してもよい。例えば、本発明の合成抑制剤をエチレ
ンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、この
ペレットを治療すべき組織中に外科的に移植することが
できる。
【0023】本発明の合成抑制剤は、これに限定される
ものではないが、ジンゲロール又はその誘導体を、0.
01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量
で含有することができる。また、ジンゲロール含有植物
抽出物、例えば、ジンゲロール含有生薬抽出物(特に
は、ショウキョウ抽出物)を有効成分として含有する本
発明の合成抑制剤は、その中に含まれるジンゲロール
(特には、[6]−ジンゲロール)が前記の量範囲にな
るように適宜調整して、調製することができる。なお、
ジンゲロール含有植物抽出物、例えば、ジンゲロール含
有生薬抽出物(特には、ショウキョウ抽出物)を有効成
分として含有する合成抑制剤を、経口投与用製剤とする
場合には、製剤学的に許容することのできる担体を用い
て、製剤化することが好ましい。
ものではないが、ジンゲロール又はその誘導体を、0.
01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量
で含有することができる。また、ジンゲロール含有植物
抽出物、例えば、ジンゲロール含有生薬抽出物(特に
は、ショウキョウ抽出物)を有効成分として含有する本
発明の合成抑制剤は、その中に含まれるジンゲロール
(特には、[6]−ジンゲロール)が前記の量範囲にな
るように適宜調整して、調製することができる。なお、
ジンゲロール含有植物抽出物、例えば、ジンゲロール含
有生薬抽出物(特には、ショウキョウ抽出物)を有効成
分として含有する合成抑制剤を、経口投与用製剤とする
場合には、製剤学的に許容することのできる担体を用い
て、製剤化することが好ましい。
【0024】本発明の合成抑制剤を用いる場合の投与量
は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程
度、又は投与方法などにより異なり、特に制限はない
が、[6]−ジンゲロール量として通常成人1人当り1
mg〜10g程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口
的に又は非経口的に投与する。更に、用途も医薬品に限
定されるものではなく、種々の用途、例えば、機能性食
品や健康食品として飲食物の形で与えることも可能であ
る。
は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程
度、又は投与方法などにより異なり、特に制限はない
が、[6]−ジンゲロール量として通常成人1人当り1
mg〜10g程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口
的に又は非経口的に投与する。更に、用途も医薬品に限
定されるものではなく、種々の用途、例えば、機能性食
品や健康食品として飲食物の形で与えることも可能であ
る。
【0025】
【作用】上記したように、本発明の合成抑制剤に含有さ
れるジンゲロール又はその誘導体、特に[6]−ジンゲ
ロールは、細胞内のHSP60ファミリーに属するタン
パク質の合成を特異的に抑制する作用があるので、前記
ジンゲロール又はその誘導体を投与すると細胞でのHS
P60ファミリーに属するタンパク質の生合成が特異的
に減少する。従って、前記ジンゲロール又はその誘導体
は、HSP60ファミリーに属するタンパク質がその発
症に関連する自己免疫疾患、例えば、I型糖尿病や慢性
関節リウマチなどの予防及び治療に使用することができ
る。
れるジンゲロール又はその誘導体、特に[6]−ジンゲ
ロールは、細胞内のHSP60ファミリーに属するタン
パク質の合成を特異的に抑制する作用があるので、前記
ジンゲロール又はその誘導体を投与すると細胞でのHS
P60ファミリーに属するタンパク質の生合成が特異的
に減少する。従って、前記ジンゲロール又はその誘導体
は、HSP60ファミリーに属するタンパク質がその発
症に関連する自己免疫疾患、例えば、I型糖尿病や慢性
関節リウマチなどの予防及び治療に使用することができ
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ヒト培養癌細胞のHSP発現量の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 以下の各種ヒト培養癌細胞を、5%二酸化炭素条件下
で、熱ショック処理時以外は、37℃で培養した。肺癌
細胞株H69(ATCC HTB 119)、及び大腸
癌細胞株COLO 205(ATCC CCL 22
2)は、10%非働化ウシ胎児血清(以下、FBSと略
称する)を含むRPMI1640培地中で培養した。神
経腫瘍細胞株(神経芽細胞腫)SK−N−MC(ATC
C HTB 10)は、非必須アミノ酸(L−アラニン
8.9mg/l、L−アスパラギン・H2 O15.0m
g/l、L−アスパラギン酸13.3mg/l、L−グ
ルタミン酸14.7mg/l、グリシン7.5mg/
l、L−プロリン11.5mg/l及びL−セリン1
0.5mg/l)及び10%非働化FBSを含むMEM
培地にて培養した。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ヒト培養癌細胞のHSP発現量の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 以下の各種ヒト培養癌細胞を、5%二酸化炭素条件下
で、熱ショック処理時以外は、37℃で培養した。肺癌
細胞株H69(ATCC HTB 119)、及び大腸
癌細胞株COLO 205(ATCC CCL 22
2)は、10%非働化ウシ胎児血清(以下、FBSと略
称する)を含むRPMI1640培地中で培養した。神
経腫瘍細胞株(神経芽細胞腫)SK−N−MC(ATC
C HTB 10)は、非必須アミノ酸(L−アラニン
8.9mg/l、L−アスパラギン・H2 O15.0m
g/l、L−アスパラギン酸13.3mg/l、L−グ
ルタミン酸14.7mg/l、グリシン7.5mg/
l、L−プロリン11.5mg/l及びL−セリン1
0.5mg/l)及び10%非働化FBSを含むMEM
培地にて培養した。
【0027】(2)[6]−ジンゲロール処理及び熱シ
ョック処理 播種2日後の前記各種培養ヒト癌細胞の培地中に、最終
濃度100μMになるように[6]−ジンゲロール(松
浦薬業)を添加し、24時間培養した。その後、45℃
にて15分間熱ショック処理をしてから、37℃にて終
夜培養した。対照試験は、[6]−ジンゲロールを添加
しないこと以外は前記と同様に実施した。
ョック処理 播種2日後の前記各種培養ヒト癌細胞の培地中に、最終
濃度100μMになるように[6]−ジンゲロール(松
浦薬業)を添加し、24時間培養した。その後、45℃
にて15分間熱ショック処理をしてから、37℃にて終
夜培養した。対照試験は、[6]−ジンゲロールを添加
しないこと以外は前記と同様に実施した。
【0028】(3)ヒト培養癌細胞でのHSP発現量の
測定 前項(2)で処理した各細胞を、以下に示す方法により
ホモジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法
にて測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞
を、リン酸緩衝生理食塩水〔組成:KCl=0.2g/
l,KH2 PO4 =0.2g/l,NaCl=8g/
l,Na2HPO4 (無水)=1.15g/l;以下、
PBS(−)と称する〕で洗浄した後、ライシスバッフ
ァー(lysis buffer)〔1.0%NP−4
0、0.15M塩化ナトリウム、50mMトリス−HC
l(pH8.0)、5mM−EDTA、2mM−N−エ
チルマレイミド、2mMフェニルメチルスルホニルフル
オリド、2μg/mlロイペプチン及び2μg/mlペ
プスタチン〕1mlを加え、氷上で20分間静置した。
その後、4℃で12000rpmにて、20分間、遠心
を行った。遠心後の上清10μlをPBS(−)790
μlに加え、更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reag
ent Concentrate : バイオラッド,カタログ番号500-00
06)200μlを加えた。5分間、室温にて静置した
後、595nmで吸光度を測定してタンパク質定量を行
った。
測定 前項(2)で処理した各細胞を、以下に示す方法により
ホモジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法
にて測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞
を、リン酸緩衝生理食塩水〔組成:KCl=0.2g/
l,KH2 PO4 =0.2g/l,NaCl=8g/
l,Na2HPO4 (無水)=1.15g/l;以下、
PBS(−)と称する〕で洗浄した後、ライシスバッフ
ァー(lysis buffer)〔1.0%NP−4
0、0.15M塩化ナトリウム、50mMトリス−HC
l(pH8.0)、5mM−EDTA、2mM−N−エ
チルマレイミド、2mMフェニルメチルスルホニルフル
オリド、2μg/mlロイペプチン及び2μg/mlペ
プスタチン〕1mlを加え、氷上で20分間静置した。
その後、4℃で12000rpmにて、20分間、遠心
を行った。遠心後の上清10μlをPBS(−)790
μlに加え、更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reag
ent Concentrate : バイオラッド,カタログ番号500-00
06)200μlを加えた。5分間、室温にて静置した
後、595nmで吸光度を測定してタンパク質定量を行
った。
【0029】タンパク質定量を行った試料を用いて、L
aemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Natur
e", 283 : pp. 249-256, 1970)にて、等量のタンパク質
を含むライセートのSDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動を行った。電気泳動後、ブロッティング及びそれに
続くブロッキングを行った。すなわち、タンパク質転写
装置(Trans-Blot Electrophoretic Transfer Cell:バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-3946)を用いて、室温
にて100Vにて、0.45μmニトロセルロース膜
(Schleicher & Schuell,カタログ番号401196)にゲル
を密着させ、3時間ブロッティングを行った。ブロッテ
ィングバッファーとしては、0.025Mトリス及び
0.192MグリシンよりなりpH8.5に調整された
トリスグリシンバッファー(Tris Gly Running and Blo
tting Buffer;Enprotech, 米国マサチューセッツ州,
カタログ番号 SA100034)にメチルアルコールを20%に
なるように加えて調製したバッファーを用いた。ブロッ
ティング後、ニトロセルロース膜を10%スキムミルク
(雪印乳業)−PBS(−)溶液に室温にて30分間、
インキュベートし非特異的結合をブロックした。
aemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Natur
e", 283 : pp. 249-256, 1970)にて、等量のタンパク質
を含むライセートのSDSポリアクリルアミドゲル電気
泳動を行った。電気泳動後、ブロッティング及びそれに
続くブロッキングを行った。すなわち、タンパク質転写
装置(Trans-Blot Electrophoretic Transfer Cell:バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-3946)を用いて、室温
にて100Vにて、0.45μmニトロセルロース膜
(Schleicher & Schuell,カタログ番号401196)にゲル
を密着させ、3時間ブロッティングを行った。ブロッテ
ィングバッファーとしては、0.025Mトリス及び
0.192MグリシンよりなりpH8.5に調整された
トリスグリシンバッファー(Tris Gly Running and Blo
tting Buffer;Enprotech, 米国マサチューセッツ州,
カタログ番号 SA100034)にメチルアルコールを20%に
なるように加えて調製したバッファーを用いた。ブロッ
ティング後、ニトロセルロース膜を10%スキムミルク
(雪印乳業)−PBS(−)溶液に室温にて30分間、
インキュベートし非特異的結合をブロックした。
【0030】ブロッキング後、ニトロセルロース膜の上
で、抗ヒトHSP60マウスモノクローナル抗体(Stre
ssGen, Victoria, B.C., Canada, カタログ番号 SPA-8
06)により、1次抗体反応を行った。この抗ヒトHSP
60マウスモノクローナル抗体は、大腸菌を用いるリコ
ンビナントDNA法により作製したヒトHSP60を免
疫原として作製した抗体であり("J. Exp. Med." 175
, 1805-1810, 1992)、哺乳類HSP60(霊長類HS
P60、マウスHSP60、ラットHSP60、及びハ
ムスターHSP60)と特異的に反応する("J. Exp. M
ed." 175 , 1805-1810, 1992)。この抗ヒトHSP60
マウスモノクローナル抗体が認識するエピトープは、ヒ
トHSP60アミノ酸配列の第383番目〜第447番
目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列中に局在する
("J. Exp. Med." 175 , 1805-1810,1992)。1次抗体
反応後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて
2回の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって
行い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間
ずつ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的
に、PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。
で、抗ヒトHSP60マウスモノクローナル抗体(Stre
ssGen, Victoria, B.C., Canada, カタログ番号 SPA-8
06)により、1次抗体反応を行った。この抗ヒトHSP
60マウスモノクローナル抗体は、大腸菌を用いるリコ
ンビナントDNA法により作製したヒトHSP60を免
疫原として作製した抗体であり("J. Exp. Med." 175
, 1805-1810, 1992)、哺乳類HSP60(霊長類HS
P60、マウスHSP60、ラットHSP60、及びハ
ムスターHSP60)と特異的に反応する("J. Exp. M
ed." 175 , 1805-1810, 1992)。この抗ヒトHSP60
マウスモノクローナル抗体が認識するエピトープは、ヒ
トHSP60アミノ酸配列の第383番目〜第447番
目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列中に局在する
("J. Exp. Med." 175 , 1805-1810,1992)。1次抗体
反応後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて
2回の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって
行い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バ
イオ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間
ずつ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的
に、PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。
【0031】洗浄終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗
マウスIgG抗体(CAPPEL,カタログ番号55550)を、2
%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍に
希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、2
次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース膜
に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変えて
2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶液
で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロッ
キング・シェイカーにより行った。最後にPBS(−)
溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なPBS
(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティング検
出試薬(ECL Western blotting detectionreagent;Ame
rsham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロース膜上
に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分な検出
試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包み、反
応面をX線フィルム(コダック X-OMAT, AR, カタログ
番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHSP6
0の有無の検討を行った。結果を表1に示す。表中、
「↓」は、対照に比べて、HSP60発現量が減少した
ことを意味する。
マウスIgG抗体(CAPPEL,カタログ番号55550)を、2
%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍に
希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、2
次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース膜
に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変えて
2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶液
で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロッ
キング・シェイカーにより行った。最後にPBS(−)
溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なPBS
(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティング検
出試薬(ECL Western blotting detectionreagent;Ame
rsham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロース膜上
に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分な検出
試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包み、反
応面をX線フィルム(コダック X-OMAT, AR, カタログ
番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHSP6
0の有無の検討を行った。結果を表1に示す。表中、
「↓」は、対照に比べて、HSP60発現量が減少した
ことを意味する。
【0032】
【表1】癌種 癌細胞 肺 H69 ↓ 大腸 COLO 205 ↓神経 SK−N−MC ↓
【0033】対照試験、すなわち、[6]−ジンゲロー
ルを添加しなかった細胞では、分子量約60kDのバン
ドが一本検出された。なお、分子量は、前記抗ヒトHS
P60マウスモノクローナル抗体との結合、及び分子量
マーカー(卵白オバルブミン及びウシ血清アルブミン)
により決定した。表1に示すとおり、[6]−ジンゲロ
ールは、肺癌細胞株H69、大腸癌細胞株COLO 2
05、及び神経腫瘍細胞株SK−N−MCにおいてHS
P60の発現を抑制した。すなわち、[6]−ジンゲロ
ールは、HSP60の発現を抑制する合成抑制剤の活性
を有するものと結論することができる。
ルを添加しなかった細胞では、分子量約60kDのバン
ドが一本検出された。なお、分子量は、前記抗ヒトHS
P60マウスモノクローナル抗体との結合、及び分子量
マーカー(卵白オバルブミン及びウシ血清アルブミン)
により決定した。表1に示すとおり、[6]−ジンゲロ
ールは、肺癌細胞株H69、大腸癌細胞株COLO 2
05、及び神経腫瘍細胞株SK−N−MCにおいてHS
P60の発現を抑制した。すなわち、[6]−ジンゲロ
ールは、HSP60の発現を抑制する合成抑制剤の活性
を有するものと結論することができる。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、ジンゲロール又は
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールは細胞内のHS
P60ファミリーに属するタンパク質の発現を抑制する
合成抑制剤の活性を有する。従って、ジンゲロール又は
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールを投与すること
により、例えば、HSP60ファミリーに属するタンパ
ク質が発症に関与する自己免疫疾患(例えば、I型糖尿
病や慢性関節リウマチなど)の患者の生理学的状態を有
効に改善させ、前記病気を効果的に治療することができ
る。
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールは細胞内のHS
P60ファミリーに属するタンパク質の発現を抑制する
合成抑制剤の活性を有する。従って、ジンゲロール又は
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールを投与すること
により、例えば、HSP60ファミリーに属するタンパ
ク質が発症に関与する自己免疫疾患(例えば、I型糖尿
病や慢性関節リウマチなど)の患者の生理学的状態を有
効に改善させ、前記病気を効果的に治療することができ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 ジンゲロール又はその誘導体を有効成分
として含有することを特徴とする、分子量57キロダル
トンから68キロダルトンまでの間の熱ショックタンパ
ク質の合成抑制剤。 - 【請求項2】 ジンゲロールが[6]−ジンゲロールで
ある、請求項1に記載の分子量57キロダルトンから6
8キロダルトンまでの間の熱ショックタンパク質の合成
抑制剤。 - 【請求項3】 ジンゲロール含有植物の抽出物を有効成
分として含有することを特徴とする、分子量57キロダ
ルトンから68キロダルトンまでの間の熱ショックタン
パク質の合成抑制剤。 - 【請求項4】 ショウキョウの抽出物を有効成分として
含有することを特徴とする、分子量57キロダルトンか
ら68キロダルトンまでの間の熱ショックタンパク質の
合成抑制剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8027353A JPH09194353A (ja) | 1996-01-22 | 1996-01-22 | Hsp60ファミリーに属するタンパク質のジンゲロール含有合成抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8027353A JPH09194353A (ja) | 1996-01-22 | 1996-01-22 | Hsp60ファミリーに属するタンパク質のジンゲロール含有合成抑制剤 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09194353A true JPH09194353A (ja) | 1997-07-29 |
Family
ID=12218684
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8027353A Pending JPH09194353A (ja) | 1996-01-22 | 1996-01-22 | Hsp60ファミリーに属するタンパク質のジンゲロール含有合成抑制剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09194353A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004035074A1 (en) * | 2002-10-14 | 2004-04-29 | Naturalendo Tech Co., Ltd. | Composition for lowering blood glucose level comprising extract of natural product |
| JP2006045210A (ja) * | 2004-07-08 | 2006-02-16 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | アディポネクチン産生増強剤 |
| JP2007210993A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-08-23 | Oriza Yuka Kk | 抗炎症剤 |
-
1996
- 1996-01-22 JP JP8027353A patent/JPH09194353A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2004035074A1 (en) * | 2002-10-14 | 2004-04-29 | Naturalendo Tech Co., Ltd. | Composition for lowering blood glucose level comprising extract of natural product |
| JP2006045210A (ja) * | 2004-07-08 | 2006-02-16 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | アディポネクチン産生増強剤 |
| JP2007210993A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-08-23 | Oriza Yuka Kk | 抗炎症剤 |
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