JPH09301989A - 新規抗生物質ポリケトマイシンとその製造方法 - Google Patents

新規抗生物質ポリケトマイシンとその製造方法

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JPH09301989A
JPH09301989A JP11355396A JP11355396A JPH09301989A JP H09301989 A JPH09301989 A JP H09301989A JP 11355396 A JP11355396 A JP 11355396A JP 11355396 A JP11355396 A JP 11355396A JP H09301989 A JPH09301989 A JP H09301989A
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JP
Japan
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polyketomycin
antibiotic
medium
culture
producing
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JP11355396A
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English (en)
Inventor
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Hiroshi Osanawa
博 長縄
Masa Hamada
雅 濱田
Isao Momose
功 百瀬
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Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メチシリン耐性菌を含むグラム陽性菌に対す
る抗菌活性および抗腫瘍活性を示す新しい分子骨格を有
する抗生物質を提供する。 【解決手段】 次式(I) で表わされるポリケトマイシンが新規抗生物質としてス
トレプトミセス sp.MK277-AF1株の培養により得ら
れた。ポリケトマイシンあるいはそれの塩は各種の細菌
に対する抗菌活性と抗腫瘍活性とを有する抗生物質であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌活性と抗腫瘍
活性または抗癌活性とを示す新規抗生物質ポリケトマイ
シン(Polyketomycin)、あるいはこれの塩に関し、また
ポリケトマイシンの製造法に関する。さらに本発明は、
ポリケトマイシンまたはそれの塩を有効成分とする抗菌
剤および抗腫瘍剤に関する。また、本発明は新規抗生物
質ポリケトマイシンを生産する特性を持つ微生物として
ストレプトミセス sp.MK277-AF1株を包含する。
【0002】
【従来の技術】種々な多数の抗菌物質が知られており、
また種々な多数の抗腫瘍性物質が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】細菌感染症の化学療法
において、多剤耐性菌の出現は重大な問題である。従来
知られているまたは使用されている既知の抗菌性化合物
とは、異なる化学構造を有し且つ優れた抗菌活性を示す
新しい化合物の発見または創製をすることは常に望まれ
ており、そのための研究が行われている。また抗腫瘍性
物質は、一般に強い毒性を有するものが多く、その抗腫
瘍剤としての使用に当たって大きな制約となっている。
そこで、毒性が低く且つ新規な化学構造を有する抗腫瘍
性物質を発見または創製することが常に望まれており、
そのための研究が行われている。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、上記の
要望に応えることができる抗菌活性および抗腫瘍活性を
持つ新規な抗生物質を提供することを目的に、従来より
有用な抗生物質の開発と実用化の研究を促進してきた。
その結果、土壌試料から新規な微生物としてストレプト
ミセス属に属する菌株を分離することに成功し、またこ
の菌株が新しい構造骨格を有する抗生物質を生産してい
ることを見い出だした。この新規抗生物質を単離するこ
とに成功し、後記の式(I)で示される化学構造を有す
ることを確認し、そしてポリケトマイシンと命名した。
更に、この新規抗生物質が薬剤耐性菌(メチシリン耐性
菌等)をふくんだグラム陽性の細菌に抗菌活性を示し、
また癌細胞の増殖に対して抑制活性を示すことを見い出
した。
【0005】すなわち、第1の本発明においては、次式
(I): で表わされる化合物であるポリケトマイシン、あるいは
これの塩が提供される。ポリケトマイシンは、酸性物質
であり、その塩としては、第4級アンモニウム塩などの
有機塩基との塩、あるいは製薬学的に許容できる各種金
属との塩、例えばナトリウムのようなアルカリ金属との
塩があり、これらの塩も上記の抗菌活性と抗腫瘍活性を
有する。
【0006】次に、抗生物質ポリケトマイシンの理化学
的性状を記載する。 A)外観及び性質:橙色粉末、酸性物質 B)融点: 194〜196℃(分解) C)比旋光度:[α]D 24 −58.9°(c1.00、メタノ
ール) D)TLCのRf値: 0.53 シリカゲル(Art.105715、メルク社製)の薄層クロマト
グラフィーで展開溶媒としてクロロホルム−メタノール
−酢酸(10:1:0.03)で展開して測定した場合 E)マススペクトル(m/z): 865.5(M+H)+ 864.3(M-) F)高分解能マススペクトル: 実験値 864.2831
(M-) 計算値 864.2841 G)分子式: C444818
【0007】H)紫外線吸収スペクトル (i)メタノール溶液中で測定したUV吸収スペクトル
は添付図面の図1に示す。主なピークは次のとおりであ
る。 λmax nm(ε) 208(36300)、243(36200)、281(217
00)、445(5700) (ii)0.01N NaOH−メタノール溶液中で測定したU
V吸収スペクトルは添付図面の図2に示す。主なピーク
は次のとおりである。 λmax nm(ε) 206(56700)、250(31400)、279(sh.
23200)、569(5000) (iii)0.01N HCl−メタノール溶液中で測定したU
V吸収スペクトルは添付図面の図3に示す。主なピーク
は次のとおりである。 λmax nm(ε) 208(36200)、243(36400)、283(205
00)、444(5700) I)赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法):添付図面
の図4に示す。 νmax(cm-1)3430、2975、2935、1699、1680、16
50、1635、1610、1585、1455、1410、1250、1205、113
0、1055、1000、 858、800 J)1H−NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付図
面の図5に示す。 K)13C−NMRスペクトル(CDCl3/TMS):添付
図面の図6に示す。 さらに、抗生物質ポリケトマイシンの生物学的性状を次
に記載する。
【0008】A)抗菌活性 本発明による抗生物質ポリケトマイシンの各種細菌に対
する最低発育阻止濃度は、次の表1にしめす通りであ
る。この抗菌スペクトルは日本化学療法学会標準法に基
ずき、ミュラーヒントン寒天培地で倍数希釈法により測
定した。
【0009】
【0010】B)癌細胞増殖抑制活性 各種の癌細胞を用いて癌細胞の増殖を50%抑制するポリ
ケトマイシンの濃度(IC50値)を、MTT法(「Journal
of Immunological Methods」65巻、55-60頁(1983年)参
照)で測定した。その結果を表2に示す。
【0011】
【0012】表1の結果から明らかなように、本発明に
よる抗生物質ポリケトマイシンは、各種の細菌に対して
抗菌活性を有することから抗菌剤として有用である。ま
た、表2の結果から明らかなように、ポリケトマイシン
は各種の癌細胞の増殖を抑制する抗腫瘍活性または抗癌
活性を有するから抗腫瘍剤または抗癌剤として有用であ
る。
【0013】さらに第2の本発明によれば、ストレプト
ミセス属に属する、前記の式(I)のポリケトマイシン
の生産菌を培地に培養し、培養物からポリケトマイシン
を採取することを特徴とする、抗生物質ポリケトマイシ
ンの製造法を提供される。
【0014】第2の本発明の方法で使用できるポリケト
マイシンの生産菌の一例として、ストレプトミセス sp.
MK277−AF1株がある。この生産菌は平成6年10
月、微生物研究所において、神奈川県三浦市の土壌より
分離された放線菌で、MK277−AF1の菌株番号が付
された微生物である。
【0015】MK277−AF1株の菌学的性状を次に記
載する。 1.形態 MK277−AF1株は、分枝した基生菌糸より3〜8回
転のらせん形成を有する気菌糸を伸長する。成熟した胞
子鎖は10〜50個あるいはそれ以上の円筒形の胞子を連鎖
し、胞子の大きさは約0.5〜0.7 × 0.8〜1.1ミクロンで
ある。なお、胞子の表面は平滑である。輪生枝、菌束
糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。
【0016】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す色の標準は、コンティ
ナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハ
ーモニー・マニュアル(Container Corporationof Ameri
caのcolor harmony manual)を用いた。
【0017】(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27
℃培養) 発育はうす茶[3gc, Lt Tan 〜 4gc, Nude Tan]、気菌
糸は着生せず、溶解性色素は認められない。 (2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) 発育はうす赤味だいだい[5le, Rust Tan]〜明るい茶
[5pi, Copper Brown]、気菌糸は着生せず、溶解性色素
はピンク〜うす赤を呈する。発育の色及び溶解性色素は
水酸化ナトリウムの添加により青味灰に変化するが、塩
酸による変化は認められない。 (3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) 明るい茶[5pi, Copper Brown]〜灰味赤茶[5pl, Deep
Brown]の発育上に、白の気菌糸をわずかに着生する。溶
解性色素はうす赤茶〜茶を呈する。水酸化ナトリウムの
添加により発育の色は暗い茶に、溶解性色素は青味茶に
変化するが、塩酸による変化は認められない。 (4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うすだいだい[3ca, Pearl Pink]〜暗い黄[3pe, Ambe
r]〜明るい茶[4ng, LtBrown]の発育上に、白〜茶白の気
菌糸を綿状に着生する。溶解性色素はかすかに茶色味を
帯びる程度である。 (5)チロシン寒天培地(ISP-培地7、27℃培養) うす赤味茶[4lg, Lt Spice Brown]〜灰味赤茶[5ni, Co
coa Brown]〜茶紫[8pl, Burgundy]の発育上に、白の気
菌糸を部分的に着生する。溶解性色素は灰味赤茶〜茶紫
を帯びる。発育の色及び溶解性色素は水酸化ナトリウム
の添加により暗い青味灰に変化するが、塩酸による変化
は認められない。
【0018】(6)イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地
2、27℃培養) 発育は明るい茶[4pe, Orange Rust〜5pg, Lt Copper B
rown]、気菌糸は着生せず、溶解性色素はかすかに茶色
味を帯びる。 (7)オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養) 黄だいだい[3pc, Amber〜3nc, Amber]の発育上に、白
の気菌糸を綿状に着生し、溶解性色素はうすだいだいを
帯びる。発育の色及び溶解性色素は水酸化ナトリウムの
添加により茶紫に変化するが、塩酸による変化は認めら
れない。 (8)スターチ寒天培地(27℃培養) 発育は黄茶[3le, Cinnamon]〜うす茶[4ie, Cork Ta
n]、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認められない。 (9)ゼラチンの穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)で、発育はうす黄〜
うす黄茶、気菌糸は着生せず、溶解性色素は黄茶を帯び
る。グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(27℃培養)
の場合、発育はうす黄茶〜黄茶、気菌糸は着生せず、溶
解性色素は暗い茶を呈する。 (10)脱脂牛乳(37℃培養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素は茶色味
を帯びる。
【0019】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース1.0%、
アスパラギン0.05%、リン酸二カリウム0.05%、ひも寒
天3.5%、pH7.0)を用い、10℃、20℃、24℃、27℃、30
℃、37℃、50℃の各温度で試験した結果、10℃、50℃を
除き、そのいずれの温度でも生育する。生育至適温度は
30℃付近と思われる。 (2)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培
地、ISP−培地4およびスターチ寒天培地、いずれも27
℃培養) スターチ・無機塩寒天培地では培養後3日目頃より、スタ
ーチ寒天培地の場合、培養後5日目頃よりスターチの加
水分解を認め、その作用は中等度〜強い方である。 (3)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス、ISP-培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP−培地6;チロシン寒天培地、ISP−培地7;い
ずれも27℃培養) いずれの培地でも陽性である。 (4)炭素源の利用性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培
地、ISP−培地9、27℃培養) D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロース、
D−フラクトース、シュクロース、イノシトール、ラム
ノース、ラフィノース及びD−マンニトールを利用して
発育する。
【0020】(5)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン
培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地、27℃培養) 15%単純ゼラチン培地では、培養後3日目頃よりゼラチ
ンの液化を認めるが、その作用は弱く、21日間の観察で
は完了しなかった。グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地の場合、液化性は認められない。 (6)脱脂牛乳の凝固、ペプトン化(脱脂牛乳、37℃培
養) 培養後5日目頃より凝固状を呈し、ペプトン化が始まる
が、その作用はゆっくりと進行し、21日間の観察では完
了しなかった。 (7)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプ
トン水、SP−培地8、27℃培養) 陰性である。
【0021】以上の性状を要約すると、MK277-AF1
株は、分枝した基生菌糸より3〜8回転のらせん形成を
有する気菌糸を伸長する。成熟した胞子鎖には10〜50個
あるいはそれ以上の円筒形の胞子を連鎖し、その表面は
平滑である。種々の培地で、発育は明るい茶〜灰味赤茶
を呈する。気菌糸は着生しない場合と、白から茶白の気
菌糸を綿状に着生する場合がある。溶解性色素はうすい
だいだい、ピンクあるいは茶を呈する場合がある。発育
の色及び溶解性色素は、水酸化ナトリウムの添加により
青味灰に変化するが、塩酸による変化は認められない。
生育至適温度は30℃付近である。メラニン様色素の生成
は陽性、スターチの水解性は中等度〜強い方、蛋白分解
力は中等度〜弱い方である。なお、細胞壁に含まれる
2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型であった。菌体
成分のメナキノンは、MK-9(H8)が主であり、M
K-9(H6)を少量含む。又、リン脂質はPII型(ホ
スファチジルエタノールアミンを含有し、ホスファチジ
ルコリン及び未知のグルコサミン含有リン脂質を含まな
い)を示した。
【0022】これらの性状より、MK277-AF1株はス
トレプトミセス(Streptomyces)属に属すると考えられ
る。近縁の既知菌種を検索すると、ストレプトミセス・
シンナバリヌス(Streptomyces cinnabarinus)(文
献:International Journal ofSystematic Bacteriolog
y、19巻、416頁、1969年)、ストレプトミセス・フェオ
クロモゲネス(Streptomyces phaeochromogenes)(文
献:International Journalof Systematic Bacteriolog
y、18巻、357頁、1968年)及びストレプトミセス・パリヅ
ス(Streptomyces pallidus)(文献:International Jou
rnal of SystematicBacteriology、22巻、335頁、1972
年)があげられた。そこで上記3種の当研究所保存菌種
とMK277-AF1株とを実地に比較検討する予定であ
る。現時点ではMK277-AF1株をストレプトミセス・
エスピー(Streptomyces sp.)MK277-AF1株とす
る。なお、MK277-AF1株を工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託申請し、平成8年2月16日、FERM P-154
42として受託された。
【0023】第2の本発明の方法を実地するに当たって
は、ストレプトミセス属に属するポリケトマイシンの生
産菌を栄養培地に接種し、この培地中で培養する。ここ
で用いる栄養培地は、前記の生産菌が資化できる炭素源
と窒素源を栄養成分として含有するものである。その栄
養源としては、微生物の栄養源として通常使用されるも
の、例えば炭素源、窒素源、無機塩などの同化できる栄
養源を使用できる。例えば、ぶとう糖、麦芽糖、糖蜜、
デキストリン、グリセリン、澱粉などの炭水化物や、大
豆油、落花生油などの油脂のごとき炭素源、ならびにペ
プトン、肉エキス、綿実粉、大豆粉、酵母エキス、カゼ
イン、コーン・スターチ・リカー、NZ−アミン、硫酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムな
どの窒素源、さらに燐酸二カリウム、燐酸ナトリウム、
食塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガ
ンなどの無機塩が使用でき、必要により微量金属、例え
ばコバルト、鉄などを添加することができる。栄養源と
しては、その他、抗生物質ポリケトマイシンを生産する
のに使用菌が利用しうるものであればいずれの公知の栄
養源でも使用できる。
【0024】培地における上記のごとき栄養源の配合割
合は特に制約されるものでなく、広範囲に亘って変える
ことができ、使用するポリケトマイシン生産菌によっ
て、最適の栄養源の組成及び配合割合は、当事者であれ
ば簡単な小規模実験により容易に決定することができ
る。また、上記の栄養源からなる栄養培地は、培養に先
立ち殺菌することができ、この殺菌の前又は後で、培地
のpHを6〜8の範囲、特にpH6.5〜7.5の範囲に調節する
のが有利である。
【0025】かかる栄養培地でのポリケトマイシン生産
菌の培養は、一般の放線菌による抗生物質の製造におい
て通常使用されている方法に準じて行うことができる。
通常は好気条件下に培養するのが好適であり、通常は攪
拌しながら及び/又は通気しながら行うことができる。
また、培養方法としては静置培養、振とう培養、通気攪
拌をともなう液体培養のいずれも使用可能であるが、液
体培養がポリケトマイシンの大量生産に適している。
【0026】使用しうる培養温度はポリケトマイシン生
産菌の発育が実質的に阻害されず、該抗生物質を生産し
うる範囲であれば、特に制限されるものではなく、使用
する生産菌に応じて適宜選択できるが、特に好ましいの
は25℃〜30℃の範囲内の温度を挙げることができる。培
養は通常ポリケトマイシンが十分に蓄積するまで継続す
ることができる。その培養時間は培地の組成や培養温
度、使用温度、使用生産菌株などにより異なるが、通常
72〜120時間の培養で目的の抗生物質を得ることができ
る。
【0027】培養中の新規抗生物質ポリケトマイシンの
蓄積量はスタヒロコッカス・アウレウス・スミスを使用
して、通常の抗生物質の定量に用いられる円筒平板法に
より定量することができる。
【0028】かくして、培養物中に蓄積されたポリケト
マイシンは、これを培養物から採取する。培養後、必要
により、濾過、遠心分離などのそれ自体公知の分離方法
によって菌体を除去した後、その濾液を有機溶媒、特に
酢酸ブチルなどを用いた溶媒抽出や、吸着やイオン交換
能を利用したクロマトグラフィー、ゲルろ過、向流分配
を利用したクロマトグラフィーを単独でまたは、組み合
わせて使用することにより単離精製して採取することが
できる。吸着やイオン交換能を有するクロマトグラフィ
ー用担体としては、活性炭,シリカゲル,多孔性ポリス
チレン−ジビニルベンゼン樹脂もしくは各種のイオン交
換樹脂を用いることができる。また、分離した菌体から
は、適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法や菌体破砕によ
る溶出法により菌体から目的の抗生物質を抽出し、上記
と同様に単離精製することができる。かくして、前記し
た特性を有する新規抗生物質としてポリケトマイシンが
得られる。
【0029】さらに、第3の本発明では、前記の式
(I)で表わされるポリケトマイシンまたはそれの製薬
学的に許容できる塩を有効成分とする抗菌剤が提供され
る。
【0030】さらに、第4の本発明では、前記の式
(I)で表わされるポリケトマイシンまたはそれの製薬
学的に許容できる塩を有効成分とする抗腫瘍剤が提供さ
れる。本発明による抗菌剤または抗腫瘍剤においては、
有効成分としてのポリケトマイシンあるいはその塩は製
薬学的に許容できる常用の固体または液体担体、例えば
エタノール、水、デンプン等と混和されている形の組成
物であることができる。また、第5の本発明では、新規
な微生物として、上記の式(I)のポリケトマイシンを
生産する特性を持つストレプトミセスsp. MK277-AF
1株が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳
細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0032】実施例1 抗生物質ポリケトマイシンの製
造 ポテトスターチ2%、グルコース2%、酵母エキス0.5
%、塩化ナトリウム0.25%、トーストソーヤミール2
%、炭酸カリウム0.32%、硫酸銅0.0005%、塩化マンガ
ン0.0005%、硫酸亜鉛0.005%を含む液体培地(pH7.4に
調整)を三角フラスコ(500ml容)に110mlずつ分注し、
常法により120℃で20分滅菌したものに寒天斜面培地に
培養したストレプトミセスsp.MK277-AF1株(FERM P
-15442)を接種し、その後30℃で5日間回転振とう培養
した。これにより種母培養液を得た。
【0033】ポテトスターチ2%、グルコース2%、酵
母エキス 0.5%、塩化ナトリウム0.25%、トーストソー
ヤミール2%、炭酸カリウム0.32%、硫酸銅0.0005%、
塩化マンガン0.0005%、硫酸亜鉛0.005%を含む液体培
地(pH7.4に調整)を三角フラスコ(500ml容)に110ml
ずつ分注し、常法により120℃で20分滅菌後、上記種母
培養液をそれぞれ2mlずつ接種し、27℃で4日間回転振
とう培養した。このようにして得られた培養液を遠心分
離し、菌体を分離した。培養ろ液8リットルは、酢酸ブ
チル8リットルで抽出し、酢酸ブチル層を無水硫酸ナト
リウムにより乾燥した。菌体は、メタノール1リットル
を加え、攪拌後濾過した。さらに、ろ別した菌体にメタ
ノール1リットルを加え、攪拌後に濾過した。このメタ
ノール抽出溶液は減圧下で300mlまで濃縮した。その濃
縮物に水700mlを加え、酢酸ブチルで1リットルで二度
抽出し、酢酸ブチル層は無水硫酸ナトリウムにより乾燥
した。二つの酢酸ブチル層を合わせて減圧下で濃縮乾固
した。
【0034】得られた残渣を、セファデックスLH-20
(700ml)でのクロマトグラフィーに供しメタノールによ
り溶出した。抗菌活性のある分画を集め減圧下で濃縮乾
固した。この残渣をシリカゲル(Art.105715、メルク社
製)の薄層クロマトグラフィーで展開溶媒としてクロロ
ホルム−メタノール−酢酸(10:1:0.03)で分離精製
すると、橙色粉末28.7mgを得た。これを酢酸ブチル100m
lに溶解し、水100mlを加え1N−HClでpH2.0に調整
し分配した。この酢酸ブチル層を水100mlで洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮乾固し
た。さらに乾固物をセファデックスLH−20(200ml)
でのクロマトグラフィーに供しクロロホルム−メタノー
ル(1:1)の混合液で溶出し、分離精製した。
【0035】ポリケトマイシンが融点194〜196℃(分
解)の橙色粉末として27.9mgの収量で得られた。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ポリケトマイシンのメタノール溶液中の紫外線
吸収スペクトルである。
【0038】
【図2】ポリケトマイシンの0.01N NaOH−メタノール溶
液中の紫外線吸収スペクトルである。
【0039】
【図3】ポリケトマイシン 0.01N HCl−メタノール溶液
中の紫外線吸収スペクトルである。
【0040】
【図4】ポリケトマイシンのKBr錠剤法で測定した赤外
線吸収スペクトルである。
【0041】
【図5】ポリケトマイシンの重クロロホルム溶液(内部
標準:トリメチルシラン)にて測定したプロトン核磁気
共鳴スペクトルである。
【0042】
【図6】ポリケトマイシンの重クロロホルム溶液(内部
標準:トリメチルシラン)にて測定した炭素13核磁気共
鳴スペクトルである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年1月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】第2の本発明の方法で使用できるポリケト
マイシンの生産菌の一例として、ストレプトミセス sp.
MK277−AF1株がある。この生産菌は平成6年10
月、微生物化学研究所において、神奈川県三浦市の土壌
より分離された放線菌で、MK277−AF1の菌株番号
が付された微生物である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】(5)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン
培地、20℃培養;グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地、27℃培養) 15%単純ゼラチン培地では、培養後3日目頃よりゼラチ
ンの液化を認めるが、その作用は弱く、21日間の観察で
は完了しなかった。グルコース・ペプトン・ゼラチン培
地の場合、液化性は認められない。 (6)脱脂牛乳の凝固、ペプトン化(脱脂牛乳、37℃培
養) 培養後5日目頃より凝固状を呈し、ペプトン化が始まる
が、その作用はゆっくりと進行し、21日間の観察では完
了しなかった。 (7)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプ
トン水、ISP−培地8、27℃培養) 陰性である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 百瀬 功 東京都日野市栄町3丁目1番地35号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): で表わされる化合物である抗生物質ポリケトマイシン、
    またはそれの塩。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属する、請求項1
    に記載の式(I)のポリケトマイシンの生産菌を培地に
    培養し、培養物からポリケトマイシンを採取することを
    特徴とする、抗生物質ポリケトマイシンの製造法。
  3. 【請求項3】 抗生物質ポリケトマイシン、またはそれ
    の塩を有効成分とする抗菌剤。
  4. 【請求項4】 抗生物質ポリケトマイシン、またはそれ
    の塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】 抗生物質ポリケトマイシンを生産する特
    性を持つストレプトミセス sp.MK277-AF1株。
JP11355396A 1996-05-08 1996-05-08 新規抗生物質ポリケトマイシンとその製造方法 Pending JPH09301989A (ja)

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