【発明の詳細な説明】鉄枯渇及びIgG抗体の併用療法
本出願は、1990年4月26日に出願され、現在は放棄された米国特許出願第514,
706号の一部継続出願である。技術分野
本発明は、腫瘍増殖を阻害するために用いられる、薬剤の新規組み合わせに関
する。さらに詳細に述べると、本発明は、抗体、及び細胞内鉄分を枯渇し、かつ
腫瘍増殖を抑制するように相乗的に作用し、これにより癌治療において広範に適
用することができる薬剤の併用療法に関する。発明の背景
外部供給源からの鉄の取り込みは、正常細胞及び新生物細胞の増殖において重
要である。Ledermanらは、デフェロキサミン:ヒトリンパ球増殖のS-型可逆阻害
剤(Blood,64:748(1984))を報告している。鉄は、細胞DNA合成維持の必須成分で
ある。鉄は、リボヌクレオチドレダクターゼ活性を調節する。Ledermanらの論文
、デフェロキサミン:ヒトリンパ球増殖のS-型可逆阻害剤(Blood,64:748(1984)
)である。いくつかの論文のデータは、鉄枯渇が、新生物、特に造血細胞由来の
新生物の治療の有用な戦略となりうることを示している。Estrovらは、新生児急
性白血病における、デフェロキサミンのin vitroおよびin vivoにおける効果(Bl
ood,69:757(1987))を報告し;Sauvageらは、同系マウスの白血病のin vivoでの
進行において、トランスフェリンレセプター機能を阻害するような、モノクロー
ナル抗体の効果(Cancer Res.,47:747(1987))を、及びTaetleらは、鉄枯渇療法
の組み合わせ(J.Natl.,Cancer Inst.,81:1229(1989))を報告している。In vit
roでの研究は、鉄キレート剤である、デフェロキサミンが、フェリチンから、並
びにトランスフェリンから非常に少量、鉄を除去することを示している。ヘモグ
ロビン又はシトクロム中の鉄は、デフェロキサミンでは、除去されない。デフェ
ロキサミンは、急性白血病症例の治療で使用され、ある程度の好ましい結果が出
た。Estrovらは、新生児急性白血病における、デフェロキサミンのin vitro及び
in vivoにおける効果を報告している(Blood,69:757(1987))。別の研究は、モノ
クローナルIgM抗トランスフェリンレセプター抗体が、in vivo
でのマウス白血病の治療において、著効があることを示している。Sauvageらは
、同系マウスの白血病のin vivoでの進行において、トランスフェリンレセプタ
ー機能を阻害するようなモノクローナル抗体の効果(Cancer Res.,47:747(1987)
)を報告している。さらに、鉄キレート剤パラバクチン及び多価IgA抗トランスフ
ェリンレセプター抗体42/6の併用は、in vitroにおいて、細胞株HL60に対し、超
相加的(supra additive)阻害効果を有することが示された。Taetleらは、鉄枯渇
療法の組み合わせ(J.Natl.,Cancer Inst.,81:1229(1989))を報告している。抗
トランスフェリンレセプター抗体及び鉄キレート剤の使用は、潜在的に有毒であ
るキレート剤の用量を低下することができる可能性があるので、おそらく好まし
い治療戦略であろう。Kaplinskyらは、デフェロキサミン(デスフェラル)^E-
に起因した眼内毒性(Ped Hemat Oncol,5:293(1988))を報告している。従って、
本出願の発明者は、in vitroにおける、いくつかの造血細胞の腫瘍性増殖に対す
る、抗トランスフェリンレセプター抗体及び鉄キレート剤の併用療法の効果を研
究している。
Taetleらは、多価IgA及びIgM抗トランスフェリンレセプター抗体の実際の作用
が不明であることを明らかにした(Cancer Research,46(4):1795-1763(1986))。
1986年の論文は、レセプターの分解、及び架橋結合によるレセプターインターナ
リゼーションの阻害の双方が生じることを提唱したが、より最近の研究では、有
力なメカニズムとして、表面の架橋の意義を強調している。IgA又はIgMのこの架
橋作用機序と異なり、Lesleyらは、IgG抗トランスフェリン(レセプター)抗体
が、それら自身によって、レセプターのダウンレギュレーションを生じているが
、抗免疫グロブリン抗体によってさらに架橋されることがなく、腫瘍の増殖は阻
害していないことの証拠を提供している(Mol.Cell.Bio.,5:1814(1985))。これ
らの論文は、IgM抗体類が、レセプター密度が十分に高いような場合には、架橋
結合を出現し、かつ増殖阻害を引き起こすことを、明らかにしている。従って、
Lesleyらは、大規模な架橋結合が、腫瘍細胞の顕著な増殖阻害に必要であると、
仮定した。
TaetleらもLesleyらも、IgG抗トランスフェリンレセプター抗体が、増強され
たレセプターのインターナリゼーション及び分解を引き起こすという考え方に異
議を唱えずに、IgG抗トランスフェリン(レセプター)抗体類が、あまり増殖を
阻害しないことを示した。
Weissmanらは、IgG抗トランスフェリンレセプター抗体が、ダウンモジュレー
ション及び分解を引き起こすことの、更なる証拠を提供した(Journal of Cell B
iology,102 :951-958(1986))。増殖阻害については、Weissmanらの論文では、言
及していない。
研究者達は、鉄キレート剤と、多価IgA又はIgM抗トランスフェリンレセプター
抗体類の組み合わせを使用している。しかし、IgA、IgM及びIgGがすべて抗体で
あるにもかかわらず、IgGは、腫瘍増殖を阻害するための鉄キレート剤との併用
療法は無効であると予想された。この結論は、IgGが、細胞表面レセプターと架
橋結合することができないことを示す証拠から導かれた。予想に反して、本発明
の発明者は、腫瘍の増殖に対する、IgG抗トランスフェリンレセプター抗体及び
細胞内鉄枯渇剤の併用療法の効果の、顕著な相乗作用を発見した。
細胞表面レセプターと架橋結合する抗体を使用する場合と異なり、IgG抗トラ
ンスフェリンレセプター抗体が、レセプターのダウンモジュレーションを引き起
こし、かつさらに臨床的意義を提供する可能性がある場合は、多価IgM抗トラン
スフェリンレセプター抗体とほとんど同じ強力な阻害剤であることが、提唱され
ている。発明の要約
本発明において、腫瘍細胞の細胞内鉄濃度を低下することで、腫瘍細胞におけ
る細胞性トランスフェリンレセプターの発現を増加し、かつ該腫瘍細胞をモノク
ローナルIgG抗トランスフェリンレセプター抗体に暴露することによる、腫瘍増
殖を阻害する方法が、提供されている。図面の簡単な説明
本発明の他の利点は、付図と関連して考察し、下記の詳細な内容に言及するこ
とで、より理解できるようになることは、容易に認識されるであろう。
図1は、腫瘍細胞増殖に対する、デフェロキサミン(DFO)及びIgG抗トランスフ
ェリンレセプター抗体(ATRA)C2F2を組み合わせた処理の効果を示す。5種のリン
パ系腫瘍を、DFO用量を上昇しながら、ATRA(25μg/ml)が存在(白丸)又
は非存在(黒丸)条件下で、本願明細書の実施例の材料及び方法の項に記載した
方法で培養した。チミジン取り込みの低下は、3回の実験において(未記載)実
現可能な細胞収量の減少と密接に関連しているので、データは、チミジン取り込
みの阻害率(%)として表した。対照の取り込みレベルは、217,126cpm(69J)、5
46,036cpm(NFS)、491,648cpm(70Z)、490,190cpm(EL4)及び428,943cpm(Bal8)であ
った。正常なラットのIgG 25μg/mlは、各腫瘍に対し、DFOの様々な濃度におい
て、顕著な効果はなかった。同一のプロトコールの繰り返しで大変良く似た結果
が得られ、かつさらに連続した関連実験において、5種の腫瘍の各々についても
、類似の結果が繰り返し観察されている。
図2は、EL4腫瘍の増殖に対する、DFO及びIgG ATRAの効果の、2変数用量/反
応曲線分析を示す。細胞は、材料及び方法の項に記載した方法で培養し、かつ一
定濃度のDFOの各々について、ATRAの濃度を変化して暴露した。チミジン取り込
み阻害率は、腫瘍単独の対照値456,992cpmを基準に決定した。矢印は、各曲線の
最大量の半分阻害点を意味する。同一のプロトコールの繰り返しで、大変良く似
た結果が得られた。
図3は、NFS細胞のトランスフェリンレセプターの表面発現に対する、DFO及び
ATRAの効果のフローサイトメトリー分析を示す。細胞は、材料及び方法の項に記
載した方法で、48時間培養し、かつDFO、ATRA、又はこれら双方を組み合わせた
もので暴露した。図Aにおいて、曲線1は、正常ラットIgGの存在下で細胞から
得られた結果を表し、曲線2は、IgG ATRAに暴露された細胞の結果を示す(反応
物は両方とも、25μg/ml)。図Bにおいて、曲線1は、DFO(5μg/ml)単独に暴
露された細胞を表し、曲線2は、DFO及びATRA(それぞれ5及び25μg/ml)に暴露
された細胞を表す。同じ実験において、低用量DFO単独は、トランスフェリンレ
セプターの表面への発現のわずかな上昇をもたらす一方、高用量は、わずかによ
り大きい上昇を示したのみであり;DFO/ATRAの組み合わせは、DFOのすべての用量
について、レセプターのダウンモジュレーションをもたらした(未記載)。NFS
腫瘍に関する、同一のプロトコールの2回の繰り返しで、大変良く似た結果が得
られ、関連研究は、他の4種の腫瘍も、DFO及びIgG ATRAで処理した場合には、
レセプターのダウンモジュレーションをもたらすことを示した。
図4は、DFOと併用した場合の、IgG ATRAによってもたらされた阻害の増強度
と、IgM ATRAによってもたらされたものとの比較を示す。EL4細胞は、材料及び
方法の項に記載した方法で、培養した。黒丸で記された曲線は、DFO単独の効果
を示し;白丸で記された曲線は、DFO及びIgG ATRA C2F2の効果を示し;並びに黒
三角で記された曲線は、DFO及びIgM ATRA R17-208の効果を示した。両方のATRA
は、25μg/mlの濃度で使用した。同一のプロトコールの繰り返しで、大変良く似
た結果が得られた。発明の詳細な説明
本発明は、腫瘍細胞内鉄濃度を激減させ、その後この細胞をモノクローナルIg
G抗トランスフェリンレセプター抗体に暴露することによって、腫瘍の増殖を阻
害するための薬剤の併用に関する。発明の背景の項で引用した多くの論文に詳細
に記載されているように、この腫瘍細胞内鉄濃度の激減は、その腫瘍細胞の細胞
性トランスフェリンレセプターの発現を増加する。
細胞は、いくつかの方法で、細胞内鉄を枯渇することができ、例えばデフェロ
キサミン(DFO)、及びBiomedical Frontiers社(ミネアポリス)から入手可能な
ヒドロキシエチルデンプンと化学的に結合したデフェロキサミン(この結合体は
高分子デフェロキサミン(HMW-DFO)として公知である。)、もしくはパラバクチ
ンなどの鉄キレート剤への、細胞の暴露である。デフェロキサミンの、ヒドロキ
シエチルデンプンのような生体適合性ポリマーとのカップリング又は共有結合は
、Hallawayらの論文(生体適合性ポリマーとの共有結合による、デフェロキサミ
ン毒性及びクリアランスの変化(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10108-10112(1989)
))で明らかになっている。鉄キレート剤の例であるDFOは、デフェロキサミンメ
シラートとして入手できる。これは、急性鉄中毒症において、臨床使用されてい
る。しかしDFOは、そう痒、膨疹、発疹及び過敏症を含む、多くのアレルギー性
反応を引き起こす。従って、該キレート剤の用量を低下することができ、これに
より該鉄キレート剤の血中中毒量よりも明らかに低い用量の投与が可能になるよ
うな、相乗薬を使用することは、併用療法において都合がよい。
他に、細胞の鉄濃度は、トランスフェリン−ガリウムのような形態で、該細胞
をガリウムへ暴露することによって激減することができる。Chitambarらの論文
(J.Clin.Invest.,78(12):1538-1546(1986))、及びFosterらの論文(Cancer Treat
ment Reports,70(11):1311-1319(1986))は、ガリウムの抗腫瘍活性を明らかにし
ている。このChitambarらの論文は、トランスフェリン−ガリウムが、細胞内の
酸性化の原因となる工程を妨害することによって、59Feの、トランスフェリンか
ら細胞内への放出を減弱することを明らかにしている。従って、トランスフェリ
ン−ガリウム及び他の可能なガリウム化合物類は、本発明での使用に適している
。
一旦該腫瘍細胞が部分的に細胞内鉄を激減させると、この細胞内の細胞性トラ
ンスフェリンレセプターの発現は、増加する。その後、この腫瘍細胞をモノクロ
ーナルIgG ATRAに暴露する。IgG ATRAは、当該技術分野において周知の方法で、
生物学的に誘導することができる。代わりに、遺伝子工学的に調製されたIgG AT
RA等価物を、本発明において使用することができる。IgGの遺伝子工学的に調製
された等価物の例は、Sastryらの論文(モノクローナル触媒性抗体産生のための
、E.coliにおける免疫学的レパートリーのクローニング:重鎖可変領域に特異的
なcDNAライブラリーの作成(Proc.Natl.Acad.Sci.,86:5728-4732(1989)));Huse
らの論文(λファージにおける免疫グロブリンレパートリーの巨大な組み合わせ
ライブラリーの作成(Science,246:1275-1281(1989)))によって明らかにされて
いる。
下記のデータは、トランスフェリンレセプター発現増加を引き起こすような鉄
枯渇が、トランスフェリンレセプターのダウンモジュレーション及び分解を引き
起こすようなIgG抗体と共に、腫瘍増殖の阻害のための併用療法に、顕著な相乗
効果をもたらすという主張を裏付けている。
下記のデータは、造血細胞に適合するものであるが、この併用療法が、さらに
固形腫瘍においても有効であり、おそらくIgM又はIgAを鉄キレート剤と共に使用
する併用療法よりも、程度がよいことは、確実である。それは、IgG抗体は、IgM
又はIgA抗体よりもより自在に間質液に拡散し、その結果IgG抗体は血管の外側の
腫瘍細胞に影響を及ぼすことができるからである。
下記のデータは、in vitro及びin vivo双方における、いくつかの造血細胞の
腫瘍性増殖に対する、モノクローナルIgG抗トランスフェリンレセプター抗体及
び鉄キレート剤の併用療法を具体的に説明する。このデータは、この併用療法の
効果を、定量的かつ機能的に特徴付ける。実施例 材料及び方法 デフェロキサミンのin vitro試験
リンパ系腫瘍・B-細胞腫瘍70Z、NSF-1、及び69Jは、それぞれBryan Van Ness
博士(現在ミネソタ大学)、Herbert Morse博士(NIH)及びRichard Lynch博士(
アイオワ大学)から入手した。T-細胞腫瘍Bal8及びEL4も、Lynch博士から入手し
た。各々、発明者の実験室で、数年間永続培養されている。
デフェロキサミン・細菌性の鉄シデロホアデフェロキサミン(Ciba-Geigy社(
サミット、NJ)が、デスフェラルという名称で製造)は、アイオワ大学ホスピタ
ルアンドクリニックスの薬剤部から入手した。凍結乾燥されたデフェロキサミン
500mgを含有する新鮮なバイアルを、各実験に使用し、かつ蒸留水で再懸濁し、
組織用培地中に希釈する以前の、100mg/mlの保存溶液に希釈した。
抗トランスフェリンレセプター抗体(ATRA)類・ラットのIgG 2a抗マウストラン
スフェリンレセプター抗体C2F2の生成の詳細は、既に発表されている。Kempらの
論文(リンパ球増殖におけるトランスフェリンレセプターの役割:マウスのトラ
ンスフェリンレセプターに対するラットIgGモノクローナル抗体がもたらす、T-
及びB-細胞活性化の高度な選択的阻害のプロトコール、(J.Immunol.,138:2422(1
987)))である。C2F2、及びIgM ATRAであるR17-208は、アメリカン・タイプ・カ
ルチャー・コレクション(ATCC)(TIB220)から入手し、既に明らかになっている方
法で精製した。Kempらの論文(モノクローナル抗トランスフェリンレセプター抗
体によるリンパ球活性化の阻害:3種の薬剤の比較、さらにそれらの有効濃度及
び作用機序の研究、(Cell Immunol.,122:218(1989)))である。
培養条件・全ての実験において、前述の腫瘍は各々、出発濃度1.25×105細胞/
mlで培養した。この組織用培地は、10%FCSを添加したRPMI-1640培地、つまり0.
1mM非必須アミノ酸、1.0mMピルビン酸ナトリウム、2.0mM L-グルタミン、100U/m
lペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、10mMヘペス、及び5×10-3M 2ME
から成る。チミジン取り込みについてアッセイされたこの培地は、容
積200μlの96ウェル平底プレート(Corning社又はCoster社)中で、3倍量にし、
かつ標準の48時間培養の最後の4又は6時間に、[3H]チミジン(Amersham社、ア
ーリントンハイツ、IL)を、1μC/ウェルを加えた後、シンチレーション計数の
ために、収集した。3倍量のcpmデータの標準偏差は、稀に例外はあるが、群平
均の5%未満であった。FACS分析のために収集した培地は、T-25又はT-75フラス
コに入れた。
フローサイトメトリー分析・前述の培地から収集した細胞は、C2F2、及び蛍光
物を共役したマウスの抗ラットIgG F(ab')2フラグメント調製物(Jackson Immuno
research社、ウエストグローブ、PA)で染色した。我々(及び他者)は、このよ
うなC2F2が該培地中に含まれるような場合には、トランスフェリンレセプターの
ほとんどが、すでにATRAと結合し、かつこれが第二の試薬のみの添加で検出でき
ることを示している。しかし、培養後にATRAへ暴露する場合には、染色強度の僅
かな追加の増加が、常に認められ、これが本発明者の標準の実施法となっている
。Kempらの論文(モノクローナル抗トランスフェリンレセプター抗体によるリン
パ球活性化の阻害:3種の薬剤の比較、さらにそれらの有効濃度及び作用機序の
研究、(Cell Immunol.,122:218(1989))である。この分析は、40の対数信号増幅
器(four decade logarithmic signal amplifiers)を装備した、FACS 440(Becton
-Dickinson社)を用いて行った。データは、Dec社のVax750コンピューター上で、
Electric Deskソフトを使用し、処理しかつ作図した。デフェロキサミンのin vitro結果
試験した各腫瘍について、あらかじめそれらのデフェロキサミン感受性を試験
した。
図1のデータは、最高濃度以下のDFOによってもたらされたチミジン取り込み
の阻害が、試験した5種の腫瘍の各々について、IgG ATRA存在によって劇的に増
強されることを示した。ATRA単独では、25μg/mlという比較的高い濃度であって
も、該腫瘍に応じて中程度の、つまり0〜26%の範囲の阻害をもたらすのみであ
った。IgG ATRAは、それらのみでは、in vitroでは腫瘍細胞の増殖の弱い阻害剤
であるということは、他者のこれまでの研究(Lesleyらの論文である、モノクロ
ーナル抗トランスフェリンレセプター抗体による細胞増殖の阻害(Mol.Cell
Biol.,5:1814(1985));Taetleらの論文である、モノクローナル抗トランスフェリ
ンレセプター抗体による増殖阻害の機序(Cancer Res.,46:1759(1986)))と完全に
一致する。
DFOの所定の用量で、組み合わされた薬剤の効果は、非常に鮮明な相乗的阻害
をもたらすが、これら2種の薬剤の相互作用を測定するより伝統的な方法は、AT
RA存在下で、半分阻害をもたらすのに必要なDFOの推定用量を、ATRA非存在下で
のそれと比較し、前者の値で、後者の値を割ることによって、増強指数を確定す
る方法である。あらゆる場合において、分子の値は、ATRA自身に起因する基本の
阻害とみなされる。この方法によって得られた各腫瘍の指数は、記載された実験
について、2.5(69J),2.5(NFS),4.0(70Z),5.3(EL4),及び8.8(Bal8)であった
。第二の実験で得られた指数は、2.0(69J),2.5(NFS),3.0(70Z),4.0(EL4),及
び5.0(Bal8)であり;連続した関連実験は、これらの結果をさらに確証した。試
験した全ての腫瘍が、2種の薬剤を組み合わせて使用する場合に、再現性のある
阻害の相乗的増強を示し、かつある腫瘍は、他のものよりもより増強されること
を再現性をもって示すことが明らかになった。
相乗的な阻害を引き起こすのに必要なATRAの用量範囲を、決定した。データは
、図2に示した。使用したDFO濃度が非常に低い場合(5μg/ml)には、半分阻害
を引き起こすのに必要なATRAの量は、DFOが存在しない場合に必要とされる量よ
りも多い。この結果は、他の因子に変化がないとすると、標的抗原密度の単純な
増加から予測されるであろう。しかし、各々のDFO用量の連続した増加によって
、半分阻害を引き起こすのに必要なATRAの量は、明らかな最小値約100〜200ng/m
lまで減少する。この所見は、DFO用量が増加するに連れて、ATRAの阻害効果も増
加することを示している。
IgG ATRA/DFOの相乗作用に関する機序を、特徴付けた。フローサイトメトリー
試験は、試験における前記処理から得られるトランスフェリンレセプターの表面
の発現の変化を示した。
図3Aに示されたデータは、IgG ATRA単独では、対照と比較し、表面レセプタ
ー発現の約1/3の減少を引き起こすことを示した。この結果は、これまでの研究
から予測されていた。Lesleyらの論文である、モノクローナル抗トランスフェ
リンレセプター抗体による細胞増殖の阻害(Mol.Cell Biol.,5:1814(1985));Wei
ssmanらの論文である、モノクローナル抗レセプター抗体OKT9に対する、K562細
胞の暴露に起因する、トランスフェリンレセプターの急速な再分布及び増強され
た分解(J.Cell.Biol.,102:951(1986))。図3Bに示されたデータは、DFO単独で
は、表面レセプターの発現が、3倍増加することを示した(図Bの曲線1と図A
の曲線1を比較)。同じくこの結果も、これまでの研究から予測されていた。Ra
oらの論文である、K562細胞におけるトランスフェリンレセプターの生合成の細
胞内鉄の変化への影響(Mol.Cell Biol.,5:595(1985))。図Bの曲線2は、薬剤の
組み合わせの効果を示した。増強されたレセプター発現への刺激が存在するにも
かかわらず、ATRAに起因したレセプターダウンモジュレーションが継続し、かつ
支配的であることは明らかである。
一般に、IgG ATRA類は、単独の薬剤では、腫瘍細胞増殖の弱い阻害剤であるこ
とが認められていて、かつ本願明細書に記載されたデータは、この所見を裏付け
ている。従って、IgG ATRAは、鉄キレート剤と併用する場合に、相乗的増殖阻害
を引き起こすことができるという予期しない結果が得られたので、増殖阻害を、
DFOと併用したIgM ATRAによってもたらされた増殖阻害と比較した。この比較に
おいて、IgM ATRAは、最近、in vivoで抗腫瘍効果を発揮することが判っている
ものを選択した。Sauvageらの論文である、in vivoでの同系マウス白血病の増殖
に関する、トランスフェリンレセプター機能を阻害するモノクローナル抗体の効
果(Cancer Res.,47:747(1987))。図4に記載されたデータは、やや低濃度のDFO
で生じるチミジンの取り込みの99%阻害において、IgG ATRAよりもIgM ATRAの方
が、ごくわずかにより効果が大きいことを示している。しかし、両方のATRAは、
別のごくわずかな効果のみを発揮するようなDFO濃度で、99%阻害を引き起こす
。これらの実験におけるIgM及びIgG ATRAの相対的な阻害能力は、正常なリンパ
球活性化プロトコールにおいて見られるものに、非常に類似している。Kempらの
論文である、モノクローナル抗トランスフェリンレセプター抗体による、リンパ
球活性化の阻害:3種の薬剤の比較、さらにそれらの有効濃度及び作用機序の研
究(Cell Immunol.,122:218(1989))。
前述のデータは、最近のTaetleらの報告した研究(鉄枯渇療法の組み合わせ、
(J.Natl.,Cancer Inst.,81:1229(1989)))を確証し、かつさらに拡大した。Taetl
eらは、腫瘍を、鉄キレート剤パラバクチン及び多価IgA ATRA 42/6の組み合わせ
に暴露した場合の、in vivoでのHL60増殖の超相加的阻害を報告している。本発
明は、腫瘍増殖の相乗的阻害も引き起こされることを示すことによって、進歩を
提供している。試験した全ての場合で、5匹のマウスのリンパ系腫瘍を、デフェ
ロキサミン及びモノクローナルIgG抗トランスフェリンレセプター(抗体)C2F2
に、in vitroで暴露した。モノクローナルIgG抗トランスフェリンレセプター抗
体類が、正常なリンパ球の活性化の強力な阻害剤として作用できることが示され
ているにもかかわらず、このような薬剤は、単独で使用する場合には、腫瘍細胞
増殖の顕著な阻害を一貫して生じないので、その結果は、予想したものではなか
った。Kempらの論文、モノクローナル抗トランスフェリンレセプター抗体による
リンパ球活性化の阻害:3種の薬剤の比較、さらにそれらの有効濃度及び作用機
序の研究(Cell Immunol.,122:218(1989));Lessleyらの論文(Mol.Cell.Bio.,5:1
814(1985));およびTaetleらの論文である、鉄枯渇療法の組み合わせ(J.Natl.,C
ancer Inst.81:1229(1989))である。
前述のデータは、さらにモノクローナルIgG抗トランスフェリンレセプター抗
体が、トランスフェリンレセプターのダウンモジュレーション及び分解を引き起
こすことによって、細胞機能を減弱し、その結果鉄の送逹を減弱するという、一
般的に受け入れられている考え方の裏付けとなるものを提供している。これは、
表面レセプター密度が、デフェロキサミン処理によって増加している場合であっ
ても生じる。さらに、この抗体用量反応曲線は、デフェロキサミン用量の増加に
応じ、右側に偏り続けるよりもむしろ、左側に漸進的に偏りを示す型に転換する
。これは、この抗体が実際に、より効果的な阻害剤となることを示す。DFOは、
トランスフェリンレセプターの代謝回転速度を早め及び/又は細胞内輸送形式を
変更すると仮定することができる。いずれも鉄の取り込みを増加させるが、それ
ぞれ抗体/レセプター複合体のリソソームへの輸送及び分解の危険度も増加する
であろう。デフェロキサミンのin vivo 試験 材料及び方法
本発明のin vivo での有用性を示すために、C3H/HEJマウスの4群に、組織適
合性38C13リンパ球B-細胞、50,000細胞を皮内注射し、11日間観察した。第一の
実験群(A)には、デフェロキサミンのみを投与した。この群は、皮下注入ポンプ
及び筋肉内注射によって、デフェロキサミンを投与した。第二の実験群(B)には
、注入ポンプを用いて、生理食塩水を投与した。第三の実験群(C)には、デフェ
ロキサミンを含有しないモノクローナル抗トランスフェリンレセプター抗体C2F2
を注射した。最後の第四の実験群(D)には、DFO及びモノクローナル抗トランスフ
ェリンレセプター抗体の併用療法を行った。
腫瘍重量(mg)を、これまでに発表された方法で、測定し、かつ概算した(Cance
r Chemother.Rep.,第3巻、3:18-55(1972))。デフェロキサミンのin vivo 結果
前述の方法で、測定しかつ概算した腫瘍重量は、下記の結果であった:
群A: 1,761±68(±1 S.D.)
群B: 1,396±722
群C: 342±128
群D: 172±45
群A及びBは、t-検定では有意差は認められず、従って、DFO処理単独では、
腫瘍増殖に効果がないことを示している。群Cは、群A又は群Bのいずれに対し
ても、有意水準0.001で、有意差があり、従って、IgG抗トランスフェリンレセプ
ター抗体処理が、腫瘍増殖を阻害することを示している。最後に、群Dは、群C
に対して、有意水準0.05で、有意差があり、従って、DFO及び前述のモノクロー
ナル抗体の組み合わせ処理が、さらに腫瘍増殖の減少をもたらすことを示してい
る。DFO単独では検出できる効果をもたらさないので、この結果は、相乗性を示
してる。
第二の関連実験において、併用療法群(第一の実験の群Dと等しい)は、検出
可能な腫瘍細胞を全く示さない、2匹のマウスを含むようにした。さらに、正常
なラットのIgGを等しい濃度で注射した、モノクローナル抗体注入の追加対照群
は、腫瘍増殖の阻害を示さなかった。これは予想された結果であり、かつ抗トラ
ンスフェリンレセプター抗体の効果が、特異的であるということの強力な証左と
なった。
これらの実験は、これまでにin vitroで得られた所見(Blood,76:991-995(199
0))の、in vivo における有用性を示している。さらに、人工のヌードマウス/
ヒト腫瘍異種モデルが、使用されていないので、ヒトの治療の可能性については
、これらの実験を、より厳密かつ適切に行うこととなる。この実験においては、
正常なマウスを、マウス腫瘍の宿主として使用し、かつ抗マウストランスフェリ
ンレセプター抗体で処理をした。従って、トランスフェリンレセプターの正常な
組織発現は、正常組織が抗体に結合し、かつより少ない腫瘍治療効果をもたらす
可能性に関すると考えられる。
In vitro試験から予想されるように、この抗体は効果的であり、DFOと相互作
用を行う。これは、in vitro試験を基に発表された考え方のin vivo における有
用性の明白な証左となる。材料及び方法−HMW-DFOのin vivo での使用
これらの試験は、前述のデフェロキサミンのin vivo 試験とほとんど同一の、
方法で行った。リンパ球38C13の50,000細胞を、C3Hマウスの全てのグループに皮
内投与した。
このデフェロキサミンの実験において、IgG ATRAは、第0、3、6及び9日目
に、用量3mgで投与した。この実験は、第11日目に、終了した。HMW-DFOは、26
凶溶液を0.5ml、腹腔内に毎日単回注入した。対照としてデンプンを、同様の方
法で投与した(10%溶液0.5mlを毎日腹腔内投与)。第二の実験(未記載)の追加
の対照であるC2には、同じ濃度及び投与スケジュールで、正常ラットIgGを使用
し、その結果は、未処理群と有意差がなかった(ATW 0.44gで、対照の96%)
。HMW-DFOの結果
この処理群及び結果を、下記に示す:
全ての%値は、未処理対照群に対するものである。群1及び2において、デン
プンポリマーに起因するとみなされる、腫瘍増殖のわずかな増強が認められた。
両方の実験において、HMW-DFOが、それ自身は阻害作用を持たないことから、HMW
-DFO及びこのATRA間の相互作用は、明らかに相乗的と見なすことができる。両方
の実験において、HMW-DFO及びIgG ATRAを投与された全ての動物において、腫瘍
増殖は完全に阻害される。これには、明らかな毒性はない。さらに、発表された
考え方のin vivo における有用性の明白な証左となる。
細胞内鉄の枯渇と組み合わせて使用される場合には、腫瘍細胞の増殖阻害を起
因する能力は、IgG抗トランスフェリンレセプター抗体の全てでないとしても、
ほとんどに共通の性質であろうと考えられる。これまでに、予備比較試験を、別
の2匹のIgG抗ラットトランスフェリン(レセプター)抗体について行い、両者
とも、デフェロキサミンとの相乗性を示した。マウスの抗ヒトトランスフェリン
レセプター抗体であるOKT9は、HL60に対して相乗性を示し、かつラット抗マウス
トランスフェリンレセプターであるYE1は、EL4に対して相乗性を示す。これはIg
G抗トランスフェリンレセプター(抗体)間の、デフェロキサミンに対するそれ
らの相乗性に関する類似性が、他の機能的アッセイにおいて示される類似性に似
ていることを明らかにする。本発明の発明者によって行われたこれまでの実験は
、3種のIgG抗トランスフェリンレセプター抗体が、様々な正常リンパ球活性
化プロトコールにおいて、阻害能力の点で、同様の側面を持つことを示している
。Kempらの論文である、モノクローナル抗トランスフェリンレセプター抗体によ
る、リンパ球活性化の阻害:3種の薬剤の比較さらにそれらの有効濃度及び作用
機序の研究(Cell.Immunol.,122:218(1989))。さらに、同じ以前の研究が、IgM抗
トランスフェリンレセプター抗体が、in vitroにおける阻害剤として、わずかな
利点しかないことを示した。この以前のデータは、本願明細書中に記載されたデ
ータと一致する。治療の観点から見ると、この所見は、IgG抗体は、IgM又はIgA
抗体よりも、間質液中により自在に拡散するので、実際に重要な意味がある。従
って、IgG抗体は、血管の外側の腫瘍細胞に効果を及ぼすことができるであろう
。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
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15/09 9281−4B C12N 5/00 B
C12P 21/08 9162−4B 15/00 A