【発明の詳細な説明】
対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルの製造
発明の分野
本発明は、対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステル
の製造法に関する。
大まかに言うと、本発明の製造法は、式II
で示されるアニオンの金属塩とR基を有する少なくとも1種の化合物とを、メタ
ノール性溶媒系中で、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を形成するに足る条件下にて接触させる工程を含む。
発明の背景
ジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルは、有機合成における中間体とし
て有用である。例えば、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルはH2-抗ヒスタミ
ン薬(シメチジンなど)の製造における中間体である。N-シアノジチオイミノ
炭酸ジメチルはさらに、抗潰瘍性化合物や抗分泌性化合物の製造にも使用され、
多くの複素環式化合物の製造における中間体である。
HantzschとWolvekampによる“Liebigs Ann.Chem. 331:265(1904)”およびTim
monsとWittenbrookによる“J.Org.Chem. 32:1566(1967)”は、N-シアノジチ
オイミノ炭酸二カリウムのメチル化によるN-シアノジチオイミノ炭酸ジメチル
の製造について説明している。TimmomsとWittenbrookの方法は、水性アセトン中
における、1当量のヨウ化メチルによるN-シアノジチオイミノ炭酸二カリウム
のメチル化を含む。生成物であるN-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウムが
約95%の収率で単離される。次いで、このN-シアノジチオイミノ炭酸メチル
カリウムをアセトン中でもう1当量のヨウ化メチルで処理して、N-シアノジチ
オイミノ炭酸ジメチルを約58%の収率で得る。
Wittenbrookによる“J.Heterocyclic Chem. 12:37(1975)”は、N-シアノジ
チオイミノ炭酸の二カリウム塩のアセトン懸濁液に2モル当量のヨウ化メチルを
加えて同時付加させることによる、N-シアノジチオイミノ炭酸の二カリウム塩
からのN-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルの製造について説明している。Reite
rによるハンガリー特許第181,743号は、N-シアノジチオイミノ炭酸二カリウム
塩の水性エタノール溶液を使用した反応について説明している。“Wielandによ
る博士論文,ウェストバージニア大学(1971)”は、N-シアノジチオイミノ炭
酸二カリウム塩のエタノール懸濁液を使用した反応について説明している。Suya
maとOdoによる“J.Syn.Org.Chem.,Japan,29:65(1971)”は、二硫化炭素(
CS2)、シアナミド(H2NCN)、およびヨウ化メチル(CH3I)の懸濁液
に2モル当量の塩基を加えることについて説明している。
Walek,Preiss,およびDietzelによる“Z.Chem. 18(4):144(1978)”は、N-
シアノジチオイミノ炭酸モノメチルをアセトン中に溶解して、これに1当量の硫
酸ジメチルを加えることによる、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルの製造に
ついて説明している。Trompen,Geevers,及び Hackmannによる“Rec.Trav.Ch im.
90:463(1971)”は、N-シアノジチオイミノ炭酸の二カリウム塩の水中でのメ
チル化について説明している。Reiterによるハンガリー特許第181743号は、水性
エタノール、水性1-プロパノール、または水性2-プロパノールの溶媒中にて2
モル当量の硫酸ジメチルまたはハロゲン化メチルを加えて反応させることについ
て説明している。Vejdelekらによるチェコスロバキア特許第221221号は、水性エ
タノール、水性1-プロパノール、または水性2-プロパノールの溶媒中にて2モ
ル当量のハロゲン化メチルまたは硫酸ジメチルを加えることについて説明してい
る。
発明の要約
本発明においては、“対称の”とは、ジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エス
テルが2つの同一置換基Rを有していることを表している。本発明においては、
“非対称の”とは、ジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルが2つの異なっ
た置換基Rを有していることを表している。例えば、一般式I
で示される化合物は、それぞれのRを、例えば適切な置換基として独立に定義で
きるので対称または非対称の化合物である。次の式I-A
で示される化合物は、置換基の両方がメチルであるので対称ジ置換N-シアノジ
チオイミノ炭酸エステルである。次の式I-B
で示される化合物は、一方の置換基がメチルで、他方の置換基がエチルであるの
で非対称ジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルである。
本発明においては、“金属塩”とは、塩中のアニオン電荷を相殺するに足る、
一価金属の金属塩、二価金属の金属塩、および多価金属フラクションの金属塩を
含む。これら金属塩の混合物も本発明に含まれる。さらに、“金属水酸化物”と
は、一価金属の水酸化物、二価金属の水酸化物、および多価金属フラクションの
水酸化物を含む。
本発明においては、“第1族金属または第2族金属”とは、周期表の第1族お
よび第2族からの全ての金属を含む。
さらに本発明においては、“メタノール性溶媒系”とは、メタノール、水性メ
タノール、またはメタノールを含んだ溶媒のあらゆる混合物を含む。例えば、メ
タノール性溶媒系は、メタノールと一種以上の他の溶媒(水、エタノール、また
はアセトンなど)を含んでもよい。
本発明は、対称または非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルの
新規な製造法を提供する。
本発明はさらに、速やか且つ効率的であって、しかも生成物を高収率・高純度
で得ることのできる、対称または非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エ
ステルの新規な製造法を提供する。
本発明はさらに、工業的規模も含めて、大規模で効率的に実施することのでき
る、対称または非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルの製造法を
提供する。
本発明の1つの態様は、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩または第2族金属塩とR基を有する少なくと
も1種の化合物とを、メタノール性溶媒系中で、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を形成するに足る条件下にて接触させる工程を含む方法である。
本発明の他の態様は、
(a) シアナミド、二硫化炭素、および第1族金属もしくは第2族金属の
水酸化物を、メタノール性溶媒系中にて、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩を生成するに足る条
件下で接触させる工程;および
(b) (a)の式IIで示されるアニオンの前記第1族金属塩もしくは第2
族金属塩とR基を有する少なくとも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称
の化合物を形成するに足る条件下にて接触させる工程;
を含む方法を提供することである。
本発明のさらに他の態様は、式III
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有する少なく
とも1種の化合物とを、メタノール性溶媒系中において、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を生成するに足る条件下にて接触させる工程を含む方法である。
本発明はさらに、メタノール性溶媒系中において、N-シアノジチオイミノ炭
酸メチルのモノアルカリ金属塩(このときアルカリ金属はナトリウムまたはカリ
ウムである)とメチル化剤とを、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルを生成す
るに足る条件下で接触させることを含む方法を提供する。
本発明はさらに、メタノール性溶媒系中において、N-シアノジチオイミノ炭
酸のビスアルカリ金属塩(このときアルカリ金属はナトリウムまたはカリウムで
ある)とメチル化剤とを、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルを生成するに足
る条件下で接触させることを含む方法を提供する。
本発明はさらに、好ましくはメタノール性溶媒系中において、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩と塩化メチルとを、式
I-A
で示される化合物を形成するに足る条件下で接触させる工程を含む大規模法を提
供する。
本発明の他の特長および利点については後述にて説明され、一部はその説明か
ら明らかとなろう。あるいは本発明の他の特長および利点は、本発明を実施する
ことによって理解を深めることができよう。本発明の特長と利点は、請求の範囲
において説明されている方法によって得ることができ、また具現化することがで
きる。
本発明は、対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステル
の
製造法に関する。対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エス
テルは、有機合成における中間体として有用である。
対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを製造する
ための本発明の方法は、メタノール性溶媒系中において、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有する少なく
とも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称化
合物を形成するに足る条件下で接触させる工程を含む。式IIのアニオンの第1族
金属もしくは第2族金属と接触させるR基含有化合物は、少なくとも2モル当量
の基Rを供給するのが好ましい。R基含有化合物の全量を、式IIのアニオンの第
1族金属もしくは第2族金属とほぼ同時に接触させてもよい。これとは別に、R
基含有化合物は、複数の付加工程(好ましくは2付加工程)にて加えてもよい。
好ましい実施態様においては、R-XはR基含有化合物であり、Mはアニオン
電荷を相殺する、第1族金属もしくは第2族金属からのカチオンである。このプ
ロセスは以下のように示される。
上図からわかるように、また本発明によれば、対称もしくは非対称のジ置換N
-シアノジチオイミノ炭酸エステルの製造は、2つの反応スキームのいずれかに
よって行うことができる。
本発明の好ましい実施態様は、
(a) メタノール溶媒系中において、シアナミド、二硫化炭素、および第
1族金属もしくは第2族金属の水酸化物を、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩を生成させるに足る
条件下で接触させる工程;および
(b) (a)の式IIで示されるアニオンの前記第1族金属塩もしくは第2
族金属塩とR基を有する少なくとも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称
の化合物を形成するに足る条件下で接触させる工程;
を含む方法である。
好ましい実施態様においては、R-XはR基を有する化合物であり、Mはアニ
オン電荷を相殺する第I族金属もしくは第II族金属からのカチオンであり、
(3−n)Mn+(OH-)nは第I族金属もしくは第II族金属の水酸化物(このと
きnは1または2である)である。このプロセスは以下のように表される。
本発明はさらに、メタノール性溶媒系中において、式III
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有する少なく
とも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を生成するに足る条件下にて接触させる工程を含む方法に関する。R基を
有する化合物は、少なくとも1モル当量で且つ2モル当量未満の基Rを供給する
のが好ましい。
好ましい実施態様においては、R-XはR基を有する化合物であり、Mはアニ
オ
ン電荷を相殺する第I族金属もしくは第II族金属からのカチオンである。このプ
ロセスは以下のように表される。
本発明の他の好ましい実施態様は、メタノール性溶媒系中において、式II
で示されるアニオンのビスアルカリ金属塩とR基を有する少なくとも1種の化合
物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される化合物を生成するに足
る条件下にて接触させる工程を含む方法である。R基を有する化合物は、少なく
とも2モル当量の基Rを供給するのが好ましい。
好ましい実施態様においては、R-XはR基を有する化合物であり、Mはアニ
オン電荷を相殺する第I族金属もしくは第II族金属からのカチオンである。この
プロセスは以下のように表される。
本発明の上記反応、および反応に対する好ましい反応物と条件について以下に
詳細に説明する。N−シアノジチオイミノ炭酸金属塩の製造
N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩は種々の方法(例えば水性エタノール、水
、または無水エタノール等の溶媒中にて、シアナミドと二硫化炭素を金属水酸化
物の溶液と接触させる)によって製造されている。例えば、TimmonsとWittenbro
okによる“J.Org.Chem.,32,1566(1967)”は、固体シアナミドと固体水酸化
カリウムをエタノール中で反応させ、次いで沈殿した固体生成物を単離する、と
いうN−シアノジチオイミノ炭酸金属塩の製造について説明している。
“Wielandによる博士論文,ウェストバージニア大学(1971)”およびD'Amicoと
Campbellによる“J.Org.Chem.,32,2567(1967)”は、シアナミド水溶液とK
OH水溶液を85〜90%エタノール中で反応させ、沈殿した固体を単離する、
という方法について説明している。ハンガリー特許第181,743号(Reiter)は、
シアナミド水溶液とKOH水溶液を60%エタノール中で反応させ、二カリウム
塩生成物を単離する、という方法について説明している。米国特許第2,816,136
号(Pera)は、あらゆる水性系中における、アルカリ金属水酸化物もしくはアル
カリ土類金属水酸化物と、アルカリ金属シアナミドもしくはアルカリ土類金属シ
アナミドとの反応について説明している。
本発明によれば、N−シアノジチオイミノ炭酸の第1族金属塩もしくは第2族
金属塩の製造は、シアナミド、二硫化炭素、および第1族金属もしくは第2族金
属の水酸化物を、メタノール性溶媒系中において、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩を生成するに足る条件
下で接触させる工程を含む。
本発明の好ましい方法においては、シアナミド水溶液と二硫化炭素を混合して
得られる溶液を、メタノール性溶媒系中において第1族金属(アルカリ金属)の
水酸化物と接触させて、N-シアノジチオイミノ炭酸のビスアルカリ金属塩を生
成させる。
好ましいメタノール性溶媒系は、メタノール、水性メタノール、あるいはメタ
ノールを含んだ溶媒混合物である。例えば、メタノール性溶媒系は、メタノール
と1種以上の他の溶媒(水、エタノール、またはアセトンなど)を含んでもよい
。反応混合物中のメタノールの量は、二硫化炭素の体積を除いて、全体積の少な
くとも25%であるのが好ましい。反応混合物中のメタノールの量は、二硫化炭
素の体積を除いて、全体積の約90%であるのがさらに好ましい。反応混合物中
のメタノールの量(特に工業的大規模の場合)は、二硫化炭素の体積を除いて、
全体積の約50%であるのが最も好ましい。より低いパーセントのメタノールも
使用することができる。より低いパーセントのメタノールを含有した反応混合物
は、幾らか緑色またはオレンジ色を呈することがあるが、これは必ずしも望まし
くない現象というわけではない。
本発明のさらに好ましい実施態様においては、シアナミド水溶液(好ましくは
50%水溶液)と二硫化炭素のメタノール溶液との混合物(このときメタノール
の量は、二硫化炭素の体積を除いて、溶液全体積の50容量%であるのが好まし
い)を好ましくは20℃に冷却し、金属水酸化物(好ましくは50%水溶液)を
好ましくは45分にて加える。この反応は約2時間で完了する。本反応により黄
色溶液が得られ、これは中性〜アルカリ性のpH(約7〜8.5)を有する。
N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩の製造においては、メタノール性溶媒系を
使用するのが好ましく、他の溶媒系に比べて顕著な改良がもたらされる。例えば
、N-シアノジチオイミノ炭酸ビスアルカリ金属塩の製造のための反応はエタノ
ール中で行うことができる。しかしながら、メタノール性溶媒系中で反応させる
ことは、とりわけ、低コストであること、再使用のために水からの分離が極めて
容易であること、およびより高純度の生成物が得られることを含めて、エタノー
ルや他の公知の溶媒中での反応を凌ぐ幾つかの利点を有する。
これらのN-シアノジチオイミノ炭酸金属塩は、例えば、モノ置換N-シアノジ
チオイミノ炭酸エステルモノアルカリ金属塩を得るために、あるいはジ置換N-
シ
アノジチオイミノ炭酸エステルを得るために、さらなる反応において使用するこ
とができる。N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩は水性メタノール反応溶液中に
保持することもできるし、あるいはさらなる反応の前に単離することもできる。モノS-置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステル金属塩の製造
モノS-置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルが、TimmonsとWittenbrookに
よる“J.Org.Chem.,32:1566(1967)”に記載の方法にしたがって製造されてい
る。TimmonsとWittenbrookによれば、N-シアノジチオイミノ炭酸二カリウムの
水性アセトン溶液に、ヨウ化メチルのアセトン溶液を約0℃にて加えることによ
って、N-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウムが製造される。反応混合物を
濃縮し、次いで生成物をアセトン中に溶解し、KIを濾過によって除去すること
によって、生成物からヨウ化カリウム(KI)副生物を取り除く。アセトン溶液
を濃縮し、固体生成物をエーテルで洗浄する。
本発明の方法を使用すると、モノS-置換N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩の
製造が、従来技術の方法より速やかで且つ効率的となる。本発明の方法は、メタ
ノール性溶媒系中において、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有する少なく
とも1種の化合物とを、式III
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示されるアニオンの第1族金属
塩もしくは第2族金属塩を形成するに足る条件下で接触させる工程を含む。R基
を有する化合物は、少なくとも1モル当量で且つ2モル当量未満の基Rを供給す
るのが好ましい。
メタノール性溶媒系は、前述のように、メタノールであっても、水性メタノー
ルであっても、あるいはメタノールを含んだ溶媒混合物であってもよい。モノS
-置換N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩を製造するための好ましいメタノール性
溶媒系は、N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩の製造に関して前述したものと同
じである。
Rによって表される基は、置換もしくは非置換で、直鎖もしくは枝分かれ鎖の
C1-C20アルキル基、C2-C20アルケニル基、またはC2-C20アルキニル基;単
環式もしくは多環式で、縮合環もしくは非縮合環で、炭素環式もしくは複素環式
で、置換もしくは非置換のアリール基;水素;および単環式もしくは多環式で、
縮合環もしくは非縮合環で、置換もしくは非置換の非アリール複素環式基;から
選ばれるのが好ましい。あるいはR-Sが、チオスルホネート、スルホネート、
チオエステル、およびチオカルバメートから選ばれるのが好ましい。さらに好ま
しい実施態様においては、Rは、置換または非置換で直鎖もしくは枝分かれ鎖の
C1-C6アルキル基から選ばれる。さらに好ましいRはメチル、エチル、プロピ
ル、またはイソプロピルであり、最も好ましいRはメチルである。
好ましい実施態様においては、R基を有する化合物は、R-Xグループ(この
ときXは塩素、ヨウ素、または臭素である)またはR-X-Rグループ〔このとき
Xは、例えばサルフェート(SO4 2-)等の二価の基である〕である。R基を有
する化合物は、例えばCH3Xや(CH3)2X等のメチル化剤(具体的には塩化
メチル、ヨウ化メチル、または硫酸ジメチルなど)から選択することができる。
好ましい実施態様においては、R基含有化合物は塩化メチルである。
本発明の好ましい実施態様においては、N-シアノジチオイミノ炭酸ビスアル
カリ金属塩(例えば、N-シアノジチオイミノ炭酸二ナトリウムやN-シアノジチ
オイミノ炭酸二カリウム)の水性メタノール溶液を、モノS-置換N-シアノジチ
オイミノ炭酸エステル(例えば、N−シアノジチオイミノ炭酸メチルナトリウム
やN-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウム)を製造するための反応が一般に
は約2時間で完了するまで、R基含有化合物(例えば塩化メチル)をメタノール
中に
溶解して得られる溶液で、あるいはニートの状態で(好ましくはニートの状態で
)処理する。反応混合物を濃縮してメタノールを回収し、反応生成物を単離する
ことができる。
塩がナトリウム塩である場合、N-シアノジチオイミノ炭酸メチルナトリウム
生成物が高粘度の黄色混合物(NaClを含有することがある)として得られる
。塩がカリウム塩である場合、N-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウム生成
物が淡黄色固体として得られる。
好ましい実施態様においては、モノS-置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステ
ル生成物を、さらなる反応に付す前に少なくとも1種の溶媒(例えば、アセトン
および/またはジクロロメタン)を使用して精製することができる。精製工程を
施すことにより、モノS-置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステル生成物から副
生物を本質的にまたは完全に除去することができる。
固体生成物を適切な溶媒(例えばアセトン)に溶解し、濾過することによって
固体生成物から副生物(例えばNaClやKCl)を取り除くことができる。次
いでこの溶媒溶液(solvent solution)を濃縮して溶媒を回収することができ、
濃縮して固体が得られた場合は、この固体を適切な溶媒(例えばジクロロメタン
)中に攪拌しながら適切な時間(例えば30分)懸濁させることによって、この
固体を精製することができる。こうして得られるスラリーを濾過してから、固体
を乾燥する。反応中に形成されたいかなるジ置換エステル(例えば、N-シアノ
ジチオイミノ炭酸ジメチルエステル)も濾液から単離することができる。
精製にはジクロロメタンを使用するのが好ましく、ジエチルエーテルを使用す
るより有利である。なぜなら、ジクロロメタンは、ジエチルエーテルと異なって
可燃性ではなく、過酸化物を形成しないからである。次いで生成物を空気中で約
12時間、あるいは減圧下約50℃で約2時間乾燥する。
これらのモノS-置換N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩(副生物や汚染物を実
質的に含有していないのが好ましい)をさらなる反応に使用して、例えば、対称
もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを得ることができ
る。対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルの製造
Wittenbrook(1975),Suyama(1971),Trompen(1971),Reiter(1980),およびWi
eland(1971)による前記文献に記載の手順にしたがって、N-シアノジチオイミノ
炭酸二カリウムと2モル当量のメチル化剤(ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチル)
とを反応させることによって、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルを製造した
。
本発明の方法は、メタノール性溶媒系中において、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有する少なく
とも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を形成するに足る条件下にて接触させる工程を含む。
本発明はさらに、
(a) シアナミド、二硫化炭素、および少なくとも1種の第1族金属水酸
化物もしくは第2族金属水酸化物を、式II
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩を生成するに足る条
件下にて接触させる工程;および
(b) (a)の式IIの前記第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有
する少なくとも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称
の化合物を形成するに足る条件下にて接触させる工程;
を含む方法に関する。工程(a)と(b)のいずれかが、好ましくは工程(a)
と(b)の両方がメタノール性溶媒系中で行われる。
本発明はさらに、メタノール性溶媒系中において、式III
で示されるアニオンの第1族金属塩もしくは第2族金属塩とR基を有する少なく
とも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を生成するに足る条件下にて接触させる工程を含む方法に関する。R基を
有する化合物は、少なくとも1モル当量で且つ2モル当量未満の基Rを供給する
のが好ましい。
本発明はさらに、メタノール性溶媒系中において、N-シアノジチオイミノ炭
酸ビスアルカリ金属塩とR基を有する少なくとも1種の化合物とを、式I
(式中、R基はすべての適切な置換基である)で示される対称もしくは非対称の
化合物を生成するに足る条件下で接触させる工程を含んだ方法を含む。R基を有
する化合物は、少なくとも2モル当量の基Rを供給するのが好ましい。
対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを製造する
ための方法において使用されるメタノール性溶媒系は、前述したように、メタノ
ール、水性メタノール、あるいはメタノールを含んだ溶媒混合物である。対称も
しくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを製造する上での好
ましいメタノール性溶媒系は、N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩およびモノS-
置換N-シアノジチオイミノ炭酸金属塩の製造に際して使用されるもの(前述)
と同じである。
対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを製造する
それぞれの方法において、基Rと基Rの好ましい実施態様は、モノS-置換N-シ
アノジチオイミノ炭酸金属塩の製造に関して前述したものと同じである。前述し
たように、特に好ましい実施態様においては、Rはメチル、エチル、プロピル、
またはイソプロピルであり、最も好ましいのはメチルである。
好ましい実施態様においては、R基含有化合物は、グループR-X(式中、X
は塩素、ヨウ素、または臭素である)あるいはグループR-X-R〔式中、Xはサ
ルフェート(SO4 2-)等の二価の基である〕である。R基含有化合物は、例え
ば、メチル化剤CH3Xや(CH3)2X(塩化メチル、ヨウ化メチル、または硫
酸ジメチルなど)から選択することができる。さらに好ましい実施態様において
は、R基含有化合物は塩化メチルである。
本発明の好ましい実施態様においては、Rはメチルであり、ジ置換N-シアノ
ジチオイミノ炭酸エステルはN-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルである。本発
明のこの実施態様によれば、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルのこうした新
規な製造は、それを製造する従来技術の方法に比べてより速やか且つ効率的であ
る。N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルは高収率で(好ましくは少なくとも7
0%、さらに好ましくは約89%である)得られる。
本発明の他の好ましい実施態様においては、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメ
チ
ルの製造は、N-シアノジチオイミノ炭酸メチルモノアルカリ金属塩と約1モル
当量の塩化メチルとを水性メタノール溶媒中で接触させることを含む。これとは
別に、N-シアノジチオイミノ炭酸ビスアルカリ金属塩と約2モル当量の塩化メ
チルとを水性メタノール溶媒中で接触させるという方法もある。反応混合物を濃
縮し、生成物を適切な有機溶媒で抽出することによって、所望の生成物を単離す
ることができる。塩化メチルを使用する本発明の好ましい製造法は、工業規模の
プロセスも含めて、大規模プロセスに対して効率的である。
さらに好ましい実施態様においては、N-シアノジチオイミノ炭酸ビスアルカ
リ金属塩の水性メタノール溶液に、温度を40℃以下に保持しながら約2.1モ
ル当量の塩化メチルガスを加える。次いで反応混合物を約60℃に加温するが、
このとき約55〜60℃で発熱が生じ、温度は3分で約7℃上昇する。反応が完
了するまで、温度を約60℃で約1.5時間保持する。反応器を約50℃に冷却
し、減圧にてメタノールを除去する。N-シアノジチオイミノ炭酸二カリウム塩
の製造において最初使用したメタノールの量にほぼ等しい量のジクロロメタンを
加えて、生成物を溶解させる。反応器を約35℃に冷却し、ジクロロメタン層を
取り出す。
実質的にすべてのN-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルが反応混合物から分離
されるまで、この抽出プロセスを繰り返すことができる。有機層を乾燥し、濾過
し、そして50℃にて濃縮して黄橙色の油状物を得る。この油状物を高真空にて
室温で1時間乾燥すると、固化して淡黄色固体となる。
以下に記載の実施例は本発明を例証するためのものであって、これによって本
発明の範囲が限定されるものではない。
実施例
N-シアノジチオイミノ炭酸二ナトリウム
実施例1
温度計、機械的攪拌羽根、滴下ロート、および窒素弁を取り付けた1リットル
の3つ口丸底フラスコ中に、シアナミド(50%水溶液40.5g,482ミリ
モル,1.0当量)、95%エタノール(96ml)、および二硫化炭素(36.
6g,481ミリモル,1.0当量)を仕込んだ。次いで容器を窒素で10分パ
ージ
した。反応混合物を攪拌し、5℃に冷却した。塩基の溶液を別々に作製した。水
酸化ナトリウム(38.6g,965ミリモル,2.0当量)を550mlの95
%エタノール中に0.5時間で溶解し、本溶液を室温に冷却した。滴下ロートに
この溶液を入れた。反応温度を9℃に保持しながら、冷却されたシアナミド混合
物に塩基溶液を加えた。黄色の反応混合物を1時間攪拌し、不溶性物質を濾過に
よって除去した。このN-シアノジチオイミノ炭酸二ナトリウムの溶液を次の反
応に直接使用して、N-シアノジチオイミノ炭酸メチルナトリウムを得た。これ
とは別に、このN-シアノジチオイミノ炭酸二ナトリウムの溶液を次の反応に使
用して、対称もしくは非対称の二置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを得
ることもできる。
実施例2
温度計、窒素弁、滴下ロート(non-equalizing)、および攪拌棒を取り付けた
100mlの3つ口丸底フラスコ中に、シアナミド(50%水溶液10.2g,
120.5ミリモル,1.0当量)、95%エタノール(60ml)、および二硫
化炭素(9.24g,121.4ミリモル,1.01当量)を仕込んだ。水酸化ナ
トリウム(9.64g,241ミリモル,2.0当量)を17mlの水に溶解して
得られた溶液を滴下ロートに入れた。シアナミド混合物を1℃に冷却し、塩基溶
液を34分にて滴下した。最終温度は10℃となり、反応容器を静置して、1時
間で15℃に上昇させた。反応混合物を減圧にて濃縮し、残留水を95%エタノ
ールで追い出した(2×50ml)。淡黄色固体をエタノール中に懸濁させ、1
0分攪拌し、そして濾過して5.4g(27%)のN-シアノジチオイミノ炭酸二
ナトリウムを白色粉末として得た。濾液を濃縮してやや湿った生成物を16g得
た。
実施例3
実施例1と2に記載の方法の他に、他の溶媒〔例えば、水性エタノール(水が
25〜60%,好ましくは水が50%)または水性メタノール(水が5〜75%
,好ましくは水が50%)〕を0〜30℃の温度で使用してN-シアノジチオイ
ミノ炭酸二ナトリウムを製造することができる。
N-シアノジチオイミノ炭酸二カリウム
実施例4
1リットルのステンレス鋼製オートクレーブ中に、シアナミド(50%水溶液
125.6g,1.496モル,1.0当量)、95%エタノール(350ml)
、および二硫化炭素(123.15g,1.617モル、1.08当量)を仕込ん
だ。系をシールし、反応温度を30℃以下に保持しながら水酸化カリウム(14
.0M,213.7ml,2.992モル,2.0当量)を20分でポンプ送入した
。水(30ml)と95%エタノール(30ml)を水酸化物に対するすすぎ洗
い液として使用した。混合物を2時間攪拌し、得られた黄色スラリーをさらなる
反応に直接使用してN-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウムを得た。これと
は別に、このN-シアノジチオイミノ炭酸二カリウムのスラリーをさらなる反応
に使用して、対称もしくは非対称の二置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステル
を得ることもできる。
実施例5
攪拌棒、温度計、および滴下ロートを取り付けた100mlの3つ口丸底フラ
スコ中に、シアナミド(50%水溶液15.16g,180ミリモル,1.0当量
)、メタノール(40ml)、及び二硫化炭素(13.7g,180ミリモル,
1.0当量)を仕込んだ。系をシールし、反応温度を20℃以下に保持しながら
水酸化カリウム(14.0M,25.7ml,360ミリモル,2.0当量)を1
8分で加えた。混合物を2時間攪拌し、得られた黄色スラリーにシアナミドが残
留するかどうかを調べ、そのpHを測定した。シアナミドが残留しており(TL
C)、pHが12より大きかったので、15分後に二硫化炭素(3ml)を加え
て反応混合物のpHを9にした。このスラリーをさらなる反応に直接使用して、
N-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウムを得た。これとは別に、このN-シア
ノジチオイミノ炭酸二カリウムのスラリーをさらなる反応に使用して、対称もし
くは非対称の二置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを得ることもできる。
実施例6
10ガロンのステンレス鋼製オートクレーブに、シアナミド(50%水溶液
4.8kg,57.09モル,1.0当量)、95%エタノール(13リットル)
、及び二硫化炭素(4.35kg,57.13モル,1.0当量)を仕込んだ。反
応器の温度を30℃以下に保持しながら、水酸化カリウムの溶液(13.0M,
8.7リットル,113.5モル,1.99当量)を100ml/分の速度で加え
た。KOHを加えた後、反応を2時間継続した。反応混合物のpHを、濃塩酸(
2.3リットル)を加えることによって12〜8.5に調節し、本溶液を0.5時
間攪拌した。このスラリーをさらなる反応に直接使用して、N-シアノジチオイ
ミノ炭酸メチルカリウムを得た。
実施例7
10ガロンのステンレス鋼製オートクレーブに、シアナミド(50%水溶液4
.8kg,57.09モル,1.0当量)、メタノール(13リットル)、および
二硫化炭素(4.35kg,57.13モル,1.0当量)を仕込んだ。反応器の
温度を30℃以下に保持しながら、水酸化カリウムの溶液(14.2M,8.0リ
ットル,113.6モル,1.99当量)を130ml/分の速度で加えた。KO
Hを加えた後、反応を1.75時間継続した。反応混合物のpHを、二硫化炭素
(200ml)を加えることによって11〜9に調節し、本溶液を0.5時間攪
拌した。このスラリーをさらなる反応に直接使用して、N-シアノジチオイミノ
炭酸メチルカリウムを得た。
N-シアノジチオイミノ炭酸メチルナトリウム
実施例8
N-シアノジチオイミノ炭酸二ナトリウム〔米国特許第2,816,136号(該特許を
参照のこと)にしたがって製造〕の水溶液(32重量%,100ml,197ミ
リモル)を、アセトン(160ml)及び水(79ml)で希釈した。本溶液を
5℃に冷却し、ヨウ化メチル(28.0g,197.3ミリモル,1.00当量)
のアセトン(80ml)溶液を45分で滴下した。反応混合物を5℃で30分攪
拌し、3.5時間で室温に加温した。反応混合物を濃縮して57g(理論収量は
30g)の黄色スラリーを得た。このスラリーをさらなる反応に使用して、N-
シアノ
ジチオイミノ炭酸ジメチルまたは3-メルカプト-5-アミノ-(1H)-1,2,4-
トリアゾールを得ることができた。さらに、このスラリーをさらなる反応に使用
して、対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを得る
ことができた(S-メチル付加物への転化率が95%として)。これとは別に、
本化合物を単離し、当業界に公知の方法で同定することもできる。
実施例9
塩化メチルの代わりに硫酸ジメチルをメチル化剤として使用して、実施例8に
記載の手順を繰り返した。但し本実施例では、生成物であるN-シアノジチオイ
ミノ炭酸メチルナトリウム(57g,黄色スラリー)をもう1当量のヨウ化メチ
ルとさらに反応させて、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルに転化させた。
実施例10
N-シアノジチオイミノ炭酸二ナトリウム〔米国特許第2,816,136号(該特許を
参照のこと)にしたがって製造〕の水溶液(32重量%,250ml,493ミ
リモル)をアセトン(250ml)で希釈した。硫酸ジメチル(62.2g,4
93ミリモル,1.0当量)を12分で滴下し、反応温度を50℃に上げた。反
応混合物を1時間攪拌しつつ、温度を徐々に25℃に下げた。1時間後、混合物
を濃縮して黄色スラリーとし、体積を250mlにした。得られたスラリーをア
セトン(1リットル)で希釈し、濾過して硫酸メチルナトリウムを除去し、そし
て濃縮して体積を150mlにした。このスラリーをさらなる反応に使用して、
N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルまたは3-メルカプト-5-アミノ-(1H)-
1,2,4-トリアゾールを得ることができた。このスラリーをさらなる反応に使
用して、対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを得
ることができた(S-メチル付加物への転化率を95%と仮定)。これとは別に
、当業界に公知の方法を使用して該化合物を単離することもできる。
実施例11
反応温度5℃にて実施例10に記載の手順を繰り返した。但し本実施例では、
硫酸ジメチルの添加時間を50分にした。得られたスラリーをさらなる反応に使
用して、N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルまたは3-メルカプト-5-アミノ-
(1H)-1,2,4-トリアゾールを得ることができた。このスラリーをさらに使
用して、対称もしくは非対称のジ置換N-シアノジチオイミノ炭酸エステルを得
ることができた(S-メチル付加物への転化率を95%と仮定)。これとは別に
、当業界に公知の方法を使用によって該化合物を単離・同定することもできる。
実施例12
実施例8〜11に記載の方法の他に、水性エタノール(水5〜75%,好まし
くは水50%)等の溶媒中にて0〜50℃の温度でN-シアノジチオイミノ炭酸
メチルナトリウムを製造することができる。さらに、ヨウ化メチルの代わりに他
のメチル化剤(例えば、硫酸ジメチルや塩化メチル)を使用することもできる。
N-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウム
実施例13
機械的攪拌機、温度計、およびすり合わせガラスの入口チューブと出口チュー
ブを取り付けた5リットルの3つ口丸底フラスコ中に、N-シアノジチオイミノ
炭酸二カリウム(348.2g,1.794モル,1.0当量)、水(1.575リ
ットル)、およびアセトン(1.450リットル)を仕込んだ。本溶液を3℃に
冷却し、温度を7℃以下に保持しながら塩化メチル(102.8g,2.036モ
ル,1.13当量)を70分で加えた。反応混合物を一晩攪拌し、濃縮してウェ
ットな淡黄色ペースト(yellow-white paste)を得た。このペーストをアセトン
(1.25リットル,生成物1gあたり4ml)中に懸濁させて5分攪拌した。
本混合物を濾過して、124g(93%)の白色塩化カリウムを得た。この固体
サンプルを水中に溶解すると無色透明の溶液が得られ、このことは、出発物質で
ある二カリウム塩のすべてが消費されていることを示している。濾液を50℃に
て減圧で濃縮して淡黄色固体を得た。N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチル副生
物を除去するためにこの固体塩化メチレン(900ml,生成物1g当たり3m
l)中に懸濁させ、約30分攪拌した。濾過によって固体を捕集し、塩化メチレ
ン(100ml)で洗浄し、そして乾燥して235g(77%)の白色結晶質固
体(mp:212〜217℃)を得た。1H-NMRは構造と矛盾しない。塩化メ
チレン濾液
を水(100ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして濃縮して
7.6g(5.8%)のN−シアノジチオイミノ炭酸ジメチルを得た。
実施例14
攪拌棒、温度計、および滴下ロートを取り付けた250mlの3つ口丸底フラ
スコ中に、シアナミド(50%水溶液15.1g,180ミリモル,1.0当量)
、95%エタノール(36ml)、および二硫化炭素(13.7g,180ミリ
モル,1.0当量)を仕込んだ。水酸化カリウム(23.74g,360ミリモル
,2.0当量,120mlの20%水性エタノール中)を滴下ロートに入れ、反
応温度を約8℃に保持しながら38分で加えた。混合物を2.5時間攪拌し、得
られたスラリーに塩化メチル(12.6g,249ミリモル,1.38当量)を1
時間で加えた。このとき温度は45℃に上昇した。反応混合物を1時間攪拌し、
濃縮して淡黄色ペーストを得た。このペーストにアセトン(125ml,生成物
1g当たり4ml)を加え、混合物を30分攪拌した。混合物を濾過して、16
.2gの湿った白色塩化カリウムを得た。この固体サンプルを水中に溶解すると
無色透明の溶液が得られ、このことは、出発物質である二カリウム塩のすべてが
消費されていることを示している。濾液を50℃にて濃縮して淡黄色固体とし、
これを塩化メチレン中に懸濁させ(200ml,生成物1g当たり3ml;N-
シアノジチオイミノ炭酸ジメチル副生物を除去するために)、約30分攪拌した
。濾過によって固体を捕集し、塩化メチレン(10ml)で洗浄し、そして乾燥
して26.0g(85%)の淡いピンク色の結晶質固体(N-シアノジチオイミノ
炭酸メチルカリウム)を得た。塩化メチレン濾液を濃縮して1.7g(9%)の
N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチルを得た。
実施例15
1リットルのステンレス鋼製オートクレーブ中に、シアナミド(50%水溶液
125.4g,1.491モル,1.0当量)、95%エタノール(350ml)
、及び二硫化炭素(120g,1.576モル,1.05当量)を仕込んだ。系を
シールし、反応温度を30℃以下に保持しながら、水酸化カリウム(14.0M
,214.8ml,3.007モル,2.0当量)を20分でポンプ送入した。水
(30
ml)を注入チューブに対するすすぎ液として使用して、水酸化物がすべて反応
混合物中に確実に達するようにした。混合物を3時間攪拌し、反応温度を40℃
に保持しながら塩化メチル(91.7g,1.82モル,1.21当量)を1.75
時間で加えた。45分後、反応混合物を2/3の体積に濃縮し、220mlずつ
3つの部分に分けた。部分Aを濃縮して淡黄色ペーストとし、このペーストをア
セトン(340ml,生成物1g当たり4ml)中に懸濁させ、30分攪拌し、
そして濾過した。湿った塩化カリウムが得られた(約40g)。濾液を濃縮し、
減圧オーブンにて2時間乾燥した後、75.3g(88.6%)のN-シアノジチ
オイミノ炭酸メチルカリウムが得られた。部分Bは、一晩貯蔵してから濃縮して
淡黄色ペーストとした。水を95%エタノール(50ml)で追い出し、得られ
たペーストをアセトン(320ml)中に懸濁させ、0.5時間攪拌した。混合
物を濾過してウェットな塩化カリウムを分離し、黄色濾液を乾燥し(Na2SO4
)、濾過し、そして濃縮した。乾燥後の生成物(粒状黄色固体)の収量は73.
3g、収率は86%であった。生成物に対するこうした処理から、反応混合物中
に約12時間保存しても、メチルカリウム付加物の分解はほとんど起こっていな
いことがわかった。
実施例16
1リットルのステンレス鋼製オートクレーブ中に、シアナミド(50%水溶液
125.4g,1.491モル,1.0当量)、メタノール(350ml)、及び
二硫化炭素(127.6g,1.676モル,1.12当量)を仕込んだ。系をシ
ールし、反応温度を25℃以下に保持しながら、水酸化カリウム(14.0M,
210ml,2.982モル,2.0当量)を20分でポンプ送入した。水(30
ml)を注入チューブに対するすすぎ液として使用して、水酸化物がすべて反応
混合物中に確実に達するようにした。混合物を2時間攪拌し、反応混合物を分析
すると、シアナミドが完全に消費されていること、およびpHが7.5であるこ
とがわかった。反応温度を35℃に保持しながら塩化メチル(75g,1.48
5モル,1.04当量)を15分で加えた。1.25時間後、反応混合物を濃縮し
て淡黄色ペーストとした。水を95%エタノール(100ml)で追い出し、得
られたペ
ーストをメタノール(500ml)中に懸濁させ、0.5時間攪拌した。混合物
を濾過して塩化カリウムを分離し(減圧乾燥後の重量105g,95%)、濾過
ケークをメタノールで洗浄し(2×100ml)、そして黄色濾液を濃縮した。
得られた黄色ペーストを塩化メチレン(750ml)で洗浄し、濾過した。塩化
カリウム固体と塩化メチレン濾液の分析(TLC)により、生成物が両方に存在
していることがわかった。
塩化カリウムをアセトン(100ml)で洗浄し、濾過した。塩化メチレン濾
液を濃縮し、得られた淡黄色ペーストをアセトン(375ml)中に溶解し、そ
して濾過して少量の塩化カリウムを除去した。
アセトン層を合わせて濃縮し、淡黄色ペーストを塩化メチレン(300ml)
中で0.5時間懸濁させた。混合物を濾過し、濾過ケークを塩化メチレン(10
0ml)で洗浄して、106g(95%)のKClと232g(91%)の所望
のメチルカリウム生成物(淡黄色粉末;mp.207℃)を得た。生成物は、1H
-NMRスペクトルと13C-NMRスペクトルで同定した。
実施例17
実施例6に記載の手順にしたがって製造したN-シアノジチオイミノ炭酸二カ
リウムの水性エタノール溶液を塩化メチル(3.0kg,59.4モル,1.04
当量)で40℃にて40分処理し、混合物を3日攪拌した。反応混合物を50℃
および85mmHgにて濃縮し、残留水をエタノール(4リットル)で追い出した
。残留物をアセトンで洗浄し(3×12リットル)、残っている固体KClをア
セトン中に懸濁させ、濾過し、そしてアセトンですすぎ洗いした。アセトンを減
圧にて除去して黄色固体を得た。これをジクロロメタン(15リットル)中で攪
拌してから濾過した。得られた固体を再びジクロロメタン(12リットル)で洗
浄し、濾過し、そして乾燥して5.45kg(56%)の鮮黄色固体を得た。
実施例18
実施例7に記載の手順にしたがって製造したN-シアノジチオイミノ炭酸二カ
リウムの水性メタノール溶液を塩化メチル(2.9kg,57.4モル,1.00
6当量)で40℃にて30分処理し、混合物を3日攪拌した。反応混合物を50
℃、
85mmHgにて濃縮し、残留水スラリーを棚型乾燥機中で40℃、24mmHgに
て44時間濃縮した。粗製物をアセトン(39リットル)中に溶解し、濾過して
KClを除去し、そして棚型乾燥機中にて32℃、75mmHgで15時間濃縮し
た。得られた黄色固体をジクロロメタン(25リットル)中に分散させ、濾過し
、さらにジクロロメタン(5リットル)で洗浄し、そして乾燥して(18時間,
32℃,50mmHg)7.73kg(79%)の黄色固体を得た。
N-シアノジチオイミノ炭酸ジメチル
実施例19
N-シアノジチオイミノ炭酸メチルナトリウム(28.83g,187ミリモル
,実施例8に記載の手順にしたがって製造)をアセトン(180ml)で希釈し
て得られた溶液を、機械的攪拌羽根、温度計、窒素弁、および滴下ロートを取り
付けた500mlの3つ口フラスコ中に入れ、これに硫酸ジメチル(23.6g
,187.2ミリモル,約20ml,1.0当量)を5℃にて25分で加えた。冷
却浴を取り除き、得られたスラリーを室温で2.5時間攪拌した。スラリーを濃
縮して、すべてのアセトンと残留水の一部を除去した。この高粘度の黄色油状物
を残留水中で高速で攪拌し、そして最終的には冷却して固体を形成させた。濾過
によって固体を単離し、これを自然乾燥して24.2g(88%)のジメチルエ
ステルを黄緑色の固体として得た。融点は47〜52℃であり、生成物は1H-N
MRによって同定した。
実施例20
N-シアノジチオイミノ炭酸二カリウム(5.0g,25.72ミリモル,1.0
0当量,D'Amico にしたがって製造)をアセトン(21ml)中に懸濁させて得
られた懸濁液を、機械的攪拌棒、温度計、およびゴム栓と窒素弁を備えたクライ
ゼンアダプターを取り付けた50mlの2つ口フラスコ中に入れ、これに硫酸ジ
メチル(6.48g,51.38ミリモル,2.00当量)をシリンジにより5℃
にて5分で加えた。冷却浴を取り除き、混合物を1.5時間攪拌し、このときに
温度は最高33℃に達した。混合物をアセトン(30ml)で希釈し、濾過し、
濃縮し、そして残留物を乾燥して3.25g(87%)の白色固体(融点46〜
47℃)を得た。
実施例21
1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、N-シアノジチオイミノ炭酸
メチルカリウム(523g,3.08モル,1.0当量)、アセトン(400ml
)、および塩化メチル(195g,3.86モル,1.25当量)を仕込んだ。反
応器をシールし、混合物を約0.5時間で50℃に加温した。反応が始まり、発
熱が起こって、3分で温度が60℃に上昇した。混合物を60〜64℃で1時間
保持し、次いで反応器を冷却した。最初に60℃に達したときの最大圧力は90
psiであり、最終圧力は70psiであった。混合物を濾過し、反応器をアセトン(
200ml)ですすぎ洗いし、単離したKClを洗浄アセトンと共に約15分攪
拌してから濾過した。KClの回収量は193g(84%)であった。アセトン
層を合わせて濃縮して黄色スラリーとし、これにジクロロメタン(1100ml
;3ml/g)を加えた。このスラリーを30分攪拌してから濾過した。沈殿し
たN-シアノジチオイミノ炭酸メチルカリウム(粗製物,91g,17%)を濾
過によって分離し、濾液を濃縮してジメチルエステルを黄色固体(277g,6
2%)として得た。
実施例22
実施例16に記載の手順に従って水性メタノールを使用して製造したN-シア
ノジチオイミノ炭酸二カリウムの溶液の温度を40℃以下に保持しながら、塩化
メチル(160g,3.17モル,2.58当量)をガスとして10分で加えた(
最終圧力=100psi)。塩化メチルを加えた後、反応混合物を60℃で1.25
時間加熱してから冷却した。反応混合物を濾過して、沈殿した塩化カリウムを分
離した。反応器をアセトン(200ml,メタノールを使用してもよい)ですす
ぎ洗いし、単離したKClをアセトンで洗浄した。合わせた濾液を減圧にて50
℃で濃縮してメタノールとアセトンを除去した。ジクロロメタン(500ml,
3ml/g)を加え、混合物を15分攪拌した。このとき温度を35℃に低下さ
せた。有機層を分離し、水層を同じやり方でもう一回抽出した。有機層を硫酸ナ
トリウムで乾燥し、濾過し、そして減圧にて50℃で濃縮して高粘度の黄橙色油
状物を
得た。この油状物を乾燥し、高真空下(減圧ポンプ,2.0トル)で0.5時間冷
却した。淡黄色結晶質固体としてのジメチルエステルの収量は160g(89%
)であり、融点は52〜53℃であった。
実施例23
10ガロンのステンレス鋼製オートクレーブにN-シアノジチオイミノ炭酸メ
チルカリウム(7.5kg,44.0モル,1.0当量;実施例18に記載の手順
にしたがって製造)のメタノール(6.1リットル)溶液を仕込み、これに塩化
メチル(2.93kg,58.0モル,1.32当量)を加えて30℃にて58分
処理した。温度を50℃に上げ、64℃以下に1時間保持した。反応器を冷却し
、得られた反応スラリーを濾過してKClを除去した。このKClをメタノール
(6リットル)で洗浄し、濾過し、そしてメタノール(2リットル)ですすぎ洗
いした。KClの回収量は2.77kg(85%)であった。濾液を約60℃お
よび150mmHgにて1時間濃縮した。残留物をジクロロメタン(16.5リッ
トル)中に溶解し、攪拌し、そして濾過して残りのKClを除去した。濾液を棚
型乾燥機中で40℃及び85mmHgにて23時間(2時間だけ加熱)濃縮して、
5.73kg(89%)の黄色固体を得た。
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