【発明の詳細な説明】
新規セファロスポリンCアシラーゼ
本発明は、新規セファロスポリンCアシラーゼ(以下、「CCアシラーゼ」と
称する)に関する。より詳細には、本発明は、タンパク質工学により産生された
新規変異型CCアシラーゼ、それをコードするDNA、該DNAを含有する発現
ベクター、該発現ベクターで形質転換された微生物、及び該形質転換体を培養す
ることによる該CCアシラーゼの製造方法に関する。
セファロスポリンCアシラーゼとは、共通して、セファロスポリンCを7−セ
ファロスポラン酸(7−ACA)に加水分解することができる酵素に対する一般
的な用語である。
これまで、CCアシラーゼに分類される3つの酵素、即ち、セファロスポリン
CアシラーゼSE83,N176及びV22が見出されており、それらのアミノ酸配列は、J
ournal of Fermentation and Bioengineering Vol.72,232-243(1991)に開示さ
れている。この文献では、CCアシラーゼのアミノ酸配列の番号付けはそのN末
端部分のメチオニン基から始められている。しかしながら、本明細書においては
CCアシラーゼのアミノ酸配列の番号付けを、そのN末端部分のメチオニン基の
隣のスレオニン基から開始することにする。なぜなら、原核生物におけるCCア
シラーゼ遺伝子の発現により得られる成熟CCアシラーゼのα−サブユニットの
N末端メチオニンは酵素(例えば、アミノペプチダーゼ)によって取り除かれ、
N末端にスレオニン基を有する成熟CCアシラーゼが得られるからである。組換
えDNA技術による天然型CCアシラーゼの生産もまた該文献に開示されており
、発現したCCアシラーゼは細胞内でプロセッシングされてα−サブユニット及
びβ−サブユニットからなる活性型を生じることが見出されている。しかしなが
ら、大腸菌においては一般にプロセッシングの効率は低い。さらなる研究の結果
、本発明者らは、高い酵素能力、pHプロファイルの変化、高いプロセッシング
効率等により特徴づけられるより望ましい特性を有する変異型CCアシラーゼを
製造することに成功した。
本発明の新規変異型CCアシラーゼは以下により特徴づけられる。
天然型CCアシラーゼのアミノ酸配列のAla49,Met164,Ser166,Met174,Glu358
,Met465,Met506又はMet750位の少なくとも1つのアミノ酸が異なるアミノ
酸で置き換えられた変異型CCアシラーゼ。
Met164にかわる異なるアミノ酸としては、好ましくはグリシン、アラニン、ロ
イシン等のような中性アミノ酸が挙げられる。
Ser166,Met174,Met465,Met506及び/又はMet750にかわる異なるアミノ酸と
しては、好ましくはアラニン等のような中性アミノ酸が挙げられる。
G1u358にかわる異なるアミノ酸としては、好ましくは中性アミノ酸(例えば、
イソロイシンなど)、塩基性アミノ酸(例えば、リジンなど)等が挙げられる。
Ala49にかわる異なるアミノ酸としては、最も好ましくはロイシンである。
また、本発明の変異型CCアシラーゼは、さらに天然型のCCアシラーゼのア
ミノ酸配列の別の位置の少なくとも1つアミノ酸を異なるアミノ酸に置換するこ
とにより、例えば、上記変異型CCアシラーゼのMet269及び/又はCys305を異な
るアミノ酸に置換することにより調製される変異型CCアシラーゼであってもよ
い。
該CCアシラーゼは、好ましくはそのα−サブユニットとβ−サブユニットに
プロセッシングされる前の前駆体として下式で表される。
A1-48-X1-A50-163-X2-Gly-X3-A167-173-X4-A175-357-X5-A359-464-X6-A466-505-
X7-A507-749-X8-A751-773
式中、A1-48は天然型CCアシラーゼのThr1からGlu48までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
A50-163は天然型CCアシラーゼのAsp50からLeu163までのアミノ酸配列と同一
のアミノ酸配列、
A167-173は天然型CCアシラーゼのVal167からArg173までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
A175-357は天然型CCアシラーゼのLeu175からVal357までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
A359-464は天然型CCアシラーゼのThr359からAla464までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
A466-505は天然型CCアシラーゼのPro466からIle505までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
A507-749は天然型CCアシラーゼのLys507からAla749までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
A751-773は天然型CCアシラーゼのVal751からAla773までのアミノ酸配列と同
一のアミノ酸配列、
X1はAla又は他のアミノ酸、
X2,X4,X6,X7及びX8はそれぞれMet又は他のアミノ酸、
X3はSer又は他のアミノ酸、
X5はGlu又は他のアミノ酸であり、
但し、上記式中Met269及び/又はCys305Sは他のアミノ酸で置換されていても
よく、X1がAlaの場合、X2,X4,X6,X7及びX8はそれぞれMet、X3はSerであり、X5は
Glu以外のアミノ酸である。
本明細書では、特定の変異型CCアシラーゼの命名についてある命名法を便宜
的に採用する。この命名法に従うと、例えば、天然型CCアシラーゼのアミノ酸
配列の164位のメチオニン残基をロイシンで置換することによって調製される
変異型CCアシラーゼは変異型CCアシラーゼM164Lと命名される。Mは置換さ
れるメチオニン(アミノ酸)残基の1文字略号であり、164は天然型CCアシ
ラーゼのアミノ酸配列の位置番号であり、Lはメチオニン(元のアミノ酸)残基
を置換するのに使われるロイシン(異なるアミノ酸)の1文字略号である。一方
、例えば変異型CCアシラーゼM164L及びM164Aは、天然型CCアシラーゼのアミ
ノ酸配列の164位のメチオニン残基をそれぞれロイシン及びアラニンで置換す
ることにより調製される。変異型CCアシラーゼM164L/M174A/M269Yは、天然型
CCアシラーゼのアミノ酸配列の164位のメチオニン残基をロイシンで、同じ
く174位のメチオニン残基をアラニンで、同じく269位のメチオニン残基を
チロシンで置換することによって調製される。
本発明のCCアシラーゼは、組換えDNA技術、ポリペプチド合成等により調
製することができる。
即ち、該新規CCアシラーゼは該新規CCアシラーゼのアミノ酸配列をコード
するDNAを含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培地中で培養し、そ
の培養ブロスから該新規CCアシラーゼを回収することにより調製することがで
きる。
以下に、この製法をより詳細に説明する。
宿主としては、微生物〔細菌(例えば、大腸菌、枯草菌など)、酵母(例えば
、麦酒酵母など)、動物細胞株および植物培養細胞〕が例示される。微生物とし
て、好ましくは細菌、特にEscherichia属に属する菌株(例えば、E.coli JM109
ATCC53323,E.coli HB101 ATCC 33694,E.coli HB101-16 FERM BP-1872,E.
coli294 ATCC 31446など)、酵母、特にSaccharomyces属に属する菌株(例えば
、Saccharomyces cerevisiae AH22)、動物細胞株〔例えば、マウスL929細胞、
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞など〕等が挙げられる。
細菌、特に大腸菌を宿主細胞として用いる場合、発現ベクターはふつう少なく
ともプロモーターオペレーター領域、開始コドン、新規CCアシラーゼのアミノ
酸配列をコードするDNA、終始コドン、ターミネーター領域及び複製可能単位
から構成される。酵母又は動物細胞を宿主細胞として用いる場合、発現ベクター
は、少なくともプロモーター、開始コドン、シグナルペプチド及び新規CCアシ
ラーゼのアミノ酸配列をコードするDNA、及び終始コドンを含むことが好まし
い。また、エンハンサー配列、新規CCアシラーゼの5'-及び3'-非翻訳領域、ス
プライシング接合部、ポリアデニレーション部位及び複製可能単位を発現ベクタ
ーに挿入することもできる。
プロモーター−オペレーター領域は、プロモーター、オペレーター及びシャイ
ン−ダルガルノ(SD)配列(例えば、AAGGなど)を含む。好ましくは、プロモ
ーター−オペレーター領域は慣用のプロモーター−オペレーター領域(例えば、
大腸菌のPL−プロモーターやtrp−プロモーター)及びCCアシラーゼN-17
6染色体遺伝子のプロモーターが挙げられる。酵母で新規CCアシラーゼを発現
させるためのプロモーターとしては、S.セレビシエ用のTrp1遺伝子、AD
HI
もしくはADHII遺伝子及び酸性ホスファターゼ(PHO5)遺伝子のプロモ
ーターが挙げられ、哺乳動物細胞で新規CCアシラーゼを発現させるためのプロ
モーターとしては、SV40初期もしくは後期プロモーター、HTLV−LTR
プロモーター、マウスメタロチオネインI(MMT)プロモーター、ワクシニア
プロモーター等が挙げられる。
好適な開始コドンとしては、メチオニンコドン(ATG)が挙げられる。
シグナルペブチドとしては、慣用の他の酵素のシグナルペプチド(天然型t−
PAのシグナルペプチド、天然型プラスミノーゲンのシグナルペプチド)等が例
示される。
新規CCアシラーゼのアミノ酸配列をコードするDNAは、慣用の方法を用い
て調製することができる。例えば、DNA合成機を用いた一部又は全部のDNA
合成、及び/又は形質転換体〔例えば、E.coli JM109(pCCN176-2)FERM BP-30
47〕から得られる適切なベクター(例えば、pCCN176-2)に挿入された天然型C
Cアシラーゼをコードする完全なDNA配列を適切な方法、例えば適切な酵素(
例えば、制限酵素、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、DN
Aリガーゼ、DNAポリメラーゼなど)での処理に加えて、常套の変異方法(例
えば、カセット変異法〔徳永,Tら、Eur.J.Biochem.Vol.153,p445-449(19
85)参照〕、PCR変異法〔樋口,Rら、Nucleic Acids Res.Vol.16,p7351-7
367(1988)参照〕、クンケル法〔Kunkel,T.Aら.,Methods Enzymol.Vol.154
,p367(1987)など参照〕)のような適切な方法で処理することによって調製す
ることができる。
終止コドンとしては、常用の終止コドン(例えば、TAG,TGAなど)が含まれる
。
ターミネーター領域としては、天然または合成のターミネーター(例えば、合
成fdファージターミネーターなど)が含まれる。
複製可能単位とは、宿主細胞中においてその全DNA配列を複製することがで
きる能力をもつDNA化合物をいい、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプ
ラスミド(例えば、天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメント)及び
合成プラスミドが含まれる。好適なプラスミドとしては、E.coliではプラスミ
ドpBR322やその人工的修飾物(pBR322を適当な制限酵素で処理して得られるDN
Aフラグメント)が、酵母では酵母2μプラスミドや酵母染色体DNAが、また
哺乳動物細胞ではプラスミドpRSVneo ATCC 37198,プラスミドpSV2dhfr ATCC 37
145,プラスミドpdBPV-MMTneo ATCC 37224,プラスミドpSV2neo ATCC 37149など
が挙げられる。
エンハンサー配列としては、SV40のエンハンサー配列(72bp)が含ま
れる。
ポリアデニレーション部位としては、SV40のポリアデニレーション部位が
含まれる。
スプライシング接合部位としては、SV40のスプライシング接合部位が含ま
れる。
プロモーター、開始コドン、新規CCアシラーゼのアミノ酸配列をコードする
DNA、終止コドンおよびターミネーター領域は、連続的かつ環状に適当な複製
可能単位(プラスミド)に連結させることができ、所望により、常法(例えば、
制限酵素での消化、T4 DNAリガーゼを用いるライゲーション)で適当なD
NAフラグメント(例えば、リンカー、他の制限部位など)を用いることにより
、発現ベクターが得られる。
宿主細胞は、当該発現ベクターを用いて形質転換(形質移入)される。形質転
換(形質移入)は従来の方法(例えば、E.coliはKushner法、哺乳動物細胞はリ
ン酸カルシウム法、マイクロインジェクションなど)を用いて行うことができ、
形質転換体(形質移入体)が得られる。
本発明の工程で新規CCアシラーゼを製造するために、かくして得られた上記
発現ベクターを含む形質転換体は、栄養培養水溶液中で培養される。
栄養培地は、炭素源(例えば、グルコース、グリセリン、マンニトール、フル
クトース、ラクトースなど)及び無機もしくは有機窒素源(例えば、硫酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、カゼインの加水分解物、酵母抽出物、ポリペプトン
、バクトトリプトン、牛肉エキスなど)を含んでいてもよい。所望により、他の
栄養源〔例えば、無機塩(例えば、二リン酸ナトリウムまたは二リン酸カリウム
、
リン酸水素二カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム
)、ビタミン類(例えば、ビタミンB1)、抗生物質(例えば、アンピシリン、
カナマイシン)など〕を培地中に添加してもよい。哺乳動物細胞を培養するため
に、胎児ウシ血清および抗生物質を補充したダルベッコ改変イーグル最少必須培
地(DMEM)がしばしば用いられる。
形質転換体(形質移入体を含む)の培養は、通常pH5.5〜8.5(好適に
はpH7〜7.5)、18〜40℃(好適には20〜30℃)で5〜50時間実
施される。
かくして製造された新規CCアシラーゼが培養液中に存在する場合は、その培
養物を濾過または遠心することにより、培養濾液(上清)を得る。新規CCアシ
ラーゼは、該培養濾液から、天然または合成蛋白質を精製並びに単離するために
一般に用いられる常法(例えば、透析、ゲル濾過、抗CCアシラーゼモノクロー
ナル抗体を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィー、適当な吸着材上で
のカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなど)を用いて精製
することができる。製造された新規CCアシラーゼが、培養された形質転換体の
ペリプラズムおよび細胞質内に存在する場合は、細胞を濾過および遠心により集
め、当該細胞の細胞壁及び/又は細胞膜を、例えば超音波及び/又はリゾチーム
で処理して、細胞破片及び/又は溶解物を得る。該細胞破片及び/又は溶解物を
適当な水溶液(例えば、8M尿素水溶液、6Mグアニジウム塩水溶液)に溶解す
ることができる。新規CCアシラーゼは、該水溶液から先に例示したような慣用
の方法により精製することができる。
本発明は更に、式:
(式中、R1はアセトキシ、ヒドロキシ又は水素であり、
R2はカルボン酸アシルである。)
で示される化合物またはその塩を、本発明の新規CCアシラーゼをコードするD
NAを含む発現ベクターで形質転換された微生物の培養物又はその処理物と接触
させて、式:
(式中、R1は前記と同意義である。)
で示される化合物またはその塩の製造方法を提供するものである。
R2で示されるカルボン酸アシルとしては、脂肪族、芳香族または複素環カル
ボン酸アシルが挙げられ、その適切な例としては、アミノ基、ヒドロキシ基、カ
ルボキシ基、C1〜C6のアルカノイルアミノ基、ベンズアミド基およびチエニ
ル基等からなる群から選択される1つもしくは2つの適当な置換基を有していて
もよいC1〜C6のアルカノイルが挙げられる。
化合物(I)および化合物(II)の適当な塩としては、アルカリ金属塩(例え
ば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩)が挙げられる。
CCアシラーゼ活性が通常形質転換細胞内に存在するなら、培養物の処理物と
しては、以下のものが例示される。
(1)生細胞:濾過または遠心等の常法にて培養物から分離される。
(2)乾燥細胞:該生細胞を凍結乾燥または真空乾燥等の常法により乾燥させる
ことにより得られる。
(3)無細胞抽出物:該生細胞または乾燥細胞を常法(例えば、有機溶媒を用い
た細胞の自己消化、アルミナ、海砂などを用いた細胞の磨砕、または超音波にて
細胞を処理すること)により破壊することにより得られる。
(4)酵素溶液:該無細胞抽出物を常法(例えば、カラムクロマトグラフィー)
により精製または部分精製することによって得られる。
(5)固定化細胞または酵素:該細胞または酵素を常法(例えば、アクリルアミ
ド、ガラスビーズ、イオン交換樹脂などを用いた方法)により固定化することに
より調製される。
化合物(II)を酵素と接触させることからなる反応は、水または緩衝液のよう
な水性媒質中で実施することができる。即ち、通常、化合物(II)を含む水また
は緩衝液のような水性媒質中に、培養物またはその処理物を溶解または懸濁する
ことによって行われる。
該反応混液の好適なpH、化合物(II)の濃度、反応時間および反応温度は、
用いられる培養物またはその処理物の性質によって変わり得る。一般に、該反応
はpH6〜10、好ましくはpH7〜9、5〜40℃、好ましくは5〜37℃で
0.5〜50時間実施される。
反応混液中、基質としての化合物(II)の濃度は、1〜100mg/mlの範
囲で好適に選択することができる。
このようにして製造された化合物(I)は、上記反応混液から慣用の方法で精
製、単離される。
変異型CCアシラーゼの特異的活性は、以下に述べる手順に従って測定した。
i)GL−7ACAアシラーゼ活性:37℃で10分間プレインキュベーション
したGL−7ACA溶液〔0.15M トリス塩酸(pH7.5)中10mg/
ml]500μlに試料アシラーゼ20μlを加え、該混液を37℃で5分間イ
ンキュベーションした。5%酢酸550μlを加えて反応を停止させた。得られ
た混液を遠心(10,000rpm,周囲の温度で5分間)後、上清を7ACA
形成のアッセイに用いた。
HPLC条件: カラム:TSKゲルODS−80 TMCTR 4.4mm
×100mm(東ソー);溶出液:100mM クエン酸,5.0mM n−ヘ
キサン−1−スルホン酸ナトリウムを含む14.3%(V/V) アセトニトリ
ル;流速:1.0ml/分;注入量:10μl;検出器:254nm。
37℃で1分間にGL−7ACAから1μモルの7ACAを合成し得る活性を
1単位と定義した。
ii)CCアシラーゼ活性: 37℃で10分間プレインキュベーションしたCC
溶液〔10mg/mlのセファロスポリンCナトリウム塩を含む0.15M ト
リス塩酸(pH8.7),pHは1N NaOHでpH8.7に再調整した〕5
00μlに試料アシラーゼ20μlを加え、該混液を37℃で10分間インキュ
ベーションした。5%酢酸550μlを加えて反応を停止させた。得られた混液
を遠心(10,000rpm,周囲の温度で5分間)後、上清を7ACA形成の
アッセイに用いた。
HPLC条件: カラム:TSKゲルODS−80 TMCTR 4.4mm
×100mm(東ソー);溶出液:100mM クエン酸,5.0mM n−ヘ
キサン−1−スルホン酸ナトリウムを含む14.3%(V/V) アセトニトリ
ル;流速:1.0ml/分;注入量:20μl;検出器:254nm。
37℃で1分間にセファロスポリンCナトリウム塩から1μモルの7ACAを
合成し得る活性を1単位と定義した。
添付の図面の簡単な説明は以下の通りである。
図1は本明細書の実施例で使用したDNAオリゴマーを示す。
図2はpCC001Aの構築の模式図である。
図3はpCC002Aの構築の模式図である。
図4はpCK002の構築の模式図である。
図5はpCC007A及びpCCNt013の構築の模式図である。
図6はpCC013Aの構築の模式図である。
図7はpΔN176及びpCK013の構築の模式図である。
図8はmp18p181及びmp18p183の調製の模式図である。
図9はmp18p181M164A,mp18p181M174A,pCKM174A及びpCKM164Aの調製の模式図
である。
図10はpCKS166の調製の模式図である。
図11はpCKM164L及びpCKM164Gの調製の模式図である。
図12はmp19pfu62の構築の模式図である。
図13はRF DNA(mp19pfu62M465A,mp19pfu62M506A及びmp19pfu62M750A
)
及び発現ベクター(pCKM465A,pCKM506A及びpCKM750A)の調製の模式図である。
図14はp269I358K,p269I358S及びp269I358Lの調製の模式図である。
図15はpCCE358R及びpCCE358Tの調製の模式図である。
図16はp164L269Y,p164L269F及びp164L269Y305Sの調製の模式図である。
図17はp164L174A及びp164A174Aの調製の模式図である。
図18はp164A269Y,p164L174A269Y,p164L174A269F及びp164A174A269Y305Sの
調製の模式図である。
図19はp164L174A269Y305S750Aの調製の模式図である。
図20はpCKA49Lの調製の模式図である。
図21はp49L164L174A269Yの調製の模式図である。
図22は変異型CCアシラーゼM164Aのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を
示す。
図23は変異型CCアシラーゼS166Aのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を
示す。
図24は変異型CCアシラーゼM269I/E358Kのヌクレオチド配列及びアミノ酸
配列を示す。
図25は変異型CCアシラーゼM164L/M174A/M269Yのヌクレオチド配列及びア
ミノ酸配列を示す。
図26は変異型CCアシラーゼA49Lのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示
す。
以下の実施例において、いくつかのプラスミド、制限酵素のような酵素、T
4 DNAリガーゼ、及び他の物質は市販のものであり、供給元の指示に従って
使用された。特に、実施例において出発材料として使用されたプラスミドpCCN17
6-2及びプラスミドpTQiΔtrpは、日本における国際寄託機関である工業技術院生
命工学工業技術研究所に、それぞれ形質転換体E.coli JM109(pCCN176-2)FERM
BP-3047及び形質転換体E.coli HB101-16(pTQiΔtrp)FERM BP-1870として寄
託されており、米国特許第5,192,678号公報及び欧州特許出願公開明細書第30245
6号公報にもとづいて容易に入手できる。他のプラスミド等は本明細書の記載に
従い、該pCCN176-2,pTQiΔtrp及び市販のプラスミドから容易に調製することが
できる。DNAのクローニング、宿主細胞の形質転換、形質転換体の培養、該培
養物からのCCアシラーゼの回収などに用いられた操作は、当業者によく知られ
ているものであるか、もしくは文献から適用できるものである。
以下の実施例は、本発明を具体的に説明することを目的として挙げられている
ものであり、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1(オリゴデオキシリボヌクレオチドの合成)
DNAオリゴマーSO-M164A〔図1(a)に記載〕を381ADNA合成機(ア
プライドバイオシステムズ社)を用いて合成した。該DNAを28%アンモニア
水溶液でCPGポリマー支持体(CPG:制御孔ガラス)から遊離させ、次いで
60℃で9時間加熱し、すべての保護基を脱離させた。該反応混合物を真空下で
蒸発させ、残渣をTE緩衝液〔10mM トリス塩酸(pH7.4)−1mM
EDTA〕200μlに溶解した。得られた粗DNA溶液を逆相HPLC〔カラ
ム;COSMOSIL C18 4.6mm×150mm(ナカライテスク),
溶出液;A:0.1M 酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液(pH7.2−7.
4),B:アセトニトリル,グラジエント:開始A(100%),最終A(60
%)+B(40%)で25分間の直線グラジエント,流速:1.2ml/分〕に
かけた。目的のDNAオリゴマーを含む溶出液を回収し、真空下で蒸発させた。
該精製DNAをTE緩衝液200μlに溶解し、使用直前まで−20℃で保存し
た。
図1に記載の他のすべてのDNAオリゴマーも上記と類似の方法により合成、
精製された。
実施例2(trpプロモーター制御下にある天然型CCアシラーゼN176の発現ベ
クターの調製)
(1)天然型CCアシラーゼN176のアンピシリン耐性発現ベクターであるpCC002
Aの構築:
(i)pCC002Aの構築:プラスミドpCCN176-3(1.0μg)〔JOURNAL OF FERME
NTATION AND BIOENGINEERING,Vol.72,p235(1991)に、プラスミドpCCN176-2
(これは、常法により形質転換体E.coli JM109(pCCN176-2)FERM
BP-3047から入手可能である)からこのプラスミドを調製する方法が記載されて
いる〕を、EcoRI及びHindIIIで消化し、CCアシラーゼN176のすべてのコード領
域を担持する2.9kbフラグメントをアガロースゲル電気泳動によって単離し
た。
一方、変異型t−PAの発現ベクターであるpTQiPAΔtrp(1.0μg)[こ
れは、常法により形質転換体E.coli HB101-16(pTQiPAΔtrp)FERM BP-1870か
ら得ることができる。その調製方法については、欧州特許出願公開明細書第3024
56号に記載されている〕をXmaI及びXhoIで消化し、大きい方のDNA(5113
bp)を単離した。合成DNAオリゴマーCT−1(5'-CCGGGTGTGTACACCAAGGTTA
CCAACTACCTAGACTGGATTCGTGACAACATGCGACCGTGA),
CT−2(5'-AGCTTCACGGTCGCATGTTGTCACGAATCCAGTCTAGGTAGTTGGTAACCTTGGTGTACA
CAC),
TR−1(5'-AGCTTGTCCTCGAGATCAATTAAAGGCTCCTTTTGGAGCCTTTTTTTTTTG)及びTR
−2(5'-TCGACAAAAAAAAAAGGCTCCAAAAGGAGCATTTAATTGATCTCGAGGACA)をT4ポリヌ
クレオチドキナーゼでリン酸化し、T4 DNAリガーゼでライゲーションして
XmaI/SalIDNAフラグメント(114bp)を得た。得られたDNAフラグメ
ントを先のXmaI/XhoI DNAにライゲーションしてpTQiPAdtrpを得た。該pTQiPA
dtrpをEcoRI及びHindIIIで消化した。その結果、trpプロモーター、t−PA
コード領域の一部分(Cys92からTrp113)、及びfdファージセントラルターミ
ネーターの重複配列を担持する4.3kb DNAが単離された。50mMのト
リス塩酸、10mM MgCl2、10mMジチオスレイトール及び1mM A
TPからなるライゲーション緩衝液40μl中、T4DNAリガーゼ(300単
位,宝酒造)の存在下、先に得られた2.9kbのDNAフラグメントと当該4
.3kbのDNAフラグメントを混合して、16℃、5時間かけてライゲーショ
ンさせた。該ライゲーション混液を用いて、E.coli JM109を形質転換した。ア
ンピシリン耐性の形質転換体の一つからpCC001Aと命名する所望のプラスミドを
取得し、制限酵素マッピングにより、その特性を調べた。
(ii)pCC002Aの構築:プラスミドpCC001Aは、trpプロモーターとアシラーゼ
遺伝子との間のt−PA遺伝子の一部分(Cys92からTrp113)を含む。この領域
を除去するために、pCC001A(1.0μg)をClaI及びMluIで消化し、得られる
6.1kbのDNAフラグメントを単離した。一方、pCCN176-3(1μg)をMlu
I及びSau3AIで消化し、アシラーゼのAsp7からArg71をコードする189bpのD
NAを単離した。合成DNAオリゴマー002a及び002b(各々0.5nmol,下
記表1)を、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(1.5単位,宝酒造)を用いて、
緩衝液(キネーション緩衝液;50mM トリス塩酸,10mM MgCl2,
10mM DTT,1.0mM ATP)10μl中、37℃、1時間でリン酸
化し、該反応混合物を55℃で20分間加熱して酵素を不活性化させた。得られ
た混合物を、ライゲーション緩衝液20μl中、T4 DNAリガーゼ存在下、
15℃で3時間、先の189bPのSau3AI/MluI DNAフラグメントと混合して
結合させた。得られたライゲーション混液に、6.1kbのClaI/MluI DNAフ
ラグメントを添加し、その混合物を更に追加したT4DNAリガーゼ(300単
位)の存在下で4℃、16時間インキュベーションした。得られたライゲーショ
ン混液を用いてE.coli JM109を形質転換させた。形質転換体の一つから、CC
アシラーゼN176の発現ベクターである所望のプラスミドpCC002Aを単離して、制
限酵素マッピングによりその特性を調べた。
(2)カナマイシン耐性CCアシラーゼN176の発現ベクターであるpCK002の構築
プラスミドpCC002AをDraI(東洋紡績)で消化した。得られた混合液をフェノ
ール処理して酵素を除去し、エタノールで沈澱させた。回収されたDNAをライ
ゲーション緩衝液20μlに懸濁し、リン酸化されたEcoRIリンカー(2μg,
ファルマシア)と混合してT4DNAリガーゼ(300単位)とともに4℃で1
6時間インキュベーションした。該反応混合物をフェノールで抽出し、エタノー
ルで沈澱させた。回収したDNAをEcoRIで消化し、得られたアンピシリン耐性
遺伝子を欠失した5.6kbのDNAをアガロースゲル電気泳動によって単離し
た。一方、プラスミドpA097[これは、形質転換体E.coli JM109(pA097)FERM B
P-3772から得ることができる〕(1μg)をEcoRIで消化し、その結果カナマイ
シン耐性遺伝子である1.2kb DNAを単離した。ライゲーション緩衝液5
0μl中、T4 DNAリガーゼ(300単位)を用いて、該1.2kbのEcoR
I DNAを16℃で2時間反応させ、先の5.6kbのEcoRI DNAに結合させ
た。該ライゲーション混合物を用いてE.coli JM109を形質転換し、抗生
物質マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子を担持する所望のプラスミドpCK002
を得た。
実施例3(CCアシラーゼN176の高発現ベクターであるpCK013の構築)
(1)pCC013Aの構築:
(i)pCC007Aの構築:プラスミドpCC001AをEcoRI及びMluIで消化し、得られた
6.4kbのDNAフラグメントをアガロースゲル電気泳動により単離した。回
収されたDNAを、ライゲーション反応に先立って予めリン酸化しておいた合成
DNAオリゴマー007a及び007b(各々0.5μg,表1)にT4DNAリガーゼ
(300単位)を用いて16℃で5時間処理し、結合させた。得られた混合物を
用いてE.coli JM109を形質転換し、所望のプラスミドpCC007A得た。
(ii)PCCNt013の構築:プラスミドpCC007A(1.0μg)をClaI及びBamHIで消
化し、得られた6.1kbのDNAを5% ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
より単離した。該DNAを合成オリゴマー013a及び013b(各々0.5μg,それ
らは各々リン酸化されている。表1)に、T4 DNAリガーゼ(300単位)
を用いて結合した。該ライゲーション混合物を用いてE.coli JM109を形質転換
し、所望のプラスミドpCCNt013をアンピシリン耐性形質転換体から単離した。
(iii)pCC013の構築:プラスミドPCCNt013をBamHI及びMluIで消化し、その結果
得られる6.1kbのDNAを単離した。一方でpCC002(1.0μg)をMluI及
びSau3AIで消化して189bpのDNAフラグメントを取得した。得られたDN
AをT4DNAリガーゼ(300単位)を用いて、6.1kbのBamHI/MluI D
NAフラグメントに結合し、該ライゲーション混合物を用いてE.coli JM109を
形質転換した。アンピシリン耐性の形質転換体の一つから、(天然型CCアシラ
ーゼN176のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする)ATに富んだNH2
末端DNA配列を有する所望のプラスミドpCC013Aを単離した。
(2)天然型CCアシラーゼN176のカナマイシン耐性発現ベクターであるpCK013
の構築:
(i)pΔN176の構築
プラスミドpCK022(1.0μg)をAatII(東洋紡績)で消化し、得られたD
NAをセルフライゲーションさせる為にT4 DNAリガーゼ(150単位)で
処理した。かかるライゲーション混合物を用いてE.coli JM109を形質転換し、
単一のAtaII制限酵素切断部位を担持する所望のプラスミドpΔN176を得た。
(ii)pCK013の構築:プラスミドpΔN176(1.0μg)をAatIIで消化して直鎖
状にしたDNAを、細菌由来のアルカリホスファターゼ(1単位,宝酒造)で1
00mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)中、42℃で1時間処理した。該脱
リン酸化されたDNAを単離して、T4 DNAリガーゼを用いてpCC013A由来
の2.5kbのAatII DNAフラグメントに結合した。該ライゲーション混合
物を用いてE.coli JM109を形質転換し、マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝
子を担持する所望のプラスミドpCK013を取得した。
実施例4(CCアシラーゼN176をコードするDNAのクンケル法による点突然変
異)
(1)CCアシラーゼN176をコードするDNAのM13ファージへのサブクロー
ニング:
(i)mp18p181の調製:プラスミドpCC013A(アンピシリン耐性マーカーを担持
する天然型CCアシラーゼの発現ベクターであり、このプラスミドの構築は欧州
特許出願明細書第558,241号、第8頁に開示されている)をHpaI及びSmaIで消化
して、CCアシラーゼN176のMet1からPro267をコードする842bpのDNAを
単離した。該DNAをT4DNAリガーゼの存在下、SmaIで消化された7250
bpのM13mp18にライゲーションし、得られたライゲーション混合物を用いてE.c
oli JM109を形質転換した。プラークのうちの一つから、M13のプラスのoriと逆
方向に該アシラーゼDNAの一部が挿入された所望のRF DNA mp18p181を
単離し、制限酵素マッピングによりその特性を調べた。RF DNA mp18p181
を調製したファージ溶液は使用するまで4℃で保存した。
RF DNA mp18p183は、pCC013A由来のCCアシラーゼN176のMet1からAla4
14をコードする1162bpのHpaI/Eco47III DNA及びHincIIで消化された7
250bpのM13mp18から上記と類似の方法で調製した。
(ii)一本鎖U-mp18p181-SSの調製(Kunkel,T.A.et al.,Methods Enzyml.
154,367参照):E.coli CJ236(dut-,un9-,F')(バイオ・ラッドラボラト
リーズ)のシングルコロニーをクロラムフェニコール(30μg/ml)を含有
する2XTYブロス2ml中で37℃、16時間培養した。細胞(0.1ml)
を30μg/mlクロラムフェニコールを含有する新鮮な2XTYブロス(50
ml)に移し、37℃で培養を継続した。600nmでの吸光度が0.3に達し
た時、該培養物にmp18p181のファージ溶液(MOI<0.2)を添加し、さらに
5時間培養を続けた。4℃、17,000×gで15分間遠心した後、上清を再
度遠心した。その結果得られた上清(30ml)を室温下、30分間RNase
(150μg/ml,シグマ)で処理し、7.5mlのPEG溶液(3.5M
NH4OAcの20%ポリエチレングリコール8,000溶液)を添加した。遠
心(17,000×g,15分,4℃)後、残渣を300mM NaCl,10
0mM トリス塩酸(pH8.0)及び0.1mM EDTAからなる緩衝液2
00μlに懸濁した。得られた溶液をフェノール200μlおよびフェノール/
CHCl3(1:1)200μlで続けて抽出し、CHCl3(200μl)で2
回洗浄した。該溶液に、7.5M NH4OAc(100μl)とエタノール(
600μl)を添加してファージDNAを沈澱させた。該DNAを遠心により回
収し、氷冷90% エタノール700μlで洗浄し、真空下で乾燥させた。精製
された1本鎖U−DNA(U-mp18p181-SS)をTE緩衝液20μlに懸濁し、使
用するまで4℃で保存した。
クンケル変異法のための他の一本鎖U−DNAは、上記と類似の方法によって
調製した。
(2)変異型CCアシラーゼM164Aのためのmp18p181M164Aの調製:
オリゴデオキシリボヌクレオチドSO-M164A(0.2nmol)を1.3mM A
TP、10mM ジチオスレイトール(DTT)、50mM トリス塩酸、6.
6mMの5% ポリエチレングリコール(PEG)6,000からなる緩衝液1
5μl中、T4 DNAキナーゼ(10単位)とともに37℃、60分間インキ
ュベーションした。該リン酸化されたプライマー(1.5μl,20pmol)
を10mM トリス塩酸(pH8.0)、6mM及び40mM NaClからな
る緩衝液20μl中、mp18p1811μlのSS−U−DNA(0.1pmol)と
混合した。該混合物を75℃で5分間加熱し、40分かけて室温まで冷却し、そ
れから該混合物を0℃に置いた。該混合物にT4 DNAポリメラーゼ(15単
位)、T4 DNAリガーゼ(600単位)、100mM ジチオスレイトール
(DTT,6μl)、10mM ATP(2μl)及び5mM dNTP(dA
TP,dCTP,dGTP及びdTTP,2μl)を加えた。得られた混合物を
室温で5分間、続けて37℃で1.5時間インキュベーションした。反応混合物
の一部(1.0μl)を重定の方法〔重定,K.(1983)細胞工学(日本語)2,
616-626〕により調製されたE.coli JM 109のコンピテント細胞(100μl)
に加えて、該細胞を湿氷上で30分間インキュベーションした。該形質転換細胞
にLブロスで培養されたE.coli JM109(A600=0.8,200μl)を加
え、該細胞混合物を55℃で予備加温されたHトップアガー(1% バクトトリ
プトン,0.8% NaCl,0.8% 寒天)3mlに加えた。該混合物をH
プレート(1% バクトトリプトン,0.8% NaCl,1.5% 寒天)上
に拡げ、該プレートを37℃、16時間インキュベーションした。プレート上の
プラークから、所望のRF DNA(mp18p181M164A)を単離し、BamHIで消化し
てその特性を調べた。
(3)変異型CCアシラーゼM164AのためのpCKM164Aの調製:
mp18p181M164AをMluI及びBstBIで消化し、アガロースゲル電気泳動により582
bpのDNAフラグメントを単離した。また、pCK013(カナマイシン耐性マーカ
ーを担持する天然型CCアシラーゼN176の発現ベクターであり、このプラスミド
の構築は欧州特許出願公開明細書第558,241号、第8頁に開示されている)をMlu
I及びBstBIで消化して大きい方のDNAフラグメントを単離した。得られたDN
A(0.03pmol)をライゲーション緩衝液(66mM トリス塩酸(pH
7.6)、6.6mM、10mM β−メルカプトエタノール、0.5mM A
TP)10μl中、T4 DNAリガーゼ(300単位)を用いて室温下で5時
間反応させ、582bpのMluI/BstBI DNA(0.15pmol)にライゲー
ションさせた。該ライゲーション混合物を用いてE.coli JM109を形質転換した
。
カナマイシン耐性形質転換体の1つから、所望のプラスミドpCKM164Aを単離し、
制限酵素マッピングによってその特性を調べた。該形質転換体をE.coli JM109/
pCKM164Aと命名し、常法によりそのグリセロールストックを調製した。
(4)変異型CCアシラーゼM174Aのためのmp18p181M174Aの調製:
上記と同様の方法により、mp18p181のSS−U−DNA及びDNAオリゴマーSO
-M174Aからmp18p181M174Aを調製した。
(5)変異型CCアシラーゼM174Aの発現ベクターpCKM174Aの調製:
変異型CCアシラーゼM174Aの発現ベクター及びその形質転換体を、上記と同様
の方法により調製し、それぞれpCKM174A及びE.coli JM109/pCKM174Aと命名した
。常法により、該形質転換体のグリセロールストックを調製した。
(6)変異型CCアシラーゼS166Aの発現ベクターpCKS166Aの調製:
mp18p183及びDNAオリゴマーSO-S166A(5'-CATCCGCCAAAGCTTGAACCACACCGCACCC
ATAAG)から、上記と同様の方法により変異型CCアシラーゼS166Aのためのmp18
p183S166Aを調製した。mp18p183S166AをMluI及びBstBIで消化した。小さい方の
DNAフラグメントを単離し、MluI及びBstBIで消化されたpCK013の大きい方の
DNAフラグメントと連結させてpCKS166Aを得た。E.coli JM109をpCKS166Aで
形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCKS166Aを得、そのグリセロールストッ
クを常法により調製した。
実施例5(PCR法によるCCアシラーゼN176をコードするDNAの点変異)
(1)変異型CCアシラーゼM164Lの発現ベクターpCKM164Lの調製:
pCK013(鋳型DNA,0.5fmol)、DNAオリゴマーSO-MluFor〔プライ
マー#1,125pmol,図1(b)〕及びSO-M164L〔プライマー#2,12
5pmol,図1(b)〕を10mM トリス塩酸(pH9.0)、50mM
KCl、0.1% Triton X−100、2.5mM及び0.2mM d
NTPからなる緩衝液100μl中、Taq DNAポリメラーゼ(倉敷紡績,
1単位)と混合した。該混合液を鉱物油で覆い、PCR(ポリメラーゼ・チェー
ン・リアクション)を以下のように実施した。最初の変性(96℃,0.5分間
)の後、30サイクルの増幅反応(97℃で1.5分間,50℃で2.5分間及
び72℃で2.5分間)を行い、最後に72℃で7分間伸張させた。得られた混
液をフェノールで抽出してエタノールで沈澱させ、BamHI及びMluIで消化した。
該285bpのBamHI/MluI DNAをBamHI及びMluIで消化されたpCKM164Aの大
きい方のDNAフラグメントに連結させた。該ライゲーション混合物を用いてE.
coli JM109を形質転換した。カナマイシン耐性の形質転換体の1つから、所望の
プラスミドpCKM164Lを単離し、制限酵素マッピングによりその特性を調べた。E.
coli JM109をpCKM164Lで形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCKM164Lを得、
そのグリセロールストックを常法により調製した。
(2)変異型CCアシラーゼM164Gの発現ベクターpCKM164Gの調製:
pCK013(鋳型DNA)とDNAオリゴマーSO-MluFor〔プライマー#1,図1(
b)〕及びSO-M164G〔図1(b)〕を用いて、上記と同様の方法により変異型C
CアシラーゼM164GのDNAフラグメントを変異及び増幅させた。その結果得ら
れた285bpのBamHI/MluI DNAをBamHI及びMluIで消化されたpCKM164Aの
大きい方のDNAフラグメントに連結させてpCKM164Gを得た。E.coli JM109をp
CKM164Gで形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCKM164Gを得、そのグリセロ
ールストックを常法により調製した。
(3)他のM164変異型CCアシラーゼの発現ベクター:
M164X変異型CCアシラーゼ(X=C,D,E,F,H,I,K,N,P,Q,R,S,T,V,W又はY)の発現
ベクター及びその形質転換体を上記と同様の方法により調製した。
実施例6(他の変異型CCアシラーゼの発現ベクターの調製)
(1)mp19pfu62の構築:
M13mp19(1.0μg)をSmaI(5単位)及びHindIII(5単位)で消化し、得ら
れた7.2kbのDNAをアガロースゲル電気泳動により単離した。一方で、pC
K002(このプラスミドの構築は欧州特許出願公開明細書第558,241号、第7頁に
開示されている)をSmaI及びHindIIIで消化し、1.6kbのDNAを単離した
。得られたDNAをライゲーション緩衝液20μl中、T4 DNAリガーゼ(
300単位)を用いて15℃で2時間反応させ、7.2kbのSmaI/HindIII D
NAに連結させた。該ライゲーション混合物を用いてE.coli JM109を形質転換
し、所望のRF DNA、mp19pfu62を取得した。mp19pfu62の一本鎖U−DNA
(SS−U−DNA)を実施例2(1)(ii)と同様の方法により調製した。
(2)変異型CCアシラーゼM465Aのためのmp19pfu62M465Aの調製:
mp19pfu62のSS−U−DNA及びDNAオリゴマーSO-M465A〔図1(a)〕か
ら、上記と同様の方法によりmp19pfu62M465Aを調製した。
(3)変異型CCアシラーゼM506Aのためのmp19pfu62M506Aの調製:
mp19pfu62のSS−U−DNA及びDNAオリゴマーSO-M506A〔図1(a)〕か
ら、上記と同様の方法によりmp19pfu62M506Aを調製した。
(4)変異型CCアシラーゼM750Aのためのmp19pfu62M750Aの調製:
mp19pfu62のSS−U−DNA及びDNAオリゴマーSO-M750A〔図1(a)〕か
ら、上記と同様の方法によりmp19pfu62M750Aを調製した。
(5)変異型CCアシラーゼM465Aの発現ベクタ−pCKM465Aの調製:
mp19pfu62M465AをPstI及びNcoIで消化し、小さい方のDNAフラグメント(12
71bp)をアガロースゲル電気泳動によって単離した。pCK013もまたPstI及び
NcoIで消化した。大きい方のDNAを単離し、50mM トリス塩酸、10mM
、1.0mM DTT及び5% PEG6,000からなる緩衝液中、T4 D
N
Aリガーゼを用いて1271bPのPstI/NcoI DNAに連結した。該ライゲーシ
ョン混合物を用いてE.coli DH10Bを形質転換した。カナマイシン耐性の形質転
換体の1つから所望のプラスミドpCKM465Aを単離し、制限酵素マッピングにより
その特性を調べた。E.coli JM109をpCKM465Aで形質転換して形質転換体E.coli
JM109/pCKM465Aを得、そのグリセロールストックを常法により調製した。
(6)変異型CCアシラーゼM506Aの発現ベクターpCKM506Aの調製:
pCK013及びmp19pfu62M506Aから上記と同様の方法によりpCKM506Aを構築した。E.
coli JM109をpCKM506Aで形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCKM506Aを得、
そのグリセロールストックを常法により調製した。
(7)変異型CCアシラーゼM750Aの発現ベクターpCKM750Aの調製:
pCK013及びmp19pfu62M750Aから上記と同様の方法によりpCKM750Aを構築した。E.
coli JM109をpCKM750Aで形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCKM750Aを得、
そのグリセロールストックを常法により調製した。
実施例7(E358変異型CCアシラーゼの発現ベクターの調製)
(1)M269I/E358変異型CCアシラーゼの発現ベクターの調製:
(i)変異型CCアシラーゼM269I/E358Kの発現ベクターp269I358Kの調製:
HpaI及びMluIで消化されたpCK013の大きい方のDNAフラグメント(0.5fm
ol)、DNAオリゴマーSO-E358K〔5'-TAACCGGGCCATGGCGCGTCTTGACTATATCGAAC
T,125pmol,図1(b)(ii)に記載〕及びSO-BstFor〔5'-ATCGCGTCTTC
GAAATACCGGGCATC,125pmol,図1(b)(ii)に記載〕を、10mM
トリス塩酸(pH8.3)、50mM KCl、0.1% ゼラチン、1.5m
M及び0.2mM dNTPからなる緩衝液100μl中、Taq DNAポリ
メラーゼ(宝酒造,1単位)と混合した。該混合物を鉱物油で覆い、最初96℃
で0.5分間変性させ、25サイクルの増幅(97℃で1.5分間,50℃で2
.5分間及び72℃で2.5分間)を行い、最後に72℃で7分間伸張させた。
該反応混合物をフェノールで抽出してエタノールで沈澱させ、NcoI及びBstBIで
消化した。その結果得られたDNA(290bp)を、NcoI及びBstBI
で消化されたpCK013の大きい方のDNAフラグメントに連結した。該ライゲーシ
ョン混合物を用いてE.coli DH10B(ギブコ−BRLから購入)を形質転換した
。カナマイシン耐性の形質転換体の1つから所望のプラスミドp269I358Kを単離
し、制限酵素マッピングによりその特性を調べた。E.coli JM109をp269I358Kで
形質転換して形質転換体E.coli JM109/p269I358Kを得、そのグリセロールスト
ックを常法により調製した。
(ii)変異型CCアシラーゼM269I/E358S及びM269I/E358Lのそれぞれの発現ベク
ターp269I358S及びp269I358Lの調製:
pCK013とDNAオリゴマーSO-BstFor及びSO-E358S〔又はSO-E358L、図1(b)
(ii)に記載〕から上記と同様の方法によりM269I/E358S(又はM269I/E358L)の
発現ベクターを調製した。E.coli JM109をp269I358S(又はp269I358L)で形質
転換して形質転換体E.coli JM109/p269I358S(又はE.coli JM109/p269I358L)
を得、それらのグリセロールストックを常法により調製した。
(2)他のE358変異型CCアシラーゼの発現ベクターの調製:
(i)変異型CCアシラーゼE358Rの発現ベクターpCCE358Rの調製:
mp18p183及びDNAオリゴマーSO-E358R〔図1(b)(ii)〕から、実施例2に
記載の方法と同様の方法により変異型CCアシラーゼE358Rのためのmp18p183E35
8Rを調製した。MluI及びNcoIで消化されたmp18p183E358Rの小さい方のDNAを
、MluI及びNcoIで消化されたpCC013Aの大きい方のDNAに連結してpCCE358Rを
得た。E.coli JM109をpCCE358Rで形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCCE3
58Rを得、そのグリセロールストックを常法により調製した。
(ii)変異型CCアシラーゼE358Tの発現ベクターpCCE358Tの調製:
mp18p183及びDNAオリゴマーSO-E358T〔図1(b)(ii)〕から、実施例2に
記載の方法と同様の方法により変異型CCアシラーゼE358Tのためのmp18p183E35
8Tを調製した。MluI及びNcoIで消化されたmp18p183E358Tの小さい方のDNAを
、MluI及びNcoIで消化されたpCC013Aの大きい方のDNAに連結してpCCE358Tを
得た。E.coli JM109をpCCE358Tで形質転換して形質転換体E.coli JM109/pCCE3
58T
を得、そのグリセロールストックを常法により調製した。
実施例8(複数変異型CCアシラーゼの調製)
(1)M164L又はM164Aと別の変異型CCアシラーゼとの組み合わせ:
(i)変異型CCアシラーゼM164L/M269Yの発現ベクターp164L269Yの調製:
pCKM164LをMluI及びBstBIで消化し、小さい方のDNA(582bp)を単離し
た。一方で、pCKM269Y(このプラスミドの構築方法は欧州特許出願公開明細書第
558,241号、第10頁に開示されている)をMluI及びBstBIで消化した。その結果
得られたDNA(約6.2kb)を単離して582bPのMluI/BstBI DNAに
連結した。該ライゲーション混合物を用いてE.coli DH10Bを形質転換した。カ
ナマイシン耐性の形質転換体の1つから所望のp164L269Yを単離し、制限酵素マ
ッピングによりその特性を調べた。E.coli JM109をp164L269Yで形質転換して形
質転換体E.coli JM109/p164L269Yを得、そのグリセロールストックを常法によ
り調製した。
(ii)変異型CCアシラーゼM164L/M269Fの発現ベクターp164L269Fの調製:
pCKM164LをMluI及びBstBIで消化し、小さい方のDNA(582bp)を単離し
た。一方で、pCKM269F(このプラスミドの構築方法は欧州特許出願公開明細書第
558,241号、第15〜16頁に開示されている)をMluI及びBstBIで消化した。大
きい方のDNA(約6.2kb)を単離して582bPのMluI/BstBI DNAに
連結した。該ライゲーション混合物を用いてE.coli DH10Bを形質転換した。カ
ナマイシン耐性の形質転換体の1つから所望のp164L269Fを単離し、制限酵素マ
ッピングによりその特性を調べた。E.coli JM109をp164L269Fで形質転換して形
質転換体E.coli JM109/p164L269Fを得、そのグリセロールストックを常法によ
り調製した。
(iii)変異型CCアシラーゼM164L/M269Y/C3055の発現ベクターp164L269Y305S
の調製:
pCKM164L及びp269Y305S(このプラスミドの構築方法は欧州特許出願公開明細書
第558,241号、第10頁に開示されている)から、上記と同様の方法により、
p164L269Y305Sを調製した。E.coli JM109をp164L269Y305Sで形質転換して形質
転換体E.coli JM109/p164L269Y305Sを得、そのグリセロールストックを常法に
より調製した。
(iv)変異型CCアシラーゼM164L/M174Aの発現ベクターp164L174Aの調製:
pCKM164L由来のHpaI/NcoI DNA(1122bp,鋳型DNA,0.5fmol
)、DNAオリゴマーSO-MluFor〔プライマー#1,125pmol,図1(b
)(i)〕及びSO-M174A2(5'-GACCGGCAGCGCTAGCGCCCGCCAGAGCTTGA,プライマー
#2,125pmol)を10mM トリス塩酸(pH8.3)、50mM K
Cl、0.1% ゼラチン、1.5mM及び0.2mM dNTPからなる緩衝
液100μl中、Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造,1単位)と混合した。
該混合物を鉱物油で覆い、最初96℃で0.5分間変性させ、25サイクルの増
幅(97℃で1.5分間,50℃で2.5分間,72℃で2.5分間)を行い、
最後に72℃で7分間伸張させた。その結果得られた混合物をフェノールで抽出
してエタノールで沈澱させ、MluI及びNheIで消化した。得られたDNAをMluI及
びNheIで消化されたpCKM174Aの大きい方のDNAフラグメントに連結し、所望の
プラスミドp164L174Aを得た。E.coli JM109をp164L174Aで形質転換して形質転
換体E.coli JM109/p164L174Aを得、そのグリセロールストックを常法により調製
した。
(v)変異型CCアシラーゼM164A/M174Aの発現ベクターp164A174Aの調製:
pCKM164A(鋳型DNA)、SO-MluFor〔プライマー#1,図1(b)(i)〕、S
O-M174A〔プライマー#2,図1(a)〕及びpCKM174A(ベクターDNA)から
、上記と同様の方法によりp164A174Aを調製した。E.coli JM109をp164A174Aで
形質転換して形質転換体E.coli JM109/p164A174Aを得、そのグリセロールスト
ックを常法により調製した。
(vi)変異型CCアシラーゼM164A/M269Yの発現ベクターp164A269Yの調製:
pCKM164AをMluI及びBstBIで消化して小さいDNA(582bp)を単離した。
一方で、pCKM269YをMluI及びBstBIで消化した。その結果得られた大きい方のD
NAフラグメントを582bpのMluI/BstBI DNAに連結し、そのライゲーシ
ョン混合物を用いてE.coli DH10Bを形質転換した。カナマイシン耐性の形質転
換体の1つから所望のプラスミドp164A269Yを単離し、制限酵素マッピングによ
りその特性を調べた。E.coli JM109をp164A269Yで形質転換して形質転換体E.co
li JM109/p164A269Yを得、そのグリセロールストックを常法により調製した。
(vii)変異型CCアシラーゼM164L/M174A/M269Y、M164L/M174A/M269F及びM164A
/M174A/M269Y/C305Sの発現ベクターの調製:
MluI及びBstBIで消化されたp164L174Aの小さい方のDNAを、MluI及びBstBIで
消化されたpCKM269Y(又はpCKM269F又はp269Y305S)の大きい方のDNAフラグ
メントに連結し、所望のベクターp164L174A269Y(又はp164L174A269F又はp164A1
74A269Y305S)を得た。E.coli JM109を該p164L174A269Y(又はp164L174A269F又
はp164A174A269Y305S)で形質転換して、形質転換体E.coli JM109/p164L174A26
9Y(又はE.coli JM109/p164L174A269F又はE.coli JM109/p164A174A269Y305S)
を得、そのグリセロールストックを常法により調製した。
(viii)変異型CCアシラーゼM164L/M174A/M269Y/C305S/M750Aの発現ベクターp
164L174A269Y305S750Aの調製:
pCKM750AをPstI及びNcoIで消化した。小さい方のDNAを単離し、PstI及びNcoI
で消化されたp164L174A269Y305Sの大きい方のDNAに連結して所望のプラスミ
ドを得た。E.coli JM109をp164L174A269Y305S750Aで形質転換して形質転換体E
.coli JM109/p164L174A269Y305S750Aを得、そのグリセロールストックを常法に
より調製した。
(2)A49Lと他の変異型CCアシラーゼとの組み合わせ
(i)変異型CCアシラーゼA49Lのためのmp18p181A49Lの調製:
mp18p181のSS−U−DNA及びDNAオリゴマーSO-A49Lから、実施例2記載
の方法と同様の方法によりmp18p181A49Lを調製した。
(ii)変異型CCアシラーゼA49Lの発現ベクターpCKA49Lの調製:
mp18p181A49LをClaI及びMluIで消化して218bpのDNAを単離した。一方で
、pCC013AをClaI及びMluIで消化した。その結果得られた大きい方のDNAを単
離
して、218bpのClaI/MluI DNAに連結した。該ライゲーション混合物を用
いてE.coli JM109を形質転換した。アンピシリン耐性の形質転換体の1つから
変異型CCアシラーゼA49Lの発現ベクター(pCCA49Lと命名された)を単離し、
制限酵素マッピングによってその特性を調べた。pCCA49L由来の250bp HpaI
/MluI DNAフラグメントを、HpaI及びMluIで消化されたpCK013の大きい方の
DNAに連結してpCKA49Lを得た。
(iii)天然型CCアシラーゼと変異型CCアシラーゼA49Lの発現の比較:
E.coli JM109を常法に従ってプラスミドpCKA49L(又はpCK013)で形質転換する
ことにより調製したE.coli JM109/pCKA49L(又はJM109/pCK013)のグリセロー
ルストック溶液(1ml)を、カナマイシン50μg/mlを含むLブロス10
0mlに移し、該混合物を30℃で8時間培養した。該培養物(3.75ml)
をカナマイシン25μg/mlを含むN−3ブロス〔成分:5% 大豆ソース,
1% グリセロール,1.25% K2HPO4,0.38% KH2PO4,50
μg/ml チアミン塩酸,2mM MgSO4・7H2O,0.2mM CaC
l2・2H2O,0.05mM FeSO4・7H2O〕25mlに加え、該混合物
を22.5℃で16時間培養した。16時間目に3−インドールアクリル酸(I
AA)を終濃度20μg/mlとなるように培養物に添加し、さらに56時間培
養を続けた。14,000rpm、4℃で15分間遠心分離して細胞を集め、T
E緩衝液(pH8.0)40ml中に懸濁し、超音波処理によって破砕した。該
破砕物を14,000rpm、4℃で20分間遠心分離して上清(「スープ」画
分と名付けた)を取得した。残渣を100mM トリス塩酸(pH8.0)、1
mM EDTA及び8M 尿素を含む緩衝液40ml中に再懸濁し、超音波処理
により破砕した。遠心分離して不溶性物質を除去した後、上清(「沈澱」画分と
名付けた)を回収した。変異型CCアシラーゼA49Lと天然型CCアシラーゼN176
の「スープ」及び「沈澱」画分を15% SDS−PAGEによって分析した。
細胞の不溶性前駆タンパク質は、天然型CCアシラーゼから変異型CCアシラー
ゼA49Lへの変異によって大きく減少した。本結果は逆相HPLCによって調べら
れた「スープ」中の成熟アシラーゼ(天然型CCアシラーゼ又は変異型CCアシ
ラーゼA49L)の量に対応していた(下表)。
(iv)変異型CCアシラーゼA49L/M164L/M174A/M269Yの発現ベクターp49L164L17
4A269Yの調製:
p164L174A269Y由来の772bp MluI/NcoI DNAをMluI及びNcoIで消化され
たpCKA49Lの大きい方のDNAに連結し、所望のプラスミドp49L164L174A269Yを
得た。E.coli JM109をp49L164L174A269Yで形質転換して形質転換体E.coli JM1
09/p49L164L174A269Yを得、そのグリセロールストックを常法により調製した。
実施例9(変異型CCアシラーゼの発現及び精製)
(1)変異型CCアシラーゼM164Aの発現:
E.coli JM109/pCKM164Aのグリセロールストック(0.5ml)をカナマイシン
50μg/mlを含むLブロス50mlに加え、該混合物を30℃で8時間培養
した。該培養物(3.75ml)を1.0% グリセロール及びカナマイシン1
2.5μg/mlを含むN−3ブロス(5.0% 大豆ソース(大阪食品化学)
,0.608% Na2HPO4,0.7% KH2PO4,0.7% K2HPO4
,0.12% (NH4)2SO4,0.02% NH4Cl,0.0011%Fe
SO4・7H2O,0.0011% CaCl2・2H2O,0.000276%
MnSO4・nH2O,0.000276% AlCl3・6H2O,0.0001
1% CoCl2・6H2O,0.0000552% ZnSO4・7H2O,0.
0000552% NaMoO4・2H2O,0.0000276%
CuSO4・7H2O,0.0000138% H3BO4,50μg/mlビタミ
ンB1,0.048% MgSO4)25mlに移した。該混合物を20〜22
℃で88時間培養した。培養開始16時間後にβ−インドールアクリル酸(終濃
度20μg/ml)を、16及び24時間後にグリセロール(終濃度1.0%)
を添加した。遠心分離(8,000rpm,4℃で10分間)により細胞を集め
、TE緩衝液(10mM トリス塩酸(pH8.0)、1.0mM EDTA)
10ml中に懸濁し、超音波処理により細胞を破砕した。遠心分離(15,00
0rpm,4℃で20分間)した後、上清(粗破砕物)を使用するまで4℃で保
存した。
(2)M164Aの精製:
粗破砕物(1.0ml)を0.45μm カラムガード(ミリポア)を用いて濾
取し、TSK−ゲルTM DEAE−5PW(東ソー、4.6×50mm)高性能
液体クロマトグラフィーカラムにかけた。溶出は、A緩衝液〔25mM トリス
塩酸(pH8.0)〕80%+B緩衝液〔0.5M NaCl−25mM トリ
ス塩酸(pH8.0)〕20%からA緩衝液50%+B緩衝液50%までの凹状
曲線グラジエントで30分間かけて流速1.0ml/分にて行った。230nm
における吸光度を用いて溶出液をモニタリングした。およそ0.16MのNaC
lで溶出された最後の主ピークを回収して変異型CCアシラーゼM164Aの精製標
品を取得した。
(3)他の変異型CCアシラーゼの発現:
上記と同様の方法により、別の発現ベクター(例えば、pCKM164L,pCKM164G,pC
KM174A,pCKM465A,pCKM506A,pCKM750A,p164L/269Y,p164L/269Y/305S,p164L
/174A/269Y/305S,p269I/358K,p269I/358S,p164L/269F,p164L/174A/269F,pC
KS166A,p164L/174A/269Y/305S/750A,p164A/269Y,pCK49L及びp49L/164L/174A
)を担持するE.coli JM109を培養し、その粗破砕物を調製した。
(4)他の変異型CCアシラーゼの精製:
上記と同様の方法により、各粗破砕物から他の変異型CCアシラーゼ(例えば、
M164L,M164G,M174A,M465A,M506A,M750A,M164L/M269Y,M164L/M269Y/C305S
,M164L/M174A/M269Y/C305S,M269I/E358K,M269I/E358S,M164L/M269F,M164L/
M174A/H269F,S166A,M164L/M174A/M269Y/C305S/M750A,M164A/269Y,及びA49L/
M164L/M174A)を精製した。
(5)変異型CCアシラーゼの同定:
精製された変異型CCアシラーゼ、例えば、M164A,M164L,M164G,M174A,M465
A,M506A,M750A,M164L/M269Y,M164L/M269Y/C305S,M164L/M174A/M269Y/C305S
,M269I/E358K,M269I/E358S,M164L/M269F,M164L/M174A/M269F,S166A,M164L
/M174A/M269Y/C305S/M750A,M164A/M269Y,及びA49L/M164L/M174Aの特性を12
.5% SDS−PAGE分析及び逆相HPLCによって解析した。β−メルカ
プトエタノール存在下でのSDS−PAGE分析の結果、各精製アシラーゼは2
つの独立したサブユニット、即ちα及びβサブユニットにそれぞれ相当する25
.4kDa及び58.4kDaのペプチドからなることが確認された。これらの
分子量はゲル電気泳動での移動度から算出された。HPLC分析では、各精製ア
シラーゼは2つの独立したペプチド、即ちα及びβサブユニットに解離した。そ
れらは、それぞれ約8.7及び5.8分に溶出した〔HPLC条件,カラム:5
C4−AR−300,4.6×50mm;溶出液:10分間で0.05% トリ
フルオロ酢酸を含む35%から70%までの水性アセトニトリルの直線グラジエ
ント;検出:214nm〕。各変異型CCアシラーゼの両方のサブユニットを逆
相HPLCで単離し、473Aプロテインシーケンサー(アプライドバイオシス
テムズ)を用いたアミノ末端配列分析により同定すると、天然型アシラーゼの配
列と同一であった。
実施例10(DNA配列分析)
変異型CCアシラーゼ、例えば、M164A,M164L,M164G,M174A,M465A,M506A
,M750A,M164L/M269Y,M164L/M269Y/C305S,M164L/M174A/M269Y/C305S,H269I/
E358K,M269I/E358S,M164L/M269F,M164L/M174A/M269F,S166A,M164L/M174A/M
269Y/C305S/M750A,M164A/M269Y,及びA49L/M164L/M174AのためのベクターのD
NA配列を
373A DNAシーケンサー(アプライドバイオシステムズ)によって決定し
、予想されたものと同一であることを確認した。
実施例11(CCアシラーゼ活性)
表2に記載されるそれぞれの変異型アシラーゼのpH8.7におけるCCアシ
ラーゼ活性を上記と同じ方法で測定した。その結果を表2に示す。
実施例12(GL−7ACAアシラーゼ活性)
表3に記載されるそれぞれの変異型アシラーゼのpH7.5におけるGL−7A
CAアシラーゼ活性を上記と同じ方法で測定した。その結果を表3に示す。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:19)
(C12N 9/14
C12R 1:19)
(C12P 35/02
C12R 1:19)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),CA,CN,HU,JP,K
R,US
(72)発明者 野口 祐嗣
大阪府大阪狭山市半田3―361―1―505