【発明の詳細な説明】
ペプチド生成物の製造方法と、得られた生成物
本発明は少なくとも一種のタンパク質またはペプチドを含む動物性または植物
性の基質から新規なペプチド生成物を製造する方法と、この方法から得られる生
成物とに関するものである。
本明細書では「ペプチド生成物」とは非常に多様なペプチド集団(population
s)を定義するもので、ペプチド、ペプチド断片、アミノ酸、エステル化物、非
エステル化物およびこれらの混合物を含む種々の単位(entites)を含むもので
ある。
動物性または植物性タンパク質とこれらのタンパク質から得られるペプチドは
その化学的性質または物理化学的性質によりあらゆる産業(薬品、化学、農産物
加工業、化粧品等)で広く使用されている。
乳タンパクの酵素加水分解によって多様な生物学的性質を有するペプチドを生
成することができる。こうして得られるものの中にアヘンペプチド(peptides o
piaces)がある〔ジウドルー(Zioudrou C.),ストリーティ(Streaty R.A.)
およびクリー(Klee W.A.),,J.Biol Chem.254(1979年),,第2446〜2449頁
、ブラントル(Brantl V.)、テスチェマチャー(Teschemacher),ヘンスチェン
(Henschen A.)とロットスペイク(LottsepeichF.),Life Sci.28(1981年)
,第1903〜1909号;吉川 M.,吉村 T.および千葉 H.,Agric.Biol.Chem.4
8 (1984年)、第3185〜3187頁、ルーカル(Loukas S.)、ヴァルーチャ(Varo
ucha D.)、ジウドルー(Zioudrou C.)、ストリーテイ(Streaty R.A.)および
クリー(Klee W.A.),Biochemistry 22(1983年),第4567〜4573頁、千葉H.
,谷F.および吉川M.
J.Dairy Res.56(1989年),第363〜366頁;福留S.I.および吉川M.,FEBS Le
tt 296(1992年),第107〜111頁、アンティラ(Antila P.)、パーカリ(Paakk
ari I.)、ジャーヴィネン(Jarvinen A.)、マッティラ(Mattila M.J.),ロ
ッカネン(Laukkanen M.)、ピラントレパーラ(Pihlanto-LeppalaA)、マンサ
ーラ(Mantsala P.)およびヘルマン(Hellman J.)、Int.Dairy Journal 1.
(1991年),第215〜229頁、メイセル(Meisel H.)およびフリスター(Frister
H.)、J.Dalry Res.56(1989年)、第343〜349頁)。
その他、抗高血圧ペプチド〔丸山 S.,Mitachi H.,田中 H.,富塚 N.および
鈴木 H.,Agric.Biol.Chem.51(1987年),第1518〜1586頁;小村 M.,仁尾
N.,久保 K.,Minoshima Y.,Munekata E.および有吉 Y.,Agric.Biol.Chem.5
3(1989年)第2107〜2114頁〕や免疫刺激性ペプチド〔バートゥ(Berthou J.)
、ミグリィオール・サムール(Migliore-Samaour D.)、Lifchiz A.,デレトレ
(Delettre J.),フロック(Floc'hF.)およびジョレ(Jolles P.),FEBS L
ett.218(1)(1987年)、第55〜58頁;ミグィオル・サムール(Migliore-Sama
our D.)、フロック(Floc'h F.)およびジョレ(Jolles P.),J.Dairy Res.5
6(1989年)、第357〜362頁)あるいは抗血栓ペプチド(ファイアット(Fiat A.
M.)、レヴィ・トレダノ(Levy-Toledano S.P.),カエン(Caen J.)およびジ
ョレ(Jolles P.)J.Dalry Res.56(1989年)、第351〜355頁)も単離されて
いる。
また、乳タンパク質から得られるペプチドは興味深い物理化学的性質を示す(
フォックス(Fox P.F.)およびマルヴヒィル(Mulvihill D.M.),デンマーク、
Holsinger におけるIDFシ
ンポジウム議事録(1983年),第188〜259頁;コバート(Chobert J.M.)、バー
トランド・ハーブ(Bertrand-Harb C.)およびニコラス(Nicolas M.G.),J.A
gric.Food Chem.36(1988年a),第883〜892頁;コバート(Chohert J.M.)
、シトヒィ(Sitohy M.Z.)およびフィテイカー(Whitaker J.R.),J.Agric.F
ood Chem.36(1988年b)、第220〜224頁;コバート(Chobert J.M.)、バート
ランド・ハーブ(Bertrand-Harb C.),ダルガラロンド(Dalgalarrondo M.)お
よびニコラス(Nicolas M.G.)、J.Food Biochem.13(1989年a)、第335〜352
頁、コバート(Chobert J.M.)、トゥアティ(Touati A.)、バートランド・ハ
ーブ(Bertrand-Harh C.),ダルガラロンド(Dalgalarrondo M.)およびニコラ
ス(Nicolas M.G.),J.Food Biochem.13(1989年b),第457〜473頁、ヴィユ
マール(Vuillemard J.C.)、ゴティエール(Gauthier S.)およびパカン(Paqu
in P.),Lait 69(1989年),第323〜351頁;トュルジャン(Turgeon L.S.)
、ゴティエール(Gauthier F.S.),モレ(Molle D.)およびレオニル(Leonil J
.)、J.Agric.Food Chem.40(1992年)、第669〜675頁)。
血清タンパク質のアレルギー誘発性(allergenicite)は酵素的加水分解によ
って栄養および治療レベルで軽減することができる(ジョスト(Jost R.),モ
ンティ(Monti J.C.)およびパフド(Pahud J.J.),Food Technol.41(1987年
),第118〜121頁)。
また、乳血清の酵素完全加水分解生成物と、この加水分解生成物の医療および
栄養治療法における応用に関する関連文献としては欧州特許第22,019号を挙げる
ことができる。
乳血清タンパク質は、生理学的見地からは皮膚再生の成長を
刺激する性質がある〔ウェナー(Wenne Y V.),Lait 62(1982年),第549〜56
5頁)。
動物または植物から得られるタンパク質またはペプチドに作用を加え、特に置
換基のグラフト化によってその性質を変えることは知られている。WO-9318180号
には「ペプチドのアルカリエステル酵素合成」とよばれる方法による動物性また
は植物性ペプチドのエステル化方法が記載されている。この方法の特徴はタンパ
ク分解とエステル分解との両方の作用を有する酵素の使用を必要する点にある。
この方法ではタンパク基質を酵素とアルコールとに同時に接触させることにより
、ペプチドのアルカリエステルを形成する。
本発明の対象は、少なくとも一つのタンパク質またはペプチドを含む動物性ま
たは植物性のタンパク質物質をエステル化した後、エステル化されたタンパク質
物質を酵素を用いて加水分解する方法にある。この方法によって新規なペプチド
群を得ることができる。上記エステル化によるタンパク変性によって独特な物理
化学的および生物学的性質を有する新規なペプチド群が得られる。
本発明方法では、後で行う酵素の作用(開裂部位および反応動力学)を変える
目的で動物性または植物性の基質に含まれるタンパク質またはペプチドの少なく
とも一つのエステル化可能な基をエステル化する。
使用可能なタンパク質またはペプチド基質は特に制限されないが、例としては
牛乳タンパク質(カゼインおよび乳血清タンパク質)、小麦およびトウモロコシ
のグルテン、ゼイン、大豆・エンドウ・豆等のタンパク質濃縮物および単離物あ
るいはコラーゲン、血清アルブミン、卵白アルブミン等が挙げられる。
エステル化反応は当業者に公知の方法で実施される(例えば、フランケル・コ
ンラット(Fraenkel-Conrat H)およびオルコット(Olcott H.S.)に記載の酸
性媒体でのエステル化方法、J.Biol.Chem.161(1945年),第259〜269頁を参
照)。このエステル化はタンパク質の少なくとも一つのカルボキシル基に行うの
が好ましい。また、アルコール(または当業者に周知の方法で得られるこのアル
コールの活性誘導体)を用いて酸性媒体中で行うのが有利である。
例えば、1〜5個の炭素原子を持つ脂肪族アルコール(メタノール、エタノー
ル等)を使用することができる。
エステル化反応の操作条件(温度、時間、圧力、酸濃度等)は所望のエステル
化度、より一般的には所望する最終生成物に依存する。
エステル化されたタンパク質は次いで当該技術分野の通常条件下で少なくとも
一つのタンパク分解酵素の作用下に置かれてアミノ酸鎖が切断される〔例えばヌ
ーバーガー(A.Neuberger)およびブロックルハースト(K.Brocklehurst)の
著書 coll,New Comprehensive Biochemistry、第16巻(1987年),Hydrolytic E
nzymes,Elsevier出版またはベイノン(R.J.Beynon)およびボンド(J.S.Bond
)の著書coll.The Practical Approach Series - Protelytic enzymes,a prac
tical approach - IRLPRESS(1989年)を参照〕。この段階では任意のタンパク
および/またはペプチダーゼ分解酵素(プロテアーゼ、ペプチダーゼ)を使用す
ることができる(ペプシン、パパイン、トリプシン、キモシン、キモトリプシン
、サーモリシン等)。加水分解はこれらの酵素の一つまたは複数によって順次ま
たは同時に行うことができる。
本発明の変形例では、エステル化反応は一種以上のタンパクまたはペプチダー
ゼ分解酵素を使用してタンパクの部分加水分解によって行うことができる。この
部分加水分解程度は所望する最終生成物に応じて広範囲に変えることができる。
唯一の制約条件はタンパクまたはペプチドを完全に加水分解しないということで
ある。
驚くべきことに、加水分解前にエステル化反応を行うことによってタンパクの
酵素加水分解に対する感度を向上または変えることが可能になる。酵素はタンパ
ク質の変性によって「だまされ」、使用材料および操作条件に応じて天然タンパ
ク質に対して新たな開裂部位を形成したり、および/またはいくつかの通常の部
位を無くすことができる。この操作で通常では有り得ない開裂部位を得ることが
でき、少なくとも一部がエステル化された新規なペプチドを製造することができ
る。
本発明方法を実施することによってペプチドまたはアミノ酸とそのエステルと
の混合物が得られる。このペプチド、アミノ酸および対応エステルを分離、精製
して均質物を得ることができる。
脂肪族アルコールによってエステル化する場合には、アスパルチルおよび/ま
たはグルタミル残基のいくつかのC末端カルボシキル基および側部カルボシキル
基がエステル化されたタンパク質が得られる。次に行うタンパク分解酵素の作用
によってC末端カルボシキル基がエステル化した末端ペプチドが製造される。得
られる他のペプチドはエステル化されているか、非エステル化C末端カルボシキ
ル基を含むものはエステル化されていない。
このカルボキシル基レベルでの置換によって得られたタンパ
ク質またはペプチドでの陰電荷を無くすことができる(構成アスパラギン酸およ
びグルタミン酸のCOOHのpk以上の電荷除去)。タンパク質またはペプチドの
等電点が高くなり、より塩基性かつより疎水性になる。それによって大部分が陰
電荷を帯びた生物学的境界および人工的界面との親和性および相互作用がさらに
良くなる。
本発明ではタンパク分解前にエステル化によるアミノ酸残基を処理することに
よって新規なタンパク質またはペプチド群を製造することができる。本発明の実
施手段は単純、安価、無毒で、しかもタンパク質はほとんどの栄養価を保持する
。
得られたエステル化ペプチドは異なる静電特性、疎水性および両親媒性を示し
、それによって特殊な界面特性、生理特性、生物学的かつ免疫学的特性が付与さ
れる。
エステル化は酵素作用に対するタンパク質構造の感度を高めるための簡単な手
段でもある。
本発明の適用範囲は多様であり、得られた生成物は食品配合物、薬品または化
粧品の成分、添加物または活性剤として好適に使用することができる。
本発明の適用範囲は従来の技術の説明で冒頭に挙げたタンパク質の酵素加水分
解に関する参考文献に記載の周知のものである。実施例 実施例1
ペプシンによるβ−ラクトグロブリンのタンパク質分解
ウシのβ−ラクトグロブリン(変形B)をミリヤール(Mailliart P.)、リバ
ドー・デュマス(Ribadeau Dumas B.)が記
載の方法(J.Food Sci.53(1988年),第743〜745頁)を用いて製造した。エステル化
β−ラクトグロブリンのエステルは、フランケル・コンラト(Fraenkel-Conra
t H.),オルコット(Olcott H.S.)が記載の方法(J.Biol.Chem.161(1945年
)、第259〜268頁)に由来する方法を用いて製造した。すなわち、β−ラクトグ
ロブリンを懸濁状態でエタノール中に導入して2%の懸濁液にした。攪拌しなが
ら12N塩酸を穏やかに添加し、酸中でタンパク質−アルコール0.06〜0.68Nの懸
濁液を得た。この配合物を所望エステル化度に応じて数日間にわたり4℃で攪拌
する。真空乾燥した後、試料を温度−80℃で保存する。対照試料はHClの添加
を除き同様な手順で製造した。エステル化タンパク質の分析
エタノールによるβ−ラクトグロブリンのエステル化度を測定するためヒドロ
キシルアミン塩酸塩による着色反応を用いた。この方法はハルピン(Halpin M.I
.),リチャードソン(Richardson T.)(J.Dairy Sci.68(1945年),第3189
〜3198頁)によって開発され、バートランド・ハーブ(Bertrand-Harb C.),コ
バート(Chobert J.M.),デュフール(Oufour E.),ハートル(Harttle T.)
(Sci.Aliments 11(1991年),第641〜652頁)によって修正された。この実施
例ではβ−ラクトグロブリンを40%までエステル化した。加水分解
次に、β−ラクトグロブリンと、エステル化β−ラクトグロブリンとの試料を
ペプシンで加水分解した(ブタのペプシン:3,200〜4,500,BAEE U/mg Sigma C
himie 社(フランス,ST.
QUENTIN FALLAVIER)製)。
ペプシン(初期濃度は1mg/mlのH2O)を2%の酵素/タンパク質(E
/S)比で添加する。混合物を37℃に温置する。試料を1、2、4、20および40
時間後にそれぞれ採取する。加水分解は1.5容量のトリス−HCl 0.2 M、pH8.0緩
衝剤の添加で停止させた。結果
得られた各種ペプチドを精製してアミノ酸組成とN末端配列とで特定した。
図1はエチル化β−ラクトグロブリンのペプシンによる加水分解生成物(40時
間の加水分解後)のHPLCクロマトグラフィーのグラフである(SFCC SHANDON
社(フランス、GAGNY社製のカラムC18、多孔率10ミクロン、長さ25cm、内径0.4
cm)。
図2はβ−ラクトグロブリンBの一次構造とペプシンの開裂部位(*)とを示
す図。
図3はエチル化β−ラクトグロブリン(エステル)のペプシンによるペプチド
のアミノ酸組成とN末端配列を表にして示したものである。
β−ラクトグロブリンのエステル化誘導体に対する酵素作用の反応の研究によ
ってエステル化されたタンパク質は水溶液中で非常に速く加水分解するが、天然
タンパク質はこのようなタンパク質分解に反応しないことがわかっている。
本発明は、変性なしには加水分解されなかったこのタンパク質の加水分解を可
能にする。また、それによって使用した酵素では従来にはなかった開裂部位が形
成される。
エチル化β−ラクトグロブリンについては、次の31の開裂部位が特定された:
Gln5-Thr6 ;Thr6-Met7 ;Leu10-Asp11 ;Asp11-Ile12 ;Gln13-Lys14 ;Trp19-
Tyr20 ;Leu22-Ala23 ;Ser27-Asp28 ;Asp28-Ile29 ;Leu32-Asp33 ;Leu39-Ar
g40 ;Val41-Tyr42 ;Leu46-Lys47 ;Ile56-Leu57 ;Leu57-Leu58 ;Trp61-Glu6
2 ;Lys75-Thr76 ;Val81-Phe82 ;Phe82-Lys83 ;Leu87-Asn88 ;Glu89-Asn90
;Val92-Leu93 ;Leu93-Val94 ;Asp98-Tyr99 ;Met107-Glu108 ;Leu117-Ala11
8 ;Asp130-Glu131 ;Leu133-Glu134 ;Phe136-Asp137 ;Asp137-Lys138 ;Leu1
49-Ser150。実施例2
ペプシンによるβ−カゼインの加水分解
生のβ−カゼインA1をジットル(Zittle C.A.),カスター(Custer J.H.
)が記載の方法(J.Dairy Sci.46(1963年),第1183〜1188頁)に従って製造し
た。次いでメルシエ(Mercier J.C.),モーボワ(Maubois J.L.)、ポズナンス
キィ(Poznanski s.)、リバドー・デュマス(Ribadeau-Dumas B.)が記載の方
法(Bull.Soc.Chim.Biol.50(1968年)、第521〜530頁)に従って PHARMCIA
社(スエーデン、UPPSALA)製の高速Q−セファローズ(Q-Sepharoze)カラム(
登録商標)でクロマトグラフィーにより基質を精製した。実施例2a エステル化
上記で引用したフランケル・コンラット(Fraenkel-Conrat)およびオルコッ
ト(Olcott)が記載の方法(1945年)を修正したものを用いて、エステル化β−
カゼインを製造した。精製したβ−カゼインをエタノール中に分散して2%の懸
濁液にした。
攪拌しながら、I2N塩酸を穏やかにタンパク質−アルコール懸濁液に添加し、酸
中で0.06〜0.68N懸濁液を得た。攪拌を継続し、得られた精製物を所望するエス
テル化レベルに応じて数日間、4℃に維持した。真空乾燥後、試料を温度−80℃
で保存した。対照試料は塩酸の添加を除き、同様の手順で製造した。エステル化タンパクの分析
エタノールによるβ−カゼインのエステル化度の測定はヒドロキシルアミン塩
酸塩による着色反応を用いて行った。この方法はハルピン(Halpin)およびリー
チャドソン(Richardson)が開発され(1985年)、バートランド・ハーブ(Bert
rand-Harb)達によって修正された(1991年)。この実施例ではβ−カゼインを5
5%までエステル化した。加水分解
次に、β−カゼインおよびエステル化β−カゼイン(2mg/ml)を20mM、pH2.6
のクエン酸に溶かした。ペプシン(初期濃度は1mg/mlのH2O)を0.2%の酵素/
タンパク質(E/S)比で添加した。得られた混合物を20℃に温置した。試料を
1、2、4、20および40時間後にそれぞれ採取した。加水分解は1.5 容量のトリ
ス−HCl 0.2 M、pH8.0 緩衝剤の添加で停止させた。実施例2b
同様なエステル化をエタノールの代わりにメタノールを用いてβ−カゼインに
対して行った。次に、前記エチル化β−カゼインで用いた方法と同様にメチル化
β−カゼインの加水分解を実施した。この実施例でもβ−カゼインを55%までエ
ステル化した。結果
図4は10時間の加水分解後の天然β−カゼインのペプシンによる加水分解生成
物のHPLCクロマトグラフィーグラフを示している。
図5は実施例2bに従って製造されたメチル化β−カゼイン(エステル)のペ
プシンによる加水分解生成物のHPLCクロマトグラフィーグラフを示している
。
図6は実施例2aに従って製造されたエチル化β−カゼイン(エステル)のペ
プシンによる加水分解生成物のHPLCクロマトグラフィーグラフ(10時間の加
水分解後)を示している。
図7は天然β−カゼイン(*)、メチル化β−カゼイン(+),エチル化β−
カゼイン(o)におけるペプシンによる開裂部位を有するβ−カゼインA1の一
次構造を示している。
図8、9および10はそれぞれ天然β−カゼイン、メチル化β−カゼイン(エス
テル)、エチル化β−カゼイン(エステル)のアミノ酸組成とN末端配列を表に
して示したものである。
エステル化β−カゼインについて下記の6つの新しい開裂部位が特定された:
Glu11-Ile12 ;Asn73-Ile7 ;Met156-Phe157 ;Val162-Leu163 ;Leu198-Gly199
;Ile207-Ile208。実施例3
トリプシンによるβ−ラクトグロブリンの加水分解
β−ラクトグロブリンおよびエステル化β−ラクトグロブリンを実施例1に従
って製造し、トリプシンで加水分解した(TPCK処理したウシのトリプシン、
10000-13 000U/mg,Sigma Chimie社)。
β−ラクトグロブリンおよびエステル化β−ラクトグロブリ
ン(2 mg/ml)をpH8.0の0.2 MトリスHCl緩衝剤中に溶かした。予め0.01N
HCl中に溶解させたトリプシンを2.5 %の酵素/タンパク質基質(E/S)比
で添加した。混合物を37℃に温置し、加水分解は24時間後に0.5 容量の0.2N HCl
を添加して停止させた。結果
図11は天然β−ラクトグロブリンのトリプシンによる加水分解生成物のHPL
Cクロマトグラフィーグラフ(24時間の加水分解後)を示している。
図12はエチル化β−ラクトグロブリン(エステル)のトリプシンによる加水分
解生成物のHPLCクロマトグラフィーグラフを示している(24時間の加水分解
後)。
図13はβ−ラクトグロブリンBの一次構造を示す。得られた16のトリプシンペ
プチドと、エステル化β−ラクトグロブリンの非通常開裂部位(*)とを示して
いる。
図14a、14bおよび14cは天然β−ラクトグロブリンおよびエチル化β−ラク
トグロブリンのトリプシンペプチドのアミノ酸組成と、N末端配列とを表にして
示したものである。
β−ラクトグロブリンのトリプシンペプチドの分析から、たとえエステル化ア
スパルチルまたはグルタミル残基が目標結合の近傍にあっても目標結合の切断を
全く妨げないことがわかった。これによってエステル化ペプチドを得ることがで
きる。下記の1つの非通常開裂部位が明らかになった:
Met145-His146。実施例4
トリプシンによるβ−カゼインの加水分解
実施例2に従って得られたβ−カゼインおよびエステル化β−カゼインにトリ
プシンを作用させた(TPCK処理したウシのトリプシン;10,000-13,000U/mg
)。
天然β−カゼインおよびエステル化β−カゼインをpH8.0 の0.2 MトリスHC
l緩衝剤中に溶かした。予め0.01N HCl中に溶解させたトリプシンを1.25%の
酵素/タンパク質基質(E/S)比で添加した。混合物を20℃に温置した。加水
分解は24時間後に0.5 容量の0.2N HClを添加して停止させた。結果
図15は天然β−カゼインのトリプシンによる加水分解生成物のHPLCクロマ
トグラフィーグラフを示している(24時間の加水分解後)。
図16はメチル化β−カゼイン(エステル)のトリプシン加水分解生成物のHP
LCクロマトグラフィーグラフを示している(24時間の加水分解後)。
図17はエチル化β−カゼイン(エステル)のトリプシン加水分解生成物のHP
LCクロマトグラフィーグラフを示している(24時間の加水分解後)。
図18はβ−カゼインA1の一次構造を示し、文字A〜Nは天然β−カゼインの
トリプシンペプチドを指している。また、エチル化β−カゼイン(o)およびメ
チル化β−カゼイン(*)について非通常開裂部位も示した。
図19aおよび19bは天然β−カゼイン、メチル化β−カゼインおよびエチル化
β−カゼインのトリプシンペプチドのアミノ酸組成と、N末端配列とを表にして
示したものである。
β−ラクトグロブリンについてはβ−カゼインのトリプシンペプチドの分析か
ら、例えエステル化アスパルチルまたはグル
タミル残基が目標結合の近傍にあっても目標結合の切断を全く妨げないことがわ
かった。これによってエステル化ペプチドを得ることができる。下記の非通常開
裂部位が明らかになった:
Phe52-Ala53 ;Gln79-Thr80 ;Ser122-Gln123 ;Ser124-Leu125 ;Pha190-Leu19
1 ;Tyr193-Gln194 ;Val197-Leu198。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年11月16日
【補正内容】
ン(Paquin P.),Lait 69(1989年),第323〜351頁;トュルジャン(Turgeon
L.S.)、ゴティエール(Gauthier F.S.),モレ(Molle D.)およびレオニル(L
eonil J.)、J.Agric.Food Chem.40(1992年)、第669〜675頁)。
血清タンパク質のアレルギー誘発性(allergenicite)は酵素的加水分解によ
って栄養および治療レベルで軽減することができる(ジョスト(Jost R.),モ
ンティ(Monti J.C.)およびパフド(Pahud J.J.),Food Technol.41(1987年
),第118〜121頁)。
また、乳血清の酵素完全加水分解生成物と、この加水分解生成物の医療および
栄養治療法における応用に関する関連文献としては欧州特許第22,019号を挙げる
ことができる。
乳血清タンパク質は、生理学的見地からは皮膚再生の成長を刺激する性質があ
る〔ウェナー(Wenner V.),Lait 62(1982年),第549〜565頁)。
動物または植物から得られるタンパク質またはペプチドに作用を加え、特に置
換基のグラフト化によってその性質を変えることは知られている。
特に、WO-9318180号には「ペプチドのアルカリエステル酵素合成」とよばれる
方法による動物性または植物性ペプチドのエステル化方法が記載されている。こ
の方法の特徴はタンパク分解とエステル分解との両方の作用を有する酵素の使用
を必要する点にある。この方法ではタンパク基質を酵素とアルコールとに同時に
接触させることにより、ペプチドのアルカリエステルを形成する。
また、欧州特許出願第0 047 879号には、一つ以上のアミノ酸を添加すること
により変性したタンパク質組成物を製造する
方法が記載されている。この方法では、酵素によってタンパク質基質を加水分解
し、予めエステル化した一つ以上の追加アミノ酸を添加し、最後に、タンパク質
が追加アミノ酸と共に再構成できるに酵素を作用させることから成る。
請求の範囲
1.少なくとも一つのタンパク質またはペプチドを含む動物性または植物性の基
質を酵素加水分解させる方法において、上記のタンパク質またはペプチドの少な
くとも一つのエステル化可能な基が予めエステル化されていることを特徴とする
新規なペプチド生成物の製造方法。
2.タンパク質またはペプチドの少なくとも一種のカルボシキル基をエステル化
する請求項1に記載の方法。
3.タンパク質またはペプチドのエステル化反応をアルコールの存在下で行う請
求項2に記載の方法。
4.エステル化反応を1〜5個の炭素原子を有する脂肪族アルコールの存在下で
行う請求項3に記載の方法。
5.エステル化反応をタンパクの部分加水分解より先に行う請求項1〜4のいず
れか一項に記載の方法。
6.エステル化反応後に互いに異なるタンパクまたはペプチダーゼ分解酵素酵素
を用いた一連の加水分解操作を行う請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
7.β−カゼインもしくはβ−ラクトブロブリンを含む牛乳から得られるタンパ
ク基質を用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
8.請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得られることを特徴とす
るペプチドまたはアミノ酸と、ペプチドまたはアミノ酸のエステルとの混合物。
9.請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって得られるエステル化され
たペプチドまたはアミノ酸。
10.図3、9、10、14.a、14.b、14.c、19.aおよび19.bの表に記載のアミノ酸組
成およびN末端配列を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で得られ
るペプチド生成物。
11.鎖のC末端カルボキシル基を除いたカルボキシル基の少なくとも一つがエス
テル化されていることを特徴とするペプチド。
12. カルボキシル基の少なくとも一つが1〜5個の炭素原子を有する脂肪族ア
ルコールによってエステル化されている請求項11に記載のペプチド。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU
,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,
LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,N
Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK
,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 エルトル,トマス
フランス国 44240 ラ−シャペル−スュ
ル−エルドル リュ ドルヴォル 39