JPH10139701A - 4−ヒドロキシ−1−アルキン類の製造法 - Google Patents

4−ヒドロキシ−1−アルキン類の製造法

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憲昭 村田
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敦識 荒俣
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Abstract

(57)【要約】 【発明が解決しようとする課題】プロスタグランジン類
の中間体として有用な4−ヒドロキシ−1−アルキン類
を簡単で効率よく、工業的有利に製造する。 【解決する手段】プロピンにアルキル金属試薬を加えて
プロピンジアニオンを生成させ、これとケトン類を反応
させた後、クエンチすることによって4−ヒドロキシ−
1−アルキン類を1工程で製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広汎な生理活性を有
するプロスタグランジン類の中間体として有用な4−ヒ
ドロキシ−1−アルキン類を製造する方法に関する。
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】天然プロスタグランジン類は特異な構造を
有し、微量で広い範囲にわたる生理活性を示す化合物と
して知られており、多くの有機合成化学者の興味を引い
たことや、さらに詳細な生物活性の研究を行なうため天
然から大量に得ることが困難である天然プロスタグラン
ジン類を純粋に有機化学的に大量合成することが望まれ
たこと、更に、天然プロスタグランジン類は構造上数多
くの類縁体が合成可能であり、これらのプロスタグラン
ジン類縁体は医薬品開発の面から興味がもたれたことな
どの理由から、数多くの合成研究が行なわれてきた。
【0003】4−ヒドロキシ−1−アルキン類は広汎な
生理活性を有する合成プロスタグランジン類のオメガ側
鎖の原料化合物として有用である。そのなかでも、4−
ヒドロキシ−4−メチル−1−オクチンは有用な合成プ
ロスタグランジンであるミソプロストールのオメガ側鎖
を構成する重要な原料化合物であり、その製造方法は4
−ヒドロキシ−1−アルキン類中、最も多く研究されて
いる。一般的に、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オ
クチンはプロパギルブロミドまたはプロパギルクロリド
と金属マグネシウムよりグリニャール試薬を調製し、2
−ヘキサノンと反応させることによって製造される
(J.Am.Chem.Soc.,93巻,6967
頁,1971年)。しかしながら、プロパギルブロミド
やプロパギルクロリドは自己分解性を有する化合物であ
るため、常時一定の品質が期待できないばかりか、工業
的スケールで大量に使用する場合、自己分解性を抑制す
る安全対策が必要となるなど工業的有利な方法でなかっ
た。
【0004】また、2−メチル−2−ブチルオキシラン
に金属アセチリドあるいは比較的安定で取り扱い容易な
リチウムアセチリド・エチレンジアミン錯体を反応させ
て4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクチンを製造す
る方法がある(US 4,132,738、特開昭62
−175434)。しかしながら、2−メチル−2−ブ
チルオキシランは入手困難であり、一般的には合成を行
なって得なければならない。更に、リチウムアセチリド
・エチレンジアミン錯体は高価なうえ、大量入手が困難
である。それ故、工業的に好ましい製造方法とは言えな
い。
【0005】比較的安価な試薬を使用する条件で4−ヒ
ドロキシ−4−メチル−1−オクチンを製造する方法
(特開平2−279644、特開平2−279645)
も開発されている。2−ヘキサノンと2,3−ジハロゲ
ノ−1−プロペンとを亜鉛及び水の存在下に反応させて
2−ハロゲノ−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オク
テンを製造し、これを適当な塩基で脱ハロゲン化水素反
応を行なうことより、4−ヒドロキシ−4−メチル−1
−オクチンを製造する方法である。しかし、この製造法
は入手可能な原料から2工程を要するうえ、収率(32
〜74%、2工程)も満足できるものではなく、工業的
に好ましいとは言えない。
【0006】従って、本発明が解決しようとする課題
は、上記の従来技術における問題点を解決し、プロスタ
グランジン類の中間体である4−ヒドロキシ−1−アル
キン類を簡単に効率よく、工業的に有利に製造する方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる課題
を解決すべく鋭意研究した結果、プロスタグランジン類
中間体として有用な4−ヒドロキシ−1−アルキン類の
簡単に効率よく、工業的有利に製造する方法を発明する
に至った。
【0008】本発明は下記式(I)
【化5】 (式中、R及びRは酸素原子を含んでいてもよい炭
素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖の飽和又は不飽和炭
化水素基、置換基を含んでいてもよい炭素数3〜8のシ
クロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する
炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖の飽和又は不飽和
炭化水素基、炭素数3〜8のシクロアルキル基を有する
炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖の飽和又は不飽和
炭化水素基、置換基を含んでいてもよいフェニル又はフ
ェノキシ基、置換基を含んでいてもよいフェニル又はフ
ェノキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝
鎖のアルキル基、水素を表す。)で示される4−ヒドロ
キシ−1−アルキン類を下記合成経路(I)に従って製
造する方法である。即ち、本発明によれば、出発原料で
あるプロピンにアルキル金属試薬を加えてプロピンジア
ニオン(II)を生成させ、これとケトン類(III)
を反応させた後、クエンチすることによって4−ヒドロ
キシ−1−アルキン類を1工程で製造できる。
【0009】
【化6】
【0010】
【発明の実施の形態】更に詳しくは、プロピンとR
(Rは低級アルキル基を示し、Mはリチウムもしくは
MgXを表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示される
アルキル金属をテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル
などのエーテル類あるいはペンタン、ヘキサンなどのア
ルカン類あるいはエーテル類とアルカン類の混合溶媒
中、−100〜40℃、好ましくは−80〜30℃で約
1分間〜約6時間反応させて、下記式(II)
【0011】
【化7】 (式中、Mの定義は前述に同じである。)で示されるプ
ロピンジアニオンを生成させて、下記式(III)
【0012】
【化8】 (式中、R及びRの定義は前述に同じである)で示
されるケトン類と−78〜30℃で約1分間〜約6時間
反応させ、飽和塩化アンモニウム水溶液などの酸性水溶
液でクエンチする、の諸段階を特徴とする4−ヒドロキ
シ−1−アルキン類を1工程で製造する方法である。
【0013】式(I)におけるR及びRは前述のと
おりであるが、これらの置換基としては、アルコキシ
基、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル基などが挙げ
られる。具体的な4−ヒドロキシ−1−アルキン類とし
ては、4−ヒドロキシ−4−メチル−オクチン、4−ヒ
ドロキシ−4,6−ジメチルヘプト−5−エン−1−イ
ン、4−ヒドロキシ−4,8−ジメチルノン−7−エン
−1−イン、4−ビニル−4−ヒドロキシ−1−オクチ
ン、6−エチルオキシ−4−ヒドロキシ−4,5,5−
トリメチル−1−ヘキシン、4−ヒドロキシ−4,7−
ジメチルデカ−5,7−ジエン−1−イン、4−ヒドロ
キシ−4−メチル−5−フェニル−1−ペンチン、4−
ヒドロキシ−5−(3−メトキシフェニル)−4−メチ
ル−1−ペンチン、4−ヒドロキシ−4−メチル−4−
フェノキシ−1−ブチン、4−(3−クロロフェノキ
シ)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−ブチン、4−
ヒドロキシ−5−フェニルオキシ−1−ペンチン、4−
ヒドロキシ−5−(3−トリフルオロメチルフェニルオ
キシ)−1−ペンチン、4−ヒドロキシ−4−メチル−
6−(1−シクロペンテン)ヘキサ−5−エン−1−イ
ン、5−シクロペンタン−4−ヒドロキシ−4−メチル
−1−ペンチン、5−(2−クロロシクロペンテン)−
4−ヒドロキシ−メチル−1−ペンチンなどが挙げられ
る。
【0014】本発明で使用されるアルキル金属はメチル
リチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウ
ム、tert−ブチルリチウム、メチルマグネシウムブ
ロマイド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマ
グネシウムブロマイド及びエチルマグネシウムアイオダ
イドが用いられ、好ましくはn−ブチルリチウムが用い
られる。
【0015】本発明で使用されるプロピンはケトン類に
対して0.8〜10当量、好ましくは1〜1.5当量用
いる。
【0016】本発明で使用されるアルキル金属は原料の
プロピンに対し、1.7〜2.5当量、好ましくは1.
9〜2.3当量用いる。
【0017】反応終了後、反応混合物からの4−ヒドロ
キシ−1−アルキン類の取り出しは抽出、分液、ろ過操
作の後、有機層を濃縮または蒸留することによって行な
われるが、場合によりクロマトグラフィーが行なわれ
る。
【0018】本発明による特に適当な例として、4−ヒ
ドロキシ−4−メチル−1−オクチンの製造方法の概要
を合成経路(II)に示す。
【0019】
【化9】
【0020】テトラヒドロフラン中、プロピンに n−
ブチルリチウムを2当量加えて、プロピンジアニオン
(II’)を生成させ、ここに、2−ヘキサノン(II
I’)を加える。反応混合液に飽和塩化アンモニウム水
溶液を加えてクエンチし、4−ヒドロキシ−4−メチル
−1−オクチンを得る。なお、本反応における反応温
度、反応時間などの反応条件については、前記合成経路
(I)に関して示したものと同様である。
【0021】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細
に説明するが、本発明がこれに限定されるものでないこ
とはいうまでもない。
【0022】
【実施例】
〔実施例1〕 4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクチンの製造 窒素雰囲気下、−60℃に冷却した乾燥テトラヒドロフ
ラン(1リットル)にプロピンの42.9g(1.07
mol)を加えて撹拌し、同温にてn−ブチルリチウム
のヘキサン溶液(1.68mol/リットル)を1.2
7リットル(2.14mol)滴下し、2時間撹拌し
た。反応混合物を−60℃まで冷却し、ここに、2−ヘ
キサノンの102g(1.02mol)の乾燥テトラヒ
ドロフラン(300ml)溶液を滴下した後、1時間撹
拌した。ここへ、飽和塩化アンモニウム水溶液(100
ml)を滴下してクエンチし、更に水(2.5リット
ル)を加え、ヘキサン(500ml)で2回抽出した。
合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去して粗生成物を得
た。粗生成物を減圧蒸留にて精製し、4−ヒドロキシ−
4−メチル−1−オクチンの114g(収率80%)を
無色油状物として得た;沸点95℃/25mmHg。
【0023】IR(薄膜):νMAX=3400cm
−1,3300,2110,620。H NMR(9
0MHz,CDCl):δ=0.90(br.t,J
=6.8,3H),1.09−1.72(m,6H),
1.27(s,3H),1.89(br.s,1H,O
H),2.09(t,J=3.2Hz,1H),2.3
4(d,J=2.5Hz,2H)。
【0024】〔実施例2〕 4−ヒドロキシ−4,6−ジメチルヘプト−5−エン−
1−インの製造 窒素雰囲気下、−70℃に冷却した乾燥テトラヒドロフ
ラン(100ml)にプロピンの4.56g(114m
mol)を加えて撹拌し、同温にて n−ブチルリチウ
ムのヘキサン溶液(1.70mol/リットル)を13
4ml(228mmol)滴下し、1時間20分撹拌し
た。反応混合物を−70℃まで冷却し、ここに、メシチ
ルオキシドの10.3g(105mmol)の乾燥テト
ラヒドロフラン(40ml)溶液を滴下した後、1時間
30分撹拌した。−70℃まで冷却し、酢酸/メタノー
ル(1:1)の28mlを滴下してクエンチし、室温に
したこの混合物を水(300ml)に投入し、酢酸エチ
ル(100ml)で2回抽出した。有機相を合わせ、
飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
減圧下に溶媒を留去して粗生成物を得た。粗生成物を減
圧蒸留にて精製し、4−ヒドロキシ−4,6−ジメチル
ヘプト−5−エン−1−インの11.1g(収率77
%)を無色油状物として得た;沸点76℃/20mmH
g。
【0025】IR(薄膜):νMAX=3425cm
−1,3300,2110,815,630。 H NMR(90MHz,CDCl):δ=1.4
2(s,3H),1.72(d,J=1.8 Hz,3
H),1.86(d,J=1.8 Hz,3H),2.
05(t,J=2.9Hz,1H),2.14(br.
s,1H),2.37−2.52(m,2H),5.2
6−5.40(m,1H)。
【0026】〔実施例3〕 4−ヒドロキシ−4,8−ジメチルノン−7−エン−1
−インの製造 窒素雰囲気下、−70℃に冷却した乾燥テトラヒドロフ
ラン(100ml)にプロピンの4.02g(100m
mol)を加えて撹拌し、同温にて n−ブチルリチウ
ムのヘキサン溶液(1.70mol/リットル)を11
7ml(200mmol)滴下し、2時間撹拌した。反
応混合物を−70℃まで冷却し、ここに、2−メチル−
2−ヘプテン−6−オンの11.4g(90mmol)
の乾燥テトラヒドロフラン(40ml)溶液を滴下した
後、1時間30分撹拌した。−70℃まで冷却し、酢酸
/メタノール(1:1)の25mlを滴下してクエンチ
し、室温にしたこの混合物を水(300ml)に投入
し、酢酸エチル(200ml、100ml)で2回抽出
した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸
マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去して粗生成
物を得た。粗生成物を減圧蒸留にて精製し、4−ヒドロ
キシ−4,8−ジメチルノン−7−エン−1−インの
9.1g(収率61%)を無色油状物として得た;沸点
110℃/22mmHg。
【0027】IR(薄膜):νMAX=3410cm
−1,3300,2120,835,630。 H NMR(90MHz,CDCl):δ=1.2
8(s,3H),1.40−1.84(m,8H),
1.84−2.24(m,4H),2.37(d,J=
3.6Hz,2H),4.98−5.28(m,1
H)。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、合成プロスタグランジ
ン類の製造において重要な中間体である4−ヒドロキシ
−1−アルキン類を1工程で、工業的有利に且つ安全に
製造できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I) 【化1】 (式中、R及びRは酸素原子を含んでいてもよい炭
    素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖の飽和又は不飽和炭
    化水素基、置換基を含んでいてもよい炭素数3〜8のシ
    クロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する
    炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖の飽和又は不飽和
    炭化水素基、炭素数3〜8のシクロアルキル基を有する
    炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖の飽和又は不飽和
    炭化水素基、置換基を含んでいてもよいフェニル又はフ
    ェノキシ基、置換基を含んでいてもよいフェニル又はフ
    ェノキシ基を有する炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝
    鎖のアルキル基、水素を表す。)で示される4−ヒドロ
    キシ−1−アルキン類を製造する方法であって、 プロピンとRM(Rは低級アルキル基を示し、Mは
    リチウムもしくはMgXを表し、Xはハロゲン原子を表
    す。)で示されるアルキル金属を反応させて生成され
    る、下記式(II) 【化2】 で示されるプロピンジアニオンを、下記式(III) 【化3】 (式中、R及びRの定義は前述に同じである)で示
    されるケトン類と反応させ、酸性水溶液でクエンチして
    なる、前記4−ヒドロキシ−1−アルキン類の製造方
    法。
  2. 【請求項2】RMがn−ブチルリチウムであり、式
    (III)の 【化4】 が2−ヘキサノンであることを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
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