JPH10244530A5 - - Google Patents

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JPH10244530A5
JPH10244530A5 JP1997052878A JP5287897A JPH10244530A5 JP H10244530 A5 JPH10244530 A5 JP H10244530A5 JP 1997052878 A JP1997052878 A JP 1997052878A JP 5287897 A JP5287897 A JP 5287897A JP H10244530 A5 JPH10244530 A5 JP H10244530A5
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Description

【発明の名称】湿式回転ドリル装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなり液化状態でエアゾール缶に封入された冷却剤をドリルヘッドの先端に設けたドリルビットから射出供給しながら穿孔を行う湿式回転ドリル装置において、
ドリルガイド機構に支持されてドリルビットの穿孔動作に伴って移動動作されるベース部材と、上記ドリルヘッドが底面部に設けたガイド孔を貫通されて上記ドリルビットを内部に臨ませるとともに外周壁に粉塵排出口が設けられて上記ベース部材に対して位置決め手段を介して組み付けられる全体略カップ状の防塵カバー部材と、
上記防塵カバー部材の底面部の背面に取り付けられることによって上記ガイド孔の周囲のシーリングを行うリング状の弾性シール部材と、
上記ベース部材に組み付けられ上記ドリルビットの穿孔動作によっ穿孔部から発生して上記防塵カバー部材の内部に流入するとともに上記粉塵排出口を介して流出するゲル状粉塵を貯える粉塵収納容器とを備え、
上記防塵カバー部材には、使用されるドリルヘッドの外径に適合する内径の中心孔を有する弾性シール部材が取り付けられることを特徴とする湿式回転ドリル装置。
【請求項2】一端部が上記粉塵カバー部材の粉塵排出口に取り付けられるとともに他端部が上記粉塵収納容器の内部に挿通された筒状の粉塵排出管部材を備え、この粉塵排出管部材には、上記粉塵収納容器の蓋体を上記ベース部材の取付面に圧着させて連結部の密閉性を保持するコイルバネが装着されたことを特徴とする請求項1に記載の湿式回転ドリル装置。
【請求項3】上記防塵カバー部材には、その開口部にアタッチメント部材が装着され、このアタッチメント部材は、上記防塵カバー部材の開口部に装着された弾性材によってリング状に成形され第1のアタッチメント部材と、この第1のアタッチメント部材よりも柔らかな弾性材によってリング状に成形されその外周部に装着されて穿孔部を囲んで圧着される第2のアタッチメント部材とによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の湿式回転ドリル装置。
【請求項4】液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなり液化状態でエアゾール缶に封入された冷却剤をドリルヘッドを構成するドリルビットの先端部から射出供給しながら穿孔を行う湿式回転ドリル装置において、
ハウジング内に回転自在に軸装され、一端部が駆動部に連結されかつ他端部に上記ドリルヘッドを構成するビット支持部材をねじ止めすることにより、上記ドリルヘッドを回転駆動するとともに内部に設けられた冷却剤供給空間部から冷却剤を供給する回転軸部材と、
上記ハウジングに配設され、上記回転軸部材に形成した係合部に対して係合位置と非係合位置とに切換位置されるロックレバーを有する回転軸ロック機構とを備え、
上記回転軸ロック機構によって、上記ロックレバーを上記係合部に相対係合させて上記回転軸部材をロックした状態で、上記ドリルヘッドの着脱を行うように構成したことを特徴とする湿式回転ドリル装置。
【請求項5】液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなり液化状態でエアゾール缶に封入された冷却剤をドリルヘッドを構成するドリルビットの先端部から射出供給しながら穿孔を行う湿式回転ドリル装置において、
上記ドリルビットの外周部を覆う略カップ状を呈する防塵カバー部材を有して穿孔動作に伴って穿孔部から発生するゲル状粉塵の飛散や垂れ落ちを防止する粉塵飛散防止機構と、
上記粉塵飛散防止機構の上記防塵カバー部材を支持するベース部材とドリル本体部のハウジングとの間に配設され、穿孔動作に伴って上記防塵カバー部材が穿孔部に対して密着習性を付与しながらスライド動作するように上記粉塵飛散防止機構を支持するドリルガイド機構とを備え、
上記ドリルガイド機構には、スライド動作する部位を被覆する防塵用のカバー部材が設けられたことを特徴とする湿式回転ドリル装置。
【請求項6】上記ドリルガイド機構は、一端部を上記ハウジングに片持ち支持した筒状支持部材と、この筒状支持部材内に一端側がスライド自在に挿通支持されるとともに先端開口部から露呈された他端側の先端部が上記ブラケット部材に固定されたガイド軸部材と、上記ブラケット部材を先端側へと付勢して上記飛散防止カバー部材の穿孔部に対する密着習性を付与する弾性部材と、上記筒状支持部材の外径よりもやや大径とされた内径の軸孔を有し一端部が上記ベース部材に固定された筒状のカバー部材とから構成され、
上記カバー部材は、軸孔内に上記ガイド軸部材が挿通されるとともに少なくともガイド軸部材の上記筒状支持部材の先端開口部から突出露呈される部位を被覆するに足る軸長を有して、上記ゲル状粉塵が上記ガイド軸部材に付着することを抑制するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の湿式回転ドリル装置。
【請求項7】液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなり液化状態でエアゾール缶に封入された冷却剤をドリルヘッドを構成するドリルビットの先端部から射出供給しながら穿孔を行う湿式回転ドリル装置において、
上記ドリルビットの外周部を覆う略カップ状を呈する防塵カバー部材を有して穿孔動作に伴って穿孔部から発生するゲル状粉塵の飛散を防止する粉塵飛散防止機構と、
上記粉塵飛散防止機構の上記防塵カバー部材を支持するベース部材とドリル本体部のハウジングとの間に配設され、穿孔動作に伴って上記防塵カバー部材が穿孔部に対して密着習性を付与しながらスライド動作するように上記粉塵飛散防止機構を支持するドリルガイド機構とを備え、
上記ドリルガイド機構は、上記粉塵飛散防止機構の防塵カバー部材が上記ドリルビットを外方へと露呈させた位置において、ガイドロック機構によって係止保持されることを特徴とする湿式回転ドリル装置。
【請求項8】上記ドリルガイド機構は、一端部を上記ハウジングに片持ち支持した筒状支持部材と、この筒状支持部材内に一端側がスライド自在に挿通支持されるとともに先端開口部から露呈された他端側の先端部が上記ベース部材に固定されたガイド軸部材と、上記ベース部材を先端側へと付勢して上記防塵カバー部材の穿孔部に対する密着習性を付与する弾性部材とを有し、
上記ガイドロック機構は、上記筒状支持部材の軸線に沿った後方位置の上記ハウジングに回動自在に支持されて配設されたロックレバーと、このロックレバーを切換動作させるカム手段とを有し、
上記ロックレバーは、上記カム手段によって少なくとも、その係止部が上記ガイド軸部材のスライド動作領域内に臨まされてこのガイド軸部材のスライド動作を不能とさせる第1の位置と、上記ガイド軸部材のスライド動作領域内から後退されてそのスライド動作を可能とさせる第2の位置とに切換操作されることを特徴とする請求項7に記載の湿式回転ドリル装置。
【請求項9】上記ガイド軸部材には、その外周部に係合部が形成され、この係合部に上記カム手段により第3の位置に切換動作された上記ロックレバーの係止部が相対係合することによって、上記粉塵飛散防止機構の防塵カバー部材が上記ドリルビットを露呈させたスライド動作位置で係止保持されることを特徴とする請求項7に記載の湿式回転ドリル装置。
【請求項10】液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなり液化状態でエアゾール缶に封入された冷却剤をドリルヘッドを構成するドリルビットの先端部から射出供給しながら穿孔を行う湿式回転ドリル装置において、
上記ドリルビットの外周部を覆う略カップ状を呈する防塵カバー部材を有して穿孔動作に伴って穿孔部から発生するゲル状粉塵の飛散を防止する粉塵飛散防止機構と、
上記粉塵飛散防止機構の上記防塵カバー部材を支持するベース部材と、このベース部材を軸方向に対してスライド自在に支持するガイド軸部材と、上記ベース部材を付勢して上記防塵カバー部材に対して穿孔部への密着習性を付与する弾性部材と、上記ガイド軸部材をスライド自在な状態と係止状態とに設定するカム手段とを有するドリルガイド機構と、
上記ドリルガイド機構の上記ベース部材に対して上記ドリルビットを中心とした対象位置に付設され、軸方向に対してスライド自在な少なくとも一対の位置決めピンを有するドリルビット位置決め機構とを備え、
上記ドリルガイド機構のガイド軸部材を係止した状態において、上記位置決めピンの先端を穿孔面に突き当てて上記ドリルビットの位置決めを行いながら穿孔を行うことを特徴とする湿式回転ドリル装置。
【請求項11】上記ドリルガイド機構は、上記位置決めピンがガイド筒部材内にスライド自在に軸装されるとともに、このガイド筒部材内に上記位置決めピンを先端側に付勢する弾性部材が組み込まれてなることを特徴とする請求項10に記載の湿式回転ドリル装置。
【請求項12】上記ガイド筒部材内に組み込まれた弾性部材は、上記ドリルガイド機構に設けられて上記防塵カバー部材に対して穿孔部への密着習性を付与する弾性部材よりも大きな弾性力を上記位置決めピンに作用させることを特徴とする請求項10に記載の湿式回転ドリル装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドリルビットの先端部から液化状態の冷却剤を供給しながら建築物の壁面や天井面等に補修孔等を穿孔するに用いて好適な湿式回転ドリル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、コンクリート建造物においては、壁面や天井等に発生したクラックやタイルの剥離、或いは外装壁の浮き上がり等の補修を行う場合には、これらの発生箇所に補修孔を穿孔し、この補修孔に接着剤を充填したりアンカーピンを打ち込んだりしている。また、コンクリート建造物においては、長期間に亘って壁面や天井等を良好な状態に維持するために、その防水処理が必要不可欠である。特に、壁面等に発生した亀裂は、雨水等を内部に浸入させてコンクリートを浸蝕させてしまう。また、この雨水等は、冬期には内部で凍結、溶解を繰り返して亀裂を拡大させて最悪の場合には内部の鉄骨や鉄筋までも腐蝕、破壊させてしまう。
【0003】
上述した補修孔は、一般に振動ドリル装置や回転ドリル装置が用いられて壁面や天井等の所定箇所に穿孔される。振動ドリル装置は、ドリルの冷却媒体を不要とすることにより手軽に補修孔の穿孔作業を実施することができるといった特徴を有している。しかしながら、この振動ドリル装置は、穿孔作業に際してドリルの振動による騒音が大きく、例えばマンションやホテル、病院等の補修工事で使用するには問題があった。また、振動ドリル装置は、穿孔位置やその孔径等を誤った状態で使用した場合には、補修すべき亀裂を無意味に拡げてしまうといった問題を生じさせる。
【0004】
また、最近では、既存の建物等を対象として耐震工事が盛んに行われるようになっているが、この耐震工事には、壁面等に多数個のアンカーボルトが打ち込まれ、このアンカーボルトに対して補強用の壁材等が組み付けられる。この耐震工事に際しても、ドリル装置によって壁面等にアンカーボルトの打込み用の孔が穿孔される。この耐震工事は、一般に執務中の室内を簡易な防塵シートで囲った作業場所で行われることが多く、工事に際しての騒音、防塵等の対策は極めて重要になっている。
【0005】
このため、最近では上述した補修工事等には、一般にダイヤモンドビットを装着した回転ドリル装置が用いられている。この回転ドリル装置においては、作業効率の向上或いは騒音の低減を図るために、ドリルビットの先端から穿孔箇所に例えば冷却水や空気等の冷却媒体が供給されて穿孔作業が行われる。冷却水は、一般にドリルビットを効率的に冷却するとともに穿設した補修孔から生じる粉塵を除去するために、圧搾空気を利用してドリルビットから霧状に噴出される。
【0006】
ところで、かかる回転ドリル装置は、ドリルビットに対して冷却用の水と圧縮空気とを供給するため、それぞれの供給源が必要とされていた。したがって、この回転ドリル装置は、穿孔作業時に、圧縮空気を供給するためのコンプレッサ、冷却水を貯水した水タンク或いはこれらを連結するホース等の諸設備が必要とされていた。これらの諸設備は、全体の総重量が約40Kg以上にもなりその取り扱いが極めて不便であるといった問題点があった。
【0007】
このため、従来の穿孔作業は、コンプレッサと水タンクとを最も効率のよい場所に設置した後、これらコンプレッサと水タンクからホースを回転ドリル装置まで引くといった段取り作業が必要とされる。作業場所は、重量や外形が大きなこれらコンプレッサと水タンクの制約を受けるため、補修作業に支障を来すことがあった。
【0008】
また、ホースが接続された回転ドリル装置は、重量も重くなるとともに引回し操作が面倒であることから、高所での作業性が悪いといった問題点があった。さらに、従来の回転ドリル装置は、上述した面倒な段取り作業等を必要とすることから比較的簡易な作業を行う場合には不向きであった。
【0009】
さらに、上述したコンプレッサ等は、極めて高価で有るために多数台を保有することが難しく、大型の現場であっても少ない台数によって対応しなければならない。このため、補修作業は、施工日数がかかって工事費用が莫大となるといった問題点があった。さらに、従来の回転ドリル装置においては、例えば防水工事に際して、穿孔した補修孔に防水剤を充填するといった場合に、補修孔の内部に残った冷却水が乾くまでの時間を必要とするため、工期が長くなるといった問題点があった。また、従来の回転ドリル装置においては、大量の冷却水を使用することから、天井等に補修孔を穿孔する場合等に用いることが困難であるといった問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
出願人は、先に特願平8−136654号「回転ドリル装置及び回転ドリル装置用アタッチメント装置」によって、上述した従来の回転ドリル装置の問題点を解決した新規な湿式回転ドリル装置を提供した。この湿式回転ドリル装置100は、図13に示すように、駆動部101と、ドリル本体部102と、冷却剤供給部103とから構成される。この湿式回転ドリル装置100は、冷却媒体として水等の液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなり、液化状態で冷却部103のエアゾール缶104に封入した冷却剤が用いられる。湿式回転ドリル装置100は、冷却剤供給部103からホース103aを介してドリル本体部102に供給された冷却剤を、ドリルビット105の先端部から壁面等の穿孔部分に噴射供給しながら補修孔等を穿孔する。
【0011】
駆動部101は、市販の回転ドリル装置と同様に構成され、ハウジング106には図示しないが駆動モータが内蔵されるとともにその回転軸にチャッキング機構が設けられている。ドリル本体部102は、電源スイッチ107を操作することにより駆動モータに電源が投入されて回転軸が駆動される。チャッキング機構は、周知のように回転軸の先端部に設けられた複数のチャッキングレバーによって構成される。チャッキング機構は、チャッキングキーの操作によってこれらチャッキングレバーが収斂・拡張動作して、ドリル本体部102を回転軸に着脱するようにする。
【0012】
ドリル本体部102は、詳細を省略するがハウジング106と、このハウジング106の内部に図示しない軸受によって回転自在に収納された回転軸部材108と、この回転軸部材108に対して軸方向にスライド自在でありかつ一体的に回転するとともに先端部にドリルビット105が交換自在に装着されたドリルヘッド109等を備えて構成される。また、ドリル本体部102には、ドリルガイド機構110及びドリルヘッド109の先端部に配設された粉塵飛散防止機構111等を備えて構成される。粉塵飛散防止機構111は、壁面等の穿孔部に密着される粉塵カバー部材112と、穿孔部から発生したゲル状粉塵を収納する粉塵収納容器113とが備えられている。
【0013】
さらに、ドリル本体部102には、詳細を省略するが、回転軸部材108とドリルヘッド109とを互いに同軸上に位置させかつ一体的に回転するように連結する軸受機構と、この軸受機構を液密に保持するオイルシール機構或いは自動弁機構等が設けられている。回転軸部材108とドリルヘッド109には、冷却剤供給部103から供給された冷却剤をドリルビット105の先端部まで導く冷却剤流路が形成されている。冷却剤流路は、穿孔動作に伴ってドリルビット105が壁面等に押し付けられると動作する自動弁機構によって開閉制御される。ドリル本体部102は、ドリルビット105が壁面に押し付けられてドリルヘッド109がスライド動作することにより、このドリルヘッド109を介して自動弁機構が動作されて冷却剤流路が開放される。したがって、ドリル本体部102は、冷却剤供給部103からドリル本体部102の回転軸部材108へと供給された冷却剤が、ドリルヘッド109を介してドリルビット105の先端から穿孔内に噴射される。
【0014】
湿式回転ドリル装置100は、壁面に補修孔等の穿孔作業を行うに際して、作業者によって駆動部101に設けた手持ち部114及びハウジング106に設けたハンドル部材115とを把持される。湿式回転ドリル装置100は、これによって穿孔位置に対してドリルビット105を安定した状態で突き当てて穿孔作業が行われるようにする。
【0015】
以上のように構成された湿式回転ドリル装置100によれば、冷却水を貯蔵するタンクやホース或いは圧搾空気を供給するためのコンプレッサが不要とされ、これら装置を作業場に設置する等の段取り時間の短縮が図られるとともに、手軽な作業と穿孔内の素早い乾燥とによって作業時間が大幅に短縮されるといった特徴を有している。また、湿式回転ドリル装置100は、極めて廉価であるとともに小型、軽量化が図られて取り扱いが極めて簡便であるといった特徴を有している。さらに、湿式回転ドリル装置100は、穿孔内に供給される冷却剤も少量でありかつこの冷却剤と削り滓とが混合されたゲル状粉塵の処理が簡便でありかつ作業場を汚すことが無いので、室内作業に好適であるといった種々の特徴を有している。
【0016】
ところで、湿式回転ドリル装置100は、上述した特徴を有しているが、実際に現場で使用したところ以下のような問題点があることが判明した。すなわち、湿式回転ドリル装置100は、粉塵カバー部材112の底面部をドリルヘッド109が貫通することから、穿孔部から発生してこの粉塵カバー部材112の内部に流れたゲル状粉塵がわずかながら軸孔から漏出することがあった。ゲル状粉塵は、粉塵カバー部材112から落下して床面等を汚すおそれがある。
【0017】
また、湿式回転ドリル装置100には、粉塵カバー部材112の先端開口部に壁面等との密着性を向上させるために弾性変形自在なアタッチメント部材が装着されている。このアタッチメント部材は、長期間の使用に伴ってゲル状粉塵等が付着して劣化し、壁面等に対する密着特性が悪くなる。ゲル状粉塵は、アタッチメント部材と壁面等との間に生じた隙間から漏出して床面等を汚すことがある。
【0018】
さらに、湿式回転ドリル装置100は、孔径を異にする補修孔等の穿孔を行う場合や長期間の使用による磨耗によってドリルヘッド109の交換が行われる。湿式回転ドリル装置100においては、その先端部の周囲を覆うようにして粉塵飛散防止機構111が付設されていることから、ドリルヘッド109の着脱操作が面倒であるといった問題があった。また、湿式回転ドリル装置100は、このドリルヘッド109の交換操作に際して、フリーな状態の回転軸部材108をロック状態に保持して、ドリルヘッド109を取り外す操作が必要となる。この操作は、例えば比較的重量を有する湿式回転ドリル装置100を横に寝かせた状態で、回転軸部材108側をスパナ等によって押さえるとともに、別のスパナを用いてドリルヘッド109を回すことによって行われる。したがって、湿式回転ドリル装置100は、一般の湿式回転ドリル装置と同様に、ドリルヘッド109の交換操作が面倒であるといった問題があった。
【0019】
ところで、湿式回転ドリル装置100は、手持ち部114とハンドル部材115とを把持してドリルビット105の先端から冷却剤を穿孔部に噴射供給しながら穿孔が行われる。このドリルビット105は、冷却剤を噴射するためノズル孔を有する円筒形を呈しかつ先端面が平坦に形成されている。このため、湿式回転ドリル装置100においては、最初に傾けた状態で壁面等にあてがってドリルビット105の外周縁によって壁面等の穿孔部分を削り込んでセンタ出しを行いながら、次第に全体を垂直状態としながら穿孔を行うようにしていた。しかしながら、この方法も、大きな内径の補修孔等を穿孔するために、大きな外径のドリルビット105を用いる場合には、このドリルビット105が壁面で滑ってしまうためセンタ出しがうまくいかないといった問題点がある。
【0020】
したがって、本発明は、上述した先願湿式回転ドリル装置において、現場での使用から生じた種々の問題点を解決してさらに使い勝手の向上を図った湿式回転ドリル装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成した本発明に係る湿式回転ドリル装置は、液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなる液化状態の冷却剤がエアゾール缶に封入され、この冷却剤をドリルヘッドの先端に設けたドリルビットから噴射供給して壁面等に所定の孔を穿孔する。湿式回転ドリル装置は、ドリルガイド機構に支持されてドリルビットの穿孔動作に伴って移動動作されるベース部材と、底面部に設けたガイド孔を貫通してドリルビットが内部に臨ませられるとともにその外周壁に粉塵排出口が設けられベース部材に対して位置決め手段を介して組み付けられる全体略カップ状の防塵カバー部材と、この防塵止カバー部材の底面部の背面に取り付けられることによってガイド孔の周囲のシーリングを行うリング状の弾性シール部材と、ドリルビットの穿孔動作によって壁面等の穿孔部から発生して防塵カバー部材の内部に流入するとともに粉塵排出口を介して流出するゲル状粉塵を貯える粉塵収納容器とを備えて構成される。
【0022】
以上のように構成された本発明に係る湿式回転ドリル装置においては、内径を異にする補修孔等を穿孔するに際して交換されるドリルヘッドに対応して、粉塵飛散防止機構を構成する防塵カバー部材等の全体の交換を行うことなくドリルヘッドの外径に適合する内径を有するシール部材のみを交換することによって粉塵飛散防止機構の密閉性が保持される。したがって、湿式回転ドリル装置は、取り扱いが簡便化されるとともに各種の補修孔等の穿孔作業が可能となる。
【0023】
また、本発明に係る湿式回転ドリル装置は、ハウジング内に回転自在に軸装されて一端部が駆動部に連結されかつ他端部にドリルヘッドを構成するビット支持部材をねじ止めすることによりドリルヘッドを回転駆動するとともに内部に設けられた冷却剤供給空間部から冷却剤を供給する回転軸部材と、ハウジングに配設されて回転軸部材に形成した係合部と相対係合可能でありかつ通常はこの係合部との非係合位置に保持されるロックレバーを有する回転軸ロック機構を備える。湿式回転ドリル装置は、回転軸ロック機構を操作してロックレバーを係合部に相対係合させることによって回転軸部材がロック状態とされることから、ドリルヘッドの交換に際して、スパナ等によって回転軸部材側をロックする操作が不要とされ、ドリルヘッド側のみをスパナ等で挟んで回転させてその着脱操作を行うことが可能とされ作業性の大幅な向上が図られる。
【0024】
さらに、本発明に係る湿式回転ドリル装置は、ドリルビットの外周部を覆う略カップ状を呈する防塵カバー部材を有して穿孔動作に伴って穿孔部から発生するゲル状粉塵等の飛散を防止する粉塵飛散防止機構と、防塵カバー部材を支持するベース部材とドリル本体部のハウジングとの間に配設され穿孔動作に伴って防塵カバー部材が穿孔部に対して密着習性を付与しながらスライド動作するように粉塵飛散防止機構を支持するドリルガイド機構とを備える。このドリルガイド機構には、スライド動作する部位を被覆する防塵用のカバー部材が設けられて構成される。
【0025】
以上のように構成された湿式回転ドリル装置によれば、穿孔部から発生する粉塵等がドリルガイド機構のスライド部への付着を抑制されることから、長期間に亘って使用した場合においても円滑な動作が保持される。防塵用のカバー部材は、単純で小型に構成することが可能であることから、装置を大型化することなく操作性も向上する。
【0026】
さらにまた、本発明に係る湿式回転ドリル装置は、ドリルビットの外周部を覆う略カップ状を呈する防塵カバー部材を有して穿孔動作に伴って穿孔部から発生するゲル状粉塵等の飛散を防止する粉塵飛散防止機構と、防塵カバー部材を支持するベース部材とドリル本体部のハウジングとの間に配設され穿孔動作に伴って防塵カバー部材が穿孔部に対して密着習性を付与しながらスライド動作するように粉塵飛散防止機構を支持するドリルガイド機構とを備えて構成される。このドリルガイド機構には、粉塵飛散防止機構の防塵カバー部材がドリルビットを外方へと露呈させた位置において、ガイドロック機構によって係止保持されるように構成される。
【0027】
以上のように構成された湿式回転ドリル装置によれば、ドリルヘッドの交換に際して、先端部に付設された粉塵飛散防止機構が邪魔になることは無い。したがって、湿式回転ドリル装置は、ドリルヘッドやドリルビットの交換或いはこれらの清掃が極めて簡易に行われ、作業性の大幅な向上が図られる。
【0028】
さらにまた、本発明に係る湿式回転ドリル装置は、粉塵飛散防止機構の防塵カバー部材を支持するベース部材と、このベース部材を軸方向に対してスライド自在に支持するガイド軸部材と、ベース部材を付勢して防塵カバー部材に対して穿孔部への密着習性を付与する弾性部材と、ガイド軸部材をスライド自在な状態と係止状態とに設定するカム手段とを有するドリルガイド機構を備える。また、湿式回転ドリル装置は、ドリルガイド機構のベース部材に対してドリルビットを中心とした対象位置に付設され、軸方向に対してスライド自在な少なくとも一対の位置決めピンを有するドリルビット位置決め機構を備える。
【0029】
以上のように構成された湿式回転ドリル装置によれば、ドリルガイド機構のガイド軸部材を係止した状態において位置決めピンの先端を穿孔面に突き当てることによって、ドリルビットの位置決めが行われる。したがって、湿式回転ドリル装置は、ドリルビットを傾けてその外周縁で穿孔部をこじってセンタ出しを行うといった面倒な操作が不要とされ、大径のドリルビットを用いた場合においても正確な穿孔を行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。湿式回転ドリル装置1は、基本的な構成を上述した先願湿式回転ドリル装置100と同様とし、図1及び図2に示すように、詳細を省略する駆動部2と、ドリル本体部5と、図示しない冷却剤供給部とから構成される。湿式回転ドリル装置1は、水を基材として、例えばメタノールやエタノール或いは各種エステル材、ジメチルエーテル等の低沸点の有機溶剤及び/又はジメチルエーテル等の可溶性液化ガス等からなる補助剤を混合してなる液体が冷却剤122として用いられる。
【0031】
湿式回転ドリル装置1は、この冷却剤122を封入する複数本のエアゾール缶と、これらエアゾール缶を装填した容器とによって冷却剤供給部が構成され、この冷却剤供給部からドリル本体部5へとホース等を介して冷却剤122が供給される。冷却剤供給部は、容器に設けたハーネス等を利用して例えば作業者の腰等に吊り下げられることから、ホース等の引き回しは不要とされ作業性の向上が図られている。
【0032】
湿式回転ドリル装置1は、例えば図1に示すように壁面120の穿孔部に冷却剤122を噴射供給しながら補修孔121の穿孔作業を行う。冷却剤122は、補修孔121から噴射圧によって発生した切削粉等を外部へと排出するとともに、液体と低沸点の有機溶剤の気化熱とによって後述するドリルヘッド10の先端部に装着されたドリルビット11を効率的に冷却する。切削粉等は、冷却剤122が混合されてゲル状の状態のゲル状粉塵123として排出される。
【0033】
駆動部2は、市販の回転ドリル装置と同様に構成され、筐体の一方側に手持ち部が設けられるとともにこの手持ち部に電源スイッチが配設されている。また、駆動部2には、筐体の内部に図示しない駆動モータや回転軸3、及び周知のチャッキング機構4等が内蔵されている。チャッキング機構4は、詳細を省略するが、回転軸3の先端部に設けられた複数個のチャッキングレバーを備えており、これらチャッキングレバーが専用のチャッキングレンチを用いて収斂・拡張動作される。湿式回転ドリル装置1は、これによって後述するドリル本体部5の回転軸部材7が駆動部2に着脱される。
【0034】
ドリル本体部5は、図1乃至図4に示すように、ハウジング6と、回転軸部材7と、スリーブ部材8と、スライド軸部材9と、先端部にドリルビット11が装着されたドリルヘッド10及び冷却剤逆流防止弁部材12とを備える。また、ドリル本体部5には、ドリルヘッド部10の先端部に取り付けられた粉塵飛散防止機構13と、この粉塵飛散防止機構13を軸方向にスライド自在に支持するドリルガイド機構14とが設けられている。さらに、ドリル本体部5には、ドリルヘッド10やドリルビット11を交換等する際に、回転軸部材7をロック状態とする回転軸ロック機構15と、ドリルガイド機構14をロック状態とするガイドロック機構16(図9及び図11参照)とが設けられている。粉塵飛散防止機構13には、穿孔時にドリルビット11を補修孔121を穿孔する位置に位置決めするためのビット位置決め機構17が付設されている。
【0035】
ハウジング6は、軽量化と充分な機械的剛性を有するようにするために例えばアルミダイキャストによって成形され、図4乃至図6に示すように、その外周部に一端を固定した連結ブラケット部材18を介して駆動部2に対してしっかりと連結される。ハウジング6は、詳細を図6に示すように両側面にそれぞれ開口する軸孔19がその内部に設けられることによって全体略々筒状を呈している。軸孔19は、その基端側が細径の細径軸孔部19aとされるとともにやや大径の中間軸孔部19bを介して先端側が太径の拡径軸孔部19cとされた段付き軸孔として構成されている。
【0036】
ハウジング6には、細径軸孔部19aに連通する冷却剤供給流路20が設けられるとともに、冷却剤供給部から供給された冷却剤をこの冷却剤供給流路20を介して細径軸孔部19a内へと供給する連結管部材21が密閉構造によって組み付けられている。連結管部材21には、図4乃至図6に示すように、その内部に冷却剤供給流路20に連通する細径のノズル孔21aが設けられるとともに冷却剤122に混入した不純物等を除去するフィルタ21bが装着されている。湿式回転ドリル装置1は、ノズル孔21aを介して冷却剤供給流路20内に冷却剤122を噴射供給することから、回転軸部材7の回転に伴う摩擦熱で温度が上昇する軸受各部の冷却が行われるようにしている。
【0037】
また、ハウジング6には、後述するように壁面120等に穿孔を行う際に、駆動部側の手持ち部とともに把持されるハンドル部材22が設けられている。このハンドル部材22は、後述するように湿式回転ドリル装置1に添付される専用工具81の収納部を兼用している。
【0038】
回転軸部材7は、ハウジング6の細径軸孔部19aとほぼ同径の細径軸部7aと、中間軸孔部19bとほぼ同径の中間軸部7b及び拡径軸孔部19cとほぼ同径の拡径軸部7cとからなる段付き軸体として構成される。この回転軸部材7には、その内部に細径軸部7aの一部を基端として中間軸部7b及び拡径軸孔部19cを連通して先端側面に開口する有底軸穴23が形成されている。この有底軸穴23は、細径軸部7aに対応する部分が細径とされて後述するように冷却剤供給空間部23aを構成するとともに中間軸部7bに対応する部分から先端側が太径とされてスリーブ部材8の基端部が嵌合される嵌合軸孔部23bを構成する。
【0039】
また、回転軸部材7には、細径軸部7aの外周部に冷却剤供給空間部23aと連通する冷却剤供給口7dが開設されている。この冷却剤供給口7dは、ハウジング6に設けた冷却剤供給流路20と連通されており、連結管部材21を介して供給される冷却剤122を冷却剤供給空間部23a内へと導く。
【0040】
回転軸部材7は、図6に示すようにハウジング6の軸穴23内に、一対のベアリング軸受24、25によって回転自在に支持される。第1のベアリング軸受24は、ハウジング6の細径軸孔部19aの内壁に配設されて回転軸部材7の細径軸部7aを回転自在に支持する。第2のベアリング軸受25は、ハウジング6の中間軸孔部19bの内壁に配設されて回転軸部材7の中間軸部7bを回転自在に支持する。したがって、第1のベアリング軸受24は、第2のベアリング軸受25に対して小型のものが用いられている。
【0041】
湿式回転ドリル装置1は、このように軸方向に離間した第1のベアリング軸受24と第2のベアリング軸受25とによって回転軸部材7を回転自在に支持することから、この回転軸部材7が安定した状態で回転動作されるようにしている。また、湿式回転ドリル装置1は、第1のベアリング軸受24と第2のベアリング軸受25とを回転軸部材7の細径軸部7aと中間軸部7bとに対応して配設したことから、上述した先願湿式回転ドリル装置100と比較して細径軸部7a、換言すれば回転軸部材7の軸長の短縮化が図られ、装置全体が小型化されて構成される。
【0042】
回転軸部材7には、内部に形成した冷却剤供給空間部23aに対して、第1のベアリング軸受24と第2のベアリング軸受25との間に位置して上述したハウジング6に設けた冷却剤供給流路20が連通されている。湿式回転ドリル装置1は、回転軸部材7の冷却剤供給流路20の連通部を挟んでハウジング6の細径軸部7aの内壁に一対のオイルシール26、26を配設することによって、冷却剤供給空間部23aを液密空間部として構成している。この冷却剤供給空間部23aには、冷却剤逆流防止弁部材12とコイルスプリング27とが組み込まれている。
【0043】
冷却剤逆流防止弁部材12は、図6に示すように全体が冷却剤供給空間部23aに対してやや小径とされるとともに先端部12aが次第に細径とされることによって弁部を構成している。冷却剤逆流防止弁部材12は、後述するように弁部12aが、嵌合軸孔部23b内にスライド自在に組み合わされたスリーブ部材8の底面部8aに形成された冷却剤流出口28に嵌合されるとともにこの冷却剤流出口28を開閉する。コイルスプリング34は、冷却剤供給空間部23a内にやや圧縮された状態で組み込まれ、冷却剤逆流防止弁部材12をその弁部12aによって冷却剤流出口28を閉塞する方向に付勢している。
【0044】
スリーブ部材8は、図6に示すように内部にスライド軸部材9が組み込まれるスライド軸穴29が全長に亘って形成されている。また、スリーブ部材8は、スライド軸穴29の基端側を上述した底面部8aによって閉塞することにより全体有底筒体を呈して形成される。スリーブ部材8には、この底面部8aの中心位置に上述した冷却剤流出口28が形成されている。スリーブ部材8は、底面部8aが設けられた基部側の外径が回転軸部材7の嵌合軸孔部23bの内径とほぼ等しくされるとともに、外周部に取付フランジ部8bが周回りに一体に突設されている。取付フランジ部8bは、基端部から回転軸部材7の拡径軸部7cの軸長とほぼ等しい位置に、この拡径軸部7cとほぼ同径に突設されている。
【0045】
スリーブ部材8は、回転軸部材7に対して、その基部が嵌合軸孔部23b内に底面部8aを孔底面に突き合わせるようにして嵌合されるとともに、取付フランジ部8bを拡径軸部7cの側面に突き合わせて組み合わされる。スリーブ部材8は、互いに突き合わされた取付フランジ部8bと拡径軸部7cとの間が、これらの複数箇所に対応して設けた取付孔にねじ込まれる連結ボルト30により連結されることによって、回転軸部材7と一体化される。スリーブ部材8は、回転軸部材7と一体化された状態において、その先端部がハウジング6の拡径軸孔部19cの開口部よりやや突出露呈されている。
【0046】
スリーブ部材8には、図6に示すようにスライド軸穴29の内壁に平行キー溝29aが形成されている。また、このスリーブ部材8には、スライド軸穴29にスライド軸部材9が軸装されている。スライド軸部材9は、その外径がスライド軸穴29の内径とほぼ等しくかつその全長がスリーブ部材8の全長よりもやや大とされた軸体として構成されている。スライド軸部材9には、両端に開口する冷却剤流路31がその内部に全長に亘って形成されている。また、スライド軸部材9には、その先端部の外周に逆ねじからなる外周ねじ9aが形成されるとともに、冷却剤流路31の先端を拡径としてノズル取付部9bが形成されている。
【0047】
スライド軸部材9は、上述した平行キー溝29aに嵌合した平行キー32を介してスライド軸穴29内に組み込まれる。平行キー32は、その幅が平行キー溝29aの幅とほぼ等しくかつその長さが平行キー溝29aの長さよりも小とされて構成されている。したがって、スライド軸部材9は、平行キー32を介してスリーブ部材8に対して回転方向に対して一体化されるとともに平行キー溝29aと平行キー32の長さの差の範囲で軸方向に対してスライド自在とされてスライド軸穴29内に組み込まれる。
【0048】
スライド軸部材9には、ノズル取付部9bにノズル部材33がねじ止めされて装着されている。このノズル部材33は、全体筒状を呈する外筒部33aと、この外筒部33a内に嵌合されたノズル部33bとから構成されている。ノズル部33bには、ごく細径のノズル孔が形成されており、このノズル孔を介して冷却剤流路31からドリルヘッド10内へと冷却剤122を噴射供給する。なお、スライド軸部材9には、先端部にゴム等の弾性材からなる防塵キャップ34が被着されることによって、スリーブ部材8との間に構成される間隙に切削粉等が侵入することが防止されている。
【0049】
ドリルヘッド10は、先端部に装着されるドリルビット11と、このドリルビット11が取り付けられるビット支持部材35とから構成される。ビット支持部材35は、図4及び図5に示すようにその内部に軸方向の全長に亘って冷却剤流路36が形成された長軸の筒体として構成されている。ビット支持部材35は、その基端部35aの内周壁にスライド軸部材9の外周ねじ9aにねじ合わせされる逆ねじの内周ねじが形成されている。ビット支持部材35は、これによってスライド軸部材9の先端部と結合されて一体に回転駆動される。
【0050】
ドリルビット11は、ダイヤモンド粒を混合した焼結合金によって筒状に形成されてなり、詳細を省略するがドリルビット支持部材35の冷却剤流路36と連通するノズル孔が軸方向の全長に亘って形成されている。このドリルビット11は、基端部の外周に逆ねじが形成されており、ドリルビット支持部材35の先端部の内周壁に設けた内周ねじにねじ込まれることによって取り付けられる。したがって、ドリルビット11は、穿孔作業に伴って磨耗した場合に、ドリルビット支持部材35から分離して交換可能とされる。なお、ドリルビット11には、詳細を省略するが穿孔内から発生する切削粉を外方へと効率的に排出するために、その先端部から軸方向にスリット状の溝が形成されている。
【0051】
湿式回転ドリル装置1は、電源スイッチが操作されて駆動部2の駆動モータが起動すると、チャッキング機構4によって連結されたドリル本体部5の回転軸部材7が回転駆動される。湿式回転ドリル装置1においては、この回転軸部材7の回転に伴って、スリーブ部材8、スライド軸部材9が一体に回転駆動されて、このスライド軸部材9の先端部に連結されたドリルヘッド10を回転駆動する。湿式回転ドリル装置1は、ドリルヘッド10のビット支持部材35を介してドリルビット11が回転し、このドリルビット11によって壁面120に補修孔121等を穿孔する。
【0052】
湿式回転ドリル装置1においては、ドリルビット11が壁面120に補修孔121を穿孔するに際して、図1に示すようにこの補修孔121の内部に冷却剤122を噴射供給する。冷却剤122は、冷却剤供給部から連結管部材21を介してドリル本体部5へと供給され、ハウジング6の冷却剤供給流路20から回転軸部材7の軸穴23に構成された冷却剤供給空間部23aへと射出供給される。湿式回転ドリル装置1においては、ドリルビット11を壁面120に押し付けることによって、ドリルヘッド10を介してスライド軸部材9がスリーブ部材8のスライド軸孔29内を基端側へと移動動作する。湿式回転ドリル装置1においては、スライド軸部材9がコイルスプリング27の弾性力に抗して冷却剤逆流防止弁部材12を基端側へと押圧することから、この冷却剤逆流防止弁部材12によって閉塞されたスリーブ部材8の冷却剤流出口28が開放される。
【0053】
湿式回転ドリル装置1においては、これによって回転軸部材7内の冷却剤供給空間部23aとスライド軸部材9の冷却剤流路31とが連通状態となり、冷却剤122がノズル部材33を介してドリルヘッド10の冷却剤流路36内へと供給されるようになる。冷却剤122は、ドリルヘッド10内を流れて、ドリルビット11のノズルから補修孔121の内部へと噴射供給される。冷却剤122は、補修孔121内に噴射供給されることによって、混合した補助剤の作用により霧化した状態となり、外気温及び穿孔動作によるドリルビット11の摩擦熱によって補修孔121内で急速に気化拡散する。冷却剤122は、基材の冷却水とともにこの気化熱によってドリルビット11を冷却して良好な状態に保持して補修孔121の穿孔動作を行わさせるようにする。また、冷却剤122は、補助剤が補修孔121内で気化してその容量が数百倍と急激に膨張することから、あたかもこの補修孔121内へより高圧で噴射される状態を呈して基材の冷却水とともに切屑等を外部へと効率的に排出する。
【0054】
湿式回転ドリル装置1においては、上述したように補修孔121から排出される切屑や粉塵等が、噴射供給された冷却剤122の基材の冷却水と混合されてゲル状粉塵123として排出される。湿式回転ドリル装置1は、上述した冷却剤122を用いることから従来の湿式回転ドリル装置100と比較してゲル状粉塵123の発生量が大幅に抑制されるが、さらに粉塵飛散防止機構13によってその飛散或いは壁面等に沿った垂れ落ちを確実に防止するようにしている。
【0055】
また、湿式回転ドリル装置1は、補修孔121の内部に残留した冷却剤122が低沸点の有機溶剤及び液化ガスとの共沸現象によって基材の冷却水の蒸発が促進されることから、補修孔121の内部を短時間で乾燥させる。湿式回転ドリル装置1は、補修孔121の穿孔作業に要する実作業時間を従来の回転ドリル装置による場合とほぼ同等とするが、段取り時間を大幅に短縮するとともに手軽な作業によってその効率化が図られる。また、湿式回転ドリル装置1は、補修孔121の乾燥時間も冷却水のみを用いた場合と比較してほぼ10分の1程度となることから、工期の大幅な短縮を達成する。
【0056】
さらに、湿式回転ドリル装置1は、小型軽量で有り、冷却水や圧縮空気を供給するための長いホースの引き回しを不要として壁面や天井等の高所での作業を安全に行うことを可能とする。さらにまた、湿式回転ドリル装置1は、大量の冷却水を不要とすることから、水道設備の無い現場でも使用することができるとともに、こぼれ出た冷却水による階下等の漏水災害や現場の汚損等の不都合を生じさせることは無い。
【0057】
湿式回転ドリル装置1においては、壁面120に補修孔121を穿孔するドリルビット11の周囲を密閉する粉塵飛散防止機構13を備えることによって、補修孔121から発生するゲル状粉塵123の飛散或いは床面への垂れ落ち等が確実に防止される。したがって、湿式回転ドリル装置1は、穿孔後の後処理作業にほとんど手間を必要とせず全体の作業効率を大幅に向上させ、特に室内作業に用いての効果は極めて大きい。また、湿式回転ドリル装置1は、この粉塵飛散防止機構13によって作業者に対して発生する粉塵を浴びさせることが無く、また騒音を大幅に抑制する。
【0058】
さらに、湿式回転ドリル装置1は、小型軽量で有り、冷却水や圧縮空気を供給するための長いホースの引き回しを不要として壁面や天井等の高所での作業を安全に行うことを可能とする。さらにまた、湿式回転ドリル装置1は、大量の冷却水を不要とすることから、水道設備の無い現場でも使用することができるとともに、こぼれ出た冷却水による階下等の漏水災害や現場の汚損等の不都合を生じさせることは無い。
【0059】
粉塵飛散防止機構13は、図1及び図2に示すように、ドリルガイド機構14によってドリルヘッド10の先端部に位置するようにしてドリル本体部5に組み合わされている。粉塵飛散防止機構13は、具体的には図7に示したベース部材37に組み付けられ、図8に示すように防塵カバー部材38と、第1のアタッチメント部材39及び第2のアタッチメント部材40と、粉塵排出ガイド部材41と、弾性シール部材42と、容器取付ブラケット部材43と、粉塵排出管部材44と、粉塵収納容器45及びコイルスプリング46等の各部材によって構成されている。粉塵飛散防止機構13は、ベース部材37に対して防塵カバー部材38が取付けねじ47によって組み合わせ固定される。
【0060】
防塵カバー部材38は、全体略カップ状を呈して形成されており、外周壁38aとによって内部に粉塵収納空間部48を構成する底面壁38bにベース部材37に設けたガイド孔37aを貫通されたドリルヘッド10を貫通させるガイド孔38cが設けられている。ベース部材37のガイド孔37a及び防塵カバー部材38のガイド孔38cは、標準のドリルヘッド10の外径よりも大きな内径とされており、比較的大径のドリルヘッド10を用いる場合においてもそのまま使用することができるように構成されている。
【0061】
防塵カバー部材38には、底面壁38bから軸方向に突出された外周壁38aの後端部にベース部材37の主面に形成された位置決め段部37bに対応して位置決め段部38dが形成されている。防塵カバー部材38は、これら位置決め段部37bと位置決め段部38dとを相対係合させることによってベース部材37に対して位置決めされた状態で組み合わされる。したがって、防塵カバー部材38は、ベース部材37に対する組み合わせが精密に行われ、換言すれば密閉性が保持される。また、防塵カバー部材38は、ベース部材37に対して簡単な操作によって組み合わすことができる。なお、ベース部材37と防塵カバー部材38との位置決め構造は、かかる位置決め段部37bと位置決め段部38dとの構成に限定されるものではなく、例えばこれら部材の相対する側面に形成した位置決め凸部と位置決め凹部によって行うようにしてもよい。
【0062】
防塵カバー部材38には、外周壁38aの下方部に粉塵排出管部材44を取り付けるための排出口49が開口されている。また、防塵カバー部材38には、開口部に第1のアタッチメント部材39と第2のアタッチメント部材40とが組み付けられている。さらに、防塵カバー部材38には、粉塵収納空間部48内に位置して底面壁38aに粉塵排出ガイド部材41が接合されるとともに底面壁38aの背面側に弾性シール部材42が接合されている。
【0063】
第1のアタッチメント部材39は、やや腰のある天然ゴムや合成ゴム等の弾性材料によって略リング状に成形され、その基端部が防塵カバー部材38の開口部に接合固定される。第1のアタッチメント部材39は、詳細を省略するが先端側が二重のリング状を呈して形成されこの先端部が内外周で弾性変形することにより、壁面120に対する密着性の向上が図られている。この第1のアタッチメント部材39には、先端部に第2のアタッチメント部材40が装着される。第2のアタッチメント部材40は、ウレタン樹脂や発泡合成樹脂等を材料にしてリング状に成形されてなる。第2のアタッチメント部材40は、第1のアタッチメント部材39によって支えられた状態で弾性変形して壁面120に弾接される。第1のアタッチメント部材39と第2のアタッチメント部材40とは、かかる構成によって壁面120に対する密着性をさらに向上させる。
【0064】
粉塵排出ガイド部材41は、図8に示すようにその断面形状が直角三角形を呈して形成されており、防塵カバー部材38のガイド孔38bに対応してドリルヘッド10を貫通させるガイド孔41aが形成されている。粉塵排出ガイド部材41は、図8に示すようにその傾斜面が防塵カバー部材38の排出口49に向かうようにして底面壁38aに接合されている。したがって、ゲル状粉塵123は、防塵カバー部材38の粉塵収納空間部48から排出口49へと効率的に流出される。
【0065】
弾性シール部材42は、天然ゴムや合成ゴムを材料とし、内径が使用されるドリルヘッド10の外径よりやや大とされた中心孔42aを有する単純なリング状を呈して成形されている。中心孔42aは、防塵カバー部材38のガイド孔38bの内径よりもやや小径とされている。したがって、弾性シール部材42は、穿孔作業に伴って防塵カバー部材38の粉塵収納空間部48内に排出されるゲル状粉塵123が粉塵排出ガイド部材41のガイド孔41a、底面壁38bのガイド孔38cとドリルヘッド10の外周部との間の間隙から流出することを抑制して密閉性を保持する。
【0066】
弾性シール部材42は、上述したように単純なリング状に成形されていることから安価に製作することが可能である。また、弾性シール部材42は、高速で回転するドリルヘッド10の外周面が中心孔42aを摺擦することから、長期間の使用によって磨耗してそのシール機能が損なわれることがある。弾性シール部材42は、孔径を異にする補修孔121を穿孔するためにその仕様に適合したドリルヘッド10を取り付ける際にも交換される。湿式回転ドリル装置1は、安価な弾性シール部材42のみを防塵カバー部材38に対して着脱操作することから、保守コストの低減が図られる。また、湿式回転ドリル装置1は、弾性シール部材42が簡易に着脱されることから粉塵飛散防止機構13の機能が保持されるとともに取扱性にも優れている。
【0067】
ベース部材37には、その背面側に容器取付ブラケット部材43がその一端側を取り付けられている。容器取付ブラケット部材43は、図8に示すように自由端側が防塵カバー部材38の外周壁38aの下方部に近接して延在される。容器取付ブラケット部材43には、この自由端側に排出口49に対応して取付孔43aが設けられており、排出口49に一端を嵌合された粉塵排出管部材44が貫通している。粉塵排出管部材44は、全体円筒形を呈しており、一端部に形成した外周ねじを排出口49の内壁に形成した内周ねじにねじ込むことによって防塵カバー部材38に取り付けられる。粉塵排出管部材44は、容器取付ブラケット部材43との間に圧縮状態で装着したコイルスプリング46によって排出口49との密封性が保持される。
【0068】
粉塵排出管部材44は、他端部が蓋体50を貫通して粉塵収納容器45内に臨ませられている。なお、粉塵排出管部材44は、まっすぐな円筒部材として構成されたが、例えば粉塵収納容器45内に臨ませられた端部をU字状に折曲し、湿式回転ドリル装置1を傾けた場合にゲル状粉塵123が逆流しないように構成してもよい。
【0069】
粉塵収納容器45は、合成樹脂等によって広口ビン状に成形され、容器取付ブラケット部材43に固定された蓋体50にねじ合わせすることによって組み合わされる。したがって、粉塵収納容器45は、蓋体50から取り外すことによって穿孔作業によって内部に溜められたゲル状粉塵123を廃棄する。また、蓋体50には、廃棄孔50aが設けられており、ドリル本体部5を傾けることによって粉塵収納容器45を取り外すことなく内部に溜まったゲル状粉塵123の廃棄を可能としている。
【0070】
以上のように構成された粉塵飛散防止機構13は、補修孔121の穿孔作業を行う際に第1のアタッチメント部材39と第2のアタッチメント部材40とが壁面120に押し付けられることにより弾性変形して壁面120に密着する。粉塵飛散防止機構13は、穿孔作業に伴って補修孔121内から発生するゲル状粉塵123を防塵カバー部材38内の粉塵収納空間部48内に受け入れるとともに、粉塵排出ガイド部材41の傾斜面に沿って粉塵排出管部材44へと流れるようにする。粉塵飛散防止機構13は、ゲル状粉塵123を粉塵排出管部材44から粉塵収納容器45の内部へと流し込んで溜める。
【0071】
粉塵飛散防止機構13は、上述したように第1のアタッチメント部材39と第2のアタッチメント部材40とによって壁面120に対する密着性の向上を図るとともに、弾性シール部材42によって防塵カバー部材38の密閉性の向上が図られる。また、粉塵飛散防止機構13は、上述したように高速回転するドリルヘッド10がこすれて各部のガイド孔部分が磨耗して防塵カバー部材28の密閉性が損なわれることがあるが、機構全体を交換することなく安価な弾性シール部材42のみの交換することによりその対応を図ることができる。
【0072】
また、粉塵飛散防止機構13は、孔径を異にする補修孔121を穿孔する場合において、ドリルヘッド10が交換されることにより防塵カバー部材38のガイド孔38cの密閉性が保持されなくなることがある。湿式回転ドリル装置1においては、この防塵カバー部材38に対して弾性シール部材42が簡易に装着されることから粉塵飛散防止機構13の全体交換を行うことなく弾性シール部材42の交換によってその対応が図られる。勿論、湿式回転ドリル装置1は、ガイド孔38cの内径よりも大径のドリルヘッド10が用いられることがあるが、その場合においてもベース部材37に対して防塵カバー部材38が簡易な操作によって精密に組み合わすことができることからその対応も簡易に行われる。
【0073】
ベース部材37は、ドリルガイド機構14の支持部材を構成する。ベース部材37は、やや厚みのあるアルミ金属板等を材料として図7に示すように略横長の楕円形状を呈して形成され、中央部にドリルヘッド10が貫通する上述したガイド孔37aと防塵カバー部材38を位置決めする位置決め段部37bとが設けられている。なお、ガイド孔37aの周囲には、防塵カバー部材38をねじ止めする止めねじ47のねじ孔37cが形成されている。ベース部材37には、ガイド孔37aを挟んでその両側にドリルガイド機構14が取り付けられる取付孔37d、37dが形成されている。さらに、ベース部材37には、両端近傍にビット位置決め機構17が取り付けられる取付孔37e、37eが形成されるとともに上縁の一部にゲージ機構51を貫通させるガイド溝37fが切り欠き形成されている。
【0074】
ドリルガイド機構14は、図2及び図9に示すように、ハウジング6とブラケット部材37との間に左右一対が備えられる。ドリルガイド機構14は、図9に示すように一端がハウジング6に形成された軸孔52に片持ち支持されたガイド筒部材53と、スライド筒軸部材54と、防塵筒部材55と、コイルスプリング56と、ストッパねじ57と取付ねじ58等の部材によって構成されている。スライド筒軸部材54は、ガイド筒部材53の軸孔内にスライド自在に軸装されるとともに一端部にねじ込んだストッパねじ57がガイド筒部材53の開口端に衝合することによって係止されている。
【0075】
防塵筒部材55は、ガイド筒部材53の外径よりもやや大径とされた軸孔と先端側の係止壁55aとを有する有底筒状を呈しており、その先端部がベース部材37の取付孔37dに嵌合されている。また、防塵筒部材55は、その軸孔の後端部にガイド筒部材53の先端部を臨ませるに足る軸長を有している。防塵筒部材55は、その外周部に突設された取付孔37dの内径よりも大径とされた係止フランジ部55bがベース部材37の背面に突き当てられる。この防塵筒部材55には、ガイド筒部材53から突出露呈されたスライド筒軸部材54の先端部が挿通されるとともに、その係止壁55aの内面に突き当てられる。スライド筒軸部材54は、取付ねじ58がねじ込まれることによって防塵筒部材55の係止壁55aに固定される。
【0076】
コイルスプリング56は、ガイド筒部材53のフランジ部53aと防塵筒部材55の係止壁55aとの間に圧縮状態で装着される。コイルスプリング56は、防塵筒部材55をベース部材37の主面に押し付け、換言すればこのベース部材37を介して粉塵飛散防止機構13を前方側へと付勢するようにする。なお、ドリルガイド機構14は、自然状態において、図1に示すように第2のアタッチメント部材40がドリルビット11の先端部とほぼ同一面を構成するように粉塵飛散防止機構13を位置させる。
【0077】
以上のように構成されたドリルガイド機構14は、穿孔作業に際して、ドリルビット11と粉塵飛散防止機構13の防塵カバー部材38との相対位置を調整ガイドする。すなわち、ドリルガイド機構14は、穿孔動作に伴ってドリルビット11が壁面120に進入することにより、スライド筒軸部材54がガイド筒部材53内をスライド動作するとともにベース部材37を介してコイルスプリング56が次第に圧縮される。ドリルガイド機構14は、このコイルスプリング56の畜勢された弾性力によって粉塵飛散防止機構13の防塵カバー部材38、換言すれば第1のアタッチメント部材39と第2のアタッチメント部材40とを壁面120に押し付けて密着状態を保持させる。ドリルガイド機構12は、これによって穿孔される補修孔121から発生する粉塵等の飛散や垂れ落ちを防止するとともに、振動音の発生を低減させる作用を奏する。
【0078】
ドリルガイド機構14は、上述したようにスライド筒軸部材54がガイド筒部材53内をスライド動作するとともに、コイルスプリング56も伸び縮みする。このドリルガイド機構14には、穿孔作業に伴って発生する粉塵や粉塵収納容器45から廃棄されるゲル状粉塵123等が付着することがある。ドリルガイド機構14は、スライド部材であるスライド筒軸部材54をガイド筒部材53と防塵筒部材55とによって被覆したことから、スライド筒軸部材54がガイド筒部材53内をスムーズにスライド動作する。
【0079】
湿式回転ドリル装置1は、ドリルビット11が磨耗したり孔径を異にする補修孔121を穿孔する等に際して、ドリルヘッド10の交換が行われる。ドリルヘッド10は、上述したようにスライド軸部材9の先端に形成した外周ねじ9aにビット支持部材35の後端部38aが逆ねじ構成によってねじ込み支持されている。スライド軸部材9は、スリーブ部材8を介して回転軸部材7と回転方向に対して一体化されている。回転軸部材7は、電源を投入していない状態ではフリーであることからビット支持部材35を回転操作することによって一体に回転してしまう。湿式回転ドリル装置1においては、回転軸ロック機構15を備えることによって先願湿式回転ドリル装置100のように回転軸部材7側をスパナ等でロックした状態でドリルヘッド10をスライド軸部材9から取り外すといった面倒な操作を不要としている。
【0080】
回転軸ロック機構15は、図4及び図5に示すようにハウジング6に凹設した組込部59に配設されたロックレバー60と、ロックピン61と、復帰スプリング62等の部材によって構成される。ハウジング6には、組込部59の底部に位置して軸孔19の拡径軸孔部19cに連通する高さ方向のロック孔6aが形成されている。このロック孔6aは、回転軸部材7の拡径軸部7cの外周面に形成したロック孔7eに対応位置して設けられている。ロックレバー60は、組込部59に支架した支軸60aに一端部を揺動自在に支持され先端上面に操作部60bが一体に形成されている。このロックレバー60には、操作部60bの下側にロックピン61の支軸61aが支架されるとともにスプリング受け凹部60cが形成されている。
【0081】
ロックピン61は、上端部を支軸61aに揺動自在に支持されるとともに、先端側がハウジング6のロック孔6aに嵌合されている。ロックピン61は、後述するようにロック孔6aを貫通して回転軸部材7のロック孔7eに相対係合可能な長さを有している。復帰スプリング62は、ロックレバー60のスプリング受け凹部60cとハウジング6に設けたスプリング受け凹部6bとの間に圧縮状態で配設されている。復帰スプリング62は、畜勢された弾性力によって図4に示すようにロックレバー60を上方へと押し上げている。ロックピン61は、ロックレバー60が上方へ押し上げられた状態において回転軸部材7のロック孔7eから上方へと後退した位置に保持される。回転軸ロック機構15は、これによって回転軸部材7がハウジンクグ6の軸孔19内で自由に回転されるようにする。
【0082】
以上のように構成した回転軸ロック機構15は、ドリルヘッド10の交換操作等を行う場合に、操作部60bを介してロックレバー60が復帰スプリング62の弾性力に抗して組込部59内へと押下げ操作される。回転軸ロック機構15は、この操作によって図5に示すようにロックピン61がハウジング6のロック孔6a内をスライド動作して回転軸部材7のロック孔7e内へと進入し、回転軸部材7をロック状態に保持する。湿式回転ドリル装置1は、この状態でスパナ等を用いてドリルヘッド10のビット支持部材35の後端部35aを回転操作してスライド軸部材9からこのドリルヘッド10を取り外すようにする。また、湿式回転ドリル装置1は、交換用のドリルヘッド10をスパナ等を用いてスライド軸部材9に取り付ける。
【0083】
湿式回転ドリル装置1においては、穿孔作業の途中或いは磨耗に対応した保守等でドリルビット11のみを交換する場合もある。湿式回転ドリル装置1は、上述したようにドリルヘッド10の先端部に粉塵飛散防止機構13を配設したことにより、ドリルビット11をビット支持部材35に対して着脱操作する際にこの粉塵飛散防止機構13が邪魔となる。このため、湿式回転ドリル装置1においては、上述したドリルガイド機構14を動作させて粉塵飛散防止機構13をハウジング6側へと移動させてドリルビット11を露呈した状態に保持するガイドロック機構16が備えられている。
【0084】
ガイドロック機構16は、湿式回転ドリル装置1を持ち運び等する際に、粉塵飛散防止機構13がドリルビット11を覆った位置でドリルガイド機構14を確実にロックする状態に設定する。勿論、ガイドロック機構16は、穿孔作業時に粉塵飛散防止機構13が自由にスライド動作されるようにドリルガイド機構14をフリーな状態に設定する。ガイドロック機構16は、このようにドリルガイド機構14を完全ロック状態と、フリー状態及び中間ロック状態にそれぞれ切換設定する。
【0085】
ガイドロック機構16は、図9乃至図11に示すようにドリルガイド機構14に対応してハウジング6に設けた左右一対の操作凹部63、63にそれぞれ備えられる。ガイドロック機構16は、ロックレバー64と、切換カム部材65と、トーションスプリング66等の部材によって構成される。ロックレバー64は、全体略クランク状に形成されハウジング6に立設された支軸64aにその中央部を回動自在に支持されている。ロックレバー64は、一端部が鈎状に形成されてロック部64bを構成するとともに他端部が作動部64cを構成している。ロック部64bは、後述するようにドリルガイド機構14のスライド筒軸部材54の基端部にねじ止めされたストッパねじ57のスライド領域に進入後退する。
【0086】
切換カム部材65は、全体が矩形ブロック状を呈して形成されており、ハウジング6を左右に貫通して回動自在に支持された支軸部材65aに対して中心よりやや偏心した位置で取り付けられている。また、切換カム部材65は、外周面がロックレバー64の作動部64cに対向するようにして支軸部材65aに取り付けられている。切換カム部材65には、その外周面に支軸部材65aからの間隔をそれぞれ異にするようにして第1のカム凹部65bと、第2のカム凹部65cと、第3のカム凹部65dとが形成されている。第1のカム凹部65bは、支軸部材65aとの間隔が最も大きい位置に形成されている。第2のカム凹部65cは、中間の間隔位置に形成されている。第3のカム凹部65dは、支軸部材65aとの間隔が最も小さい位置に形成されている。
【0087】
ロックレバー64の作動部64cと切換カム部材65の外周面との間には、コイルスプリング68を介してクリックボール67が配設されている。ロックレバー64は、支軸部材65aに装着したトーションスプリング66によって図9において反時計方向の回動習性が付与されている。したがって、ロックレバー64は、クリックボール67が各カム凹部に相対係合することによって切換位置に保持される。勿論、トーションスプリング66は、ロックレバー64に対してコイルスプリング68よりも大きな弾性力を作用させる。
【0088】
以上のように構成されたガイドロック機構16は、図9に示すようにロックレバー64の作動部64cに対して切換カム部材65の第1のカム凹部65bを対向位置させるようにして設定した場合に、ドリルガイド機構14のスライド筒軸部材54のスライド動作を可能な状態とする。すなわち、ロックレバー64は、同図に示すように全体が時計方向に回動された位置となり先端のロック部64bがスライド筒軸部材54のスライド領域から後退した位置に保持される。ドリルガイド機構14は、これによって穿孔作業に伴って粉塵飛散防止機構13をスライド動作可能とさせる。
【0089】
湿式回転ドリル装置1は、ドリルビット11の交換を行う場合に、粉塵飛散防止機構13をハウジング6側へと移動させてドリルビット11を露呈させた状態とするとともに、図10に示すようにガイドロック機構16がそのロックレバー64の作動部64cに対して切換カム部材65の第2のカム凹部65cを対向位置させるように切換操作される。ドリルガイド機構14は、粉塵飛散防止機構13の移動操作に伴ってスライド筒軸部材54がスライド動作されてその基端側がガイド筒部材53の後端部から突出する。スライド筒軸部材54は、基端部の外周に凹設した係合凹部54aがガイド筒部材53の後端部から露呈する。
【0090】
一方、ガイドロック機構16は、作動部64cに対して切換カム部材65の第2のカム凹部65cが対向位置されることにより、ロックレバー64がトーションスプリング66の弾性力によって時計方向にやや回動する。ロックレバー64は、これによって先端のロック部64bがスライド筒軸部材54の外周に当接する。ロックレバー64は、スライド筒軸部材54のスライド動作に伴ってロック部64bが係合凹部54aに対応位置すると、図10に示すようにこれに相対係合してスライド筒軸部材54をこの位置で保持する。湿式回転ドリル装置1は、このロックレバー64によるスライド筒軸部材54のロック動作によって、ドリルビット11を粉塵飛散防止機構13から露呈した状態に保持してこのドリルビット11の交換が容易に行われるようにする。
【0091】
湿式回転ドリル装置1は、持ち運び等に際して粉塵飛散防止機構13がドリルビット11の周囲を覆った状態に保持されるようにガイドロック機構16によってドリルガイド機構14がロック状態とされる。すなわち、ガイドロック機構16は、図11に示すようにロックレバー64の作動部64cに対して切換カム部材65の第3のカム凹部65dを対向位置させるように切換操作される。ロックレバー64は、同図に示すように全体がさらに時計方向に回動されることから先端のロック部64bがスライド筒軸部材54のスライド領域に進出する。
【0092】
ロックレバー64は、この動作によりスライド筒軸部材54の後端部にねじ止めされたストッパねじ57と衝合することから、このスライド筒軸部材54のスライド動作を不能な状態とする。湿式回転ドリル装置1は、このロックレバー64によるスライド筒軸部材54のロック動作によって粉塵飛散防止機構13がドリルビット11を覆った状態、すなわち完全ロック状態に保持する。
【0093】
湿式回転ドリル装置1は、上述したように穿孔作業に伴って発生するゲル状粉塵123の飛散、垂落ちを防止する粉塵飛散防止機構13を備えるとともに、この粉塵飛散防止機構13をガイドするドリルガイド機構14を、ガイドロック機構16によって完全ロック状態と、フリー状態及び中間ロック状態にそれぞれ切換設定することから、ドリルビット11の交換操作が容易となりまた持ち運び等に際して粉塵飛散防止機構13によりドリルビット11が保護される。なお、ガイドロック機構16については、上述した構成各部材に限定されるものではないことは勿論である。
【0094】
湿式回転ドリル装置1は、円筒形に形成されたドリルビット11によって壁面120の正確な位置に補修孔121の穿孔を可能とするために、ビット位置決め機構17が備えられている。ビット位置決め機構17は、図2及び図7に示すように上述した粉塵飛散防止機構13の防塵カバー部材38を挟んでブラケット部材37に左右一対が組み付けられている。ビット位置決め機構17は、図12に示すようにベース部材37に設けた取付孔を貫通して取り付けられるガイド筒部材69と、ナット部材70と、先端部に位置決めピン72が設けられたスライド軸部材71と、バックカバー部材73及びコイルスプリング74等の部材によって構成されている。
【0095】
ガイド筒部材69は、全長に亘って軸孔69aが形成されるとともに後端側の外周部に係止フランジ部69bが一体に突設され、この係止フランジ部69bから前方領域の外周部に外周ねじ69cが形成されている。ガイド筒部材69は、軸孔69aの係止フランジ部69bに対応する部位が内径を大きくした拡径部位69dとされて段部69eを構成してなる。ガイド筒部材69は、ベース部材37の背面側から取付孔に貫通され、係止フランジ部69bによって係止される。ガイド筒部材69は、その先端側からナット部材70が外周ねじ69cにねじ込まれることにより図12に示すようにベース部材37に取付固定される。ガイド筒部材69には、背面側からその軸孔69aにスライド軸部材71が挿通されて組み合わされる。
【0096】
スライド軸部材71は、その軸長がガイド筒部材69の軸長よりもやや大とされるとともに、係止フランジ部69bに対応した部位の拡径軸孔69dに対応してその後端部にストッパ凸部71aが一体に突設され、かつ上述したように先端部に位置決めピン72が取り付けられている。スライド軸部材71は、ストッパ凸部71aがガイド筒部材69の軸孔段部69eと衝合することにより前方側に対して抜け止めされている。ガイド筒部材69には、後端部に有底筒状を呈するバックカバー部材73が組み合わされている。なお、位置決めピン72は、耐磨耗性を有する超鋼材等を材料とし、先端部を鋭角としたチップ状に形成されてなる。
【0097】
このバックカバー部材73には、底面壁73aとスライド軸部材71のストッパ凸部71aとの間に圧縮状態でコイルスプリング74が収納されている。スライド軸部材71は、コイルスプリング74の弾性力によって先端側がガイド筒部材69からの突出習性を付与されてガイド筒部材69内にスライド自在に軸装される。また、コイルスプリング74は、上述したベース部材37を前方側へと付勢するドリルガイド機構14のコイルスプリング56よりも大きな弾性力を有するものが用いられる。
【0098】
以上のように構成されたビット位置決め機構17は、穿孔作業に際して、ドリルビット11を壁面120の穿孔位置にあてがうことにより位置決めピン72が壁面120に突き当たる。ビット位置決め機構17は、壁面120に突き当てられた位置決めピン72によってこの壁面120の突当て面が平坦とされたドリルビット11が滑ってブレることを阻止し、このドリルビット11を穿孔位置に対して正確に位置決めするようにする。
【0099】
したがって、湿式回転ドリル装置1は、このビット位置決め機構17の作用によって、穿孔作業に際して、全体を傾けてドリルビット11の外周縁によって座ぐり操作を行うことなく所定の穿孔位置に補修孔121の穿孔を行うことができる。また、ビット位置決め機構17は、穿孔動作に伴って粉塵飛散防止機構13がドリルガイド機構14に支持されてスライド動作するが、コイルスプリング56の弾性力によって位置決めピン72が壁面120に突き当てられた状態を保持される。勿論、ビット位置決め機構17は、上述した構成部材に限定されるものではなく、例えばベース部材37に位置決めピン72を直接立設するようにしてもよい。
【0100】
湿式回転ドリル装置1には、壁面120に穿孔される補修孔121の深さを規定するゲージ機構51が備えられている。ゲージ機構51は、図2に示すように一端部をハウジング6に片持ち支持されたガイド筒部材75と、一端部をこのガイド筒部材75の軸孔75a内にスライド自在に支持されたゲージロッド76と、詳細を省略するがガイド筒部材75内に配設された位置決め部材77とから構成されている。ゲージロッド76は、通常、その先端部がベース部材37に形成したガイドの切欠き部37fから前方側へと突出され、ドリルビット11の先端とほぼ同一面を構成している。なお、ガイド筒部材75には、図示しないが位置決め部材77の設定位置を表示する表示部が設けられている。
【0101】
ゲージ機構51は、穿孔する補修孔121の深さに基づいて表示部を指標として位置決め部材77をガイド筒部材75の軸孔75a内に沿ってスライド操作する。ゲージ機構51は、設定された位置決め部材77とゲージロッド76の後端部との間隔が穿孔する補修孔121の深さ寸法とされる。ゲージロッド76は、例えば穿孔作業に際してその先端が壁面120に突き当てられる。ゲージロッド76は、穿孔作業に伴ってガイド筒部材75内を次第に後方へとスライド動作する。
【0102】
そして、ゲージロッド76は、ドリルビット11によって壁面120に所定の深さの補修孔121が穿孔されると、その後端部が位置決め部材77に突き当たって係止される。湿式回転ドリル装置1は、これによってドリルビット11、換言すればドリルヘッド10の壁面120内への進入動作が不能とされて所定の深さの補修孔121の穿孔が行われる。なお、ゲージ機構51は、表示部に対するゲージロッド76の位置によって穿孔される補修孔121の深さを確認することが可能とされる。
【0103】
湿式回転ドリル装置1には、図3に示すように駆動部2側に設けた図示しない手持ち部とともにドリル本体部5にもハンドル部材22が備えられている。ハンドル部材22は、ハウジング6に設けた取付孔6cに先端のねじ部22aがねじ込まれることによって取り付けられる。ハンドル部材22には、ねじ部21aと基部との間に保護用のフランジ部22bが周回りに突設されるとともに、基部の内部に底面に開口する工具収納部78が設けられている。工具収納部78は、通常、蓋部材79が嵌合されて閉塞されている。
【0104】
湿式回転ドリル装置1には、ドリルヘッド10やドリルビット11の交換等の保守を行う際にスパナが用いられる。また、湿式回転ドリル装置1は、ドリルビット11のノズル孔が詰まった場合にピック状の工具を用いて異物等の除去が行われる。さらに、湿式回転ドリル装置1は、使用済みのエアゾール缶を廃棄する際に、このエアゾール缶に孔を穿けて内部に残留したガスを放出するために孔開け工具も用いられる。湿式回転ドリル装置1には、図3に示すようにこれらの工具81が添付品としてハンドル部材22の工具収納部78内に収納されて提供される。
【0105】
湿式回転ドリル装置1は、専用工具81をハンドル部材22の工具収納部78内に収納して提供するようにしたことにより、ドリル本体部5等に特別の収納スペースを確保することが不要とされ、装置の小型化が図られる。また、湿式回転ドリル装置1は、専用工具81を内部に収納することによって、穿孔作業中においても別の場所に置いた工具箱等から工具を取り出してくるといった煩わしさが解消され、作業効率の向上が図られる。
【0106】
湿式回転ドリル装置1においては、粉塵飛散防止機構13をガイドするドリルガイド機構14のスライド筒軸部材54を防塵筒部材55によって被覆するように構成したことにより、穿孔作業に際して粉塵飛散防止機構13に引掛り現象が生じること無くスムーズな動作が行われる。また、粉塵飛散防止機構13は、防塵カバー部材38のドリルヘッド10を貫通させるガイド孔38cのシーリングを行う弾性シール部材42を設けたことにより密閉性の向上が図られる。また、粉塵飛散防止機構13は、外径仕様を異にするドリルヘッド10を用いる場合においても全体の交換を不要とし、簡単な弾性シール部材42の交換によってその対応を可能とする。したがって、湿式回転ドリル装置1は、粉塵飛散防止機構13を多数個保有することを不要として保守コストの低減を図るとともに長期間使用した場合でも廉価な弾性シール部材42の交換によって密閉性が保持されて信頼性が維持される。
【0107】
また、湿式回転ドリル装置1においては、回転軸ロック機構15によって回転軸部材7をロック状態に保持することを可能とするとともにガイドロック機構15によって粉塵飛散防止機構13を完全ロック状態と中間ロック状態及びフリー状態とするように構成したことによって、ドリルヘッド10やドリルビット11の交換等の作業が簡易に行い得るようになり、操作性の大幅な向上が図られる。
【0108】
なお、上述した湿式回転ドリル装置1においては、壁面や天井面等に補修用の補修孔121を穿孔する場合について説明したが、その用途についはこれに限定されるものではないことは勿論である。
【0109】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明に係る湿式回転ドリル装置によれば、エアゾール缶内に液体を基材として低沸点の有機溶剤が混合されてなる液化状態の冷却剤を封装し、この冷却剤をドリルビットの先端部から噴射供給して壁面等に穿孔することから、低騒音、低振動での穿孔作業が行われるとともに、全体が小型、軽量で取り扱いが極めて簡単でかつ穿孔内の乾燥時間や段取り時間が短縮されて作業効率の向上が図られ、さらに高所作業においても作業者の安全性を確保することができる。また、湿式回転ドリル装置は、穿孔部から発生したゲル状粉塵の飛散や垂れ落ちを粉塵飛散防止機構によって確実に防止するようにしたことにより壁面や床等の汚損を大幅に抑制して後作業の合理化を図るとともに騒音も低減する。
【0110】
さらに、湿式回転ドリル装置は、弾性シール部材によって粉塵飛散防止機構の密閉性の向上を図るとともにこの弾性シール部材の交換によってドリルヘッドを交換に対応することから、交換作業の簡易化と保守コストの低減が図られる。粉塵飛散防止機構は、ドリルガイド機構によってスライド動作するが、スライド部が防塵カバー部材で被覆されて粉塵等の付着が抑制されることにより長期間使用した場合にもスムーズに動作してその機能が保持される。
【0111】
さらにまた、湿式回転ドリル装置は、回転軸ロック機構とガイドロック機構とを備えることによってドリルヘッドやドリルビットの交換作業を簡単に行い得るようにしたことによって取扱性の大幅な向上が図られる。さらにまた、湿式回転ドリル装置は、ビット位置決め機構によってドリルビットを安定した状態で穿孔部に突き当てるようにしたことにより、正確な穿孔と作業の簡易化を図る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る湿式回転ドリル装置の実施の形態を示し、一部を切欠いた要部側面図である。
【図2】同湿式回転ドリル装置の一部切欠き要部平面図である。
【図3】同湿式回転ドリル装置のドリル本体部の構成を説明する要部縦断面図である。
【図4】同ドリル本体部の要部拡大縦断面図であり、回転軸部材をフリーとした状態を示す。
【図5】同ドリル本体部の要部拡大縦断面図であり、回転軸ロック機構を操作して回転軸部材をロックした状態を示す。
【図6】同ドリル本体部の要部拡大縦断面図であり、特に回転軸部材の軸受機構の詳細を説明する図である。
【図7】同湿式回転ドリル装置に備えられる粉塵飛散防止機構等の支持部材を構成するベース部材を説明する正面図である。
【図8】同粉塵飛散防止機構の構成を説明する縦断面図である。
【図9】同湿式回転ドリル装置に備えられるドリルガイド機構とガイドロック機構の構成を説明する要部縦断面図であり、ガイドロック機構をフリー位置に設定した状態を示す。
【図10】同ガイドロック機構を説明する要部縦断面図であり、中間ロック位置に設定した状態を示す。
【図11】同ガイドロック機構を説明する要部縦断面図であり、完全ロック位置に設定した状態を示す。
【図12】同湿式回転ドリル装置に備えられるビット位置決め機構を説明する要部縦断面図である。
【図13】先願湿式回転ドリル装置の構成を説明する分解斜視図である。
【符号の説明】
1 湿式回転ドリル装置、2 駆動部、4 チャッキング機構、5 ドリル本体部、6 ハウジング、7 回転軸部材、8 スリーブ部材、9 スライド軸部材、10 ドリルヘッド、11 ドリルビット、12 冷却剤逆流防止弁部材、13 粉塵飛散防止機構、14 ドリルガイド機構、15 回転軸ロック機構、16 ガイドロック機構、17 ビット位置決め機構、37 ベース部材、38防塵カバー部材、39 第1のアタッチメント部材、40 第2のアタッチメント部材、42 弾性シール部材、45 粉塵収納容器、51 ゲージ機構、53 ドリルガイド機構のガイド筒部材、54 同スライド筒軸部材、55 防塵筒部材、60 回転軸ロック機構のロックレバー、61 同ロックピン、64ガイドロック機構のロックレバー、65 同切換カム部材、69 ビット位置決め機構のガイド筒部材、71 同スライド軸部材、72 位置決めピン、75ゲージ機構のガイド筒部材、76 同ゲージロッド、120 壁面、121 補修孔、122 冷却剤、123 ゲル状粉塵、
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