【発明の詳細な説明】
フィブリノゲン受容体拮抗物質
発明の分野
本発明は、血小板凝集を阻害する新規化合物、該化合物を含む医薬組成物、お
よび該化合物の使用法に関する。
発明の背景
血小板の凝集は、主に、インテグリンと称する付着レセプターの一種であるフ
ィブリノゲンレセプター、またはGPIIb-IIIa血小板レセプター複合体により
媒介されると考えられる。インテグリンレセプターの天然のリガンドは、しばし
ば、Arg-Gly-Asp配列を含有するタンパク質であることが判明している。GP
IIb−IIIaレセプターに関する天然のリガンドであると考えられるVon Wille
brandファクターおよびフィブリノゲンはその一次構造においてArg-Gly-Asp
(1文字のアミノ酸コードではRGD)配列を有する。機能的には、これらのタ
ンパク質は隣接する血小板のGPIIb-IIIaレセプターと結合および架橋し、そ
れにより、血小板の凝集を起こしうる。
フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンジンもまたGPIIb
-IIIaと結合することが立証されているRGD含有タンパク質である。フィブロ
ネクチンは血漿中に見いだされ、構造タンパク質として細胞内基質中に見いださ
れる。構造タンパク質およびGPIIb-IIIa間の結合は、血小板を損傷した血管
壁に付着させるように機能する。
ビトロネクチンに結合し、RGD配列を有する直鎖状および環状ペプチドが、
WO89/05150(PCT US88/04403)に開示されている。EP 0 275 748は、GPIIb-I
IIaレセプターに結合し、血小板凝集を阻害する直鎖状のテトラないしヘキサペ
プチドおよび環状ヘキサないしオクタペプチドを開示している。他の直鎖状およ
び環状ペプチドがEP-A 0 341 915に報告されており、その開示を出典明示により
本明細書の一部とする。しかし、このような阻害剤のペプチド状構造は、薬剤の
デリバリー、代謝安定性および選択性などにおいてしばしば問題を提起する。天
然のアミノ酸配列で構成されないフィブリノゲンレセプターの阻害剤がEP-A 0 3
72 486、EP-A 0 381 033およびEP-A 0 478 363に開示されている。WO92/07568(
PCT/US91/08166)は、単環式7員環構造を形成することによりRGD配列におけ
るγ−ターン構造を模倣したフィブリノゲンレセプター拮抗物質を開示している
。しかし、有効なin vivoおよびin vitro効果を有し、アミノ酸配列のペプチド
骨格構造を有しない新規フィブリノゲンレセプター拮抗物質(例えば、GPIIb
-IIIaタンパク質の阻害物質)が依然として必要とされている。
本発明は、新規化合物を開示する。これらの化合物はGPIIb-IIIaレセプタ
ーを阻害し、血小板の凝集を阻害する。
発明の要約
一態様において、本発明は以下の式(I)に記載するような化合物である。
本発明はまた、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる、血小
板凝集または血餅形成を抑制する医薬組成物でもある。
本発明はさらに、血小板凝集の抑制を必要とする哺乳動物における血小板凝集
の抑制法であって、有効量の式(I)の化合物を内部投与することからなる方法
である。
別の態様において、本発明はフィブリン溶解療法の後の哺乳動物における動脈
または静脈の再閉塞の抑制法であって、有効量のフィブリン溶解剤および式(I
)の化合物を内部投与することからなる方法を提供する。本発明はまた、卒中、
一過性虚血発作、および心筋梗塞の治療法である。
発明の詳細な記載
本発明は、血小板凝集を抑制する化合物を開示する。本発明の化合物は、GP
IIb-IIIaレセプターと有利に相互作用すると考えられる。
特定の作用機構と結び付けるものではないが、これらの化合物は、フィブリノ
ゲンの血小板結合フィブリノゲンレセプターGPIIb-IIIaとの結合を抑制し、
推定RGD結合部位の拮抗作用により他の付着タンパク質と相互作用すると考え
られる。
本発明の化合物は、式(I):
[式中、
R*は、
または
であり;
R1は、OR'またはNR'R'であり;
各R'は、独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
R"は、水素、C1-6アルキルまたはNR'R'であり;
XおよびQは、独立して、CHまたはNであり(ただし、XおよびQは、同時
にはNではない);
Dは、CHまたはNであり(ただし、SがNである場合、R"は、NR'R'で
ある);
Aは、NR'、O、S、C(O)またはCR'R'であり;
Yは、水素、C1-6アルキル、ハロ、CF3、CH2OR2、COR2、CONR2
R2、CO2R2、CN、アリール、ヘテロアリール、NR2R2、
NR2COR2、NR2CO2R2、NR2CONR2R2、NR2SO2R2、NO2、O
R2、S(O)0-2R2またはSO(0-2)CF3であり;
Zは、水素、C1-6アルキル、CH2OR2、CH2CO2R2、C2-6アルケニル
、C2-6アルキニル、アリール、アラルキルC1-6、ヘテロアリール、ヘテロアラ
ルキルC1-6、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、NR2COR2、N
R2CONR2R2、NR2CO2R2、NR2SO2R2、OR2、SO2R2またはSO2
NR2R2であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、アラルキルC1-6、アリール、ヘテロアラルキ
ルC1-6、またはヘテロアリールであり;
あり;
sは、1〜4であり;
nは、0〜3である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明の化合物の医薬上許容される付加塩、複合体またはプロドラッグも本発
明に含まれる。プロドラッグは、in vivoで式(I)に係る活性な親薬剤を放出
する共有結合した担体と考えられる。
本発明の化合物が1またはそれ以上のキラル中心を有する場合、特に記載しな
いかぎり、本発明は通常の技術により合成され、分割される各独自の非ラセミ化
合物を含む。化合物が不飽和二重結合を有する場合、シス(Z)およびトランス
(E)異性体の両方とも本発明の範囲に含まれる。特に記載しないかぎり、ある
一の場合のどの置換基の意味も他の場合でのその意味するところ、または他の置
換基の意味するところと無関係である。
式(I)に関しては、式(Ia)で示される化合物は:
[式中、
R1は、OR'またはNR'R'であり;
各R'は、独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
XおよびQは、独立して、CHまたはNであり(ただし、XおよびQは、同時
にはNではない);
Aは、NR'、O、S、C(O)またはCR'R'であり;
Yは、水素、C1-6アルキル、ハロ、CF3、CH2OR2、COR2、CONR2
R2、CO2R2、CN、アリール、ヘテロアリール、NR2R2、NR2COR2、
NR2CO2R2、NR2CONR2R2、NR2SO2R2、NO2、OR2、S(O)0-2
R2またはSO(0-2)CF3であり;
Zは、水素、C1-6アルキル、CH2OR2、CH2CO2R2、C2-6アルケニル
、C2-6アルキニル、アリール、アラルキルC1-6、ヘテロアリール、ヘテロアラ
ルキルC1-6、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2、NR2COR2、N
R2CONR2R2、NR2CO2R2、NR2SO2R2、OR2、SO2R2またはSO2
NR2R2であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、アラルキルC1-6、アリール、ヘテロアラルキ
ルC1-6、またはヘテロアリールであり;
nは、0〜3である]
で示されるものまたはその医薬上許容される塩である。
好ましくは、式(Ia)で示される化合物は、Zが水素、C1-6アルキル、CH2
OR2、CH2CO2R2、COR2、CONR2R2、CO2R2、NR2R2またはO
R2であり、R1がOR'であり、AがNR'であり、XおよびQが各々CHである
ものである。
本発明の好ましい化合物は、
3−[[4−[(4,4'−ビピペリジン−2−イル)カルボニル]フェニル]アミノ]
プロピオン酸;
(S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル]ア
スパラギン酸;
(S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル]ア
スパラギン酸アルファメチルエステル;および
(S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル]ア
スパラギン酸ガンマメチルエステル;
またはその医薬上許容される塩である。
前記において、C1-6アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネ
オペンチルおよびヘキシルならびにその単純な脂肪族異性体を包含することを意
図とする。
本明細書におけるC2-6アルケニルは、2ないし6個の炭素原子を有するアル
キル基の炭素−炭素単結合が炭素−炭素二重結合に置き換わっているものを意味
する。C2-6アルケニルは、エチレン、1−プロペン、2−プロペン、1−ブテ
ン、2−ブテン、イソブテンならびにペンテンおよびヘキセンのいくつかの異性
体を包含する。シスおよびトランス異性体の両方が包まれる。
C2-6アルキニルは、2ないし6個の炭素原子を有するアルキル基の炭素−炭
素単結合が炭素−炭素三重結合に置き換わっているものを意味する。C2-6アル
キニルは、アセチレン、1−プロピン、2−プロピン、1−ブチン、2−ブチン
、3−ブチンならびにペンチンおよびヘキシンの単純な異性体を包含する。
本明細書におけるアリールは、フェニルもしくはナフチル、または1ないし3
個のR11基により置換されているフェニルもしくはナフチルを意味する。特に、
R11は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、トリフルオロ
アルキル、OH、F、Cl、BrまたはIである。本明細書において用いるアラル
キルC1-6は、C1-6アルキル鎖に結合したアリール基を意味する。
ヘテロアリールは、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1ないし
3個のヘテロ原子を含有する所望により置換されていてもよい5もしくは6員芳
香族単環、または9もしくは10員二環であって、安定であり、通常の化学合成
により得られるものを示す。ヘテロアリールの例は、ベンゾフリル、ベンゾイミ
ダゾール、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、およびピリジンである。
化学合成により得られる安定なヘテロアリール環上のR11から選択されるような
3個までの置換基の組み合わせは本発明の範囲に含まれる。本明細書において用
いるヘテロアラルキルC1-6は、C1-6アルキル鎖に結合したヘテロアリール基を
意味する。
ある種の基は本明細書において略記する。t−Buは第三ブチル基を意味し、
Bocはt−ブトキシカルボニル基を意味し、Fmocはフルオレニルメトキシカル
ボニル基を意味し、Phはフェニル基を意味し、Cbzはベンジルオキシカルボニ
ル基を意味し、BrZはo−ブロモベンジルオキシカルボニル基を意味し、ClZ
はo−クロロベンジルオキシカルボニル基を意味し、Bzlはベンジル基を意味し
、4−MBzlは4−メチルベンジル基を意味し、Meはメチルを意味し、Etはエ
チルを意味し、Acはアセチルを意味し、AlkはC1-6アルキルを意味し、Nphは
1−または2−ナフチルを意味し、cHexはシクロヘキシルを意味する。MeArg
はNα−メチル−アルギニンを意味する。Tetは5−テトラゾリルを意味する。
ある種の試薬は本明細書において略記する。DCCはジシクロヘキシルカルボ
ジイミドを意味し、DMAPはジメチルアミノピリジンを意味し、DIEAはジ
イソプロピルエチルアミンを意味し、EDCはN−エチル−N'(ジメチルアミノ
プロピル)−カルボジイミドを意味する。HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾールを意味し、THFはテトラヒドロフランを意味し、DMFはジメチルホル
ムアミドを意味し、NBSはN−ブロモスクシンイミドを意味し、Pd/Cは炭
素上パラジウム触媒を意味し、PPAは1−プロパンホスホン酸環状無水物を意
味し、DPPAはジフェニルホスホリルアジドを意味し、BOPはベンゾトリア
ゾール−1−イルオキシートリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロ
ホスフェートを意味し、HFはフッ化水素酸を意味し、TEAはトリエチルアミ
ンを意味し、TFAはトリフルオロ酢酸を意味し、PCCはクロロクロム酸ピリ
ジニウムを意味する。
式(I)の化合物は、一般に、式(II)の化合物を、式(III)の化合物と反
応させ:
[式中、Y、A、Z、n、R1およびR*は式(I)におけると同意義であり、い
ずれの反応性官能基も保護されている];
その後にいずれの保護基も除去し、所望により医薬上許容される塩を形成する
ことにより調製する。
式(II)におけるL1の正確な意義は、式(III)のL2と反応してNCO結合
を形成できる官能基であることは明らかである。例えば、L1はCO2Hであり、
カルボキシルの活性化および(III)との縮合によりNCO結合を得て、所望の
アミドを得る。アミドとの縮合のためのカルボン酸の活性化法は、カルボジイミ
ドでの処理、酸塩化物を形成するための塩化チオニルでの処理、または混合無水
物を形成するための酸無水物、酸塩化物またはクロロギ酸塩での処理を包含する
。
他の方法においては、L1はブロモ、ヨード、トリフルオロメチルスルホニル
オキシなどであり、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、トルエン
などの適当な溶媒中、(II)の(III)および一酸化炭素でのパラジウム−触媒
アミノカルボニル化によりNCO結合を形成する。
さらに多くのカルボン酸のアミドへの変換法が公知であり、“Compendium of
Organic Synthetic Methods",Vol.I〜VI(Wiley-Interscience)などの標準参
考書を含む当該技術分野において見ることができる。
式(I)の化合物はスキーム1および2に記載したのと類似の方法により調製
される。
a)アクリル酸エチル、HOAc;b)EDC、HOBT、Et3N、DMF、1−
Boc−4,4'−ビピペリジン;c)HCl、ジオキサン;d)NaOH、H2O、M
eOH。
Chem.Ber.,91.2239.1958における記載に従って、酢酸エチル中アクリル酸
エチルへの4−(カルボキシ)アニリン(1−1)のミカエル(Michael)型添加
によって、3−[4−(カルボキシ)フェニル]アミノ]プロピオン酸エチル(1−
2)を製造した。(1−2)中のカルボキシルを、ジメチルホルムアミド中、1−
(3−ジメチルアミノプロピル)−2−エチルカルボジイミド塩酸塩、1−ヒドロ
キシベンゾトリアゾール水和物およびトリエチルアミンで活性化し、WO 94/1477
6の開示に従って製造した1−Boc−4,4'−ビピペリジンで結合させる。得ら
れた(1−3)におけるBoc保護基をジオキサン中塩化水素で除去した。別法とし
ては、トリフルオロ酢酸などのBocまたはCbzもしくはCF3COなどのBoc以
外の保護基を除去する他の方法を用いることもできた。エチルエステルを水性メ
タノール中水酸化ナトリウムで鹸化して、(1−4)を得た;別法としては、該エ
ステルを他の金属の水酸化物または炭酸塩を用いてカルボン酸に転換させること
ができる。
a)(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)コハク酸ジメチル、CH2
Cl2;b)スキーム1を参照;c)NaOH、H2O、CH2OH;d)HCl、ジオ
キサン。
化合物(1−1)を、Liebigs Ann.Chem.1986,314-333(1986)の開示に従っ
て製造した(R)−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)コハク酸ジメチル
と縮合させて、(2−5)を得、これを、スキーム1に記載の1−Boc−4,4'−
ビピペリジンとカップリングさせて、(2−6)を得た。水性メタノール中、メチ
ルエステルを水酸化ナトリウムにより鹸化し、次いで、ジオキサン中、塩化水素
でBoc基を除去して、(2−7)を得た。
本発明において用いるカップリング剤は、アミド結合を形成するために用いら
れる試薬を意味する。典型的なカップリング法では、カルボジイミド、活性化無
水物およびエステルおよびハロゲン化アシルを用いる。EDC、DCC、DPP
A、PPA、BOP試薬、HOBt、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび塩化
オキサリルなどの試薬が代表的である。
アミド結合を形成するカップリング法は当該分野において周知である。一般に
、Bodansky et al.,THE PRACTICE OF PEPTIDE SYNTHESIS,Springer−Verlag,
Berlin,1984、Ali et al.,J.Med.Chem.,29,984(1986)およびJ.Med.Chem.
,30,2291(1987)に記載されたペプチド合成法は一般的な技術例であり、出典
明示により本明細書の一部とする。
アミド結合を形成する溶液合成は、アミド結合を形成するのに用いられる常法
を用いて達成される。典型的には、アミンまたはアニリンをその遊離アミノ基に
より、N,N'ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの適当なカルボジ
イミドカップリング剤を用い、所望により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(
HOBt)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)などの触媒の存在下に、
適当なカルボン酸と結合させる。他の方法、例えば適当に保護した酸基質の遊離
カルボキシルの活性化エステル、無水物または酸ハロゲン化物の形成、およびそ
れに続く適当に保護した遊離アミンとの所望により塩基の存在下での反応も適切
である。例えば、保護したBoc−アミノ酸またはCbz-アミジノ安息香酸を塩化
メチレンまたはテトラヒドロフラン(THF)などの無水溶媒中、N−メチルモ
ルホリン、DMAPまたはトリアルキルアミンなどの塩基の存在下、クロロギ酸
イソブチルで処理して、「活性化無水物」を形成し、これを続いて第二の保護し
たアミノ酸またはアニリンの遊離アミンと反応させる。
各合成フラグメントの側鎖の反応性官能基を当該分野において公知のように適
当に保護する。適当な保護基は当該分野で公知のように適当に保護される。適当
な保護基は、Greene,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC CHEMISTRY,John Wiley
and Sons,New York,1981に開示されている。例えば、Boc、Cbz、フタロイル
またはFmoc基はアミノまたはアミジノ基の保護に用いられる。Boc基は、一般
に、α−アミノ基の保護に好ましい。t−Bu、cHexまたはベンジルエステルは
側鎖カルボキシルの保護に用いられる。ベンジル基または適当に置換されたベン
ジル基(例えば、4−メトキシ−ベンジルまたは2,4−ジメトキシ−ベンジル
)はメルカプト基またはヒドロキシル基を保護するために用いられる。適当に置
換されたカルボベンジルオキシ基またはベンジル基もヒドロキシル基またはアミ
ノ基について用いられる。カルボベンジルオキシまたはベンジル保護基の適当な
置換は、クロロ、ブロモ、ニトロまたはメチルでのオルトおよび/またはパラ置
換であり、保護基の反応性を修飾するために用いられる。Boc基を除いて、アミ
ノ基の保護基は、最も好都合には、緩酸処理によって除去されないものである。
これらの保護基は、当該分野で公知のように、接触水素添加、液体アンモニア中
ナトリウムまたはHF処理などにより除去される。
本発明の化合物の酸付加塩は、親化合物および塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン
酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸などの過剰の酸から適
当な溶媒中、標準的方法で調製される。酢酸塩の形が特に有用である。ある種の
化合物は許容できる内部塩または双性イオンを形成する。カチオン性塩は、親化
合物を、適当なカチオンを含有する水酸化物、炭酸塩またはアルコキシドなどの
過剰のアルカリ性試薬;または適当な有機アミンで処理することにより調製され
る。Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++およびNH4 +などのカチオンは医薬上許容
される塩において存在するカチオンの例である。
本発明は、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる医薬組成物
を提供するものである。したがって、式(I)の化合物は医薬の製造において用
いられる。すでに記載したようにして調製した式(I)の化合物の医薬組成物を
非経口投与用溶液剤または凍結乾燥粉末剤として処方してもよい。粉末剤は使用
前に適当な希釈剤または他の医薬上許容される担体を添加することにより復元さ
れうる。液体処方物は緩衝等張水性溶液である。適当な希釈剤の例は、通常等張
生理食塩水、標準水中5%デキストロースまたは緩衝酢酸ナトリウムもしくはア
ンモニウム溶液である。このような処方物は特に非経口投与に適当であるが、経
口投与用にも用いられ、また吸入用の目盛付吸入器またはネブライザにいれても
よい。ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アラビアガム
、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナト
リウムなどの賦形剤を添加するのが望ましい。
別法として、本発明の化合物は経口投与用にカプセル化、打錠または乳剤もし
くはシロップに調製される。医薬上許容される固体または液体担体を添加して、
組成物を向上または安定化させるか、または組成物の調製を容易にすることがで
きる。固体担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白陶土、
ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アラビアガ
ムまたはゼラチンを包含する。液体担体は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油
、生理食塩水および水を包含する。担体は、また、モノステアリン酸グリセリル
またはジステアリン酸グリセリルなどの除放性物質を単独またはワックスと共に
含む。固体担体の量は一定でないが、好ましくは、単位投与量あたり約20mgな
いし約1gの間である。医薬製剤は、錠剤の形態に関しては粉砕、混合、顆粒化
、および必要ならば圧縮;ゼラチン硬カプセル形態に関しては粉砕、混合および
充填を含む通常の調剤技術にしたがって調製される。液体担体を用いる場合、製
剤はシロップ、エリキシル、乳剤または水性もしくは非水性懸濁剤の形態にされ
る。このような液体処方物は、経口で直接、またはゼラチン軟カプセルに充填し
て投与される。
経直腸投与の場合、本発明の化合物はまた、カカオ脂、グリセリン、ゼラチン
またはポリエチレングリコールなどの賦形剤と組み合わせ、坐剤に成型してもよ
い。
本発明の化合物は、例えば貯蔵、または診断または研究用途などにおけるex v
ivo操作用にin vitroで血液または血液製剤中の血小板の凝集の阻害に用いられ
る。
本発明は、また、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集および血餅形成の阻
害法であって、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を内部投与するこ
とからなる方法を提供する。このような療法の適応症は、急性心筋梗塞(AMI
)、深静脈血栓症、肺塞栓症、解離性動脈瘤、一過性虚血発作(TIA)、卒中
および他の梗塞関連障害、および不安定アンギナが挙げられる。播種性血管内凝
固(DIC)、敗血症、手術または感染性ショック、手術後および分娩後外傷、
心肺バイパス手術、不適合輸血、常位胎盤早期剥離、血栓性血小板減少性紫斑病
(TTP)、ヘビ毒および免疫病などの慢性または急性の高凝集性はこのような
治療に反応しやすい。さらに、本発明の化合物は、転移状態の予防、免疫刺激を
起こす真菌性または細菌性感染症の予防または治療、鎌状赤血球病の治療、およ
び骨吸収が要因である病気の予防または治療法において有用である。
式(I)の化合物を患者に、血漿中の薬剤濃度が血小板凝集またはこのような
他の適応症を阻害するのに十分な濃度になるように経口または非経口投与する。
該化合物を含有する医薬組成物を、約0.2ないし約50mg/kgの用量で、患者
の症状にあうように投与する。急性療法の場合、非経口投与が好ましい。高凝集
状態の持久性状態に関しては、水中5%デキストロースまたは通常生理食塩水中
のペプチドの静脈内輸液がもっとも有効であるが、筋肉内ボーラス注射で十分で
ある。
慢性であるが、重篤でない血小板凝集の状態に関しては、カプセルまたは錠剤
の経口投与またはボーラス筋肉内注射が適当である。本発明の化合物を一日につ
き1ないし4回、約0.4ないし約50mg/kgのレベルで投与して、合計約0.4
〜約200mg/kg/日の日用量を達成する。
本発明はさらにフィブリン溶解療法後の動脈または静脈の再閉塞の阻害法であ
って、式(I)の化合物およびフィブリン溶解剤を内部投与することからなる方
法を提供する。フィブリン溶解療法においてペプチドの投与が、再閉塞を完全に
防止するかまたは再閉塞までの時間を延長させることが判明した。
本発明の範囲において用いる場合、フィブリン溶解剤は、天然または合成製品
のいずれであっても、フィブリン血餅の溶解を直接または間接的におこす化合物
を意味する。プラスミノーゲン活性化因子はフィブリン溶解剤の周知のものであ
る。有用なプラスミノーゲン活性化因子としては、例えば、アニストレプラーゼ
、
ウロキナーゼ(UK)、プロ−ウロキナーゼ(pUK)、ストレプトキナーゼ(S
K)、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、および化学的に修飾されてい
るかまたは1以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されているかまたは1個の
プラスミノーゲン活性化因子の活性部位を他のプラスミノーゲン活性化因子また
はフィブリン結合分子のフィブリン結合領域と結合させることにより1以上の官
能領域が付加、欠失または変更されているその変異体などのプラスミノーゲン活
性化剤活性を保持する突然変異体または変異株が挙げられる。他の変異株の例と
しては、1以上のグリコシル化部位が変更されているtPA分子が挙げられる。
プラスミノーゲン活性化因子のうち好ましいのは、第一アミノ酸配列が成長因子
領域でプラスミノーゲン活性化因子の血清半減期が増加するように変更されてい
るtPA変異株である。tPA成長因子変異株は、例えば、Robinson et al.,EP-
A 0 297 589 および Browne et al.,EP-A 0 240 334 に開示されている。他の
変異株は、ハイブリッドタンパク、例えば、EP 0 028 489、EP 0 155 387および
EP 0 297 882に開示されているものを包含し、その開示をすべて出典明示として
本明細書の一部とする。アニストレプラーゼは、本発明における使用に好ましい
ハイブリッドタンパクである。フィブリン溶解剤は、天然源から単離されるが、
通常は遺伝子工学の伝統的方法により産生される。
tPA、SK、UKおよびpUKの有用な処方は、例えばEP-A 0 211 592、EP-A
0 092 182および米国特許番号4,568,543に開示されており、その開示をすべて
出典明示として本明細書の一部とする。典型的には、フィブリン溶解剤は、水性
緩衝等張溶液、例えば、酢酸またはアジピン酸ナトリウムまたはアンモニウム緩
衝液(pH3.5ないし5.5)中に処方される。ポリビニルピロリドン、ゼラチ
ン、ヒドロキシセルロース、アラビアガム、ポリエチレン、グリコール、マンニ
トールおよび塩化ナトリウムなどの別の賦形剤を添加してもよい。このような組
成物は凍結乾燥できる。
医薬組成物は、式(I)の化合物およびフィブリン溶解剤の両方を同一容器中
に処方してもよいが、別の容器内に処方するのが好ましい。両方の薬剤を溶液形
態にした場合、これは同時投与または連続投与用の輸液/注射系にしてもよい。
このような療法の適応症としては、心筋梗塞、深静脈血栓症、肺塞栓症、卒中
および他の梗塞関連障害がある。式(I)の化合物をtPAまたは他のフィブリ
ン溶解剤の非経口投与の直前、同時、または直後に投与する。ペプチドでの治療
を、療法後の再閉塞を最大限に阻害する再潅流が確立された後十分な期間続ける
のが望ましいことが判明している。tPA、SK、UKまたはpUKの有効用量は
、0.5ないし5mg/kgで、本発明の化合物の有効用量は、約0.1ないし25mg
/kgである。
阻害剤およびフィブリン溶解剤を同時または別々に都合よく投与するために、
1個の容器、例えば箱、カートンまたは他の容器、個別のビン、袋、バイアルま
たは他の容器であって、それぞれに前記の有効量の非経口投与用阻害剤および前
記の有効量の非経口投与用のtPAまたは他のフィブリン溶解剤を入れたものか
らなるキットが調製される。このようなキットは、例えば、別々の容器または同
一の容器中に両医薬を含み、所望により凍結乾燥プラグおよび復元用溶液の容器
を含んでもよい。これのバリエーションは、復元用溶液および凍結乾燥プラグを
1個の容器の2つの部分に含み、使用前に混合できるものを包含する。このよう
にして、フィブリン溶解剤および本発明の化合物を別々に、2個の容器中に包装
したり、一緒に凍結乾燥して粉末にし、1個の容器中に包装できる。
両薬剤が溶液形態にされる場合、これらは同時投与または連続投与用輸液/注
射系で含有され得る。例えば、血小板凝集阻害剤は、静脈内注射可能な形態、ま
たはチューブで一列に別の輸液バッグ内のフィブリン溶解剤につながった輸液バ
ッグに入れてもよい。このような系を用いて、患者は、ペプチド阻害剤の初回ボ
ーラス注射または輸液を受け、続いてフィブリン溶解剤の輸液を受ける。
本発明の化合物の薬理活性を、3H−SK&F107260(公知のRGD−
フィブリノゲン拮抗剤)のGPIIb-IIIaレセプターとの結合を阻害する能力;
in vitroで血小板凝集を阻害する能力およびin vivoでの血栓形成を阻害する能
力により評価する。
RGD−媒介GPIIb−IIIa結合の阻害
GPIIb−IIIaの精製
10単位の古い洗浄したヒト血小板(赤十字より入手)を3%オクチルグルコ
シド、20mM Tris−HCl、pH7.4、140mM NaCl、2mM CaCl2中
、4℃で2時間穏やかに撹拌することにより溶解させた。溶解物を100,00
0gで1時間遠心分離した。得られた上清を20mM Tris−HCl、pH7.4、
100mM NaCl、2mM CaCl2、1%オクチルグルコシド(緩衝液A)で予
め平衡化した5mL レンズ豆レクチンセファロース4Bカラム(イー・ワイ・
ラブズ(E.Y.Labs))にかけた。2時間インキュベートした後、カラムを冷
緩衝液A 50mLで洗浄した。レクチン保持GPIIb-IIIaを10%デキストロ
ースを含有する緩衝液Aで溶離した。全工程は4℃で行った。得られたGPIIb
-IIIaはSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で示されるように純度>95%
であった。
リポソーム中のGPIIb-IIIaの取り込み
ホスファチジルセリン(70%)およびホスファチジルコリン(30%)の混
合物(アバンティ・ポーラー・リピッズ(Avanti Polar Lipids))を窒素流
下でガラス管の壁で乾燥させた。精製GPIIb-IIIaを希釈して最終濃度0.5m
g/mLにし、タンパク質:リン脂質比1:3(w:w)でリン脂質と混合した。
混合物を再懸濁し、5分間浴超音波処理装置で超音波処理した。混合物を次に1
000倍過剰の50mM Tris−HCl、pH7.4、100mM NaCl、2mM
CaCl2に対して12,000−14,000分子量カットオフ透析管を用いて一
夜透析した(2回交換)。GPIIb-IIIa含有リポソームを12,000gで15
分間遠心分離し、最終タンパク質濃度約1mg/mLで透析緩衝液中に再懸濁した
。リポソームを必要になるまで−70℃で保存した。
GPIIb-IIIaに対する競合的結合
フィブリノゲンレセプター(GPIIb-IIIa)に対する結合を[3H]−SK&
F−107260をRGDタイプリガンドとして用いて間接的競合結合法により
試験した。結合検定を96ウェル濾過プレートアセンブリ(マサチューセッツ州
ベッドフォードのミリポア・コーポレイション(Millipore Corporation))
中、0.22um親水性耐久性膜を用いて行った。ウェルを10μg/mLポリリシ
ン
(ミズーリ州セントルイスのシグマ・ケミカル(Sigma Chemical Co.))0.
2mLで室温で1時間予めコートし、非特異性結合をブロックした。種々の濃度
の非標識ベンズアジアザピンを四重反復でウェルに添加した。[3H]−SK&F
−107260を各ウェルに4.5nMの最終濃度で添加し、続いて1μgの精製
血小板GPIIb-IIIa含有リポソームを添加した。混合物を室温で1時間インキ
ュベートした。GPIIb-IIIa結合[3H]−SK&F−107260をミリポア
・フィルトレーションマニホールドを用いた濾過により非結合体から分離し、続
いて氷冷緩衝液で洗浄した(2回、各0.2mL)。フィルター上に残存する結合
放射能をレディー・ソルブ(Ready Solve)(カリフォルニア州フラートンのベ
ックマン・インスツルメンツ(Beckman Instruments))1.5mL中、ベック
マン・リキッド・シンチレーション・カウンター(LS6800型)でカウント
した(効率40%)。非特異性結合を2μM非標識SK&F−107260の存
在下で測定し、これは一貫してサンプルに添加された全放射能の0.14%未満
であった。全データは四重反復試験の測定値の平均である。
競合的結合データを非線形最小二乗曲線適合法により分析した。この方法によ
り、拮抗物質のIC50([3H]−SK&F−107260の特異性結合を平衡状
態で50%まで阻害する拮抗物質の濃度)が得られる。IC50をチェンおよびプ
ルソフの式(Cheng and Prusoff equation):Ki=IC50/(1+L/Kd)(
式中、Lは競合的結合検定に用いた[3H]−SK&F−107260の濃度(4.
5nM)であり、Kdは[3H]−SK&F−107260の解離定数であり、スキ
ャッチャード(Scatchard)分析により測定すると4.5nMである)に基づいて
拮抗物質の平衡解離定数(Ki)に関連させる。本発明の化合物は[3H]−SK&
F−17260のKiとの結合を約2.0マイクロモルないし約20.0マイクロ
モルの範囲で阻害する。
血小板凝集の阻害
血小板凝集の阻害をNichols,et al.,Thrombosis Research,75,143(1994
)に記載された方法に従って測定した。血液を、過去14日以内にシクロオキシ
ゲナーゼ阻害物質を摂取していない正常人ボランティアの前腕前部静脈から採血
し、
9部の血液に対して1部の3.8%クエン酸三ナトリウムを含有するプラスチッ
クシリンジ中にいれた。血小板に富む血漿を、室温で10分間200gで遠心分
離することにより調製した。血小板に富む血漿を抜取り、残りの血液を室温で5
分間2400gで遠心分離することにより血小板の少ない血漿を調製した。血小
板数をZB1型コールター・カウンター(フロリダ州ハイアレアのコールター・
エレクトロニクス・インコーポレイテッド(Coulter Electronics Inc.))
で測定し、血小板の少ない血漿を用いて300,000/μlに調節した。120
0r.p.m.で撹拌し、37℃に維持した血小板に富む血漿と100%透過標準とし
て血小板の少ない血漿を用いて、クロノ−ログ400VS型ルミ・アグリゴメー
ター(ペンシルベニア州ハーヴァータウンのクロノ−ログ(Chrono−Log))
において血小板凝集を研究した。アデノシン二リン酸塩(10μM)の最大濃度
により誘発される、光透過における最大変化として測定した、化合物の血小板凝
集を阻害する能力に関する濃度−応答曲線を作製し、作用物質に対する応答の5
0%阻害を得るのに要する拮抗物質の濃度としてIC50を測定した。
血小板凝集のin vivo阻害
血栓形成のin vivo阻害は、Aiken et al.,Prostaglandins,19,629(1980)
に記載されている方法にしたがって、麻酔したイヌにペプチドを注入し、全身性
および血液力学的効果を記録することにより示す。
一般論
質量分析は、PE Syx API III質量分析器で、電子スプレー(ES)イオ
ン化技術を用いて行った。フラッシュおよび重力クロマトグラフィーをイー・メ
ルク・キーゼルゲル60(230〜400メッシュ)シリカゲル上で行った。O
DSはオクタデシルシリル誘導シリカゲルクロマトグラフィー支持体を意味する
。セライト(Celite)は酸洗浄珪藻土シリカからなる濾過助剤であり、コロラ
ド州デンバーのマンビル・コーポレイション(Manville Corp.)の登録商標で
ある。
実施例1
3−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニルアミノ]プ ロピオン酸・塩酸塩の製造
a)3−[4−(カルボキシ)フェニルアミノ]プロピオン酸エチル
4−アミノ安息香酸(6,85g、0.05モル)およびアクリル酸エチル(1
5g、0.15モル)の酢酸(40mL)中溶液を100℃に15時間加熱した。
形成した固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させて、標記化合物を得た(7
.5g、63%)。
b)3−[4−[1'−(tert−ブトキシカルボニル)−(4,4'−ビピペリジン−
1−イル)カルボニル]フェニルアミノ]プロピオン酸エチル
実施例1(a)の化合物(1.2g、5.5ミリモル)のジメチルホルムアミド
(30mL)中溶液を冷却し、撹拌し、1−(3−ジメチルアミノプロピル−3−
エチルカルボジイミド塩酸塩(0.96g、5ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール水和物(0.68g、5ミリモル)およびトリエチルアミン(1.5m
L、15ミリモル)、次いで、1−(etrt−ブトキシ)−4,4'−ビピペリジン(
1.3g、5ミリモル)で処理した。混合物を44時間撹拌し、濃縮し、水で希釈
し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、
濃縮し、得られた油状物をクロマトグラフィー(シリカゲル、0.5−1.0%メ
タノール:ジクロロメタン)に付して、標記化合物(1.4g)を得た。
c)3−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニルアミ
ノ]プロピオン酸エチル
実施例1(b)の化合物(1.4g、2.9ミリモル)のジクロロメタン (30m
L)中溶液をジオキサン(12mL)中4M塩化水素で処理し、16時間撹拌した
。該混合物を濃縮し、残留物をエーテルと一緒に粉砕し、濾過して、塩酸塩とし
て標記化合物を得た。該塩を水酸化アンモニウムおよび酢酸エチルで処理した。
有機層を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濃縮して、無色油状物として標記化合
物を得(0.8g、73%)、放置して結晶化させた。MS(ES)m/e 388
[M+H]+。
d)3−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニルアミ
ノ]プロピオン酸
実施例1(c)の化合物(0.75g、2.1ミリモル)のメタノール(20mL)
中溶液を0.95N水酸化ナトリウム(6mL)で処理し、5時間撹拌した。混合
物を希塩酸で処理し、一部濃縮し、得られた混合物をXAD−2カラムに負荷し
、30%アセトニトリル:水で希釈した。溶出液を濃縮し、凍結乾燥させて、標
記化合物を得た。MS(ES)m/e 360[M+H]+。元素分析(C20H29N3
O3.HCl):理論値:C,55.61;H,7.93;N,9.73、測定値:C,5
5.40;H,7.82;N,9.31。
実施例2
( S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル]ア スパラギン酸・塩酸塩の製造
a)(S)−N−[4−(カルボキシ)フェニル]アスパラギン酸ジメチル
無水トリフリック酸(6mL、35ミリモル)のジクロロメタン(70mL)中
冷溶液を(R)−マレイン酸ジメチル(5.2g、32ミリモル)およびピリジン
(39ミリモル)のジクロロメタン(20mL)中溶液で滴下処理した。溶液を
室温に加温し、2時間撹拌した。4−アミノ安息香酸(9.7g、78.3ミリモ
ル)を一度に添加し、混合物を3日間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空濃
縮した。残留物をクロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノール/ジクロ
ロメタン)に付して精製し、該生成物を含有するフラクションをプールし、真空
濃縮し、ヘキサンと一緒に一晩撹拌した。該物質をクロマトグラフィー(シリカ
ゲル、10%メタノール/ジクロロメタン)に付して、標記化合物(4g、40
%)を得た。
b)(S)−N−[4−[1'−(tert−ブトキシカルボニル)−(4,4'−ビピペリ
ジン−1−イル)カルボニル]フェニル]アスパラギン酸ジメチル
実施例1(a)の化合物の代わりに実施例2(a)の化合物を用いる以外は、実施
例1(b)の方法に従って、標記化合物を得た。
c)(S)−[4−[1'−(tert−ブトキシカルボニル)−(4,4'−ビピペリジン
−1−イル)カルボニル]フェニル]アスパラギン酸
実施例2(b)の化合物(100mg、0.2ミリモル)のメタノール(1mL)お
よび水(0.5mL)中溶液を1N NaOH(0.5mL)で処理し、撹拌した。混
合物を真空濃縮し、水および酢酸中に取り、凍結乾燥させて、標記化合物を得た
。
d)(S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニ
ル]アスパラギン酸・塩酸塩
実施例2(c)の化合物をシオキサン(5mL)中の4M塩化水素中で1.5時間
撹拌した。混合物を真空濃縮し、残留物をエーテルと一緒に粉砕した。固体を水
中に取り、XADカラムに負荷し、水、次いで、50%アセトニトリル水溶液で
溶離した。該生成物を含有するフラクションをプールし、真空濃縮して、標記化
合物を得た。MS(ES)m/e 404[M+H]+。
実施例3
( S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル]ア スパラギン酸アルファおよびガンマメチルエステルの製造
a)(S)−N−[4−[1'−(tert−ブトキシカルボニル)−(4,4'−ビピペリ
ジン−1−イル)カルボニル]フェニル]アスパラギン酸アルファおよびガンマメ
チルエステル
実施例2(b)の化合物(1.36mg、2.6ミリモル)のメタノール(5mL)
および水(2mL)中溶液を1N NaOH(2.6mL)で処理し、撹拌した。混
合物を真空濃縮し、水および酢酸中に取り、凍結乾燥させた。残留物をクロマト
グラフィー(C18−シリカゲル、50%アセトニトリル/水−0.1%トリフ
ルオロ酢酸)に付し、該生成物を含有するフラクションをプールし、真空濃縮し
て、標記化合物を得た。
b)(S)−N−[4−[(4,4'−ビピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニ
ル]アスパラギン酸アルファおよびガンマメチルエステル
実施例2(c)の化合物の代わりに実施例3(a)の化合物を用いる以外は、実施
例2(d)の方法を用いて、標記化合物を得た。MS(ES)m/e 418[M+H
]+。
実施例4
非経口投与用単位組成物
無菌乾燥粉末として実施例1の化合物20mgを含有する調製物を以下のとおり
調製する:化合物20mgを無菌水15mLに溶解させる。該溶液を無菌条件下で
25mLのマルチ投与用アンプル中に濾過し、凍結乾燥させた。粉末を、静脈内
注射用または筋肉内注射用の水中5%デキストロース(D5W)20mLを添加
して復元する。これにより、投与量を注射容量によって決定する。計量したこの
投与量をさらなる注射用D5Qに添加することによって、連続希釈を調製するか
、または、計量した投与量を、IVドリップ輸液または他の注射−輸液システム
のためのビンまたはバッグなどの薬物を消費するための別のメカニズムに添加し
てもよい。
実施例5
経口投与単位組成物
実施例1の化合物50mgをラクトース75mgおよびステアリン酸マグネシウム
5mgと一緒に混合し、粉砕することによって、経口投与用カプセル剤を調製する
。得られた粉末をふるいにかけ、ゼラチン硬カプセル中に充填する。
実施例6
経口投与単位組成物
スクロース20mg、硫酸カルシウム二水和物150mgおよび実施例1の化合物
50mgを10%ゼラチン溶液と一緒に混合し、顆粒化することによって経口投与
用錠剤を調製する。湿顆粒をふるいにかけ、乾燥させ、デンプン10mg、タルク
5mgおよびステアリン酸3mgと混合し、錠剤に打錠する。
前記実施例は、本発明の化合物の製造法および使用法を説明するものである。
しかしながら、本発明は、本明細書に記載した精密な具体例に限定されるもので
はなく、以下の請求の範囲の範囲内で全ての変形を包含するものである。