JPH11243921A - 魚介類、甲殻類又は畜肉類すり身の製造法 - Google Patents

魚介類、甲殻類又は畜肉類すり身の製造法

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JPH11243921A
JPH11243921A JP10071446A JP7144698A JPH11243921A JP H11243921 A JPH11243921 A JP H11243921A JP 10071446 A JP10071446 A JP 10071446A JP 7144698 A JP7144698 A JP 7144698A JP H11243921 A JPH11243921 A JP H11243921A
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Yoshito Sugino
芳人 杉野
Mitsuo Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物汚染の少ない低脂肪で高蛋白な栄養価
の高いソフトな食感を有する高品質な魚介類、甲殻類又
は畜肉類食品を提供する。 【解決手段】 魚介類若しくは甲殻類の落し身又は畜類
の肉に、該落し身又は畜類の肉100 重量部に対して1.0
〜6.0 重量部のエタノールと0.2 〜1.0 重量部のアルカ
リ性物質とを加えて100torr 以下の真空下で擂潰してす
り身を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚介類、甲殻類又
は畜肉類すり身の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開昭51−86163号公報には原料
魚肉100 部に対してエタノールを1〜6部添加すること
により殺菌処理する方法が開示されている。また、特開
平7−67587号公報には無晒の魚介類の魚肉、畜類
肉等の処理肉をアルカリ剤溶液で添加処理することによ
り、保水性に優れ、解凍後のドリップの生成を防ぐこと
ができ、旨味成分を維持できる蛋白食品が開示されてい
る。また、特開昭53−142561号公報には魚介類
微細肉に蛋白分解酵素活性を有する物質を添加すること
により蒲鉾様の歯ごたえがなく、形態、風味、色沢、食
感ともに優れた水産動物肉状組織食品を得る方法が開示
されている。また、特公昭54−14174号公報には
アルカリを添加してpH6.5 〜7.0 に調整した細砕魚肉を
リパーゼ処理することにより、魚肉中のアクトミオシン
を損なうことなく足の形成を防ぐと共に酸化着色の原因
となっている脂肪等が除去されたすり身を製造する方法
が開示されている。さらに、特開平6−113796号
公報には水の量を増やしても保水性、成形性を有して品
質が向上したトランスグルタミナーゼ及び有機酸のアル
カリ土類金属塩を含有する練り製品用酵素製剤が開示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、魚肉すり身
は、水晒し工程においてアミノ酸を中心とする呈味成分
や成人病の予防によいとされるタウリン、EPA及びD
HA等の有効成分が失われ、また、畜肉類は、加工でき
る食品の形態に限りがあるという現況にあって、高齢化
社会の進行にともない、微生物汚染の少ない低脂肪で高
蛋白な栄養価の高いソフトな食感を有する高品質な魚介
類、甲殻類又は畜肉類食品の開発が要請されているが、
前記各処理方法によるすり身加工食品では当該要請を満
足させるものではなかった。
【0004】そこで、本発明者等は、前記要請に応じる
ことができるしなやかな弾力性を有し、高保水性であ
り、栄養価の高いすり身加工食品の材料として好適なす
り身を提供することを技術的課題として、その具現化を
はかるべく研究、実験を重ねてきた。
【0005】先ず、本発明者等が行った各種試験例を以
下に挙げる。
【0006】真空下での処理による効果についての試
験。
【0007】サケの落し身100 重量部に食塩2重量部、
砂糖5重量部及び氷水20重量部を加えて混合した後、真
空度を調節できる真空デシケータ中に設置したフードプ
ロセッサで、真空度10,50,100 ,380 及び760torr 下
で5分間擂潰して各すり身を調製した。
【0008】前記各すり身をそれぞれチューブに詰め、
温度90℃で30分間加熱して蒲鉾を作製し、該各蒲鉾につ
いて破断強度、凹み、ゼリー強度及び離水率を測定し
た。
【0009】なお、破断強度と凹みとはFUDOH KOGYO レ
オメータによって測定し、ゼリー強度は破断強度×凹み
で示した。また、離水率は一定量の吸湿材と共に、3000
rpmで4分間遠心分離処理し、遠心分離前後の重量の変
化率で示した。結果を表1に示す。
【0010】
【表1】
【0011】本試験により、真空度を100torr 以下、好
ましくは50torr以下とすれば、ゲル強度及び離水率が向
上することが分かった。
【0012】真空処理とエタノール処理による効果につ
いての試験。
【0013】サケの落し身100 重量部に食塩2重量部、
砂糖5重量部及び氷水20重量部を加え、さらに、濃度9
8.7%エタノール0,1,2,4,6及び8重量部加え
て混合した後、真空度50torr下で5分間擂潰して各すり
身を調製した。
【0014】前記各すり身をそれぞれチューブに詰め、
温度90℃で30分間加熱して蒲鉾を作製し、該各蒲鉾につ
いて破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び一般細菌
数を測定した。なお、一般細菌数は温度30℃で2日間保
存したものについて測定した。結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】本試験により、エタノールを1〜6重量
部、好ましくは2〜4重量部添加したものにおいて、ゲ
ル強度が向上され、一般細菌数が減少することが分かっ
た。
【0017】真空処理とエタノール処理とアルカリ性物
質処理とによる効果についての試験。
【0018】サケの落し身100 重量部に食塩2重量部、
砂糖5重量部、濃度98.7%エタノール4重量部及び氷水
20重量部を加え、さらに、炭酸水素ナトリウム0.20(試
験区1),0.40(試験区2),0.60(試験区3),0.80
(試験区4)及び1.00重量部(試験区5)を加えて混合
した後、真空度50torr下で5分間擂潰して各すり身を調
製した。
【0019】前記各すり身をそれぞれチューブに詰め、
温度90℃で30分間加熱して蒲鉾を作製し、該各蒲鉾につ
いて破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び一般細菌
数を測定した。結果を表3に示す。
【0020】なお、表中、対照区1はサケの落し身100
重量部に食塩2重量部、砂糖5重量部、濃度98.7%エタ
ノール4重量部及び氷水20重量部を加えて混合した後、
真空度50torr下で5分間擂潰してすり身を調製して該す
り身により作製した蒲鉾について測定したものであり、
対照区2は対照区1においてエタノール処理をせずに常
圧下で調製したすり身により作製した蒲鉾について測定
したものである。
【0021】
【表3】
【0022】本試験により、エタノール処理とアルカリ
性物質処理とを行って真空下で擂潰してすり身を調製す
れば、大幅な相乗効果が出現し、ゲル強度の強い、離水
の少ない、しなやかな蒲鉾が得られ、しかも微生物耐性
も付与されていることが分かった。
【0023】次に、本発明者等が、より栄養価の高い高
品質なすり身を得るために行った試験例を以下に挙げ
る。
【0024】蛋白分解酵素処理に対する効果についての
試験。
【0025】トビウオ3.5kg の頭部及び内蔵を除去した
後、魚肉採取機(目合0.3cm )にかけて骨と皮を分離し
て1.8kg の細砕された魚肉を採取した。
【0026】前記魚肉300gを蛋白分解酵素製剤ビオプラ
ーゼ(長瀬産業社製:力価1万単位/g)0.1gを含んだ
水30g と混合した後、常温下で1時間攪拌して酵素処理
し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 、濃度98.7%エタノール
12g 、氷16.5g 及び炭酸ナトリウム1.5gを加えて真空度
40torrの真空デシケータ中に設置されたフードプロセッ
サで5分間擂潰してすり身を調製した(試験区6)。
【0027】前記魚肉300gを前記ビオプラーゼ0.1gを含
んだ水30g と混合した後、常温下で1時間攪拌して酵素
処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 、濃度98.7%エタノ
ール12g 及び氷18g を加えて真空度40torrの真空デシケ
ータ中に設置されたフードプロセッサで5分間擂潰して
すり身を調製した(対照区3)。
【0028】前記魚肉300gを前記ビオプラーゼ0.1gを含
んだ水30g と混合した後、常温下で1時間攪拌して酵素
処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 及び氷30g を加えて
真空度40torrの真空デシケータ中に設置されたフードプ
ロセッサで5分間擂潰してすり身を調製した(対照区
4)。
【0029】前記魚肉300gを前記ビオプラーゼ0.1gを含
んだ水30g と混合した後、常温下で1時間攪拌して酵素
処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 及び氷30g を加えて
常圧下フードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調製
した(対照区5)。
【0030】前記魚肉300gに食塩6g 、砂糖15g 、エタ
ノール12g 、炭酸ナトリウム1.5g及び氷水46.5g を加え
て混合した後、真空度40torrの真空デシケータ中に設置
されたフードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調製
した(対照区6)。
【0031】前記魚肉300gに食塩6g 、砂糖15g 及び氷
水60g を加えて混合した後、常圧下フードプロセッサで
5分間擂潰してすり身を調製した(対照区7)。
【0032】試験区6及び対照区3〜7の各すり身をそ
れぞれチューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して蒲鉾
を作製し、該各蒲鉾について破断強度、凹み、ゼリー強
度、離水率及び一般細菌数を測定した。加えて、パネラ
ー20名による順位法官能検査を行った。結果を表4に示
す(なお、力価測定法については後述する。)。
【0033】
【表4】
【0034】さらに、試験区6及び対照区3〜7のすり
身を各々10g とり、これに水10g を加えてホモゲナイズ
してアミノ酸を抽出した。この後、加熱処理によって蛋
白を除去し、濾紙で濾過してアミノ酸抽出液を調製し、
該各抽出液を液体クロマトグラフィーにかけてアミノ酸
の分析を行った。結果を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】本試験により、試験区6は一般細菌数も少
なく、ゲル強度も充分にあり、しかも蛋白分解酵素処理
によって、呈味性が強化され、総合的に最も優れてお
り、酵素処理による遊離アミノ酸含有量も多いことが分
かった。
【0037】フレーバー生成能を有するリパーゼ処理に
対する効果についての試験。
【0038】細肉されたカマスの肉1.8kg の内、300gを
タリパーゼ(田辺製薬製:力価1万単位/g)0.2gを含
んだ水46.5g と混合した後、常温で1時間攪拌し、直ち
に食塩6g 、砂糖15g 、濃度98.7%エタノール12g 及び
炭酸水素ナトリウム1.5gを加えて真空度40torrの真空デ
シケータ中に設置されたフードプロセッサで5分間擂潰
してすり身を調製した(試験区7)。
【0039】前記カマスの肉300gを前記タリパーゼ0.2g
を含んだ水48g と混合した後、常温で1時間攪拌し、直
ちに食塩6g 、砂糖15g 及び濃度98.7%エタノール12g
を加えて真空度40torrの真空デシケータ中に設置された
フードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調製した
(対照区8)。
【0040】前記カマスの肉300gを前記タリパーゼ0.2g
を含んだ水60g と混合した後、常温で1時間攪拌し、直
ちに食塩6g 及び砂糖15g を加えて真空度40torrの真空
デシケータ中に設置されたフードプロセッサで5分間擂
潰してすり身を調製した(対照区9)。
【0041】前記カマスの肉300gを前記タリパーゼ0.2g
を含んだ水60g と混合した後、常温で1時間攪拌し、直
ちに食塩6g 及び砂糖15g を加えてフードプロセッサで
5分間擂潰してすり身を調製した(対照区10)。
【0042】前記カマスの肉300gに食塩6g 、砂糖15g
、濃度98.7%エタノール12g 、炭酸水素ナトリウム1.5
g及び氷水46.5g を加えて混合した後、真空度40torrの
真空デシケータ中に設置されたフードプロセッサで5分
間擂潰してすり身を調製した(対照区11)。
【0043】前記カマスの肉300gに食塩6g 、砂糖15g
及び氷水60g を加えて混合した後、常圧下フードプロセ
ッサで5分間擂潰してすり身を調製した(対照区12)。
【0044】試験区7及び対照区8〜12の各すり身をそ
れぞれチューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して蒲鉾
を作製し、該各蒲鉾について破断強度、凹み、ゼリー強
度、離水率及び一般細菌数を測定した。加えて、パネラ
ー20名による順位法官能検査を行った。結果を表6に示
す(なお、力価測定法については後述する。)。
【0045】
【表6】
【0046】本試験により、試験区7は一般細菌数も少
なく、ゲル強度も充分にあり、しかもリパーゼ処理によ
って、魚臭さがなくなり、総合的に最も優れていること
が分かった。
【0047】肉質改質酵素であるトランスグルタミナー
ゼ(以下、単に「TG」ともいう。)、リジルオキシダ
ーゼ(以下、単に「LO」ともいう。)及びアスコルビ
ン酸オキシダーゼ(以下、単に「AO」ともいう。)処
理に対する効果についての試験。
【0048】細砕されたマスの落し身3.0kg の内、300g
を900 単位のTG活性を有する酵素製剤(アクティバ:
味の素社製)を含んだ水30g と混合した後、常温下で1
時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 、
濃度98.7%エタノール12g 、氷16.5g 及び炭酸水素ナト
リウム1.5gを加えて真空度40torrの真空デシケータ中に
設置されたフードプロセッサで5分間擂潰してすり身を
調製した(試験区8)。
【0049】前記マスの落し身300gを前記TG活性を有
する酵素製剤を含んだ水30g と混合した後、常温下で1
時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 、
濃度98.7%エタノール12g 及び氷18g を加えて真空度40
torrの真空デシケータ中に設置されたフードプロセッサ
で5分間擂潰してすり身を調製した(対照区13)。
【0050】前記マスの落し身300gを前記TG活性を有
する酵素製剤を含んだ水30g と混合した後、常温下で1
時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 及
び氷30g を加えて真空度40torrの真空デシケータ中に設
置されたフードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調
製した(対照区14)。
【0051】前記マスの落し身300gを前記TG活性を有
する酵素製剤を含んだ水30g と混合した後、常温下で1
時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 及
び氷30g を加えて常圧下フードプロセッサで5分間擂潰
してすり身を調製した(対照区15)。
【0052】前記マスの落し身300gに食塩6g 、砂糖15
g 、濃度98.7%エタノール12g 、氷水46.5g 及び炭酸水
素ナトリウム1.5gを加えて混合した後、真空度40torrの
真空デシケータ中に設置されたフードプロセッサで5分
間擂潰してすり身を調製した(対照区16)。
【0053】前記マスの落し身300gに食塩6g 、砂糖15
g 及び氷水60g を加えて混合した後、常圧下フードプロ
セッサで5分間擂潰してすり身を調製した(対照区1
7)。
【0054】前記マスの落し身300gを500 単位のLO活
性を有する粗酵素剤(Karagan 法により調整したもの:
[Biochem.J.,177,203(1979)])を含んだ水30g と混合し
た後、常温下で1時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩
6g 、砂糖15g 、濃度98.7%エタノール12g 、氷16.5g
及び炭酸水素ナトリウム1.5gを加えて真空度40torrの真
空デシケータ中に設置されたフードプロセッサで5分間
擂潰してすり身を調製した(試験区9)。
【0055】前記マスの落し身300gを前記LO活性を有
する粗酵素剤を含んだ水30g と混合した後、常温下で1
時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 及
び氷30g を加えて常圧下フードプロセッサで5分間擂潰
してすり身を調製した(対照区18)。
【0056】前記マスの落し身300gにアスコルビン酸30
mgを練り混んだ後、500 単位のAO活性を有する酵素剤
(ASO-10:ナガセ生化学工業社製)を含んだ水水30g と
混合し、常温下で1時間攪拌して酵素処理し、直ちに食
塩6g 、砂糖15g 、濃度98.7%エタノール12g 、氷16.5
g 及び炭酸水素ナトリウム1.5gを加えて真空度40torrの
真空デシケータ中に設置されたフードプロセッサで5分
間擂潰してすり身を調製した(試験区10)。
【0057】前記マスの落し身300gにアスコルビン酸30
mgを練り混んだ後、前記AO活性を有する酵素剤を含ん
だ水30g と混合し、常温下で1時間攪拌して酵素処理
し、直ちに食塩6g 、砂糖15g 及び氷30g を加えて常圧
下フードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調製した
(対照区19)。
【0058】試験区8〜10及び対照区13〜19のすり身を
チューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して蒲鉾を作製
し、該各蒲鉾について破断強度、凹み、ゼリー強度、離
水率及び一般細菌数を測定した。処理内容を表7に示
し、結果を表8に示す(なお、活性単位測定法について
は後述する。)。
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】本試験により、試験区8〜10は一般細菌数
も少なく、ゲル強度、離水率が大幅に向上することが分
かった。
【0062】本発明者等は、前掲の各試験例を通じて、
エタノール処理とアルカリ処理とを施して真空下ですり
身を調製すれば、単独処理により得られる効果よりも格
別に優れた相乗効果が得られるという刮目すべき知見を
得、前記技術的課題を達成したものである。
【0063】また、本発明は、蛋白分解酵素処理、リパ
ーゼ処理或いは肉質改質酵素処理後、エタノール処理と
アルカリ処理とを施して真空下にて擂潰したすり身を用
いれば、しなやかな弾力性を有する高保水性のすり身加
工食品や加えて栄養価の高いすり身加工食品が得られる
という刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成した
ものである。
【0064】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって解決できる。即ち、本発明に係る
魚介類、甲殻類又は畜肉類すり身の製造法は、魚介類若
しくは甲殻類の落し身又は畜類の肉に、該落し身又は畜
類の肉100 重量部に対してエタノール1.0 〜6.0 重量部
とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、炭酸水素塩、燐酸塩、ポリ燐酸塩及び有機酸塩から
選ばれる1種又は2種以上のアルカリ性物質0.2 〜1.0
重量部とを加えて、100torr 以下の真空下にて擂潰して
すり身とするものである。
【0065】また、本発明は、前記魚介類、甲殻類又は
畜肉類すり身の製造法において、魚介類若しくは甲殻類
の落し身又は畜類の肉が、プロティナーゼ及びペプチダ
ーゼから選ばれる蛋白分解酵素により酵素処理されてい
るものである。
【0066】また、本発明は、前記魚介類、甲殻類又は
畜肉類すり身の製造法において、魚介類若しくは甲殻類
の落し身又は畜類の肉が、フレーバー生成能を有するリ
パーゼにより酵素処理されているものである。
【0067】さらに、本発明は、前記魚介類、甲殻類又
は畜肉類すり身の製造法において、魚介類若しくは甲殻
類の落し身又は畜類の肉が、トランスグルタミナーゼ、
リジルオキシダーゼ及びアスコルビン酸オキシダーゼか
ら選ばれる酵素により酵素処理されているものである。
【0068】
【発明の実施の形態】実施の形態1.
【0069】本実施の形態においては、魚介類若しくは
甲殻類の落し身又は畜類の肉に、該落し身又は畜類の肉
100 重量部に対して1.0 〜6.0 重量部のエタノールと0.
2 〜1.0 重量部のアルカリ性物質とを加えて100torr 以
下の真空下で擂潰してすり身を調製する。
【0070】エタノール含有量は好ましくは2.0 〜4.0
重量部であり、真空度は好ましくは50torr以下である。
【0071】アルカリ性物質は、アルカリ金属又はアル
カリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、燐酸
塩、ポリ燐酸塩及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種
以上を選択して用いればよく、該アルカリ性物質は溶解
液であってもよい。具体的には、水酸化ナトリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、燐酸ナトリウム、
乳酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、水酸化カル
シウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、燐酸カ
ルシウム、乳酸カルシウム等を用いればよい。
【0072】本実施の形態によれば、ゲル強度、離水
率、しなやかさ及び微生物耐性について大幅な相乗効果
を得ることができる(試験区1〜5参照)。
【0073】実施の形態2.
【0074】本実施の形態においては、魚介類、甲殻類
及び畜肉類の主成分である蛋白質を蛋白分解酵素によっ
て部分分解し、呈味性の強いアミノ酸類を溶出させ、こ
の後、前記実施の形態1における方法によりすり身を調
製するものである。
【0075】蛋白分解酵素として、細菌起源、黴起源、
植物起源及び動物起源のいずれの酵素をも使用すること
ができる。
【0076】即ち、プロティナーゼとして、アクロシ
ン、ウロキナーゼ、ウロペプシン、エラスターゼ、エン
テロペプチダーゼ、カテプシン、カリクレイン、キニナ
ーゼ2、キモトリプシン、キモパパイン、コラゲナー
ゼ、ストレプトキナーゼ、スプチリシン、テルモリジ
ン、トリプシン、トロンビン、パパイン、パンクレアト
ペプチダーゼ、フイシン、プラスミン、レニン、レプチ
ラーゼ及びレンニン等を使用すればよい。また、ペプチ
ダーゼとして、アルギニンアミノペプチダーゼ、オキシ
ナーゼ及びロイシンアミノペプチダーゼ等のアミノペプ
チダーゼやアルギニンカルボキシペプチダーゼ、キニナ
ーゼ1及びチロイドペプチダーゼ等のカルボキシペプチ
ダーゼ等を使用すればよい。なお、これら蛋白分解酵素
の変性品、配合品も使用できる。
【0077】蛋白分解酵素処理は、細砕された肉と蛋白
分解酵素を含んだ溶液0.1 〜0.3 倍量(酵素含有量1〜
10単位/肉1g )とを混合して室温下で1時間程度攪拌
する方法によればよい。
【0078】本実施の形態によれば、ゲル強度をほとん
ど低下させずに、すり身中のアミノ酸含有量を増加させ
ることができるので(表5参照)、栄養価の高いしなや
かで弾力性のある高保水性の微生物汚染の少ない、相乗
効果による高品質な蛋白食品素材を得ることができる
(試験区6参照)。
【0079】実施の形態3.
【0080】本実施の形態においては、魚介類若しくは
甲殻類の落し身又は畜類の肉を細砕した後、フレーバー
生成能のあるリパーゼで酵素処理して不快臭又は酸化の
原因となる脂肪を改質し、この後、前記実施の形態1に
おける方法によりすり身を調製するものである。
【0081】フレーバー生成能のあるリパーゼとして
は、リパーゼサイキン(大阪細菌研究所製)、リパーゼ
600 (協和ハイフーズ社製)、タリパーゼ(田辺製薬社
製)、パラターゼ(ノボノルディスクバイオインダスト
リー社製)又はリパーゼMY(名糖産業社製)を用いれば
よい。
【0082】リパーゼ処理は、細砕された肉と酵素を含
んだ溶液0.1 〜0.3 倍量(酵素含有量5〜10単位/肉1
g )とを混合して室温下で1時間程度攪拌する方法によ
ればよい。
【0083】本実施の形態によれば、魚肉、畜肉臭のな
い、ミルク又はパターフレーバーの付与された、栄養価
の高いしなやかで弾力性のある高保水性の微生物汚染の
少ない、相乗効果による高品質な蛋白食品素材を得るこ
とができる(試験区7参照)。
【0084】実施の形態4.
【0085】本実施の形態においては、魚介類若しくは
甲殻類の落し身又は畜類の肉を細砕した後、肉の組織を
改質する酵素で処理し、この後、前記実施の形態1にお
ける方法によりすり身を調製するものである。
【0086】肉の組織を改質する酵素としては、トラン
スグルタミナーゼ(TG)、リジルオキシダーゼ(L
O)或いはアスコルビン酸オキシダーゼ(AO)を用い
る。
【0087】TGの起源は特に限定されるものではな
く、モルモット由来のもの、植物由来のもの、魚類由来
のもの、微生物由来のもの或いは遺伝子組換え手法を用
いて調整したもの等、TG活性を有するものであればよ
く、特に、放線菌ストレプトベルチシリウム(Streptov
erticillium )に属する微生物起源のTGが容易かつ安
価に入手できるので好ましい。
【0088】LOは、蛋白質及びペプチド中のリジン残
基とヒドロキシリジン残基を、各々アリジン残基とヒド
ロキシリジン残基にする酸化的脱アミノ反応を触媒する
ものであればよく、天然物から抽出したものは勿論、L
Oを生産する微生物を培養してこれらの菌体外又は菌体
内に蓄積されたものでもよい。
【0089】AOの起源は特に限定されるものではな
く、カボチャ、人参及びキュウリ等の食用野菜中に広く
分布するAOや微生物、例えばアニロバクター・アエロ
ケネス[Biochim,Biophye,Acta.67(1963)576 〜580]に存
在するAO等、これらのいずれでもよく、特に、キュウ
リより精製したAOが好適である。
【0090】TG処理及びLO処理は、細砕された肉と
酵素を含んだ溶液0.1 〜0.3 倍量(酵素含有量1〜5単
位/肉g )を混合して室温下で1時間程度攪拌する方法
によればよい。
【0091】また、AO処理は、細砕された肉と、酵素
とアスコルビン酸を含んだ溶液0.1〜0.3 倍量(酵素含
有量1〜5単位/肉g ,アスコルビン酸含量0.05〜0.1m
g /肉g )を混合して室温下で1時間程度攪拌する方法
によればよい。
【0092】本実施の形態によれば、栄養価の高いしな
やかで弾力性のある高保水性の微生物汚染の少ない、相
乗効果による高品質な蛋白食品素材を得ることができる
(試験区8〜10参照)。
【0093】なお、TG活性単位の測定は、ベンジルオ
キシカルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキ
シルアミンとを基質として反応を行い、生成したヒドロ
キサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた
後、525nm の吸光度を測定してヒドロキサム酸の量を検
量線より求める方法によればよい。
【0094】また、LO活性単位の測定は、Karganと S
illivan の方法[Methods in Enzymology,82,637(1982)]
にて求めればよい。
【0095】また、AOの活性単位の測定は、0.5mM ア
スコルビン酸(pH5.6 )1mlと、酵素溶液0.1ml を温度
30℃で5分間反応させたときの1分間に1μmol のアス
コルビン酸を酸化する酵素量を1単位とする方法によれ
ばよい。
【0096】
【実施例】実施の形態1に関する実施例について以下に
説明する。
【0097】実施例1:ホッケ200kg の頭部と内蔵を除
去した後、スタンプ式採肉機にかけて骨と皮を分離して
約100kg の細砕された魚肉を採取した。次に、該魚肉50
kgに食塩1kg、砂糖2kg、澱粉3kg、食添用炭酸ナトリ
ウム0.25kg、98%濃度エタノール1.5kg 及び氷水13.25k
g を加えて、真空度45torr下、ボールカッタ(ヤナギヤ
社製)で10分間擂潰してすり身を調製した。また、該す
り身をチューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して蒲鉾
を作製した。
【0098】比較例1:前記魚肉50kgに食塩1kg、砂糖
2kg、澱粉3kg及び氷水15kgを加えて、常温下、ボール
カッターで10分間擂潰してすり身を調製した。また、実
施例1と同様にして蒲鉾を作製した。
【0099】実施例2:鶏の胸肉100kg の内、50kgに食
塩1kg、砂糖2kg、炭酸ナトリウム0.15kg、炭酸カルシ
ウム0.05kg及び98.7%濃度エタノール2kgを溶解した氷
水15.85kg を加えて、真空度40torr下、ボールカッタで
10分間擂潰してすり身を調製した。また、該すり身をチ
ューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して練り製品を作
製した。
【0100】比較例2:前記鶏の胸肉50kgに食塩1kg、
砂糖2kg及び氷水18kgを加えて、常圧下、ボールカッタ
で10分間擂潰してすり身を調製した。また、実施例2と
同様にして練り製品を作製した。
【0101】実施例1,2及び比較例1,2のすり身に
ついて、加熱処理時と冷解凍時との保水率を測定した。
また、前記各蒲鉾と前記各練り製品について、破断強
度、凹み、ゼリー強度、離水率及び一般細菌数を測定し
た。測定結果を表9に示す。
【0102】なお、加熱処理時の保水率は、厚さ10mm、
直径100mm の型にすり身を入れて成形し、該成形物を温
度140 ℃に加熱したテフロン加工鉄製平鍋上で表、裏を
5分間ずつ、計10分間加熱処理し、加熱処理前後の重量
を測定して加熱処理後の重量を処理前の重量で除した%
で表した。また、解凍処理時の保水率は、同様にして得
た成形物を温度−20℃下で30日間保存した後、温度5℃
で解凍し、解凍前後の重量を測定して解凍後の重量を解
凍前の重量で除した%で表した。また、破断強度及び凹
みはFUDOH KOGYO レオメーターによって測定し、ゼリー
強度は破断強度×凹みで示し、離水率は一定量の吸湿材
と共に、3000rpm で4分間遠心分離処理して遠心分離処
理前後の重量の変化率で示し、一般細菌数は温度30℃下
2日保存後の細菌数を測定した。
【0103】
【表9】
【0104】実施例1,2のすり身は加熱処理及び解凍
処理において、ほとんどドリップの発現がなく、安定し
ていた。また、蒲鉾及び練り製品においても著しくゲル
強度が強化され、しかも離水率、一般細菌数も少なく極
めて良好であった。
【0105】また、実施例1及び比較例1の蒲鉾につい
てパネラー20名により3点識別嗜好試験法による官能検
査を行ったところ、全員が識別し、19名が実施例1の蒲
鉾が良いと評価し、実施例2及び比較例2の練り製品に
ついて同様の官能検査を行ったことろ、全員が識別し、
18名が実施例2の練り製品が良いと評価した。
【0106】実施例3:温度−20℃に冷凍したサケの落
身600gの内、300gを真空度20torrの真空デシケータ中に
設置されたホモジナイザーで急速微粉化開始すると同時
に、常温水25ccに上質塩6g を溶解したNaCL溶液、砂糖
15g 及び化学調味料3g を加え、さらに、エタノール9
g (対蛋白原料3%)と、常温水25ccに炭酸水素ナトリ
ウム2.5gを溶解したアルカリ剤溶液とを加えて微粉化開
始25秒後に水50ccを加えた。急速微粉化は30秒間行い、
肉糊状の蛋白食品素材を得た。
【0107】比較例3(特開平7−67587号公報開
示の蛋白食品素材):前記サケの落身300gを常圧下ホモ
ジナイザーで急速微粉化開始すると同時に、前記NaCL溶
液、砂糖15g 及び化学調味料3g を加え、さらに、前記
アルカリ剤溶液を加えて実施例3と同様にして肉糊状の
蛋白食品素材を得た。
【0108】実施例3及び比較例3の蛋白食品素材をそ
れぞれチューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して蒲鉾
を作製し、破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び一
般細菌数を測定した。測定結果を表10に示す。
【0109】
【表10】
【0110】実施例3は比較例3に比べて、ゼリー強
度、離水率及び一般細菌数ともに優れていた。
【0111】実施例4〜14:サケの落身100 重量部を
12部準備し、各落身100 重量部にそれぞれ食塩2重量
部、砂糖5重量部、濃度98.7%エタノール4重量部及び
氷水20重量部を加え、さらに、各々に対して、水酸化ナ
トリウム(実施例4)、炭酸ナトリウム(実施例5)、
炭酸水素ナトリウム(実施例6)、燐酸ナトリウム(実
施例7)、乳酸ナトリウム(実施例8)、トリポリ燐酸
ナトリウム(実施例9)、水酸化カルシウム(実施例1
0)、炭酸カルシウム(実施例11)、炭酸水素カルシ
ウム(実施例12)、燐酸カルシウム(実施例13)及
び乳酸カルシウム(実施例14)0.50重量部を混合して
50torrの真空下で5分間擂潰して各すり身を調製した。
【0112】比較例4:前記サケの落身の残りの100 重
量部に食塩2重量部、砂糖5重量部、濃度98.7%エタノ
ール4重量部及び氷水20重量部を加え、50torrの真空下
で5分間擂潰してすり身を調製した。
【0113】実施例4〜14及び比較例4のすり身をそ
れぞれチューブに詰め、温度90℃で30分間加熱して蒲鉾
を作製し、破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び一
般細菌数を測定した。測定結果を表11に示す。
【0114】
【表11】
【0115】比較例4においては、アルカリ性物質処理
されていないため、相乗効果が得られず、ゲル強度、離
水率共に劣っていた。
【0116】実施例15:ムキエビ100kg の内、50kgに
食塩1kg、砂糖2kg、炭酸ナトリウム0.15kg、燐酸カル
シウム0.05kg、濃度98.7%エタノール1kg及び氷水16.8
kgを加えて、真空度40torr下、ボールカッタで10分間擂
潰してすり身を調製した。
【0117】比較例5:前記ムキエビ50kgに食塩1kg、
砂糖2kg、及び氷水16.8kgを加えて、常圧下、ボールカ
ッタで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0118】実施例15及び比較例5のすり身について
加熱処理時と冷解凍時との保水率を測定したところ、実
施例15においては、加熱処理時・冷解凍時保水率96.6
%,100 %、比較例5においては、加熱処理時・冷解凍
時保水率78.2%,82.3%となり、実施例15はほとほど
ドリップの発現がない安定したすり身であった。
【0119】次に、実施の形態2に関する実施例につい
て以下に説明する。
【0120】実施例16:ホッケ200kg の頭部及び内蔵
を除去してスタンプ式採肉機にかけて100kg の細砕され
た肉を採取した。採取肉50kgを蛋白分解酵素力価30万単
位分のプロテアーゼA「アマノ」(天野製薬社製)を含
んだ水5kgと混合し、常温下で1時間攪拌して酵素処理
し、直ちに食塩1kg、砂糖2kg、澱粉3kg、食添用炭酸
水素ナトリウム0.2kg 、98%エタノール1.5kg 及び氷9.
2kg を加えて真空度45torrに調整されたボールカッタで
10分間擂潰してすり身を調製した。
【0121】なお、蛋白分解酵素の力価測定法は、燐酸
緩衝液(pH7.8 )中、温度30℃において、0.6 %カゼイ
ンを基質として、必要に応じて抽出した酵素活性物質を
作用させ、次いで、トリクロル酢酸を用いて除蛋白後、
非蛋白性物質をフォーリン試薬で呈色させ、全非沈殿性
分解産物量を比色定量し、1分間に1μg のチロシンに
相当する非蛋白性物質を生成する酵素量を1単位とし
た。
【0122】比較例6:前記採取肉50kgに食塩1kg、砂
糖2kg、澱粉3kg及び氷水16kgを加えて常圧下ボールカ
ッタで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0123】実施例16及び比較例6のすり身をそれぞ
れ厚さ15mm、直径100mm の型に入れて温度140 ℃に加熱
されたテフロン加工鉄製平鍋上で表、裏5分間ずつ、計
10分間加熱処理して各10枚ずつ魚肉バーグを作製し、加
熱処理時保水率を測定した。また、パネラー20名により
3点識別嗜好試験法による官能検査を行った。
【0124】この結果、保水性の平均値は、実施例16
において95.2%、比較例6において66.1%であった。ま
た、官能検査では、全員が識別し、実施例16における
魚肉バーグがジューシーで、ソフトな食感を有し、呈味
性に優れていると評価した。
【0125】実施例17:細砕された鶏の胸肉100kg の
内、50kgをフレーバーザイム(ノボノルディスクバイオ
インダストリー社製)を20万単位含んだ水5kgと混合し
て常温下で1時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩1k
g、砂糖2kg、澱粉3kg、食添用炭酸カルシウム0.2kg
、98%エタノール1.5kg 及び氷9.3kg を加えて真空度5
0torrに調整されたボールカッタで10分間擂潰してすり
身を調製した。
【0126】比較例7:前記採取肉50kgに食塩1kg、砂
糖2kg、澱粉3kg及び氷水16kgを加えて常圧下ボールカ
ッタで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0127】実施例17及び比較例7のすり身を前記実
施例16及び比較例6と同様の処理を施してそれぞれチ
キンバーグを作製し、前記加熱処理時保水率の測定と前
記3点識別嗜好試験法官能検査を行った。
【0128】この結果、保水性の平均値は、実施例17
において96.2%、比較例7において67.7%であった。ま
た、官能検査では、全員が識別し、実施例17における
チキンバーグがジューシーで、ソフトな食感を有し、呈
味性に優れていると評価した。
【0129】実施例18:助宗冷凍すり身600gの内、30
0gに食塩6kg、グルタミン酸ソーダ0.9g、ホタテ調味料
1.5g、ホタテフレーバー0.3g、馬鈴薯澱粉15g 、南極オ
キアミボイルホールペースト(蛋白分解酵素活性な
し。)3g 、蛋白分解酵素製剤ビオプラーゼ(長瀬産業
社製:10.000単位/g)0.06g 、エタノール9g 及び炭
酸ナトリウム1.5gを加えて真空度30torrに調整された真
空デシケータ中に設置したフードプロセッサで練肉と
し、該練肉をケーシングに充填した。次いで、温度−10
℃の冷蔵庫中で10時間冷凍した後、温度95℃で40分間煮
熟して輪切り水産食品を得た。
【0130】比較例8(特開昭53−142561号公
報開示の水産食品):前記助宗冷凍すり身300gに食塩6
kg、グルタミン酸ソーダ0.9g、ホタテ調味料1.5g、ホタ
テフレーバー0.3g、馬鈴薯澱粉15g 、前記南極オキアミ
ボイルホールペースト3g 及び前記蛋白分解酵素製剤ビ
オプラーゼ0.06g を加えて真空度760torr に調整された
真空デシケータ中に設置したフードプロセッサで練肉と
し、実施例18と同様にして輪切り水産食品を得た。
【0131】実施例18及び比較例8の輪切り水産食品
について、破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び一
般細菌数を測定し、パネラー20名による比較官能検査を
行った。結果を表12に示す。
【0132】
【表12】
【0133】実施例18はプロテアーゼ処理によるゼリ
ー強度の低下もなく、離水率及び一般細菌数も少なく、
呈味性の高い優れた水産食品であった。また、パネラー
20名中15名が実施例18の水産食品が良いと評価した。
【0134】次に、実施の形態3に関する実施例につい
て説明する。
【0135】実施例19:ホッケ200kg の頭部及び内蔵
を除去してスタンプ式採肉機にかけて100kg の細砕され
た肉を採取した。採取肉50kgをリパーゼ(協和ハイフー
ズ社製)を30万単位含んだ水10kgと混合して常温下で1
時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩1kg、砂糖2kg、
澱粉3kg、食添用炭酸ナトリウム0.2kg 、98%エタノー
ル1.5kg 及び氷4.2kg を加えて真空度45torrに調整され
たボールカッタで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0136】なお、リパーゼの力価測定法は、基質溶液
(基質:局法オリーブ油2g ,M/20acetate buffer(pH
5.6)9ml ,M/10 CaCl2 1ml)に供試酵素液を適当に希釈
(20単位/ml 前後)したものを1ml加えて攪拌又は振と
うしつつ温度30℃で30分間反応させ、反応終了後、エタ
ノール40mlを加えて酵素反応を停止し、pHメーターを
用いてpH9.5 になるまでN/20 NaOH 溶液で滴定してA液
(ml)とし、対照として前記基質溶液にエタノール40ml
を加え、さらに、供試酵素液1mlを加えて同様に滴定し
てB液(ml)とし、力価は前記反応条件でN/20 NaOH 溶
液1mlに相当する脂肪酸を遊離させる酵素量を5単位と
し、酵素液の希釈倍数を乗じて力価(U/ml)を表し
た。即ち、力価=5×(A−B)×nにより算出した
(但し、nは希釈倍数)。
【0137】比較例9:前記採取肉50kgに食塩1kg、砂
糖2kg、澱粉3kg及び氷水16kgを加えて常圧下ボールカ
ッターで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0138】実施例19及び比較例9のすり身を前記実
施例16及び比較例6と同様の処理を施してそれぞれ魚
肉バーグを作製し、前記加熱処理時保水率の測定と前記
3点識別嗜好試験法官能検査を行った。
【0139】この結果、保水性の平均値は、実施例19
において100 %、比較例9において65.5%であった。ま
た、官能検査では、全員が識別し、実施例19における
魚肉バーグがジューシーで、ソフトな食感を有し、しか
もバターの香りがしてハンバーグに好適であり、呈味性
に優れていると評価した。
【0140】実施例20:細砕された豚肉100kg の内、
50kgをタリパーゼ(田辺製薬社製)を50万単位含んだ水
10kgと混合して常温下で1時間攪拌して酵素処理し、直
ちに食塩1kg、砂糖2kg、食添用炭酸水素ナトリウム0.
2kg 、98%エタノール1.5kg 及び氷7.5kg を加えて真空
度40torrに調整されたボールカッタで10分間擂潰してす
り身を調製した。
【0141】比較例10:前記豚肉50kgに食塩1kg、砂
糖2kg、及び氷水18.85kg を加えて常圧下ボールカッタ
で10分間擂潰してすり身を調製した。
【0142】実施例20及び比較例10のすり身を前記
実施例16及び比較例6と同様の処理を施してそれぞれ
豚肉バーグを作製し、前記加熱処理時保水率の測定と前
記3点識別嗜好試験法官能検査を行った。
【0143】この結果、保水性の平均値は、実施例20
において99.6%、比較例10において67.2%であった。
また、官能検査では、全員が識別し、実施例20におけ
る豚肉バーグが優れていると評価した。さらに、パネラ
ー全員がジューシーで、ソフトな食感を有し、しかもビ
ーフの風味を呈し、ハンパーグに好適であると評価し
た。
【0144】実施例21:サバ2kgの頭部及び内蔵を除
去した後、採肉機にかけて骨と皮を分離して1kgの細砕
された肉を採取した。該採取肉0.5kg をリパーゼ(1万
単位/g)0.35g を含んだ水80g と混合した後、常温下
で1時間攪拌処理し、直ちに食塩10g 、砂糖25g 、エタ
ノール20g 及び炭酸水素ナトリウム2.5gを加えて、真空
度40torrに調整された真空デシケータ中に設置されたフ
ードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調製した。
【0145】比較例11(特公昭54−14174号公
報開示の魚肉すり身):前記採取肉0.5kg を水洗いした
後、1.5 リットルの水に浮遊させ、クエン酸ソーダを加
えてpH7.0 に調節し、リパーゼ(1万単位/g)0.35g
を少量の水に溶解して加えた。次いで、室温で60分間回
転攪拌してリパーゼを作用させ、この後、更に3リット
ルの水を加えて攪拌し、静置後、上澄液を捨てた。さら
に、5リットルの水による水晒しを6 回繰り返し、水晒
した肉を遠心脱水機にかけて正肉を採取した。該正肉を
筋取機にかけて小骨や筋を除去してミンチ状の正肉0.4k
g を得た。該正肉0.4kg に砂糖20g 及びポリ燐酸ナトリ
ウム0.8gを加えて擂潰し、温度−40℃の急速凍結室で24
時間凍結させた後、温度−20℃で保存した。該冷凍すり
身に食塩8g 及び氷水80g を混合して常圧下フードプロ
セッサで5分間擂潰してすり身を調製した。
【0146】実施例21及び比較例11のすり身をそれ
ぞれチューブに詰めて温度90℃で30分間加熱処理して蒲
鉾を作製し、破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び
一般細菌数を測定し、パネラー20名による順位法官能検
査を行った。結果を表13に示す。
【0147】
【表13】
【0148】実施例21はゼリー強度、離水率及び一般
細菌数ともに優れ、しかも官能的にも好まれる評価を得
た。
【0149】次に、実施の形態4に関する実施例につい
て説明する。
【0150】実施例22:カツオ200kg の頭部及び内蔵
を除去した後、スタンプ式採肉機にかけて100kg の細砕
された肉を採取した。該採取肉50kgをTGを10万単位含
んだ水5kgと混合した後、常温下で1時間攪拌して酵素
処理し、直ちに食塩1kg、砂糖2kg、澱粉3kg、食添用
炭酸カルシウム0.3kg 、98%エタノール1.6kg 及び氷9.
1kg を加えて真空度50torrに調整されたボールカッタで
10分間擂潰してすり身を調製した。
【0151】比較例12:前記採取肉50kgに食塩1kg、
砂糖2kg、澱粉3kg及び氷水16kgを加えて常圧下ボール
カッタで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0152】実施例22及び比較例12のすり身をそれ
ぞれチューブに詰めて温度90℃で30分間加熱処理して蒲
鉾を作製し、破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び
一般細菌数を測定した。結果を表14に示す。
【0153】
【表14】
【0154】実施例22では、難しいとされていたカツ
オにおいても蒲鉾を作製することができた。一方、比較
例12では、ゼリー強度が極端に低く、離水率の測定も
不可能であった。
【0155】実施例23:細砕された鶏のモモ肉100kg
の内、50kgをTGを5万単位含んだ水5kgと混合した
後、常温下で1時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩1
kg、砂糖2kg、澱粉3kg、食添用炭酸ナトリウム0.25k
g、98%エタノール1.5kg 及び氷9.15 kg を加えて真空
度40torrに調整されたボールカッタで10分間擂潰してす
り身を調製した。
【0156】比較例13:前記モモ肉50kgに食塩1kg、
砂糖2kg、澱粉3kg及び氷水16kgを加えて常圧下ボール
カッタで10分間擂潰してすり身を調製した。
【0157】実施例23及び比較例13のすり身を前記
実施例16及び比較例6と同様の処理を施してそれぞれ
チキンバーグを作製し、前記加熱処理時保水率測定と前
記3点識別嗜好法官能検査を行った。
【0158】この結果、保水性の平均値は、実施例23
において100 %、比較例13において65.6%であった。
また、官能検査では、全員が識別し、実施例23におけ
るチキンバーグが優れていると評価した。
【0159】実施例24:細砕されたマスの落と身600g
の内、300gに酵素製剤1.8g(90unit)を加えて混合した
後、常温下で1時間攪拌して酵素処理し、直ちに食塩9
g 、砂糖15g 、澱粉15g 、味醂6g 、グルタミン酸3g
、炭酸水素ナトリウム1.5g、エタノール9g 、及び氷
水1.41g を加え、真空度30torrの真空デシケータ中に設
置されたフードプロセッサで5分間擂潰してすり身を調
製した。なお、酵素製剤は乳酸カルシウムとデキストリ
ンによって、1g 当たり50単位のTG活性を有するよう
に調製されたものである。
【0160】比較例14(特開平6−113796号公
報開示の練り製品):前記マスの落と身300gに食塩9g
及び氷水180gを加えてフードプロセッサーでよく攪拌
し、次いで、澱粉15g 、砂糖15g 、味醂6g 、グルタミ
ン酸3g 及び前記酵素製剤1.8g(90unit)を添加し、さ
らに、最終品温が7℃となるように攪拌してすり身を調
製した。
【0161】実施例24及び比較例14のすり身をそれ
ぞれチューブに詰めて温度90℃で30分間加熱処理して蒲
鉾を作製し、破断強度、凹み、ゼリー強度、離水率及び
一般細菌数を測定した。結果を表15に示す。
【0162】
【表15】
【0163】実施例24は比較例14に比べて、ゼリー
強度が著しく高く、しかも離水率、一般細菌数は著しく
低く、蒲鉾の製造にとって好適な結果となった。
【0164】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、魚
介類若しくは甲殻類の落し身又は畜類の肉にエタノール
処理とアルカリ処理とを施して真空下ですり身を調製す
れば、相乗効果によりゲル強度、離水率、しなやかさ及
び微生物耐性に優れたすり身加工食品を提供することが
できる。
【0165】さらに、本発明によれば、魚介類若しくは
甲殻類の落し身又は畜類の肉について蛋白分解酵素処
理、リパーゼ処理或いは肉質改質酵素処理した後、エタ
ノール処理とアルカリ処理とを施して真空下ですり身を
調製すれば、エタノール処理とアルカリ処理とを施して
真空下ですり身を調製すれば、より栄養価の高いすり身
加工食品を提供することができる。
【0166】従って、本発明の産業上利用性は非常に高
いといえる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚介類若しくは甲殻類の落し身又は畜類
    の肉に、該落し身又は畜類の肉100 重量部に対してエタ
    ノール1.0 〜6.0 重量部とアルカリ金属又はアルカリ土
    類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、燐酸塩、ポリ
    燐酸塩及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上のア
    ルカリ性物質0.2 〜1.0 重量部とを加えて、100torr 以
    下の真空下にて擂潰してすり身とすることを特徴とする
    魚介類、甲殻類又は畜肉類すり身の製造法。
  2. 【請求項2】 魚介類若しくは甲殻類の落し身又は畜類
    の肉が、プロティナーゼ及びペプチダーゼから選ばれる
    蛋白分解酵素により酵素処理されている請求項1記載の
    魚介類、甲殻類又は畜肉類すり身の製造法。
  3. 【請求項3】 魚介類若しくは甲殻類の落し身又は畜類
    の肉が、フレーバー生成能を有するリパーゼにより酵素
    処理されている請求項1記載の魚介類、甲殻類又は畜肉
    類すり身の製造法。
  4. 【請求項4】 魚介類若しくは甲殻類の落し身又は畜類
    の肉が、トランスグルタミナーゼ、リジルオキシダーゼ
    及びアスコルビン酸オキシダーゼから選ばれる酵素によ
    り酵素処理されている請求項1記載の魚介類、甲殻類又
    は畜肉類すり身の製造法。
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