JPH11268999A - 炭化珪素ウイスカー及び窒化珪素ウイスカーの製造方法 - Google Patents

炭化珪素ウイスカー及び窒化珪素ウイスカーの製造方法

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JPH11268999A
JPH11268999A JP10096814A JP9681498A JPH11268999A JP H11268999 A JPH11268999 A JP H11268999A JP 10096814 A JP10096814 A JP 10096814A JP 9681498 A JP9681498 A JP 9681498A JP H11268999 A JPH11268999 A JP H11268999A
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cryolite
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graphite
gas
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JP10096814A
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Yasunari Kaneko
泰成 金子
Takeshi Hashishin
剛 橋新
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Ritsumeikan Trust
Original Assignee
Ritsumeikan Trust
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカSiO2含有原料から、氷晶石Na3Al
F6を用いて、優れた物性、形状を有する炭化珪素SiC
ウイスカー及び窒化珪素Si3N4ウイスカーを高収率で
製造する方法を提供すること。 【解決手段】 シリカSiO2含有原料と氷晶石Na3Al
F6とをシリカ/氷晶石(モル比)が2〜8となるよう
に粉末状態に混合すると共に、アルミナAl2O3反応管
2内で、黒鉛Cを析出基板(黒鉛筒3、黒鉛ボート4)
として、炭化珪素SiCウイスカーの製造の場合はメタ
ンガスCH4と不活性ガスとの混合ガス、窒化珪素Si3
N4ウイスカーの製造の場合は窒素ガスN2からなる反応
ガスの流通下、1250〜1450℃の温度で加熱し、
アルミニウムAl液相又はそれに鉄分Feが混入したアル
ミニウム−鉄Al-Fe液相を媒体としてウイスカーを成
長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば雲仙普賢岳
等から噴出される火山灰、それら火山灰の堆積によって
生じたシラス、微生物の遺骸の堆積によって生じた珪藻
土、さらには稲の脱穀によって生じた農業廃棄物として
の籾殻等の天然資源をシリカSiO2含有原料として有効
に利用し、種々の複合構造材料の有用な強化材となる炭
化珪素SiCウイスカー及び窒化珪素Si3N4ウイスカー
を高収率で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開昭53−113300号公報には、
籾殻を黒鉛製反応容器中に充填すると共に一酸化炭素雰
囲気下で加熱して炭化珪素SiCウイスカーを製造する
方法が開示されている。また、特開昭60−37078
号公報及び特開昭60−37079号公報には、仮焼し
た籾殻や炭素粉等を混合して前処理を施したシラス等を
黒鉛製容器に入れると共に窒素ガスの流通下に加熱して
窒化珪素Si3N4ウイスカーを製造する方法が開示され
ている。
【0003】一方、特公昭51−12320号公報、特
公昭63−48840号公報、特公平2−27316号
公報及び日本化学会誌、1981
〔9〕、p.1371
〜1377には、シリカSiO2又はシリカSiO2含有原
料に活性炭等のカーボン粉末と氷晶石Na3AlF6とを所
定の比率で粉末状態に混合し、この粉末混合物をアルゴ
ンAr気流中で加熱して炭化珪素SiCウイスカーを製造
することや前記粉末混合物を窒素ガスN2気流中で加熱
して窒化珪素Si3N4ウイスカーを製造することが開示
され、これらの例では、添加した氷晶石Na3AlF6の融
剤効果や活性化作用により前記炭化反応や窒化反応が促
進されるものと考えられている。
【0004】しかしながら、氷晶石Na3AlF6を用いる
従来の前記炭化珪素SiCウイスカー及び窒化珪素Si3
N4ウイスカーの製造方法では、前記ウイスカーの収率
が概して低く、実用上の問題を残していた。この理由
は、前記の従来技術では、気相−液相−固相が関与する
VLS機構によるウイスカーの成長に際してウイスカー
の先端に生じるドロップレットと称する球状物質の組成
が鉄−珪素Fe-Siであることから、氷晶石Na3AlF6
が主として融剤として関与するに留まり、前記炭化反応
や窒化反応に反応物として有効に関与していないことに
あるものと推察される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、シリ
カSiO2含有原料から、氷晶石Na3AlF6を用いて、優
れた物性、形状を有する炭化珪素SiCウイスカー及び
窒化珪素Si3N4ウイスカーを高収率で製造する方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る炭化珪素ウ
イスカーの製造方法は、シリカSiO2含有原料と氷晶石
Na3AlF6とをシリカ/氷晶石(モル比)が2〜8とな
るように粉末状態に混合すると共に、アルミナAl2O3
反応管内で、黒鉛Cを析出基板として、メタンガスCH
4と不活性ガスとの混合ガスからなる反応ガスの流通
下、1250〜1450℃の温度で加熱し、その加熱工
程を通して、シリカSiO2と氷晶石Na3AlF6とを反応
させて四フッ化珪素SiF4を生成すると共に反応管のア
ルミナAl2O3から揮発した酸素O2と析出基板の黒鉛C
とを反応させて一酸化炭素COを生成し、続いて前記両
反応生成物を反応させて一酸化珪素SiOを生成し、得
られた前記一酸化珪素SiOと前記メタンガスCH4と
を、氷晶石Na3AlF6と析出基板の黒鉛Cとの反応によ
り生じたアルミニウムAl液相又はそれに鉄分Feが混入
したアルミニウム−鉄Al-Fe液相を媒体として反応さ
せることを特徴としている。
【0007】前記炭化珪素ウイスカーの製造方法におけ
る反応機構は、熱力学的考察と種々の実験結果から次の
ように推察される。なお、後述する化学式の後に付記さ
れた(g)及び(s)は、各々気相種及び固相種を表わしてい
る。
【0008】先ず、氷晶石Na3AlF6(s)は、加熱され
ることにより、1030℃以上の温度で解離するという
ラマンによる報告から、次式(1)に示す反応が生じて
いる。
【0009】 Na3AlF6(s) → 2NaF(g)+NaAlF4(g) …(1) ΔG=−78.345kJ
【0010】ここで、生成したフッ化ナトリウムNaF
(g)は、シリカSiO2含有原料中のシリカSiO2(s)と反
応することで、次式(2)に示すようにシリケート(ガ
ラス質)Na2Si2O5(s)と四フッ化珪素SiF4(g)を生
成する。
【0011】 4NaF(g)+5SiO2(s) → 2Na2Si2O5(s)+SiF4(g) …(2) ΔG=−178.359kJ
【0012】さらに、反応管にアルミナAl2O3を用い
ていることから、1250℃以上の温度でアルミナAl2
O3の酸素分が揮発し、O2(g)として気相種に関与す
る。本発明では黒鉛C(s)の析出基板を用いていること
から、前記酸素O2(g)は次式(3)に示すように一酸化
炭素CO(g)として除去される。
【0013】 O2(g)+2C(s) → 2CO(g) …(3) ΔG=−470.437kJ
【0014】そこで、前記式(2)で生じた四フッ化珪
素SiF4(g)と式(3)で生じた一酸化炭素CO(g)との
反応により、次式(4)に示すように一酸化珪素SiO
(g)が生成する。
【0015】 SiF4(g)+CO(g) → SiO(g)+CF4(g) …(4) ΔG=−723.285kJ
【0016】このとき生じた一酸化珪素SiO(g)は、メ
タンガスCH4を含む混合ガスの気流中で炭化されるこ
とにより、次式(5)に示すように炭化珪素SiC(s)が
生成する。
【0017】 SiO(g)+2CH4 → SiC(s)+CO(g)+4H2(g) …(5) ΔG=−197.321kJ
【0018】したがって、氷晶石Na3AlF6(s)とシリ
カSiO2含有原料中のシリカSiO2(s)との反応によっ
て生じる一酸化珪素SiO(g)が、メタンガスCH4(g)に
よる炭化を受けて、黒鉛C(s)の存在下において炭化珪
素SiC(s)を生成する全反応式は、前記式(1)〜
(5)をまとめると次式(6)に示すとおりとなる。
【0019】 2Na3AlF6(s)+5SiO2(s)+2CH4+2C(s) +O2(g) → SiC(s)+2Na2Si2O5(s)+2NaAlF4(g)+2CO(g)+4H2(g) +CF4(g) …(6) ΔG=−1726.092kJ
【0020】前記式(6)において、2CO(g)+4H2
(g)+CF4(g)の気相種は系外に出て行くが、その内の
一酸化炭素CO(g)は、式(3)に示すように黒鉛Cの
存在下における酸素O2(g)の除去によって生じるのみな
らず、式(5)に示すように炭化珪素SiC(s)の生成に
伴っても生じるので、式(4)の形で四フッ化珪素Si
F4(g)との反応が進行し、気相中に占める一酸化珪素S
iO(g)の割合が多くなり、それによって式(5)の炭化
反応が促進されるものと考えられる。
【0021】次に、本発明に係る窒化珪素ウイスカーの
製造方法は、シリカSiO2含有原料と氷晶石Na3AlF6
とをシリカ/氷晶石(モル比)が2〜8となるように粉
末状態に混合すると共に、アルミナAl2O3反応管内
で、黒鉛Cを析出基板として、窒素ガスN2からなる反
応ガスの流通下、1250〜1450℃の温度で加熱
し、その加熱工程を通して、シリカSiO2と氷晶石Na3
AlF6とを反応させて四フッ化珪素SiF4を生成すると
共に反応管のアルミナAl2O3から揮発した酸素O2と析
出基板の黒鉛Cとを反応させて一酸化炭素COを生成
し、続いて前記両反応生成物を反応させて一酸化珪素S
iOを生成し、得られた前記一酸化珪素気相種SiOと前
記窒素ガスN2とを、析出基板の黒鉛Cの存在下、氷晶
石Na3AlF6と析出基板の黒鉛Cとの反応により生じた
アルミニウムAl液相又はそれに鉄分Feが混入したアル
ミニウム−鉄Al-Fe液相を媒体として反応させること
を特徴としている。
【0022】前記窒化珪素ウイスカーの製造方法におけ
る反応機構は、熱力学的考察と種々の実験結果から次の
ように推察される。なお、後述する化学式の後に付記さ
れた(g)及び(s)は、各々気相種及び固相種を表わしてい
る。
【0023】先ず、氷晶石Na3AlF6(s)は、加熱され
ることにより、1030℃以上の温度で解離するという
ラマンによる報告から、次式(1’)に示す反応が生じ
ている。
【0024】 Na3AlF6(s) → 2NaF(g)+NaAlF4(g) …(1’) ΔG=−78.345kJ
【0025】ここで、生成したフッ化ナトリウムNaF
(g)は、シリカSiO2含有原料中のシリカSiO2(s)と反
応することで、次式(2’)に示すようにシリケート
(ガラス質)Na2Si2O5(s)と四フッ化珪素SiF4(g)
を生成する。
【0026】 4NaF(g)+5SiO2(s) → 2Na2Si2O5(s)+SiF4(g) …(2’) ΔG=−178.359kJ
【0027】さらに、反応管にアルミナAl2O3を用い
ていることから、1250℃以上の温度でアルミナAl2
O3の酸素分が揮発し、O2(g)として気相種に関与す
る。本発明では黒鉛C(s)の析出基板を用いていること
から、前記酸素O2(g)は次式(3’)に示すように一酸
化炭素CO(g)として除去される。
【0028】 O2(g)+2C(s) → 2CO(g) …(3’) ΔG=−470.437kJ
【0029】そこで、前記式(2’)で生じた四フッ化
珪素SiF4(g)と式(3’)で生じた一酸化炭素CO(g)
との反応により、次式(4’)に示すように一酸化珪素
SiO(g)が生成する。
【0030】 SiF4(g)+CO(g) → SiO(g)+CF4(g) …(4’) ΔG=−723.285kJ
【0031】このとき生じた一酸化珪素SiO(g)は、黒
鉛C(s)の存在下、窒素ガスN2(g)の気流中で窒化され
ることにより、次式(5’)に示すように窒化珪素Si3
N4(s)が生成する。
【0032】 3SiO(g)+3C(s)+2N2(g) → Si3N4(s)+3CO(g) …(5’) ΔG=−241.588kJ
【0033】したがって、氷晶石Na3AlF6(s)とシリ
カSiO2含有原料中のシリカSiO2(s)との反応によっ
て生じる一酸化珪素SiO(g)が、窒素ガスN2(g)による
窒化を受けて、黒鉛C(s)の存在下において窒化珪素Si
3N4(s)を生成する全反応式は、前記式(1’)〜
(5’)をまとめると次式(6’)に示すとおりとな
る。
【0034】 6Na3AlF6(s)+15SiO2(s)+5C(s) +2N2(g)+O2(g) → Si3N4(s)+6Na2Si2O5(s)+6NaAlF4(g)+3CF4(g)+2CO(g) …(6’) ΔG=−3887.027kJ
【0035】前記式(6’)において、3CF4(g)+2
CO(g)の気相種は系外に出て行くが、その内の一酸化
炭素CO(g)は、式(3’)に示すように黒鉛存在下に
おける酸素O2(g)の除去によって生じるのみならず、式
(5’)に示すように窒化珪素Si3N4(s)の生成に伴っ
ても生じるので、式(4’)の形で四フッ化珪素SiF4
(g)との反応が進行し、気相中に占める一酸化珪素SiO
(g)の割合が多くなり、それによって式(5’)の窒化
反応が促進されるものと考えられる。
【0036】一般に、気相−液相−固相が関与すること
によりウイスカーが成長する場合、その成長機構はVL
S機構と称され、この機構によってウイスカーが成長す
る場合は、通常、ウイスカーの先端にドロップレットと
称する球状物質が付着しており、このドロップレットの
組成の知見からも前記反応機構を確認することが可能で
ある。炭化珪素SiC及び窒化珪素Si3N4の各ウイスカ
ーをVLS機構で成長させた場合のドロップレットの組
成は、従来の報告では鉄−珪素Fe-Siが主流であった
が、本発明ではアルミニウム−珪素Al-Si又はアルミ
ニウム−鉄−珪素Al-Fe-Siであることが判明し、こ
のことは、本発明において、既述の反応機構で示したよ
うに、氷晶石Na3AlF6が、シリカSiO2含有原料中の
シリカSiO2と反応すると共に炭化珪素SiC及び窒化
珪素Si3N4の各ウイスカーの成長に深く関与している
ことを裏付けるものである。
【0037】本発明におけるドロップレットの生成機構
は次のとおりである。なお、後述する化学式の後に付記
された(g)、(l)及び(s)は、各々気相種、液相種及び固
相種を表わしている。
【0038】先ず、氷晶石Na3AlF6(s)は、ラマンに
よると、加熱されることにより次式(1”)〜(3”)
に示すような解離反応を起す。
【0039】 Na3AlF6(s) → Na3AlF6(g) …(1”) Na3AlF6(g) → 2NaF(g)+NaAlF4(g) …(2”) NaAlF4(g) → Na+(g)+AlF4-(g) …(3”)
【0040】ここで、前記式(3”)で生じたAlF
4-(g)がドロップレットの組成に大きな影響を及ぼし、
この気相種が、黒鉛C(s)の昇華によって生じるC(g)と
次式に示す反応を起す。
【0041】 AlF4-(g)+C(g) → Al(l)+CF4(g) …(4”)
【0042】前記式(4”)で形成された液相であるア
ルミニウムAl(l)を媒体として、一酸化珪素SiO(g)及
びメタンガスCH4が供給されることにより、既述の式
(5)に示す反応で炭化珪素SiCウイスカーが形成さ
れ、また黒鉛C(s)の存在下に一酸化珪素SiO(g)及び
窒素ガスN2(g)が供給されることにより、既述の式
(5’)に示す反応で窒化珪素Si3N4ウイスカーが形
成されることになる。
【0043】前記気相種の媒体となっていた融液アルミ
ニウムAl(l)が加熱反応後の降温時に冷却され、シリサ
イドとしてウイスカーの先端にアルミニウム−珪素Al-
Siの組成を有するドロップレットが形成される。な
お、使用した天然資源等のシリカSiO2含有原料中に通
常含まれる鉄分Feが前記融液アルミニウムAl(l)の形
成時に取り込まれた場合には、アルミニウム−鉄−珪素
Al-Fe-Siの組成を有するドロップレットが形成され
る。
【0044】本発明に係るシリカSiO2含有原料となり
得る天然資源として、火山灰、シラス、珪藻土及び籾殻
等が好適に利用可能であり、本発明では、炭化珪素Si
Cウイスカー及び窒化珪素Si3N4ウイスカーの何れの
場合も、前記シリカSiO2含有原料の一種又は2種以上
と氷晶石Na3AlF6とをシリカ/氷晶石(モル比)が2
〜8となるように、好ましくは3〜5、特に好ましくは
3付近となるように粉末状態に混合して加熱反応に供す
る。前記モル比が2に満たない場合や8を越える場合
は、ウイスカーの収率が極端に低下するので好ましくな
い。
【0045】また、反応温度は、炭化珪素SiCウイス
カー及び窒化珪素Si3N4ウイスカーの何れの場合も、
1250〜1450℃、好ましくは1300〜1400
℃、特に好ましくは1350〜1400℃である。前記
反応温度が1250℃未満の場合はウイスカーの収率が
極端に減少し、またこの温度が1450℃を越える場合
は、ウイスカーの収率が低下傾向を示すのみならず、ア
ルミナAl2O3反応管等に耐熱上の問題を生じ、何れも
好ましくない。
【0046】
【実施例】以下に本発明を実施例及び比較例に基づいて
具体的に説明する。
【0047】〔試料の調製〕シリカSiO2を64重量%
含有する火山灰をシリカSiO2含有原料として選択し、
これと氷晶石Na3AlF6とをシリカ/氷晶石(モル比)
が1、2、3、4、5、6、7、8及び9となるように
粉末状態に混合して、本発明の実施例及び比較例に用い
るS1〜S9からなる各粉末試料を調製した。
【0048】〔装置の準備〕図1は本発明に係る炭化珪
素ウイスカー及び窒化珪素ウイスカーの製造方法に用い
る製造装置の一例の断面図であり、同図に示すように、
電気炉1と、電気炉1の炉心に配置され、後端面にガス
入口5、先端面にガス出口6、後端面から内部に差し込
まれた熱電対7を各々備えたアルミナ反応管2と、アル
ミナ反応管2の中央に設置され、側壁と閉塞された先端
面とに複数の排気孔8が穿設されてなる析出基板として
の黒鉛筒3と、黒鉛筒3中に挿入される試料容器及び他
の析出基板としての黒鉛ボート4とが準備され、試験に
際して前記黒鉛ボート4中に粉末試料Sが充填される。
【0049】〔炭化珪素SiCウイスカーの製造〕 (実施例1〜7)シリカ/氷晶石(モル比)が2、3、
4、5、6、7及び8であるS2〜S8からなる各粉末
試料Sを黒鉛ボート4に充填し、黒鉛筒3中に挿入した
後、アルミナ反応管2の中央に設置し、これをさらに電
気炉1内に配置した。
【0050】アルミナ反応管2内に、そのガス入口5か
らガス出口6へと、メタンガスCH410容量%とアル
ゴンガスAr90容量%との混合ガスからなる反応ガス
を流入させ、アルミナ反応管2内部をその反応ガスで十
分置換した後、その流量を所要の一定流量180ml/
minに調整した。なお、前記反応ガスの組成及び流量
は、予備実験等を通じて適宜選択される。
【0051】続いて、アルミナ反応管2内部を昇温速度
5℃/minで昇温し、常圧下に所定の1400℃で1
0時間加熱した後、降温速度5℃/minで500℃ま
で降温し、室温まで放冷した。なお、前記反応ガスは、
生成物の酸化を防ぐために、アルミナ反応管2内部が2
50℃に冷却されるまで流し続けた。
【0052】前記加熱反応の結果、黒鉛筒3、黒鉛ボー
ト4及びアルミナ反応管2の各壁面に実施例1〜7に係
る炭化珪素SiCウイスカーの生成が確認された。得ら
れた各炭化珪素SiCウイスカーの径、形状、モル収率
及び成長機構を表1に示す。なお、前記モル収率は、既
述の反応式に基づいて算出したものである。
【0053】(比較例1〜2)また、比較のために、シ
リカ/氷晶石(モル比)が1及び9であるS1及びS9
からなる各粉末試料Sについても前記と同様の条件で加
熱処理し、比較例1〜2に係る微量の各炭化珪素SiC
ウイスカーを得た。なお、氷晶石を配合しない粉末試料
についての試験では、炭化珪素SiCウイスカーを生成
することができなかった。
【0054】
【表1】
【0055】(試験結果)以上の試験結果によれば、実
施例1〜7に係る炭化珪素SiCウイスカーでは、何れ
も、ウイスカーの径が0.1〜3.0μmの範囲に属し
て安定しており、またモル収率は59〜100%という
極めて高い値を示し、シリカSiO2含有原料におけるシ
リカSiO2以外の不純物成分がこのモル収率に悪影響を
及ぼさないことが確認された。また、前記の各実施例で
得られた炭化珪素SiCウイスカーの先端には、アルミ
ニウム−珪素Al-Siの組成を有するドロップレット及
びこれらに鉄分が混入したアルミニウム−鉄−珪素Al-
Fe-Siの組成を有するドロップレットの生成が確認さ
れた。
【0056】これに対して、比較例1〜2では、炭化珪
素SiCウイスカーの生成量が極端に少なく、何れもモ
ル収率が20%を下回るものであった。
【0057】また、シリカ/氷晶石(モル比)が3、反
応温度が1400℃、モル収率が100%である前記実
施例2について、反応温度のみを前記条件とは異なる1
250℃、1300℃、1350℃に各々変更して、同
様の条件で試験を行なったところ、モル収率は、125
0℃の場合に5%、1300℃の場合に20%、135
0℃の場合には60%を記録したことから、1400℃
付近が炭化珪素SiCウイスカーの最適成長温度である
と認められた。
【0058】さらに、前記実施例2について、シリカS
iO2含有原料のみを前記の火山灰より多くのシリカSi
O2を含有するシラス(シリカSiO2含有率約80重量
%)、珪藻土(同含有率約75重量%)及び籾殻(同含
有率約90重量%)に変更して、同様の条件で各々試験
を行なったところ、該実施例と略同等のモル収率が得ら
れた。
【0059】〔窒化珪素Si3N4ウイスカーの製造〕 (実施例8〜14)シリカ/氷晶石(モル比)が2、
3、4、5、6、7及び8であるS2〜S8からなる各
粉末試料Sを黒鉛ボート4に充填し、黒鉛筒3中に挿入
した後、アルミナ反応管2の中央に設置し、これをさら
に電気炉1内に配置した。
【0060】アルミナ反応管2内に、そのガス入口5か
らガス出口6へと、純度99.99%の窒素ガスN2か
らなる反応ガスを流入させ、アルミナ反応管2内部をそ
の反応ガスで十分置換した後、その流量を所要の一定流
量180ml/minに調整した。
【0061】続いて、アルミナ反応管2内部を昇温速度
5℃/minで昇温し、常圧下に所定の1400℃で1
0時間加熱した後、降温速度5℃/minで500℃ま
で降温し、室温まで放冷した。なお、前記反応ガスは、
生成物の酸化を防ぐために、アルミナ反応管2内部が2
50℃に冷却されるまで流し続けた。
【0062】前記加熱反応の結果、黒鉛筒3、黒鉛ボー
ト4及びアルミナ反応管2の各壁面に実施例8〜14に
係る窒化珪素Si3N4ウイスカーの生成が確認された。
得られた各窒化珪素Si3N4ウイスカーの径、形状、モ
ル収率及び成長機構を表2に示す。なお、前記モル収率
は、既述の反応式に基づいて算出したものである。
【0063】(比較例3〜4)また、比較のために、シ
リカ/氷晶石(モル比)が1及び9であるS1及びS9
からなる各粉末試料Sについても前記と同様の条件で加
熱処理し、比較例3〜4に係る微量の各窒化珪素Si3N
4ウイスカーを得た。なお、氷晶石を配合しない粉末試
料についての試験では、窒化珪素Si3N4ウイスカーを
生成することができなかった。
【0064】
【表2】
【0065】(試験結果)以上の試験結果によれば、実
施例8〜14に係る窒化珪素Si3N4ウイスカーでは、
何れも、ウイスカーの径が1〜6μmの範囲に属し、ま
たモル収率は27〜38%という比較的高い値を示し
た。また、前記の各実施例で得られた窒化珪素Si3N4
ウイスカーの先端には、アルミニウム−珪素Al-Siの
組成を有するドロップレット及びこれらに鉄分が混入し
たアルミニウム−鉄−珪素Al-Fe-Siの組成を有する
ドロップレットの生成が確認された。
【0066】これに対して、比較例3〜4では、窒化珪
素Si3N4ウイスカーの生成量が極端に少なく、何れも
実用上の問題を残すものであった。
【0067】また、シリカ/氷晶石(モル比)が5、反
応温度が1400℃、モル収率が38.6%である前記
実施例11について、反応温度のみを前記条件とは異な
る温度に変更して、同様の条件で試験を行なったとこ
ろ、1250℃から1350℃に変化させるに従ってモ
ル収率の上昇が認められた。
【0068】さらに、前記実施例11について、シリカ
SiO2含有原料のみを既述のシラス、珪藻土及び籾殻に
変更して、同様の条件で各々試験を行なったところ、該
実施例と略同等のモル収率が得られた。
【0069】
【発明の効果】本発明に係る炭化珪素ウイスカー及び窒
化珪素ウイスカーの製造方法は以上のように構成される
ので、氷晶石Na3AlF6を炭化反応や窒化反応に反応物
として有効に関与させることにより、種々の複合構造材
料の有用な強化材として優れた物性、形状を有するなる
炭化珪素SiCウイスカー及び窒化珪素Si3N4ウイスカ
ーを高収率で製造することができ、これらによって、天
然資源として多量に存在する火山灰、シラス、珪藻土及
び籾殻等をシリカSiO2含有原料として有効に利用する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭化珪素ウイスカー及び窒化珪素
ウイスカーの製造方法に用いる製造装置の一例の断面図
である。
【符号の説明】 1 電気炉 2 アルミナ反応管 3 黒鉛筒 4 黒鉛ボート 5 ガス入口 6 ガス出口 7 熱電対 8 排気孔 S 粉末試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C04B 35/584 C04B 35/58 102P

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリカSiO2含有原料と氷晶石Na3Al
    F6とをシリカ/氷晶石(モル比)が2〜8となるよう
    に粉末状態に混合すると共に、アルミナAl2O3反応管
    内で、黒鉛Cを析出基板として、メタンガスCH4と不
    活性ガスとの混合ガスからなる反応ガスの流通下、12
    50〜1450℃の温度で加熱し、その加熱工程を通し
    て、シリカSiO2と氷晶石Na3AlF6とを反応させて四
    フッ化珪素SiF4を生成すると共に反応管のアルミナA
    l2O3から揮発した酸素O2と析出基板の黒鉛Cとを反応
    させて一酸化炭素COを生成し、続いて前記両反応生成
    物を反応させて一酸化珪素SiOを生成し、得られた前
    記一酸化珪素SiOと前記メタンガスCH4とを、氷晶石
    Na3AlF6と析出基板の黒鉛Cとの反応により生じたア
    ルミニウムAl液相又はそれに鉄分Feが混入したアルミ
    ニウム−鉄Al-Fe液相を媒体として反応させることを
    特徴とする炭化珪素ウイスカーの製造方法。
  2. 【請求項2】 ウイスカー先端に、アルミニウム−珪素
    Al-Si又はアルミニウム−鉄−珪素Al-Fe-Siの組成
    を有するドロップレットが形成される請求項1記載の炭
    化珪素ウイスカーの製造方法。
  3. 【請求項3】 シリカSiO2含有原料が、火山灰、シラ
    ス、珪藻土及び籾殻からなる天然資源の少なくとも一種
    である請求項1記載の炭化珪素ウイスカーの製造方法。
  4. 【請求項4】 シリカSiO2含有原料と氷晶石Na3Al
    F6とをシリカ/氷晶石(モル比)が2〜8となるよう
    に粉末状態に混合すると共に、アルミナAl2O3反応管
    内で、黒鉛Cを析出基板として、窒素ガスN2からなる
    反応ガスの流通下、1250〜1450℃の温度で加熱
    し、その加熱工程を通して、シリカSiO2と氷晶石Na3
    AlF6とを反応させて四フッ化珪素SiF4を生成すると
    共に反応管のアルミナAl2O3から揮発した酸素O2と析
    出基板の黒鉛Cとを反応させて一酸化炭素COを生成
    し、続いて前記両反応生成物を反応させて一酸化珪素S
    iOを生成し、得られた前記一酸化珪素気相種SiOと前
    記窒素ガスN2とを、析出基板の黒鉛Cの存在下、氷晶
    石Na3AlF6と析出基板の黒鉛Cとの反応により生じた
    アルミニウムAl液相又はそれに鉄分Feが混入したアル
    ミニウム−鉄Al-Fe液相を媒体として反応させること
    を特徴とする窒化珪素ウイスカーの製造方法。
  5. 【請求項5】 ウイスカー先端に、アルミニウム−珪素
    Al-Si又はアルミニウム−鉄−珪素Al-Fe-Siの組成
    を有するドロップレットが形成される請求項4記載の窒
    化珪素ウイスカーの製造方法。
  6. 【請求項6】 シリカSiO2含有原料が、火山灰、シラ
    ス、珪藻土及び籾殻からなる天然資源の少なくとも一種
    である請求項4記載の炭化珪素ウイスカーの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115536027A (zh) * 2022-09-27 2022-12-30 湖南宸宇富基新能源科技有限公司 一种氧化亚硅的制备和应用
JP2023078935A (ja) * 2021-11-26 2023-06-07 義郎 中松 漂流軽石利用法

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