JPH11279103A - 不飽和カルボン酸エステルの製造法およびこの不飽和カルボン酸エステルを中間体としたβ−シネンサールの製造法 - Google Patents

不飽和カルボン酸エステルの製造法およびこの不飽和カルボン酸エステルを中間体としたβ−シネンサールの製造法

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JPH11279103A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価で容易に入手できる原料を使用し、製造工
程を短縮させることができるβ-シネンサールの製造法
と、その中間体である不飽和カルボン酸エステルの効率
的な製造法を提供する。 【解決手段】下記一般式(I) 【化1】 で示されるアリルアルコール体と、一般式(II) CH3C(OR)3 (II) (式中、Rは低級アルキル基を表す)で示されるオルト酢
酸トリアルキルを、酸の存在下に反応させることによっ
て得られる不飽和カルボン酸エステルを、水素化ジイソ
ブチルアルミニウムで選択的に還元してアルデヒド体を
なし、次いでプロピリデンアルキルイミンをリチウムジ
イソプロピルアミドの存在下に縮合後、酸で加水分解し
てβ-シネンサールを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香料、医薬などの
各種化学原料中間体として有用な不飽和カルボン酸エス
テルの製造法と、この不飽和カルボン酸エステルを中間
体とした、香料として有用なβ-シネンサールの製造法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下記一般式(VIII)
【0003】
【化9】 で示されるβ-シネンサール[(E,E)-2,6-ジメチル-10-
メチレン-2,6,11-ドデカトリエナール]は、中国オレン
ジ油(Citrus sinensus L.)の重要な香気・香味成分で、
柑橘系の特有な香気・香味を有する化合物である。
【0004】従来、このβ-シネンサールを製造する方
法として、例えば、下記反応式で示される方法(Bull.
Chem. Soc. Jpn, 57, 1935 (1984))が知られている。
【0005】
【化10】 しかしながら、この提案の方法には、工程途中で用いら
れるカルベノイドの入手が困難である点、PCC(ピリ
ジニウムクロロクロメート)という有害物質を使用する
点、反応工程が長い点、および製造効率が悪い点など多
くの問題点がある。
【0006】また、β-シネンサールを製造する方法と
しては、下記反応式で示される方法(Tetrahedron Let
t., 25, 30, 3213 (1984))も知られている。
【0007】
【化11】 しかしながら、この方法では、出発物質であるγ-メチ
ル-γ-ビニル-γ-ブチロラクトンや2-トリメチルシリ
ルメチル-1,3-ブタジエンは市販されておらず、前者
はビニルグリニアとエチルレブリネートから調整し、後
者はクロロメチルトリメチルシランと2−クロロ−1,
3−ブタジエンから調整しなければならない点、ベンゼ
ンという有害物質を使用する点、および第一工程の反応
時間が長い点などの問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、入手が容易
な原料を使用して、β-シネンサールを簡便に効率よく
時間を短縮して製造する方法を提供することをその課題
とする。
【0009】また本発明は、β-ミルセン等安価で入手
が容易な出発原料を使用して、β-シネンサールの中間
体である不飽和カルボン酸エステルを簡便に効率よく製
造する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するた
め、本発明の不飽和カルボン酸エステルおよびβ-シネ
ンサールの製造法は下記の構成からなるものである。
【0011】(1) 一般式(I)
【0012】
【化12】 で示されるアリルアルコール体と、一般式(II) CH3C(OR)3 (II) (式中、Rはメチル基、エチル基等の低級アルキル基を
表す)で示されるオルト酢酸トリアルキルを、酸の存在
下に反応させることを特徴とする、一般式(III)
【0013】
【化13】 (式中、R1はメチル基、エチル基等の低級アルキル基を
表す)で示される不飽和カルボン酸エステルの製造法。
【0014】(2) 前記オルト酢酸トリアルキルが、オル
ト酢酸トリメチルもしくはオルト酢酸トリエチルである
上記(1)記載の不飽和カルボン酸エステルの製造法。
【0015】(3) 前記酸がプロピオン酸である上記(1)
または(2)記載不飽和カルボン酸エステルの製造法。
【0016】(4) 前記アリルアルコール体が、一般式(I
V)
【0017】
【化14】 で示されるβ-ミルセンを、m−クロロ過安息香酸で位
置選択的に酸化して、一般式(V)
【0018】
【化15】 で示されるエポキシド体となし、次いでリチウムジイソ
プロピルアミドを作用せしめて得られるアリルアルコー
ル体であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに
記載の不飽和カルボン酸エステルの製造法。
【0019】(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の一般
式(III)
【0020】
【化16】 (式中、R1はメチル基、エチル基等の低級アルキル基を
表す)で示される不飽和カルボン酸エステル体を、水素
化ジイソブチルアルミニウムで選択的に還元して下記一
般式(VI)
【0021】
【化17】 で示されるアルデヒド体をなし、次いで一般式(VII)
【0022】
【化18】 (式中、R2はアルキル基)で示されるプロピリデンア
ルキルイミンをリチウムジイソプロピルアミドの存在下
に縮合後、酸で加水分解することを特徴とする一般式(V
III)
【0023】
【化19】 で示されるβ-シネンサールの製造法。
【0024】(6) 前記プロピリデンアルキルイミンが、
プロピリデン-ターシャリー-ブチルイミンもしくはプロ
ピリデンシクロヘキシルイミンであることを特徴とする
上記(5)記載のβ-シネンサールの製造法。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明のβ-シネンサールの好適
な製造法が、下記反応式に示される。
【0026】
【化20】 まず、一般式(I)
【0027】
【化21】 で示されるアリルアルコール体自体は、前記反応式に示
される公知の方法で製造することができる。すなわち、
入手が容易なβ-ミルセンを出発原料として、m−クロ
ロ過安息香酸(MCPBA)で位置選択的に三置換オレ
フィンを酸化し、得られたエポキシド体をリチウムジイ
ソプロピルアミド(LDA)と作用させることによっ
て、目的とするアリルアルコール体を得ることができ
る。
【0028】次に、得られたアリルアルコール体は、上
記の反応式Cに示されるように、酸の存在下に、オルト
酢酸トリアルキルとの反応によって不飽和カルボン酸エ
ステル体となる。ここでの酸は、有機酸または無機酸
で、その具体例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、プ
ロピオン酸、パラトルエンスルホン酸、硫酸水素カリウ
ム、アンバーリスト15E(ロームアンドハース社製)
などの酸性イオン交換樹脂などを挙げることができる
が、特にプロピオン酸が好ましく用いられる。
【0029】本発明において、酸の使用量は、アリルア
ルコール体に対して好ましくは0.001〜0.3当量
であるが、より好ましくは0.005〜0.2当量、さ
らに好ましくは0.01〜0.1当量である。
【0030】また、本発明で用いられるオルト酢酸トリ
アルキルの具体例としては、オルト酢酸メチル、オルト
酢酸エチルなどを挙げることができるが、これらに限定
されるものではない。このオルト酢酸トリアルキルの使
用量は、アリルアルコール体に対して好ましくは1〜3
0倍モルであるが、より好ましくは2〜20倍モル、さ
らに好ましくは3〜10倍モルである。
【0031】本発明の反応に用いられる溶媒は、過剰な
オルト酢酸トリアルキルが兼ねることもできるが、沸点
が反応温度以上で溶解度が十分あり、各原料に対して不
活性であるものを選ぶことができる。
【0032】さらに、反応温度は好ましくは50〜25
0℃の範囲を選ぶことができるが、より好ましくは10
0〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃の範
囲である。
【0033】本発明の反応においては低沸点アルコール
が生成するが、この低沸点アルコールは反応系から常圧
下または減圧下にて留出除去することが好ましい。
【0034】上記反応で得られた不飽和カルボン酸エス
テルは、使用する酸やオルト酢酸トリアルキルの種類に
よっては、反応液を蒸留分画するだけで高純度のものに
精製することができるが、さらに通常の反応処理の後
に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーや蒸留などで
精製することもできる。ここで、通常の反応処理とは、
反応終了後、室温まで冷却し飽和重曹水を加えエーテル
で抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナト
リウムで乾燥後、低沸点物を減圧下に回収し粗生成物を
得るものである。
【0035】不飽和カルボン酸エステルは、引き続きHe
lv. Chim. Acta 50(8),2440-2445(1967)で提案されてい
る公知の方法でβ-シネンサールへ誘導することができ
る。すなわち、不飽和カルボン酸エステルを、水素化ジ
イソブチルアルミニウム(DIBAH)等で選択的にア
ルデヒドに還元し、得られたアルデヒド体をプロピリデ
ンアルキルイミンとLDAによって縮合させ、その後、
引き続き酸性水溶液で加水分解処理することによってβ
-シネンサールを得るものである。
【0036】ここで用いられるプロピリデンアルキルイ
ミンの具体例としては、プロピリデン-ターシャリー-ブ
チルイミン、プロピリデンシクロヘキシルイミンなどを
挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されな
い。また、酸性水溶液としては、塩酸水、硫酸水などが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】次に、本発明を実施例を挙げて説明する
が、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】[実施例1]β-ミルセンから2-メチル-6-メチレン-1,7-オクタジエ
ン-3-オールの製造 m−クロロ安息香酸230.7g(純度80%以上、
1.07mol以上)にクロロホルム2250mlを加
えて、30℃に加熱して全溶させた後、−40℃に冷却
し、これにβ-ミルセン150.0g(GC純度86
%、0.95mol)をゆっくり滴下した。0〜5℃で
5時間反応させ、沈殿物を濾過し、濾液から減圧下に低
沸点物を除去した。その残渣に酢酸エチル750mlを
加え、飽和重曹水で2回、さらに飽和食塩水で洗浄し、
有機相を減圧下にて低沸点物を除去した。得られた粗生
成物を蒸留して133gのエポキシド体(GC純度87
%)を得た。収率は、β-ミルセンに対して80mol
%であった。
【0039】次いで、ジイソプロピルアミン56.8g
(0.56mol)にエーテル570mlを加えて、−
20℃に冷却しノルマル-ブチルリチウム ヘキサン溶
液(1.50mol/l)375mlを−10℃以下で
滴下した。0〜−5℃で30分間反応させ、再び−10
℃に冷却して、上記エポキシド体57.0g(0.33
mol)とエーテル266mlの溶液を0℃以下で滴下
した。0℃で15時間反応させ、水300mlをゆっく
りと注加し、水相を分液除去して、有機相を飽和塩化ア
ンモニウム水で2回、さらに飽和食塩水で洗浄し、減圧
下低沸点物を除去した。得られた粗生成物57gを蒸留
して、アリルアルコール体(2-メチル-6-メチレン-1,7-
オクタジエン-3-オール)45g(GC純度86%)を
得た。収率はエポキシド体に対して78mol%であっ
た。
【0040】エチル(E)-4-メチル-8-メチレン-4,9-デカ
ジエノエートの製造 上記アリルアルコール体(2-メチル-6-メチレン-1,7-オ
クタジエン-3-オール)50g(0.28mol)に、
オルト酢酸トリエチル373g(2.30mol)、プ
ロピオン酸1.5g(0.02mol)を加え、内温1
10℃で低沸点物を留去しながら1時間かけて内温14
0〜150℃に昇温後、同温度で1時間反応させた。冷
却後、減圧下に低沸点物を留去し、さらに引き続いて減
圧蒸留を行ない、不飽和カルボン酸エステル体(エチル
(E)-4-メチル-8-メチレン-4,9-デカジエノエート)5
1.5g(GC純度89%)を得た。収率は、アリルア
ルコール体に対して73mol%であった。
【0041】β-シネンサールの合成 上記で得られた不飽和カルボン酸エステル体(エチル
(E)-4-メチル-8-メチレン-4,9-デカジエノエート)1
2.5g(0.05mol)にヘキサン250mlを加
え、−70℃に冷却した。これに、水素化ジイソブチル
アルミニウムヘキサン溶液(1.0mol/l)50m
lをゆっくり滴下し、引き続いて−60〜−65℃で4
時間反応させた。−10〜0℃で5%塩酸水130ml
を滴下し、水相を分液除去した。有機相を飽和重曹水と
飽和食塩水で洗浄し、減圧下に低沸点物を留去して粗生
成物を得た。これを蒸留してアルデヒド体((E)-4-メチ
ル-8-メチレン-4,9-デカジエナール)9.0g(GC純
度72%)を得た。収率は、不飽和カルボン酸エステル
体に対して73mol%であった。
【0042】次いで、ジイソプロピルアミン20.6g
(0.20mol)にエーテル290mlを加え、−1
0℃に冷却し、これにノルマルーブチルリチウムヘキサ
ン溶液(1.57mol/l)119.3mlをゆっく
り滴下した。0〜−5℃で30分反応させた後、プロピ
リデン-シクロヘキシルイミン24.9g(0.18m
ol)のエーテル100ml溶液を滴下し、そのまま3
0分反応させた。次に、反応液を−60℃に冷却し上記
アルデヒド体29.0g(0.12mol)のエーテル
100ml溶液を滴下し、引き続き−60〜−65℃で
30分、その後、室温で1時間反応させた。反応液を0
℃に冷却し、10%硫酸水725gを滴下し、30℃で
30分反応させた。水相を分液除去して、有機相を飽和
重曹水、飽和食塩水で洗浄した後、減圧下に低沸点物を
留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーで精製して、β-シネンサール18.1
g(GC純度89%)を得た。収率は、アルデヒド体に
対して63mol%であった。
【0043】
【発明の効果】本発明のβ-シネンサールの製造法で
は、入手容易な原料を用いることができ、製造工程を短
縮させ簡便で効率よくβ-シネンサールを製造すること
ができる。また、香料や医薬などの各種化学原料中間体
として有用な不飽和カルボン酸エステルを簡便に効率よ
く製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 67/42 C07C 67/42 69/587 69/587 (72)発明者 長谷部 昭雄 千葉県野田市船形1573−4曽田香料株式会 社野田支社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 で示されるアリルアルコール体と、一般式(II) CH3C(OR)3 (II) (式中、Rは低級アルキル基を表す)で示されるオルト酢
    酸トリアルキルを、酸の存在下に反応させることを特徴
    とする、一般式(III) 【化2】 (式中、R1は低級アルキル基を表す)で示される不飽和
    カルボン酸エステルの製造法。
  2. 【請求項2】 前記オルト酢酸トリアルキルがオルト酢
    酸トリメチルもしくはオルト酢酸トリエチルである請求
    項1記載の不飽和カルボン酸エステルの製造法。
  3. 【請求項3】 前記酸がプロピオン酸である請求項1ま
    たは2記載不飽和カルボン酸エステルの製造法。
  4. 【請求項4】 前記アリルアルコール体が、一般式(IV) 【化3】 で示されるβ-ミルセンを、m−クロロ過安息香酸で位
    置選択的に酸化して、一般式(V) 【化4】 で示されるエポキシド体となし、次いでリチウムジイソ
    プロピルアミドを作用せしめて得られるアリルアルコー
    ル体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の不飽和カルボン酸エステルの製造法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の一般式
    (III) 【化5】 (式中、R1は低級アルキル基を表す)で示される不飽和
    カルボン酸エステルを、水素化ジイソブチルアルミニウ
    ムで選択的に還元して、一般式(VI) 【化6】 で示されるアルデヒド体をなし、次いで一般式(VII) 【化7】 (式中、R2はアルキル基)で示されるプロピリデンア
    ルキルイミンを、リチウムジイソプロピルアミドの存在
    下に縮合後、酸で加水分解することを特徴とする下記一
    般式(VIII) 【化8】 で示されるβ-シネンサールの製造法。
  6. 【請求項6】 前記プロピリデンアルキルイミンが、プ
    ロピリデン-ターシャリー-ブチルイミンもしくはプロピ
    リデンシクロヘキシルイミンであることを特徴とする請
    求項5記載のβ-シネンサールの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015509116A (ja) * 2011-12-20 2015-03-26 フイルメニツヒ ソシエテ アノニムFirmenich Sa 賦香成分としての新規なアルデヒド
JP2022092538A (ja) * 2020-12-10 2022-06-22 信越化学工業株式会社 3-イソプロペニル-6-ヘプテナール化合物及び6-イソプロペニル-3-メチル-3,9-デカジエニル=カルボキシレート化合物の製造方法並びにその中間体

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