【発明の詳細な説明】
過塩基化マグネシウムスルホネート
本発明は、過塩基化マグネシウムスルホネートの製造方法及びその方法により
製造される過塩基化マグネシウムスルホネートに関する。特に、本発明は高分子
量スルホン酸から製造される過塩基化マグネシウムスルホネートに関する。本発
明の方法により製造される過塩基化マグネシウムスルホネートは、特に、油ベー
ス組成物、特に潤滑油用添加剤として有用であり、本発明はまた、これらの過塩
基化金属スルホネートを含有する油ベース組成物に関する。
過塩基化マグネシウムスルホネートは周知であり、油ベース組成物、例えば、
潤滑油、グリース及び燃料中の添加剤として使用されている。過塩基化マグネシ
ウムスルホネートは洗浄剤及び酸中和剤として機能し、それにより磨耗及び腐食
を減少させ、エンジン中で使用したとき、エンジンの寿命を長くする。
過塩基化スルホネートの製造方法について多くの方法が提案されてきたが、好
ましい方法は、一般的に、有機溶剤又は希釈剤の存在下、油溶性スルホネート及
び/又は油溶性スルホン酸と、存在する任意の酸と反応することが要求される過
剰の上述した所望の金属化合物との混合物を炭酸塩化することを含む。過塩基化
マグネシウムスルホネートは、一般的に、対応するカルシウム化合物よりも製造
しにくく、提案された過塩基化マグネシウムスルホネートの製造方法は種々の特
別の処置、例えば特定の反応条件を使用すること及び/又は一種以上の添加物質
を炭酸塩化する混合物に混合することを含み、そのような添加物質として、水、
アルコール及び種々のタイプのプロモーターがあげられる。高分子量スルホン酸
から過塩基化マグネシウムスルホネートを製造するのは特に困難であることが分
かっている。
潤滑油及び燃料等の油ベース組成物中の添加剤として使用する過塩基化物質は
、透明な液体であり、かつ沈殿物を含有しないことが重要である。過塩基化マグ
ネシウムスルホネートを製造する工程における炭酸塩化の最後で得られる生成物
は、不必要な物質(通常は固い沈殿物及び/又は炭酸塩化後の沈殿物(PCS)
とい
われる過塩基化中に形成されるゼラチン状物質)をいくらか含有する。経済的観
点から、沈殿物を迅速かつ簡便に、好ましくは濾過により除去できることが望ま
れており、除去される沈殿物の量ができるだけ少ないこともまた望まれている。
存在する場合、ゼラチン状物質はフィルターを詰まらせることにより濾過を抑
制したり妨げたりする傾向にある。濾過による精製が可能であるならば、可能な
限り迅速に行うことが望ましい。多量の沈殿物が存在するとき、一般的には沈殿
物は濾過よりも遠心分離により除去されるべきであり、沈殿物の量が少ないとき
でさえ、大きなスケールでプロセスが行われる場合、フィルターを詰まらせる傾
向にあり、この傾向は、システムが過塩基化中に形成されるゼラチン状物質を含
有するとき特に顕著である。
油ベース組成物用添加剤として使用する過塩基化物質は、比較的塩基性が高い
のが望ましい。高塩基価の添加剤が存在する。スルホネートを定義するのに使用
される用語、低塩基価及び高塩基価は、ASTM D2896-88“Standard Test Method
for Base Number of Petroleum Products by Potentiometric Perchioric Acid
Titration”に関して理解されるべきである。この試験方法は、氷酢酸中におけ
る過塩素酸を用いた電位差滴定による石油製品中の塩基性成分の定量に関するも
のである。この試験方法の結果は、単位mgKOH/gの塩基当量である塩基価
として引用されている。したがって、用語低塩基価は、50mgKOH/g未満の
塩基価の値をいい、用語高塩基価は、50mgKOH/gより大きく、及び400 m
gKOH/g程度、又はより高い、例えば600 mgKOH/g程度でもあり得る
塩基価の値をいう。ある用途については、ASTM D2896-88 により測定されるよう
に、TBNは少なくとも350 、好ましくは少なくとも380 、最も好ましくは少な
くとも400 mgKOH/gであるのが好ましい。しかしながら、高TBNの過塩
基化物質の製造方法では、しばしば、TBNの低い過塩基化物質を生成するより
も、炭酸塩化工程の最後において十分にTBNのレベルの高い沈殿物を生成して
しまう。
特に、合成高分子量スルホン酸から高塩基価スルホネートを製造するのは困難
である。すなわち、平均分子量が500以上の合成酸はまた、低粘度及び低レベ
ルの沈殿物(PCS)も有するのである。これを従来法により試みてみると、予
想される塩基価よりも塩基価が低く、許容できないほどに高レベルの炭酸塩化後
の沈殿物、高粘度、低濾過速度又はこれらの欠点を組み合わせた高粘度生成物が
得られる。
炭酸塩化直後(すなわち沈殿物を除去するための遠心分離又は濾過の前)の反
応混合物中の沈殿物の割合は、“炭酸塩化後の沈殿物”、すなわち“PCS”と
して一般的に知られており、通常は、反応混合物の体積を基準として体積%PC
Sとして表されている。異なる系での沈殿物の割合を比較するとき、%PCSは
、比較できる系について、好ましくはあらゆる揮発物資を含有しない“ストリッ
プした”系、例えば、水、メタノール及び溶剤といった、反応のために反応混合
物中に含まれているが最終過塩基化製品には必要とされていない系について計算
するのが重要である。2、3のプロセスにおいて、これらの揮発性物質は沈殿物
が除去されるまで除去されず、したがって報告される%PCSは揮発性物質を依
然として含有する反応系の体積を基準としたものであるが、適当な計算により、
比較目的のために、揮発物質を含有しない抽象的な系における%PCSの値を得
ることが可能である。
過塩基化マグネシウムスルホネートを炭酸塩化する場合、存在する酸化マグネ
シウム及び/又は水酸化マグネシウムを転化して炭酸塩化する。単独で又は互い
を一種以上混合して生成することができる種々の炭酸塩が存在する。これらの炭
酸塩は、天然のアーティナイト(MgCO3Mg(OH)23H2O)、ハイドロマグネサイト(3Mg
CO3Mg(OH)23H2O)及びネスケオナイト(nesquehonite)(MgCO33H2O)である。コロイ
ド安定性及び低沈殿物のために、存在する炭酸塩はハイドロマグネサイトが主で
あるのが好ましい。過塩基化マグネシウムスルホネートが低分子量(400〜5
00)のスルホン酸から製造される場合、炭酸塩化反応は自己制御式であると思
われ、最も望ましい炭酸塩、ハイドロマグネサイトが炭酸塩化の最後で優先的に
形成される。水溶性が非常に高い、非常に低分子量のスルホン酸(300未満)
を用いた場合、生成物は過炭酸塩化された、主成分由来の望ましくないネスケオ
ナイトである。高分子量のスルホン酸をこれらの従来法において使用した場合、
炭酸塩化中に生成されるアーティナイトは望ましくないものである。従来、高分
子量スルホン酸から、炭酸塩化の最後でハイドロマグネサイトの
形態の炭酸マグネシウムを主に含有する過塩基化マグネシウムスルホネートを提
供することは可能ではなかった。揮発物質を除去する際、マグネシウムスルホネ
ート石けんにより懸濁状態で立体的に安定化している塩基性炭酸マグネシウムが
形成される。
それ故、高分子量スルホン酸から、高TBN、低レベルの炭酸塩化後の沈殿物
を有し、沈殿物含有反応生成物を比較的迅速に濾過できる過塩基化マグネシウム
スルホネートを製造する適当な方法が求められている。
本件出願人は、驚くべきことに、高分子量スルホン酸由来の過塩基化マグネシ
ウムスルホネートの製造において全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸又はそ
れらのマグネシウム塩を使用することにより、炭酸塩化の最後においてプロセス
において使用される酸化マグネシウムが全て実際に所望のハイドロマグネサイト
(3MgCO3Mg(OH)23H2O)に転化するのを確実にすることができ、結果として、高分
子量スルホン酸から高TBN及び低レベルのPCS、許容できる粘度及び濾過速
度を有する過塩基化マグネシウムスルホネートを製造できることを見いだした。
製造されるハイドロマグネサイト又はアーティナイトの量は、導入されたスルホ
ン酸と反応する際に消費されるMgOの量を考慮に入れた後、炭酸塩化中に吸収
されるCO2の量についてマスバランスをを行うことにより測定することができ
る。形成されるハイドロマグネサイトについて、過塩基化するマグネシウムの各
分子は0.75分子のCO2と反応する;形成されるアーティナイトについては、過
塩基化するマグネシウムの各分子はわずか0.5 分子のCO2と反応する。それぞ
れの量は、連立方程式を解くことにより容易に決定でき、吸収されるCO2の量
を決定した後、ハイドロマグネサイト及びアーティナイトの量を簡単な計算によ
り容易に決定することができる。
部分的又は全体的に水溶性である低分子量のスルホン酸又はそれらのマグネシ
ウム塩をそれらの製造方法において使用すると、高分子量のスルホン酸から%P
CS値の高い、高TBNの過塩基化マグネシウムスルホネートを得るのが可能に
なる。
本発明により、過塩基化マグネシウムスルホネートの製造方法であって、
(i) 少なくとも下記成分(a)〜(g)を含有する添加物を含有する混合物を炭酸塩
化し;及び
(a) 少なくとも一種の油溶性高分子量スルホン酸;
(b) 少なくとも一種の全体的又は部分的に水溶性の低分子量スルホン酸又はそ
れらのマグネシウム塩;
(c) 成分(a)及び成分(b)と完全に反応するのに必要とされる量より過剰の酸化
マグネシウム;
(d) 炭化水素溶剤;
(e) 水;
(f) 水溶性アルコール;及び
(g) プロモーター;
(ii) 工程(i)の添加物から揮発性溶剤を除去する
工程を含む前記方法を提供する。
本発明の方法において、酸化マグネシウムを、成分(g)の添加前に成分(b)と反
応させることができるか、又は酸化マグネシウムを、成分(b)又は成分(a)の添加
前に成分(g)と混合することができる。また、成分(g)を、成分(a)及び成分(c)の
添加前に成分(b)と混合することもできる。
本発明はさらに、過塩基化マグネシウムスルホネート組成物であって、揮発性
溶剤が除去されておらず(例えばストリップされていない)、油溶性高分子量ス
ルホン酸から誘導された少なくとも一種のマグネシウムスルホネート及び全体的
又は部分的に水溶性である低分子量スルホン酸から誘導された少なくとも一種の
マグネシウムスルホネートを含有し、組成物中の全スルホネートの少なくとも5
0重量%が高分子量スルホン酸から誘導され、及び組成物中の炭酸マグネシウム
がハイドロマグネサイトの形態である前記組成物を提供する。
そのような組成物は炭酸塩化(工程(i))の終了時及び揮発性溶剤の除去(工程(
ii))の前に生成される生成物である。揮発性溶剤の除去の際、CO2及びH2O
の両方とも、ハイドロマグネサイトから除去され、立体的に安定化された塩基性
炭酸マグネシウムのコロイド懸濁液が形成される。
それ故、本発明はさらに、油溶性高分子量スルホン酸から誘導された少なくと
も一種のマグネシウムスルホネート及び全体的又は部分的に水溶性である低分子
量スルホン酸から誘導され、塩基性炭酸マグネシウムの安定化コロイド懸濁液で
ある少なくとも一種のマグネシウムスルホネートを含有し、組成物中の全スルホ
ネートの少なくとも50重量%が高分子量スルホン酸から誘導される過塩基化マ
グネシウムスルホネート組成物を提供する。組成物のTBNは、例えば少なくと
も400 mgKOH/gであり得る。
組成物は高分子量スルホン酸から誘導されたスルホネートを基準として金属ス
ルホネートを少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも75重量%含有
するのが好ましい。好ましくは50〜92重量%、最も好ましくは75〜94重
量%の範囲である。
100℃における過塩基化マグネシウムスルホネート組成物の動粘度は700
センチストークス(cS)以下、例えば300cS以下、最も好ましくは150
cS以下及び最も好ましくは30〜150cSの範囲であるのが好ましい(1c
S=10-6m2/s)。
得られた過塩基化マグネシウムスルホネートのPCSは、揮発性物質を含有し
ない反応系を基準として2%以下、好ましくは1.8 %以下、最も好ましくは1.6
%以下であり得、及び2、3の場合において1%以下であり得る。非常に少ない
量の沈殿物が本発明により得ることができるという事実は、大きなスケールで作
業したとき、処置されるべき廃棄物質がより少なくて済むので経済的観点から有
利である。
得られた過塩基化マグネシウムスルホネートはまた、溶剤をストリップした後
、典型的には少なくとも150、好ましくは少なくとも200及び特に少なくと
も250kg/m2/時間の速度で迅速に濾過される。該生成物はまた、比較的低粘度
を有する。
揮発性物質が除去されていない本発明の過塩基化マグネシウムスルホネート組
成物は、組成物の全重量を基準としてスルホネートを少なくとも16重量%含有
することができる。組成物中のスルホネート濃度がさらに高くても可能である。
したがって、組成物は少なくも20重量%、より好ましくは少なくとも25重量
%のスルホネートを含有するのが好ましい。スルホネートは、組成物の全重量を
基準として16〜30重量%、最も好ましくは20〜30重量%の範囲で存在す
るのが好ましい。
用語“油溶性高分子量”スルホン酸は、合成の油溶性アルキルスルホン酸又は
アルカリールスルホン酸を意味し、該酸の数平均分子量は500より大きく、好
ましくは600以上であり700までである。高分子量スルホン酸は、高分子量
スルホン酸単独であってもよく、又は高分子量スルホン酸の混合物であってもよ
い;これが混合スルホン酸である。混合スルホン酸は異なる高分子量スルホン酸
の混合物であってよい。数平均分子量は、ASTM D-3712 に記載されているような
利用できる方法により測定することができる。高分子量スルホン酸は、例えばア
ルキルベンゼンスルホン酸、アルキルトルエンスルホン酸又はアルキルキシレン
スルホン酸等のアルカリールスルホン酸であるのが好ましい。C15〜C60+アル
キルベンゼン又はC15〜C60+アルキルキシレン又はC15〜C60アルキルトルエ
ンスルホン酸の混合スルホン酸又はこれらの酸類の二種以上の混合物であるのも
また好ましい。好ましい高分子量スルホン酸は、ポリエチレン、ポリプロピレン
、又はポリノルマルブテン等のC2、C3又はC4ポリオレフィンから製造される
芳香族アルキレートから誘導されるものである。ポリノルマルブテンから製造さ
れるのが最も好ましい。スルホン酸が混合スルホン酸でありポリノルマルブテン
から誘導されるものであるとき、数平均分子量は少なくとも600、好ましくは
600〜700であるのが好ましい。高分子量の酸の幾らか又は全部と該酸の中
性マグネシウムスルホネートとを本発明の方法において取り替えることも可能で
ある。しかしながら本発明の方法において中性スルホネートよりも該酸を使用す
るのが好ましい。
全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸は、低分子量アルカリールスルホン酸
であるのが好ましく、最も好ましくはC9〜C36+アルキル置換アルキルベンゼ
ン又はアルキルトルエン又はアルキルキシレンスルホン酸の混合物である。アル
キル基は、酸素や窒素等のヘテロ原子を含有しない分岐又は直鎖ヒドロカルビル
基であり得る。全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸の数平均分子量は500
未満、好ましくは490未満、最も好ましくは450未満であるのが好ましい。
分子量は300〜490及び好ましくは310〜450、最も好ましくは320
〜400の範囲であるのが好ましい。全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸は
、
全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸の混合物、例えばC18直鎖アルキルアリ
ールスルホン酸とC15〜C36+分岐鎖アルキルアリールスルホン酸の混合物であ
り得る。特に好ましい水溶性スルホン酸は、C10〜C14ドデシルベンゼンスルホ
ン酸、例えば Sinnozon DBS,LAS-sirene 113 及び分岐した Sinnozon TBP とし
て公知の商業的に入手できるスルホン酸である。
“全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸”は、水と接触させて攪拌したとき
、水と完全に混和して溶液を形成するか又は水と十分な程度混和性を示し、酸の
何種類かが水相に移動するような酸を意味する。このような状況において、部分
的に水溶性のスルホン酸は、100gの酸を100gの水と室温下で振とうした
とき少なくとも5重量%が水相に移動する酸であるのが好ましい。より好ましく
は少なくとも10重量%が移動し、最も好ましくは少なくとも20重量%が移動
する。このスルホン酸は全体的に水溶性であり、平均分子量が380未満、最も
好ましくは320〜380の範囲であるのが好ましい。本発明の方法において、
全体的又は部分的に水溶性の酸の幾らか又は全部と該酸の中性マグネシウムスル
ホネートとを取り替えるのもまた可能である。しかしながら本発明の方法におい
て、中性のスルホネートよりも全体的又は部分的に水溶性の酸を使用するのが好
ましい。
本発明の方法において使用される全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸の量
は、スルホン酸の溶解性に幾分依存している。溶解性が減少するにつれて、より
多量の全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸が要求される。全体的又は部分的
に水溶性のスルホン酸を使用しすぎた場合、炭酸マグネシウムの望ましくない形
態であるネスケオナイトが形成する。使用するスルホン酸の全重量を基準として
少なくとも2重量%の全体的又は部分的に水溶性のスルホン酸を本発明の方法に
おいて使用するべきである。好ましくは少なくとも6重量%を使用し、最も好ま
しくは6〜25重量%を使用する。
本発明と関連する過塩基化マグネシウムスルホネートは、界面活性剤として作
用してコロイド状マグネシウム誘導体、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシ
ウム及び/又は水酸化マグネシウムを分散させるマグネシウムスルホネートの油
溶液を含有する。それ故、高分子量のスルホン酸が油溶性であることが重要なの
である。
過塩基化マグネシウムスルホネート中に分散させたコロイド状マグネシウム誘
導体、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウ
ムの割合により、生成物の塩基性度が決まる。出発物質として使用される酸化マ
グネシウムは、生成物中に所望のTBNを与えるのに十分な量で使用される。有
利には、全量が、使用されるスルホン酸の両方を含む使用されるスルホン酸の各
当量について、1〜45、好ましくは1〜25当量のマグネシウムに対応する量
で酸化マグネシウムを使用する。
使用する酸化マグネシウムは任意の酸化マグネシウムであり得る。比較的反応
性の形態の酸化マグネシウムは、通常は“軽い”、“活性な”又は“燃焼苛性ア
ルカリ(caustic burned)”酸化マグネシウムとして公知である。これらの形態の
酸化マグネシウムは比較的低い密度及び比較的広い表面積を有し、それとは対照
的に“重い”又は“死焼した”形態の酸化マグネシウムは比較的稠密であり比較
的狭い表面積を有し、比較的、化学的に不活性である傾向にある。本発明に従っ
て使用した好ましい酸化マグネシウムは“重い”もの又は“軽い”のと“重い”
のとの混合物である。“重い”酸化マグネシウムは、200秒より大きいクエン
酸価(以下で定義する)及び12m2/g未満のBETシングルポイント法によ
り測定される表面積、2μmより大きい少なくとも酸化マグネシウムの92体積
%の粒径を有するのが好ましい。好ましくは、混合物の一部であり得る“軽い”
酸化マグネシウムは200秒未満のクエン酸価及び12m2/gより大きい表面
積を有する。
本明細書において、クエン酸価は、22℃における、酸化マグネシウム1.7 g
、水100 mL、及びクエン酸一水和物26g及びフェノールフタレイン0.1 gを
1Lの水溶液中に含有するクエン酸溶液100 mLの攪拌した混合物を中和するの
に必要とされる秒で表される時間である。中和は、混合物がピンクに変わること
により示される。本発明により使用される“重い”酸化マグネシウムのクエン酸
価は、最大でも700秒であるのが有利であり、もっとも有利には、200〜6
00秒、好ましくは400〜500秒の範囲である。“軽い”酸化マグネシウム
のクエン酸価は最大でも200秒であり、好ましくは20〜140秒の範囲で
ある。
粒状固体の表面積を測定するためのBETシングルポイント法は、Jouranl of
Analytical Chemistry,Vol.26,No.4,pages 734-735(1954)-M.J.Katz,An Exp
licit Function or Specific Surface Area に記載されている。この方法により
測定される、本発明により使用するための“重い”形態の酸化マグネシウムの表
面積は、10m2/g未満であるのが有利であり、2〜10m2/gの範囲にあるのが好まし
い。“軽い”酸化マグネシウムの表面積は12m2/gより大きく、好ましくは20〜70
m2/gの範囲である。
本発明により使用される“重い”酸化マグネシウムの少なくとも92体積%の
粒径は2μmより大きい。酸化マグネシウムの少なくとも94体積%が2μmよ
り大きい粒径を有するのが有利である。
本発明により使用される好ましい酸化マグネシウムは、EDTA滴定により測
定されるように、少なくとも95%の純度を有するのが好ましい。EDTA滴定
法において、酸化マグネシウムのサンプルを希塩酸に溶解させ、その溶液をpH
約10まで緩衝剤で処理し、エチレンジアミン四酢酸の二ナトリウム塩の溶液で
滴定した。二ナトリウム塩は溶液中のマグネシウムイオンと錯体を形成するので
、マグネシウムイオンの濃度は、使用した二ナトリウム塩の量から計算すること
ができる。酸化マグネシウムとして表されるマグネシウムの量は、元々のサンプ
ルの量と比較して%純度を得る。
“重い”及び“軽い”酸化マグネシウムの混合物を使用したとき、“軽い”酸
化マグネシウムが、酸化マグネシウムの全重量の50重量%以下、最も好ましく
は40重量%以下で存在するのが好ましく、及び好ましくは25〜40重量%の
範囲、最も好ましくは30〜40重量%の範囲である。
炭酸塩化混合物中で使用する炭化水素溶剤は、高分子量スルホン酸及び過塩基
化スルホネートが少なくとも部分的に可溶性の溶剤であり、炭酸塩化中に混合物
の流動性を維持するのに十分な量で使用される。そのような溶剤は、揮発性であ
るのが有利であり、好ましくは周囲圧における沸点が150℃未満であるのが好
ましく、それ故、炭酸塩化終了後、除去することができる。適当な炭化水素溶剤
の例としては、脂肪族炭化水素、例えばヘキサン又はヘプタン及び芳香族炭化水
素、例えばベンゼン、トルエン又はキシレンがあげられ、好ましい溶剤はトルエ
ンである。一般的には、溶剤は、酸化マグネシウムの単位重量部当たり約3〜4
重量部の量で使用される。
炭酸塩化中に使用するのは必須ではないが、炭化水素溶剤ばかりでなく、炭酸
塩化混合物は不揮発性希釈油、例えば鉱物油を含有することができる。本発明の
方法において、不揮発性希釈油は、そのような油が高分子量スルホン酸出発物質
中に存在するときにのみ使用するのが好ましい。しかしながら、炭酸塩化終了後
にマグネシウムスルホネートに希釈油を添加することができ、2、3の場合には
製品の取り扱いを容易にするのに有利であり得る。
混合物に混合する水の全量は、過剰の酸化マグネシウム1モル当たり少なくと
も0.5 モル、有利には少なくとも1モルである(すなわち、酸化マグネシウムは
コロイド状に分散した基本的には反応性の生成物を形成するのに利用できる)。
混合する水の全量は、過塩基化する酸化マグネシウム1モル当たり5モルを越え
ないのが有利であり、2.5 モルを越えないのが好ましい。
本発明に従って使用するのに適当な水溶性アルコールの例として、低級脂肪族
アルカノール、アルコキシアルカノール及びそれらの化合物の2種以上の混合物
があげられ、ここで、炭素原子の最大数は通常は大きくても5である。適当なア
ルカノールの例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プ
ロパノール、ブタノール及びペンタノールがあげられる。メタノールが好ましい
。適当なアルコキシアルカノールの例としてはメトキシエタノールがあげられる
。
指標として、水対アルコールの重量比は、一般的には10〜0.1 :1、特には
7〜1.0 :1、より好ましくは5〜1.5 :1、及び最も好ましくは5〜1.6 :1
の範囲である。
本発明の方法において使用するのに適当なプロモーターの例としては、アンモ
ニア、アンモニウム化合物、モノアミン及びポリアミン(例えばエチレンジアミ
ン)及びこれらのアミンのカルバメートがあげられる。好ましいプロモーターは
カルバメート、特にポリアミンから製造されるカルバメートである。最も好まし
いカルバメートはエチレンポリアミン、特にエチレンジアミンから製造されるも
のである。そのようなカルバメートはメタノール/水溶剤中のエチレンジアミン
と二酸化炭素とを反応させることにより製造できる。反応は発熱性であり、カル
バメートの溶液を生成する。
プロモーターは、酸化マグネシウムを添加する前又は後に、全体的又は部分的
に水溶性のスルホン酸と予備反応させ得るのが有利である。プロモーターと全体
的又は部分的に水溶性のスルホン酸とのモル比は、予備反応させてもさせなくて
も0.1 :5、好ましくは0.1 〜1:2.5 、最も好ましくは0.1 〜1:1であるの
が好ましい。カルバメートの形態であるときプロモーターは、常に、酸化マグネ
シムの添加後である塩基性反応混合物に添加するのが好ましい。酸化マグネシウ
ムを添加する前に添加するならば、スルホン酸を酸化マグネシウムの添加後に添
加するのが好ましい。それ故、酸化マグネシウム及び全体的又は部分的に水溶性
のスルホン酸を最初に反応させて、カルバメートプロモーターを、全体的又は部
分的に水溶性のスルホン酸を中和するのに必要とされるよりも過剰の酸化マグネ
シウムが存在するために塩基性である反応混合物に添加するのが最も好ましい。
コロイド状生成物への酸化マグネシウムのマグネシウム転化を確実にするため
に、炭酸塩化は、一般的に、二酸化炭素がこれ以上十分に消費されないところま
で続けられる。使用できる最低温度は、炭酸塩化混合物が流体のままである温度
であり、最高温度は、最も低い分解温度を有する成分の分解温度、すなわち許容
できない量の一種以上の揮発性成分が混合物から失われる最低の温度である。炭
酸塩化は全還流用の装置により行うのが好ましい。一般的に、反応体の温度を調
節して炭酸塩化を始める前に値を選択し、炭酸塩化中は反応が進行するにつれて
変化させることができる。一般的に炭酸塩化は20〜200℃、好ましくは40
〜80℃、より好ましくは40〜70℃、最も好ましくは40〜66℃の範囲の
温度で行うのが好ましい。炭酸塩化は少なくとも35℃、好ましくは40℃又は
それよりわずかに低い温度で開始するのが好ましい。
二酸化炭素の消費がこれ以上起こらないとき、炭酸塩化混合物をストリップし
て、水、アルコール及び揮発性溶剤(類)等の揮発性物質を除去し、混合物中に
残存するあらゆる固体を、好ましくは濾過により除去する。混合物は、固体を除
去する前又は後にストリップすることができる。所望により、ストリップ中にさ
らに二酸化炭素を反応混合物に通過させると、二酸化炭素が最初に作用して揮発
性物質を流し出すことができる。上述したように、本発明は驚くべきことに、高
TBNを有し、極めて低い割合の炭酸塩化後の沈殿物を有し、濾過により精製で
きる過塩基化マグネシウムスルホネートを得るのを可能にしたのである。ストリ
ッピングは炭酸塩化の1時間内に開始するのが好ましい。
有利には、マグネシウムスルホネートはカルボン酸又は無水物質で後処理し得
る。これは、フルオロエラストマーシールに接触する配合油中でスルホネートを
使用するとき特に有利であることが分かった。これは、スルホネートの水との相
溶性及び許容量を向上させることも分かった。好ましいカルボン酸又は無水物質
はジカルボン酸及びそれらの無水物、特に脂肪族ヒドロカルビルジカルボン酸及
びその無水物である。最も好ましいジカルボン酸はビシニルジカルボン酸であり
、その例としてはマレイン酸及びフマル酸があげられるが、フマル酸が特に好ま
しい。後処理は炭酸塩化後に行い、カルボン酸又は無水物は炭酸塩化生成物中に
存在する任意の活性NH(nitrogen hydrogen)基と反応するのに十分な量で使用
されるのが好ましい。そのような基は、反応後に除去されなかった残留プロモー
ターにより生成物中に存在する。酸又は無水物は過剰に使用し、そうすることに
よりスルホネートに対する水許容量を向上するのが有利である。典型的には、酸
は過塩基化マグネシウムスルホネートの重量を基準として1.0 〜5重量%、好ま
しくは1〜2.5 重量%及び最も好ましくは1〜2.0 重量%で使用する。使用する
正確な量は、使用するプロモーターの量及び炭酸塩化及び生成物のストリップ後
のプロモーターの残量に依存する。
本発明の方法により得られる過塩基化マグネシウムスルホネートは、油ベース
組成物、例えば潤滑剤、グリース及び燃料用添加剤として有用であり、それ故、
本発明は過塩基化マグネシウムスルホネートを含有する組成物を提供するのであ
る。エンジン潤滑剤中で使用するとき、過塩基化マグネシウムスルホネートは、
エンジンの運転により形成させる酸を中和し、油中の固体を分散させて有害析出
物の形成を減少させるのに役立つ。それらはまた、潤滑剤の防錆剤特性を増強さ
せる。油ベース組成物中に含まれるべき過塩基化マグネシウムスルホネートの量
は、組成物のタイプ及びその提案された用途に依存する。自動車クランケース潤
滑油は、油の重量を基準として、活性成分を基準として過塩基化マグネシウムス
ルホネートを0.01〜6重量%、好ましくは0.2 〜4重量%を含有するのが好まし
い。
本発明により製造される過塩基化マグネシウムスルホネートは油溶性又は(以
下に記載するある種の他の添加剤と共通して)適当な溶剤の助けにより油中で溶
解することができるか、又は安定に分散する物質である。本明細書において使用
される、油溶性、溶解することができる、又は安定に分散するといった述語は、
全ての割合で物質が油に可溶であり、溶解することができ、混和性であり又は懸
濁することができることを必ずしも示さない。しかしながら、そのような物質は
、例えば、油が使用される環境において目的とされる効果を発揮するのに十分な
程度まで油に可溶性であるか又は安定に分散することは意味する。さらに、他の
添加剤をさらに添加することにより、より高レベルの特定の添加剤を所望により
混合することもできる。
潤滑油は、スパーク点火及び圧縮点火エンジン用クランスケース潤滑油として
使用される合成又は天然のあらゆる油から選択することができる。潤滑油ベース
ストックは都合のよいことには、100℃において約2.5 〜約12cSt又はm
m2/s、好ましくは約2.5 〜約9cSt又はmm2/sの粘度を有する。所望に
より、合成及び天然ベースオイルの混合物を使用することができる。
潤滑油組成物に含むことができる添加剤の例としては、粘度指数向上剤、腐食
防止剤、酸化防止剤、摩擦改質剤、分散剤、洗浄剤、金属錆防止剤、磨耗防止剤
、流動点降下剤、及び起泡抑制剤があげられる。
無灰分散剤は、分散される粒子と会合できる官能基を有する、油溶性高分子炭
化水素主鎖を含有する。一般的に、該分散剤は、多くの場合結合基を介して高分
子主鎖に結合しているアミン、アルコール、アミド又はエステル極性基を含有す
る。無灰分散剤は、例えば、長鎖炭化水素置換モノ及びジカルボン酸又はそれら
の無水物の、油溶性塩類、エステル類、アミノ−エステル類、アミド類、イミド
類、及びオキサゾリン類;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体;直接結
合しているポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素;及び長鎖置換フェノールと
ホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとを縮合することにより形成さ
れるマンニッヒ縮合生成物から選ぶことができる。
油溶性ポリマー炭化水素主鎖は、一般的に、オレフィンポリマー又はポリエン
、特にC2〜C18オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソ
ブチレン、ペンテン、オクテン−1、スチレン)、一般的にはC2〜C5オレフィ
ンがモル量の大部分を占める(すなわち50モル%より大きい)ポリマーである
。油溶性高分子炭化水素主鎖は、ホモポリマー(例えば、ポリプロピレン又はポ
リイソブチレン)又は2以上のそのようなオレフィンのコポリマー(例えば、エ
チレンと、プロピレンもしくはブチレン等のα−オレフィンとのコポリマー、又
は2種の異なるα−オレフィンのコポリマー)であってよい。他のコポリマーと
しては、少ないモル量、例えば1〜10モル%のコポリマーモノマーが、C3−
C22の非共役ジオレフィン等のα,ω−ジエンであるもの(例えば、イソブチレ
ンとブタジエンとのコポリマー、又は、エチレン、プロピレンと1,4−ヘキサ
ジエン又は5−エチリデン−2−ノルボルネンとのコポリマー)が挙げられる。
を有するアタクティックプロピレンオリゴマーも、ポリエポキシド等のヘテロポ
リマーと同様に、使用することができる。
オレフィンポリマーの一つの好ましいクラスの一つは、C4製油所流の重合に
より製造できるような、ポリブテン、特に、ポリイソブテン(PIB)又はポリ
−n−ブテンである。他の好ましいクラスのオレフィンポリマーは、エチレンα
−オレフィン(EAO)コポリマー及びα−オレフィンホモ−及びコポリマーか
ら選ばれる。それぞれの場合、高度の、即ち>30%の末端ビニリデン不飽和を有
する。すなわち、本明細書において、ポリマーは以下の構造を有する:
式中、Pは、ポリマー鎖であり、Rは、一般に、C1−C18アルキル基であり、
一般的には、メチル又はエチルである。該ポリマーは、好ましくは少なくとも50
%の末端ビニリデン不飽和を有するポリマー鎖を有する。このタイプのEAOコ
ポリマーは、好ましくはエチレンを1〜50重量%、より好ましくはエチレンを5
〜48重量%含有する。そのようなポリマーは、1種以上のα−オレフィンを含有
することができ、及び1種以上のC3−C22ジオレフィンを含有することができ
る。さらに有用なのは、様々なエチレン含有量のEAOの混合物である。種々の
混合又は混和することができ;これらから誘導される成分をまた、混合又は混和
することができる。
適当なオレフィンポリマー及びコポリマーは種々の触媒重合法により製造する
ことができる。ある方法において、炭化水素供給流、一般的にはC3〜C5モノマ
ーは、ルイス酸触媒、及び任意に触媒プロモーター、例えばエチルアルミニウム
ジクロリド等のオレガノアルミニウム触媒及びHCl等の任意のプロモーターの
存在下、カチオン的に重合化される。最も一般的には、ポリイソブチレンポリマ
ーがラフィネートI精製供給流から誘導される。種々の反応器、例えば、管状又
は攪拌タンク反応器、並びに均質触媒に加えて固定層触媒系を使用することがで
きる。そのような重合法及び触媒は、例えば米国特許第4,935,576 号、第4,952,
739 号、第4,982,045 号明細書及び英国特許第2,001,662 号公開公報に記載され
ている。
従来のチーグラー・ナッタ重合法を使用して分散剤及び他の添加剤を製造する
のに使用するのが適当なオレフィンポリマーを提供することもできる。しかしな
がら、好ましいポリマーは、少なくとも一種のメタロセン(例えば、シクロペン
タジエニル−遷移金属化合物)及び、好ましくは、助触媒又は活性剤、例えばア
ルモキサン(alumoxane)化合物又はトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペ
ンタフルオロフェニル)ボロン等のイオン化イオン活性剤(ionizing ionicactiv
ator)を含有する特定のタイプのチーグラー・ナッタ触媒系の存在下、適当なモ
ノマーを重合することにより製造することができる。
メタロセン触媒は、例えば、次式で表されるかさ高いリガンド遷移金属化合物
である。
式中、Lは、かさ高いリガンドであり;Aは離脱基であり、Mは遷移金属であり
、及びm及びnは、全リガンド価が遷移金属の原子価に対応するようなものであ
る。該触媒は、化合物がイオン化して1+価の状態になることができる4配位で
あるのが好ましい。
リガンドL及びAは互いに結合していてもよく、2つのリガンドA及び/又は
Lが存在するとき、それらは結合していてもよい。メタロセン化合物は、シクロ
ペンタジエニルリガンド又はシクロペンタジエニル誘導リガンドでありうる、2
つ以上のリガンドLを有するフルサンドイッチ化合物でありうるか又は該リガン
ドLを一つ有するハーフサンドイッチ化合物でありうる。リガンドは、単環式も
しくは多環式であるか又は遷移金属に対してη−5結合することができるあらゆ
る他のリガンドでありうる。
1種以上のリガンドは、遷移金属原子にπ−結合することができ、該原子は4
、5又は6族の遷移金属及び/又はランタノイド又はアクチノイド遷移金属であ
りうる。ジルコニウム、チタン及びハフニウムが特に好ましい。
リガンドは、置換又は無置換であってよく、及びシクロペンタジエニル環のモ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタ−置換が可能である。任意に、置換基
(群)は、リガンド及び/又は離脱基及び/又は遷移金属間で一以上の結合とし
て作用することができる。そのような結合は、一般的に、一以上の炭素、ゲルマ
ニウム、シリコン、リン又は窒素原子−含有基を含有し、及び好ましくは該結合
が、被結合物間に1原子結合を配置するが、その原子は他の置換基を有すること
ができ、かつしばしば有する。
メタロセンはまた、さらに置換可能なリガンド、好ましくは助触媒−離脱基−
により置換したリガンドを含むことができる。該助触媒は一般的に、広範囲のヒ
ドロカルビル基及びハロゲンから選ばれる。
そのような重合、触媒、及び助触媒又は活性剤は、例えば、米国特許第4,530,
914 号、第4,665,208 号、第4,808,561 号、第4,871,705 号、第4,897,455 号、
第4,937,299 号、第4,952,716 号、第5,017,714 号、第5,055,438 号、第5,057,
475 号、第5,064,802 号、第5,096,867 号、第5,120,867 号、第5,124,418
号、第5,153,157 号、第5,198,401 号、第5,227,440 号、第5,241,025 号明細書
;USSN992,690 号(1992 年12月17日出願);欧州特許公開第129,368 号、第2
77,003 号、第277,004 号、第420,436 号、第520,732 号公報;及び国際公開第9
1/04257号、第92/00333.1号、第93/08199号、第93/08221.1号及び第94/07928号
公報に記載されている。
油溶性ポリマー炭化水素主鎖は、通常、300 〜20,000の範囲の数平均分子量(
Mn)を有する。ポリマー主鎖のMnは500 〜10,000、より好ましくは700 〜5,
000 の範囲内にあるのが好ましく、その用途は、分散が主な機能である成分を製
造することである。比較的低分子量(例えば、Mn=500 〜1,500)及び比較的高
分子量(例えばMn=1,500 〜5,000 以上)のポリマーは両方とも、分散剤を製
造するのに有用である。分散剤で使用するのに特に有用なオレフィンポリマーの
Mnは1,500 〜3,000 の範囲内である。油添加剤成分がまた粘度改良効果を有す
るとき、より高分子量、一般的には2,000 〜20,000のMnのポリマーを使用する
のが望ましい;該成分が粘度改良剤として主に機能することを意図するならば、
分子量はより大きいもの、例えば20,000〜50,000以上のMnでさえあり得る。さ
らに分散剤を製造するのに使用するオレフィンポリマーはポリマー鎖当たりおよ
そ一つの二重結合を、好ましくは末端二重結合として有するのが好ましい。
好適な方法の一つは、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)であり、これによ
り、さらに分子量分布情報が提供される(W.W.Yau,J.J.Kirkland and D.D
.Bly,“Modern Size Exclusion Liquid Chromatography”,John Wiley and S
ons,New York,1979 を参照のこと)。特に低分子量ポリマーに有用な別の方法
は、蒸気圧浸透圧法である(例えばASTM D3592を参照のこと)。
油溶性高分子炭化水素主鎖を機能化して、官能基を、ポリマーの主鎖に、又は
ポリマー主鎖から垂れ下がっている一以上の基として含ませることができる。官
能基は、一般的に、極性であり、かつP、O、S、N、ハロゲン、又はホウ素等
の一以上のヘテロ原子を含む。該官能基を、置換反応を介して油溶性高分子炭化
水素主鎖の飽和炭化水素部に、又は付加もしくは環付加反応を介してオレフィン
部に結合することができる。又、該官能基を、ポリマー鎖末端の酸化又は開裂に
よりポリマーに含ませることができる(例えば、オゾノリシス(ozonolysis)によ
る)。
有用な機能化反応としては、以下のものが挙げられる:オレフィン結合におけ
るポリマーのハロゲン化及び続いて起こる、そのハロゲン化したポリマーと、エ
チレン性不飽和官能化合物との反応(例えば、ポリマーとマレイン酸又は無水物
とが反応するマレエート化);ハロゲン化を伴わない“エン(ene)”反応による
、ポリマーと不飽和官能化合物との反応;ポリマーと少なくとも1種のフェノー
ル基との反応(これにより、マンニッヒ塩基タイプ縮合において誘導体化ができ
る);コッホタイプ反応を用いる、不飽和点におけるポリマーと一酸化炭素との
、イソ又はネオ位にカルボニル基を導入する反応;遊離基触媒を用いる遊離基付
加による、ポリマーと機能化する化合物との反応;チオカルボン酸誘導体との反
応;及びポリマーの空気酸化法、エポキシ化、クロロアミン化、又はオゾノリシ
スによるポリマーの反応。
次に、機能化した油溶性高分子炭化水素主鎖を、アミン、アミノアルコール、
アルコール、金属化合物又はそれらの混合物等の求核反応体によりさらに誘導し
て、対応する誘導体を形成する。機能化したポリマーを誘導するのに有用なアミ
ン化合物は、少なくとも一種のアミンを含有し、及び一種以上のアミン又は他の
反応基又は極性基をさらに含有することができる。これらのアミン類は、ヒドロ
カルビルアミン類であるか、又はヒドロカルビル基が、他の基、例えば、ヒドロ
キシ基、アルコキシ基、アミド基、ニトリル、イミダゾリン基等を含む、主とし
てヒドロカルビルのアミンであってよい。特に有用なアミン化合物としては、モ
ノ−及びポリアミン、例えば、分子内の全炭素数が、約2〜60、一般的には2
〜40(例えば、3〜20)及び窒素原子数が、約1〜12、一般的には3〜1
2、及び好ましくは3〜9のポリアルキレン及びポリオキシアルキレンポリアミ
ン類が挙げられる。アルキレンジハライドとアンモニアとの反応により製造され
るようなアミン化合物の混合物を、有利に使用することができる。好ましいアミ
ンは、例えば、1,2−ジアミノエタン;1,3−ジアミノプロパン;1,4−
ジアミノブタン−1;1,6−ジアミノヘキサン;ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン等のポリエチレンアミン
;並びに1,2−プロピレンジアミン及びジ−(1,2−プロピレン)トリアミ
ン等のポリプロピレンアミンを含む脂肪族飽和アミンである。
他の有用なアミン化合物としては、以下のものが挙げられる:1,4−ジ(ア
ミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジアミン類、及びイミダゾリン等の複素
環式窒素化合物。特に有用なクラスのアミン類は、米国特許第4,857,217 号; 4,
956,107 号; 4,963,275 号及び5,229,022 号明細書に開示されているポリアミド
及び関連するアミド−アミン類である。米国特許第4,102,798 号; 4,113,639 号
; 4,116,876 号明細書;及び英国特許第 989,409号公報に記載されているトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン(THAM)もまた有用である。デンドリマ
ー、星状アミン類、及び櫛形アミン類もまた使用することができる。同様に、米
国特許第5,053,152 号明細書に開示されている縮合アミンを使用することができ
る。機能化したポリマーとアミン化合物とを、欧州特許公開第 208,560号公報;
米国特許第4,234,435 号及び5,229,022 号明細書に記載されている従来技術に従
って反応させる。
機能化した油溶性高分子炭化水素主鎖をまた、一価及び多価アルコール等のヒ
ドロキシ化合物又はフェノール類及びナフトール類等の芳香族化合物により誘導
することができる。多価アルコールとしては、例えば、アルキレン基が炭素原子
を2〜8個含有するアルキレングリコール類が好ましい。他の有用な多価アルコ
ールとしては、グリセロール、グリセロールのモノ−オレエート、グリセロール
のモノステアレート、グリセロールのモノメチルエーテル、ペンタエリトリトー
ル、ジペンタエリトリトール及びそれらの混合物が挙げられる。エステル分散剤
はまた、アリルアルコール、シンナミルアルコール、プロパルギルアルコール、
1−シクロヘキサン−3−オール、及びオレイルアルコール等の不飽和アルコー
ルから誘導される。無灰分散剤を得ることができるアルコールの他のクラスは、
例えば、オキシ−アルキレン、オキシアリーレンを含むエーテル−アルコールを
含む。それらは、150 個までオキシ−アルキレン基を有するエーテル−アルコー
ルにより例示することができ、該アルキレン基は炭素原子を1〜8個含有する。
エステル分散剤は、コハク酸のジ−エステル又は酸性エステル、即ち、部分的に
エステル化したコハク酸;並びに部分的にエステル化した多価アルコール類又は
フェノール類、即ち、遊離アルコール又はフェノール性ヒドロキシ基を有するエ
ステルであってよい。エステル分散剤は、例えば米国特許第3,381,022 号明細書
に具体的に示されているような数種の公知方法の一つにより製造できる。
無灰分散剤の好ましい基としては、コハク酸無水物基で置換したポリイソブチ
レンから誘導し、ポリエチレンアミン類(例えばテトラエチレンペンタアミン、
ペンタエチレン(ジ)(ペント)アミン(?)、ポリオキシプロピレンジアミン
)、トリスメチロールアミノメタン等のアミノアルコール並びにアルコール及び
反応性金属、(例えばペンタエリトリトール、及びそれらを組み合わせたもの)
等の任意の追加反応体と反応させたものが挙げられる。米国特許第3,275,554 号
及び3,565,804 号明細書に示されている、ポリアミンが長鎖脂肪族炭化水素に直
接結合している分散剤もまた有用であり、この場合、ハロゲン化炭化水素上のハ
ロゲン基は、種々のアルキレンポリアミン類で置換されている。
別のクラスの無灰分散剤は、マンニッヒ塩基縮合生成物を含有する。一般的に
、これらは、アルキル−置換モノ−又はポリヒドロキシベンゼンの約1モルと、
カルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)の約
1〜2.5 モル及び例えば米国特許第 3,442,808号明細書に開示されている、ポリ
アルキレンポリアミンの約0.5 〜2モルとを縮合させることにより製造される。
そのようなマンニッヒ縮合生成物は、ベンゼン基上に、長鎖、高分子量炭化水素
(例えば、Mn1,500 以上)を含むことができ、又は米国特許第 3,442,808号明
細書に示されているように、ポリアルケニルコハク酸無水物等の炭化水素を含有
する化合物と反応させることができる。
メタロセン触媒系を用いて合成されるポリマーに基づいて機能化した及び/又
は誘導したオレフィンポリマーの例としては、米国特許第5,128,056 号、第5,15
1,204 号、第5,200,103 号、第5,225,092 号、第5,266,223 号明細書;USSN
第992,192 号(1992年12月17日出願)、第992,403 号(1992年12月17日出願)、
第070,752 号(1993年6月2日出願);欧州特許第440,506 号、第513,157 号、
第513,211 号公開公報に記載されているものが挙げられる。以下の特許に記載さ
れた機能化及び/又は誘導体化及び/又は後処理も、上述の好ましいポリマーを
機能化及び/又は誘導するのに適用することができる:米国特許第
3,087,936 号、第3,254,025 号、第3,275,554 号、第3,442,808 号、第3,565,80
4 号明細書。
米国特許第3,087,936 号及び3,254,025 号明細書に一般的に教示されているよ
うな、ホウ酸塩化(boration)等の種々の従来の後処理法により、分散剤をさら
に後処理することができる。これは、アシル窒素含有分散剤を、アシル化窒素組
成物1モル当たり約0.1 原子比のホウ素〜アシル化窒素組成物の窒素の1原子比
当たり約20原子比のホウ素となる量の、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸
及びホウ酸のエステルからなる群から選ばれるホウ素化合物で処理することによ
り容易に行うことができる。分散剤は、ホウ酸塩化アシル窒素化合物の全重量を
基準として、約0.05〜2.0重量%、例えば、0.05〜0.7重量%のホウ素を含有する
のが有用である。ホウ素は、脱水したホウ酸ポリマーの生成物(主に(HBO2)3
)として生成物中に現れ、例えば、ジイミドのメタボレート塩のようなアミン塩
として、分散剤イミド類及びジイミド類に結合すると思われる。ホウ酸塩化は、
ホウ素化合物、好ましくはホウ酸の約0.05〜4重量%、例えば、1〜3重量%(
アシル窒素化合物の重量を基準とする)を、通常はスラリーとしてアシル窒素化
合物に添加し、135 ℃〜190 ℃、例えば、140 ℃〜170 ℃まで、1〜5時間攪拌
しながら加熱し、その後窒素をストリップすることにより容易に実施される。又
、ジカルボン酸材料とアミンとの加熱反応混合物に、水を除去しながらホウ酸を
添加することにより、ホウ素処理を行うことができる。
粘度改良剤(又は粘度指数向上剤)は、潤滑油に高温及び低温操作性を付与す
る。分散剤としても機能する粘度改良剤はまた公知であり無灰分散剤について上
述したように製造することができる。一般的に、これらの分散剤粘度改良剤は、
機能化されたポリマー(例えば、マレイン酸無水物等の活性モノマーで後からグ
ラフトしたエチレン−プロピレンのインターポリマー)であり、次に、例えばア
ルコール又はアミンで誘導体化したものである。
従来の粘度改良剤と共に又はなしで、及び分散剤粘度改良剤と共に又はなしで
潤滑剤を配合することができる。粘度改良剤として使用するのに適切な化合物群
は、一般的に、高分子量の炭化水素ポリマーであり、ポリエステル類が含まれる
。油溶性粘度改良ポリマーは、一般的に、約10,000〜1,000,000 、好ましくは
20,000〜500,000 の重量平均分子量を有し、その分子量は、ゲル濾過クロマトグ
ラフィーにより(上に記載したように)又は光散乱により測定することができる
。
適切な粘度改良剤の例としては、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレン及
び更に分子量の大きいα−オレフィンとのコポリマー、ポリメタクリレート、ポ
リアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸と
ビニル化合物とのコポリマー、スチレンとアクリルエステルとのインターポリマ
ー、並びにスチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエン、及びイソプレン/ブ
タジエンの部分的に水素化したコポリマー、並びにブタジエン及びイソプレン及
びイソプレン/ジビニルベンゼンの部分的に水素化したホモポリマーが挙げられ
る。
金属−含有又は灰−形成洗浄剤は、沈積物を低減させるか又は除去するための
洗浄剤として及び酸中和剤又は防錆剤の両方として働き、それにより、摩耗及び
腐食を低減して、エンジンの寿命を長くする。洗浄剤は、一般的に、長い疎水性
末端を有する極性頭部を含有し、該極性頭部は酸性有機化合物の金属塩を含有す
る。塩は、実質的に化学量論量の金属を含有することができる。一般的に、通常
の又は中性塩として記載され、一般的に0〜80の全塩基価、すなわちTBN(
ASTM D2896により測定される)を有する。酸化物又は水酸化物等の過剰の金属化
合物と、二酸化炭素等の酸性ガスとを反応させることによる多量の金属塩基を含
むことができる。得られる過塩基化洗浄剤は、金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセ
ルの外層として、中和した洗浄剤を含有する。そのような過塩基化洗浄剤は、15
0 以上、及び一般的には250 〜450 のTBNを有することができる。
使用することができる洗浄剤としては、油溶性中性及び過塩基化スルホネート
類、フェナート類、硫化フェナート類、チオホスホネート類、サリチレート類、
及びナフテネート類並びに金属、特にアルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、
ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、及びマグネシウムの、他の油溶
性カルボキシレート類が挙げられる。最も一般的に使用されている金属は、両方
とも潤滑剤中で使用されている洗浄剤に存在することができるカルシウムとマグ
ネシウム、及びカルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムとの混合物であ
る。特に便利な金属洗浄剤は、20〜450 TBNのTBNを有する中性及び過塩基
化カルシウムスルホネート類、及び50〜450 のTBNを有する中性及び過塩基化
カルシウムフェナート類及び硫化フェナート類である。
スルホネート類は、石油の分別物により、又は芳香族炭化水素のアルキル化に
より得られるもののようなアルキル置換芳香族炭化水素をスルホン化することに
より、一般的に得られるスルホン酸から製造することができる。例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又は、クロロベンゼン、クロ
ロトルエン及びクロロナフタレン等のそれらのハロゲン誘導体をアルキル化する
ことにより得られるものが挙げられる。アルキル化は、触媒の存在下、炭素数が
約3〜70を超すアルキル化剤により行うことができる。アルカリールスルホネー
トは、通常、アルキル置換芳香族基当たり、約9〜約80又はそれ以上の炭素原子
を、好ましくは約16〜約60個の炭素原子を含有する。
油溶性スルホネート類又はアルカリールスルホン酸は、金属の酸化物、水酸化
物、アルコキシド、カルボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスル
フィド、ニトレート、ボレート及びエーテルにより中和することができる。金属
化合物の量は、最終生成物の所望のTBNに関して選ばれるが、一般的には、約
100 〜220 重量%(好ましくは少なくとも125 重量%)の範囲である。
フェノール類及び硫化フェノール類の金属塩を、酸化物又は水酸化物等の適切
な金属化合物との反応により製造することができ、及び中性又は過塩基化生成物
は、当該分野において周知の方法により得ることができる。硫化フェノール類は
、フェノールと、硫黄又は硫化水素、一ハロゲン化硫黄又は二ハロゲン化硫黄等
の硫黄含有化合物とを反応させ、一般的に、2以上のフェノール類が硫黄含有結
合により結合している化合物の混合物である生成物を形成することにより製造す
ることができる。
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、しばしば、耐摩耗剤及び酸化防止剤
として使用される。金属は、アルカリもしくはアルカリ土類金属、又はアルミニ
ウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケルもしくは銅であってよい。亜
鉛塩は、潤滑オイル組成物の全重量を基準として、0.1 〜10重量%、好ましくは
0.2 〜2重量%の量で、最も一般的に、潤滑オイル中で使用されている。該塩を
、公知技術に従って製造することができ、まず、通常は、1種以上のアルコール
又
はフェノールとP2S5とを反応させることによりジヒドロカルビルジチオリン酸(
DDPA)を形成し、次に、形成したDDPAを亜鉛化合物により中和する。ジ
ヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、混合アルコールから製造できる混合したD
DPAから製造できる。また、多数のジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛を製造
し、続いて混合することができる。
したがって、本発明において使用される第二ヒドロカルビル基を含有するジチ
オリン酸は、第一及び第二アルコールの混合物を反応させることにより製造する
ことができる。また、あるもののヒドロカルビル基の特性が完全に第二級のもの
であり、他のものヒドロカルビル基の特性が完全に第一級のものである多数のジ
チオリン酸を製造することができる。亜鉛塩を製造するために、あらゆる塩基性
又は中性亜鉛化合物を使用することができるが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩が
最も一般的に使用される。商業的な添加剤はしばしば、中和反応において過剰の
塩基性亜鉛化合物を使用するために過剰の亜鉛を含有している。
本発明において有用な好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジチオ
カルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、次式で表すことができる。
式中、R及びR’は、同じか又は異なるヒドロカルビル基でよく、炭素原子を
1〜18、好ましくは2〜12個含有し、アルキル、アルケニル、アリール、ア
リールアルキル、アルカリール及び脂環式基を含む。R及びR’基として特に好
ましいのは、炭素数2〜8のアルキル基である。このように、基は、例えば、エ
チル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec-ブチル、ア
ミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタ
デシル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メ
チルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってよい。油溶性となるように
、
ジチオリン酸の全炭素数(即ちR及びR’)は、一般的に約5以上とする。それ
故、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有
することができる。ヒドロカルビル基をジチオリン酸に導入するために使用され
る、少なくとも50(モル)%のアルコールは第二アルコールである。
さらなる添加剤は、一般的に、本発明の組成物に含まれる。そのような添加剤
の例としては、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦改良剤、防錆剤、起泡抑制剤、乳化
破壊剤、及び流動点降下剤が挙げられる。
酸化防止剤又は抗酸化剤により、使用により鉱物オイルが劣化する傾向を低減
させるが、そのような劣化は、金属表面上のスラッジ及びワニス状沈積物等の酸
化生成物により、及び粘度増加により明らかとなり得る。そのような酸化防止剤
には、ヒンダードフェノール類、好ましくはC5−C12アルキル側鎖を有するア
ルキルフェノールチオエステル類のアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェ
ノールスルフィド、無灰油溶性フェナート類及び硫化フェナート類、リン硫化(p
hosphosulfurized)又は硫化炭化水素、リン酸エステル類、金属チオカルバメー
ト、米国特許第4,867,890 号明細書に記載されているような油溶性銅化合物、及
びモリブデン含有化合物が含まれる。モリブデン化合物の例としては、無機及び
有機酸のモリブデン塩(例えば米国特許第4,705,641 号明細書を参照のこと)、
特に炭素数1〜50、好ましくは8〜18のモノカルボン酸のモリブデン塩、例
えばモリブデンオクトエート(2−エチルヘキサノエート)、ナフテネート又は
ステアレート;欧州特許第404650号公開公報に開示されている錯体含有過塩基化
モリブデン、モリブデンジチオカルバメート及びモリブデンジチオホスフェート
;米国特許第4,995,996 号及び第4,966,719 号明細書に開示されている油溶性モ
リブデンキサンテート及びチオキサンテート;油溶性モリブデン−及び硫黄含有
錯体;及び芳香族アミン、好ましくは窒素に直接結合している芳香族基を少なく
とも2個有するものがあげられる。
1つのアミン窒素に直接結合している少なくとも2つの芳香族基を有する一般
的な油溶性芳香族アミンは、炭素原子を6〜16個含有する。アミン類は、3個
以上の芳香族基を含有することができる。全部で少なくとも3つの芳香族基を有
する化合物であって、2つの芳香族基が共有結合により又は原子もしくは基(例
えば、酸素もしくは硫黄原子、又は−CO−、−SO2−もしくはアルキレン基
)により結合しているもの、及び2つが1つのアミン窒素に直接結合しているも
のも、窒素に直接結合する芳香族基を少なくとも2つ有する芳香族アミンとみな
される。芳香環は、一般的に、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリー
ルオキシ、アシル、アシルアミノ、ヒドロキシ及びニトロ基から選ばれる1種以
上の置換基により置換されている。
摩擦改良剤を含ませて、燃料経済性を向上させることができる。窒素のTBN
に加えられる上述した油溶性脂肪族、オキシアルキル又はアリールアルキルアミ
ンに加えて、他の摩擦改良剤が知られているが、これらの中でカルボン酸及び無
水物とアルカノールとを反応させることにより形成されるエステルがある。他の
従来の摩擦改良剤は、一般的に、親油性炭化水素鎖に共有結合している極性末端
基(例えば、カルボキシ又はヒドロキシ)を含む。カルボン酸及び無水物とアル
カノールとのエステルは、米国特許第4,702,850 号明細書に記載されている。他
の従来の摩擦改良剤の例としては、M.Belzer 著、“Journal of Tribology”(1
992),Vol.114,pp.675-682及び M.Belzer and S.Jahanmir著“Lubrication S
cience”(1988),Vol.1,pp.3-26に記載されているものがあげられる。
非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール類及びそれらのエステル類、ポリ
オキシアルキレンフェノール類、及び陰イオン性アルキルスルホン酸からなる群
から選ばれる防錆剤を使用することができる。本発明の組成物を使用するとき、
これらの防錆剤は通常は必要ではない。
銅及び鉛を有する腐食抑制剤を使用することができるが、一般的には、本発明
の配合に必要ではない。一般的にそのような化合物群は、炭素数5〜50のチアジ
アゾールポリスルフィド類、それらの誘導体及びそれらのポリマーである。米国
特許第2,719,125 号; 2,719,126 号及び3,087,932 号明細書に記載されているよ
うな1,3,4−チアジアゾール類が一般的である。他の同様な化合物は、米国
特許第3,821,236 号; 3,904,537 号; 4,097,387 号; 4,107,059 号; 4,136,043
号; 4,188,299 号; 及び4,193,882 号明細書に記載されている。他の添加剤は、
英国特許明細書第1,560,830 号に記載されているようなチアジアゾールのチオ及
びポリチオスルフェンアミド類である。ベンゾチアゾール誘導体はまた添加剤の
このクラスに分類される。これらの化合物群が潤滑組成物に含まれるとき、それ
らは、0.2 重量%活性成分を超えない量で存在するのが好ましい。
少量の乳化破壊成分を使用することができる。好ましい乳化破壊成分は、欧州
特許330,522 号公報に記載されている。該成分は、アルキレンオキシドと、ビス
エポキシドと多価アルコールとを反応させることにより得られる付加物とを反応
させることにより得られる。乳化破壊剤は、0.1 重量%活性成分を超えない値で
使用すべきである。処理割合0.001 〜0.05重量%活性成分が都合がよい。
流動点降下剤は、或いは潤滑オイル流動性向上剤として知られており、該流体
が流動するか又は注ぐことができる最低温度を低くする。そのような添加剤は周
知である。流体の低温流動性を向上させる典型的な添加剤としては、炭素数8〜
18のジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー、及びポリアルキルメ
タクリレートが挙げられる。
起泡制御は、シリコンオイル又はポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン
タイプの起泡抑制剤を含む多くの化合物により提供することができる。
上記添加剤の幾つかは、複数の効果を提供することができる;したがって、例
えば、単一の添加剤が分散剤−酸化防止剤として作用することができる。このア
プローチは、周知のものであり、かつ本明細書中にさらに詳しく述べる必要がな
い。
潤滑組成物が一種以上の上記添加剤を含有するとき、各添加剤は、一般的に、
添加剤が所望の機能を提供できるような量でベースオイルに混合される。クラン
クケース潤滑オイルに使用した場合の、そのような添加剤の効果的な量の例は、
以下のようである。ここで、全ての値は有効成分の重量%として示されている。
1.粘度改良剤はマルチグレードオイルにおいてのみ使用される。
クランクケースでないものに使用する場合、上述の添加剤の量及び/又は性質
を変化させることができる;例えば、船舶用ディーゼルシリンダー潤滑剤は比較
的多量の金属洗浄剤を使用しており、潤滑剤の10〜50重量%を形成し得る。
成分を任意の従来法によりベースオイルに混合することができる。それ故、各
成分を所望のレベルの濃度で油中に分散又は溶解させることにより油に直接添加
することができる。そのような混合は周囲温度又は高温で起こり得る。
好ましくは、粘度改良剤及び流動点降下剤を除く全ての添加剤をブレンドして
、濃厚物又は添加剤パッケージとし、これを、続いてベースストックに混合して
最終潤滑剤を製造する。そのような濃厚物を使用することが便利である。該濃厚
物は、一般的に、該濃厚物と所定量のベース潤滑剤とを組み合わせたときに、最
終的な配合物において所望の濃度を提供するのに適切な量で添加剤(群)を含有
するように配合する。
濃厚物は、米国特許第 4,938,880号明細書に記載されている方法に従って製造
するのが好ましい。その特許には、約100 ℃以上の温度で前混合して、無灰分散
剤と金属洗浄剤とのプレミックスを調製することが記載されている。その後、プ
レミックスを85℃以下まで冷却して、追加成分を添加する。
最終配合は、濃厚物又は添加剤パッケージが、2〜15重量%、好ましくは5〜
10重量%、一般的には約7〜8重量%であり、残部がベースオイルであってよい
。
ここで、以下の実施例を参考に本発明を具体的に説明する。実施例1
トルエン476 g、メタノール15.4g及びカットドデシルベンゼン直鎖スルホン
酸(Sinnozon DBS,96.5 %活性成分(a.i.))44 gを攪拌することにより混合し、
還流冷却器、ガス配管及び温度コントローラーを装着した反応器中で30〜35
℃に加熱した。次に、酸化マグネシウム152 gを添加し、低分子量スルホン酸が
中和されるとともに迅速な発熱が起こり、温度が40℃に上昇した。この混合物
にエチレンジアミンカルバメート溶液(18.9重量%、メタノール/水)56.5gを
添加した。混合物の温度を20分間40℃に保った。希釈油中のアルキルベンゼ
ン高分子量スルホン酸(分子量670)の83重量%溶液247 gを添加し、さら
にメタノール49g及び水108 gを添加した。直ぐに発熱が起こり、温度が最大
66℃になるまで放置し、同時に、二酸化炭素を混合物に45g/hの速度で注
入を開始した。炭酸塩化中、炭酸塩化混合物の温度は自然のままで放置し、次に
ゆっくりと約72℃まで上昇し、反応沈殿物及び酸化マグネシウムが消費される
につれて再び下がった。温度が約60℃まで下がったとき、熱を施し、炭酸塩化
が終了するまで温度を60℃に維持した。炭酸塩化の3時間30分後、混合物の
温度を60℃に保ちながら装置を還流器から蒸留器に変え、60℃の希釈油37
0gを添加し、そのようにして得られた混合物を、窒素流を導入しながら大気圧
において蒸留した。蒸留温度が165℃に達したとき、真空を施し、2時間維持
し、最後に残った微量の水、メタノール及びトルエンを除去した。真空を解除し
た後、サンプル50mLをストリップした混合物から除去し、トルエン50mL
で希釈した。この希釈したサンプルを遠心分離したところ、ストリップした混合
物中に1.0 体積%の沈殿物(PCS)が残った。濾過助剤を使用して生成物を濾
過したところ、濾過生成物は明るく透明でTBNは417mgKOH/gで
あった。実施例2
ドデシルベンゼンスルホン酸の代わりに、分子量408及び活性成分83.4重量
%(MX1245)の直鎖C18アルキル芳香族スルホン酸73gを使用したこと
を除いて実施例1を繰り返した。活性成分60.6重量%及び分子量670の高分子
量スルホン酸309gもまた使用した。結果を表1に示す。実施例3
ドデシルベンゼンスルホン酸の代わりに、分岐したドデシルベンゼンスルホン
酸46gを使用したことを除いて実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。実施例4
エチレンジアミンを二酸化炭素と反応させずに、ドデシルベンゼン直鎖スルホ
ン酸とin situ で予備反応させたことを除いて実施例1を繰り返した。結果を表
1に示す。実施例5
実施例1においてドデシルベンゼンスルホン酸付加をしたところで、使用した
両方のスルホン酸を同時に添加したことを除いて実施例1を繰り返した。結果を
表1に示す。実施例6
導入された水中のエチレンジアミン(9.7 g)をドデシルベンゼンスルホン酸
と予備反応させ、これをエチレンジアミンカルバメートプロモーターの代わりに
使用したことを除いて実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。実施例7
使用した酸化マグネシウムが、クエン酸価391秒の“重い”酸化マグネシウ
ム70重量%とクエン酸価80秒でありBET表面積が25m2/gの“軽い”
酸化マグネシウム30重量%との混合物であることを除いて実施例1を繰り返し
た。結果を表1に示す。実施例8
分子量427のC18直鎖アルキル芳香族スルホン酸54.5gをドデシルベンゼン
スルホン酸の代わりに使用したことを除いて実施例1を繰り返した。結果を表1
に示す。実施例9
C18直鎖及びC15〜C36+分岐鎖スルホン酸(分子量490及び活性成分69
重量%)の混合物92gをドデシルベンゼンスルホン酸の代わりに使用したこと
を除いて実施例1を繰り返した。アルキルベンゼン高分子量スルホン酸の60重
量%活性成分溶液314gもまた使用した(分子量670)。導入された希釈油
は260gであった。低分子量スルホン酸もまた、高分子量スルホン酸を添加す
る前に別々に中和した。結果を表1に示す。実施例10
数平均分子量370及び活性成分82重量%のC12分岐アルキル鎖キシレンス
ルホン酸63gをC18直鎖及びC15〜C36+分岐鎖スルホン酸の混合物の代わり
に使用したことを除いては実施例9を繰り返した。結果を表1に示す。実施例11
数平均分子量397及び活性成分87重量%のPIBポリマー(ポリイソブチ
レン)スルホン酸38gをC18直鎖及びC15〜C36+分岐鎖スルホン酸の混合物
の代わりに使用したことを除いては実施例9を繰り返した。結果を表1に示す。実施例12
第一の容器において、トルエン148g、メタノール2.2 g及びカットドデシ
ルベンゼン直鎖スルホン酸(Sinnozon DBS,96.5%活性成分)を導入し、混合を
開始し、容器内容物を30〜35℃まで加熱することにより、カットドデシルベ
ンゼン直鎖スルホン酸(Sinnozon DBS)のマグネシウムスルホネートを製造した。
次に、酸化マグネシウム5.9 gを添加したところ、低分子量スルホン酸が中和さ
れるにつれて迅速に発熱し、温度が40℃まで上昇した。
第二の容器において、トルエン328g、メタノール13.2g、水7.4 g及びア
ルキルベンゼン高分子量スルホン酸(分子量670)の83重量%溶液247g
を希釈油中に導入し、混合を開始し、容器内容物を40℃まで加熱することによ
り、高分子量スルホン酸のマグネシウムスルホネートを製造した。次に、酸化マ
グネシウム9.6 gを添加したところ、高分子量スルホン酸が中和されるにつれて
最高66℃まで迅速な発熱が起こった。
第一の容器の内容物を、還流冷却器、ガス配管及び温度コントローラーを装着
した攪拌混合器に移した。混合物に、エチレンジアミンカルバメート溶液(18.9
重量%、メタノール/水)56.5gを添加した。混合物を15〜20分間40℃で
保った。次に、酸化マグネシウム136.5 gを添加した。次に、第二の容器の内容
物を、さらにメタノール49g及び水100.6 gを添加して反応体に移した。実施
例1に記載したように、二酸化炭素を45g/hの速度で混合物に注入した。こ
の希釈したサンプルを遠心分離したところ、ストリップした混合物中に1.2 体積
%の沈殿物(PCS)が残っていることが分かった。濾過助剤を使用することに
より生成物を濾過した;濾過生成物は明るく透明でTBN408mg KOH/
gであった。
結果を表1に示す。比較例1
水溶性スルホン酸を全く使用しないことを除いて実施例1の方法を繰り返した
。得られた生成物は、許容できないほど高レベルの沈殿物を有し、溶剤除去中に
ゲル化した。
表1に示したデータは、本発明の方法により、主に高分子量のスルホン酸から
、高TBNを有し、濾過速度が速く、粘度が低くかつ沈殿物のレベルが低い過塩
基化マグネシウムスルホネートが生成されることを具体的に示すものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
// C10N 10:04
30:04
40:25
70:00
(72)発明者 クレヴァーリー ジョン アーサー
イギリス オックスフォードシャー オー
エックス11 0ビーエル ディドコット
バーリーフィールズ エルボーン 9 タ
イジャイア