JPH1180334A - ポリエステル樹脂およびそれを含有する溶液組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂およびそれを含有する溶液組成物

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JPH1180334A
JPH1180334A JP23824797A JP23824797A JPH1180334A JP H1180334 A JPH1180334 A JP H1180334A JP 23824797 A JP23824797 A JP 23824797A JP 23824797 A JP23824797 A JP 23824797A JP H1180334 A JPH1180334 A JP H1180334A
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JP
Japan
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polyester resin
solution composition
glycol
resin
polyester
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JP23824797A
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English (en)
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Shinya Kuno
信也 久野
Yasuhiro Matsumoto
泰宏 松本
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維質基材との複合体シートの製造に有利に
利用できるし、しかも、強靭なる皮膜を形成するポリエ
ステル樹脂として、極性溶剤への溶解性に優れるし、し
かも、安定なる溶液を与えるポリエステル樹脂を提供す
ることにあるし、加えて、該ポリエステル樹脂と、極性
溶剤とから成る溶液組成物をも提供することにある。 【解決手段】 テレフタル酸と、ナフタレンジカルボン
酸とを主たる酸成分とする一方で、エチレングリコール
と、ポリオキシアルキレングリコールとを主たるアルコ
ール成分とするポリエステル樹脂を用いるということに
よって、見事に、叙上の課題を解決するに到った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
るポリエステル樹脂および其れを含有する溶液組成物に
関する。さらに詳細には、本発明は、主たる酸成分とし
て、テレフタル酸と、ナフタレンジカルボン酸とを用
い、他方、主たるアルコール成分として、エチレングリ
コールと、ポリオキシアルキレングリコールとを用いる
という特定のポリエステル樹脂および其れを含有する溶
液組成物に関する。
【0002】そして、本発明は、それぞれ、ポリエステ
ル樹脂および其れを含有する溶液組成物を提供するもの
であり、とりわけ、極性溶剤への溶解性に優れ、安定な
る溶液を与えると共に、とりわけ、機械的強度、耐熱劣
化性ならびに耐湿熱劣化性などに優れるフィルムあるい
は各種の成型品を与えるポリエステル樹脂を提供するも
のであり、さらには、当該ポリエステル樹脂と極性溶剤
とを含有することから成る溶液組成物をも提供するもの
である。
【0003】この種のポリエステル樹脂は、それぞれ、
フィルムとして、成型品として、あるいは接着剤などと
して利用し適用することが出来る。そして、斯かるポリ
エステル樹脂は、溶液組成物として、それぞれ、衣料、
靴、鞄または椅子用や、家具用あるいは室内装飾用の表
皮材として好適なる、繊維質基材との複合体シートの製
造に、あるいは接着剤の調製などに利用することが出来
る。
【0004】
【従来の技術】人工皮革と呼ばれ、合成皮革と呼ばれる
天然皮革代替素材は、樹脂と、繊維質基材との複合材料
であり、その製造には、ポリウレタン樹脂の極性溶剤溶
液が広く利用されている。
【0005】人工皮革とは、樹脂を、不織布に、充填あ
るいは積層させた形の複合体シートを指称するものであ
るし、また、合成皮革とは、樹脂を、織布ないしは編布
に充填あるいは積層させた形の複合体シートを指称する
ものである。
【0006】人工皮革の製造方法としては、樹脂溶液
を、不織布に含浸あるいは塗布せしめ、水を主たる成分
とする液体中で凝固せしめ、引き続き、洗浄し、乾燥せ
しめるという、いわゆる湿式加工が一般的である。
【0007】合成皮革は、基材として織布ないしは編布
を使用して、上記した湿式加工を行なって製造される湿
式合成皮革と、樹脂フィルムを、織布ないしは編布に貼
り合わせるラミネート法や、樹脂溶液を、織布ないしは
編布に塗布して乾燥せしめるという、いわゆるダイレク
ト・コート法などによって製造される乾式合成皮革とが
ある。
【0008】ウレタン樹脂を用いた人工皮革や合成皮革
は、それらの風合いを、天然皮革に酷似せしめるという
ことが出来るし、耐久性や透湿性などの良好なるものを
与えることが可能であることも亦、知られている。
【0009】しかし、ポリウレタン樹脂は、とりわけ、
耐薬品性や耐変色性などに問題があるし、加えて、燃焼
時に、ウレタン結合に由来するシアン化水素などが発生
するという、環境上あるいは安全上の問題をも有してい
る。
【0010】合成皮革に類似する素材としては、ポリ塩
化ビニルと繊維質基材との複合体シートである、いわゆ
る塩ビレザーや、ポリスチレン系エラストマーやポリオ
レフィン系エラストマーなどを、各種の基材に積層せし
めた形のものなどがある。
【0011】これらは、外観を、天然皮革に似せること
が出来たとしても、透湿性などの機能を、天然皮革に近
づけることは、頗る、困難であるということである。さ
らに、塩ビレザーは、燃焼時に、ハロゲン化水素などを
発生するという、環境上あるいは安全上の問題点をも有
しているということである。
【0012】また、超極細繊維よりなるスエード調やヌ
バック調の繊維製品も、天然皮革代替素材として利用さ
れているし、ポリエステル繊維だけで以て構成されると
いうものもある。しかしながら、それらのものは、その
他の天然皮革代替素材と比較して、著しく高価であると
いう欠点を有している。
【0013】前述したような、ウレタン樹脂を用いた人
工皮革や合成皮革などと同様の製造方法で以て、ポリウ
レタン樹脂の代わりに、ポリエステル樹脂を使用した複
合体シートを得ることも、種々、検討されはている。し
かしながら、ポリエステル樹脂はそれ自体、ポリウレタ
ン樹脂に較べて、溶剤への溶解性が低いという処から、
加工方法それ自体にも、制約が多いものであるというの
が実態である。
【0014】特公昭51−2943号公報には、ポリエ
ステル系エラストマーを、ジオキサンまたはテトラヒド
ロフランと、ジメチルホルムアミドなどとの混合溶剤に
溶解せしめて得られる、粘性変化の少ない溶液を、湿式
加工による合成皮革などの製造に利用するという技術が
開示されている。
【0015】また、特開昭51−129466号公報に
は、ポリエステル系エラストマーの溶液に、結晶性ポリ
エステルを、不均質なる状態で以て混合し、それを、繊
維質基材に、塗布あるいは含浸して湿式成膜せしめると
いう、合成皮革や人工皮革などの製造方法が開示されて
いる。
【0016】さらに、特開平8−311233号公報に
は、ポリエステル系エラストマーの溶剤溶液を、加温し
ながら、基材上に塗布し、冷却固化せしめたのち、湿式
成膜せしめるという、多孔質皮膜の製造方法が開示され
ている。
【0017】ポリエステル樹脂は、本質的に、窒素原子
やハロゲン原子などを含まないものであるという処か
ら、燃焼時において、これらの各原子などに起因する毒
性ガスが発生するという虞はない。
【0018】ところが、上掲したような公知の技術は、
樹脂溶液が固体粉末を含んだり、製造時に溶液を加温す
る必要があったり、あるいは混合溶媒を用いるために凝
固浴の液体からの溶剤回収に支障があったりするよう
な、複合体シートの製造が煩雑なものになったり、高コ
ストになるという問題を抱えるというものである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような種々の従来型技術における種々の欠
点の存在に鑑み、ポリエステル樹脂と、繊維質基材との
複合体シートを、上述したような種々の従来型技術のよ
うな、煩雑であって、しかも、高コストなる工程を採る
こともなく、有利に製造するということが出来るし、し
かも、機械的強度、耐熱劣化性ならびに耐湿熱劣化性な
どに優れるフィルムを形成するポリエステル樹脂とし
て、極性溶剤への溶解性にも優れるし、加えて、安定な
る溶液を与えるものを提供するべく、併せて、該ポリエ
ステル樹脂と、極性溶剤とを含有する、安定性に優れる
溶液組成物を提供するべく、鋭意、研究を開始した。こ
れこそが、本発明の解決しようとする課題である。
【0020】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、テレフタル酸と、ナ
フタレンジカルボン酸とを主たる酸成分とし、その一方
で、エチレングリコールと、ポリオキシアルキレングリ
コールとを主たるアルコール成分として用いて得られる
特定のポリエステル樹脂が、極性溶剤への溶解性に優れ
るし、加えて、得られる溶液組成物が優れた安定性を有
するというものであり、繊維質基材との複合体シートの
製造に有利に利用することが出来るし、しかも、とりわ
け、機械的強度、耐熱劣化性ならびに耐湿熱劣化性など
に優れる皮膜を形成するというものであることを見出す
に及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0021】ここにおいて、安定性に優れるということ
は、調製した樹脂溶液が、室温に、24時間以上のあい
だ放置しても、樹脂の析出や粘度変化などを起こさない
ということ、つまり、1日以上、加温などの処置を講じ
なくても、その樹脂溶液が、繊維質基材との複合体シー
トの製造に使用可能なる状態に保たれるということであ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、基本的には、一つとし
て、テレフタル酸と、ナフタレンジカルボン酸とを主た
る酸成分とし、その一方で、エチレングリコールとポリ
オキシアルキレングリコールとを主たるアルコール成分
として用いて得られるポリエステル樹脂を提供しようと
するものであり、
【0023】二つには、テレフタル酸残基のモル数:ナ
フタレンジカルボン酸残基のモル数なる比率が、95:
5〜70:30であり、しかも、ポリオキシアルキレン
グリコール単位の含有率が、得られるポリエステル樹脂
の固形分重量に対して、60〜90重量%なる範囲内で
あるというポリエステル樹脂をも提供しようとするもの
であるし、
【0024】三つには、ポリオキシアルキレングリコー
ルとして、数平均分子量が500〜3,000なる範囲
内のポリオキシテトラメチレングリコールを使用して調
製されるポリエステル樹脂をも提供しようとするもので
あるし、
【0025】四つとしては、テレフタル酸と、ナフタレ
ンジカルボン酸とを主たる酸成分とする一方で、エチレ
ングリコールと、ポリオキシアルキレングリコールとを
主たるアルコール成分として用いて得られるポリエステ
ル樹脂と、極性溶剤とを含有することから成る溶液組成
物を提供しようとするものであり、
【0026】五つには、テレフタル酸残基のモル数:ナ
フタレンジカルボン酸残基のモル数なる比率が、95:
5〜70:30であり、しかも、ポリオキシアルキレン
グリコール単位の含有率が、得られるポリエステル樹脂
の固形分重量に対して、60〜90重量%なる範囲内で
あるというポリエステル樹脂と、極性溶剤とからなる溶
液組成物をも提供しようとするものであるし、
【0027】六つには、ポリオキシアルキレングリコー
ルとして、数平均分子量が500〜3,000なる範囲
内のポリオキシテトラメチレングリコールを使用して調
製されるポリエステル樹脂と、極性溶剤とを含有するこ
とから成る溶液組成物をも提供しようとするものである
し、
【0028】七つには、極性溶剤として、N,N−ジメ
チルホルムアミドを含有し、しかも、ポリエステル樹脂
の含有量が5〜50重量%なる範囲内のものであるとい
う溶液組成物をも提供しようとするものである。
【0029】以下に、本発明を、詳細に説明することに
する。
【0030】本発明において、樹脂と、繊維質基材との
複合体シートとは、不織布、織布あるいは編布などのよ
うな繊維質基材に、樹脂が、充填あるいは積層された形
の複合体であって、シート状の形態のものを指称する。
それらのうちでも特に代表的なものは、一般に、人工皮
革や合成皮革などと呼ばれているものであるが、その呼
称には、何等も、限定されるものではない。
【0031】本発明における、テレフタル酸と、ナフタ
レンジカルボン酸とが主たる酸成分であり、一方、エチ
レングリコールと、ポリオキシアルキレングリコールと
が主たるアルコール成分であるようなポリエステル樹脂
は、エチレングリコールを主たる成分とする低分子量ジ
オール成分と、テレフタル酸およびナフタレンジカルボ
ン酸ならびに其れ等のエステル形成性誘導体を主たる成
分とするジカルボン酸成分とを用いて得られるポリエス
テルを、ハード・セグメントとするという一方で、ポリ
オキシアルキレングリコールをソフト・セグメントとす
るという形の、いわゆる熱可塑性エラストマーである。
【0032】本発明に係るポリエステル樹脂の製造に使
用する、エチレングリコール以外の低分子量ジオール成
分として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−
ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シ
クロヘキサンジメタノール、ブチルエチルプロパンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ビスフェノール−Aのエ
チレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加体な
どである。
【0033】これらは、1種または其れ以上を、エチレ
ングリコールに加えて使用することが出来るが、その使
用量としては、ハード・セグメントとなるポリエステル
成分の結晶性が低下し過ぎないような範囲内に抑えなけ
ればならない。すなわち、エチレングリコールの使用割
合を、全低分子量ジオール成分のうちの70〜100モ
ル%なる範囲内に、好ましくは、80〜100モル%な
る範囲内に設定すべきであるということである。
【0034】低分子量ジオール成分が、たとえば、1,
2−プロピレングリコールや、ネオペンチルグリコール
などを主とするようなものの場合であれば、得られるポ
リエステル樹脂の皮膜は、非常に軟弱なものになるし、
また、低分子量ジオール成分が、たとえば、1,4−ブ
チレングリコールなどを主とするものであるというよう
な場合には、溶液組成物の安定性が不良なものになる。
【0035】本発明に係るポリエステル樹脂中の、テレ
フタル酸残基のモル数と、ナフタレンジカルボン酸残基
のモル数との比率としては、95:5〜70:30が適
切であるし、好ましくは、95:5〜80:20が適切
である。
【0036】ここにおいて、上記したナフタレンジカル
ボン酸として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフ
タレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸または2,7−ナ
フタレンジカルボン酸などであるが、就中、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸の使用が望ましい。
【0037】テレフタル酸残基のモル数と、ナフタレン
ジカルボン酸残基のモル数との比率として、95:5よ
りも此のナフタレンジカルボン酸残基の比率が小さいよ
うな場合には、得られるポリエステル樹脂が、溶剤に溶
けにくくなり易く、ひいては、溶液組成物の安定性が不
良になるというような場合がある。
【0038】また、テレフタル酸残基のモル数と、ナフ
タレンジカルボン酸残基のモル数との比率として、7
0:30よりも此のナフタレンジカルボン酸残基の比率
が大きいような場合には、得られるポリエステル樹脂
が、強靭なる皮膜を形成し得なくなるというような場合
がある。
【0039】テレフタル酸およびナフタレンジカルボン
酸ならびに其れ等のエステル形成性誘導体以外のジカル
ボン酸成分として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、イソフタル酸、o−フタル酸またはジフェニ
ルジカルボン酸などによって代表される各種の芳香族ジ
カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカ
ンジカルボン酸またはシクロヘキサンジカルボン酸など
によって代表される各種の脂肪族ないしは脂環族ジカル
ボン酸などであるし、さらには、此等のエステル形成性
誘導体などである。
【0040】これらは、1種または其れ以上を、テレフ
タル酸およびナフタレンジカルボン酸ならびに其れ等の
エステル形成性誘導体に加えて使用することが出来る
が、それらの使用量は、ハード・セグメントとなるポリ
エステル成分の結晶性が失われない範囲内に抑えなけれ
ばならない。また、脂肪族ジカルボン酸成分を多く含む
という形のポリエステル樹脂は、とりわけ、耐湿熱劣化
性などが劣ったものになる場合が多く、したがって、そ
の使用割合を、余りに多くすることは、決して、望まし
くない。
【0041】テレフタル酸およびナフタレンジカルボン
酸ならびに其れ等のエステル形成性誘導体の使用割合と
しては、全ジカルボン酸成分の70〜100モル%なる
範囲内に、好ましくは、80〜100モル%なる範囲内
に設定すべきである。
【0042】本発明に係るポリエステル樹脂の製造に使
用されるポリオキシアルキレングリコールとして特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリオキシエ
チレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールま
たはポリオキシテトラメチレングリコールなどである
し、さらには、これらのブロック共重合体またはランダ
ム共重合体などであるし、さらには亦、ポリジオキソラ
ンなどである。これらは単独使用でも、2種以上の併用
でもよいことは、勿論である。
【0043】これらのポリオキシアルキレングリコール
としては、数平均分子量が500〜3,000なる範囲
内のものを使用することが望ましい。此のポリオキシア
ルキレングリコールの数平均分子量が500未満のもの
を使用するような場合には、どうしても、ハード・セグ
メントとなるポリエステル成分の連鎖長も短くなり易
く、ひいては、得られるポリエステル樹脂が、強靭なる
皮膜を形成し得なくなるという場合がある。
【0044】一方、此のポリオキシアルキレングリコー
ルの数平均分子量が3,000を超えて余りにも高いも
のを使用するような場合には、どうしても、得られるポ
リエステル成分の連鎖長も長くなり易く、ひいては、得
られるポリエステル樹脂の、溶剤への溶解性が低下して
来るようになるし、したがって、得られる溶液組成物の
安定性が劣ったものとなるような場合があるので、いず
れの場合も好ましくない。
【0045】本発明に係るポリエステル樹脂は、此のポ
リオキシアルキレングリコール単位を、当該ポリエステ
ル樹脂に対して、60〜90重量%なる範囲内で、好ま
しくは、70〜85重量%なる範囲内で含むというもの
である。
【0046】此のポリオキシアルキレングリコール単位
の含有量が60重量%より小さいという場合には、どう
しても、得られるポリエステル樹脂の、溶剤への溶解性
が低下し易く、ひいては、得られる溶液組成物の安定性
が劣ったものとなるという場合がある。また、此のポリ
オキシアルキレングリコール単位の含有量が90重量%
を超えて余りにも多くなるような場合には、どうして
も、得られるポリエステル樹脂が、強靭なる皮膜を形成
し得なくなるような場合がある。
【0047】本発明に係るポリエステル樹脂に使用する
ポリオキシアルキレングリコールとしては、上掲したよ
うな種々のポリオキシアルキレングリコールのうちで
も、ポリオキシテトラメチレングリコールの使用が特に
望ましい。斯かるポリオキシテトラメチレングリコール
は、そのほかのポリオキシアルキレングリコールに較べ
て、とりわけ、耐熱性などに優れたものであり、したが
って、得られるポリエステル樹脂の耐熱劣化性も亦、良
好になるので望ましい処である。
【0048】本発明に係るポリエステル樹脂は、その原
料として、上述した、それぞれ、低分子量ジオール成
分、ジカルボン酸成分およびポリオキシアルキレングリ
コールのほかにも、グリセリン、トリメチロールプロパ
ンまたはペンタエリスリトールなどによって代表される
ような、各種の、3価以上の多価アルコールや、トリメ
リット酸、ピロメリット酸またはブタンテトラカルボン
酸などによって代表されるような、各種の、3価以上の
多価カルボン酸ならびに此等のエステル形成性誘導体
を、少量、使用して調製されるという形のものであって
もよい。
【0049】ここにおいて、上記した少量とは、得られ
るポリエステル樹脂が、その製造時において、ゲル化し
ないような程度ということであり、ポリエステル樹脂中
のエステル基(エステル結合)で以て結合された全ての
残基のうちの、精々、約5モル%までである。
【0050】こうした3価以上の諸成分を使用すること
により、本発明に係るポリエステル樹脂は、該樹脂を調
製するに際しての、反応時間を短くしたり、反応温度を
低くしたり、さらには、真空度を低くしたりしても、目
的とするべき、強靭なる皮膜を形成し得るポリエステル
樹脂となる場合があるなどといった、好ましいものとな
る場合がある。
【0051】本発明に係るポリエステル樹脂の製造は、
従来公知の種々の方法(公知慣用の種々の方法)に従っ
て実施することが出来る。たとえば、低分子量ジオール
と、ジカルボン酸成分あるいは其れ等のエステル形成性
誘導体とを、ジオール成分過剰で以てエステル化ないし
はエステル交換反応せしめて、まず、中間体となる低分
子量エステル化合物を得、次いで、この中間体と、ポリ
オキシアルキレングリコールとが共存する形の混合物
を、エステル交換反応が容易に起こる温度において、過
剰の低分子量ジオール成分を、減圧によって、系外に留
去せしめるということにより、ポリエステル・セグメン
トの重合反応と、ポリオキシアルキレングリコールと、
ポリエステル・セグメントとのエステル基による結合形
成化反応とを、同時に、行なうということによって製造
することが出来る。その際の後段の低分子量ジオール成
分を留去せしめるという工程は、重縮合反応と呼ばれて
いるものである。
【0052】ポリオキシアルキレングリコールは、斯か
る重縮合反応の開始直前に投入せしめるというようにし
てもよいし、エステル化反応ないしはエステル交換反応
を行なう間にも、系内に存在させるというようにしてお
いてもよい。ポリオキシアルキレングリコールの一部
が、中間体を合成する際に、エステル化ないしはエステ
ル交換反応によって中間体となるエステル化合物中に組
み込まれたとしても、最終的に生成するポリエステル樹
脂の組成や構造には、本質的に、何らの影響をも及ぼさ
ないということである。
【0053】本発明に係るポリエステル樹脂を製造する
に際して、エステル化ないしはエステル交換反応および
重縮合反応に、それぞれ適した、公知慣用の種々の触媒
を使用することが出来る。それらのうちでも特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、三酸化アンチモ
ン、酸化バリウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバ
ルト、琥珀酸亜鉛、ほう酸亜鉛、蟻酸カドミウム、一酸
化鉛、珪酸カルシウム、ジブチル錫オキシド、ブチルヒ
ドロキシ錫オキシド、テトライソプロピルチタネート、
テトラブチルチタネート、マグネシウムメトキシドまた
はナトリウムメトキシドなどであるが、それらは、1種
のみの単独使用でも2種以上の併用でもよいことは、勿
論である。
【0054】本発明に係るポリエステル樹脂を製造する
に際して、その反応中に、ポリオキシアルキレングリコ
ールが受ける熱酸化分解を抑制するというためにも、公
知慣用の種々の酸化防止剤を使用することが出来る。こ
うした酸化防止剤として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、ヒンダードフェノール系の化合物など
であり、斯かるヒンダードフェノール系の化合物が、特
に有効なものである。
【0055】本発明に係るポリエステル樹脂は、フェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比=
6/4)なる組成の混合溶媒で以て、その濃度が0.4
g/デシ・リットル(dl)となるようにして、30℃
において測定される還元粘度が1.0以上であるという
ようなものであることが望ましい。さらに好ましくは、
此の還元粘度として、2.0〜5.0なる範囲内が適切
である。
【0056】得られる皮膜の強度にあっては、およそ、
当該ポリエステル樹脂としては、その分子量が大きいも
のほど望ましいけれども、余りにも、分子量の大きいポ
リエステル樹脂の場合には、溶剤への溶解性が不良とな
り易く、ひいては、得られる溶液組成物の粘度が高くな
り過ぎるようになるので、好ましくない。
【0057】本発明に係る溶液組成物は、上述したよう
なポリエステル樹脂を、その極性溶剤に溶解せしめると
いうことによって製造されるが、そうした極性溶剤とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめるならば、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリド
ンまたはジオキサンなどである。
【0058】これらのうちでも、特に、N,N−ジメチ
ルホルムアミドの使用が望ましく、此のN,N−ジメチ
ルホルムアミドは、本発明に係るポリエステル樹脂に対
する溶解力にも優れるというものであるし、加えて、合
成皮革や人工皮革などの調製に際して用いられる、合成
樹脂の溶剤としても、一般的なるものであって、特に望
ましい。
【0059】ところで、本発明に係る溶液組成物として
は、5〜50重量%の、前述したポリエステル樹脂を含
有するものであるということが、特に望ましい。当該溶
液組成物の濃度は、使用目的に合わせて、適宜、調整す
るというようにすればよいのであるが、5重量%未満の
場合には、どうしても、繊維質基材に付着する樹脂量が
少なくなり過ぎるようになるし、一方、50重量%を超
えて余りにも多くなるような場合には、粘度が非常に高
くなり易く、ひいては、複合体シートの製造にも支障を
来すような場合があるので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0060】ここにおいて、此のポリエステル樹脂を、
極性溶剤に溶解せしめるということによって、本発明に
係る溶液組成物を調製する方法は、特に制限されるもの
ではない。たとえば、此のポリエステル樹脂の固体を、
極性溶剤に投入せしめ、撹拌しながら、加熱せしめると
いうことによって得ることも出来るし、此のポリエステ
ル樹脂を、加熱溶融して、極性溶剤中に投入せしめると
いうことによっても、さらには、溶融状態のポリエステ
ル樹脂中に、極性溶剤を投入せしめるということによっ
ても亦、本発明に係る溶液組成物を製造することが出来
るということである。
【0061】かくて、本発明に係る溶液組成物の調製に
要する加熱温度としては、50℃〜180℃程度が適切
であるし、好ましくは、80℃〜150℃なる範囲内が
適切である。50℃未満の場合には、どうしても、溶解
に非常なる長時間を要するようになるか、場合によって
は、均質に溶解せしめるということが出来なくなるよう
な場合もあるので、好ましくない。
【0062】一方、180℃を超えるような高温は、本
発明に係るポリエステル樹脂の溶解には、必要がなく、
このように、180℃を超えて余りにも高くなる場合に
は、むしろ、分解による低分子量化などを惹起するとい
うようにもなるので、好ましくない。
【0063】このようにして得られる溶液組成物は、透
明で粘ちょうな液体であり、室温に冷却しても少なくと
も24時間は粘度の変化や樹脂の析出などを起こさない
ものであって、塗布、含浸などの操作を行なって、ポリ
エステル樹脂と繊維質基材との複合体シートを製造する
のに好適なものである。
【0064】
【実施例】次に、本発明を、実施例、比較例、参考例お
よび応用例により、より一層、具体的に説明することに
するが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定
されるものではない。以下において、部および%は、特
に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとす
る。なお、各操作は、以下に示すような要領で行なった
ものである。
【0065】(1) 還元粘度の測定
【0066】フェノール/1,1,2,2−テトラクロ
ロエタン(重量比=6/4)なる組成の混合溶媒で以
て、その濃度が0.4g/dlとなるようにして、30
℃において行なったものであり、その単位はdl/g
(デシ・リットル/グラム)である。
【0067】(2) 流動開始温度の測定
【0068】高化式フローテスターを使用して、直径が
1ミリ・メートル(mm)で、しかも、長さが1mmな
るダイにより、98N(ニュートン)の荷重下で以て行
なったものである。
【0069】(3) 25%DMF溶液粘度の測定
【0070】ポリエステル樹脂のN,N−ジメチルホル
ムアミド溶液を調製したのち、直ちに、25℃の恒温水
槽中に、2時間のあいだ浸漬せしめてから、BM型回転
粘度計で以て行なったものであり、その単位はmPa・
s(ミリパスカル秒)である。
【0071】(4) 特性評価用皮膜の作製 各実施例ならびに各比較例で得られた、それぞれの溶液
組成物を、離型紙上に、0.2mmの厚さで以て塗布せ
しめ、次いで、80℃の熱風中で、4分間の予備乾燥を
行ない、しかるのち、140℃の熱風中で、さらに、4
分間の加熱、乾燥を行なった。その後は、室温におい
て、1週間の養生を行なった。かくして得られた、それ
ぞれの皮膜の厚さは、約40μm(マイクロメートル)
であった。
【0072】(5) 皮膜強伸度の測定 幅が5mmで、しかも、試験長が20mmなる各試験片
を、300mm毎分の速度で以て、伸長変形を与えると
いうことによって行なったものである。そのうちの破断
強度の単位はMPa(メガパスカル)であるし、伸度の
単位の方は%(パーセント)である。
【0073】実施例1 136.4部のエチレングリコールと、174.6部の
テレフタル酸ジメチルと、24.4部の2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチルと、704.2部の、末端基
定量法による数平均分子量が2,000なるポリオキシ
テトラメチレングリコールと、0.04部の酢酸亜鉛2
水和物と、0.08部のテトライソプロピルチタネート
と、3.5部の1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼンとを、電動撹拌機、還流凝縮器
および温度計を備えた反応容器中に投入せしめ、毎分4
0mlの乾燥窒素を通しながら、180℃にまで加熱し
昇温した。
【0074】此の還流凝縮器の上端の温度が60℃にな
り、メタノールの留出が始まった。30分間のあいだ、
そのままの温度で以て撹拌を続行せしめたのち、60分
間かけて、200℃にまで昇温した。その200℃の温
度で、30分間のあいだ反応を行なったのち、さらに、
60分間かけて、220℃にまで昇温した。その220
℃に到達して10分後から、還流凝縮器上端の温度が低
下し始め、30分後には、45℃となって、メタノール
留出が停止した。ここにおいて、回収されたメタノール
の量は57.6部であった。
【0075】反応容器から、還流凝縮器を外して、その
代わりに、グリコールを回収するための小容器を有する
減圧配管を装着せしめると同時に、乾燥窒素の配管をも
外して、その代わりに、圧力計を装着せしめた。内部温
度を220℃に保ったまま、反応容器内を、ゆっくりと
減圧せしめ、60分間かけて、2mmHgにした。
【0076】その後は、240℃にまで、30分間かけ
て昇温した。反応容器内の圧力は、徐々に低下して行っ
て、240℃に到達して30分後には、0.8mmHg
となった。そのまま、さらに、30分間のあいだ反応を
続行せしめてから、反応容器内に窒素を吹き込んで、大
気圧にした状態で以て、反応を停止せしめて、溶融状態
のまま、テフロン樹脂の板の上に取り出して、空気中で
放冷せしめた。ここにおいて回収したエチレングリコー
ルは、メタノールおよび其の他の副生成物を含むもので
あると考えられるが、その総重量は91.4部であっ
た。
【0077】この場合のポリエステル樹脂の組成は、投
入した原料の比率から、テレフタル酸残基:ナフタレン
ジカルボン酸残基のモル比が90:10であり、しか
も、ポリオキシテトラメチレングリコールの含有量が8
0重量%であると算定される。かくして得られたポリエ
ステル樹脂は、僅かに黄色を呈するという半透明の固体
であって、しかも、弾性的性質を有するというものであ
り、また、当該ポリエステル樹脂の還元粘度は2.83
であったし、その流動開始温度の方は140℃であっ
た。
【0078】実施例2および3 生成するポリエステル樹脂中の各成分の比率を、第1表
に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、
実施例2および3の分の、それぞれのポリエステル樹脂
を調製した。これらの各ポリエステル樹脂の組成および
還元粘度ならびに流動開始温度を、実施例1の場合と併
せて、第1表に示す。
【0079】
【表1】
【0080】《第1表の脚注》 EG……………………エチレングリコールの略記 TPA:NDCA……テレフタル酸残基:2,6−ナフ
タレンジカルボン酸残基のモル数の比率を表す PTMG(%)………ポリエステル樹脂中のポリオキシ
テトラメチレングリコール単位の含有率を表す
【0081】比較例1〜4 生成するポリエステル樹脂中の各成分の種類ならびに比
率を、第2表に示すように変更した以外は、実施例1と
同様にして、比較例1〜4の分の、それぞれのポリエス
テル樹脂を調製した。これらの各ポリエステル樹脂の組
成および還元粘度ならびに流動開始温度を、まとめて、
第2表に示す。
【0082】比較例2の場合の組成に基づく限りは、ポ
リエステル成分と、ポリオキシアルキレングリコールと
が、均質に共重合された形のポリエステル樹脂は得られ
なかったし、比較例3の場合の組成に基づくときは、其
処に得られるポリエステル樹脂が、非常に柔らかくて、
流動開始温度の測定は出来なかった。
【0083】
【表2】
【0084】《第2表の脚注》 EG……………………エチレングリコールの略記 PG……………………1,2−プロピレングリコールの
略記 BG……………………1,4−ブチレングリコールの略
【0085】TPA:NDCA……テレフタル酸残基:
2,6−ナフタレンジカルボン酸残基のモル数の比率を
表す。
【0086】PTMG(%)………ポリエステル樹脂中
のポリオキシテトラメチレングリコール単位の含有率を
表す。
【0087】「×」…………………ポリエステル樹脂が
調製出来なかった。
【0088】
【表3】
【0089】実施例4 実施例1で得られたポリエステル樹脂を、約1cm角に
裁断せしめたものの50部を、150部のDMF中に投
入せしめ、120℃で、1時間のあいだ加熱撹拌を続行
せしめるということによって、固形分濃度が25%で、
かつ、25℃における粘度が8,000mPa・sなる
溶液組成物を得た。
【0090】次いで、この溶液組成物を、そのまま、2
5℃の温度に放置せしめたのちに、粘度の変化を調べた
処、良好なる安定性を有するというものであることが確
認された。加えて、この溶液組成物から作製した皮膜の
破断強度は25MPaであったし、また、破断伸度の方
は900%であった。それらの評価判定の結果を、まと
めて、第3表に示す。
【0091】実施例5および6 実施例2で得られた樹脂を用いて、実施例5の分の溶液
組成物を、実施例3で得られた樹脂を用いて、実施例6
の分の溶液組成物を、それぞれ調製せしめた。以後は、
実施例4と同様にして、それぞれの溶液組成物について
の評価判定を行なった。それらの結果を、まとめて、第
3表に示す。本例品の場合には、それらのいずれもが、
安定性の良好なる溶液組成物であったし、加えて、強靭
なる皮膜を形成していた。
【0092】
【表4】
【0093】《第3表の脚注》各溶液組成物の粘度の単
位はmPa・s(ミリパスカル秒)である。
【0094】比較例5〜8 それぞれ、比較例1で得られた樹脂を用いて、比較例5
の分の溶液組成物を、比較例2で得られた樹脂を用い
て、比較例6の分の溶液組成物を、比較例3で得られた
樹脂を用いて、比較例7の分の溶液組成物を、そして、
比較例4で得られた樹脂を用いて、比較例8の分の溶液
組成物を調製せしめた。以後は、実施例5と同様にし
て、それぞれの溶液組成物についての評価判定を行なっ
た。それらの結果を、まとめて、第4表に示す。
【0095】本例品の場合には、それぞれ、比較例5の
場合の溶液組成物は、24時間後には、すでに、大幅な
る粘度上昇を示していた。また、比較例6の場合には、
目指すべき溶液組成物それ自体を調製することが出来な
かった。さらに、比較例7の場合の溶液組成物から得ら
れた皮膜は、非常に軟弱であって、しかも、強度の測定
が行ない得なかった。さらに亦、比較例8の場合には、
溶液組成物の調製こそ可能ではあったものの、調製の2
時間後には、すでに、固化して仕舞っていた。
【0096】
【表5】
【0097】《第4表の脚注》各溶液組成物の粘度の単
位はmPa・s(ミリパスカル秒)である。
【0098】皮膜特性の欄中の「×」は、溶液組成物そ
れ自体が調製出来なかったということを示している。
【0099】実施例7 実施例4で得られた溶液組成物を用いて調製した皮膜
を、120℃の熱風乾燥機中に、50時間のあいだ放置
せしめるということによって行なった耐熱劣化試験後の
破断強度は25MPaであったし、また、75℃で、か
つ、95%Rhなる湿度の恒温恒湿器中に、1週間のあ
いだ放置せしめるということによって行なった耐湿熱劣
化試験後の破断強度の方は28MPaであった。これら
の観察の結果を、まとめて、第5表に示す。
【0100】実施例8 実施例6で得られた溶液組成物を用いて調製した皮膜
を、120℃の熱風乾燥機中に、50時間のあいだ放置
せしめるということによって行なった耐熱劣化試験後の
破断強度は27MPaであったし、また、70℃で、か
つ、95%Rhなる湿度の恒温恒湿器中に、1週間のあ
いだ放置せしめるということによって行なった耐湿熱劣
化試験後の破断強度の方は26MPaであった。これら
の観察の結果を、第5表に示す。
【0101】比較例9 「クリスボンMP−145」[大日本インキ化学工業
(株)製の、ポリウレタン樹脂のN,N−ジメチルホル
ムアミド溶液の商品名]を用いて調製した、厚さが40
μmなる皮膜を、室温で、1週間のあいだ養生せしめた
のちの破断強度は60MPaであった。
【0102】次いで、この養生後の皮膜を、120℃の
熱風乾燥機中に、50時間のあいだ放置せしめるという
ことによって行なった耐熱劣化試験後の破断強度は15
MPaであったし、また、75℃で、かつ、95%Rh
なる湿度の恒温恒湿器中に、1週間のあいだ放置せしめ
るということによって行なった耐湿熱劣化試験後の破断
強度の方は19MPaであった。これらの観察の結果
を、まとめて、第5表に示す。
【0103】
【表6】
【0104】参考例 本例は、各実施例で調製した、それぞれのポリエステル
樹脂を用いるということによって得られる複合体シート
は、従来において、すでに、得られていたような複合体
シートに比して、幾ばくの相違があるか、についての検
証を行なうことを目的にしたものである。
【0105】すなわち、従来型の樹脂としてのポリウレ
タン樹脂を用いて得られるものと同等であるのか、それ
とも、全く、異なれるものであるのか、についての検証
を行なうことを目的にしたものである。
【0106】「クリスボンMP−145」を使用して、
次に示すようにして作製した複合体シートは、厚さ1.
27mmであり、元の不織布の100部に、該ポリウレ
タン樹脂の58部が充填された形のものであった。
【0107】〔樹脂と不織布との複合体シートの作製〕
【0108】まず、樹脂の含有量が15重量%となるよ
うに、N,N−ジメチルホルムアミドで以て希釈せしめ
た溶液に、厚さが約1.1mmなるポリエステル(製)
不織布を浸漬せしめるということによって、溶液を、充
分に含浸せしめた。
【0109】次いで、ロール間隔が1.0mmなるステ
ンレス製のマングルロールで以て絞ってから、常温の水
中に、10分間のあいだ浸漬せしめるということによっ
て、樹脂を凝固せしめたのち、50℃の温水中に、30
分間のあいだ浸漬してから、洗浄せしめた。
【0110】しかるのち、ゴム製のマングルロールで以
て水分を絞ってから、100℃の熱風乾燥機中で、30
分間のあいだ乾燥せしめた。
【0111】応用例1 実施例5で得られた溶液組成物を使用し、参考例と同様
にして作製した複合体シートは、厚さが1.22mmで
あったし、元の不織布の100部に、ポリエステル樹脂
の66部が充填された形のものであって、参考例の複合
体シートと酷似した外観ならびに風合いを有していた。
【0112】応用例2 実施例7で得られた溶液組成物を使用し、参考例と同様
にして作製した複合体シートは、厚さが1.21mmで
あったし、元の不織布の100部に、ポリエステル樹脂
の64部が充填された形のものであって、参考例の複合
体シートと酷似した外観ならびに風合いを有していた。
【0113】
【発明の効果】本発明に係るポリエステル樹脂は、極性
溶剤への溶解性にも優れるというものであるし、加え
て、安定性に優れる溶液を与えると共に、とりわけ、機
械的強度、耐熱劣化性ならびに耐湿熱劣化性などにも優
れるという、極めて実用性の高いフィルムを形成するも
のであり、該ポリエステル樹脂を、極性溶剤に溶解せし
めた形の溶液組成物として、主として、それぞれ、繊維
質基材との複合体シートの製造用として、各種の接着剤
あるいはコーティング剤として、有効に利用し適用する
ことが出来るというものである。
【0114】また、本発明に係る、此のポリエステル樹
脂の方も亦、それ自体で以て、主として、それぞれ、フ
ィルムあるいは各種の成形品などの用途にも、あるいは
接着剤などの用途にも利用し適用することが出来るとい
う、極めて実用性の高いものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸とナフタレンジカルボン酸
    とを主たる酸成分とし、しかも、エチレングリコールと
    ポリオキシアルキレングリコールとを主たるアルコール
    成分として用いて得られるポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 テレフタル酸残基のモル数:ナフタレン
    ジカルボン酸残基のモル数なる比率が、95:5〜7
    0:30であり、しかも、ポリオキシアルキレングリコ
    ール単位の含有率が、得られるポリエステル樹脂の固形
    分重量に対して、60〜90重量%であるポリエステル
    樹脂。
  3. 【請求項3】 前記したポリオキシアルキレングリコー
    ルが、数平均分子量が500〜3,000のポリオキシ
    テトラメチレングリコールである、請求項1または2に
    記載のポリエステル樹脂。
  4. 【請求項4】 テレフタル酸とナフタレンジカルボン酸
    とを主たる酸成分とし、しかも、エチレングリコールと
    ポリオキシアルキレングリコールとを主たるアルコール
    成分として用いて得られるポリエステル樹脂と、極性溶
    剤とを含有することから成る溶液組成物。
  5. 【請求項5】 テレフタル酸残基のモル数:ナフタレン
    ジカルボン酸残基のモル数なる比率が、95:5〜7
    0:30であり、しかも、ポリオキシアルキレングリコ
    ール単位の含有率が、得られるポリエステル樹脂の固形
    分重量に対して、60〜90重量%であるポリエステル
    樹脂と、極性溶剤とを含有することから成る溶液組成
    物。
  6. 【請求項6】 前記したポリオキシアルキレングリコー
    ルが、数平均分子量が500〜3,000なる範囲内の
    ポリオキシテトラメチレングリコールである、請求項4
    または5に記載の溶液組成物。
  7. 【請求項7】 前記した極性溶剤として、N,N−ジメ
    チルホルムアミドを含有するものであって、しかも、ポ
    リエステル樹脂の含有量が5〜50重量%である、請求
    項4〜6のいずれかに記載の溶液組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2023513148A (ja) * 2020-06-01 2023-03-30 トーレ アドバンスト マテリアルズ コリア インク. 有機溶媒可溶性共重合ポリエステル、それを含む限外ろ過膜形成用組成物及びそれにより製造された高水透過度逆浸透膜

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