JP2009235626A - 難燃性ポリエステル系人工毛髪 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪 Download PDF

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JP2009235626A JP2008084314A JP2008084314A JP2009235626A JP 2009235626 A JP2009235626 A JP 2009235626A JP 2008084314 A JP2008084314 A JP 2008084314A JP 2008084314 A JP2008084314 A JP 2008084314A JP 2009235626 A JP2009235626 A JP 2009235626A
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Toshiyuki Masuda
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Abstract

【課題】
通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、接炎時の耐ドリップ性、発色性(透明性)に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪を提供することを目的とする。
【解決手段】
ポリエステルにリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、接炎時の耐ドリップ性、発色性(透明性)に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルにリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂を含んでなる組成物から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪に関する。さらに詳しくは、難燃性、接炎時の耐ドリップ性、発色性(透明性)に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。
人工毛髪素材として、難燃性の特長を生かしてモダクリルが多く使用されてきたが、耐熱温度の点では不十分であった。近年になり、耐熱性に優れるポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪繊維が提案されるようになってきた。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル繊維は、可燃性素材であるため、耐燃性が不十分である。
従来、ポリエステル繊維の耐燃性を向上させようとする試みは種々なされており、例えばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、例えば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献1)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献2)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を配合または共重合させる方法(特許文献3)などが提案されている。前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、例えばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献4)。
しかしながら、人工毛髪には高い耐燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献5)、臭素原子含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献6)などが提案されている。前記ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な耐燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題も発生する。
このように、従来のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、難燃性、接炎時の耐ドリップ性、発色性(透明性)に優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。
特公昭55−41610号公報 特公昭53−13479号公報 特開平11−124732号公報 特開平3−27105号公報 特公平3−57990号公報 特公平1−24913号公報
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決し、通常のポリエステル繊維の難燃性、接炎時の耐ドリップ性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルにリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂を含んでなる組成物を溶融紡糸することにより、ポリエステル繊維の難燃性、接炎時の耐ドリップ性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100質量部に対し、下記一般式(1)で表される化合物構造を含むリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)5〜30質量部を含有する組成物から形成されたことを特徴とする難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維(請求項1)に関する、
Figure 2009235626
リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)が下記一般式(2)で表される化合物構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維(請求項2)に関する、
Figure 2009235626
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)が下記一般式(3)で表される化合物構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維(請求項3)に関する、
Figure 2009235626
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)のリン原子含有量が、リン含有エポキシ樹脂及びリン含有フェノキシ樹脂の総量(質量換算)に対して1.5〜8.0質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維(請求項4)に関する、
ポリアルキレンテレフタレートが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維(請求項5)に関する、
請求項1〜請求項5のいずれかの難燃性人工毛髪用繊維を用いたことを特徴とする人工毛髪(請求項6)に関する、ものである。
本発明によると、ポリエステル繊維の難燃性、接炎時の耐ドリップ性に優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪が得られる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)、リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)を含んでなる組成物を溶融紡糸した繊維である。
本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。ポリアルキレンテレフタレートとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが、入手の容易性およびコストの点から、特に好ましい。
前記主成分とするとは、80モル%以上含有することをいう。
前記共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(例えば、テレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(例えば、テレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
前記ポリアルキレンテレフタレートおよび共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらは2種以上混合したものも好ましい。
本発明に用いられるポリエステル(A)の固有粘度としては、0.5〜1.4が好ましく、0.6〜1.2がより好ましい。ポリエステル(A)の固有粘度が0.5〜1.4の範囲にあれば、得られる繊維の機械的強度、溶融性、及び繊度均一性の好ましい人工毛髪用繊維、及び人工毛髪を得ることができる。
本発明においては、リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)を用いることにより、耐熱性、耐ドリップ性、発色性(透明性)を損なわずに、難燃性を付与することができる。
本発明に用いられるリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)の具体例としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物、下記一般式(2)や(3)で表される構造を含むビスフェノールA型エポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂類、下記一般式(4)や(5)で表される構造を含む臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびフェノキシ樹脂類等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2009235626
Figure 2009235626
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
Figure 2009235626
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
Figure 2009235626
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
Figure 2009235626
(式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
本発明におけるリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)のリン原子含有量は、リン含有エポキシ樹脂(リン含有フェノキシ樹脂)を基準として1.5〜8.0質量%が好ましく、2.0〜7.5質量%がより好ましく、2.5〜7.0質量%がより好ましい。リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)のリン原子含有量が1.5質量%〜8.0質量%の範囲では、難燃性、合成に要する時間、及び収率の面で好ましい。
本発明におけるリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)の数平均分子量は、3,000〜50,000が好ましく、5,000〜40,000がより好ましく、7,000〜30,000がさらに好ましい。リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)の数平均分子量が3,000〜50,000の範囲では溶融粘度、触感、(B)成分の合成時間、収率、ポリエステルとの混練性、分散性、難燃性、及び紡糸性の面で好ましい。
本発明におけるリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)の使用量は、ポリエステル(A)100質量部に対し、5〜30質量部が好ましく、6〜28質量部がより好ましく、7〜26質量部がさらに好ましい。リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)の使用量が5〜30質量部の範囲では難燃効果、繊維の機械的特性、及び耐熱性の面で好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、有機微粒子および/または無機微粒子を混合することにより、得られる繊維の表面に微細な突起を形成し、繊維表面の光沢、つやを調整することができる。
本発明における有機微粒子としては、主成分であるポリエステル(A)と相溶しないか、部分的に相溶しない構造を有する有機樹脂であれば使用することができ、例えば、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレンなどが好ましく用いられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定的に光沢調整効果を発現するためには、耐熱性および分散性の点から、架橋ポリエステル粒子および架橋アクリル粒子が好ましい。
本発明に用いられる無機微粒子としては、繊維の透明性および発色性への影響から、難燃性ポリエステル(A)の屈折率に近い屈折率を有するものが好ましく、例えば、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカなどがあげられ、酸化ケイ素、酸化ケイ素を主体とした複合粒子なども含まれる。これらのなかでは、球形に近い微粒子の方が光沢調整効果は高く、酸化ケイ素、酸化ケイ素を主体とした複合粒子などが好ましい。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる無機微粒子は、必要に応じて、エポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されてもよい。
本発明における有機微粒子および/または無機微粒子の平均粒子径は、0.1〜15μmが好ましく、0.2〜10μmがより好ましく、0.5〜8μmがさらに好ましい。粒子径が0.1μm〜15μmの範囲では、光沢調整効果が良好で、紡糸性の面で好ましい。
本発明における有機微粒子および/または無機微粒子の使用量は、特に限定されないが、ポリエステル(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部であるのが好ましく、0.2〜3重量部がより好ましく、0.3〜2重量部がさらに好ましい。有機微粒子(E)および/または無機微粒子(F)の使用量が0.1〜5重量部の範囲であれば、外観性、色相、発色性、及び繊維表面の光沢調整が良好になり、好ましい。
本発明で得られる難燃性ポリエステル系人工毛髪は、例えば、ポリエステル(A)、リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)、さらには、有機微粒子および/または無機微粒子をドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練して得られたポリエステル系組成物を、単軸押出機を用いて溶融紡糸して得ることができる。
樹脂組成物の製造に用いられる前記混練機の例としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
例えば、スクリュー径45mmの二軸押出機を用いて、バレル温度を260〜300℃とし、吐出量50〜150kg/hr、スクリュー回転数150〜200rpmで溶融混練し、ダイスよりストランドを引取、水冷した後に、ストランドカッターを用いてペレット化して、本発明の組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル系人工毛髪を、通常の溶融紡糸法で溶融紡糸する場合には、例えば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、ポリエステル(A)、リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)、さらには有機微粒子および/または無機微粒子をドライブレンドした組成物を、ギアポンプおよび紡糸ノズルを備えた二軸押出機または混練能を有するスクリューを使用した単軸押出機を用いて、一旦樹脂組成物を取り出すことなく、溶融紡糸することによっても、得ることができる。
本発明においては、得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および、巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
本発明のポリエステル系人工毛髪には、必要に応じて、耐熱安定剤、光安定剤、蛍光剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。
以上にして得られる本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪の繊度としては、通常、10〜100dtexであり、さらには20〜90dtexであることが好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪としては、加熱温度160〜200℃にて美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有していることが好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、染色または原着により着色して使用することができる。染色により着色する場合には、通常のポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。また、原着の場合には、通常のポリエステル系繊維に用いられる顔料を溶融混練することにより、原着繊維を得ることができる。染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、繊維表面の凹凸により、適度に艶消されており、人工毛髪として使用することができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(強度および伸度)
引張圧縮試験機(インテスコ社製、INTESCO Model201型)を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定した。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重1/30gF×繊度(デニール)、引張速度20mm/分で試験を行い、破断時の引張強度および伸度を測定した。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とした。
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて評価する。
◎:残炎時間が0秒(着火しない)
○:残炎時間が3秒未満
△:残炎時間が3〜10秒
×:残炎時間が10秒以上
(耐ドリップ性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させて、消火するまでに発生したドリップ数を数え評価する。
◎:ドリップ数が0
○:ドリップ数が5以下
△:ドリップ数が6〜10
×:ドリップ数が11以上
(耐熱性)
フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、10秒間保持したときのフィラメント間の融着、縮れを目視評価する。
◎:融着および縮れがない
○:わずかに融着または縮れがある
△:融着または縮れがある
×:融着および縮れがある
(発色性(透明性))
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価する。
◎:透明感があり、色の深み(鮮やかさ)がある
○:透明感がある
△:若干不透明感(曇り)がある
×:不透明感があり、色の深みがない
(触感)
長さ30cm、総維度10万dtexのトウフィラメントを恒温恒湿室(23℃、相対湿度55%)内で3時間静置した後に、右手親指、人差し指、中指を使って評価した。
◎:べたつき感なし
○:ほとんどべたつき感なし
△:若干べたつき感あり
×:べたつき感あり
(カールセット性)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、120℃、相対湿度100%で60分間のスチーム加工条件でカールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定し釣り下げ、カールの状態を目視評価する。これをカールの付きやすさの指標とし、長さが短く、形良くカールが付いているものが好ましい。
○:形良くカールが付いている
△:若干カールが伸びている
×:カールが伸びて、形が崩れている
(カール保持性)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、100〜180℃の各温度で60分間カールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定し釣り下げ、初期のフィラメント長、7日後までのフィラメント長の経時変化を調べた。
○:7日後のフィラメント長が初期の120%未満である
△:7日後のフィラメント長が初期の120〜140%である
×:7日後のフィラメント長が初期の140%を超えている
本実施例および比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
ポリエステル(A):
・ポリエチレンテレフタレート、三菱化学(株)製、BK−2180
・ポリトリメチレンテレフタレート、シェルケミカルズ社製、コルテラCP509201
リン含有エポキシ樹脂(B):
・リン含有エポキシ樹脂A:一般式(2)の構造を有する、Mn=4,200、P含有率=4.7%のリン含有エポキシ樹脂
・リン含有エポキシ樹脂B:一般式(2)の構造を有する、Mn=14,500、P含有率=4.5%のリン含有エポキシ樹脂
・リン含有フェノキシ樹脂C:一般式(2)の構造を有する、Mn=45,300、P含有率=4.2%のリン含有エポキシ樹脂
・リン含有エポキシ樹脂D:一般式(2)の構造を有する、Mn=15,700、P含有率=2.1%のリン含有エポキシ樹脂
・リン含有エポキシ樹脂E:一般式(2)の構造を有する、Mn=13,200、P含有率=7.5%のリン含有エポキシ樹脂
・リン含有エポキシ樹脂F:一般式(3)の構造を有する、Mn=8,200、P含有率=3.8%のリン含有エポキシ樹脂
フェノキシ樹脂:
・フェノキシ樹脂、東都化成(株)製、フェノトートYP−70、Mn=26,000
リン系難燃剤:
・縮合リン酸エステル系難燃剤、大八化学工業(株)製、PX−200
・ポリリン酸メラミン、三和ケミカル(株)製、粒子径2〜5μm
・ヘキサブロモシクロドデカン、アルべマール社製、SAYTEX HP−900
難燃ポリエステル樹脂:
・共重合型リン系難燃剤含有ポリエステル、東洋紡績(株)製、ハイムRH416
有機微粒子/無機微粒子:
・架橋アクリルビーズ、綜研化学(株)製、MX−180TA、平均粒子径1.8μm
・メラミンシリカ複合粒子、日産化学(株)製、オプトビーズ2000M、平均粒子径2.0μm
分散剤:
・ドデシル化ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ダウケミカル社製、ダウフアクス2A
・カルボキシメチルセルロース、日本製紙ケミカル(株)製、サンローズF
顔料:
・顔料マスタバッチ、カーボンブラック20wt%含有、大日精化工業(株)製、PES
M22367BLACK
(実施例1〜10)
表1に示す配合比率の組成物を、水分量100ppm以下に乾燥し、ドライブレンドした後、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44)に供給し、バレル設定温度280℃にて溶融混練し、ペレット化した後に、水分量100ppm以下に乾燥させた。次いで、溶融紡糸機(シンコーマシナリー(株)製、SV30)を用いて、バレル設定温度280℃にて扁平比が1.4:1の繭形断面ノズル孔を有する紡糸口金(設定温度280℃)より溶融ポリマーを吐出し、20℃の冷却風により空冷し、100m/分の速度で巻き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸に対し、85℃に加熱したヒートロールを用いて4倍に延伸し、200℃に加熱したヒートロールを用いて熱処理を行い、30m/分の速度で巻き取り、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られたポリエステル系繊維に、親水性繊維処理剤であるKWC−Q(エチオキサイド−プロピレンオキサイドのランダム共重合ポリエーテル;丸菱油化(株)製)/加工剤29(カチオン性界面活性剤;丸菱油化(株)製)=0.20/0.20%omfとなるように、それぞれの純分を0.80%含む水溶液を調製し、総繊度10万dtexのトウフィラメントに、トウ重量に対して含液率25%になるように溶液を付着させ、熱風乾燥機を用いて120℃にて10分間乾燥させた。
Figure 2009235626
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、耐ドリップ性、耐熱性、発色性(透明性)、触感、カールセット性、カール保持性を評価した結果を、表2に示す。
Figure 2009235626
(比較例1〜5)
表1に示す配合比率の組成物を、実施例と同様にして、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、耐ドリップ性、耐熱性、発色性(透明性)、触感、カールセット性、カール保持性を評価した結果を、表2に示す。
表2に示したように、比較例に対し、実施例では、リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂を使用することにより、難燃性、接炎時の耐ドリップ性、発色性(透明性)、触感に優れたポリエステル系人工毛髪が得られることが確認された。従って、今回の組成物を使用した人工毛髪は、従来の人工毛髪に比べ、ポリエステルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、難燃性、接炎時の耐ドリップ性、発色性(透明性)、触感が改善された人工毛髪として有効に用いることが可能となることが確認された。
(比較例6)
表1のリン含有エポキシ樹脂Aの代わりにハイムRH416(共重合型リン系難燃剤含有ポリエステル、東洋紡績(株)製)を水分量100ppm以下に乾燥し、溶融紡糸機のバレル設定温度、紡糸口金の設定温度を260℃とした以外は実施例1と同様にして、単繊維繊度が48dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、耐ドリップ性、耐熱性、発色性(透明性)、触感、カールセット性、カール保持性を評価した結果を、表2に示す。
(比較例7)
表1のリン含有エポキシ樹脂Aの変わりにBK−2180(ポリエチレンテレフタレート、三菱化学(株)製)を水分量100ppm以下に乾燥して用いた以外は実施例1と同様にして、単繊維繊度が52dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
SAYTEX HP−900(ヘキサブロモシクロドデカン、アルべマール社製)40質量部、ダウフアクス2A(ドデシル化ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ダウケミカル社製)8質量部および水24質量部を混合し流動性が十分に出るまで予備分散する。次いで、グラスグラインダーを用いて、直径0.5〜1.0mmのガラスビーズを加えて粉砕し、サンローズF(カルボキシメチルセルロース、日本製紙ケミカル(株)製)0.8質量部および水を混合し、攪拌して、HP−900の30質量%分散液を調製した。このときのHP−900分散粒子の平均粒子径は、0.7μmであった。
オーバーマイヤー型染色機に得られたポリエステル系繊維を詰め込み、HP−900分散液15%omfを加え、昇温速度2℃/分で130℃まで昇温し、60分間保持した後に、40℃まで冷却し、水洗し、乾燥して、難燃加工ポリエステル繊維を得た。HP−900の吸尽率は85%であった。
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、耐ドリップ性、耐熱性、発色性(透明性)、触感、カールセット性、カール保持性を評価した結果を、表2に示す。

Claims (6)

  1. ポリアルキレンテレフタレートおよびポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100質量部に対し、下記一般式(1)で表される化合物構造を含むリン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)5〜30質量部を含有する組成物から形成されたことを特徴とする難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2009235626
  2. リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)が下記一般式(2)で表される化合物構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2009235626
    (式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
  3. リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)が下記一般式(3)で表される化合物構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2009235626
    (式中、R1は水素原子、直鎖または分岐を有するアルキル基であり、それらはそれぞれ同一であってもよく異なっていてもよく、mは2以上の整数を示し、nは5以上の整数を示す)
  4. リン含有エポキシ樹脂および/またはリン含有フェノキシ樹脂(B)のリン原子含有量が、リン含有エポキシ樹脂及びリン含有フェノキシ樹脂の総量(質量換算)に対して1.5〜8.0質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  5. ポリアルキレンテレフタレートが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかの難燃性人工毛髪用繊維を用いたことを特徴とする人工毛髪。
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