JP2005042234A - 難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維 - Google Patents

難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、人工毛髪として要求される難燃性、セット性、透明性、耐失透性、べたつき、くし通りに優れ、必要に応じて繊維の艶がコントロールされたポリエステル系繊維およびそれを用いた人工毛髪を提供する。
【解決手段】ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部に対し、臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部を混合した組成物を溶融紡糸することで、上記課題を解決した難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維が得られる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルと臭素化エポキシ系難燃剤から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維に関する。さらに詳しくは、難燃性、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、透明性、耐失透性、くし通りに優れた人工毛髪用繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなる繊維は、高融点、高弾性率で優れた耐熱性、耐薬品性を有していることから、カーテン、敷物、衣料、毛布、シーツ地、テーブルクロス、椅子張り地、壁装材、人工毛髪、自動車内装資材、屋外用補強材、安全ネットなどに広く使用されている。
【0003】
一方、かつら、ヘアーウィッグ、付け毛、ヘアーバンド、ドールヘアーなどの頭髪製品においては、従来、人毛や人工毛髪(モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維)などが使用されてきている。しかし、人毛の提供は困難になってきており、人工毛髪の重要性が高まってきている。人工毛髪素材として、難燃性の特徴を生かしてモダクリル繊維が多く使用されてきているが、耐熱性の点では不充分である。
【0004】
近年、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルを主成分とする繊維を用いた人工毛髪が提案されるようになってきている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステルからの繊維は、可燃性素材であるため、耐燃性が不充分である。
【0005】
従来、ポリエステル繊維の耐燃性を向上させようとする試みは種々なされており、たとえばリン原子を含有する難燃性モノマーを共重合させたポリエステルからの繊維にする方法や、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法などが知られている。
【0006】
前者の難燃性モノマーを共重合させる方法としては、たとえば、リン原子が環員子となっていて熱安定性の良好なリン化合物を共重合させる方法(特許文献1)、また、カルボキシホスフィン酸を共重合させる方法(特許文献2)、ポリアリレートを含むポリエステルにリン化合物を共重合させる方法(特許文献3)などが提案されている。
【0007】
前記難燃化技術を人工毛髪に適用したものとしては、たとえばリン化合物を共重合させたポリエステル繊維が提案されている(特許文献4、特許文献5など)。
【0008】
しかしながら、人工毛髪には高い難燃性が要求されるため、これらの共重合ポリエステル繊維を人工毛髪に使用するには、その共重合量を多くしなければならず、その結果、ポリエステルの耐熱性が大幅に低下し、溶融紡糸が困難になったり、火炎が接近した場合、着火・燃焼はしないが、溶融・ドリップするという別の問題が発生する。また、前記リン系難燃剤を配合した場合、難燃性を発現するためその添加量を多くする必要があることにも起因するべたつき感の増加に加え、得られたポリエステル繊維からなる人工毛髪に熱履歴や高湿の条件下において、失透という繊維の外観上の問題が発生しやすいという課題がある。
【0009】
一方、後者の難燃剤を含有させる方法としては、ポリエステル繊維に、微粒子のハロゲン化シクロアルカン化合物を含有させる方法(特許文献6)、臭素含有アルキルシクロヘキサンを含有させる方法(特許文献7)などが提案されている。しかし、ポリエステル繊維に難燃剤を含有させる方法では、充分な難燃性を得るために、含有処理温度を150℃以上の高温にすることが必要であったり、含有処理時間を長時間にする必要があったり、あるいは大量の難燃剤を使用しなければならないといった問題があり、繊維物性の低下や生産性の低下、製造コストがアップするなどの問題が発生する。
【0010】
このように、従来のポリエステル繊維の難燃性、耐熱性、強伸度などの繊維物性を維持し、セット性、耐失透性、べたつきに優れた人工毛髪は、いまだ得られていないのが実状である。
【0011】
【特許文献1】
特公昭55−41610号公報
【0012】
【特許文献2】
特公昭53−13479号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平11−124732号公報
【0014】
【特許文献4】
特開平3−27105号公報
【0015】
【特許文献5】
特開平5−339805号公報
【0016】
【特許文献6】
特公平3−57990号公報
【0017】
【特許文献7】
特公平1−24913号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のごとき従来の問題を解決した、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、人工毛髪として要求される難燃性、セット性、耐ドリップ性、透明性、耐失透性、べたつき、くし通りに優れ、さらに、必要に応じて繊維の艶がコントロールされた難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルと臭素化エポキシ系難燃剤をから得られる組成物を溶融紡糸することにより、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度繊維物性を維持し、人工毛髪として要求される難燃性、セット性、透明性、失透性、くし通りに優れた難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維が得られることを見出し、また、有機微粒子及び/又は無機微粒子を前記組成物に混合することにより、繊維物性の低下を招くことなく、繊維の艶をコントロールすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明は、ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部と臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維に関し、好ましくは、(A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーからなるポリエステルである上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維、あるいは(B)成分が、一般式(1)〜(3)で表される臭素化エポキシ系よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維、
【0021】
【化4】
Figure 2005042234
(式中、mは0〜100を示す)
【0022】
【化5】
Figure 2005042234
(式中、nは0〜100を示す)
【0023】
【化6】
Figure 2005042234
(式中、pは0〜100、yは0〜5を示す)
に関する。
【0024】
好ましくは、(A)および(B)成分に、さらに有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)を混合して、繊維表面に微細な突起を形成することを特徴とし、(C)成分が、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、または(D)成分が炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、アンチモン系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種である上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維に関する。
【0025】
また、上記難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は非捲縮生糸状であり、原着されており、単繊維繊度が30〜80dtexであることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)と臭素化エポキシ系難燃剤(B)を含有するした組成物から溶融紡糸して得られた繊維である。本発明に用いられるポリエステル(A)に含まれるポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートおよび/またはこれらのポリアルキレンテレフタレートを主体とし、少量の共重合成分を含有する共重合ポリエステルがあげられる。前記主体とするとは、80モル%以上含有することをいう。
【0027】
前記共重合成分としては、たとえばイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの多価カルボン酸、それらの誘導体、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルなどのスルホン酸塩を含むジカルボン酸、その誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどがあげられる。
【0028】
前記共重合ポリエステルは、通常、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの重合体に少量の共重合成分を含有させて反応させることにより製造するのが、安定性、操作の簡便性の点から好ましいが、主体となるテレフタル酸および/またはその誘導体(たとえばテレフタル酸メチル)と、アルキレングリコールとの混合物に、さらに少量の共重合成分であるモノマーまたはオリゴマー成分を含有させたものを重合させることにより製造してもよい。
【0029】
前記共重合ポリエステルは、主体となるポリアルキレンテレフタレートの主鎖および/または側鎖に前記共重合成分が重縮合していればよく、共重合の仕方などには特別な限定はない。
【0030】
前記ポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの具体例としては、たとえばポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなどがあげられる。
【0031】
前記ポリアルキレンテレフタレートおよびその共重合ポリエステルは、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを主体とし、ビスフェノールAのエチレングリコールエーテルを共重合したポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジヒドロキシエチルを共重合したポリエステルなど)が好ましく、これらを2種以上混合したものも好ましい。
【0032】
(A)成分の固有粘度としては、0.5〜1.4であるのが好ましく、さらには0.5〜1.0であるのが好ましい。固有粘度が0.5未満の場合、得られる繊維の機械的強度が低下する傾向が生じ、1.4をこえると、分子量の増大に伴い溶融粘度が高くなり、溶融紡糸が困難になったり、繊度が不均一になる傾向が生じる。
【0033】
本発明に用いられる臭素化エポキシ系難燃剤(B)にはとくに限定はなく、一般に用いられているものであれば使用することができる。
【0034】
(B)成分の具体例としては、下記式:
【0035】
【化7】
Figure 2005042234
【0036】
【化8】
Figure 2005042234
【0037】
【化9】
Figure 2005042234
で表される化合物を含む一般式(1)で表される末端未封止型臭素化エポキシ系難燃剤、下記式:
【0038】
【化10】
Figure 2005042234
【0039】
【化11】
Figure 2005042234
【0040】
【化12】
Figure 2005042234
で表される化合物を含む一般式(2)で表される片末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、下記式:
【0041】
【化13】
Figure 2005042234
【0042】
【化14】
Figure 2005042234
【0043】
【化15】
Figure 2005042234
で表される化合物を含む一般式(3)で表される両末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤等が挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
上記(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対し、5〜30重量部である。その中でも6〜25重量部が好ましく、8〜20重量部がさらに好ましい。使用量が5重量部より少ないと難燃効果が得られ難くなり、30重量部より多いと機械的特性、耐熱性、耐ドリップ性が損なわれる。
【0045】
(C)成分としては、主成分である(A)成分および/または(B)成分と相溶しないか、部分的に相溶しない構造を有する有機樹脂成分であれば使用することができ、たとえば、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレンなどが好ましく用いられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
(D)成分としては、繊維の透明性、発色性への影響から、(A)および/または(B)成分の屈折率に近い屈折率を有するものが好ましく、たとえば、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、アンチモン系化合物などが挙げられる。この中で、上記(D)成分として用いられるアンチモン系化合物にはとくに限定はなく、具体例としては、三酸化アンチモン化合物、五酸化アンチモン化合物、アンチモン酸ナトリウムが挙げられる。また、これらアンチモン系化合物の粒径はとくに限定されないが、0.02〜5μmが好ましく、0.02〜3μmがより好ましく、0.02〜2μmがさらに好ましい。本発明に用いられるアンチモン系化合物は、必要に応じてエポキシ化合物、シラン化合物、イソシアネート化合物、チタネート化合物等で表面処理されてもよい。
【0047】
アンチモン系化合物を使用する場合その使用量は、特に限定されないが(A)成分100重量部に対し、0.1〜5重量部であるのが好ましく、0.1〜3重量部がより好ましく、0.2〜2重量部がさらに好ましい。使用量が5重量部より多いと外観性、色相、発色性が損なわれ、0.1重量部より少ないと、繊維表面に形成される微細な突起が少なくなるため、繊維表面の光沢調整が不十分になる。また、他の(D)成分との併用も可能であるが、その際の(D)成分合計の使用量としては、5重量部以下であることが好ましい。
【0048】
(D)成分としてアンチモン系化合物を用いた場合には、繊維表面の性状をコントロールすることが出来るばかりではなく、繊維自身の難燃効果を向上させることが出来るので好ましい。
【0049】
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、前記難燃性ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
【0050】
本発明に使用する難燃性ポリエステル系組成物は、たとえば、(A)および(B)成分と必要に応じ(C)成分または(D)成分を事前にドライブレンドした後、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練することにより製造することができる。前記混練機の例としては、たとえば一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。これらのうちでは、二軸押出機が、混練度の調整、操作の簡便性の点から好ましい。
【0051】
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、前記難燃性ポリエステル系組成物を通常の溶融紡糸法で溶融紡糸することにより製造することができる。
【0052】
すなわち、たとえば、押出機、ギアポンプ、口金などの温度を270〜310℃とし、溶融紡糸し、紡出糸条を加熱筒に通過させたのち、ガラス転移点以下に冷却し、50〜5000m/分の速度で引き取ることにより紡出糸条が得られる。また、紡出糸条を冷却用の水を入れた水槽で冷却し、繊度のコントロールを行なうことも可能である。加熱筒の温度や長さ、冷却風の温度や吹付量、冷却水槽の温度、冷却時間、引取速度は、吐出量および口金の孔数によって適宜調整することができる。
【0053】
得られた紡出糸条は熱延伸されるが、延伸は紡出糸条を一旦巻き取ってから延伸する2工程法および巻き取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法のいずれの方法によってもよい。熱延伸は、1段延伸法または2段以上の多段延伸法で行なわれる。熱延伸における加熱手段としては、加熱ローラ、ヒートプレート、スチームジェット装置、温水槽などを使用することができ、これらを適宜併用することもできる。
【0054】
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維には、必要に応じて、(B)成分以外の難燃剤、耐熱剤、光安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、顔料、可塑剤、潤滑剤などの各種添加剤を含有させることができる。顔料を含有させることにより、原着繊維を得ることができる。
【0055】
このようにして得られた本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、非捲縮生糸状の繊維であり、その繊度は、通常、30〜80dtex、さらには35〜75dtexであるのが、人工毛髪用に適している。また、人工毛髪用繊維としては、160〜200℃で美容熱器具(ヘアーアイロン)が使用できる耐熱性を有しており、着火しにくく、自己消火性を有していることが好ましい。
【0056】
本発明の難燃性ポリエステル系繊維が原着されている場合、そのまま使用することができるが、原着されていない場合、通常の難燃性ポリエステル系繊維と同様の条件で染色することができる。
【0057】
染色に使用される顔料、染料、助剤などとしては、耐候性および難燃性のよいものが好ましい。
【0058】
本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、美容熱器具(ヘアーアイロン)を用いたカールセット性に優れ、カールの保持性にも優れる。また、必要に応じ(C)成分または(D)成分を添加することで、繊維表面に凹凸を付与する事が可能であり、適度に艶消され人工毛髪としてより好適に使用することができる。さらに、繊維表面処理剤、柔軟剤などの油剤を使用し、触感、風合を付与して、より人毛に近づけることができる。
【0059】
また、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維は、モダアクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ナイロン繊維など、他の人工毛髪素材と併用してもよいし、人毛と併用してもよい。
【0060】
かつら、ヘアーウィッグ、付け毛などの頭髪製品に使用される人毛は、一般に、キューティクルの処理や脱色および染色されており、触感、くし通りを確保するために、シリコーン系の繊維表面処理剤、柔軟剤を使用しているため、未処理の人毛とは異なり易燃性であるが、本発明の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維と人毛とを人毛混率60%以下で混合した場合、良好な難燃性を示す。
【0061】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
なお、特性値の測定法は、以下のとおりである。
(強度および伸度)
インテスコ社製、INTESCO Model 201型を用いて、フィラメントの引張強伸度を測定する。長さ40mmのフィラメント1本をとり、フィラメントの両端10mmを、接着剤を糊付けした両面テープを貼り付けた台紙(薄紙)で挟み、一晩風乾させて、長さ20mmの試料を作製する。試験機に試料を装着し、温度24℃、湿度80%以下、荷重0.034cN×繊度(dtex)、引張速度20mm/分で試験を行ない、強伸度を測定する。同じ条件で試験を10回繰り返し、平均値をフィラメントの強伸度とする。
(難燃性)
繊度約50dtexのフィラメントを150mmの長さに切り、0.7gを束ね、一方の端をクランプで挟んでスタンドに固定して垂直に垂らす。有効長120mmの固定したフィラメントに20mmの炎を3秒間接炎させ、燃焼させる。燃焼性は、残炎時間が0秒(着火しない)を◎、3秒未満を○、3〜10を△、10秒以上を×とし、また、耐ドリップ性は、消火するまでのドリップ数が0を◎、5以下を○、6〜10を△、11以上を×として評価する。
(光沢)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価する。
【0063】
◎:人毛に等しいレベルに光沢が調整されている
○:適度に光沢が調整されている
△:若干光沢が多すぎる、または、若干光沢が少なすぎる
×:光沢が多すぎる、または、光沢が少なすぎる
(透明性)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントを太陽光のもと、目視により評価する。
【0064】
○:透明感があり、色の深み(鮮やかさ)がある
△:若干不透明感(曇り)がある
×:不透明感があり、色の深みがない
(くし通り)
長さ30cm、総繊度10万dtexのトウフィラメントに繊維表面処理剤として、PO/EOランダム共重合体(分子量20000)とカチオン系帯電防止剤を50/50の比率で含む3%水溶液に浸漬し、それぞれ0.1%が付着するようにし、80℃で5分間乾燥させる。処理されたトウフィラメントにくし(デルリン樹脂製)を通し、くしの通り易さを評価する。
【0065】
○:ほとんど抵抗ない(軽い)
△:若干抵抗がある(重い)
×:かなり抵抗がある、または、途中で引っかかる
(コールドセット性)
160mmのフィラメントを真っ直ぐに伸ばし、両端をテープで固定して、100℃で40分間加熱する。室温まで冷却したのち、85mmにカットし、2つ折りにして両端をミシン糸で結び、4mmΦの棒に釣り下げ、荷重が6.7mg/dtexになるように錘を付け、30℃、60%RHで24時間保持する。錘を外し、5分間静置したのちに80mmにカットし、フィラメントの曲がり具合(角度)を測定する。これを低温での癖の付きやすさの指標とし、真っ直ぐ(180℃)に回復するのが最も好ましい。
(カール保持力)
蓑毛にしたフィラメントを32mmΦのパイプに捲きつけ、120℃の温度で60分間カールセットし、室温で60分間エイジングしたのちに、カールしたフィラメントの一端を固定し釣り下げ、初期のフィラメント長、7日後までのフィラメント長の経時変化を調べる。これをカールの付きやすさ、保持性の指標とし、初期長は短い方がよく、低温でカールセットが可能で、かつ、より高温でセットできるのが好ましい。
(アイロンセット性)
ヘアーアイロンによるカールセットのしやすさ、カール形状の保持性の指標である。フィラメントを180℃に加熱したヘアーアイロンにかるく挟み、3回扱き予熱する。このときのフィラメント間の融着、櫛通り、フィラメントの縮れ、糸切れを目視評価する。つぎに、予熱したフィラメントをヘアーアイロンに捲きつけ、10秒間保持し、アイロンを引き抜く。このときの抜きやすさ(ロッドアウト性)、抜いたときのカールの保持性を目視評価する。
(耐失透性)
長さ10cm、総維度10万dtexのトウフィラメントをスチーム加工(120℃、相対湿度100%で1時間)した後に、室温で十分に乾燥する。スチーム加工前後の光沢、色相の変化を比較し、変化が大きいほど耐失透性が悪い。
【0066】
◎:光沢、色相とも変化なし
○:光沢変化なし、色相若干変化あり
△:光沢、色相とも若干変化あり
×:光沢、色相とも明確な変化あり
(べたつき)
長さ30cm、総維度10万dtexのトウフィラメントを恒温恒湿室(23℃、相対湿度55%)内で3時間静置した後に、右手親指、人差し指、中指を使って評価する。
【0067】
○:べたつき感なし
△:若干べたつき感あり
×:べたつき感あり
(実施例1〜15)
水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート、臭素化エポキシ系難燃剤、アンチモン系化合物、有機微粒子、その他無機微粒子からなる表1に示す比率の組成物に、着色用ポリエステルペレットPESM6100BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%、ポリエステルは(A)成分に含まれる)2部を添加してドライブレンドし、二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、ペレット化したのちに、水分量100ppm以下に乾燥させた。ついで、溶融紡糸機を用いて280℃でノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金より溶融ポリマーを吐出し、口金下30mmの位置に設置した水温50℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って紡出糸条を得た。得られた紡出糸条を80℃の温水浴中で延伸を行ない、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行ない、単繊維繊度が50dtex前後のポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
【0068】
【表1】
Figure 2005042234
*1:ポリエチレンテレフタレート、日本ユニペット(株)製
*2:末端未封止/末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、大日本インキ化学工業(株)製
*3:末端未封止型臭素化エポキシ系難燃剤、東都化成(株)製
*4:末端未封止/末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、阪本薬品工業(株)製
*5:末端封止型臭素化エポキシ系難燃剤、旭化成工業(株)製
*6:ポリアリレート、ユニチカ(株)製
*7:酸化チタン、石原産業(株)
*8:タルク、富士タルク(株)製
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、光沢、コールドセット性、カール保持力、アイロンセット性、耐失透性、べたつき、くし通りを評価した結果を表2、表3に示す。
【0069】
【表2】
Figure 2005042234
【0070】
【表3】
Figure 2005042234
(比較例1)
水分量100ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレート(BK−2180EFG−10、日本ユニペット(株)製)100重量部に対し、トリフェニルホスフェート10重量部、着色用ポリエステルペレットPESM6100BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%)2重量部を添加してドライブレンドし、ノズル径0.5mmの丸断面ノズル孔を有する紡糸口金を用いて溶融ポリマーを吐出し、口金下25cmの位置に設置した水温30℃の水浴中で冷却し、100m/分の速度で巻き取って紡出糸条を得た。得られた紡出糸条を80℃の温水浴中で延伸を行い、4倍延伸糸とし、200℃に加熱したヒートロールを用いて、100m/分の速度で巻き取り、熱処理を行い、単繊維繊度が52dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート(BK−2180EFG−10、日本ユニペット(株)製)100重量部に対し、1,3−フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)10重量部、酸化チタン1重量部、着色用ポリエステルペレットPESM6100BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%)2重量部を添加し、比較例1と同様にし、単繊維繊度が48dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
(比較例3)
水分量100ppm以下に乾燥した難燃剤共重合ポリエステル(ハイムRH416、東洋紡績(株)製)100重量部着色用ポリエステルペレットPESM6100BLACK(大日精化工業(株)製、カーボンブラック含有量30%)2重量部を添加し、比較例1と同様にし、単繊維繊度が47dtexのポリエステル系繊維(マルチフィラメント)を得た。
得られた繊維を用いて、強伸度、難燃性、光沢、コールドセット性、カール保持力、アイロンセット性、耐失透性、べたつき、くし通りを評価した結果を表3に示す。
【0071】
表2および3に示したように、比較例に対し、実施例では、難燃性、光沢、透明性、くし通り、アイロンセット性、耐失透性、べたつきに優れることが確認された。従って今回の臭素化エポキシ系難燃剤および必要に応じて、有機微粒子および/または無機微粒子を使用した人工毛髪用繊維は、従来のリン含有難燃剤を使用した人工毛髪用繊維に比べ、ポリエステルの機械的特性、熱的特性を維持したまま、難燃性、光沢、透明性、セット性、耐失透性、くし通りが改善された人工毛髪として有効に用いることが可能となることを確認した。
【0072】
【発明の効果】
本発明によると、通常のポリエステル繊維の耐熱性、強伸度など繊維物性を維持し、難燃性、セット性、透明性、耐失透性、べたつき、くし通りに優れ、繊維の艶がコントロールされたポリエステル系繊維およびそれを用いた人工毛髪が得られる。

Claims (12)

  1. ポリアルキレンテレフタレートまたはポリアルキレンテレフタレートを主体とした共重合ポリエステルの1種以上からなるポリエステル(A)100重量部と臭素化エポキシ系難燃剤(B)5〜30重量部から形成された難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  2. (A)成分が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーからなるポリエステルである請求項1記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  3. (B)成分が、一般式(1)〜(3)で表される臭素化エポキシ系難燃剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の難燃剤である請求項1または2記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
    Figure 2005042234
    (式中、mは0〜100を示す)
    Figure 2005042234
    (式中、nは0〜100を示す)
    Figure 2005042234
    (式中、pは0〜100、yは0〜5を示す)
  4. (A)および(B)成分と、さらに有機微粒子(C)および/または無機微粒子(D)を混合して得られる組成物から形成された、繊維表面に微細な突起を有する請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  5. (C)成分が、ポリアリレート、ポリアミド、フッ素樹脂、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項4記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  6. (D)成分がアンチモン系化合物である請求項4または5記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  7. アンチモン系化合物が、三酸化アンチモン化合物、五酸化アンチモン化合物、アンチモン酸ナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項6記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  8. アンチモン系化合物の配合量が、(A)成分100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲である請求項6または7記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  9. (D)成分が、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項4または5記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  10. 難燃性ポリエステル系繊維が、非捲縮生糸状である請求項1〜9のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系繊維。
  11. 難燃性ポリエステル系繊維が、原着されている請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
  12. 単繊維繊度が30〜80dtexである請求項1〜11のいずれかに記載の難燃性ポリエステル系人工毛髪用繊維。
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