JP2532879B2 - 有機電解質電池用電極の製造法 - Google Patents

有機電解質電池用電極の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は有機電解質電池用の電極の製造法に関する。
[従来の技術] 近年、電子機器の小形化、薄形化或は軽量化は目覚ま
しく、それに伴い電源となる電池の小形化、薄形化、軽
量化の要望が大きい。小型で性能のよい電池として現在
は酸化銀電池が多用されており、又薄形化された乾電池
や、小形軽量な高性能電池としてリチウム電池が開発さ
れ実用化されている。しかし、これらの電池は一次電池
であるため充放電を繰り返して長時間使用することはで
きない。一方、高性能の二次電池としてニッケル−カド
ミウム電池が実用化されているが、小形化、薄形化、軽
量化という点で未だ不満足である。
又、大容量の二次電池として従来より鉛蓄電池が種々
の産業分野で用いられているが、この電池の最大の欠点
は重いことである。これは電極として過酸化鉛及び鉛を
用いているため宿命的なものである。近年、電気自動車
用電池として該電池の軽量化及び性能改善が試みられた
が実用するには至らなかった。しかし蓄電池として大容
量で且つ軽量な二次電池に対する要望は強いものがあ
る。
以上のように現在実用化されている電池は、夫々一長
一短が有りそれぞれ用途に応じて使い分けされている
が、電池の小形化、薄形化、或は軽量化に対するニーズ
は大きい。このようなニーズに応える電池として、近
時、有機半導体である薄膜状ポリアセチレンに電子供与
物質又は電子受容性物質をドーピングしたものを電極活
性質として用いる電池が研究され提案されている。該電
池は二次電池として高性能で且つ薄形化、軽量化の可能
性を有しているが、大きな欠点がある。それは、有機半
導体であるポリアセチレンが極めて不安定な物質であ
り、空気中の酸素により容易に酸化を受け、又熱により
変質することである。従って電池製造は不活性ガス雰囲
気で行なわなければならず、又ポリアセチレンを電極に
適した形状に製造する事にも制約を受ける。
また、本願の出願人の出願にかかる特開昭60−170163
号公報には、炭素、水素および酸素からなる芳香族系縮
合ポリマーの熱処理物であって、水素原子/炭素原子の
原子比が0.5〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有
し、かつBFT法による比表面積が少くとも600m2/gである
不溶不融性物質を正極および/または負極とし、電解に
より該電極にドーピング可能なイオンを生成しうる化合
物の非プロトン性有機溶媒溶液を電解液とすることを特
徴とする有機電解質電池が提案されている。
該電池は、高性能で、薄形化、軽量化の可能性も有し
ており、電極活性質の酸化安定性も高く、さらにその成
形も容易であるなど将来有望な二次電池である。ところ
が該電池には、さらに改良すべき点が残っていた。すな
わち、電池の容量をより大きくするという事である。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は、高性能、薄形かつ軽量な電池を作る
ために用いられ、酸化安定性が高く、成形が容易であ
り、かつ高い電池容量を可能にする有機電解質電池用電
極を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明者は、上述した特開昭60−170163号公報に開示
されるタイプの電極物質に対して酸処理を行うという簡
単な手段により、意外にも電池容量を1〜3割近く向上
できることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、有機電解質電池用電極の製造法に
おいて、炭素、水素及び酸素から成る芳香族系縮合ポリ
マーの熱処理物であって、水素原子/炭素原子の原子数
比が0.5〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有しかつB
ET法による比表面積値が少くとも600m2/gである不溶不
融性物質を、硫酸、硝酸、リン酸、亜硫酸またはこれら
の混合物で酸処理することを特徴とする方法である。
上記の不溶不融性物質は芳香族系縮合ポリマーの熱処
理物であって、水素原子/炭素原子の原子比が0.05〜0.
5、BET法による比表面積が600m2/g以上であるポリアセ
ン系骨格構造を有する不溶不融性物質である。
原料としての芳香族系縮合ポリマーは、例えばフェノ
ール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物とアルデヒ
ド類との縮合物である。芳香族炭化水素化合物として
は、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールのご
ときいわゆるフェノール類が好適であるが、これらに限
られない。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、フラフラール等を使用することができ、ホルム
アルデヒドが好適である。フェノールアルデヒド縮合物
としては、ノボラック型又はレゾール方或はそれらの複
合物のいずれであってもよい。
本発明における不溶不融性物質は、上記の如き芳香族
系縮合ポリマーの熱処理物であって例えば次のようにし
て製造することができる。
前記した芳香族系縮合ポリマーと塩化亜鉛、リン酸ナ
トリウム等の無機塩を混合する。これにより、不溶不融
性物質に多孔性を付与することができる。混入する量
は、無機塩の種類及び目的とする電極の形状、性能によ
って異なるが、重量比で10/1〜1/7が好ましい。また、
多孔性でありかつ連通孔を有する物質を得る場合には、
無機塩を芳香族系縮合ポリマーの2.5〜10重量倍の量で
用いることが好ましい。このようにして得られた無機塩
と芳香族系縮合ポリマーの混合物を、フィルム状、板状
の目的とする形となし、50〜180℃の温度で2〜90分間
加熱することにより硬化成形する。
かくして得られた硬化体を、次いで非酸化性雰囲気中
で350〜800℃の温度、好ましくは350〜700℃の温度、特
に好ましくは400〜600℃の温度まで加熱する。この熱処
理によって芳香族系縮合ポリマーは、脱水素脱水反応を
おこし、芳香環の縮合反応によって、ポリアセン系骨格
構造が形成される。
この反応は熱縮合重合の一種であり、反応度は最終生
成物の水素原子/炭素原子(以後H/Cと云う)で表され
る原子数比によって表される。不溶不融性物質のH/Cの
値は0.05〜0.5、好ましくは、0.1〜0.35である。不溶不
融性物質のH/Cの値が0.5より大きい場合は、ポリアセン
系骨格構造が未発達なため電気電導度が低く好ましくな
い。一方、H/Cの値が0.05より小さい場合は、炭素化が
進みすぎており、電極としての性能が低い。
得られた熱処理体を水あるいは希塩酸等で十分洗浄す
ることによって、熱処理体中に含まれている無機塩を除
去する。その後、これを乾燥すると、BET法による比表
面積が600m2/g以上の不溶不融性物質を得る。
本発明方法において、上記の不溶不融性物質を硫酸、
硝酸、リン酸、亜硫酸またはこれらの混合物で酸処理す
る。このようにして得られた酸処理不溶不融性物質は、
理由は定かではないが、酸処理されていない不溶不融性
物質に比べより多くのイオンを内部に蓄えることができ
るので容量の大きな電極材となるものと考えられる。
不溶不融性物質は極めて安定な物質であるため、酸処
理は強い酸性下でおこなうことが好ましい。酸処理に用
いることのできる酸は、硫酸、硝酸、リン酸、亜硫酸ま
たはこれらの混合物である。酸処理の方法は、不溶不融
性物質と酸を接触させるいかなる方法も行いうる。一般
的方法としては、上記の酸又はその溶液と不溶不融性物
質を常温又は好ましくは加熱下に接触させる。酸を混合
して王水、混酸などの極めて強力な酸化雰囲気を作り、
この中に不溶不融性物質を浸すことができる。あるい
は、酸の蒸気の中に不溶不融性物質を置く方法を採るこ
ともできる。必要な酸濃度、処理温度及び処理時間は相
互に関連し、たとえば酸濃度を低くした場合には処理温
度を上げることが好ましい。適当な条件は実験により簡
単に求めることができ、後述の実施例1,2,特に3を参照
することができる。
このようにして得られた酸処理不溶不融性物質はおそ
らく酸化されており、かつ、酸処理前の不溶不融性物質
中には存在しなかった元素が存在する。例えば、H2SO4,
H2SO3で処理した場合にはイオウ元素が、HNO3で処理す
ると窒素元素が存在する。該酸処理された不溶不融性物
質は有機電解質電池の電極として用いることができ、す
ると電池の容量は、酸処理しない不溶不融性物質を用い
た電池に比べ、10〜30%大きくなる。
ここで有機電解質電池とは典型的には、上記の酸処理
した不溶不融性物質を正極又は負極、又は正負両極と
し、電解によって酸処理不溶不融性物質にドーピング可
能なイオンを生成しうる化合物を非プロトン性有機溶媒
に溶解させた溶液を電解液とする有機電解質電池であ
る。
酸処理した不溶不融性物質を正極のみに用いるか、負
極のみに用いるか、また正負両極に用いるかは、たとえ
ば電池の用途によって異なる。例えば、酸処理不溶不融
性物質を正極に用い、負極にLi金属またはLiを含む合金
を用いると、起電圧の高い、電源用電池ができる。酸処
理不溶不融性物質を負極に用い、正極に酸未処理不溶不
融性物質から成る電極を用いると、ICなどのバックアッ
プ用キャパンタータイプの電池となる。
電極にドーピングされうるイオンを生成しうる化合物
としては、例えばアルカリ金属又はテトラアルキルアン
モニウムのハロゲン化物、過塩素酸塩などが用いられ
る。
具体的にはLiI,NaI,KI,NH4I,LiClO4,LiBF4,LiAsF6,Li
PF6,NaClO4,NaBF4,NaAsF6,NaPF6,KClO4,KBF4,KAsF6,KPF
6,(C2H54NClO4,(n−C4H94NClO4,(t−C4H94N
ClO4,(C2H54NBF4,(n−C4H94NBF4,(t−C4H94
NBF4,(C2H54NPF6,(n−C4H94NPF6,(t−C4H94
NPF6,LiB(CH34,LiB(C2H54,LiB(C6H54,LiHF2
の化合物である。
前記化合物を溶解する溶媒として非プロトン性有機溶
媒が用いられる。例えばエチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、スルホラン、ジオキソラン、塩化メチレン又は
これらの混合物が挙げられる。これらのうちから電解質
として用いられる前記化合物の溶解性、電池性能等を考
慮して選択される。
電解液中の前記化合物の濃度は、電解液による内部抵
抗を小さくするため少なくとも0.1モル/以上とする
のが望ましく、通常0.2〜3モル/とするのがより好
ましい。
[発明の効果] 本発明に従い、不溶不融性物質を酸処理したものを有
機電解質電池の電極として用いることにより、電池容量
を顕著に向上できる。
[実 施 例] 以下、実施例により本発明を更に説明する。実施例に
おいて電池容量測定に用いた電池は、第1図に示すよう
な構成である。
第1図において、1は正極であり、2は負極であり、
3,3′は各電極から外部に電流を取り出したり、充電す
るために電流を供給するための集電体であり、各電流及
び外部端子7,7′に電圧降下を生じないように接続され
ている。4は電解液であり、5はガラスセパレータであ
る。正負極及びセパレータは電池ケース6内に実用上問
題が生じないように固定される。
実施例 1 (1) 不溶不融性物質を作った。
水溶性レゾール(約60%濃度)/塩化亜鉛/水を重量
比で10/25/4の割合で混合した水溶液をフィルムアプリ
ケーターでガラス板上に成膜した。次に成膜した水溶液
上にガラス板を載せ水分が蒸発しない様にした後、約10
0℃の温度で1時間加熱して硬化させた。
該フェノール樹脂フィルムをシリコニット電気炉中に
入れ窒素気流下で40℃/時間の速度で昇温して、500℃
まで熱処理を行った。次に該熱処理物を希塩酸で洗った
後、水洗し、その後乾燥することによってフィルム状の
多孔体を得た。該フィルムの厚みは約200μmであり、
見掛け密度は約0.35g/cm3であり、機械的強度に優れた
フィルムであった。次に該フィルムの電気伝導度を室温
で直流4端子法で測定したところ、10-3Scmであった。
元素分析を行ったところ水素原子/炭素原子の原子比は
0.27であった。
BET法による比表面積値の測定を行ったところ、2100m
2/gと極めて大きな値であった。
(2) この不溶不融性物質を100℃の濃硫酸中に30分
間置いて酸処理した。次に蒸留水で十分に洗浄し、70℃
で12時間減圧乾燥した。
この酸処理不溶不融性物質及び酸処理していない不溶
不融性物質の元素分析をCHN分析及び螢光X線分析の手
法を用いて行なった。元素分析の結果を表1にまとめて
示す。表1に示すように、未処理不溶不融性物質には含
まれていなかった新たな元素Sが酸処理不溶不融性物質
に含まれていた。
(3) 酸処理不溶不融性物質を正極とし、リチウム金
属を負極として第1図に示すように電池を組んだ。電池
におけるドーピング量は炭素原子1個当りにドーピング
されるイオンの数で表すこととし、本発明ではドーピン
グされたイオンの数はドーピング時に回路に流れた電流
値の和より求めた。電解液として1モル/のLiClO4/
プロピレンカーボネート溶液を用いた。電池を組んだ直
後の電圧は3.1Vであり、4Vの電圧を印加することにより
電池を充電した。1時間充電した後、起電圧を測定する
と4Vであった。次に1時間あたりのアンドープ量が5%
となる速度で放電したところ、電池の電圧が2Vになるま
でに要した時間は80分間であった。
比較例 1 実施例1(3)において用いた酸処理不溶不融性物質
を未処理不溶不融性物質に変え、他は実施例1(3)と
同一にして電池の特性を測定した。比較例1の結果を、
実施例1の結果と共に表2に示す。本発明により、容量
が顕著に向上した。
実施例 2 (a) 実施例1(1)で得た不溶不融性物質を正極と
し、実施例1(2)で作った酸処理不溶不融性物質を負
極として第1図の様に電池を組んだ。電池を組んだ直後
の起電圧は0.1Vであった。次に外部電源により2.5Vの電
圧を印加することによって電池を充電した。次に1時間
当りの放電量が、酸処理不溶不融性物質の炭素原子に対
して5%となる速度で放電したところ約50分間で電池の
電圧が0Vとなった。
比較例 2 実施例2において、負極も酸未処理不溶不融性物質と
する以外はまったく同様にして電池を組み容量を測定し
た。放電時間は約40分間であった。本発明に従う上記実
施例2を比較例2と比べると、本発明により容量が著し
く向上したことが明瞭である。
実施例 3 酸処理を表3に示す条件で行う以外は実施例1(2)
とまったく同様にして酸処理不溶不融性基体を得た。次
に実施例1(3)の方法で電池を組み容量を測定した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る基本の構成を示すものであり、1
は正極、2は負極、3,3′は集電体、4は電解液、5は
セパレータ、6は電池ケース、7,7′は外部端子を表わ
す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機電解質電池用電極の製造法において、
    炭素、水素及び酸素から成る芳香族系縮合ポリマーの熱
    処理物であって、水素原子/炭素原子の原子数比が0.5
    〜0.05であるポリアセン系骨格構造を有しかつBET法に
    よる比表面積値が少くとも600m2/gである不溶不融性物
    質を、硫酸、硝酸、リン酸、亜硫酸またはこれらの混合
    物で酸処理することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】芳香族系縮合ポリマーがフェノールとホル
    ムアルデヒドとの縮合ポリマーである特許請求の範囲第
    1項記載の方法。
  3. 【請求項3】酸処理を、硫酸、硝酸、リン酸又はこれら
    の混合物で行う特許請求の範囲第1項記載の方法。
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