JP2995681B2 - 記録媒体 - Google Patents

記録媒体

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JP2995681B2
JP2995681B2 JP1094438A JP9443889A JP2995681B2 JP 2995681 B2 JP2995681 B2 JP 2995681B2 JP 1094438 A JP1094438 A JP 1094438A JP 9443889 A JP9443889 A JP 9443889A JP 2995681 B2 JP2995681 B2 JP 2995681B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は熱エネルギーの印加による結晶状態の可逆的
な変化を利用した高密度記録媒体に関する。
〔従来技術〕
近年、たとえば光によって与えられた情報を熱エネル
ギーの形に変換して印加し、記録材料の形状変化や物性
変化として記録するいわゆるヒートモード記録システム
が実用化されつつある。このようなヒートモード記録媒
体としては、Te,Bi,Se,Tb,Inなどを主成分とする金属材
料を用いた無機系の記録媒体、あるいは、シアニンなど
のポリメチン系色素、フタロシアニン、ナフタロシアニ
ン、ポルフィリンなどの大環状アザアヌレン系色素、ナ
フトキノン、アトラキノン系色素およびジチオール金属
錯体系色素などの有機色素を用いた記録媒体が知られて
いる。これらの記録媒体は集光したレーザー光の照射な
どにより熱エネルギーが加えられると、照射部分の記録
層が溶融あるいは蒸発して孔(ピット)を形成し、情報
を記録するものである。しかし、これらの記録媒体は、
記録した情報を消去して、再び新しい情報を記録する可
逆性を有していない。
上記のような再生専用、追記型のヒートモード光記録
媒体の発達とともに、記録、再生、消去が可能な可逆記
録媒体の必要性が高まっている。
こうした可逆記録媒体として、たとえばGd,Tb,Dyなど
の希土類元素とFe,Ni,Coなどの遷移金属とからなる合金
薄膜を用いた光磁気記録媒体がある。これは、レーザー
光照射による加熱と外部印加磁界を併用して記録し、磁
化の向きによる光の振動面の回転方向の違いを利用して
再生するものである。また、情報の消去はレーザーによ
る加熱と記録時とは逆向きの外部磁界を加えることによ
り行なわれる。しかし、この光磁気記録媒体は、再生時
の感度が十分でなくS/N比が悪いこと、および酸化など
の影響により記録感度の劣化や記録の安定性に問題があ
るなどの欠点を有している。
また、可逆記録媒体としてGe,Te,Se,Sb,In,Snなどの
元素を主成分とする無機材料薄膜からなる記録層の結晶
−非晶間の相転移を利用したものがある。この記録媒体
はレーザー光の照射のみでヒートモードで記録および消
去ができる利点があるが、記録部と非記録部のコントラ
ストや記録の安定性が十分でないこと、記録層の材料の
安全性に関して問題があるなどの欠点を有している。
一方、特開昭54−119377、同55−154198、同63−3937
8、同63−41186号公報には、樹脂マトリックス材と、こ
のマトリックス材中に微粒子分散状態で存在する有機低
分子物質からなる熱記録材料が開示されている。この記
録材料はある温度以上に加熱し冷却すると白濁状態(遮
光状態)になり、またある温度範囲に加熱し冷却すると
透明状態となり、この遮光性の可逆的な変化により記録
が行なわれる。しかし、この遮光性によるコントラスト
は、通常目視で観察できる程度の大きさの記録の場合に
は明瞭であったとしても、数μm程度の小さな部分が変
化してできた記録部を顕微鏡的に拡大して観察する場合
には記録として確認できない程度の低いコントラストと
なってしまう。記録層中では有機低分子物質の微粒子の
マトリックス中での状態によって、光の散乱性が変化し
ているのであるが、記録部分の大きさが数μm程度にな
ってしまうと、記録部分の大きさに対してこの微粒子の
大きさがこのような散乱を起こすには十分なほどの小さ
さではなくなってしまうためである。これを補うために
は、記録の大きさに比べ記録層の厚さをはるかに厚くす
ることが考えられるが、このように厚い記録層を厚さ方
向に全体に均一に加熱して小さな記録部を形成すること
は、実質的に困難である。したがって、高密度な記録を
行なう記録媒体に適用することはできない。
その他に、有機材料を用いた消去可能な記録媒体とし
て、たとえば特開昭58−199343号公報には有機金属錯体
ビス(1−p−n−アルキルフェニルブタン−1,3−ジ
オナト)(II)と有機高分子混合物、特開昭63−15793
号公報には結晶性と非晶性の熱可塑性樹脂混合物、特開
昭63−95993号、同96748号公報には結晶性芳香族ビニレ
ンスルフィド重合体、特開昭63−279440号公報には含硫
黄ポリマー、特開昭63−128993号公報にはジアザビシク
ロ〔2,2,2〕オクタン4級塩、特開昭63−259851号公報
には延伸配向した高分子や液晶性高分子の結晶−非晶転
移あるいは配向度の変化を利用した記録媒体が示されて
いる。しかし、これらはいずれも記録速度あるいは消去
速度がおそく実用化は困難である。
〔発明が解決しようとする課題〕
このように従来の記録媒体には、記録の安定性、記録
感度、消去速度、記録部と非記録部のコントラストなど
に種々の問題を残している。また、記録媒体は安全性の
面から毒性のない材料を用いたものであることが望まし
い。
このような観点から、本発明は、情報を記録し、再生
し、かつ記録された情報を消去することができ、繰り返
し使用可能な記録媒体を提供するものである。また、記
録感度、記録速度に優れ、記録の安定性が良好で、記録
部と非記録部のコントラストが大きく、高密度に情報が
記録でき、記録された情報を高速に消去できる記録媒体
を提供するものである。さらに、本発明は毒性がなく安
全性の高い記録媒体を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、以上のような目的から種々の有機材料
の熱変化を検討した結果、脂肪酸または脂肪酸誘導体の
薄膜状結晶を記録層に用いた場合、熱を印加した部分の
結晶状態が変化することを見出した。また、この変化部
分が適当な温度に再加熱されることにより元に戻ること
を見出した。本発明は、このような脂肪酸または脂肪酸
誘導体薄膜状結晶の熱的な可逆変化に基づくものであ
る。
すなわち、本発明の記録媒体は、基板上に記録層を有
し、該記録層の一部の結晶状態を可逆的に変化させて記
録し、ついで、その部分の偏光特性の変化により記録を
検出する記録媒体であって、該記録層が脂肪酸または脂
肪酸誘導体の薄膜状結晶であるか、またはその薄膜状結
晶を含む層であることを特徴とするものである。
また、本発明の記録媒体は、上記薄膜状結晶からなる
か、またはこれを含む記録層と、記録時に照射された光
の一部または全部を吸収し熱に変換する光熱交換層を有
することを特徴とするものである。
また、本発明の記録媒体は、上記の二つの構成におい
て、脂肪酸または脂肪酸誘導体を含む記録層中に記録時
に照射された光の一部または全部を吸収し熱に変換する
光熱変換物質を含有することを特徴とするものである。
以下に本発明の記録媒体について詳細に説明する。
本発明の記録媒体の記録層は脂肪酸または脂肪酸誘導
体を主成分とする薄膜状結晶からななるか、またはこれ
を含む層であるが、ここで言う脂肪酸または脂肪酸誘導
体とは、詳しくは、飽和または不飽和のモノまたはジカ
ルボン酸またはこれらのエステル、アミド、アニリド、
ヒドラジド、ウレイド、無水物、あるいは、アンモニウ
ム塩または金属塩のような脂肪酸塩であり、エステルは
2個以上の水酸基を持つ化合物とのエステル、たとえば
モノ、ジまたはトリグリセリドなどを含む。また、これ
らのものはハロゲン、ヒドロキシ基、アシル基、アシル
オキシ基あるいは置換または無置換のアリール基により
置換されていてもよい。これらの飽和または不飽和脂肪
酸は直鎖のものでも枝分れしたものでよく、不飽和脂肪
酸は二重結合または三重結合を1個持つものでも、2個
以上持つものでもよい。これらの飽和または不飽和脂肪
酸の炭素数は10以上であることが好ましい。
飽和脂肪酸の具体例としては、たとえば、ウンデカン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パル
ミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン
酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン
酸、モンタン酸、メリシン酸などがあり、不飽和脂肪酸
としては、たとえば、オレイン酸、エライジン酸、リノ
ール酸、ソルビン酸、ステアロール酸などがある。また
エステルの具体例としては、たとえば、これらの脂肪酸
のメチルエステル、エチルエステル、ヘキシルエステ
ル、オクチルエステル、デシルエステル、ドデシルエス
テル、テトラデシルエステル、ステアリルエステル、エ
イコシルエステル、ドコシルエステルなどがある。
また、金属塩の例としては、たとえば、これらの脂肪
酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ニッケル、コバルト、亜鉛、カドミウム、アルミニ
ウムなどの金属塩がある。
使用する脂肪酸または脂肪酸誘導体は、好ましくは融
点が50〜200℃、特に60〜150℃の範囲のものが好まし
い。これより低いと記録の保存性に問題あり、また高い
と記録に要するエネルギーが大きくなり、記録速度がお
そくなる。
本発明の記録媒体の記録層には、これらの脂肪酸また
は脂肪酸誘導体の1種または2種以上を混合して用いる
ことができる。また、本発明における記録層は、これら
の脂肪酸または脂肪酸誘導体を主成分とする薄膜状結晶
からなるか、またはこれを含むものであるが、これ以外
に、層を形成する上で必要に応じ樹脂を用いることがで
きる。樹脂としては、たとえば、ポリ塩化ビニル、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重
合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロ
ニトリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリア
クリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、
ポリウレタン、シリコン樹脂などが挙げられる。記録層
中に樹脂を用いる場合、記録層全体で脂肪酸または脂肪
酸誘導体1に対して、樹脂は重量比で3以下、特に1以
下であることが好ましい。
本発明の記録媒体に用いられる基板としては、ガラス
板、金属板、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネ
ートなどのプラスチック板などがある。ただし、情報記
録後、透過光により記録を読み取る場合には、基板には
再生光を透過するものを用いる必要がある。また反射光
により読み取る場合には、必要に応じ、たとえば白金、
チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、
アルミニウムなどの金属または半金属の膜を設け反射層
とする。
本発明の記録媒体は記録層に熱を印加することにより
記録するものであるが、熱を印加する方法としてレーザ
ー光などの光を用いる場合には、記録すべき情報に従っ
て照射された光の一部または全部を吸収し熱に変換する
光熱変換層を設けるか、あるいは、記録層中に光を吸収
し熱に変換する物質を含有させる必要がある。光熱変換
層としては前記反射層と同様の金属または半金属の膜を
設ければよく、したがって、この層は反射層と兼用する
ことができる。また光熱変換層は照射した光を吸収する
色素、たとえば、アゾ系色素、シアニン系色素、ナフト
キノン系色素、アントラキノン系色素、スクアリリウム
系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色
素、ポリフィリン系色素、インジゴ系色素、ジチオール
錯体系色素、アズレニウム系色素、キノンイミン系色
素、キノンジイミン系色素などを含有する層であっても
よく、記録に用いる光の波長により選択する。一方、記
録層中に含有させる光を吸収して熱に変換する物質とし
ては、上記光熱変換層中に含有させる各種色素を使用す
ることができ、記録に用いる光の波長により選択する。
本発明の記録媒体は、基板上に脂肪酸または脂肪酸誘
導体を主成分とする薄膜状結晶からなるか、またはこれ
を含む記録層を有し、その記録層が熱の印加により結晶
状態が変化する層であることを特徴とするものであり、
それらの構成については特定するものではないが通常よ
く用いられる記録媒体の構成例を第1図から第5図に示
す。第1図において、1は基板、2は脂肪酸または脂肪
酸誘導体を主成分とする薄膜状結晶からなるか、または
これを含む記録層である。第2図は第1図に示される基
板1と記録層2との間に、光の一部または全部を吸収し
熱に変換し必要に応じて光の一部を反射する光熱変換層
3を設けたものである。第3図は基板1上に記録層2を
設けその上に光熱変換層3を設けたものである。第4図
は第2図の記録層2の下に、たとえば記録層2の膜質の
向上などを目的とする下引き層4を設けたものである。
さらに第5図は第4図の記録層2の上に保護層5を設け
たものである。
下引き層4には、前記の記録層2を形成するときに用
いてもよい樹脂の例のような種々の樹脂を用いることが
できる。また保護層5も同様にこれらの樹脂を用いても
よいし、あるいはガラス板を用いてもよい。ガラス板を
用いる場合には、下引き層と同様の目的で表面(記録層
に接する面)に同様の樹脂層を設けてもよいし、ガラス
表面の性質を改良する表面処理剤たとえばシラン系また
はチタネート系表面処理剤であらかじめ処理を施してお
いてもよい。
本発明の記録媒体を製造するには、前記の基板1上に
必要に応じ光熱変換層3をたとえば前記のような金属ま
たは半金属を用い、蒸着、スパッタあるいはメッキなど
の手段によって形成し、その上に記録層2を形成する。
記録層2を形成する方法にはたとえば次のような方法
がある。まず、光熱変換層3を設けた基板1上に、必要
な記録層2の厚さに応じたギャップを保ち保護層5に相
当するガラス板あるいは樹脂フィルムをかぶせる。ギャ
ップを作るために、記録層2を形成する部分の周囲にス
ペーサー層を設けておいてもよいし、あるいは微小で均
一な径を有するギャップ材たとえばシリカ粒子、ポリス
チレンビーズなどをあらかじめ光熱変換層3側または保
護層5側に付着させておいてもよい。このようにしてギ
ャップを形成した基板全体を恒温槽中に入れるかホット
プレート上にのせ、記録層2に用いる材料の融点より高
い温度に保ち、ギャップの端部に溶融した材料を置き、
ギャップ間に浸み込ませる。得られた融液層を徐冷し結
晶化させると、光熱変換層3と保護層5の間に、記録層
2の薄膜状結晶が形成できる。このとき、ギャップ間隔
を一定に維持するため、結晶化するまでの間、おもりな
どで加圧しておいてもよい。また気泡が入らないように
するためこれらの作業を減圧下で行なってもよい。
また、別の製造方法としては、たとえば記録層2を形
成する材料を適当な有機溶媒たとえばテトラヒドロフラ
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ク
ロロホルム、四塩化炭素などに溶解し、スピンコート
法、ブレードコート法、ディップコート法などにより塗
布し乾燥するか、または蒸着法により光熱変換層3上に
均一な厚さの層を形成する。この上に必要に応じて適当
な溶媒に溶解した樹脂を塗布する。次に、これを恒温槽
中に入れるかホットプレート上にのせて、記録層2の材
料の融点以上になるように加熱した後、徐冷することに
より結晶化させ記録層2の薄膜状結晶を形成する。記録
層2の形成にはこの他、ラングミュア・ブロジェット法
など種々の方法を用いることができる。
記録層2中に光熱変換物質を含ませる場合には、たと
えば記録層2の材料の溶液の中に前記の色素を同時に溶
解するか、あるいは分散して塗布すればよい。
記録時または消去時に照射された光の一部または全部
を吸収し熱に変換する光熱変換層3を前記のごとき色素
を用いて形成する場合には、蒸着、スパッタなどの方法
により形成するか、溶媒に溶解または分散した液を塗布
して形成してもよい。この場合には必要に応じ結着性樹
脂を用いてもよい。光反射層が必要な場合は、金属の蒸
着膜を別に設けてもよい。
また、脂肪酸または脂肪酸誘導体を主成分とする薄膜
状結晶からなるか、またはこれを含む記録層2の膜厚
は、特に限定するものではないが、通常10Å〜10μm、
好ましくは10Å〜5μm程度である。光熱変換層3の厚
さは、記録に用いた光の波長や強度と用いた材料の種類
により適当な範囲が決まるが、おおむね、50Å〜5μm
程度である。
本発明の記録媒体は、脂肪酸または脂肪酸誘導体を主
成分とする薄膜状結晶からなるか、またはこれを含む記
録層を有し、その薄膜状結晶の結晶状態が熱の印加によ
って可逆的に変化することを利用するものである。情報
の記録すなわち熱の印加の方法には種々の方法が考えら
れるが、高密度な記録を行なうためには集光したレーザ
ー光の照射による方法が最も好ましい。この場合、記録
媒体には光を吸収し熱に変換する前述の光熱変換層を設
けるか、あるいは光を吸収して熱に変換する物質を記録
層中に加える必要がある。
記録時には、レーザー光照射部分は、光熱変換層また
は光熱変換物質が光を吸収して発熱し、脂肪酸または脂
肪酸誘導体の薄膜状結晶からなるか、またはこれを含む
記録層は瞬時に加熱され、レーザー光照射が止むと急激
に冷却され、記録ピット(ただし、ここで言うピットと
は穴ではなく、薄膜状結晶中に結晶状態の変化として記
録された部分をさす。)が形成される。
このとき、記録層中では、薄膜状結晶の一部、すなわ
ち短時間のレーザー光照射により発熱した光熱変換層
(物質)から伝わった熱によって瞬時に加熱された部分
は、結晶が完全に溶融する温度にまで到達する。しか
し、レーザー光照射が止むと熱は拡散し、この部分は瞬
時に冷却され、固化(結晶化)する。このように瞬時に
加熱溶融→冷却結晶化した部分の結晶状態は、熱が印加
されていない部分の状態すなわち周囲の非記録部の結晶
状態とは異なった状態となる。
この結晶状態の変化とは、たとえば(1)結晶粒の大
きさ形態の変化、(2)結晶軸の方向の変化、または分
子の配向方向の変化、(3)結晶構造の変化などがあ
る。記録が行なわれる前の記録層は、全体がほぼ一様な
方向を向いて並んだ、ほぼ一様な厚さの薄膜状の結晶と
なっている。この変化のうち(1)の結晶粒の大きさ形
態の変化とは、たとえば薄膜状結晶の中の記録部が、小
さく分割された結晶の集合となったものである。この状
態の変化は、たとえば走査型電子顕微鏡などで、剥離し
た記録層を観察することにより確認できる。また(2)
の結晶軸方向の変化または分子配向方向の変化とは、た
とえば結晶構造は基本的には同じであるが、結晶の向い
ている方向、すなわち結晶軸の方向が異なって結晶化し
たもの、あるいは、これほどには明確ではないが、基本
的には何らかの配向をした分子の集合となっており、そ
の全体の配向方向が周囲の非記録部とは異なる場合であ
る。また、(3)の結晶構造の変化とは、記録部が周囲
の非記録部とは異なる結晶状態へ結晶化したものであ
り、この中には分子配列の規則性の乱れが大きく、ある
いは規則性を持つ範囲が非常にせまい、非晶状態に変化
する場合も含まれる。
これらの結晶状態の変化は、薄膜状結晶への部分的な
短時間の熱の印加、すなわち短時間の光照射によって起
こる溶融状態からの急冷に起因するものであるが、その
冷却速度は主に光照射の時間に依存する。集光したレー
ザー光により照射された微小な部分の温度変化を測定す
ることは困難であるため、レーザー光の強度分布、光吸
収と熱伝導を考慮し、各層の厚さ、光吸収特性、熱伝導
率、比熱などの熱特性を表−1に示す値とし、記録層の
温度変化をシュミレーションすると、たとえば、80℃か
ら60℃まで冷却されるのに要する時間は、照射時間が10
0μsecでは約1.7μsec、照射時間が0.25μsecでは約15n
secとなり、その冷却速度の差は非常に大きい。したが
って、短時間の光照射(熱の印加)によって起こる結晶
状態の変化も、照射時間によって変化し一定ではない。
たとえば、微結晶化では、冷却速度が速いほどより微細
化する傾向が認められる。また、分子の配向状態とも関
係し、一般に冷却速度が速いほど配向の乱れが大きくな
る傾向があり、分子が規則的配列をとる範囲がせまく、
結晶化度の低い状態になる場合もある。ただし、このよ
うな条件でも、少なくとも部分的には何らかの配向状態
が存在し、本発明の記録方法においては、この記録部の
配向が、周囲の非記録部の配向方向と異なることによっ
て特徴づけられる。このような記録による配向方向の変
化はたとえば記録層のX線回折を測定することによって
確認できる。また、記録によって起こる前記(1)、
(2)、(3)の結晶状態の変化は、それぞれ別々に起
こるというよりは複合して起こるものである。また、レ
ーザー光を照射された記録層中の溶融した部分の中は、
光熱変換層からの距離やビームの中心からの距離によっ
て、到達温度、冷却速度が大きく異なり、それぞれの場
所で異なる結晶化が起こるため、必ずしも一様な状態と
はならない。したがって、(1)、(2)、(3)の結
晶状態の変化は、ひとつの記録部内においても、位置に
より様々な形で複合されて起こる。
このような記録による結晶状態の変化を、より具体的
に説明するために、記録層の材料として代表的な脂肪酸
であるステアリン酸を用いた場合について示す。前述の
ようにして形成したステアリン酸薄膜状結晶によりなる
記録層(基板:ガラス、光熱変換層:クロム蒸着膜、保
護層:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)の未記録時の
結晶状態は、ステアリン酸のC型結晶であり、そのa
軸、b軸を基板とほぼ平行に配向している。これは、こ
の記録層のX線回折図(第6図)で、ステアリン酸C型
結晶の長面間隔(39.8Å)に起因する回折線(ただし、
n=2,3,4,5,7,8,9,10,12)のみが認められることから
わかる。一方、この記録層に、波長830nm、ビーム径1
μmφの半導体レーザー光を線速3500〜4000mm/sec、媒
体面での強度5mWで連続点灯し、記録ライン間の間隔を
とらず、スパイラル状に全面記録した後、測定したX線
回折図(第7図)では、未記録時に現われていたステア
リン酸C型長面間隔の回折線以外に、新たに21.6゜に明
確な回折線が現われる。この回折線はC型結晶の短面間
隔(4.11Å)によるものであり、このことは、未記録時
にはa軸、b軸を基板にほぼ平行に配向していたもの
が、レーザー光の照射後は結晶の配向方向が変化して、
少なくとも部分的には、c軸を基板に対して平行に配向
した構造が形成されたことを示している。
記録された状態は、たとえば顕微鏡、偏光顕微鏡など
の光学的観察手段により確認することができる。特に、
このような結晶状態の変化は偏光特性の変化を伴なう場
合が多く、偏光顕微鏡を用いクロスニコル下で明暗のコ
ントラストあるいは色調の差として明瞭に観察できる場
合が多い。したがって、記録された情報の再生(読み出
し)は、記録媒体に集光した偏光を入射させ、その反射
または透過光を入射させた光の振動方向と直交する振動
方向の光を透過するように置かれた偏光子を通して光の
強度を検知することにより行なうことができる。再生に
用いる光の強度は記録および消去に用いる光に比べ十分
に弱めて、記録層の温度が消去温度まで上昇しない程度
とする。
このように記録層中の脂肪酸または脂肪酸誘導体を主
成分とする薄膜状結晶の一部に熱を印加し、瞬時に溶融
再結晶化させることにより結晶状態の変化として記録さ
れた情報は、記録層が記録時の温度より低い温度であ
り、記録層の結晶薄膜が溶融しない温度であるが、分子
が十分に熱運動し得る温度に加熱することにより、消去
することができる。消去が可能な温度範囲は、記録層の
材料、純度等により変化するが、記録層を形成する薄膜
状結晶の融点より低い温度に存在する。この記録が消去
される様子は、偏光顕微鏡で観察しながら記録層の温度
を上昇させていくことにより確認できる。たとえば、均
一に明るい状態に見える非記録部の中に暗い記録部が形
成されているとすると、ある温度以上で記録部が欠け始
め、おおむね5〜20℃程度の温度範囲で記録部が全部な
くなり、全体が非記録部と同じ状態になる。さらに温度
を上げていくと、記録層の結晶薄膜が溶融するため、視
野は完全に暗くなる。したがって、薄膜状結晶中に形成
された結晶状態の変化した微小な記録部の分子が、十分
に熱運動し得る状態になると、その周囲の非記録部の分
子と同様な配列をとるようになり、その温度から室温に
戻ることにより、全体が一様な薄膜状態結晶となって消
去される。
消去は具体的には記録媒体全体を上記温度範囲に加熱
し冷却して記録全体を消去することもできるし、記録ピ
ット部分、あるいは、これより少し広い範囲を局部的に
消去温度まで加熱冷却することによって、記録された情
報の一部のみを消去することも可能である。後者の場合
には記録時に照射したレーザー光の強度を弱めて、記録
ピット部分の温度が消去温度範囲に入るように調節し
て、重ねて照射すればよい。このとき記録層の薄膜状結
晶の記録ピット部分(結晶状態が変化した部分)は、い
ったん消去温度まで加熱され、冷却されると、その結晶
状態が元の状態すなわち周囲の非記録部と同じ結晶状態
に戻り、記録ピットは消去される。この消去された状態
は、記録状態と同様、顕微鏡、偏光顕微鏡などの光学的
観察手段により確認できる。
本発明の記録媒体は、基本的に熱により記録層に穴を
あけたり、記録層の表面形状を変化させたりするもので
はなく、記録層を形成する薄膜状結晶または記録層中に
含まれる薄膜状結晶の一部分の結晶状態を変化させるこ
とにより記録するものであり、形成された記録部と非記
録部の差をたとえば偏光特性の差として検出するもので
ある。この点で本発明の記録媒体は従来の記録媒体と大
きく異っている。たとえば、従来技術の項で示した樹脂
マトリックス中に有機低分子化合物が分散された状態で
存在し、加熱温度により遮光性が変化する記録媒体とは
全く異なる現象に基づくものである。すなわち、この例
の記録媒体は記録層中に有機低分子化合物が微粒子状に
存在し、記録部そのものも多数の微粒子によって形成さ
れ、記録がこの微粒子分散状態による光の散乱に基づく
遮光性の差であるのに対し、本発明の記録媒体は脂肪酸
または脂肪酸誘導体が薄膜状結晶として存在し、記録が
この薄膜状結晶の一部に結晶状態の変化として形成さ
れ、その結果としての光学的性質の差を検出するもので
ある。したがって、両者の違いは明白である。
〔発明の効果〕
本発明の記録媒体の記録と消去は、基本的に記録層を
形成する脂肪酸または脂肪酸誘導体の薄膜状結晶の到達
温度差によるものであり、これは照射するレーザー光の
強度より調節できる。また記録も消去も高速に行なえる
ため、消去しながら記録を行なう、いわゆるオーバーラ
イト(重ね書き)が可能である。また、この記録と消去
は安定して繰り返し行なうことができる。さらに、記録
部は非記録部と同様安定な状態にあるので、記録された
情報は長期間にわたり安定に保存できる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 光学研磨された直径4インチ(101.6mm)、厚さ1.2mm
のガラスディスク上に、光反射層であり、かつ光熱変換
層であるクロム層を真空蒸着により設けた。厚さは約90
0Åであった。このクロム層上に、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体(ユニオンカーバイド社製:VYHH)の5wt%
テトラヒドロフラン溶液を塗布し、乾燥して厚さ約0.2
μmの樹脂層を設けた。次に、この樹脂層上にステアリ
ン酸(シグマ社製:純度99%以上)の10wt%テトラヒド
ロフラン溶液を塗布し45℃で乾燥した。さらに、その上
に前記と同じ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の5wt%
テトラヒドロフラン溶液を塗布し、45℃で乾燥した。こ
のディスクを90℃で約2分間熱処理した後、徐冷した。
以上の操作により、クロム層上にほぼ一様な配向をした
ステアリン酸の薄膜状結晶よりなる記録層(厚さ約0.8
μm)と、その上に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体よ
りなる保護層(厚さ約0.6μm)が形成された。
このようにして作成した記録媒体を900RPMで回転させ
ながら、直径1μmに集光した波長830nmの半導体レー
ザー光を下記(1)および(2)の条件で照射し、スパ
イラル状の記録を形成した。このとき、ディスク上の記
録した部分における記録方向の線速度は約3500〜4000mm
/secである。
照射条件(1)点灯条件:周波数200KHz、デューティ比
50% 記録媒体面での強度:5mW 記録ラインの間隔:約3.5μm(中心
間) (2)点灯条件:連続点灯 記録媒体面での強度:5mW 記録ラインの間隔:約1μm(中心間) 上記(1)の条件でレーザー光を照射した記録媒体を
反射偏光顕微鏡を用い直交ニコル状態で観察すると、記
録層のレーザー光照射部分に幅約1μmのライン状の記
録部が形成されているのが、明瞭なコントラストで観察
できた。ただし、この記録部は通常の光学顕微鏡観察で
は、ほとんど確認できない程度であった。偏光顕微鏡で
観察した例を第8図に写真で示す。
この記録した記録媒体の記録層をクロム層から剥離
し、その表面(クロム層と接していた面)を走査型電子
顕微鏡で観察すると、レーザー光照射部分は小さな板状
の結晶の集合となっていた。
上記(2)の条件でレーザー光を照射した記録媒体を
同様に偏光顕微鏡を用いて観察すると、記録媒体の照射
範囲全面にほとんどすき間なく記録されているのが認め
られた。この全面記録を行なった記録媒体について、記
録を行なう前と記録後の同一部分のX線回折を測定し
た。記録前のX線回折を第6図、記録後のX線回折を第
7図に示す。第6図より、記録前はステアリン酸のC型
結晶の長面間隔に基づく回折線のみが認められ、a,b軸
を平行に配向した構造になっていた。しかし、第7図の
記録後では、短面間隔に基づく回折線(2θ=21.6゜)
が現われ、記録層の記録部の中にc軸を基板に平行に配
向した構造が形成されたことを示している。
次に、(1)の条件で記録した記録媒体について、偏
光顕微鏡で観察しながら、記録媒体の温度を室温から1
℃/分の速度で昇温していった。すると、明瞭なコント
ラストで見えていた記録部が、60℃位から消えはじめ、
約68℃では完全に周囲と同じ明るさとなり、消去され
た。また、この温度までは周囲の非記録部の状態には、
変化は認められなかった。さらに昇温を続けると69.4℃
で、視野の一端から完全に暗くなり、すぐに全体に拡が
って、この温度で記録層の結晶薄膜が完全に溶融したこ
とがわかった。
次に、(1)の条件で記録した記録媒体に対して、直
径5μmに集光した波長780nmの半導体レーザー光を記
録媒体面での強度1.5mW、2mWおよび3mWとなるように連
続点灯し、線速50mm/secの速度で、前の記録部分と重な
るように直線状に走査した。この記録媒体を偏光顕微鏡
で観察したところ、第9図の写真に示すように、2mWお
よび3mWの強度で重ねて照射した部分は、照射強度が強
すぎたため、ビーム中央部では、薄膜状結晶が溶融温度
以上になり、新しくライン状の記録が形成された。ただ
し、このラインの縁の部分、すなわちビームの周辺部が
走査した部分では、前に1μmφのレーザー光で記録さ
れていた記録部が消去された。一方、1.5mWの強度で重
ねて照射された部では、前の1μmφのレーザー光によ
る記録部が約2.5μmの幅で帯状に消去されていた。以
上の結果より、強度1.5mWの照射で記録層が消去温度範
囲に入り、消去が行なわれることが確認された。
実施例2 実施例1で用いたものと同様に、光熱変換層としてク
ロム層を有するガラスディスクを用意した。また、保護
層となる厚さ0.1mmのガラス板の片面にギャップ材とし
て直径約1μmのシリカ粒子を微量付着させた。この両
方を100℃の恒温槽中に入れ加熱した後、同温度でガラ
スディスクのクロム層上にベヘン酸(シグマ社製:純度
99%以上)を少量のせ溶融させた。次に、一方のガラス
板をギャップ材の付着した面を下にして、ベヘン酸の融
液上に一端から静かにかぶせ、融液を全面に拡げて、は
さみ込んだ。さらに、かぶせたガラス板の上から均一に
荷重をかけ、そのまま恒温槽の温度をゆっくり下げ、ベ
ヘン酸を結晶化させて、薄膜状の結晶とした。以上の操
作により、クロム層上にほぼ一様な配向をしたベヘン酸
の薄膜状結晶よりなる記録層(厚さ約0.8μm)と、そ
の上に厚さ0.1mmのガラスよりなる保護層が形成され
た。
このようにして作成した記録媒体を900RPMで回転さ
せ、そこに直径1μmに集光した波長830nmの半導体レ
ーザー光を線速3500〜4000mm/secでスパイラル状に照射
した。このときの照射条件は実施例1の場合と同様、
(1)および(2)の二つの条件とした。ただし、照射
強度は(1)では3,4,5,6,8,10,12mWとし、(2)では8
mWとした。
照射条件(1)で記録したものの記録の状態を反射偏
光顕微鏡を用い直交ニコル状態で観察すると、記録層の
レーザー光照射部分に、強度4mW以上で記録ができてい
ることが明瞭なコントラストで認められた。また、照射
したレーザー光の強度が大きくなるに従い記録部分、す
なわち溶融再結晶化により結晶状態が変化した部分の幅
が広くなり、4mWでは幅が約0.4μm、12mWでは約1.8μ
mであった。
記録部分の偏光顕微鏡による観察において、同一部分
を試料台上で回転してみると、非記録部と記録部の明暗
のコントラストには、逆転が認められた。すなわち、あ
る角度で明るい非記録部に対して記録部が暗く見えてい
たものが同じ部分を45゜回転すると暗い非記録部の中に
明るい記録部が観察された。強度8mWで記録した部分の
偏光顕微鏡写真を第10図(a)および(b)に示す。な
お、(a)と(b)とは同一部分を45゜回転させて観測
したものである。
次に、実施例1と同様に、記録部を偏光顕微鏡で観察
しながら、記録媒体の温度を上げていくと、明瞭なコン
トラストで見えていた記録部が60℃位から消えはじめ、
約77℃で完全に消去された。またこの温度では非記録部
には変化は認められず、79.5℃まで上昇すると結晶薄膜
全体が溶融した。
次に、同様の条件で作成したふたつのベヘン酸記録媒
体を用意し、その一方に、上記(2)の条件でレーザー
光を照射した。この記録媒体を偏光顕微鏡で観察する
と、記録媒体の照射範囲全面にほとんどすき間なく記録
されているのが認められた。これらふたつの記録媒体の
保護層のガラス板をはく離し、全面記録した記録層と未
記録の記録層のX線回折を測定して結晶状態を比較し
た。さらに、全面記録した記録媒体を1℃/分の速度で
75℃まで昇温した後、室温に戻し、記録がほとんど消去
された状態でのX線回折を測定した。第12図に記録前、
第13図に記録後、第14図に消去後のX線回折図を示す。
これらより、記録後は一部分子配向が変化し、消去後は
ほぼ元に戻っていることがわかる。
また、上記(1)の条件で1μmφのレーザー光によ
り記録された記録媒体に、実施例1と同様に5μmφの
レーザー光をそれぞれ2.5,2,1.5mWとなるように連続点
灯し、線速50mm/secの速度で記録部分と重なるように走
査した後、偏光顕微鏡で観察すると第11図の写真のよう
に、2mWで照射された部分が幅約3μmの帯状に消去さ
れた。また、2.5mW以上では強度が大きすぎたため新し
くライン状の記録ができ、そのラインの縁の部分で消去
が認められ、1.5mWでは記録部が少し細くなる程度であ
った。
実施例3 実施例2と全く同様にして、ガラス基板(5cm×5cm、
厚さ1.2mm)上に、光熱変換層としてクロム層、その上
にベヘン酸、薄膜状結晶の記録層、さらにその上にガラ
スの保護層よりなる記録媒体を作成した。ただし、記録
層の厚さは約0.6μmであった。
この記録媒体に直径5μmに集光した波長780nmの半
導体レーザー光を記録媒体面で強度が7,10,14mWとなる
ように連続点灯し線速200mm/secで直線状に走査した。
この記録媒体を偏光顕微鏡で観察したところ第15図
(a)の写真に示すような明瞭な記録が認められた。ま
た、この部分を試料台を45゜回転して観察すると、第15
図(b)の写真のように非記録部と記録部の明暗の逆転
が認められた。
同様にして作成した記録媒体について、強度を12mWと
し上記と同様の条件で、記録媒体全面にほぼすき間なく
照射した。この記録媒体の保護層である厚さ0.1mmのガ
ラス板を記録層からはがし、記録層のX線回折を測定し
た。また、比較のため同様に作成した記録媒体をレーザ
ー光の照射を行なわず、そのまま保護層のガラス板をは
がし、X線回折を測定した。記録前(第16図)と全面記
録後(第17図)のX線回折を比較すると、いずれもベヘ
ン酸のC型結晶の長面間隔(48.3Å)に基づく回折線が
明瞭に認められる。一方、記録による短面間隔の部分の
変化は、同様な記録媒体でありながら、照射時間の短か
い実施例2の場合とは異なっている。しかし、偏光顕微
鏡による観察では、非記録部と記録部のコントラストは
明確であることから、この照射条件と実施例2の場合で
は、記録による配向方向の変化の仕方が異なることがわ
かる(実施例2との照射条件の差はビーム径と線速度の
差に基づく照射時間の差:実施例2は約0.25μsec、実
施例3は約100μsecである)。
実施例4 実施例1と同様のクロム層を有するガラスディスクを
用意した。このクロム層上にポリイミド樹脂溶液(日本
合成ゴム社製:JIB−1)を塗布し、温度150℃で1時間
乾燥して厚さ約0.1μmのポリイミド層を設けた。一
方、保護層となる厚さ0.1mmのガラスの片面にも同様に
厚さ約0.1μmのポリイミド層を設け、さらにその上に
ギャップ材として直径約1μmのシリカ粒子を微量付着
させた。この両方を恒温槽中に入れ、表−2に示す記録
層の材料を溶融させて実施例2と同様にはさみ込んだ。
この時の温度はそれぞれの材料の融点より10〜20℃高い
温度とした。融液を全面に拡げた後、保護層のガラス板
の上から均一に荷重をかけ、そのまま恒温槽の温度をゆ
っくり下げ、記録層の材料を結晶化させた。以上の操作
により、表−2の各材料の薄膜状結晶を記録層とする記
録媒体を作成した。
このようにして作成した記録媒体に直径1μmに集光
した半導体レーザー光を実施例2と同様の条件で照射し
た。ただし、記録光の強度は表−2に示した通りとし
た。各記録媒体の偏光顕微鏡で観察したところ、実施例
1および2の記録媒体と同様の記録が形成されているの
が確認された。
実施例5 実施例1と同様のクロム層を有するガラスディスクを
用意した。このクロム層上に塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体(ユニオンカーバイド社製:VYHH)の5wt%テトラ
ヒドロフラン溶液を塗布し、乾燥して厚さ約0.2μmの
樹脂層を設けた。次にこの上に、ステアリン酸(シグマ
社製:純度99%以上)の10wt%テトラヒドロフラン溶液
中に、ステアリン酸に対して3wt%のナフタロシアニン
系色素(下記構造式)を溶解した液を塗布し45℃で乾燥
した。さらにその上に、前記と同じ塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体の5wt%テトラヒドロフラン溶液を塗布し4
5℃で乾燥した。このディスクを90℃で約2分間熱処理
した後、徐冷して、クロム層上にほぼ一様な配向をした
ナフタロシアニン系色素を含むステアリン酸の薄膜状結
晶からなる記録層と保護層を形成した。
このようにして作成した記録媒体に、直径1μmに集
光した半導体レーザー光(830nm)を強度が3mWである以
外は実施例1の照射条件(1)の場合と同様に照射し
た。この記録媒体のレーザー光照射部分を偏光顕微鏡で
観察すると、実施例1と同様に記録部が明瞭なコントラ
ストで観察できた。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第5図は本発明の記録媒体の断面図であり、図
中1は基板、2は脂肪酸または脂肪酸誘導体の記録層、
3は光熱変換層、4は下引き層、5は保護層を示す。 第6図はステアリン酸の薄膜状結晶を記録層とする記録
媒体の未記録状態のX線回折図、第7図は同じ記録媒体
の記録後のX線回折図である。また、第8図はこの記録
媒体に1μmφのレーザー光照射により記録した部分の
偏光顕微鏡写真であり、第9図はこの記録部に5μmφ
のレーザー光を重ねて照射し部分的に消去を行なった記
録媒体の偏光顕微鏡写真である。 第10図(a)および(b)はベヘン酸の薄膜状結晶を記
録層とする記録媒体に1μmφのレーザー光を照射して
記録した部分の偏光顕微鏡写真であり、(a)と(b)
は同一部分を45゜回転して観察したものである。また、
第11図はこの記録部に5μmφのレーザー光を重ねて照
射し部分的に消去を行なった記録媒体の偏光顕微鏡写真
である。また、第12図、13図、14図はそれぞれベヘン酸
記録媒体の未記録状態、記録後および消去後のX線回折
図である。 さらに、第15図(a)および(b)はベヘン酸の薄膜状
結晶を記録層とする記録媒体に5μmφのレーザー光を
照射して記録した部分の偏光顕微鏡写真であり、(a)
と(b)は同一部分を45゜回転して観察したものであ
る。また、第16図と第17図はそれぞれこの記録媒体の未
記録状態および記録後のX線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 了平 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭54−149617(JP,A) 特開 昭57−38190(JP,A) 特開 昭58−104794(JP,A) 特開 昭64−14077(JP,A) 特開 昭62−107448(JP,A) 特開 昭54−5447(JP,A) 特開 昭64−19532(JP,A) 特開 昭63−130380(JP,A) 特開 昭62−268689(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、記録層を有し、該記録層の一部
    の結晶状態を可逆的に変化させて記録し、ついでその部
    分の偏光特性の変化により記録を検出する記録媒体であ
    って、該記録層が脂肪酸または脂肪酸誘導体の薄膜状結
    晶であるか、またはその薄膜状結晶を含む層であること
    を特徴とする記録媒体。
  2. 【請求項2】記録時に照射された光の一部または全部を
    吸収し熱に変換する光熱変換層を設けたことを特徴とす
    る請求項(1)記載の記録媒体。
  3. 【請求項3】記録層中に記録時に照射された光の一部ま
    たは全部を吸収し熱に変換する光熱変換物質が含有され
    ていることを特徴とする請求項(1)または(2)記載
    の記録媒体。
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