JP3241925B2 - 写真要素の処理方法 - Google Patents

写真要素の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原画写真要素及び表示
写真要素を現像及び/または脱銀するための改善された
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー写真の基本的画像形成工程には、
ハロゲン化銀写真記録材料を露光し、そしてその材料を
化学処理して使用可能な画像を露呈させる工程が含まれ
る。この基本的な処理工程には、(1)露光したハロゲ
ン化銀を発色現像剤で処理し、一部または全部のハロゲ
ン化銀を還元して金属銀にすると同時に、酸化された発
色現像剤から有機色素を形成させる工程、並びに(2)
こうして生成した金属銀と残留するすべてのハロゲン化
銀とを、現像された銀を酸化して銀塩にする漂白工程及
びその銀塩を写真材料から溶解除去する定着工程からな
る脱銀工程によって除去する工程が典型的には含まれ
る。漂白工程及び定着工程は、逐次的に実施してもよい
し、また本明細書中ではブリックシング(blixin
g)と称する単工程として実施してもよい。カラー画像
形成法の中には、さらに別の発色現像または黒白現像工
程、化学的カブリ工程並びに補助停止、水洗、促進及び
安定化工程を採用できるものもある。
【0003】多くの状況で、感光性の原画要素(ori
ginating element)をシーンに露光
し、その原画要素を現像及び脱銀してカラー画像を形成
させる工程を含む多段階法によって、使用可能な画像が
顧客に提供されている。原画要素は、例えばカラーネガ
フィルムや映画用ネガフィルムであることができる。次
いで、プリンターにおいて、得られたカラー画像を用い
て感光性の表示要素の露光量を調整すると共に、必要に
応じて拡大する。表示要素は、例えば印画紙、中間フィ
ルムまたは映写用フィルムであることができる。その
後、露光済の表示要素を現像及び脱銀し、元のシーンを
模写した有用なカラー画像を形成させる。
【0004】原画要素は、様々な照明条件下での光を利
用することができる良好な露光が可能になるように典型
的には設計される。すなわち、良好な感度(スピード/
粒子)とダイナミックレンジ(長いラチチュード及び低
ガンマ)が望まれる。反対に、表示要素は、プリンター
において十分に規定された条件で露光及び処理した後に
フルレンジの濃度発生が可能になるように典型的には設
計される。すなわち、良好な画像識別性(高濃度及び低
カブリ)、低ダイナミックレンジ(短ラチチュード及び
高ガンマ)並びに容易で一貫した処理が望まれる。こう
した大幅に異なるニーズは、各々に用いられているハロ
ゲン化銀の含有量や組成並びに画像形成化学物質の種類
や量及び層順序が著しく異なる原画要素と表示要素とを
提供することによって典型的には満たされる。組成の大
きな差の一つは、例えばカラーネガフィルムの原画要素
に、高感度及び望ましい画像構造特性を得るためにヨウ
臭化銀乳剤を使用することや、また例えば印画紙の表示
要素に、低感度、短ラチチュード及び良好な現像性、並
びに容易で再現性のある脱銀性を得るために塩化銀や塩
臭化銀を使用することで明示されている。
【0005】塩化銀乳剤は、その現像特性が迅速である
ことが一般に知られている。銀の還元が始まると、塩化
銀は通常のほとんどの写真現像液において迅速に還元さ
れて銀になる。原画要素における塩化銀乳剤にまつわる
問題は、迅速な現像以前の潜像の検出または現像の開始
が遅いので、塩化銀乳剤は、ガンマが高く且つ感度が低
くなりやすい。こうした特性は、プリント材料にとって
は適しているが、先に述べたように、カメラ原画材料
は、典型的なカラーネガフィルムのように高感度であり
且つ比較的ガンマが低い長いラチチュードを示すことが
必要である。塩化銀乳剤は、非常に短い時間内または非
常に弱い現像液にて現像した場合に、低いガンマ及び長
いラチチュードを達成することができる。こうした短い
現像時間は受けた露光量の最も少ない粒子の潜像を検出
するには十分な時間ではないようであり、こうしてガン
マ及びラチチュードが所望のレベルにある場合には感度
が非常に低くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】それゆえ、塩化銀乳剤
の高速現像性能の利点を生かしながら、感度、ガンマ及
びラチチュードの要件を満たす、高塩化物ハロゲン化銀
原画写真要素の現像方法が必要とされている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、1−フェニル
ピラゾリジン−3−オン系化合物の存在下でp−フェニ
レンジアミン発色現像剤を含有する発色現像液において
現像する工程を含む露光済原画ハロゲン化銀カラー写真
要素の処理方法であって、該原画ハロゲン化銀写真要素
は、粒子集団投影面積を形成する全銀量に基づき50モ
ル%以上の塩化物を含むハロゲン化銀粒子集団を含有し
且つ現像抑制剤放出型化合物と反応的に組み合わされて
いる輻射線感性乳剤を含み、全粒子投影面積の50%以
上は、(1)隣接するエッジ比率が10未満の{10
0}主面によって画定されており、且つ(2)各々のア
スペクト比が2以上である、本質的に安定な平板状粒子
によって占められており、しかも該写真要素のハロゲン
化銀含有量は50モル%以上の塩化銀と2モル%以下の
ヨウ化銀とから構成されている、前記処理方法を提供す
るものである。
【0008】本発明によって付与される潜像検出性の向
上のおかげで、高感度を維持しながら、現像時間を短縮
し、また現像抑制剤放出型カプラーを使用して、低ガン
マ、長ラチチュードの画像形成材料を得ることができ
る。さらに、迅速且つ完全な粒子現像が起こる前に乳剤
の最高感度を迅速に達成することができる。本発明のピ
ラゾリジン系化合物は、1分以内の現像時間で写真スピ
ードを0.6logE程度増加させる。
【0009】塩化銀系フィルムを短時間であるいは弱い
現像液で現像すると、生態学的により適合したプロセス
をもたらす付加的な利点、例えば迅速なアクセスや低い
補充率が得られる。また、短い現像時間や迅速な潜像検
出によって、現像抑制剤放出型化合物を、色再現と鮮鋭
性を共に改善しうるインターイメージ効果の誘発やガン
マの低減において、より効果的なものにすることができ
る。
【0010】本発明の原画ハロゲン化銀写真要素は、各
種の照明条件下で利用可能な光によって良好な露光を可
能にする。該写真要素は低い粒状度で良好なスピードを
提供する。本発明の原画要素は、最低でも25以上のI
SOスピード等級を示すが、50よりも高いISOスピ
ード等級が好ましい。
【0011】カラーネガ写真材料のスピードまたは感度
は、処理後にカブリよりも高い特定の濃度を得るために
要する露光量に反比例する。ガンマ値が約0.65のカ
ラーネガフィルムの写真スピードは、アメリカ国家規格
協会(ANSI)によってANSI規格数PH2.27
−1979(ASAスピード)として特別に規定されて
おり、そして多色ネガフィルムの緑光感性及び最低感性
記録単位においてカブリよりも0.15高い濃度を可能
にするために要する露光量に関係する。この定義は、国
際標準化機構(ISO)によるフィルムスピード等級と
一致する。
【0012】上記定義によると、スピードはフィルムの
ガンマ値に依存することがわかる。直接光学プリント以
外に用いられるカラーネガフィルムは、0.65より高
ガンマまたは低ガンマを達成するように処方または処理
することができる。本願の目的では、このようなフィル
ムのスピードは、まず得られた濃度対log露光量の関
係(すなわち、ガンマ値)を0.65の値へ線形増幅ま
たは減幅(deamplifying)し、次いで上記
定義に従いスピードを決定することによって決められ
る。
【0013】原画要素に用いられる写真乳剤には、とり
わけ塩化銀、臭塩化銀、臭化銀、ヨウ臭塩化銀、ヨウ塩
化銀またはヨウ臭化銀が含まれる。塩化銀乳剤及び臭塩
化銀乳剤が好ましい。乳剤に何が混合されていようと
も、原画写真要素は少なくとも50モル%の塩化銀を含
有しなければならず、中でも好ましくは約70モル%、
最も好ましくは98モル%以上の塩化銀を含有する。写
真要素中のヨウ化銀の総量は、約2モル%未満、好まし
くは1モル%未満でなければならない。総塗布銀量は、
約1〜約10グラム/平方メートルとしてもよいが、好
ましくは7グラム/平方メートル未満、最も好ましくは
4グラム/平方メートル未満である。
【0014】本発明の原画写真要素は、分散剤及び高塩
化物ハロゲン化銀粒子集団を含有する少なくとも1種の
輻射線感性ハロゲン化銀乳剤を含む。高塩化物粒子集団
の全粒子投影面積の50%以上は、(1)隣接するエッ
ジ比率が10未満の{100}主面によって画定され且
つ(2)各々が2以上のアスペクト比を示す平板状粒子
によって占められている。本発明の平板状粒子は本質的
に安定であるので、その形状を維持するために安定剤、
例えばチイラン、チエピン、チオフェン、チアゾール及
びその他の環状スルフィド;メルカプト酢酸、システイ
ン、ペニシラミン及びその他のチオール;並びにアセチ
ルチオフェノール及び関連するチオエステルやチオカル
バンイミド、を使用する必要はない。このような安定剤
は現像を抑制する場合がある。
【0015】さらに、ある種の現像抑制剤を使用する
と、本発明の原画写真要素の脱銀が抑制されうることが
発見されている。現像抑制剤は、典型的には、バラスト
部分、並びに銀原子への結合を形成することができる遊
離原子価をもった硫黄、セレン、テルルまたは複素環式
窒素もしくは炭素を有するハロゲン化銀結合基を含む。
銀原子への結合を形成することができる遊離原子価をも
った硫黄を有する現像抑制剤を含有する原画写真要素
は、他の種類の現像抑制剤を含有する要素や現像抑制剤
を含有しない要素よりも、ゆっくりと脱銀するようであ
る。それゆえ、本発明では、銀結合基として複素環式窒
素をもった現像抑制剤、例えばオキサゾール、チアゾー
ル、ジアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チ
アジアゾール、オキサチアゾール、チアトリアゾール、
ベンゾトリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾー
ル、インダゾール、イソインダゾール、ベンゾジアゾー
ルまたはベンズイソジアゾールを使用することが好まし
い。しかしながら、遊離原子価をもった硫黄を含む現像
抑制剤は別の利点を有しており、脱銀に大きな影響を及
ぼさない限られた量で使用することはできる。
【0016】本発明の要件を満たす乳剤の識別及び選択
変数の重要性は、典型的な乳剤を考慮することによって
より良好に認識することができる。図1は、以下の実施
例1で詳細に記載する本発明の代表的な乳剤の炭素粒子
レプリカの増影顕微鏡写真である。ほとんどの粒子が直
交正方(正方形または長方形)面を有していることがす
ぐにわかる。粒子面の直交正方形状は、それらが{10
0}結晶面であることを示している。
【0017】試料中の正方形面または長方形面を示さな
い極少数の粒子の投影面積が全粒子投影面積の計算に含
まれることに着目されるが、これらの粒子は明らかに
{100}主面を有する平板状粒子集団の一部ではな
い。
【0018】針状粒子またはロッド様粒子(以降、ロッ
ドと称する)である粒子が少数観測される場合もある。
これらの粒子は、ある寸法が他のどの寸法よりも10倍
以上長い粒子であって、それらの高い縁長比に基づいて
所望の平板状粒子集団から排除することができる。ロッ
ドが占める投影面積は小さいが、ロッドが存在すると、
それらの投影面積は全粒子投影面積を決めることに着目
される。
【0019】残りの粒子はどれも、{100}結晶面を
示す正方形または長方形の主面を有する。平板状粒子を
識別するためには、各粒子についてその厚さ(t)に対
するECDの比率、すなわちECD/tを決める必要が
ある。ECDは各粒子の上面の投影面積(縁長の積)を
測定することで決められる。粒子投影面積から粒子のE
CDが計算される。粒子の厚さは、粒子集団を斜め照明
して個々の粒子がつくる陰影から求めるのが普通であ
る。照明の角度(陰影角)がわかれば、その陰影の長さ
を測定することにより粒子の厚さを計算することができ
る。正方形または長方形の面を有し、且つ各々が示すE
CD/tの比率が2以上である粒子は、{100}主面
を有する平板状粒子である。{100}平板状粒子の投
影面積が全粒子投影面積の50%以上を占める場合、そ
の乳剤は平板状粒子乳剤である。
【0020】図1の乳剤では、平板状粒子が50%を超
える全粒子投影面積を占めている。上記の平板状粒子の
定義から、平板状粒子の平均アスペクト比は下限値の2
に達することしかできないことが明らかである。実際に
は、本発明の平板状粒子乳剤が典型的に示す平均アスペ
クト比は5以上であって、高い平均アスペクト比(>
8)が好ましい。すなわち、本発明による好ましい乳剤
は、高アスペクト比の平板状粒子乳剤である。本発明に
よる特に好ましい乳剤では、平板状粒子集団の平均アス
ペクト比は12以上、最適には20以上である。典型的
には、平板状粒子集団の平均アスペクト比は50以下の
範囲にあるが、100、200またはそれ以上といった
より高いアスペクト比でも実施可能である。平均アスペ
クト比が最小平均アスペクト比値の2に近い本発明に包
含される乳剤でさえも、立方体粒子の200%になる表
面対体積比率を提供する。
【0021】平板状粒子集団は、上記の平均アスペクト
比に適合するいずれの粒子厚を示してもよい。しかしな
がら、選ばれた平板状粒子集団が高いアスペクト比を示
す場合には特に、その選ばれた平板状粒子集団に含まれ
る粒子を、厚さが0.3μm未満(最適には0.2μm
未満)であるものにさらに限定する方が好ましい。平板
状粒子のアスペクト比は、その等価円直径を制限する
か、或いはその厚さを増加させるかのいずれによっても
限定できることが認識されている。こうして、平板状粒
子集団の平均アスペクト比が2〜8の範囲にある場合、
全粒子投影面積の50%以上を占める平板状粒子は、そ
れぞれが0.3μm未満または0.2μm未満の粒子厚
を示してもよい。それでも、特にアスペクト比が2〜8
の範囲にある場合には、より厚い平板状粒子が有用とな
りうる特別な写真用途がある。例えば、達成可能な最高
スピードの青記録乳剤層を構築する際には、厚さが平均
1μmまたはそれ以上の平板状粒子でも許容可能である
ことが特に考えられている。この理由は、青記録に対す
る目の感受性が最小であるために、より高いレベルの画
像粒状性(ノイズ)が問題なく許容できるからである。
青記録により大きな粒子を使用するさらに別の理由があ
る。すなわち、緑記録や赤記録において達成可能な最高
スピードを青記録において調和させることが困難な場合
がある。この問題の根源は、太陽光中の青光子量が不足
していることにある。エネルギーを基準にした場合に太
陽光が均等部の青、緑及び赤光を示すと、波長が短いほ
ど光子のもつエネルギーは高くなる。こうして、光子分
布基準では、昼光は青が若干不足している。
【0022】平板状粒子集団が示す主面縁長比は5未満
(最適には2未満)であることが好ましい。主面縁長比
が1(すなわち等縁長)に近いほど、有意なロッド集団
が乳剤中に存在する確率は低くなる。さらに、縁長比が
小さい平板状粒子ほど圧力減感を受けにくいと考えられ
ている。
【0023】本発明の特に好ましい一態様では、全粒子
投影面積の50%以上を占める平板状粒子集団は、0.
2μmをも示す平板状粒子によって与えられる。換言す
ると、この場合の乳剤は薄い平板状粒子乳剤である。
【0024】驚くべきことに、本発明の要件を満たす極
薄平板状粒子乳剤が調製された。極薄平板状粒子乳剤
は、選ばれた平板状粒子集団が、0.06μm未満の平
均厚さを示す平板状粒子で構成されている乳剤である。
本発明以前では、当該技術分野で知られている立方晶格
子構造を示すハロゲン化物を含む唯一の極薄平板状粒子
乳剤は、{111}主面によって画定された平板状粒子
を含有した。換言すれば、極薄寸法を達成するためには
平行双晶面の導入機構によって平板状粒子を形成させる
ことが不可欠であると考えられていた。本発明による乳
剤は、平板状粒子集団の平均厚を0.02μmにまで、
さらには0.01μmにまで低下させて製造することが
できる。極薄平板状粒子は非常に高い表面対体積比を示
す。このため、極薄平板状粒子は高速写真処理が可能で
ある。さらに、分光増感した場合、極薄平板状粒子は、
固有感度を示す分光領域よりも、分光感度領域において
非常に高い比率のスピードを示す。例えば、本発明によ
る極薄平板状粒子乳剤は、青感度を完全に無視できるレ
ベルにすることができるので、青光を受ける場所に位置
している場合でさえも最小限の青汚染を示す写真製品に
おいて緑記録または赤記録を提供することができる。
【0025】平板状粒子乳剤を他の乳剤と区別する特徴
は、粒子ECDと厚さ(t)との比率である。この関係
はアスペクト比として定量的に表現される。平板状粒子
の厚さの重要性をより正確に評価すると考えられる別の
定量化は平板度である: T=ECD/t2 =AR/t 上式中、Tは平板度であり、ARはアスペクト比であ
り、ECDは等価円直径(単位μm)であり、そしてt
は粒子厚(単位μm)である。全粒子投影面積の50%
を占める高塩化物平板状粒子集団は、好ましくは25よ
り高い平板度、そして最も好ましくは100よりも高い
平板度を示す。平板状粒子集団は極薄であってもよいの
で、1000以上に至る非常に高い平板度が本発明の範
囲内に含まれる。
【0026】平板状粒子集団は、写真的に有用な任意の
大きさの平均ECDを示すことができる。写真的な実用
性のためには、10μm未満の平均ECDが考えられる
が、ほとんどの写真用途では平均ECDが6μmを超え
ることは稀である。本発明の要件を満たす極薄平板状粒
子乳剤の範囲内で、平板状粒子集団のECDが0.10
μm以下である中間アスペクト比を与えることは可能で
ある。当業者には一般に理解されているように、より高
いECDを示す特定の平板状粒子集団を含む乳剤は比較
的高レベルの写真感度を達成するには有利であり、一方
より低いECDを示す特定の平板状粒子集団は低レベル
の粒状性を達成する上で有利である。
【0027】上記のパラメーターを満たす平板状粒子集
団が全粒子投影面積の50%以上を占める限り、写真的
に望ましい粒子集団が利用可能である。本発明の乳剤の
有利な特性は、{100}主面を有する平板状粒子の比
率が増加するにつれて増大することが認識されている。
本発明による好ましい乳剤は、全粒子投影面積の70%
以上(最適には90%以上)が、{100}主面を有す
る平板状粒子によって占められている乳剤である。特
に、ランクを定めた平板状粒子の選択を全粒子投影面積
の70%(または90%)を占めるに十分量の平板状粒
子にまで拡張する上記の粒子の記述を満たす乳剤を提供
することが考えられる。
【0028】上記の所望の特性を示す平板状粒子が必要
な全粒子投影面積比率を占める限り、全粒子投影面積の
残部はいずれの組合せの共析出粒子によって占められて
いてもよい。もちろん、当該技術分野では、特殊な写真
目的を達成するために乳剤を配合することが慣例となっ
ている。少なくとも1種の成分乳剤が上記の平板状粒子
の定義を満たす配合乳剤が特に考えられる。
【0029】平板状粒子集団の要件を満たさない平板状
粒子が全粒子投影面積の50%を占めない場合、その乳
剤は本発明の要件を満たさず、そして一般に写真的に劣
悪な乳剤である。ほとんどの用途(特に、分光増感を要
する用途、迅速処理を要する用途及び/または銀被覆量
を最小限に抑えたい用途)で、多数のまたはすべての平
板状粒子が比較的厚い乳剤(例えば、厚さが0.3μm
を超える平板状粒子を高比率で含有する乳剤)は、写真
的に劣悪である。
【0030】通常、本発明の要件を満たさない劣悪な乳
剤は、立方体粒子、双晶非平板状粒子及びロッドによっ
て占められている全粒子投影面積を過剰比率で有する。
このような乳剤を図2に示す。粒子投影面積の大部分が
立方体粒子によって占められている。また、ロッド集団
が図1よりもはるかに顕著である。平板状粒子は少量存
在するが、それらは全粒子投影面積のわずかな部分を占
めるにすぎない。
【0031】本発明の要件を満たす図1の平板状粒子乳
剤と、図2の圧倒的に立方体粒子からなる乳剤とは、核
生成時のヨウ化物の管理法を除いては同じ条件下で調製
されたものである。図2の乳剤は塩化銀乳剤であるが、
図1の乳剤は少量のヨウ化物をさらに含む。
【0032】本発明の要件を満たす乳剤は、新規の析出
方法を発見したことにより得られた。この方法では、
{100}結晶面の出現を促進する条件下で、ヨウ化物
を存在させた高塩化物濃度環境中で粒子核を生成させ
る。粒子形成が起こると、銀イオンと残りのハロゲン化
物イオンとから形成されている立方晶格子へのヨウ化物
の導入は、ヨウ化物イオンの直径が塩化物イオンのそれ
よりもはるかに大きいため破壊的である。導入されたヨ
ウ化物イオンは、さらなる粒子成長過程において規則的
(立方体)粒子ではなく平板状粒子をもたらす結晶不規
則性を導入する。
【0033】核生成の初期にヨウ化物イオンを結晶構造
内へ導入すると、一つ以上の立方晶面において一つ以上
の螺旋転位(スクリューディスロケーション)を有する
立方体粒子核が生じると考えられている。その後、少な
くとも一つの螺旋転位を含有する立方晶面は、規則的な
立方晶面(すなわち、螺旋転位を含まない面)よりも促
進された速度でハロゲン化銀を受容する。螺旋転位を含
む立方晶面が一つしかない場合には、粒子成長が一つの
面だけで促進されるので、成長を続けた結果得られる粒
子構造はロッドになる。立方晶構造の向かい合う二つの
平行な面のみが螺旋転位を含有する場合も同じ結果が得
られる。しかしながら、隣接しているいずれか二つの立
方晶面が螺旋転位を含有する場合には、成長を続けると
両面上の成長が促進されて、平板状粒子構造が得られ
る。本発明の乳剤の平板状粒子は、螺旋転位を含む二
つ、三つまたは四つの面を有するそのような粒子核によ
って得られるものと考えられる。
【0034】析出の初期には、分散媒と、分散媒中のハ
ロゲン化物イオン濃度を監視するための常用の銀電極及
び参照電極とを含む反応容器を提供する。その分散媒中
へ少なくとも50モル%が塩化物であるハロゲン化物イ
オンを導入する。すなわち、分散媒中のハロゲン化物イ
オンの半数以上が塩化物イオンである。分散媒のpCl
を、核生成時の{100}粒子面の形成が促進されるよ
うに調整する。すなわち、分散媒のpClを、0.5〜
3.5の範囲、好ましくは1.0〜3.0の範囲、そし
て最適には1.5〜2.5の範囲に調整する。
【0035】銀ジェットを開いて銀イオンを分散媒中へ
導入した時点で粒子核生成工程が開始される。銀ジェッ
トを開くと同時に、或いは最適には開く前に、ヨウ化物
イオンを分散媒中へ導入することが好ましい。塩化銀中
のヨウ化物の飽和限界に至るまでの幅広い範囲のヨウ化
物イオン濃度で、効果的に平板状粒子を形成させること
ができる。塩化銀中のヨウ化物の飽和限界は、H.Hi
rschの「コアを有する写真乳剤粒子(Photographic
Emulsion Grains with Cores ):第1部、コアの存在
の証拠(Evidence of the Presence of Cores )」(J.
of Photog. Science, Vol. 10 (1962), pp. 129-134)
に13モル%であると報告されている。等モル比の塩化
物イオンと臭化物イオンが存在するハロゲン化銀粒子で
は、ヨウ化物は粒子中に(銀を基準にして)27モル%
以下で導入されうる。分離したヨウ化銀相の析出を防止
し、よってさらに別の部類の望ましくない粒子の創出を
避けるために、ヨウ化物飽和限界よりも低い範囲で粒子
の核生成や成長を行うことが好ましい。一般には、核生
成の初期の分散媒中のヨウ化物イオン濃度を10モル%
未満に維持することが好ましい。実際には、望ましい平
板状粒子集団を達成するために核生成時に必要なヨウ化
物の量は極少量である。考えられる初期のヨウ化物イオ
ン濃度は0.001モル%の低濃度にまで至る。しかし
ながら、結果の再現性を考慮して、初期のヨウ化物イオ
ン濃度は好ましくは0.01モル%以上に、そして最適
には0.05モル%以上に維持する。
【0036】本発明の好ましい態様では、核生成工程の
際にヨウ塩化銀粒子核が形成される。核生成時の分散媒
中に少量の臭化物イオンが存在していてもよい。核生成
時の分散媒中には、粒子核中のハロゲン化物の50モル
%以上が塩化物イオンであることに適合すれば任意量の
臭化物イオンが存在することができる。粒子核は、銀を
基準にして、好ましくは70モル%以上、また最適には
90モル%以上の塩化物イオンを含有する。
【0037】分散媒中へ銀イオンを導入すると即座に粒
子核形成が起こる。操作上の便宜や再現性のため、核生
成工程中の銀イオンの導入は適当な時間、典型的には5
秒から1分未満、延長することが好ましい。pClが上
記の範囲内にある限り、核生成工程中にさらに新たな塩
化物イオンを分散媒へ添加する必要はない。しかしなが
ら、核生成工程中に銀とハロゲン化物塩とを両方同時に
導入することが好ましい。核生成工程を通して銀塩と同
時にハロゲン化物塩を添加する利点は、これにより、銀
イオン添加開始後に形成したどの粒子核も、確実に最初
に形成した粒子核と本質的に同じハロゲン化物含有量の
ものにすることができる点にある。核生成工程中にヨウ
化物イオンを添加することが特に好ましい。ヨウ化物イ
オンの析出速度はその他のハロゲン化物の速度をはるか
に上回るので、補充しないとヨウ化物は分散媒から消耗
していく。
【0038】核生成工程中は、便利な常用のいずれの銀
イオン源及びハロゲン化物源を使用してもよい。銀イオ
ンは、硝酸ナトリウム溶液のような銀塩水溶液として導
入することが好ましい。ハロゲン化物イオンは、リチウ
ム、ナトリウム及び/またはカリウムの塩化物、臭化物
及び/またはヨウ化物のような、アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属のハロゲン化物として導入することが好
ましい。
【0039】核生成工程中に分散媒中へ塩化銀またはヨ
ウ塩化銀のリップマン粒子を導入することは可能ではあ
るが、好ましいとはいえない。この場合、粒子核生成は
既に起こっており、そして核生成工程と先に称している
工程は実際には粒子面の不規則性を導入するための工程
である。粒子面の不規則性の導入が遅れることによる欠
点は、これにより得られる平板状粒子がそれ以外で得ら
れるよりも厚くなる点である。
【0040】核生成工程前に反応容器に含まれる分散媒
は、水と、上記の溶解したハロゲン化物イオンと、解こ
う剤とを含む。分散媒は、ハロゲン化銀の析出にとって
都合のよい常用の任意の範囲内のpHを示すことができ
るが、典型的には2〜8を示す。分散媒のpHを酸性側
(すなわち、<7.0)に維持することが好ましいが、
必要ではない。カブリを最小限に抑えるために、析出に
とって好ましいpH範囲は2.0〜5.0である。分散
媒のpHを調整するためには、硝酸や塩化水素酸のよう
な鉱酸及び水酸化アルカリのような塩基を使用すること
ができる。また、pH緩衝剤を含有させることもでき
る。
【0041】解こう剤は、写真ハロゲン化銀乳剤、とり
わけ平板状粒子ハロゲン化銀乳剤の析出に有用であるこ
とが知られている便利な常用のいずれの態様でもとるこ
とができる。常用の解こう剤の概要については、Res
earch Disclosure,Vol.308,
1989年12月、Item 308119、Sect
ion IXに記載されている。Research D
isclosureは、Kenneth Mason
Publications社(Emsworth, H
ampshire P010 7DD、英国)よる刊行
物である。ゼラチン系解こう剤(例、ゼラチン及びゼラ
チン誘導体)を使用することが好ましい。写真分野で製
造され用いられているように、ゼラチン系解こう剤は典
型的には相当濃度のカルシウムイオンを含有するが、脱
イオン化したゼラチン系解こう剤を使用することが周知
の慣例となっている。後者の場合、アルカリ土類金属や
土類金属のイオンのような2価または3価の金属イオ
ン、好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムま
たはアルミニウムイオンを添加することによって、カル
シウムイオンの除去を補償することが好ましい。特に好
ましい解こう剤は、低メチオニンゼラチン系解こう剤
(すなわち、解こう剤1グラム当たりのメチオニン含有
量が30マイクロモル未満、最適には12マイクロモル
未満であるもの)である。一般に、核生成工程の初期に
は、完成乳剤を形成する分散媒の約10%以上(典型的
には20〜80%)が反応容器中に存在する。析出開始
時に反応容器中に比較的低濃度の解こう剤、典型的には
10〜20%の解こう剤を存在させて維持することが慣
例となっている。核生成工程中に{100}面を有する
薄い平板状粒子の比率を増加させるためには、核生成工
程の初期時点で分散媒中の解こう剤濃度を分散媒の総重
量の0.5〜6重量%の範囲内にしておくことが好まし
い。析出後の塗布用乳剤を調製するために、ゼラチン、
ゼラチン誘導体並びにその他のベヒクル及びベヒクル増
量剤を添加することが慣例となっている。析出完了後に
添加されるゼラチンやゼラチン誘導体の中には、自然に
含まれている量のメチオニンが存在してもよい。
【0042】核生成工程は、ハロゲン化銀乳剤の析出に
都合のよい常用のいずれの温度で行ってもよい。周囲温
度付近(例、30℃)から約90℃までの範囲にある温
度が考えられるが、好ましい核生成温度範囲は35〜7
0℃である。
【0043】粒子核の形成はほとんど瞬間的に起こるの
で、核生成工程時には総銀量のうちのほんの一部分を導
入するだけでよい。典型的には、総銀量の約0.1〜1
0モル%を核生成工程中に導入する。
【0044】核生成工程に続いて粒子成長工程を行い、
そこで粒子核を成長させて、所望の平均ECDを示す
{100}主面を有する平板状粒子を得る。核生成工程
の目的が所望の結晶構造不規則性を導入した粒子集団を
形成することであるのに対し、成長工程の目的は、現存
の粒子集団の表面にさらに新たなハロゲン化銀を析出さ
せる(成長させる)と同時に別の新たな粒子の形成を防
止または最小限に抑えることである。成長工程中に別の
新たな粒子が形成すると、乳剤の多分散性が増大し、そ
して反応容器内の条件を核生成工程について上述したよ
うに維持しない限り、成長工程において形成した別の新
たな粒子集団は上記の所望の平板状粒子特性を示さな
い。
【0045】最も簡単な態様では、本発明による乳剤を
調製する方法は、銀イオンの導入を最初から最後まで中
断しないシングルジェット法として実施することができ
る。当業者が一般に認識しているように、銀イオンを一
定速度で導入した場合でも粒子形成過程は粒子成長過程
へ自然に遷移する。なぜなら、粒子核の大きさが増加す
ると、銀イオン及びハロゲン化物イオンを分散媒から受
容できる速度が、新規粒子が形成されえないほどに十分
に高い速度で銀イオン及びハロゲン化物イオンを受容す
る点に到達するまで増加するからである。操作上は簡単
ではあるが、シングルジェット析出法では、ハロゲン化
物の含有量やプロフィールに限界があり、また一般に多
分散性の高い粒子集団が得られる。
【0046】粒子集団が到達可能な最も幾何学的に均一
である写真乳剤を調製することが通常好ましい。という
のは、最適に増感される、或いは写真用途にとって最適
に調製される全粒子集団の割合をより高めることができ
るからである。さらに、通常は、目的のセンシトメトリ
ー的プロフィールに一致させた単一の多分散乳剤を析出
させるよりも、目的のプロフィールを得るために比較的
単分散性である乳剤を配合する方が便利である。
【0047】本発明による乳剤の調製では、核生成工程
終了時に且つ乳剤を所望の最終寸法及び形状にする成長
工程へ進む前に、銀塩及びハロゲン化物塩の導入を中断
することが好ましい。核生成工程について上述した温度
範囲内で、粒子分散度を低下させるに十分な期間乳剤を
保持する。保持期間は1分から数時間の範囲をとりうる
が、典型的な保持時間は5分〜1時間の範囲にある。こ
の保持期間中、比較的小さな粒子核が、生き残る比較的
大きな粒子核表面にオストワルド熟成し、その結果全体
として粒子分散度が低下する。
【0048】所望であれば、保持期間中、乳剤中に熟成
剤を存在させることによって熟成速度を増加させてもよ
い。熟成を促進させる常用の簡単な方法は、分散媒中の
ハロゲン化物イオン濃度を増加させる方法である。これ
により、銀イオンと複数のハロゲン化物イオンとの錯体
が生じ、熟成が促進される。この方法を採用した場合に
は、分散媒中の塩化物イオン濃度を増加させることが好
ましい。すなわち、分散媒のpClを、塩化銀の溶解度
が増加する範囲へ低下させることが好ましい。代わり
に、常用の熟成剤を使用することによって、{100}
平板状粒子が占める全粒子投影面積の割合を増加させる
こと、及び熟成を促進することができる。好ましい熟成
剤は硫黄を含有する熟成剤、例えばチオエーテル及びチ
オシアネートである。典型的なチオシアネート熟成剤
が、Nietzらの米国特許第2,222,264号明
細書、Loweらの米国特許第2,448,534号明
細書及びIllingsworthの米国特許第3,3
20,069号明細書に記載されており、本明細書では
これらの記載を参照することによって取り入れるものと
する。典型的なチオエーテル熟成剤が、McBride
の米国特許第3,271,157号明細書、Jones
の米国特許第3,574,628号明細書及びRose
ncrantzらの米国特許第3,737,313号明
細書に記載されており、本明細書ではこれらの記載を参
照することによって取り入れるものとする。最近では、
クラウンチオエーテルを熟成剤として使用することが提
案されている。第一または第二アミノ部分を含有する熟
成剤、例えばイミダゾール、グリシンまたは置換誘導体
もまた有効である。{100}平板状粒子が占める全粒
子投影面積の割合を増加させる際には、亜硫酸ナトリウ
ムも有効であることが例示されている。
【0049】所望の粒子核集団が形成されたら、本発明
の乳剤を得るための粒子成長は、{100}粒子面によ
って画定されたハロゲン化銀粒子の析出に便利な常用の
いずれの析出技法によっても進行させることができる。
核生成工程中にはヨウ化物イオン及び塩化物イオンを粒
子中へ導入させる必要があり、それゆえこれらは完成粒
子中の内部核生成部位に存在しているが、成長工程中で
は、立方晶格子構造を形成することが知られているいず
れのハロゲン化物またはハロゲン化物の組合せを使用し
てもよい。成長工程中は、ヨウ化物イオンまたは塩化物
イオンのいずれも粒子中へ導入する必要はない。という
のは、平板状粒子の成長をもたらす不規則粒子核面は、
一度導入されると、ハロゲン化物またはハロゲン化物の
組合せが立方晶格子を形成するものである限り、析出す
るハロゲン化物とは無関係に、続く成長工程中に保持さ
れるからである。このため、ヨウ塩化銀を析出させる際
には13モル%(好ましくは6モル%)を超えるヨウ化
物量が、ヨウ臭化銀を析出させる際には40モル%(好
ましくは30モル%)を超えるヨウ化物量が、そして臭
化物と塩化物とを含有するヨウハロゲン化銀を析出させ
る際には比例的な中間量を超えるヨウ化物量が排除され
る。成長工程中に臭化銀またはヨウ臭化銀を析出させる
場合、分散媒中のpBrを1.0〜4.2、好ましくは
1.6〜3.4の範囲内に維持することが好ましい。成
長工程中に塩化銀、ヨウ塩化銀、臭塩化銀またはヨウ臭
塩化銀を析出させているときには、分散媒中のpCl
を、核生成工程について先に記載した範囲内に維持する
ことが好ましい。
【0050】粒子成長工程中に特別なハロゲン化物を導
入することによって平板状粒子の厚さを20%までの範
囲で低下させうることがまったく意外にも発見された。
驚くべきことに、成長工程中に臭化物を銀量を基準に
0.05〜15モル%(好ましくは1〜10モル%)の
範囲で添加すると、臭化物イオンを含まない同じ析出条
件下で得られるよりも薄い{100}平板状粒子が得ら
れることが認められた。同様に、成長工程中にヨウ化物
を銀量を基準に0.001〜<1モル%の範囲で添加す
ると、ヨウ化物イオンを含まない同じ析出条件下で得ら
れるよりも薄い{100}平板状粒子が得られることが
認められた。
【0051】成長工程中は、銀塩とハロゲン化物塩の両
方を分散媒中へ導入することが好ましい。換言すれば、
(もしあれば)添加するヨウ化物塩を残りのハロゲン化
物塩と共に導入するか、或いは独立したジェットを介し
て導入する、ダブルジェット析出法が考えられる。銀塩
とハロゲン化物塩との導入速度を制御して、再核生成
(すなわち、新規粒子集団の形成)を防止する。再核生
成を防止するための添加速度制御については当該技術分
野では一般に周知のことであり、例えば、Wilgus
の独国特許出願公開(OLS)第2,107,118号
明細書、Irieの米国特許第3,650,757号明
細書、Kurzの米国特許第3,672,900号明細
書、Saitoの米国特許第4,242,445号明細
書、Teitschiedらの欧州特許出願第8010
2242号明細書、及びWeyの「ゼラチン溶液中のA
gBr結晶の成長機構(Growth Mechanism of AgBr Crys
talsin Gelatin Solution) 」〔Photographic Science
and Engineering, Vol. 21,No. 1, Jan./Feb. 1977, p.
14 〕に例示されている。
【0052】本発明の最も簡単な態様では、粒子析出の
核生成段階と成長段階とが同じ反応容器中で起こる。し
かしながら、粒子析出を、特に核生成段階の完了後に、
中断してもよいことが認識されている。さらに、上記の
単一の反応容器の代わりに二つの反応容器を使用しても
よい。粒子調製の核生成段階を上流反応容器(以降、核
生成反応容器とも称する)の中で行い、そして分散した
粒子核を下流反応容器(以降、成長反応容器とも称す
る)へ移送してそこで粒子析出の成長段階を行うことが
できる。この種の配置の一つとして、成長反応容器の上
流で反応体を受容して混合するために、閉鎖された核生
成反応容器を使用してもよい。これについては、Pos
seらの米国特許第3,790,386号明細書、Fo
rsterらの米国特許第3,897,935号明細
書、Finnicumらの米国特許第4,147,55
1号明細書、及びVerhilleらの米国特許第4,
171,224号明細書に例示されており、本明細書で
はこれらの記載を参照することによって取り入れる。こ
れらの配置では、成長反応容器の内容物を核生成反応容
器へ再循環させる。
【0053】本発明では、粒子形成及び成長の制御にと
って重要な各種変数、例えばpH、pAg、熟成、温度
及び滞留時間を、別々の核生成反応容器と成長反応容器
とにおいて独立に制御できることが考えられる。核生成
反応容器の下流にある成長反応容器で起こる粒子成長と
粒子核生成とを完全に独立させるには、成長反応容器の
内容物を核生成反応容器へ再循環させるべきではない。
粒子核生成と成長反応容器の内容物とを分離する好まし
い配置については、Mignotの米国特許第4,33
4,012号明細書(粒子成長工程中の有用な限外濾過
についても記載している)、Urabeの米国特許第
4,879,208号明細書並びに欧州特許出願公開公
報第326,852号、同第326,853号、同第3
55,535号及び同第370,116号明細書、Ic
hizoの欧州特許出願公開公報第0 368 275
号明細書、Urabeらの欧州特許出願公開公報第0
374 954号明細書、並びにOnishiらの特開
平2−172817号明細書に記載されている。
【0054】粒子核生成の方法を、平板状粒子の形成に
必要な結晶不規則性を生ぜしめるヨウ化物を利用する方
法に関して先に記載してきたが、以下の実施例で例示さ
れているように、平板状粒子を生ぜしめるために核生成
時にヨウ化物イオンを存在させるという要件を除外した
別の代わりの核生成手順を考案した。さらに、代わりと
なるこれらの別の手順は、核生成時にヨウ化物を使用す
る方法にも適合する。こうして、平板状粒子を得るため
に、これらの手順を、平板状粒子形成の核生成工程中に
完全に利用してもよいし、またヨウ化物イオンと併用し
てもよい。
【0055】ハロゲン化物イオンと銀イオンとによる有
意なレベルの分散媒の過飽和が核生成時に存在する、い
わゆる投込み(dump)核生成をはじめとする急速粒
子核生成は、平板度の原因となる粒子不規則性の導入を
促進する。核生成は本質的に瞬時に達成されうるので、
初期過飽和から上記の好ましいpCl範囲への即時の逸
脱は、この方法と完全に一致する。
【0056】また、粒子核生成時の分散媒中の解こう剤
濃度を1重量%未満に維持すると、平板状粒子の形成が
向上することも認められている。粒子核対の凝集が少な
くとも部分的に原因となって平板状粒子の形成を誘発す
る結晶不規則性を導入する場合があると考えられてい
る。限定的凝集は、分散媒に解こう剤を与えない方法、
または解こう剤濃度を最初に制限する方法によって促進
することができる。Mignotの米国特許第4,33
4,012号明細書は、粒子核の凝集を防止するために
可溶性塩反応生成物を除去することによる解こう剤を存
在させない粒子核生成について例示している。粒子核の
限定的凝集は望ましいと考えられているので、粒子核の
凝集を除外するMignotの積極的な介在は排除して
も調節してもよい。また、粒子表面への付着性が低下し
ている解こう剤を1種以上使用することによって限定的
粒子凝集を促進する方法も考えられる。例えば、Mas
kasky IIに記載されている種類の低メチオニン
ゼラチンは、メチオニン含有量の高いゼラチンよりも粒
子表面への吸着性が弱いことが一般に認識されている。
さらに、いわゆる「合成解こう剤」(すなわち、合成ポ
リマー由来の解こう剤)を用いて、粒子の吸着量を調節
することができる。もちろん、粒子核の限定的凝集に適
合する解こう剤の最大量は、粒子表面への吸着強度に関
係する。粒子核生成が完了したならば、銀塩の導入直後
に、残る析出プロセスにとって都合のよい任意の常用の
濃度へ解こう剤濃度を増加させることができる。
【0057】本発明の乳剤は、塩化銀乳剤、ヨウ塩化銀
乳剤、ヨウ臭塩化銀乳剤及びヨウ塩臭化銀乳剤を含む。
粒子中には、銀1モル当たり10-2モル以下の、典型的
には10-4モル未満の濃度でドーパントを存在させても
よい。粒子析出中に、好ましくは析出の成長段階におい
て、銅、タリウム、鉛、水銀、ビスマス、亜鉛、カドミ
ウム、レニウム並びに第VIII族金属(例、鉄、ルテ
ニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム及び白金)のような金属の化合物を存在させてもよ
い。写真特性の調節は、粒子内部のドーパントの量と場
所に関係する。該金属が、六配位錯体や四配位錯体のよ
うな配位錯体の一部を形成する場合、その配位子もまた
粒子内部に含まれることができ、さらにその配位子が写
真特性に影響を与えることもできる。配位子は、例えば
ハロ、アコ(aquo)、シアノ、シアネート、チオシ
アネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ及びカ
ルボニルが考えられ、また写真特性の調節に利用するこ
とができる。
【0058】ドーパントとその添加法について、以下の
特許明細書に記載されている:Arnoldらの米国特
許第1,195,432号明細書、Hochstett
erの米国特許第1,951,933号明細書、Tri
velliらの米国特許第2,448,060号明細
書、Overmanの米国特許第2,628,167号
明細書、Muellerらの米国特許第2,950,9
72号明細書、McBrideの米国特許第3,28
7,136号明細書、Sidebothamの米国特許
第3,488,709号明細書、Rosecrants
らの米国特許第3,737,313号明細書、Spen
ceらの米国特許第3,687,676号明細書、Gi
lmanらの米国特許第3,761,267号明細書、
Shibaらの米国特許第3,790,390号明細
書、Ohkuboらの米国特許第3,890,154号
明細書、Iwaosaらの米国特許第3,901,71
1号明細書、Habuらの米国特許第4,173,48
3号明細書、Atwellの米国特許第4,269,9
27号明細書、Janusonisらの米国特許第4,
835,093号明細書、McDugleらの米国特許
第4,933,272号、同第4,981,781号及
び同第5,037,732号明細書、Keevertら
の米国特許第4,945,035号明細書、並びにEv
ansらの米国特許第5,024,931号明細書。本
明細書ではこれらの記載を参照することによって取り入
れる。当該技術分野で知られている代用物に関する背景
については、B.H.Carrollの「イリジウム増
感:文献調査 (Iridium Sensitization: A Literature
Review) 」〔Photographic Science and Engineering,
Vol. 24, No. 6, Nov./Dec., 1980, pp. 265-257〕及び
Grzeskowiakらの欧州特許出願公開公報第0
264 288号明細書に記載されている。
【0059】本発明は、高塩化物(塩化物含有量が50
モル%を超える)の平板状粒子乳剤を提供する上で特に
有利である。というのは、{111}面で制限されてい
る平板状粒子を有する常用の高塩化物平板状粒子乳剤
は、元来不安定であり、また粒子が非平板状粒子形態へ
逆行しないように形態学的安定化剤を存在させる必要が
ある。本発明による特に好ましい高塩化物乳剤は、70
モル%を超える(最適には90モル%を超える)塩化物
を含有する乳剤である。
【0060】本発明の実施にとって本質的ではないが、
{100}主面を有する平板状粒子の集団を最大化する
ために使用できるさらなる方法は、調製時に乳剤中の非
{100}粒子結晶面の出現を抑制することができる剤
を含ませる方法である。抑制剤は、使用した場合には、
粒子核生成中に、粒子成長中に、または析出工程全体に
わたり活性であることができる。
【0061】考えられている析出条件下で有用な抑制剤
は、共鳴安定化されたp電子対を有する窒素原子を含む
有機化合物である。共鳴安定化によって、析出の比較的
酸性条件下での窒素原子のプロトン化が防止される。
【0062】窒素原子のp電子対を安定化するために芳
香族共鳴を利用することもできる。この窒素原子は、ア
ゾール環やアジン環のように芳香環内に含まれていて
も、また芳香環の環置換基であってもよい。
【0063】一つの好ましい態様では、抑制剤は以下の
化学式を満たすことができる。
【化1】
【0064】上式中、Zは、好ましくは炭素及び窒素環
原子によって形成される5員または6員の芳香環構造を
完成するために必要な原子を表す。好ましい芳香環は、
1個、2個または3個の窒素原子を含有するものであ
る。特に考えられる環構造には、2H−ピロール、ピロ
ール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリア
ゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,5−トリ
アゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン及びピリダ
ジンが含まれる。
【0065】安定化された窒素原子が環置換基である場
合には、好ましい化合物は以下の化学式を満たす。
【化2】
【0066】上式中、Arは、炭素原子を5〜14個含
有する芳香環構造であり、R1 及びR2 は、独立に、水
素、Arまたは都合のよい任意の脂肪族基であるか、或
いは共に5員環または6員環を完成する。Arは、フェ
ニルやナフチルのような炭素環式芳香環であることが好
ましい。代わりに、上記の窒素及び炭素を含有する芳香
環のいずれかを、式IIの窒素原子に環炭素原子を介し
て結合してもよい。この場合、得られる化合物は式Iと
式IIの両方を満たす。幅広い種類の脂肪族基の中から
任意のものを選ぶことができる。考えられる最も簡単な
脂肪族基は、好ましくは1〜10個の、最も好ましくは
1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基である。ハロ
ゲン化銀の析出に適合することが知られているアルキル
基のいずれの官能置換基が存在してもよい。また、シク
ロアルカンやシクロアルケンのような5員環または6員
環を示す環状脂肪族置換基、及び酸素及び/または窒素
ヘテロ原子を含有するもののような脂肪族複素環式環を
使用することも考えられる。シクロペンチル、シクロヘ
キシル、ピロリジニル、ピペリジニル、フラニル及び類
似の複素環式環が特に考えられる。
【0067】以下に、式(I)及び/または(II)を
満たすと考えられる代表的化合物を記載する。アニリ
ン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、ベンジ
ジン、カルバゾール、ノルハルマン、ピロール、インド
ール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジ
ン、1,8−ナフチリジン、1,10−フェナントロリ
ン、ニコチン、ベンゾオキサゾール、ピラゾール、アン
チピリン、イミダゾール、インダゾール、ピリミジン、
ピラジン、2,2’−ビピラジン、プテリジン、1,
2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3
−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミ
ノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、
1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン。
【0068】好ましい抑制剤とその有用な濃度は、以下
の手順によって選定することができる。抑制剤としての
使用が考えられる化合物を、平均粒子縁長が0.3μm
の立方体粒子から本質的に成る塩化銀乳剤へ添加する。
その乳剤は、0.2Mの酢酸ナトリウムを含み、2.1
のpClを示し、そして検討中の化合物のpKaよりも
1単位以上大きいpHを示す。その乳剤を、抑制剤を存
在させた状態で75℃で24時間保持する。24時間後
に顕微鏡で評価した際に、検討中の化合物を含まないこ
とだけが違う対照物よりも立方体粒子の方が鋭い{10
0}結晶面の縁を示した場合には、導入した化合物は抑
制剤として作用している。{100}結晶面の交差部の
縁がより鋭いという意義は、粒子縁部がイオンの分散媒
への再入に関して粒子上の最も活性な部位であるという
事実にある。鋭い縁部を維持することによって、抑制剤
は、例えば丸い縁部や角部に存在するような非{10
0}結晶面の出現を抑制するように作用する。場合によ
って、溶解している塩化銀が立方体粒子の縁部へ排他的
に析出する代わりに、{100}結晶面で画定された新
規の粒子集団が形成する。最適な抑制剤活性は、新規粒
子集団が、平板状粒子が{100}結晶主面で画定され
ている平板状粒子集団である場合に起こる。
【0069】ホストとして作用する平板状粒子の表面に
銀塩をエピタキシャル析出させることが特に考えられ
る。高塩化物ハロゲン化銀粒子上への常用のエピタキシ
ャル析出については、Maskaskyの米国特許第
4,435,501号明細書(特に実施例24B)、O
gawaらの米国特許第4,786,588号及び同第
4,791,053号明細書、Hasebeらの米国特
許第4,820,624号及び同第4,865,962
号明細書、Sugimoto及びMiyakeの「コロ
イドAgCl微結晶のBr- イオンによるハロゲン化物
変換プロセス機構(Mechanism of Halide Conversion P
rocess of Colloidal AgCl Microcrystals by Br- Ion
s)」〔Part I and II, Journal of Colloid and Inter
face Science,Vol. 140, No. 2, Dec. 1990, pp. 335-3
61〕、Houleらの米国特許第5,035,992号
明細書、並びに公開特許公報第252649号(優先日
1990年2月3日:JP051165日本)及び公開
特許公報第288143号(優先日1990年4月4
日:JP089380日本)明細書に記載されている。
上記米国特許明細書の記載を本明細書に参照することに
よって取り入れる。
【0070】本発明には、いずれの1−フェニルピラゾ
リジン−3−オン系化合物でも使用することができる
が、より好ましい化合物は以下の化学式IまたはIIで
示される。
【化3】
【0071】上式中、R8aは水素であり、R8b及びR8c
は、各々独立に、水素、炭素原子数1〜10個の置換も
しくは未置換アルキル基、または炭素原子数6〜10個
の置換もしくは未置換アリール基を表し、R8d及びR8e
は、各々独立に、水素、炭素原子数1〜10個の置換も
しくは未置換アルキル基、または炭素原子数6〜10個
の置換もしくは未置換アリール基を表し、そしてR
8fは、独立に、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜8個の
置換もしくは未置換アルキル基、炭素原子数1〜8個の
置換もしくは未置換アルコキシ基、またはスルホンアミ
ド基を表す。R8fは、ベンゼン環のオルト位、メタ位ま
たはパラ位に存在することができる。mは1〜3であ
る。mが1よりも大きい場合には、R8f置換基は一緒に
結合して炭素環式環または複素環式環を形成してもよ
い。
【0072】より好ましくは、mは2であり、R8f置換
基はベンゼン環のパラ位とメタ位に位置し且つ各々は水
素または炭素原子数1〜4個のアルコキシ基であり、そ
してR8b及びR8cは各々水素または炭素原子数1〜10
個のアルキル基であるが、但しR8f置換基の一方はアル
コキシ基であるか、またはR8b及びR8cの一方は炭素原
子数3〜7個のアルキル基である。好ましくは、少なく
とも1個のR8fは炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で
あり、R8bは水素または炭素原子数1〜4個のアルキル
基であり、そしてR8cは水素または炭素原子数1〜4個
のヒドロキシアルキル基である。使用するのに好ましい
化合物は、1−(4−メトキシフェニル)−3−ピラゾ
リドン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−ピ
ラゾリドン、及び1−フェニル−4−n−ペンチル−ピ
ラゾリドンであるが、中でも1−(4−メトキシフェニ
ル)−3−ピラゾリドンが最も好ましい。
【0073】1−フェニルピラゾリジン−3−オン系化
合物は、現像液中、5g/L以下、好ましくは0.05
〜0.5g/Lの範囲の濃度で存在することができる。
また、それを写真要素に内蔵してもよい。写真材料に内
蔵させる場合には、写真要素の1つ以上の層内に存在さ
せることができる。該化合物を写真材料に内蔵させる場
合、該化合物は処理が始まるまでは不活性な形態にある
ことが好ましい。例えば、該化合物は、通常のアルカリ
性現像液に浸漬した時に加水分解されて脱離するブロッ
キング基によって不活性化することができる。該化合物
は、ハロゲン化銀の現像作用によりカプラーから放出さ
せてもよい。
【0074】低ヨウ化物、塩化物含有要素に用いるのに
適したいずれの現像剤でも本発明に使用することができ
る。発色現像剤はp−フェニレンジアミンである。発色
現像剤の含有量は、発色現像液1リットル当たり一般に
は1〜30グラムであるが、2〜20グラムが好まし
く、さらに3〜10グラムが最も好ましい。
【0075】特に有用なp−フェニレンジアミン類、と
りわけN,N−ジアルキル−p−フェニレンジアミン類
(そのアルキル基または芳香族核は置換されていてもい
なくてもよい)の例には、N,N−ジエチル−p−フェ
ニレンジアミンモノヒドロクロリド、4−N,N−ジエ
チル−2−メチルフェニレンジアミンモノヒドロクロリ
ド、4−(N−エチル−N−2−メタンスルホニルアミ
ノエチル)−2−メチルフェニレンジアミンセスキスル
フェート1水和物、4−(N−エチル−N−2−ヒドロ
キシエチル)−2−メチルフェニレンジアミンスルフェ
ート、及び4−N,N−ジエチル−2,2’−メタンス
ルホニルアミノエチルフェニレンジアミンヒドロクロリ
ドが含まれる。
【0076】第一芳香族アミノ発色現像剤の他に、本発
明に用いられる発色現像液は、各種の他の試薬、例えば
pH制御用アルカリ、臭化物、ヨウ化物、ベンジルアル
コール、酸化防止剤、カブリ防止剤、可溶化剤、増白
剤、等を含有してもよい。
【0077】写真用発色現像組成物は、pHが7よりも
高い、好ましくは約9〜約13の範囲にある、アルカリ
性水溶液の形態で使用することができる。必要なpHを
付与するため、アルカリ金属の炭酸塩やリン酸塩といっ
た、周知の広く用いられているpH緩衝剤を1種以上含
有させてもよい。炭酸カリウムが特に好ましい。
【0078】原画写真要素は、発色現像を行った後に脱
銀される。脱銀工程は、以下の方法(1)〜(4)、す
なわち(1)漂白浴と定着浴を使用する方法、(2)漂
白浴とブリックシング浴を使用する方法、(3)ブリッ
クシング浴と定着浴を使用する方法、並びに(4)ブリ
ックシング浴のみを使用する方法、のうちの一つによっ
て行うことができる。処理時間を短縮するためにはブリ
ックシングが好ましい場合がある。
【0079】本発明の漂白液またはブリックス液に使用
できる漂白剤の例は、第二鉄塩、過硫酸塩、二クロム酸
塩、臭素酸塩、赤血塩、及びアミノポリカルボン酸第二
鉄錯塩であるが、中でもアミノポリカルボン酸第二鉄錯
塩が好ましい。
【0080】好ましいアミノポリカルボン酸第二鉄錯体
を以下に記載する。 (1)エチレンジアミン4酢酸第二鉄錯体 (2)ジエチレントリアミン5酢酸第二鉄錯体 (3)シクロヘキサンジアミン4酢酸第二鉄錯体 (4)イミノ2酢酸第二鉄錯体 (5)メチルイミノ2酢酸第二鉄錯体 (6)1,3−ジアミノプロパン4酢酸第二鉄錯体 (7)グリコールエーテルジアミン4酢酸第二鉄錯体 (8)β−アラニン2酢酸第二鉄錯体
【0081】これらのアミノポリカルボン酸第二鉄錯体
は、ナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩の
形態で用いられる。スピードにとってはアンモニウム塩
が好ましい場合があるが、環境問題からはアルカリ塩の
方が好ましい。
【0082】本発明の漂白液やブリックシング液におけ
るアミノポリカルボン酸第二鉄錯塩の含有量は約0.0
5〜1モル/リットルである。である。漂白液のpH範
囲は2.5〜7、好ましくは4.0〜7である。
【0083】漂白液またはブリックシング液は、臭化物
(例、臭化カリウム、臭化ナトリウム及び臭化アンモニ
ウム)、塩化物(例、塩化カリウム、塩化ナトリウム及
び塩化アンモニウム)並びにヨウ化物(例、ヨウ化アン
モニウム)のような再ハロゲン化剤を含有することがで
きる。それらはまた、1種以上の無機酸や有機酸または
それらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩を含有
すること、さらにpH緩衝剤、例えばホウ酸、ホウ砂、
メタホウ酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、亜リン酸、リン酸、リン酸ナ
トリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム及び酒石酸
や、或いは硝酸アンモニウム及びグアニジンといった腐
食防止剤を含有することができる。
【0084】本発明において使用可能な定着剤の例とし
て、ハロゲン化銀用の水溶性溶剤、例えばチオ硫酸塩
(例、チオ硫酸ナトリウム及びチオ硫酸アンモニウ
ム)、チオシアン酸塩(例、チオシアン酸ナトリウム及
びチオシアン酸アンモニウム)、チオエーテル化合物
(例、エチレンビスチオグリコール及び3,6−ジチア
−1,8−オクタンジオール)、並びにチオ尿素が挙げ
られる。これらの定着剤は、単独で使用しても、或いは
2種以上の試薬を組み合わせて使用してもよい。本発明
ではチオ硫酸塩を使用することが好ましい。
【0085】定着剤の含有量は約0.2〜2モルである
ことが好ましい。ブリックシング液や定着液のpH範囲
は、好ましくは3〜10、より好ましくは5〜9であ
る。
【0086】定着液のpHを調整するために、塩酸、硫
酸、硝酸、酢酸、重炭酸塩、アンモニア、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
を添加することができる。
【0087】ブリックシング液や定着液は、亜硫酸塩
(例、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸ア
ンモニウム)、重亜硫酸塩(例、重亜硫酸アンモニウ
ム、重亜硫酸ナトリウム及び重亜硫酸カリウム)並びに
メタ重亜硫酸塩(例、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜
硫酸ナトリウム及びメタ重亜硫酸アンモニウム)のよう
な防腐剤を含むこともできる。これらの化合物の含有量
は、亜硫酸イオンの量で、約0〜0.50モル/リット
ル、好ましくは0.02〜0.40モル/リットルであ
る。アスコルビン酸、重亜硫酸カルボニル、酸付加物ま
たはカルボニル化合物を防腐剤として使用することもで
きる。
【0088】当業者であれば、水洗、安定化、リンス、
反転処理及び中和をはじめとする他のいくつかの補助処
理工程がしばしば採用されることは周知である。これら
の処理工程は、どれも本発明の写真要素に使用すること
ができる。
【0089】平板状粒子乳剤の調製手順及びそれにより
得られる平板状粒子について先に特別に記載して特徴と
は別に、それらの本発明のカラー写真要素におけるさら
なる用途は便利な常用のいずれの態様をとることもでき
る。カラー写真要素においてハロゲン化銀の組成が同じ
または類似の常用の乳剤の代用とすることが一般に考え
られ、またハロゲン化物の組成が異なるハロゲン化銀乳
剤、とりわけ別の平板状粒子乳剤の代用とすることも可
能である。固有青感度レベルが低い高塩化物{100}
平板状粒子乳剤によって、多色写真要素において乳剤を
所望のいずれの層配置順でも使用することができる。こ
れらの層配置順は、Kofronらの米国特許第4,4
39,520号明細書に記載の配置順をすべて含む。本
明細書では、その層配置順と平板状粒子乳剤を含有する
写真要素のその他の従来の特徴との両方について、上記
明細書の記載を参照することによって取り入れる。従来
の特徴については、以下の刊行物にさらに例示されてお
り、本明細書ではこれらを参照することによって取り入
れる。
【0090】ICBR−1:Research Dis
closure、Vol.308、1989年12月、
Item 308,119; ICBR−2:Research Disclosur
e、Vol.225、1989年1月、Item 2
2,534; ICBR−3:米国特許第4,414,306号明細書 Weyら、1983年11月8日発行; ICBR−4:米国特許第4,433,048号明細書 Solbergら、1984年2月21日発行; ICBR−5:米国特許第4,434,226号明細書 Wilgusら、1984年2月28日発行; ICBR−6:米国特許第4,435,501号明細書 Maskasky、1984年3月6日発行; ICBR−7:米国特許第4,643,966号明細書 Maskasky、1987年2月17日発行; ICBR−8:米国特許第4,672,027号明細書 Daubendiekら、1987年1月9日発行; ICBR−9:米国特許第4,693,964号明細書 Daubendiekら、1987年9月15日発行; ICBR−10:米国特許第4,713,320号明細
書 Maskasky、1987年12月15日発行; ICBR−11:米国特許第4,797,354号明細
書 Saitouら、1989年1月10日発行; ICBR−12:米国特許第4,806,461号明細
書 Ikedaら、1989年2月21日発行; ICBR−13:米国特許第4,853,322号明細
書 Makinoら、1989年8月1日発行;及び ICBR−14:米国特許第4,914,014号明細
書 Daubendiekら、1990年4月3日発行。
【0091】本発明の写真要素には、当該技術分野では
周知の手段及び方法によって、写真的に有用な基(PU
G)を放出する化合物を内蔵させることができる。色素
画像形成化合物及びPUG放出型化合物が内蔵されてい
る写真要素は、支持体と一つのハロゲン化銀乳剤層とを
含む単色要素であってもよいし、また支持体と複数のハ
ロゲン化銀乳剤層とを含む多色多層要素であってもよ
い。上記の化合物は、少なくとも一つのハロゲン化銀乳
剤層に、及び/またはハロゲン化銀乳剤層と反応的に組
み合わされている隣接層のような少なくとも一つの他の
層に内蔵されることにより、乳剤層におけるハロゲン化
銀の現像により生じる現像剤酸化体と反応することがで
きる。さらに、写真要素のハロゲン化銀乳剤層及び他の
層は、こうした層に慣例的に含まれている添加物を含有
することができる。
【0092】典型的な多色多層写真要素は、その支持体
上に、シアン色素画像形成化合物が組み合わされて含ま
れている赤増感ハロゲン化銀乳剤単位と、マゼンタ色素
画像形成化合物が組み合わされて含まれている緑増感ハ
ロゲン化銀乳剤単位と、イエロー色素画像形成化合物が
組み合わされて含まれている青増感ハロゲン化銀乳剤単
位とを含む。当該技術分野では周知であり、また下記の
層順序フォーマットで例示するように、各ハロゲン化銀
乳剤単位は1層以上からなることができ、そして各種の
単位及び層を互いに関して様々に配置することができ
る。
【0093】本発明の要素では、PUGの影響を受ける
層または単位を、PUGの作用を所望の層または単位に
画定する層を、該要素内の適当な場所に導入することに
よって制御することができる。こうして、写真要素の少
なくとも1層は、例えば掃去層、媒染層または遮断層で
あることができる。このような層の例は、例えば米国特
許第4,055,429号、同第4,317,892
号、同第4,504,569号、同第4,865,94
6号及び同第5,006,451号明細書に記載されて
いる。該要素は、ハレーション防止層、フィルター層、
等のようなさらに別の層を含有してもよい。該要素の厚
さは、支持体部を除き、典型的には5〜30μmであ
る。処理液との接触性が改善されることが知られている
ので、さらに薄い5〜25μmの処方が一般には好まし
い。同じ理由で、膨潤性の高いフィルム構造の方が好ま
しい。さらに、本発明は、Research Disc
losure(Item 34390、1992年11
月、第869頁)に記載されているもののような磁気記
録層に特に有用となる場合がある。
【0094】本発明の要素に使用する上で適当な材料に
ついての以下の記載では、先に記載したResearc
h Disclosure(1989年12月、Ite
m308119)を参照し、その記載を本明細書に取り
入れることとする。
【0095】本発明の乳剤層及びその他の層に適した分
散媒は、Research Disclosure(1
989年12月、Item 308119)のセクショ
ンIXとその中に引用されている文献に記載されてい
る。
【0096】本明細書に記載した化合物の他に、本発明
の要素は、Research Disclosure
(1989年12月、Item 308119)の、セ
クションVII A−E及びHに記載されているさらに
別の色素画像形成化合物、並びにセクションVII F
及びGとその中に引用されている文献に記載されている
さらに別のPUG放出性化合物を含むことができる。
【0097】本発明の要素は、Research Di
sclosure(1989年12月、Item 30
8119)に記載されている、蛍光増白剤(セクション
V)、カブリ防止剤及び安定剤(セクションVI)、ス
テイン防止剤及び画像色素安定剤(セクションVII
I及びJ)、光吸収及び散乱物質(セクションVII
I)、硬膜剤(セクションX)、塗布助剤(セクション
XI)、可塑剤及び滑剤(セクションXII)、帯電防
止剤(セクションXIII)、艶消剤(セクションXV
I)並びに現像調節剤(セクションXXI)を含有する
ことができる。
【0098】本発明の要素は、Research Di
sclosure(1989年12月、Item 30
8119)のセクションXVIIとその中に引用されて
いる文献に記載されているように、様々な支持体上に塗
布することができる。
【0099】本発明による輻射線感性{100}平板状
粒子乳剤層を含有する写真要素は、各種形態のエネルギ
ーによって像様露光することができる。該エネルギー形
態には、電磁スペクトルの紫外線、可視光線(例、化学
線)及び赤外線領域、並びに電子ビームや、β線、ガン
マ線、X線、α粒子、中性子線及び非コヒーレント(ラ
ンダム位相)の形態またはレーザーのような(位相が)
コヒーレントな形態のいずれかにおけるその他の粒子且
つ波状の輻射エネルギーが含まれる。露光は、モノクロ
マチック、オルソクロマチックまたはパンクロマチック
であることができる。T.H.Jamesの「写真処理
理論(The Theory of the PhotographicProcess)」〔第
4版、Macmillan 刊、1977年、第4、6、17、1
8及び23章〕に記載されているように、常用のセンシ
トメトリー技法によって測定される有用な応答範囲内
で、高強度もしくは低強度露光、連続露光または間欠露
光をはじめとする周囲温度、高温もしくは低温及び/ま
たは周囲圧力、高圧もしくは低圧における(露光時間は
数分から比較的短いミリ秒領域の範囲にある)像様露
光、並びにソラリジング(solarizing)露光を採用する
ことができる。その後、該写真要素を、Researc
h Disclosure(1989年12月、Ite
m 308119)のセクションXVIII及びXIX
に記載されているように、処理して可視色素画像を形成
させる。
【0100】
【実施例】以下の実施例は、本発明を例示するものであ
って、これを限定するものではない。
【0101】以下の実施例を参照すると、本発明をより
よく認識することができる。これらの実施例では、頭字
語APMTを用いて1−(3−アセトアミドフェニル)
−5−メルカプトテトラゾールを表す。用語「低メチオ
ニンゼラチン」は、特に断らない限り、酸化剤で処理し
てメチオニン含有量を30マイクロモル/g未満に低減
させたゼラチンを表す。頭字語DWは蒸留水を表す。頭
字語mppmはモルppmを表す。
【0102】本実施例では以下の化合物を使用した。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【0103】乳剤調製例1 この実施例は、本発明の要件を満たす極薄平板状粒子ヨ
ウ塩化銀乳剤の調製を例示するものである。
【0104】1.75重量%の低メチオニンゼラチン
と、0.011Mの塩化ナトリウムと、1.48×10
-4Mのヨウ化カリウムとを含有する2030mLの溶液
を攪拌反応容器で準備した。この反応容器の内容物は4
0℃で維持し、そしてpClは1.95とした。
【0105】この溶液を激しく攪拌しながら、30mL
の1.0M硝酸銀溶液と、30mLの0.99M塩化ナ
トリウム及び0.01Mヨウ化カリウム溶液とを、それ
ぞれ30mL/分の速度で同時に添加した。この方法で
粒子核を生成させ、全銀量を基準に2モル%の初期ヨウ
化物濃度を示す結晶を形成させた。
【0106】次いで、その混合物を温度を40℃に保っ
たまま10分間保持した。保持後、pClを1.95に
維持しながら、1.0M硝酸銀溶液と1.0MNaCl
溶液を2mL/分で40分間同時に添加した。
【0107】得られた乳剤は、銀を基準に0.5モル%
のヨウ化物を含有する平板状粒子ヨウ塩化銀乳剤であっ
た。厚さが0.3μm未満で且つ主面縁長比が10未満
であるすべての{100}平板状粒子のアスペクト比等
級付けを基準に選択して、平均ECDが0.84μmで
且つ平均厚さが0.037μmである{100}主面を
有する平板状粒子が全粒子投影面積の50%を占めてい
た。選ばれた平板状粒子集団は、平均アスペクト比(E
CD/t)=23、及び平均平板度(ECD/t2 )=
657を示した。選ばれた平板状粒子の主面縁長比は
1.4であった。全粒子投影面積の72%が、{10
0}主面を有し且つアスペクト比が7.5以上である平
板状粒子から構成された。これらの平板状粒子は、平均
ECD=0.75μm、平均厚さ=0.045μm、平
均アスペクト比=18.6及び平均平板度=488を示
した。該乳剤の粒子の代表的試料を図1に示す。
【0108】乳剤調製例2(比較例) この乳剤は、初期粒子集団の析出(核生成)におけるヨ
ウ化物の重要性を例示する。この乳剤は、実施例1の乳
剤と同様に析出させたが、但し、ヨウ化物を意図的に添
加することはしなかった。
【0109】得られた乳剤は、主として縁長が約0.1
〜0.5μmの大きさの非常にアスペクト比が低い長方
形粒子と立方体粒子からなった。少数の大きなロッドと
高アスペクト比{100}平板状粒子が存在したが、有
用な量の粒子集団を構成しなかった。この乳剤の粒子の
代表的試料を図2に示す。
【0110】実施例3:乳剤析出乳剤A :塩化銀立方体状乳剤 8.2g/Lの塩化ナトリウムと、28.2g/Lの骨
ゼラチンと、0.212g/Lの1,8−ジチアジオク
タンジオールとを含有する十分に攪拌されている溶液
へ、温度を68.3℃、pClを1.0に維持しながら
3.75Mの硝酸銀と3.75Mの塩化ナトリウムとを
同時注入することによって、立方体の縁長が0.59μ
mである単分散塩化銀立方体粒子を調製した。温度を4
0℃に下げ、そしてその乳剤を限外濾過で洗浄してpC
lを2.0にした後、塩化ナトリウムによってpClを
1.65に調整した。
【0111】乳剤B:{100}面高塩化物平板状粒子
乳剤 3.52重量%の低メチオニンゼラチンと、0.005
6Mの塩化ナトリウムと、0.3mLのポリエチレング
リコール消泡剤とを含有する1.5Lの溶液を40℃の
攪拌反応容器内で調製した。その溶液を激しく攪拌しな
がら、45mLの0.01Mヨウ化カリウム溶液を添加
した後、50mLの1.25M硝酸銀溶液と50mLの
1.25塩化ナトリウム溶液とをそれぞれ100mL/
分の速度で同時に注加した。その後、その混合物を40
℃の温度で10秒間保持した。保持後、硝酸銀1モル当
たり0.08mgの塩化第二水銀を含有する0.625
M硝酸銀溶液と、0.621M塩化ナトリウム及び0.
004Mヨウ化カリウムの溶液とを、30秒間は10m
L/分で、次いで10mL/分から15mL/分まで1
25分間にわたって直線的に加速しながら同時注加し
た。その後、pClを1.8に維持しながら15mL/
分の一定流速で30分間成長させた。その後、pClを
塩化ナトリウムで1.65に調整した。50gのフタル
酸化(phthalated)ゼラチンを添加し、そして乳剤を洗
浄し濃縮した。洗浄後のpClは2.0であった。21
gの低メチオニンゲルを添加し、そしてpClを塩化ナ
トリウムで1.65に調整し、またpHを5.7に調整
した。得られた乳剤は、ヨウ化物含有量が0.036モ
ル%で、粒子の平均等価円直径が1.6、平均厚さが
0.125μmの平板状粒子塩化銀乳剤であった。
【0112】増感 乳剤A :増感色素、増感剤及び熟成時間のレベルを変化
させることによって最適緑光増感法を見い出した。最適
条件は以下のとおりである。40℃で溶解させて十分に
攪拌されている0.05モル量の乳剤Aへ、600mg
/モルの臭化カリウムを添加し、次いで0.214ミリ
モル/モルの増感色素Aを添加した後、20分間保持
し、その後0.036ミリモル/モルの増感色素Bを添
加してさらに20分間保持した。これに、0.75mg
/モルのチオ硫酸ナトリウム5水和物と1.0mg/モ
ルのテトラクロロ金酸カリウムとを添加した。その後、
温度を6分間にわたり60℃に上昇させ、10分間保持
し、次いで18分間にわたって40℃にした。その後、
70mg/モルの1−(3−アセトアミドフェニル)−
5−メルカプトテトラゾールを添加して、その乳剤を冷
却硬化した。
【0113】乳剤B:乳剤Aと同様に最適緑光増感法を
見い出した。最適条件は以下のとおりである。40℃で
よく攪拌されている適量の乳剤へ、0.80ミリモルの
増感色素Aを添加した後、20分間保持した。これに、
3.0mg/モルのチオ硫酸ナトリウム5水和物と1.
5mg/モルのテトラクロロ金酸カリウムとを添加し
た。その後、温度を6分間にわたり60℃に上昇させ、
20分間保持し、次いで18分間にわたって40℃にし
た。その後、70mg/モルの1−(3−アセトアミド
フェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加し、そ
の乳剤を冷却硬化した。
【0114】写真塗布 ハレーション防止支持体上に、1.1g/m2 のシアン
色素形成カプラーAと、2.7g/m2 のゼラチンと、
(表1に記載した)各種量の現像抑制剤放出型カプラー
Bと共に、それぞれの増感乳剤を0.85g/m2 の銀
量で塗布した。これらの上に、1.6g/m2 のゼラチ
ンを上塗し、そしてビス(ビニルスルホニルメチル)エ
ーテルで硬膜した。
【0115】露光 その塗膜を、3000Kタングステンランプを濾過して
昼光源を模倣し、さらにKodakラッテン9フィルタ
ーで緑光と赤光だけを透過するように濾過した光によっ
てステップウェッジセンシトメーターを用いて0.01
秒間露光することによって緑光に対する感度を測定し
た。
【0116】処理 以下に示す現像液AまたはBのいずれかを用いて塗膜を
処理した。30秒、60秒及び120秒の現像時間に対
する写真応答を評価した。
【0117】処理液及び処理順序 現像 表1を参照 38℃ 漂白 240秒 38℃ 水洗 180秒 35℃ 定着 240秒 38℃ 水洗 180秒 35℃ リンス 60秒 35℃
【0118】処理液の組成は以下のとおりである。 現像液−A 水 800.0mL 炭酸カリウム(無水) 34.30g 重炭酸カリウム 2.32g 亜硫酸ナトリウム(無水) 0.38g メタ重亜硫酸ナトリウム 2.96g ヨウ化カリウム 1.20mg 臭化ナトリウム 1.31g 4−メトキシフェニドン 0.20g ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム塩(40%溶液) 8.43g 硫酸ヒドロキシルアミン 2.41g (N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−N− エチル−2−アミノエタノール) 4.52g 水で全体を1Lにする 80°F(26.7℃)のpH=10.00±0.05
【0119】 現像液−B 水 800.0mL 炭酸カリウム(無水) 34.30g 重炭酸カリウム 2.32g 亜硫酸ナトリウム(無水) 0.38g メタ重亜硫酸ナトリウム 2.96g ヨウ化カリウム 1.20mg 臭化ナトリウム 1.31g ジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム塩(40%溶液) 8.43g 硫酸ヒドロキシルアミン 2.41g (N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−N− エチル−2−アミノエタノール) 4.52g 水で全体を1Lにする 80°F(26.7℃)のpH=10.00±0.05
【0120】 漂白液 水 500.0mL 1,3−プロピレンジアミン4酢酸 37.4g 57%水酸化アンモニウム 70.0mL 酢酸 80.0mL 2−ヒドロキシ−1,3−プロピレンジアミン4酢酸 0.80g 臭化アンモニウム 25.0g 硝酸第二鉄9水和物 44.85g 水で全体を1Lにする pH=4.75
【0121】 定着液 水 500.0mL チオ硫酸アンモニウム(58%溶液) 214.0g (エチレンジニトリロ)4酢酸2ナトリウム塩2水和物 1.29g メタ重亜硫酸ナトリウム 11.0g 水酸化ナトリウム(50%溶液) 4.70g 水で全体を1Lにする 80°F(26.7℃)のpH=6.5±0.15
【0122】 リンス 水 900.0mL 0.5%水性p−tert−オクチル− (α−フェノキシポリエチル)−アルコール 3.0mL 水で全体を1Lにする
【0123】結果を以下の表1に記載する。
【表1】
【0124】表1は、どちらの乳剤のスピードも、現像
液Aで30秒間現像した場合に、現像液Bで60秒間現
像した場合と同等あるいはそれ以上を示したが、現像液
Aで30秒間現像した場合のガンマは現像液Bで60秒
間現像した場合のガンマよりも著しく低下した。このこ
とは、本発明の組合せによって、より低いガンマにおい
て且つはるかに短い現像時間で、従来の処理に匹敵する
スピードが得られることを示している。また、乳剤Bの
スピードは、最短現像時間の場合でさえも、乳剤Aで達
成されるいずれのスピードよりもはるかに高い。このこ
とは、高塩化物平板状粒子乳剤と潜像検出性の向上した
乳剤との組合せによって、低いガンマ及び短い現像時間
において最高スピードが得られることを示している。
【0125】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0126】実施例4:電子移動剤放出型化合物を含有
する要素の調製及び処理 A.要素の調製 以下の層を透明支持体へ記載順に塗布することによって
試料514及び515を調製した。成分量は1平方メー
トル当たりのグラム数で記載した。
【0127】第1層(ハレーション防止層):グレー銀
及びゼラチン; 第2層(感光層):平板状AgCl乳剤(0.538
g)〔平均ECD=1.4μm、平均厚さ=0.14μ
m、{100}面により画定されている平板状粒子が占
める粒子投影面積の割合は50%を上回る〕、ゼラチン
(1.82g)、画像色素形成カプラーC−31(0.
646g)、DIR化合物D−3(0.054g)、及
び化合物B−1(0.054g);但し、試料515に
は、電子移動剤放出型(ETAR)化合物C−52を
0.032g含有させた;並びに 第3層(保護層):ゼラチン(2.15g)
【0128】これらの層には、α−−4−ノニルフェニ
ル−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−(2−ヒドロキシ
−1,3−プロパンジイル))及び(パラ−t−オクチ
ルフェニル)−ジ(オキシ−1,2−エタンジイル)−
スルホネートを界面活性剤としてさらに含めた。これら
のフィルムは、全ゼラチン量に対して2重量%のビスビ
ニルスルホニルメタンを塗布して硬膜した。
【0129】B.要素の感度、ガンマ及び濃度に対する
電子移動剤放出型(ETAR)化合物の効果 試料514及び515を、目盛付濃度試験物体を介した
白色光に露光した後、KODAK C−41(登録商
標)処理によって処理した。処理に用いた漂白液には、
1,3−プロピレンジアミン4酢酸を含有させるように
変更した。処理済要素の相対感度、ガンマ及び最高濃度
を測定した。これらの値を表2に記載した。
【0130】 表2:電子移動剤放出型(ETAR)化合物が与える、写真感度、ガンマ及び 濃度に対する効果 試料 画像形成カプラー ETAR 化合物(量) 感度 相対ガンマ 濃度 514 C-31 無 100.0% 100.0% 100.0% 515 C-31 C-51 (0.032) 407.4% 115.1% 113.8%
【0131】上記結果からわかるように、ETAR化合
物は、それを含む本発明の要素の感度、濃度及びガンマ
を改善した。この実施例が示すように、ETAR化合物
は、本明細書中に記載した別のPUG放出型化合物との
併用も可能である。
【0132】本発明をその好ましい実施態様を特に参照
して詳細に記載したが、本発明の精神及び範囲内の変更
や改質が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭素粒子レプリカ法による本発明の乳剤の粒子
構造を示す図面に代わる光学顕微鏡写真である。
【図2】炭素粒子レプリカ法による対照用乳剤の粒子構
造を示す図面に代わる光学顕微鏡写真である。
フロントページの続き (72)発明者 ジェームズ エドワード サットン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14626, ロチェスター,ミル ハロー クロッシ ング 111 (72)発明者 リチャード ピーター スザジェウスキ ー アメリカ合衆国,ニューヨーク 14610, ロチェスター,カウンシル ロック ア ベニュ 68 (72)発明者 ジョン マイケル ブッキャナン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14607, ロチェスター,サウス グッドマン ス トリート 270,アパートメント 204 (56)参考文献 特開 平6−242536(JP,A) 特開 平6−59360(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 7/407 G03C 1/035

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1−フェニルピラゾリジン−3−オン系
    化合物の存在下でp−フェニレンジアミン発色現像剤を
    含有する発色現像液において現像する工程を含む露光済
    原画ハロゲン化銀カラー写真要素の処理方法であって、 該原画ハロゲン化銀写真要素は、粒子集団投影面積を形
    成する全銀量に基づき50モル%以上の塩化物を含むハ
    ロゲン化銀粒子集団を含有し且つ現像抑制剤放出型化合
    物と反応的に組み合わされている輻射線感性乳剤を含
    み、全粒子投影面積の50%以上は、 (1)隣接するエッジ比率が10未満の{100}主面
    によって画定されており、且つ(2)各々のアスペクト
    比が2以上である、本質的に安定な平板状粒子によって
    占められており、しかも該写真要素のハロゲン化銀含有
    量は50モル%以上の塩化銀と2モル%以下のヨウ化銀
    とから構成されている、前記処理方法。
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