以下、本発明についてさらに詳細に説明する。本発明にかかる画像形成組成物は、(A)下記一般式(I)および/または(II)で表される単量体単位を含むアルカリ可溶性共重合体、(B)酸発生剤、(C)赤外線吸収剤、(D)アルカリ可溶性ノボラック樹脂、および(E)ジアミン化合物を含有している。本発明の画像形成組成物の成分については後で詳しく説明するが、本発明の上記一般式(I)および/または(II)で表される単量体単位を含むアルカリ可溶性共重合体(A)を含有する画像形成組成物は、耐水性が高く、保存性が良い性質を持つことが明らかになった。
さらに、本発明の範囲は、理論により限定されるべきものではないが、本発明は以下の機構で優れた現像ラチチュードを有すると考えられる。すなわち、半導体レーザーのような赤外線が画像形成組成物に照射されると、この光を吸収することで赤外線吸収剤は瞬間的に例えば数百度の熱を生じ得る。その発生する熱等により酸発生剤は、分解し酸を生じ得る。このように生じた赤外線吸収剤(C)からの熱、および酸発生剤(B)からの酸により、本発明のアルカリ可溶性共重合体(A)は、一般式(I)(II)中、イソシアネート基の部分で分解する。さらに、アルカリ可溶性共重合体(A)の分解産物のうちポリマー主鎖を含むものと、ジアミン化合物(E)および/またはアルカリ可溶性ノボラック樹脂(D)との間に、分解したイソシアネート基の部分で、架橋反応が生じる。これにより、アルカリ可溶性共重合体(A)は、アルカリ性の現像液等に不溶性となると考えられる。他方、未露光部はこれらのアルカリ可溶性共重合体の効果により、現像液に対して容易に溶解し、その結果として、溶解性の差が広がる。
さらに、好ましくは、一般式(IV)および/または(V)の高分子化合物(F)を含有することにより、現像液に対する処理m2数も改善され、現像液に対する安定性(現像ラチチュード)が著しく広がり、また、耐キズ性、耐刷性も向上することを見出し、本発明に至ったものである。
本発明において、(A)成分として利用される共重合体は、前記一般式(I)および/または(II)で表される単量体単位を含むアルカリ可溶性共重合体である。ここで、アルカリ可溶性とは、この共重合体を画像形成組成物の(A)成分として用いた際に、未露光部における共重合体がアルカリ性の現像液に実質的に完全に溶解し得ることをいう。具体的には、例えば、室温において、0.2Mの水酸化カリウム水溶液に、0.5g以上の共重合体が溶解し得ると好ましく、1.0g以上の共重合体が溶解し得るとさらに好ましい。
特に限定されるものではないが、一般式(I)中、R2がアルキル基の場合、R2として、エチル、n−ブチル、n−へキシルなどの炭素数2〜12の基が挙げられ、R2がアリール基の場合、R2として、フェニル、3−メトキシフェニル、クロロフェニル、p−トルエンスルホニルなどの炭素数6〜15の基が挙げられる。
一般式(I)で表される単量体単位を与える化合物としては、例えば、エチルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、n−ブチルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、n−ドデシルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、ラウリルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、n−へキシルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、シクロへキシルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、フェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、m−クロロフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、3−メトキシフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、p−トルエンスルホニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレート、p−トリルフェニルカルバミン酸エチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらの一般式(I)で表される単量体単位を与える化合物は、市販のものを用いることも、当業者に公知の方法により合成することもできる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを表すものとする。同様に、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを表すものとする。
また、特に限定されるものではないが、一般式(II)中、R4、R5がアルキル基の場合、R4、R5として、メチル、エチル、n−ブチル、n−へキシルなどの炭素数1〜12の基が挙げられ、R4、R5がアリール基の場合、R4、R5として、フェニル、3−メトキシフェニル、クロロフェニル、p−トルエンスルホニルなどの炭素数6〜15の基が挙げられる。また、好ましくは、kは、1〜12であり、さらに好ましくは、1〜10である。
一般式(II)で表される単量体単位を与える化合物としては、例えば、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、メタクリル酸2−(O−[1'−エチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、メタクリル酸2−(O−[1'−ブチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)メチル等が挙げられる。なお、これらの一般式(II)で表される単量体単位を与える化合物は、市販のものを用いることも、当業者に公知の方法により合成することもできる。
本発明において(A)成分として使用されるアルカリ可溶性共重合体は、一般式(I)および/または(II)で表される単量体と、下記(1)〜(9)に例示されるその他の単量体との共重合体であってもよく、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性共重合体とすることもできる。
(1)フェノール性水酸基を有するモノマー、例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミド、p−イソプロペニルフェノール、o−、m−もしくはp−ヒドロキシスチレン、o−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニルアクリレート、またはo−、m−もしくはp−ヒドロキシフェニルメタクリレート。
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、または2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート。
(3)α,β−不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸。
(4)アリル基を有するモノマー、例えば、アリルメタクリレート、N−アリルメタクリルアミド。
(5)アルキルアクリレート類またはアルキルメタクリレート類、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸へキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレート。
(6)アクリルアミド類またはメタクリルアミド類、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−へキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロへキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、またはN−フェニル(メタ)アクリルアミド。
(7)スチレン類、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン。
(8)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(9)ウレタン(メタ)アクリレート、例えば、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート。市販品としては、アロニックスM−305、M−1310、M−315、M−360、M−1600(東亜合成社製)、UA−7100、UA−7200、UA−4HA(新中村化学工業社製)、UA−306H(共栄社化学社製)等がある。
さらに、アルカリ可溶性共重合体は、上記単量体(一般式(I)および/または(II)で表される単量体ならびに上記(1)〜(9)に例示されるその他の単量体)と共重合し得る上記以外の単量体との共重合体であってもよい。また、アルカリ可溶性共重合体は、上記単量体の共重合によって得られるアルカリ可溶性共重合体を、例えばグリシジルメタクリレート等によって修飾したものであってもよい。
本発明の組成物に用いられるアルカリ可溶性共重合体(A)は、前記一般式(I)および/または(II)で表される単量体を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、アルカリ可溶性共重合体は、一般式(I)および/または(II)で表される単量体を合計で5〜100モル%の範囲で包含するものが好ましく、20〜100モル%の範囲で包含するものがさらに好ましい。この含有量が、5モル%以上、特に20モル%以上では、本発明による耐キズ性、耐刷性の向上効果が特に高く、100モル%以下では、アルカリ現像性が良く実用的である。
前記アルカリ可溶性共重合体の製造方法については、特に制限はなく、通常のアクリル系共重合体の製造方法と同様にして製造することができる。例えば、各単量体成分を適当な溶媒に溶かし、従来慣用されているラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じて加熱し、重合を行なうことにより所望のアルカリ可溶性共重合体を得ることができる。このようにして得られたアルカリ可溶性共重合体は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量が、好ましくは1万〜20万、さらに好ましくは2万〜15万の範囲にあるものが用いられる。この重量平均分子量が1万以上、特に2万以上では、画像部の膨潤や機械的強度の不足が特に生じにくく、20万以下、特に15万以下では、現像不良による汚れが特に発生しにくくなるため好ましい。
特に限定されるものではないが、前記アルカリ可溶性共重合体の重合のために用いられる溶媒としては、メチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。また、前記共重合体の重合のために用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。特に限定されるものではないが、溶媒の量は、単量体1gに対して2〜10gが好ましい。また、ラジカル重合開始剤の添加量は、単量体の全量に対して0.1〜1.0重量%が好ましい。重合の際に加熱する場合、加熱温度は、一般に60〜120℃程度が好ましい。
本発明のアルカリ可溶性共重合体(A)は、単独でも2種以上混合して用いてもよい。アルカリ可溶性共重合体の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは1〜99重量%、さらに好ましくは5〜98重量%である。添加量が1重量%以上、特に5重量%以上のとき、耐刷性が特に良好であり、また、99重量%以下、特に98重量%以下のとき、感度が特に高くなる。
上記したように、一般式(I)および/または(II)で表される単量体単位を含むアルカリ可溶性共重合体(A)を有する画像形成組成物は、耐水性が高く、保存性が良い。これは、反応性の高いイソシアネート基を保護することによって高い耐水性を示し、湿気等による外的要因も防いでいるためと考えられる。また、上記したように、本発明のアルカリ可溶性共重合体(A)は、近赤外または赤外光の照射により生じる赤外線吸収剤(C)からの熱および酸発生剤(B)からの酸により、上記一般式(I)(II)中、イソシアネート基の部分が分解する。この分解した部分と、ジアミン化合物(E)および/またはアルカリ可溶性ノボラック樹脂(D)との架橋反応を生じることにより、アルカリ可溶性共重合体(A)はアルカリ性の現像液等に不溶性となると考えられる。他方、未露光部におけるアルカリ可溶性共重合体は、アルカリの現像液に容易に溶解する。その結果、一般式(I)および/または(II)で表される単量体単位を含むアルカリ可溶性共重合体(A)を有する画像形成組成物は、露光部と未露光部との間のアルカリへの溶解性の差が広がる。
本発明において(B)成分として使用される酸発生剤は、本発明の組成物が近赤外または赤外光を照射される場合に、酸を発生し得る化合物である。すなわち、上記したように、近赤外または赤外光が画像形成組成物に照射されると、この光を吸収することで赤外線吸収剤は瞬間的に例えば数百度の熱を生じ得る。酸発生剤は、その発生する熱により分解し、酸を生じ得る化合物である。このような酸発生剤として、各種の公知化合物およびその混合物が挙げられる。例えば、有機ハロゲン化合物が、近赤外および赤外線の露光による画像形成における感度、および画像形成組成物の保存性の面から好ましく使用することができる。有機ハロゲン化合物として、ハロゲン置換アルキル基を有するトリアジン類およびハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類が好ましく、ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類が特に好ましい。特に限定されるものではないが、具体的には、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどが挙げられる。
本発明において、酸発生剤の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜15重量%である。添加量が0.1重量%以上、特に0.2重量%以上では、感度が特に高くなり、20重量%以下、特に15重量%以下では、画像形成組成物を溶解する溶剤に特に溶けやすくなる。なお、これらの酸発生剤は、市販のものを用いることも、当業者に公知の方法により合成することもできる。
本発明において(C)成分として使用される赤外線吸収剤は、近赤外または赤外光(好ましくは波長700nm以上2500nm以下、さらに好ましくは波長700nm以上1300nm以下の光、例えば赤外線レーザー)の照射により熱を発生する光熱変換機能を有する物質であって、その発生する熱により、アルカリ可溶性共重合体の上記一般式(I)(II)中、イソシアネート基の部分、酸発生剤を速やかに分解し、酸を発生し易くするために用いられる。本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外線吸収剤は、700nm〜850nmに吸収ピークを有し、好ましくはピークでモル吸光係数εが105以上である赤外吸収色素である。
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が好ましい。
これらの色素は、公知の方法によって合成することができるが、以下のような市販品を用いることもできる。
日本化薬株式会社:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY-2,CY-4,CY-9,CY-10,CY-20
大日本インキ化学工業株式会社:Fastogen blue 8120
みどり化学株式会社:MIR-101,1011,1021
その他、株式会社日本感光色素、住友化学工業株式会社、富士写真フィルム株式会社等の各社からも、上記色素は市販されている。
本発明において、赤外線吸収剤の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは0.6〜10重量%である。添加量が0.5重量%以下、特に0.6重量%以下では、感度が特に速くなり、15重量%以下、特に10重量%以下では、非画像部(未露光部)の現像性が特に向上するので好ましい。
本発明において(D)成分として使用されるアルカリ可溶性ノボラック樹脂は、本発明のアルカリ可溶性共重合体と架橋反応させるために用いられる。すなわち、上記したように、近赤外または赤外光の照射によるアルカリ可溶性共重合体(A)の分解部分と、アルカリ可溶性ノボラック樹脂(D)の有する水酸基との間で架橋反応が生じる。上記したように、この架橋反応によりアルカリ可溶性共重合体(A)は、アルカリに対して不溶性となり、これにより現像ラチチュードが向上する。ここで、アルカリ可溶性とは、このノボラック樹脂を画像形成組成物の(D)成分として用いた際に、未露光部におけるノボラック樹脂がアルカリ性の現像液に実質的に完全に溶解し得ることをいう。具体的には、例えば、室温において、0.2Mの水酸化カリウム水溶液に、0.5g以上のノボラック樹脂が溶解し得ると好ましく、1.0g以上のノボラック樹脂が溶解し得るとさらに好ましい。
アルカリ可溶性ノボラック樹脂(D)としては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ノボラック樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55−57841号公報に記載されているようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重縮合体樹脂、特開昭55−127553号公報に記載されているような、p−置換フェノールとフェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂等が好ましい。好ましくは、重量平均分子量1000〜15000、特に好ましくは1500〜10000のものが用いられる。なお、これらのアルカリ可溶性ノボラック樹脂は、市販のものを用いることも、当業者に公知の方法により合成することもできる。
アルカリ可溶性ノボラック樹脂の市販品としては、例えばPSF-2803、PSF-2807、PSF-2808(群栄化学工業社製)、EP4020GS、EP5020G、EP6020G(旭有機材社製)、ヒタノ−ル1501(日立化成工業社製)、BRM-565(昭和高分子社製)、RV-95、RT-95(岐阜セラック社製)等を使用することができる。
また、本発明に用いられる、上記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、本発明のアルカリ可溶性共重合体と混合すると現像ラチチュードの面でさらに好ましい。アルカリ可溶性共重合体(A)中の架橋点であるイソシアネート基の部分よりも、アルカリ可溶性ノボラック樹脂のほうが多く架橋点(ヒドロキシル基)を持っているため、アルカリ可溶性ノボラック樹脂を混合すると好ましい。この反応により、アルカリ現像液に溶けやすいノボラック樹脂を含有しつつアルカリ可溶性共重合体とノボラック樹脂の架橋により、アルカリ可溶性ノボラック樹脂も現像液に対して不溶化し、結果、アルカリ可溶性共重合体単独を添加するよりも現像ラチチュードが広がる。アルカリ可溶性ノボラック樹脂の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは5〜90重量%であり、さらに好ましくは5〜70重量%である。添加量が5重量%以上では、現像性が特に向上し、90重量%以下、特に70重量%では、画像強度が特に向上する。
本発明において(E)成分として使用される下記一般式(III)のジアミン化合物、メチレンビス(2−クロロアニリン)、メチレンビス(2−エチル6−メチルアニリン)、メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、5,5’−メチレンビス(アントラニル酸)、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、または2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、本発明のアルカリ可溶性共重合体と架橋反応させるために用いられる。すなわち、上記したように、近赤外または赤外光の照射によるアルカリ可溶性共重合体(A)の分解部分と、(E)成分のアミンとの間で架橋反応が生じる。上記したように、この架橋反応によりアルカリ可溶性共重合体(A)は、アルカリに対して不溶性となり、これにより現像ラチチュードが向上する。本発明に用いられるジアミン化合物として、下記一般式(III)が挙げられる。
(式中R6〜R13は、それぞれ独立して水素、C1〜C12のアルキル基、ハロゲン原子、OH、COOH、またはCmF2m+1(mは、1〜12の整数である。)を表す。nは、0以上の整数である。Tは、−COO−(エステル基中のカルボニル基がベンゼン環と結合する)、−SO2−、または−O−を表す。)
一般式(III)のジアミン化合物としては、好ましくは、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエートが挙げられる。また、E成分のジアミン化合物としては、メチレンビス(2−クロロアニリン)、メチレンビス(2−エチル6−メチルアニリン)、メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、5,5'−メチレンビス(アントラニル酸)、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、または2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルが挙げられる。なお、これらのジアミン化合物は、市販のものを用いることも、当業者に公知の方法により合成することもできる。
ジアミン化合物として市販品では、例えば、イハラキュアミンMT、CUA-4、キュアハード-MED、イハラキュアミンML-520、-530、-100、-150(イハラケミカル工業社製)D-230、D-400、XTJ-500、XTJ-504(サンテクノケミカル社製)等を使用することができる。
これらジアミン化合物の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは0.01重量〜50重量%であり、さらに好ましくは0.01〜30重量%である。0.01重量%以上では、画像形成が特に良好であり、50重量%以下、特に30重量%以下では、現像不良が特に起こりにくく好ましい。
本発明の画像形成組成物は、好ましくはさらに(F)成分を含むことができる。(F)成分として使用される上記一般式(IV)、(V)で表される化合物は、現像液に対する処理m2数、現像ラチチュードの向上を目的として用いられる。すなわち、近赤外または赤外光の照射により酸発生剤から生じた酸により、一般式(IV)、(V)で表される化合物はシリル基の部分で分解し、フェノール性水酸基を有するポリマーとシラノール化合物を生成する。一般式(IV)、(V)で表される化合物の分解には、さらに熱も寄与している可能性がある。分解により生じるフェノール性水酸基を有するポリマーおよびシラノール化合物は共に、アルカリ性の現像液等に対する溶解性が高い。一方で、未露光部は、これらの高分子化合物の添加効果により、耐アルカリ性が強く、現像液に侵され難い。このため、一般式(IV)、(V)で表される化合物をさらに加えることで、露光部と非露光部の間のアルカリ性の現像液等に対する溶解性の差が広く、現像液に対する安定性(現像ラチチュード)がより優れた画像形成組成物が提供される。また、一般式(IV)、(V)で表される化合物はインクの乗りの点でも良好であり、画像形成組成物はより優れた耐刷性を有する。また、画像部は、アルカリ可溶性共重合体(A)のイソシアネート基が酸、熱により分解し、その分解した部分に化合物(F)中のSiに結合しているOH(ヒドロキシル基)との架橋が進行することで、アルカリ可溶性共重合体は、アルカリ現像液に対して不溶になる。一方、非画像部では、分解していないアルカリ可溶性共重合体(A)と、化合物(F)中のSiに結合しているOH(ヒドロキシル基)部分で水素結合が形成されているが、好ましくは100℃〜200℃の熱をかけることにより水素結合が切れ、アルカリ現像液に対して可溶になる。
(上記一般式(IV)中、Polymは、Polym−OHがフェノール性水酸基を有する樹脂ポリマーを表す。G1はOまたはCOOを表す。R14とR15は独立して水素原子またはメトキシ基を表すが、両方が同時に水素原子であることはない。また、R14とR15は結合して環を形成してもよい。R16は炭化水素基の側鎖を有してもよいa個のメチレン基を表す。ここでaは3以上の整数である。なお、aは、好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは、3〜10である。R19とR20は、独立して水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
上記一般式(V)中、Polymは、Polym−OHがフェノール性水酸基を有する樹脂ポリマーを表す。G2はOまたはCOOを表す。R17は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。なお、このアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは、1〜5である。R18は炭化水素基の側鎖を有してもよいb個のメチレン基を表す。ここでbは3以上の整数である。なお、bは、好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは、3〜10である。R21とR22は、独立してメチル基、水酸基または塩素原子を表す。)
本発明に用いられる一般式(IV)、(V)は、フェノール性水酸基を有する樹脂ポリマーと、下記一般式(1)、(2)に示すシランカップリング剤を付加反応させて合成することができる。この反応は、以下の条件で行うと好ましい。すなわち、溶媒として、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等が好ましい。溶媒の量は、樹脂ポリマーが有する水酸基1モルあたり、0.5〜100モルが好ましい。シランカップリング剤の量は、立体的要因等のため、ケイ素に結合した反応基であるOCH3、OC2H5およびClの数には依存しないと考えられる。また、反応温度は、50〜150℃が好ましい。このようにして得られる(IV)、(V)は、例えば、溶媒を分留することで、精製する事ができる。なお、(IV)、(V)の重量平均分子量は、好ましくは、1000以上であり、さらに好ましくは、1500〜30万の範囲である。また、一般に化合物(IV)、(V)は、例えば200〜450nmの波長を有する紫外線を吸収し、G1またはG2において分解する特徴を有する。
(上式(1)中、X1は、トリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基を表す。G1はOまたはCOOを表す。R14とR15は独立して水素原子またはメトキシ基を表すが、両方が同時に水素原子であることはない。R14とR15は結合して環を形成してもよい。R16は炭化水素基の側鎖を有してもよいa個のメチレン基を表す。ここでaは3以上の整数である。なお、aは、好ましくは、3〜15であり、さらに好ましくは、3〜10である。
上式(2)中、X2は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、クロロジメチルシリル基、ジクロロメチルシリル基またはトリクロロシリル基を表す。G2はOまたはCOOを表し、R17は水素原子または直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。なお、このアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは、1〜5である。R18は炭化水素基の側鎖を有してもよいb個のメチレン基を表す。ここでbは3以上の整数である。なお、bは、好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは、3〜10である。)
この樹脂ポリマーへのシランカップリング剤の付加反応において、シランカップリング剤のX1およびX2中のケイ素に結合したOCH3、OC2H5およびClは、無水状態では安定であるが、溶媒中に自然に含まれる水により加水分解され、それぞれOHとなる場合もある。このシランカップリング剤との付加反応により、例えば、上記一般式(IV)または(V)で示される高分子化合物が得られる。ここで、Polym−OHは、フェノール性水酸基を有する樹脂ポリマーを表す。また、R19とR20は独立して水素原子、メチル基またはエチル基を、R21とR22は独立してメチル基、水酸基または塩素原子を表す。
なお、このシランカップリング剤のケイ素が複数の反応性基(OCH3、OC2H5またはCl)を有する場合は、フェノール性水酸基の複数と反応する可能性もあるがこれはまれであると考えられる。また、シランカップリング剤同士の自己縮合も可能であるが、これはベンゼン環に結合しているニトロ基の立体障害等により低く抑えられていると考えられる。
上記一般式(1)と(2)の化合物は、好ましくは、下記一般式(1ET)、(1ES)、(2ET)および(2ES)で表される化合物である。
(上式中、X1は、トリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基を表す。X2は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、クロロジメチルシリル基、ジクロロメチルシリル基またはトリクロロシリル基を表す。aとbは独立して3以上の整数を表す。なお、aは、好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは、3〜10である。ここで、a個のメチレン基またはb個のメチレン基は、1以上の炭化水素基の側鎖を有していても良い。なお、合成する上で、側鎖の位置は、X1またはX2が結合する炭素原子からメチレン鎖上を二つ以上離れた炭素原子であることが好ましい。なお、炭化水素基の大きさは、好ましくは、3〜15であり、より好ましくは3〜10の整数である。X1が結合する炭素原子Cpからメチレン鎖上を二つ離れた炭素原子とは、X1−Cp−Cq−Cr−においてCrである。側鎖の炭化水素基の大きさは、好ましくは炭素数が3〜15であり、より好ましくは炭素数が3〜10である。また、一般式(1ET)と一般式(1ES)の化合物において、R14とR15は独立して水素原子またはメトキシ基を表すが、両方が同時に水素原子であることはない。R14とR15は結合して環を形成してもよい。)
一般式(1ET)の化合物としては、好ましくは、2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテル、4−メトキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、4−メトキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、4−メトキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテル、5−メトキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、5−メトキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、5−メトキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテル、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテルが挙げられる。より好ましくは、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテルが挙げられる。
一般式(1ET)の化合物において、R14とR15が環を形成する例としては、アルキレンジオキシ基が挙げられる。アルキレンジオキシ基の炭素数は、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。具体的には、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリメトキシシリル)プロピルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 3−(トリエトキシシリル)プロピルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリエトキシシリル)ヘキシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリメトキシシリル)デシルエーテル、4,5−メチレンジオキシ−2−ニトロベンジル 10−(トリエトキシシリル)プロピルエーテル等が挙げられる。
一般式(2ET)の化合物としては、好ましい例として、3−(クロロジメチルシリル)プロピル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、3−(ジクロロメチルシリル)プロピル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、3−(トリクロロシリル)プロピル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、6−(クロロジメチルシリル)ヘキシル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、6−(ジクロロメチルシリル)ヘキシル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、6−(トリクロロシリル)ヘキシル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、3−(クロロジメチルシリル)プロピルo−ニトロベンジルエーテル、3−(ジクロロメチルシリル)プロピルo−ニトロベンジルエーテル、3−(トリクロロシリル)プロピルo−ニトロベンジルエーテル、6−(クロロジメチルシリル)ヘキシルo−ニトロベンジルエーテル、6−(ジクロロメチルシリル)ヘキシルo−ニトロベンジルエーテル、6−(トリクロロシリル)ヘキシルo−ニトロベンジルエーテル、3−(トリメトキシシリル)プロピル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、3−(トリエトキシシリル)プロピル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、6−(トリメトキシシリル)ヘキシル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、6−(トリエトキシシリル)ヘキシル1−(2−ニトロフェニル)エチルエーテル、3−(トリメトキシ)プロピルo−ニトロベンジルエーテル、3−(トリエトキシシリル)プロピルo−ニトロベンジルエーテル、6−(トリメトキシシリル)ヘキシルo−ニトロベンジルエーテル、6−(トリエトキシシリル)ヘキシルo−ニトロベンジルエーテル、が挙げられる。
一般式(1ES)の化合物としては、特に好ましくは、5−(トリメトキシシリル)−ペンタン酸 1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)メチル、5−(トリエトキシシリル)−ペンタン酸 1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)メチル、5−(トリメトキシシリル)−ウンデカン酸 1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)メチル、5−(トリエトキシシリル)−ウンデカン酸 1−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフェニル)メチルが挙げられる。
一般式(2ES)の化合物としては、特に好ましくは、5−(クロロジメチルシリル)ペンタン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、5−(ジクロロメチルシリル)ペンタン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、5−(トリクロロシリル)ペンタン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、11−(クロロジメチルシリル)ウンデカン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、11−(ジクロロメチルシリル)ウンデカン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、11−(トリクロロシリル)ウンデカン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、5−(クロロジメチルシリル)ペンタン酸o−ニトロベンジル、5−(ジクロロメチルシリル)ペンタン酸o−ニトロベンジル、5−(トリクロロシリル)ペンタン酸o−ニトロベンジル、11−(クロロジメチルシリル)ウンデカン酸o−ニトロベンジル、11−(ジクロロメチルシリル)ウンデカン酸o−ニトロベンジル、11−(トリクロロシリル)ウンデカン酸o−ニトロベンジル、5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、5−(トリエトキシシリル)ペンタン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、11−(トリメトキシシリル)ウンデカン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、11−(トリエトキシシリル)ウンデカン酸1−(2−ニトロフェニル)エチル、5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸o−ニトロベンジル、5−(トリエトキシシリル)ペンタン酸o−ニトロベンジル、11−(トリメトキシシリル)ウンデカン酸o−ニトロベンジル、11−(トリエトキシシリル)ウンデカン酸o−ニトロベンジルが挙げられる。
上記一般式(1ET)、(1ES)、(2ET)および(2ES)で表される化合物は、以下に記載された方法で合成することができる。
一般式(1ET)と一般式(2ET)の化合物の製造方法の一例を以下に示す。
一般式(1ET)の化合物は、例えば、4位と5位にR14とR15を有する2−ニトロベンズアルデヒド(3)をヒドラジンと反応させ、二酸化マンガンで酸化してジアゾ化合物(5)とし、過塩素酸の存在下、二重結合を有するアルコール(6)と反応させてエーテル(7)を得た後、エーテル(7)の二重結合を塩化白金(IV)酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)を触媒として、トリメトキシシランまたはトリエトキシシランと反応させることにより得られる。一般式(2ET)の化合物も同様にして得られ、クロロジメチルシリル基とジクロロメチルシリル基とトリクロロシリル基の導入には、各々対応するクロロジメチルシランとジクロロメチルシランとトリクロロシランを使用することができる。
一般式(1ET)と一般式(2ET)の化合物の製造方法は、これに限らず、他の公知の方法を利用できる。また、a個のメチレン基が炭化水素基の側鎖を有する(1ET)と(2ET)は、対応するアルコールを用いて合成することができる。
一般式(1ES)と一般式(2ES)の化合物の製造方法の一例を以下に示す。
一般式(1ES)の化合物は、例えば、二重結合を有するカルボン酸(8)と、o−ニトロベンジルアルコール誘導体(9)を反応させエステル(10)を生成し、該二重結合を塩化白金(IV)酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)を触媒として、トリメトキシシランとクロロジメチルシランとジクロロメチルシランとトリクロロシランから選ばれる化合物と反応させることにより得られる。エステルの生成は、例えば、WSC・HCl[WSCは水溶性カルボジイミドの略であり、WSC・HClとしては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドハイドロクロライドが挙げられる。]と、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で行われる。また、エステル(10)は、二重結合を有するカルボン酸(8)を塩化チオニル(SOCl2)等を用いる公知の方法で酸塩化物とし、o−ニトロベンジルアルコール誘導体(9)とDMAPのような第三級アミンの存在下反応させることによって得ることもできる。一般式(9)の化合物は、例えば、市販されている4位と5位にアルコキシ基を有する2−ニトロベンズアルデヒドのカルボニル基を水素化ホウ素ナトリウムで還元する等の公知の方法で合成できる。
一般式(2ES)の化合物も同様な方法で合成でき、クロロジメチルシリル基とジクロロメチルシリル基とトリクロロシリル基の導入には、各々対応するクロロジメチルシランとジクロロメチルシランとトリクロロシランを使用することができる。
一般式(1ES)と一般式(2ES)のエステル化合物の製造方法は、これに限らず、公知の方法が利用できる。また、b個のメチレン基が炭化水素基の側鎖を有する一般式(1)のエステル化合物(1ES)と一般式(2)のエステル化合物(2ES)は、対応するアルコールを用いて合成することができる。
上記一般式(2ET)および(2ES)で表される化合物は、特開2002−80481号公報に記載された方法(例えば、実施例〔0022〕、〔0033〕)で合成することができる。
上記フェノール性水酸基を有する樹脂ポリマーに関して、ヒドロキシル基の存在位置は、特に限定されず、側鎖の一部であってもよい。なお、樹脂ポリマーの重量平均分子量は、共に、好ましくは、1000以上であり、さらに好ましくは、1500〜30万の範囲である。樹脂ポリマーは、具体的には、クレゾールホルムアルデヒド樹脂{例えば、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂とp−クレゾールホルムアルデヒド樹脂の混合、フェノール/クレゾール(クレゾールとしては例えば、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾールとp−クレゾールの混合、または、m−クレゾール、o−クレゾールの混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂など}、レゾール型フェノール樹脂類、ピロガロール・アセトン樹脂、ポリビニルフェノール、ビニルフェノールとスチレンの共重合体、t−ブチル置換ポリビニルフェノール樹脂等が好ましい。
上記樹脂ポリマーへの、一般式(1ET)、(1ES)、(2ET)および(2ES)で表される化合物の導入率は、5〜100%が好ましい。導入率が、5%以上の場合、露光部と、未露光部における現像液に対する溶解性の差(コントラスト)が良好である。なお、導入率とは、樹脂ポリマーの有する水酸基のうち、式(1ET)等で表される化合物が結合したものの占める割合を言う。
本発明で使用される高分子化合物(IV)、(V)は、1種または2種以上混合して用いてもよい。これら高分子化合物の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは0.01〜30重量%、さらに好ましくは0.01〜20重量%である。添加量が0.01重量%以上の場合は、現像液に対する処理m2が特に良好となり、30重量%以下、特に20重量%以下では感度が特に高くなる。
本発明の画像形成組成物の着色を目的として、染料を添加することができる。当該染料としては、油溶性染料、塩基性染料、ロイコ系色素がある。具体的には、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ビクトリアブルー、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンB、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー613(オリエント化学工業社製)、オイルグリーン等を挙げることができる。ロイコ系色素としては、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,6,6'−トリス(ジメチル−アミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドール−3−イル)フタリド等が好ましい。これらの染料の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは0.01〜5.0重量%であり、さらに好ましくは0.01〜4.0重量%である。0.01重量%以上であると、画像形成層の着色が特に良好で画像が見やすくなり、5.0重量%以下、特に4.0重量%以下であると、現像後の非画像部に染料の残りが残りにくくなるので好ましい。
さらに、本発明の画像形成組成物より形成された感光層には、感光層の感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加することができる。上記親油性の樹脂としては、例えば、特開昭50−125806号公報に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、またはt−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
本発明の画像形成組成物には、さらに必要に応じて、感度を向上させる目的で、ブロック化イソシアネートを添加することができる。ブロック化イソシアネートは、イソシアネート基を化学的に保護した化合物であり、その保護基が好ましくは80℃以上で解離する化合物である。例えば、保護基がフェノールの場合、ブロック化イソシアネートであるRNHCOOPhは、熱により分解し、RNCOとなる。保護基としては、フェノール系化合物、カプロラクタム、オキシム類などがある。ブロック化イソシアネートは、液状であっても固体であっても良い。
保護基としてのフェノール系化合物として、フェノール、p−クロロフェノール、p−ニトロフェノール、o−ニトロフェノール、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、メトキシフェノール、p−フェニルフェノール、チモール、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロへキサン、4,4−チオビス(p−ヒドロキシフェノール)、4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
オキシム類として、メチルエチルケトンオキシム、メチルブチルケトンオキシム、ジエチルケトンオキシム、ジブチルケトンオキシム、アセトフェノールオキシム、エチルフェノールケトンオキシム、プロピルアルデヒドオキシム、ブチルアルデヒドオキシムなどの他にジオキシム体が挙げられる。
イソシアネート化合物として、フェニルイソシアネート、p−ブロモフェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、m−クロロフェニルイソシアネート、o−クロロフェニルイソシアネート、m−クロロフェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、2,5−ジメチルフェニルイソシアネート、2,5−ジクロロフェニルイソシアネート、o−メトキシフェニルイソシアネート、p−メトキシフェニルイソシアネート、o−エトキシフェニルイソシアネート、p−エトキシフェニルイソシアネート、m−ニトロフェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、o−トリルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、p−ブロモフェニルイソシアネート等が挙げられる。
これら、ブロック化イソシアネート化合物の添加量は、画像形成組成物の全固形分に対して好ましくは0.01〜5.0重量%であり、さらに好ましくは0.01〜4.0重量%である。0.01重量%以上では、画像形成層の硬化が特に良好であり、5.0重量%以下、特に4.0重量%以下では、現像後の非画像部に特に残りにくくなるので好ましい。
本発明の感光層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加することもできる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸トリブチル等が用いられる。
また本発明における画像形成組成物には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。上記非イオン界面活性剤および両性界面活性剤の画像形成材料の全固形分中に占める割合は、0.005〜15重量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜10重量%である。0.005重量%以上、特に0.01重量%以上では、現像性が特に良好であり、また15重量%以下、特に10重量%以下では、インキ着肉が特に良好になる。
本発明の画像形成組成物の各成分を適当な溶媒に溶解させて、支持体上に塗布し乾燥することにより感光性平版印刷版を製造することができる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノ−ル、メチレンクロライド、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
塗布方法は、従来公知の方法、例えば回転塗布、押し出し塗布、ワイヤーバー塗布、ロール塗布、エアーナイフ塗布、ディップ塗布およびカーテン塗布等が可能である。塗布量は、用途により異なるが、固形分として0.5〜5.0g/m2が好ましい。
本発明で使用される支持体としては、アルミニウム、亜鉛、銅、鋼等の金属板、クロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキまたは蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム、ガラス板、樹脂が塗布された紙、親水化処理されたプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、ブラシまたはボール研磨したアルミニウム板、ブラシ研磨した後、陽極酸化処理を施したアルミニウム板、電解研磨した後、陽極酸化を施したアルミニウム板、あるいは、これらを組み合わせた処理を施したアルミニウム板が特に好ましい。
このように前処理を施したアルミニウム板に、さらにケイ酸アルカリ、リン酸ソーダ、弗化ナトリウム、弗化ジルコニウム、アルキルチタネート、トリヒドロキシ安息香酸などの単独または混合液による化成処理や、熱水溶液への浸漬または水蒸気浴などによる封孔処理や、酢酸ストロンチウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、安息香酸カルシウムなどの水溶液による被覆処理や、ポリビニルピロリドン、ポリアミンスルホン酸、ポリビニルフォスフォン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などによる表面または裏面被覆処理を後処理として行うこともできる。
さらに、上記支持体として、特開平10−297130号に記載の表面処理を施したアルミニウム支持体等も使用することができる。
本発明の画像形成組成物に、活性光線を照射するためのレーザー光源としては、近赤外から赤外線領域に発振波長を有する固体あるいは半導体レーザー光が好ましい。
本発明においては、レーザー照射後、すぐに現像処理を行ってもよいが、レーザー照射工程と現像工程の間に加熱処理(プレヒート)を行うと好ましい。加熱処理は、100℃〜200℃の範囲で10秒から3分間行うと好ましい。この加熱処理によって、半導体レーザーによりレーザーを照射する時、画像形成に必要なレーザーエネルギーを減少させることができ、高価な半導体レーザーの寿命を長くすることができる。
本発明の画像形成組成物の現像に用いられる現像液として、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。
上記のアルカリ水溶液には、必要に応じて活性剤を添加することができる。上記活性剤として、陰イオン界面活性剤あるいは両性界面活性剤を使用することができる。
上記イオン界面活性剤として、例えば炭素数が8から22のアルコールの硫酸エステル類(例えばポリオキシエチレンアルキルサルフェートソーダ塩)、アルキルアリールスルホン酸塩類(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンドデシルフェニルサルフェートソーダ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホンソーダ、ナフタレンスルホンソーダのホルマリン縮合物)、ソジウムジアルキルスルホクシネート、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどを用いることができる。また、両性界面活性剤として、例えばアルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型活性剤が好ましい。さらに上記のアルカリ水溶液中には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸マグネシウム等の水溶性亜硫酸塩を添加することもできる。
以下に実施例により、本発明をさらに具体的に示すが、本発明はこれに限定されるものでない。
〔合成例1(アルカリ可溶性共重合体a)〕
攪拌機、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、p−イソプロペニルフェノール 20.0g、アクリロニトリル 5.3g、フェニルカルバミン酸エチルメタアクリレート 12.5g、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル 54.5gおよびジメチルアセトアミド 125.4gを入れ30分ほど窒素置換した。次に油浴で73℃に加温してから、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 0.25gを加え2時間攪拌した。この反応混合物にさらに、p−イソプロペニルフェノール 20.0g、アクリロニトリル 5.3g、(フェニルカルバミン酸エチルメタアクリレート)12.5g、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル 54.5gおよびジメチルアセトアミド 125.4gおよび2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 0.25gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに2時間ほど73℃で攪拌し、濃度30重量%のアルカリ可溶性共重合体aを得た。
〔合成例2(アルカリ可溶性共重合体b)〕
攪拌機、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミド10.7g、アクリロニトリル 8.5g、フェニルカルバミン酸エチルメタアクリレート 5g、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル 29.04g、メタクリル酸 4.8gおよびジメチルアセトアミド 125.4gを入れ30分ほど窒素置換した。次に油浴で73℃に加温してから、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 0.25gを加え2時間攪拌した。この反応混合物にさらに、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミド10.7g、アクリロニトリル 8.5g、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル 29.04g、メタクリル酸 4.8gおよびジメチルアセトアミド 125.4gおよび2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 0.25gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに2時間ほど73℃で攪拌し、濃度30重量%のアルカリ可溶性共重合体bを得た。
〔合成例3(アルカリ可溶性共重合体c)〕
攪拌機、冷却管を備えた500mlの四つ口フラスコに、p−イソプロペニルフェノール 14.9g、アクリロニトリル 9.0g、メタクリル酸 4.9g、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)メチル 33.9g、二官能ウレタンアクリレートM−1600(東亞合成化学社製) 5.0g、ヒドロキシエチルメタアクリレート 3.25gおよびジメチルアセトアミド 165.5gを入れ30分ほど窒素置換した。次に油浴で73℃に加温してから、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 0.25gを加え2時間攪拌した。この反応混合物にさらに、p−イソプロペニルフェノール 14.9g、アクリロニトリル 9.0g、メタクリル酸 4.9g、メタクリル酸2−(O−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)メチル 33.9g、M−1600 5.0g、ヒドロキシエチルメタアクリレート 3.25gおよびジメチルアセトアミド 165.5gおよび2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 0.25gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに2時間ほど73℃で攪拌し、濃度30重量%のアルカリ可溶性共重合体cを得た。
〔一般式(IV)で表される高分子化合物Aの合成〕
フェノール性水酸基を含有する樹脂ポリマーとして、ピロガロール−アセトン樹脂(0.173g)およびシランカップリング剤として、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル(0.52g:理論導入率100%)をヘキサン(6ml)中に混合させ、70℃で1時間加熱攪拌を行なった後、へキサンを分留して、高分子化合物Aを得た。なお、IRスペクトルにより−O−Si−に起因するピークが新たに出現した。また、理論導入率100%とは、シランカップリング剤の量が、ポリマーの有する水酸基に対して化学量論的に当量であることをいう。なお、4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル−6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテルは、以下のように合成した。
〔4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジル 6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテルの合成〕
20mlナスフラスコを窒素置換し、5−ヘキセニル4,5−ジメトキシ−2−ニトロベンジルエーテル 2.95g(10.0mmol)、トリメトキシシラン1.47g(12mmol)、ハイドロゲンヘキサクロロプラチナート(IV)六水和物H2PtCl6・6H2Oを極少量加え、37℃で30分間撹拌し、その後100℃までバス温を上げ、2時間で反応を終了した。中圧カラムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。溶出液としてヘキサン:酢酸エチル:テトラメトキシシラン=100:20:1(体積比)を用い、目的物を1.4g(3.35mmol)得た。収量1.4g、収率34%。Rf値(上記溶出液)0.1。
1H-NMR (400MHz, CDCl3/TMS): δ7.71 (s, 1H, Ar), 7,31 (s, 1H, Ar), 4.89 (s, 2H, Ar-CH 2-O-), 3.96-3.99 (s, 6H, Ar-OCH 3) 3.58-3.61 (s, 2H, -O-CH 2-CH2-), 3.57 (s, 9H, -Si(OCH 3)3), 1.4-1.7 (m, 8H, -CH2-(CH 2)4-CH2-), 0.63-0.67 (m, 2H, -CH 2-Si-)。 FT-IR (NaCl): 2936 cm-1 (C-H), 2843 (C-H), 1520 (NO2), 1328 (NO2), 1276 (C-O-C)。
〔一般式(V)で表される高分子化合物Bの合成〕
フェノール性水酸基を含有する樹脂ポリマーとして、マルカリンカーCST50(ビニルフェノール:スチレン=5:5)(丸善石油化学社製)(0.215g)およびシランカップリング剤として、2−ニトロベンジル−6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテル(0.34g:理論導入率100%)をへキサン(6ml)中に混合させ、70℃で1時間加熱攪拌を行なった後、へキサンを分留して、高分子化合物Bを得た。この化合物は、高分子化合物Aの合成と同様に帰属を行った。なお、2−ニトロベンジル−6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテルは、以下のように合成した。
〔2−ニトロベンジル−6−(トリメトキシシリル)ヘキシルエーテルの合成〕
20mlナスフラスコを窒素置換し、5−ヘキセル−2−ニトロベンジルエーテル2.5g(10.7mmol)、トリメトキシシラン1.56g(12.8mmol)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物を極く少量加え、37℃で30分間攪拌、その後100℃で2時間まで反応させた。室温に戻し、ショートパスを用いて減圧蒸留により精製を行なった。第2留(0.2mmHg/123−125℃/1.98g)から目的物1.98g(収率52%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3/TMS): δ7.4-8.1 (m, 4H, Ar),4.9 (s, 2H, Ar-CH 2-O-), 3.6 (m, 9H, -O-CH 2-CH2-), 3.58 (s, 2H, Si-(OCH 3)3), 1.7 (m, 2H, -CH2-CH 2-CH2-),1.4 (m, 6H, -CH2-CH2-CH2-), 0.70 (t, 2H, -CH 2-Si-)。
FT-IR (NaCl): 2935 cm-1 (C-H), 2844 (C-H), 1528 (NO2), 1344 (NO2), 1191 (C-O-C)。
〔支持体の作製〕
厚さ0.24mmのアルミニウム(材質1050)をアルカリ脱脂した後、パーミストンの水懸濁液をかけながらナイロンブラシで表面を研磨し、よく水洗した。次いで、70℃、15重量%水酸化ナトリウム水溶液を5秒間かけ流し、表面を3g/m2エッチングした後、さらに水洗を行ない、次いで、1N塩酸浴中で200クーロン/dm2で電解粗面化処理を行った。引き続き水洗した後、15重量%水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行った後、20重量%の硝酸水溶液に浸漬して、デスマットした。次いで、15重量%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行って、1.8g/m2の酸化皮膜を形成し、水洗の後、50℃の2重量%のフッ化カリウム溶液で後処理し、水洗、乾燥した。
[実施例1]
得られたアルミニウム支持体上に以下の感光液1を乾燥後の膜厚が1.6g/m2になるように回転塗布機を用いて塗布し、恒温槽で100℃で10分間乾燥して平版印刷版を得た。
(感光液1)
アルカリ可溶性共重合体a(0.4g)
アルカリ可溶性共重合体c(0.6g)
酸発生剤:2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤:下記に示すシアニン系化合物A(0.2g)
アルカリ可溶性樹脂:ノボラック樹脂(PSF−2803)(群栄化学工業社製)(1.5g)、ノボラック樹脂(PSF−2807)(群栄化学工業社製)(1.15g)
イハラキュアミンMT(イハラケミカル社製)(0.05g)
高分子化合物A(0.1g)
染料:オイルブルー613(0.01g)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルセロソルブアセテート=45ml/5ml
[実施例2]
実施例1と同じ支持体上に以下の感光液2を乾燥後の膜厚が1.6g/m2になるように回転塗布機を用いて塗布し、恒温槽で100℃で10分間乾燥して平版印刷版を得た。
(感光液2)
アルカリ可溶性共重合体a(0.4g)
アルカリ可溶性共重合体c(0.6g)
酸発生剤:2−(p−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤:シアニン系化合物A(0.2g)
アルカリ可溶性樹脂:ノボラック樹脂(PSF−2803)(群栄化学工業社製)(1.5g)、ノボラック樹脂(PSF−2807)(群栄化学工業社製)(1.2g)
エラスマー1000(イハラケミカル社製)(0.05g)
高分子化合物B(0.1g)
染料:クリスタルバイオレット(0.01g)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルセロソルブアセテート=45ml/5ml
[実施例3]
実施例1と同じ支持体上に以下の感光液3を乾燥後の膜厚が1.6g/m2になるように回転塗布機を用いて塗布し、恒温槽で100℃で10分間乾燥して平版印刷版を得た。
(感光液3)
アルカリ可溶性共重合体b(1.0g)
酸発生剤:2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤:シアニン系化合物A(0.2g)
アルカリ可溶性樹脂:ノボラック樹脂(PSF−2803)(群栄化学工業社製)(0.8g)、ノボラック樹脂(PSF−2807)(群栄化学工業社製)(0.2g)
エラスマー1000(イハラケミカル社製)(0.05g)
染料:クリスタルバイオレット(0.01g)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルセロソルブアセテート=45ml/5ml
[比較例1]
実施例1と同じ支持体上に下記画像形成組成物を、実施例1と同様に塗布、乾燥して平版印刷版を得た。
(感光液4)
アルカリ可溶性共重合体a(0.4g)
アルカリ可溶性共重合体c(0.6g)
酸発生剤:2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤:シアニン系化合物A(0.2g)
アルカリ可溶性樹脂:ノボラック樹脂(PSF−2803)(群栄化学工業社製)(1.5g)、ノボラック樹脂(PSF−2807)(群栄化学工業社製)(1.15g)
染料:クリスタルバイオレット(0.01g)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルセロソルブアセテート=45ml/5ml
[比較例2]
実施例1と同じ支持体上に下記画像形成組成物を、実施例1と同様に塗布、乾燥して平板印刷板を得た。
(感光液5)
架橋剤:レゾ−ル樹脂(ビスフェノールAタイプ)(1.0g)
酸発生剤:2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(0.1g)
赤外線吸収剤:シアニン系化合物A(0.2g)
アルカリ可溶性樹脂:ノボラック樹脂(PSF−2803)(群栄化学工業社製)(1.5g)、ノボラック樹脂(PSF−2807)(群栄化学工業社製)(1.15g)
染料:クリスタルバイオレット(0.01g)
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル/メチルセロソルブアセテート=45ml/5ml
得られた各平版印刷版を波長830nmの半導体レーザー(クレオ社製:Trendsetter 400QTM)を用いて、各種の露光エネルギーで175線、1〜99%の網点画線を画像露光し、135℃で20秒間加熱し、次いで、下記組成を有するアルカリ現像液(岡本化学工業社製 ポジ型平版用No.4現像液)の14倍希釈液を仕込んだ自動現像機(PK-1310 II)にて、30℃、20秒で現像した。
次に以下の各評価を行い、その結果を表1に示す。感度(最低露光エネルギー)の評価として、上記現像液で現像した印刷版を網点濃度計(X−RITE)で50%網点が計測出来たところを最低露光量と判断した。また、現像ラチチュードの評価として、上記現像液中に露光済みの印刷版を浸漬し、画像部(露光部)が消滅するまでの時間を測定した。また、現像ラチチュードの更なる評価として、上記現像液の現像条件において、未現像になるまでの処理枚数(処理m2数/L)を測定した。また、耐刷性の評価として、上記現像液の現像条件において現像した各印刷版をリョービ480D機で市販インキにて、上質紙に印刷し、画像がかすれるまでの枚数を数えて判断した。また、耐キズ性の評価として、布を巻きつけたペンで意図的にキズをつけてそのまま露光、通常より5秒多い現像(25秒)を行ないキズ発生状況からキズ性を判断した。
さらに、印刷時の汚れ性評価として、温度45℃、湿度75%の高温、高湿度化条件下で5日間裸で平版印刷版を保存した後、各々の印刷版を波長830nmの半導体レーザー(クレオ社製:Trendsetter 400QTM)を用いて、各種の露光エネルギーで175線、1〜99%の網点画線を画像露光後、135℃で20秒間加熱し、岡本化学工業社製 ポジ型平版用No.4現像液の14倍希釈液を仕込んだ自動現像機(PK-1310 II)にて、30℃、20秒で現像した。各印刷版をリョービ480D機で市販インキにて、上質紙に印刷し、非画像部に汚れが発生するかで評価した。
<評価基準>
*耐キズ性:◎画像部を侵さない。○キズは確認できる。×完全に画像部が剥離する。
*汚れ性:◎非画像部を汚さない。×非画像部にインキが残る。
表1から明らかなように、本発明にかかる画像形成組成物を設けた平版印刷版は、高温、高湿度化で保存しても非画像部に汚れが無く、保存安定性に優れ、赤外線領域に対する感度が高い、優れたダイレクト製版用印刷版である。さらに、本発明にかかるネガ型画像形成組成物およびそれを用いたネガ型感光性平版印刷版は、一般式(IV)、(V)で表される高分子化合物を含有することによって、現像ラチチュードが広く、現像液に対する処理m2、耐キズ性、耐刷性においても優れている。