JP5972811B2 - 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および色素増感太陽電池 - Google Patents
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Description
そこで、軽量、フレキシブル、ガラス基板の太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、印刷精度が高く、光電変換効率と耐久性のバラツキが小さい色素増感太陽電池の開発が望まれていた。
上記状況を鑑み、本発明は、軽量、フレキシブル、ガラス基板の太陽電池と比べても光電変換効率の低下が少なく、光電変換効率と耐久性のバラツキが小さい光電変換素子、光電変換素子の製造方法および色素増感太陽電池を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(2)前記基板上に、該基板側から順に、前記第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する前記感光体、前記電荷移動体、および前記対極が積層されてなる光電変換素子である(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記多孔質半導体微粒子層が、酸化チタン、酸化スズまたは酸化亜鉛である(1)または(2)に記載の光電変換素子。
(4)前記多孔質半導体微粒子層が、酸化チタンである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(5)前記色素が、金属錯体色素である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(6)前記金属錯体色素が、RuまたはOs元素を含む金属錯体色素である(5)に記載の光電変換素子。
(7)前記絶縁層の圧縮方向の歪みが、0.005〜0.25%である(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(8)前記絶縁層付き金属基板を構成する金属部分が、アルミニウムよりも、線熱膨張係数が小さく、かつ剛性が高く、かつ耐熱性が高い金属からなる基材の少なくとも一方の面に、加圧接合によりアルミニウム材が一体化されてなる(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光電変換素子。
(9)前記基材を構成する金属部分の金属が、フェライト系ステンレス鋼からなる(8)に記載の光電変換素子。
(10)基板上に、第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子の製造方法であって、少なくともアルミニウム基材を備える金属基板の該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面を、厚さが3μm以上20μm以下であって、かつ室温で圧縮方向の歪みを有するアルミニウムのポーラス型陽極酸化皮膜の絶縁層を形成する工程を含む工程で該基板を作製し、該基板上に、該第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造を設ける光電変換素子の製造方法。
(11)前記絶縁層付き金属基板を構成する金属部分が、アルミニウムよりも、線熱膨張係数が小さく、かつ剛性が高く、かつ耐熱性が高い金属からなる基材の少なくとも一方の面に、加圧接合によりアルミニウム材が一体化されてなる(10)に記載の光電変換素子の製造方法。
(12)前記基材を構成する金属部分の金属が、フェライト系ステンレス鋼からなる(11)に記載の光電変換素子の製造方法。
(13)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
本発明の光電変換素子の好ましい一実施態様を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、光電変換素子100は、基板1、第1電極2、色素が吸着された多孔質半導体微粒子を有する感光体3、電荷移動体4、および対向電極基板9からなる。対向電極基板9は第2電極5、および透明基板6からなる。感光体3が形成された第1電極2は光電変換素子100において作用電極として機能する。この光電変換素子100を外部回路8で仕事をさせる電池用途に使用できるようにして、色素増感太陽電池を利用したシステムとして示している。ここで、受光電極7は、基板1、第1電極2、色素が吸着された多孔質半導体微粒子を有する感光体3よりなる電極である。
<基板>
本発明の光電変換素子100において、基板1は、図2に示すように、基材12と、アルミニウム層(以後、Al層と称す)14と、絶縁層16とから構成される。
基材12とAl層14とは、一体的に形成されている。さらに、絶縁層16は、Al層14の表面を陽極酸化してなる、アルミニウム(以後同様にAlと称す)のポーラス構造の陽極酸化膜である。なお、基材12とAl層14とが積層されて一体化されたものを金属基板15という。
この異なる金属としては、例えば、アルミニウムおよびアルミニウム合金よりもヤング率が大きな金属または合金が用いられる。さらには、基材12は、熱膨張係数が絶縁層16を構成する陽極酸化皮膜よりも大きく、かつアルミニウムよりも小さいことが好ましい。さらにまた、基材12は、ヤング率が絶縁層16を構成する陽極酸化皮膜よりも大きく、かつアルミニウムよりも大きいことが好ましい。
上述のことを考慮すると、図2(a)においては、基材12に、例えば、炭素鋼およびフェライト系ステンレス鋼等の鋼材が用いられる。しかも、基材12に用いられる前述の鋼材は、アルミニウム合金よりも300℃以上での耐熱強度が高いため、耐熱性が良好な基板1が得られる。
また、フェライト系ステンレス鋼としては、SUS430、SUS405、SUS410、SUS436、SUS444等を用いることができる。
鋼材としては、これ以外にも、一般的にSPCC(冷間圧延鋼板)と呼ばれるものが用いられる。
図2(a)においては、基材12の厚さは、例えば、10〜800μmであり、好ましくは30〜300μmである。より好ましくは50〜150μmである。基材12の厚さを薄くすることは、原材料コストの面からも好ましい。
基材12をフレキシブルなものとする場合、基材12は、フェライト系ステンレス鋼が好ましい。
Al層14としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
Al層14には、例えば、アルミニウムハンドブック第4版(軽金属協会(1990))に記載の公知の素材のもの、具体的には、JIS1050材、JIS1100材などの1000系合金、JIS3003材、JIS3004材、JIS3005材などの3000系合金、JIS6061材、JIS6063材、JIS6101材などの6000系合金、国際登録合金3103A等を用いることができる。
また、上述のように、Al層14には、コストの点で有利な工業用アルミニウムも利用することができる。しかしながら、絶縁層16の絶縁性の観点から、Al層14中にSiが析出していないものが好ましい。
絶縁層16を形成する陽極酸化皮膜は、室温(23℃)で、圧縮方向Cの歪み(以下、圧縮歪みともいう)を有しており、この歪みの大きさは、0.005〜0.25%である。通常、アルミニウムの陽極酸化皮膜には、引張歪みが生じている。
室温において、陽極酸化皮膜に圧縮方向の歪みが与えられることにより、耐クラック性が向上する理由は、次のように説明できる。ここでは、例として耐熱クラック耐性向上の機構を模式的に説明するが、引張り力に対して陽極酸化皮膜の破断が抑制されるという点で、曲げ、温度変化といった外部からの応力に対する耐クラック性の向上全般にわたって同様の機構が働くことが推定される。
この圧縮化効果は、図5に模式的示すように領域αで発現しやすく、この領域αにおいて、矢印A方向に進むにつれて圧縮化効果が大きくなる。すなわち、アニール処理において、高温かつ長時間になる程、圧縮化効果が大きくなる。
さらには、このアニール処理時の雰囲気は、真空中でも大気雰囲気中であっても、同様に陽極酸化皮膜の歪みを圧縮歪みに変化させる圧縮化効果が得られることを確認している。
また、上述のように、温度が50℃〜98℃の水溶液を用いて、金属基板15を室温における使用状態よりも伸長させた状態で陽極酸化皮膜に圧縮歪みを与える場合には、大きな圧縮歪みを与えることが難しい。このため、その上限値は150MPa程度である。
また、絶縁層16の表面18aの表面粗さは、例えば、算術平均粗さRaで1μm以下であり、好ましくは、0.5μm以下、より好ましくは、0.1μm以下である。
さらには、本実施形態では、基材12とAl層14の2層構造の金属基板15としたが、本発明においては、少なくともAl層14があればよいため、基材12がAl層14と同一のAl層14からなってもよいため、金属基板15がAl層14のみからなっていてもよく、図2(c)に示す基板1bのように、金属基板15bはAl層14のみからなってもよい。また、金属基板15、15aの基材12は、複数層でもよい。
次に、金属基板15を溶解して、金属基板15を除去し、基板1から陽極酸化皮膜を取り出す。その後、陽極酸化皮膜の長さを測定する。
この金属基板15の除去前後の長さから、歪みを求める。
陽極酸化皮膜の長さが、金属基板15が除去後に長くなる場合、陽極酸化皮膜に圧縮力が付与されている。すなわち、陽極酸化皮膜には圧縮方向の歪みがかかっている。一方、陽極酸化皮膜の長さが金属基板15の除去後に短くなる場合、陽極酸化皮膜に引張力が付与されている。すなわち、陽極酸化皮膜には引張方向の歪みがかかっている。
金属基板15を溶解する場合、例えば、塩化銅塩酸水溶液、塩化水銀塩酸水溶液、塩化スズ塩酸水溶液、ヨードメタノール溶液などが用いられる。なお、金属基板15の組成に応じて、溶解するための溶液は適宜選択される。
上述の基材12の反り・たわみ量は、例えば、レーザを用いて光学的に精密に計測する方法により測定される。具体的には、「表面技術」58,213(2007)および「豊田中央研究所R&Dレビュー」34,19(1999)に記載されている各種の測定方法を、基材12の反り・たわみ量の測定に用いることができる。
また、陽極酸化皮膜のヤング率は、基板1から金属基板15を除去し、陽極酸化皮膜を取り出し、この取り出した陽極酸化皮膜について、押し込み試験機、ナノインデンター等を用いた圧子押し込み試験によっても求めることができる。
なお、上述以外の方法を用いてヤング率の測定を行ってもよいことは言うまでもない。
次に、本発明の基板1の製造方法について説明する。
まず、基材12を準備する。この基材12は、形成する基板1の大きさにより、所定の形状および大きさに形成されている。
次に、基材12の表面12aおよび裏面12bに、Al層14を形成する。これにより、金属基板15が構成される。
以下に、絶縁層16である陽極酸化皮膜の形成方法について説明する。
なお、陽極酸化処理については、例えば、公知のいわゆるロールトゥロール方式の陽極酸化処理装置により行うことができる。
陽極酸化処理前には、必要に応じてAl層14の表面14aに洗浄処理・研磨平滑化処理等を施す。
なお、室温における使用状態とは、基板1が、色素増感太陽電池の最終製品として利用される場合における、室温での金属基板15の状態のことである。
また、枚葉処理する場合には、治具を用いて陽極酸化槽に金属基板15を固定して金属基板15を伸長させた状態にし、陽極酸化処理を行うことが好ましい。
このようなポーラス構造を有する陽極酸化皮膜は、非ポーラス構造の酸化アルミニウム単体膜と比較して膜のヤング率が低いものとなり、曲げ耐性および高温時の熱膨張差により生じるクラック耐性が高いものとなる。
このように50〜98℃の水溶液中で、陽極酸化を行う場合、水溶液は温度25℃におけるpKa(酸解離定数)が2.5〜3.5の酸からなるものを用いることが好ましい。
なお、陽極酸化処理に用いる水溶液は、沸点が100℃+沸点上昇分となるものの、水溶液の沸点で陽極酸化処理を行うのは現実的ではなく、しかも、温度が高い程、副生成物(ベーマイト)が生じる。このため、水溶液の温度の上限値は、沸点よりも低い98℃であり、好ましくは、水溶液の温度の上限値は95℃以下である。
pKaが2.5未満であると、高温においては、陽極酸化皮膜の生成に対して、溶解速度が高すぎ、陽極酸化皮膜が安定に成長しなかったり、比較的薄い膜厚で限界膜厚に達してしまったり、絶縁層16としては不十分な陽極酸化皮膜となる場合がある。
バリア型の陽極酸化皮膜は、本発明のポーラス型の陽極酸化皮膜とは異なり、緻密な構造を有している。その膜厚は、陽極酸化電圧にほぼ比例することが知られている。1000Vを超えるような電圧で陽極酸化を行うと、陽極酸化中に絶縁破壊が生じるため、厚さが2μmを超えるような陽極酸化皮膜を得ることは難しく、また、大気中で絶縁性を確保しづらい。さらに、緻密な膜であることから、応力を受けた際に、破断が生じやすく、ポーラス型陽極酸化皮膜に比べて耐クラック性が低い。
pKaが2.5〜3.5のカルボン酸類で陽極酸化を行うと、陽極酸化皮膜中にカルボン酸のアニオン(酸根と呼ばれる)が含有されて、炭素が含まれる陽極酸化皮膜が形成される。
この場合、陽極酸化皮膜に作用する圧縮応力の大きさは、2.5〜150MPaである。
陽極酸化処理後に、マスキングフィルム(図示せず)を剥がすことにより、上述の基板1を得ることができる。
この厚さは、定電流電解、定電圧電解の電流、電圧の大きさおよび電解時間により制御可能である。
この自己規則化法は、陽極酸化皮膜の微細孔(マイクロポア)が規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させ、その後、脱膜処理を行う。
この自己規則化法においては、微細孔の径は、印加電圧に依存するので、印加電圧を制御することにより、ある程度所望の微細孔の径を得ることができる。
その結果、これらの公知文献に記載されている方法では、微細孔の微細孔径は種々異なるが、微細孔径のばらつき(変動係数)は3%以下となっている。
なお、アニール処理は、例えば、陽極酸化皮膜に対して、600℃以下の温度で行う。また、アニール処理は、加熱温度が100〜600℃、保持時間が1秒〜100時間のアニール条件で行うことが好ましい。この場合、アニール処理の加熱温度は、Al層14の軟化温度以下である。アニール条件を変えることにより、所定の圧縮歪みとすることができる。上述の如く、図6に示すように、アニール条件としては、加熱温度を高く、保持時間を長くすることにより、陽極酸化皮膜の圧縮歪みを大きくすることができる。
金属基板15にアルミニウム材を用いる場合は、長時間ほどアルミニウムの軟化、クリープ現象が甚だしく、基材の変形を引き起こす虞があり、また、生産性の点からも、好ましくは、50時間以下、さらに好ましくは10時間以下、特に好ましくは1時間以下である。一方、アルミニウムとは異なる金属からなる基材12の少なくとも片面にアルミニウム基材が設けられている金属基板15を用いる場合は、長時間ほどアルミニウムと基材12の界面に金属間化合物が形成され、甚だしい場合には界面の剥離にいたる虞があり、また、生産性の点からも、好ましくは10時間以下、さらに好ましくは2時間以下、特に好ましくは30分以下である。
しかも、基板1は、絶縁層16としてアルミニウムの陽極酸化皮膜を用いており、このアルミニウムの陽極酸化皮膜は、セラミックスであることから、高温でも化学変化を起こしづらく、クラックが発生しなければ信頼性の高い絶縁層16として用いることができる。このため、基板1は、熱歪みに強く、耐熱性基板として用いることができる。
なお、室温で引張歪みが作用している場合には、一旦、割れ、クラックが生じてしまうと、その割れ、クラックを開くように引張力が作用するため、割れ、クラックが開いた状態となってしまう。これにより、基板1は絶縁性を保つことができなくなる。
また、基板1を用いることにより、色素増感太陽電池の製造をロールトゥロールで行えるようになり、生産性を大きく向上させることができる。
第1電極2は、金属(例えば、チタン、パラジウム、白金、鉄、ステンレス鋼、銀、銅、アルミ、ニッケル、亜鉛、モリブデン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、もしくはそれらの合金)、ならびに導電性ポリマー(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン)などを含むがこれらに限定されない。金属はニッケル、スズ等でメッキされていても良い。
第1電極2として好ましくは、チタン、パラジウム、白金、ステンレス鋼であり、更に好ましくはチタン、ステンレス鋼である。ステンレス鋼としては、例えば316ステンレス鋼、332ステンレス鋼などが好ましい。
第1電極2の厚みは1μm以上400μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以上200μm以下である。
本発明における半導体微粒子層は、例えば、半導体微粒子分散液を、前記基材1に、塗布し加熱して、多孔質半導体微粒子層を得ることができる。
半導体微粒子は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子が用いられる。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとしては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましく、酸化チタン(チタニア)が最も好ましい。
分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸またはキレート剤等を分散助剤として少量用いてもよい。
半導体微粒子分散液の粘度が高すぎると分散液が凝集してしまい製膜することができず、逆に半導体微粒子分散液の粘度が低すぎると液が流れてしまい製膜することができない。
従って、分散液の粘度は、25℃で10〜300N・s/m2が好ましい。さらに好ましくは、25℃で50〜200N・s/m2である。
半導体微粒子層全体の好ましい厚さは0.1〜100μmである。半導体微粒子層の厚さはさらに1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の第1電極1m2当りの担持量は0.5g〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
加熱条件としては、100〜650℃で0.1〜20時間とすることが好ましい。さらに好ましくは、150〜600℃で0.5〜15時間である。
なお、高分子材料層と導電性層を積層して第1電極2とする場合には、加熱条件としては、100〜500℃で0.1〜20時間とすることが好ましい。さらに好ましくは、100〜450℃で0.2〜15時間である。
塗布後に圧力をかけても良く、圧力をかける方法としては、特表2003−500857号公報、特開2002−93475号公報、特開2003−282160号公報、及び特開2004−214129号公報が挙げられる。光照射の例としては、特開2001−357896号公報、特開平11−219734号公報、特開2004−314313号公報、特開2005−142446号公報、特開2001−247314号公報が挙げられる。プラズマ・マイクロ波・通電の例としては、特開2002−353453号公報、特開2003−308893号公報、特開2004−265662号公報、特開2004−327369号公報、特開2004−342319号公報、特開2005−116415号公報、特開2005−139498号公報および特開2004−273770号公報が挙げられる。化学的処理としては、例えば特開2001−357896号公報、特開2002−280327号公報、特開2003−281947号公報、特表2005−520314号公報、特開2003−297442号公報が挙げられる。
また、特開2002−100146号公報および特開2004−311354号公報に記載の電気泳動法・電析法を用いても良い。
本発明の光電変換素子は、前記第1電極2上に、例えば、半導体微粒子分散液を塗布し加熱して得られた多孔質半導体微粒子層に、色素を吸着することにより、感光体(感光層とも称す)を得ることができる。感光体は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。一層の感光体中の色素は一種類でも多種の混合でもよいが、そのうちの少なくとも1種は、後述の色素を用いる。本発明の方法により製造される光電変換素子の感光体には、この色素が吸着した半導体微粒子を含む。
本発明の光電変換素子に使用できる色素としては、特に制限はないが、有機色素、錯体色素が挙げられ、なかでも金属錯体色素が好ましい。好ましい金属錯体色素としては、Ru、Os、Zn金属元素を含む錯体色素が挙げられ、なかでもRu、Os金属元素を含む金属錯体色素が好ましく、特に、Ru金属元素を含む金属錯体色素が好ましい。
また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1gに対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。
このような色素量とすることによって、半導体微粒子における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体微粒子に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
色素を吸着した後に、アミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としては4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
以下に、電荷移動体について説明する。
電荷移動体4は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極7と対極電極9との間に設けられる。代表的な例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
マトリックス高分子として好ましくは、含窒素複素環を主鎖あるいは側鎖の繰り返し単位中に持つ高分子およびこれらを求電子性化合物と反応させた架橋体(特開平11−126917号公報、特開2000−86724号公報など)、トリアジン構造を持つ高分子、ウレイド構造をもつ高分子(特開2000−251532号公報)、液晶性化合物を含むもの(特開2000−319260号公報、特開2002−246066号公報)、エーテル結合を有する高分子(特開2000−150006号公報、特開2002−63813号公報、特開2001−338700号公報、特開2002−75480号公報)、ポリフッ化ビニリデン系(特開2003−303628号公報)、メタクリレート・アクリレート系(特開2001−28276号公報、特開2001−210390号公報)、熱硬化性樹脂(特開2002−363414号公報、特開2002−305041号公報)、架橋ポリシロキサン(特開2002−216861号公報)、PVA(特開2002−175841号公報)、ポリアルキレングリールとデキストリンなどの包摂化合物(特開2004−327271号公報)、含酸素または含硫黄高分子(特開2005−108845号公報)を添加した系、天然高分子(特開2005−71688号公報)などが挙げられる。これらにアルカリ膨潤型高分子(特開2002−175482号公報)、一つの高分子内にカチオン部位とヨウ素との電荷移動錯体を形成できる化合物を持った高分子(特開2005−63791号公報)などを添加しても良い。
対向電極基板9は第2電極5および透明基板6からなる。
透明基板6はガラスもしくはプラスチック基板が好ましい。透明基板6は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上が特に好ましい。透明基板6上には、表面に光マネージメント機能を施してもよく、例えば、特開2003―123859号公報に記載の高屈折膜および低屈性率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜、特開2002―260746号公報に記載のライトガイド機能が挙げられる。
対向電極基板9上には、特開平11−250944号公報、特開2003−308892号公報および特開2003−282163号公報に記載の機能を付与してもよい。
本発明の光電変換素子とそれを具備した色素増感太陽電池は、前述のようにして、少なくとも、アルミニウム層と、該アルミニウム層の少なくとも一方の表面を陽極酸化してなるポーラス構造を有する絶縁層16とからなり、該絶縁層16が室温で圧縮方向の歪みを有する基板を作製する。
このような色素溶液には、色素が溶媒に溶解されてなり、必要により共吸着剤や他の成分を含んでもよい。
ここで、色素溶液は、光電変換素子や色素増感太陽電池を作製する際に、この溶液をこのまま使用できるように、金属錯体色素や共吸着剤が濃度調整されているものが好ましい。本発明においては、色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。
同様に、光電変換素子や色素増感太陽電池における電解液の水分含有量の調整も、本発明の効果を効果的に奏するために重要であり、このため、この電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。この電解液の調整は、色素溶液で行なうのが特に好ましい。
下記の手順で光電変換素子を含む色素増感太陽電池を製作し、色素増感太陽電池の出力〔Pmax(mW)〕について評価した。
(1)基板の作製
以下に示す2種類の金属基板15に対して、下記表1に示す条件(電解液濃度と温度)で行い、一定電圧で定電圧電解することにより、金属基板の両面に陽極酸化処理を行い、絶縁層16として陽極酸化皮膜を形成した。その後、下記表1に示すアニール条件(温度と時間)でアニール処理を行った。なお、アニール処理は、空気中で赤外線ランプにより行い、加熱昇温速度1℃/秒で、一定時間保持した。このように、陽極酸化皮膜にアニール処理を行うことにより、下記表1に示す本発明の基板No.101〜113および比較の基板No.c01〜c04の各基板1を作製した。
厚み40μmの高純度Al(Al純度:4N)
金属基板[B]:クラッド材
高純度Al(Al純度:4N)/フェライト系ステンレス鋼(材質:SUS430)/高純度Al(Al純度:4N)=30μm厚/60μm厚/30μm厚
歪みの大きさは、絶縁層16を形成する陽極酸化皮膜の長さを計測し、その後、金属基板15を溶解して取り除いた後の陽極酸化皮膜の長さを測定し、金属基板15を取り除く前後の陽極酸化皮膜の長さに基づいて歪みの大きさを求めた。
ヤング率は、フィッシャーインスツルメンツ社製 PICODENTOR(登録商標) HM500Hを用いて、陽極酸化膜表面から0.5μm、圧子を推し込むことにより測定した。
上記で得られた歪みの大きさとヤング率を用いて、内部応力(=歪み量×ヤング率)を求めた。
基板1の絶縁性については、ロールツーロールハンドリング耐性を含めて評価するため、アニール後の各試料を、予め曲率半径80mmの治具に、絶縁破壊試験を行う面が凸面となるように沿わせ、直交する2方向で、各々10回ずつ曲げ歪を加えた後に絶縁試験を行った。
上記の曲げ試験を行った後に、各基板1について、それぞれ5cm×5cmの大きさに試験片を切り出し、各試験片に直径が3cmの上部金電極を形成した。
各試験片に、上部金電極を形成した後、上部電極とアルミ基板の間に電圧を印加し、10V刻みで徐々に印加電圧を上昇させた。絶縁破壊が起こった電圧を絶縁破壊電圧とした。
なお、印加電圧が1000Vの段階でも絶縁破壊を起こさなかった基板1は、絶縁破壊電圧の欄に1000V以上と記載した。
曲げ試験を行った後に、絶縁破壊試験を行っており、本発明の基板はいずれも絶縁性が優れているが、比較の基板はいずれも絶縁性を失っている。これは、本発明の基板例は圧縮応力が働いて、曲げ試験後もクラックが入らないが、比較の基板は曲げ試験によってクラックが発生したものと推定される。圧縮応力があることで、曲げてもクラックが入りにくく、フレキシブルな基板となり、ロールツーロールハンドリングが可能となる。
以下に示す手順により、光電変換素子を作成した。
(ペーストA)球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;25nm、以下、球形TiO2粒子Aという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペーストを調製した。
(ペースト1)球形TiO2粒子Aと、球形のTiO2粒子(アナターゼ、平均粒径;200nm、以下、球形TiO2粒子Bという)とを硝酸溶液に入れて撹拌することによりチタニアスラリーを調製した。次に、チタニアスラリーに増粘剤としてセルロース系バインダーを加え、混練してペースト(TiO2粒子Aの質量:TiO2粒子Bの質量=30:70)を調製した。
(ペースト2)ペーストAに、棒状TiO2粒子(アナターゼ、直径;100nm、アスペクト比;5、以下、棒状TiO2粒子Cという)を混合し、棒状TiO2粒子Cの質量:ペーストAの質量=30:70のペーストを調製した。
前述の方法で作製した本発明の基板No.101〜113および比較の基板No.c01〜c04に対して、ロールツーロールハンドリング耐性を含めて評価するため、前述の曲げ試験を行った後に、第1電極としてチタン電極を付与し、そして、このチタン電極上に、上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、450℃の条件のもとで焼成した。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、第1電極上に半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO2粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、色素を含有していない光電極を作製した。
基板[A]、[B]とチタン電極の代わりにITOをスパッタしたPEN(ポリエチレンテレフタレート)を用いて、この上に上述のペースト1をスクリーン印刷し、次いで乾燥させた。その後、空気中、150℃の条件のもとで焼成した。なお、150℃よりも高い温度で焼成したものは基盤に変形を生じ、セルの作製に用いることができなかった。更に、ペースト2を用いてこのスクリーン印刷と焼成とを繰り返すことにより、第1電極上に半導体電極(受光面の面積;10mm×10mm、層厚;10μm、半導体層の層厚;6μm、光散乱層の層厚;4μm、光散乱層に含有される棒状TiO2粒子Cの含有率;30質量%)を形成し、色素を含有していない光電極を作製した。
これらの半導体電極を用いて以下の手順に従って作製したセルを比較セルRとした。
次に、半導体電極(色素吸着電極の前駆体)に下記色素R−1を以下のようにして吸着させた。先ず、マグネシウムエトキシドで脱水した無水ブタノールとジメチルホルムアミドの1:1(体積比)の混合物を溶媒として、下記表1に記載の金属錯体色素を3×10−4モル/Lとなるように溶解し、さらに共吸着剤として、ケノデオキシコール酸とコール酸の等モル混合物を金属錯体色素1モルに対して20モル加え、各色素溶液を調製した。次に、この溶液に半導体電極を40℃で10時間浸漬し、引き上げ後50℃で乾燥させることにより、半導体電極に色素が約2×10−7mol/cm2吸着した光電極40をそれぞれ完成させた。
次に、対極として上記の光電極と同様の形状と大きさを有する塩化白金酸で処理したITOをスパッタしたPEN(ポリエチレンナフタレート)シート、電解液として、ヨウ素0.1M、ヨウ化リチウム0.05M、4−t−ブチルピリジン0.25Mを含むヨウ素系レドックスプロピオニトリル溶液を調製した。更に、半導体電極の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備し、光電極40と対極CEを、スペーサーSを介して対向、熱圧着させ、内部に上記の電解質を充填して各光電変換素子(電池No.101〜113、c01〜c04)をそれぞれ完成させた。これらの光電変換素子の色素増感太陽電池の性能を下記のようにして評価した。
電池特性試験を行い、上記色素増感太陽電池の短絡電流密度(Jsc 単位mA/cm2)、開放電圧(Voc 単位v)、フィルファクター(FF)を求め、電池出力を入射エネルギーで除することにより光電変換効率〔η(%)〕を測定した。電池特性試験は、ソーラーシミュレーター(ペクセル・テクノロジーズ株式会社製PEC−L12)を用いた。特性評価はペクセル・テクノロジーズ株式会社製I−V特性計測装置(PECK2400−N)を用いた。評価は同一条件に付き、5個のセルを作製し、光電変換効率評価結果はこれらの平均値として示した。また、バラツキは標準偏差によって評価した。得られた結果を下記の評価基準で評価した。
A:光電変換効率が比較セルRに対し1.3倍以上のもの
B:1.1倍以上1.3倍未満のもの
C:1.1倍未満のもの
なお、下記表2には初期性能として示す。
A:0.07未満 のもの
B:0.07以上0.15未満のもの
C:0.15以上のもの
なお、下記表2には性能のバラツキとして示す。
ナガセケムテック製レジンXNR−5516を用いて作製した光電変換素子の色素増感太陽電池の外周および電解液注入口を封止し、硬化した。この色素増感太陽電池を、65℃の環境下に200時間放置する前後の光電変換効率を測定し、その比を劣化率とした。評価は同一条件に付き、5個のセルを作成し、劣化率の評価結果はこれらの平均値として示した。また、バラツキは標準偏差によって評価した。得られた結果を下記の評価基準で評価した。
A:劣化率がマイナスのもの(良化したもの)
B:100〜90%のもの
C:90%未満のもの
なお、表2には熱耐久性として示す。
A:2%未満のもの
B:2%以上5%未満のもの
C:5%以上のもの
なお、表2には熱耐久性のバラツキとして示す。
これは、曲げ試験を経た基板に、色素増感太陽電池素子を作製したところ、絶縁性が優れた本発明の基板は、クラックがないと思われるために性能が良く、バラツキも殆どないが、絶縁性がなく、クラックが生じていると思われる比較例の基板は、性能のバラツキが大きいと推定される。
2 第1電極
3 感光体
4 電荷移動体
5 第2電極
6 透明基板
7 受光電極
8 外部回路
12 基材(金属基材)
14 アルミニウム基材(Al基材)
15 金属基板
16 絶縁層
100 光電変換素子
Claims (13)
- 基板上に、第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子であって、該基板が、少なくとも、アルミニウム層と、該アルミニウム層の少なくとも一方の表面を陽極酸化してなるポーラス構造を有する絶縁層とからなり、該絶縁層の厚さが3μm以上20μm以下であり、かつ該絶縁層が室温で圧縮方向の歪みを有する光電変換素子。
- 前記基板上に、該基板側から順に、前記第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する前記感光体、前記電荷移動体、および前記対極が積層されてなる光電変換素子である請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記多孔質半導体微粒子層が、酸化チタン、酸化スズまたは酸化亜鉛である請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 前記多孔質半導体微粒子層が、酸化チタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記色素が、金属錯体色素である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記金属錯体色素が、RuまたはOs元素を含む金属錯体色素である請求項5に記載の光電変換素子。
- 前記絶縁層の圧縮方向の歪みが、0.005〜0.25%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記絶縁層付き金属基板を構成する金属部分が、アルミニウムよりも、線熱膨張係数が小さく、かつ剛性が高く、かつ耐熱性が高い金属からなる基材の少なくとも一方の面に、加圧接合によりアルミニウム材が一体化されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
- 前記基材を構成する金属部分の金属が、フェライト系ステンレス鋼からなる請求項8に記載の光電変換素子。
- 基板上に、第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造よりなる光電変換素子の製造方法であって、少なくともアルミニウム基材を備える金属基板の該アルミニウム基材の少なくとも一方の表面を、厚さが3μm以上20μm以下であって、かつ室温で圧縮方向の歪みを有するアルミニウムのポーラス型陽極酸化皮膜の絶縁層を形成する工程を含む工程で該基板を作製し、該基板上に、該第1電極、色素が吸着された多孔質半導体微粒子層を有する感光体、電荷移動体、および対極を含む積層構造を設ける光電変換素子の製造方法。
- 前記絶縁層付き金属基板を構成する金属部分が、アルミニウムよりも、線熱膨張係数が小さく、かつ剛性が高く、かつ耐熱性が高い金属からなる基材の少なくとも一方の面に、加圧接合によりアルミニウム材が一体化されてなる請求項10に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記基材を構成する金属部分の金属が、フェライト系ステンレス鋼からなる請求項11に記載の光電変換素子の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を具備する色素増感太陽電池。
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