JPH0521886B2 - - Google Patents
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- JPH0521886B2 JPH0521886B2 JP58111759A JP11175983A JPH0521886B2 JP H0521886 B2 JPH0521886 B2 JP H0521886B2 JP 58111759 A JP58111759 A JP 58111759A JP 11175983 A JP11175983 A JP 11175983A JP H0521886 B2 JPH0521886 B2 JP H0521886B2
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Description
薬剤の吸収を消化管の特定部位に達するまで遅
らせ、通常の急速リリーズ形式で服用させた場合
よりも長時間に亘つて血液中に所期の薬剤濃度を
維持するめ、人畜に経口投与した後、含有されて
いる薬理活性物質をゆつくりと放出させる組成物
(スロー・リリーズ組成物)を調製することは製
薬技術において公知である。 この種のスロー・リリーズ組成物としては、服
用から一定時間後に1回分の活性化合物を順次リ
リーズさせるように工夫したものがある。 いずれにしてもスロー・リリーズ薬剤の目的は
薬剤の服用後、急速リリーズ形式で服用した場合
に通常経験するよりも長い時間に亘つて薬理的な
反応を提供することにある。 作用時間を長くした薬剤のもう1つの重要な役
割は、所期の治療効果を得るために薬剤の理想的
なピーク血液レベルを安定状態レベルに維持しな
ければならない心臓血管疾患の治療にある。 キヤリアから活性化合物をゆつくりとリリーズ
させるための組成物の公知調製法及び利用法は基
本的には活性物質を消化管の生理液中にリリーズ
しようというものである。しかし、単に活性薬剤
物質が胃腸液中に存在するというだけでは生物学
的利用能を保証するものではない。ここにいう生
物学的利用能とは薬剤物質が血液及び摂取部位に
利用されて所期の薬理作用を達成する可能性を意
味する。生物学的利用能をもつと厳密に定義する
なら、単位服用剤の形で服用した後、薬剤物質が
有効に目標の組織部位に達するよう吸収される程
度(または量)である。 吸収されるには活性薬剤物質が溶液状態でなけ
ればならない。単位服用剤に含まれる活性薬剤物
質の所与の部分が適当な生理液に溶けるのに要す
る時間を溶解時間と呼ぶ。単位服用剤からの活性
物質溶解時間は規定条件下に実施される試験によ
り、所与の時間ベースに対する単位服用剤からリ
リーズされた活性物質量の比率として測定され
る。胃腸管の生理液は溶解時間を測定するための
媒質となる。 キヤリアからの活性物質溶解に影響する要因は
いくつもあるが、特定組成物からの薬理活性物質
の溶解時間測定値は比較的一定しており、再現性
が高い。溶解時間に影響する種々の要因として、
溶媒に対する活性物質の表面積、溶液のPH、特定
溶媒に対する活性物質の可溶度、溶媒中に溶けた
活性物質の飽和濃度による駆動力などがある。即
ち、活性物質の溶解濃度は組織部位における吸収
によつて溶媒から構成成分が除かれるにつれて動
的に安定状態に変化する。生理的条件下に、溶解
物質の飽和レベルは服用剤からのリリーズによつ
て補充され、比較的均一で一定した溶解濃度を維
持して安定状態の吸収が可能である。 薬剤の吸収が吸収部位における薬剤の帯電度に
影響されることは公知である。非帯電状態の薬剤
は溶解された、または帯電した状態の薬剤よりも
急速に組織の吸収障壁を通過する。また、親油性
物質の固有O/W分配係数も消化管における活性
物質の吸収を迅速化する別の要因であり、活性物
質のイオン化力ガ増大するに従つて活性物質の吸
収が遅くなる。このような関係は吸収部位におけ
る膜を透過する時吸収可能物質がリポイド状障壁
を通過しなければならないという所見によつてす
でに確認されている。 活性物質の溶解にも吸収にも影響する要因はい
くつもあるが、服用剤について測定された試験管
内溶解時間と生体内の生物学的利用能との間に強
い相関性が認められている。この相関性はすでに
決定的に確認されているから、溶解時間はそのま
ま特定の単位服用組成物中に含まれる活性成分の
生物学的利用能を表わすようになつている。この
関係に照らして、スロー・リリーズ組成物を評価
する際に組成物の溶解時間測定値が重要な基本特
性であることは明白である。 本発明は含有する活性物質の生物学的利用能が
緩慢になるように活性物質のリリーズ速度を抑え
た薬剤組成物に係わる。本発明は特に薬理活性物
質の塩とこの薬理活性物質の遊離塩基とを、スロ
ー・リリーズ組成物中に組み込んだ際にスロー・
リリーズ組成物からの薬理活性物質のリリーズ時
間を任意に調整して薬理活性物質の生物学的利用
能に重大な影響を与えるような比率で組み合わせ
て成る新規のスロー・リリーズ組成物を提供する
ものである。 本発明の主要な目的はスロー・リリーズ・マト
リクス中に塩の形態を取る薬理活性物質と遊離塩
基の形態を取る同じ薬理活性物質とを、薬理活性
分に基づいて計算して、塩の形態を取るもの25乃
至75重量部、遊離塩基の形態を取るもの25乃至75
重量部の比率で分散させて成る作用時間を長くし
たスロー・リリーズ薬剤組成物を提供することに
ある。 スロー・リリーズ組成物からの薬理活性物質の
溶解時間は遊離塩基形態の薬理活性物質を塩形態
の薬理活性物質と適当な比率でスロー・リリー
ズ・マトリクス中に共存させることにより著しく
長くなるという予想外な所見を得た。この組み合
わせによる溶解時間の引き延ばし効果は活性物質
の増量では達成できない。即ち、公知のスロー・
リリーズ剤に使用されているのとほとんど同量の
活性物質を使用しながら本発明の組成を採用する
ことでその効果を引き延ばすことができる。ま
た、スロー・リリーズ剤からの薬理活性成分の溶
解時間は溶解抑制剤としてのマトリクスを変えて
も、使用可能な抑制コーテイングの種類を変えて
も意図した通りに引き延ばすことはできない。こ
の引き延ばし効果は組成物に含まれる薬理活性物
質固有の性質を、組み合わせた場合に生理液に対
して新しい溶解特性を呈するように任意に変化さ
せて初めて達成される。 塩の形態を取る薬理活性成分で調製されたスロ
ー・リリーズ剤からの薬理活性成分溶解時間を必
要なだけ引き延ばすには、前記塩の25〜75重量%
を遊離または塩基形態の前記薬理活性成分で置き
換える。薬理学的に活性の塩と塩基の組み合わせ
を薬理活性成分として使用し、公知のスロー・リ
リーズ剤と同様の方法でスロー・リリーズ剤を調
製する。 スロー・リリーズ剤を調製するための活性物質
の塩基形態と塩形態の比率を適当に選択すること
により、活性成分リリーズ時間の引き延ばし程度
を調製することができた。 HClプロプラノロルを活性成分とするスロー・
リリーズ剤の溶解時間を試験した結果、活性物質
の100%が6時間以内にリリーズされることが判
明した。ところが、HClプロプラノロルに含まれ
るプロプラノロル量の50重量%をプロプラノロル
塩基で置き換えたところ、溶解時間は7時間に延
びた。プロプラノロル塩とプロプラノロル塩基の
比を塩40重量%、塩基60重量%としたところ、ス
ロー・リリーズ剤の溶解時間は約10〜12時間であ
つた。 さらに別の試験では、公知の方法で溶解時間が
約10時間となるようにポリガラクツロン酸キニジ
ンを活性物質とするスロー・リリーズ抗不整脈錠
剤を試験した。ところがポリガラクツロン酸キニ
ジンとキニジン塩基の組み合わせを利用すること
により溶解時間が著しく延びた。即ち、活性成分
の組み合わせがポリガラクツロン酸キニジン75重
量%、キニジン塩基25重量%(キニジン等価分に
基づく)の場合、溶解時間は15時間に延びる。ポ
リガラクツロン酸キニジンの50重量%をキニジン
塩基で置き換えると、スロー・リリーズ剤の溶解
時間は約20時間に延びる。 例えばアミノフイリンまたはテオフイリン・エ
チレンジアミンのようなキサンチン塩を活性成分
として米国特許第3965256号の教示に従つてスロ
ー・リリーズ錠剤を調製すると、9時間以内に活
性物質の100%がリリーズされる。ところが、(テ
オフイリン含有量に基づいて)アミノフイリンの
25%をテイフイリンで置き換えると、溶解時間は
12時間に延びる。 消化管組織による活性物質の吸収は帯電したイ
オン化形態の薬理活性物質よりもむしろ帯電して
いない形の同じ物質を使用する方が促進されるこ
とはすでに公知である。ところが新規の塩/塩基
組合せ方式を採用すると、非帯電遊離塩基成分の
存在が溶解時間を長くし、吸収を促進するどころ
かむしろ生物学的利用能を長びかせるので逆の状
態が発生するという意外な所見を得た。 即ち、非帯電親油性の塩基材料を使用しても、
公知技術において見られたように溶解時間を早め
たり吸収を促進したり、従つて生物学的利用能を
増大させたりはせず、むしろ吸収を遅らせ、溶解
時間及び生物学的利用能を引き延ばす。この場
合、現象は公知技術が従来示唆して来たのとは逆
になる。 また、可溶度自体は従来考えられていたように
制御要因とはいえない。なぜなら、塩/塩基組み
合わせ形態の活性物質を使用した場合、適当な塩
基に不可溶性塩を組み合わせても可溶性塩を組合
せても、意外なことに溶解時間及び生物学的利用
能の引き延ばし効果が同程度であることが確認さ
れたからである。即ち、硫酸コデイン(水溶度=
1:30)でも燐酸コデイン(水溶度=1:2)で
もそのコデイン含有量の50%を非帯電コデイン塩
基で置き換えると、いずれの場合にもこれらの薬
剤の生物学的利用能は約12時間長くなる。もし可
溶度が溶解時間及び/または生物学的利用能の引
き延ばしに影響する制御要因なら、難溶性の塩で
ある硫酸コデインを活性成分とする錠剤とこれよ
りも可溶度の高い塩である燐酸コデインを活性成
分とする錠剤とでは異なる値が得られるはずであ
る。 本発明は塩形態と遊離塩基形態の組み合せを使
用することによつて、なぜまたはどのようにして
リリーズと生物学的利用能が引き延ばされるかに
ついて特定の理論に制限されるものではないが、
今後この分野の研究に携わる人々の参考になれば
との期待から述べるのが下記の理論である。 イオン化塩成分と非帯電塩基成分の動的共鳴交
換を伴なうこの予期しない現象はなにか新しいメ
カニズムによつて制御されるものと思われる。ス
ロー・リリーズ・キヤリアに塩を組み込んだ場
合、生理液中にリリーズされる粒子総数は組成物
の溶解時間を一定させると共にその組成物の生物
学的利用能とを相関する解離及び非解離物質から
成る。ところが塩の一部を遊離塩基で置き換える
と、溶液中の帯電粒子と非帯電粒子の比に変化が
生じ、吸収部位における活性成分の利用能を緩慢
にする。なぜなら、溶液中の塩成分と塩基成分の
組成バランスが乱れ、電気的に中性の塩基成分が
帯電イオンになろうとする傾向が強まり、系の全
体的平衡に変化を生ずるからである。この平衡変
化がそのまま溶解時間を、従つて生物学的利用能
を引き延ばす効果を生み、組成物に極めて新規の
好ましい性質を与えるのである。 塩/塩基活性成分の新しい組み合わせを利用し
たスロー・リリーズ錠剤及びカプセルは公知のこ
の種薬剤に使用されるマトリクス及びその他のキ
ヤリアを利用して調製することができる。即ち、
活性成分のリリーズを遅らせる特殊コーテイング
を施される錠剤コアを新規の塩/塩基複合活性成
分で形成すれば、同じ賦形剤中に単独で使用され
る活性成分の生物学的利用能をさらに引き延ばす
ことができる。新規の塩/塩基複合活性成分を利
用する好ましいスロー・リリーズ薬剤組成物は米
国特許第4235870号に記載されているようなヒド
ロキシアルキルセルロース成分及び高級脂肪族ア
ルコールから成るリリーズ抑制マトリクスを使用
して調製することができる。塩に対する塩基の置
換比率として25乃至75%の適当な比率を採用すれ
ばすでに遅延されている活性成分のリリーズをさ
らに3〜15時間引き延ばすことができる。このよ
うな溶解時間が長くなれば1日1回投薬を可能に
するに充分な時間に亘つて活性治療剤の理想的な
生物学的利用能を維持することができる。 新規の塩/塩基複合メカニズムを利用したスロ
ー・リリーズ錠剤及びカプセルの調製に好適な薬
理活性塩基物質としては第1表に掲げるようなも
のがある。 第1表 スロー・リリーズ組成物の調製に使用 できる好ましい塩基活性物質 アミトリプタリン アトロピン クロロフエニルアミン クロロプロミジン コデイン デキスブロムフエニルアミン ジフエニルヒドラミン ドキシルアミン エフエドリン ヒヨスチアミン モルヒネ オキシコドン パパバリン フエニルプロパノルアミン プロプラノロル キニジン スコポルアミン テオフイリン チオリダジン 上記第1表に列記した物質は長時間の活性薬理
効果を与えるように意図されたスロー・リリーズ
組成物の形で投与するのに好ましい薬理活性化合
物の代表的なものである。第1表の塩基棒物質で
スロー・リリーズ剤を調製する場合、これらの物
質を、スロー・リリーズ錠剤またはカプセル剤の
調製に従来使用される前記塩基と対応する薬理活
性塩の添加量のうち25乃至75%と置き換える。 実際には、活性成分として使用される適当な
塩/塩基組み合わせを充分に混合し、その場合塩
及び塩基の粒子サイズが同じであることが好まし
い。原則として米国規格約20〜60メツシユ・スク
リーンに相当する粒子サイズが最も好ましい粒子
サイズである。次いで粉末状の塩/塩基複合活性
成分を公知のスロー・リリーズ錠剤またはカプセ
ル剤の調製と同じ態様で加工する。即ち、活性成
分を、コーテイングを施される錠剤コア製造の公
知プロセスにおける該当段階でキヤリア材に添加
する。 塩/塩基活性成分の賦形剤としてスロー・リリ
ーズ錠剤マトリクスを使用する場合には前記粉末
状複合活性成分を製造プセスの適当な段階で、塩
だけから成る活性成分の場合と同じ要領で組成物
に添加する。ただし、塩/塩基複合活性成分には
特有の性質があるから、同じくマトリクスを利用
する従来のスロー・リリーズ錠剤及びカプセル剤
の製造方法に変更を加えることができる。即ち、
ポリガラクツロン酸キニジン及びキニジン塩基を
塩60重量%、塩基40重量%の比率で活性成分とし
て使用した抗不整脈スロー・リリーズ錠剤を調製
する場合、下記のような製法が好ましい。 重量部(%) ポリガラクツロン酸キニジン 56.8 キニジン塩基 22.9 ヒドロキシエキルセルロース 6.4 ステアリル・アルコール 12.8 滑沢剤(二酸化珪素) 1.1 100.0 この組成物中キニジン含有量の60%はポリガラ
クツロン酸キニジン、40%はキニジン塩基であ
る。 段階1:適量のポリガラクツロン酸キニジンと
キニジン塩基を充分に混合し、米国規格20番
メツシユ・スクリーンに通し、必要量のヒド
ロキシエチルセルロースを添加し、混合して
均質な組成物を得る。 段階2:段階1で得た混合物を段階1で使用し
たセルロース成分1重量部に対し2〜4重量
部、好ましくは3重量部の水で水和し、この
粒状ペーストを均質になるまで攪拌する。 段階3:ペーストを乾燥させ、米国規格16番メ
ツシユ・スクリーンに通す。 段階4:別の容器でステアリル・アルコールを
融かし、融けたアルコールに段階3で得た顆
粒を加える。 段階5:室温に冷却してから米国規格12番また
は14番メツシユ・スクリーンに段階4の顆粒
を通す。適当な滑沢剤を添加し、適当なサイ
ズ、形状の錠剤に圧縮成形する。 最終錠剤重量=360.0mg 錠剤直径=13/32インチ 硬度=8Kg(ストーク) 1錠中のキニジン含有量=206.0mg スロー・リリーズ単位服用剤としてカプセル剤
が所望なら、圧縮成形段階5までに得られた組成
物を適当なサイズ、形状及び重量のカプセルに充
填する。 この製法を利用すれば、HClのプロプラノロ
ル/プロプラノロル塩基;燐酸コデイン/コデイ
ン塩基;アミノフイリン/テオフイリンを活性成
分とするスロー・リリーズ剤を調製することもで
き、また、第1表に列記した塩基とその塩酸塩、
硫酸塩、またはマレイン酸塩との組み合わせでス
ロー・リリーズ錠剤及びカプセル剤を調製するこ
とができる。 上記第1表の塩基物質でスロー・リリーズ単位
服用剤を調製する場合、従来スロー・リリーズ錠
剤またはカプセル剤の調製に使用される対応塩の
量の25〜75重量%を上記活性塩基物質で置き換え
ればよい。新規の複合活性成分を使用すれば、同
一の賦形剤を使用して通常得られる製品に比較し
て、活性成分塩の25〜75重量%を特定塩基で置き
換えることで溶解時間が少なくとも3時間は延び
る。薬理活性塩の60〜75重量%を対応の塩基で置
き換えれば、溶解時間は10〜14時間以上延びる。
混合比50/50の塩/塩基活性成分を使用すると、
塩だけを使用した場合よりも約5時間延びる。こ
のように、対応塩基によつて置き換えられる活性
塩の重量%を適宜調節することで、活性成分の溶
解時間及びこれに対応する生物学的利用能を広い
範囲で引き延ばし、特定塩基の治療効果に必要な
条件を満たすと共に、1日1回投薬が可能とな
る。 スロー・リリーズ錠剤の調製に有機塩を使用す
る場合、新規の塩/塩基活性成分は好ましい硬度
の比較的小さい錠剤の調製を可能にするという意
外な事実も判明した。即ち、米国特許第3965256
号に記載されているスロー・リリーズ錠剤を調製
するのにポリガラクツロン酸キニジンを使用する
と、得られたスロー・リリーズ錠剤の硬度はスト
ーク硬度計で測定して4Kgとなる。この値は許容
できる硬度の下限であり、錠剤が脆くなり易い。
ところが本発明の塩/塩基複合活性成分を適当な
比率で採用すれば、錠剤の分解時間を変化させる
ことも、錠剤のサイズを増大させることも、結合
剤を添加する必要もなく硬度7〜8Kgの錠剤が得
られる。 錠剤硬度とは貯蔵、輸送及び取り扱いの条件下
における粉砕、浸食、摩耗及び欠損に対する抵抗
を表わす用語である。人差し指と中指で挾み、親
指を支点にして折つて鮮明な割れ目が生ずるか、
少なくとも3フイートの高さから落下させて砕け
なければその錠剤は適正な硬度の錠剤であると考
えられる。錠剤が硬すぎると必要時間内に分解し
て活性成分をリリーズできない。柔かすぎると、
パツケージング中の取り扱いにも、出荷などの際
の機械的応力にも耐えられない。 グリコン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、タンニ
ン酸塩、マレイン酸塩、高級脂肪酸、例えば炭素
原子8〜18個の炭素鎖長を有するアルキル脂肪
酸、または芳香族の塩、例えば安息香酸塩、サリ
チル酸塩、フタル酸塩のような有機塩から成る活
性成分を使用してスロー・リリーズ錠を調製する
時しばしば錠剤硬度の問題に直面する。この問題
を克服するために適当な結合剤を使用することも
できるが、錠剤サイズが大きくなつて錠剤を呑み
込む上で新しい問題が生ずる。圧縮力を増して錠
剤硬度を高めると錠剤分解時間に悪い影響が現わ
れ、好ましくない分解時間値となる。この錠剤硬
度の問題はスロー・リリーズ・コーテイングをコ
ーテイングする錠剤コアを調製する場合に特に起
こり易い。なぜなら、柔軟なコアならばコーテイ
ング段階でのタンブリング圧縮に耐えられないか
らである。従つて、コアの錠剤硬度が約5Kgであ
る場合、バツチの20%近い高い不合格率となる。
親油性/疎水性の錠剤マトリクスを使用してスロ
ー・リリーズ剤を調製する場合、ワツクス材固有
の性質から錠剤が柔かくなる。このよえな錠剤は
特殊な取り扱いを必要とし、従つて製造及び運送
コストが増大する。 活性物質として使用する有機酸の一部を対応す
る活性塩基成分で置き換えると、分解時間や錠剤
サイズに影響させずに錠剤硬度特性を改善できる
という意外な所見を得た。ポリガラクツロン酸キ
ニジンを使用して米国特許第3965256号(1976年
6月22日付)の実施例1及び7の方法で、水和ヒ
ドロキシアルキルセルローズ及び高級アルコール
を含むスロー・リリーズ薬剤組成を調製すると、
錠剤硬度はストークス硬度計で測定して4Kgとな
る。この錠剤はパツケージングの過程で約15%の
欠損及び浸食を示し、コストのかかる特殊な取り
扱いが必要である。ストークス硬度計で測定して
錠剤硬度が6Kgとなるように賦形剤及び結合剤を
使用すると、サイズが著しく大きい錠剤となる。
ところが組成物中に存在するポリガラクツロン酸
キニジンの少なくとも10重量%をキニジン塩基で
置き換えると、分解時間にも錠剤サイズにもほと
んど影響を及ぼすことなく錠剤硬度が著しく改善
される。塩に対する塩基の最適比率、例えば60〜
75重量%の塩に対してキニジン塩基を25〜35重量
%という比率を採用すると、約7〜10Kg(ストー
ク)の錠剤硬度となる。このスロー・リリーズ錠
剤は製造、取り扱い及び輸送の過程で僅か0.01%
以下の欠損及び浸食脆度を示す。活性成分として
使用されるその他の有機塩の一部を対応の塩基成
分で置き換えても同様の好ましい成果が得られ
る。 本発明のスロー・リリーズ組成物を治療に使用
したい場合、服用形態は錠剤でもカプセル剤でも
よく、塩/塩基複合比率は治療条件に応じて異な
る。1日1回投薬の方式を採用したい場合には、
活性成分として使用される薬理活性塩の75%を塩
基成分で置き換え、場合によつては塩の実に90%
を塩基成分で置き換えることが望ましい時もあり
得る。活性塩の何%を塩基で置き換えるかはその
服用剤によつて生物学的利用能をどの程度の時間
に引き延ばしたいかによつて正確に決定される。
本発明のスロー・リリーズ組成物に固有の利点は
スロー・リリーズ薬剤組成物中の塩/塩基活性成
分の複合比率を、錠剤サイズに著しい変化を与え
たり、活性成分を増量したりすることなく、その
服用剤を1日1回投薬用として使用するのに必要
な生物学的利用能が得られるように調節すること
によつて達成される。 本発明の組成物調製に利用される一般的な方法
を以下に説明する。 薬理活性塩で調製されたスロー・リリーズ錠剤
またはカプセル剤からの活性成分溶解時間をさら
に長くするために、薬理活性塩使用量の25〜75%
を前記塩と対応する遊離活性塩基で置き換える。
薬理活性塩の何%を塩基で置き換えるかはその塩
の薬理学的に活性の部分を基準にして決定され
る。例えば、使用される活性塩がアミノフイリン
とも呼称されるテオフイリン・エチレンジアミン
であり、塩の25〜75%を塩基で置き換えたい場
合、この計算は溶解時間を引き延ばすべきスロ
ー・リリーズ錠剤の調製に使用されているアミノ
フイリン量のうちのテオフイリンを基準にして行
なわれ、エチレンジアミン部分の重量は無視され
る。 このようにスロー・リリーズ錠剤に使用される
活性成分の溶解時間をさらに長くする方法として
ここに述べる置き換えるはいずれの場合にも生成
物中の薬理活性部分の量を基準とするのであつ
て、活性塩そのものの総重量を基準とするのでは
ない。なお、錠剤またはカプセル剤中の活性成分
を計算する場合、本発明の塩/塩基複合物は単一
の活性成分として計算される。 薬理活性塩及び活性塩基の組み合わせを利用す
る場合、材料を充分に混和し、好ましくは米国規
格16番メツシユ・スクリーンで整粒する。実際に
はスロー・リリーズ剤製造において前記混合及び
整粒段階を他との成分組合せて行なうのが便利で
ある。錠剤コアに塩/塩基活性成分を組み込む場
合、塩活性成分だけで錠剤を製造する際に採用さ
れるのと同じ順序で規定の希釈剤と混合すること
が好ましい。仕上がつた錠剤コアを適当なリリー
ズ抑制コーテイングで被覆する。 親水セルロース成分と疎水アルコール・ワツク
ス成分から成る安定したマトリクスをコーテイン
グのないスロー・リリーズ錠剤活性成分のキヤリ
アとして使用する場合、塩/塩基複合活性物質を
他の適当な希釈剤を含む親水成分と混合してから
顆粒化することが好ましい。例えばセルロース、
ラクトース、澱粉、ポビドンなどのような親水成
分と共に塩/塩基活性成分を組み込むのが好まし
いが、場合によつては、スロー・リリーズ・マト
リクスの調製に使用される脂肪族アルコールやワ
ツクスのような疎水成分と共に塩/塩基活性成分
を組み込むことが有用な時もある。 スロー・リリーズ錠剤の活性成分溶解時間を長
くするには下記の方法が有用である。 段階1:適量の薬理活性塩及びその遊離活性塩
基をセルロース成分及び必要に応じてその他
の親水性希釈剤、例えばラクトース、澱粉、
ポビドンと共に充分混合する。 段階2:段階1の混合物を、セルロース成分1
重量部につき2〜4重量部の水で水和し、攪
拌して粒状ペーストを形成する。その他の親
水ポリマーが存在する場合には水の量をやや
少なく、例えば2〜3重量部とする。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:疎水成分、例えば鎖長に10〜18個の炭
素原子を有する脂肪族アルコール、石油ワツ
クス、これらの混合物を融解させ、上記段階
3で得た顆粒に添加する。この混合物を均質
になるまで充分に攪拌する。 段階5:コーテイングされた顆粒を室温まで放
冷し、米国規格12番または14番メツシユ・ス
クリーンで整粒する。 段階6:段階5の顆粒に適当な滑沢剤を添加
し、所望の形状、サイズ及び重量の錠剤に圧
縮成形する。 このスロー・リリーズ錠剤の溶解時間は1日1
回投薬方式を含めて広範囲の投薬方式を採用でき
る程度に長い。 カプセル形式を利用したければ、圧縮成形段階
までに得られる混合物を適当なカプセルに充填
し、全体を公知の態様で抑制コーテイングで被覆
すればよい。 以下に本発明の実施例を示す。 実施例 1 ポリガラクツロン酸キニジン・スロー・リリー
ズ錠剤からの活性キニジン分溶解時間をさらに引
き延ばしたい場合には下記組成のスロー・リリー
ズ錠剤を調剤する。 錠剤 A 重量部(%) ポリガラクツロン酸キニジン 56.8 キニジン塩基 22.9 ヒドロキシエチルセルロース 6.4 ステアリル・アルコール 12.8 錠剤滑沢剤 1.1 100.0 この組成において、錠剤の活性キニジン分の60
%は塩であるポリガラクツロン酸キニジン、40%
はキニジン塩基から成る。 スロー・リリーズ錠剤の製法は下記の通りであ
る。 段階1:ポリガラクツロン酸キニジン及びキニ
ジン塩基を充分に混合し、ヒドロキシエチル
セルロースを添加し、均質になるまで混合を
続ける。 段階2:段階1の混合物を粒状ペーストを形成
するのに充分な水で水和する。重量比で1部
のセルロース材料に対して重量比で2〜4部
の水で充分なことが実証されている。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:ステアリル・アルコールを融解し、前
記顆粒をこの融解した脂肪族アルコールでコ
ーテイングし、充分に混合して均質らコーテ
イングを得る。 段階5:コーテイングした顆粒を放冷し、米国
規格12または114番メツシユ・スクリーンで
整粒する。 段階6:適当な滑沢剤を添加し、下記のような
所期のサイズ、形状及び重量の錠剤に圧縮す
る。 最終錠剤重量=360.0mg 錠剤直径=13/32インチ 硬度=8Kg(ストーク) 各錠のキニジン含有量=206.0mg このスロー・リリーズ錠剤の溶解時間を測定し
たところ、活性キニジン含有量の100%がリリー
ズされるのに20時間以上かかることが判明した。 同じキヤリアを使用し、ただし活性成分として
ポリガラクツロン酸キニジンだけを利用してスロ
ー・リリーズ錠剤を調整する場合、組成は下記の
通りである。 錠剤 B 重量部(%) ポリガラクツロン酸キニジン 77.0 ヒドロキシエチルセルロース 7.0 ステアリル・アルコール 14.0 錠剤滑沢剤 2.0 100.0 錠剤圧縮データ 最終錠剤重量=442.6mg 錠剤直径=14/32インチ 硬度=4Kg(ストーク) 各錠のキニジン含有量=206.0mg 製法は上記の製法と同じであり、キニジン含有
量の100%が溶解するのに必要な時間は12時間で
ある。 以上2種類の錠剤について溶解速度を比較した
結果は下記の通りである。錠剤Aはポリガラクツ
ロン酸キニジン及びキニジン塩基(60:40)、錠
剤Bはポリガラクツロン酸キニジン(100%塩)
である。 リリーズされるキニジン(%) 錠剤A 錠剤B 疑似胃液中1時間後 26 18 疑似腸液中2時間後 31 24 疑似腸液中3時間後 36 33 疑似腸液中4時間後 40 43 疑似腸液中6時間後 51 61 疑似腸液中9時間後 69 82 疑似腸液中12時間後 90 100% 疑似腸液中18時間後 93 − 疑似腸液中20時間後 100% − この測定結果から明らかなように、錠剤Bの調
整に使用されるポリガラクツロン酸キニジン中に
存在するキニジン量の40%をキニジン塩基(錠剤
A)で置き換えると、活性成分100%のリリーズ
に要する溶解時間は塩だけを使用する錠剤Bの場
合よりも約8時間長くなる。活性成分リリーズに
20時間という長い溶解時間を必要とすれば、不整
脈をコントロールするためのキニジン投与療法が
1日1回で済む。 有機塩ポリガラクツロン酸キニジン100%を活
性成分とするスロー・リリーズ錠剤(錠剤B)の
場合の錠剤硬度4Kg(ストーク)は、活性成分中
のキニジン量の40重量%をキニジン塩基で置き換
えることで8Kg(ストーク)に改善される(錠剤
A)。硬度がこの程度に改善されれば、包装や運
搬に際して起こる錠剤の脆さの問題を克服でき
る。 実施例 2 塩酸プロプラノロルを活性成分として含有する
スロー・リリーズ錠剤の溶解時間を引き延ばすに
は下記組成を採用する。 組成 A 重量部(%) HClプロプラノロル 25.8 プロプラノロル塩基 34.0 ラクトース 4.8 ヒドロキシエチルセルロース 5.2 パラフイン・ワツクス 28.2 滑沢剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム)
2.0 上記組成Aにおいて錠剤中のプロプラノロル含
有分の約40%はHClプロプラノロルとして存在
し、約60%はプロプラノロル塩基として存在す
る。この錠剤の製法は下記の通りである。 段階1:HClプロプラノロル、ラクトース及び
プロプラノロル塩基をヒドロキシエチルセル
ロースと共に適当なミキサーで混合する。 段階2:段階1の混合物をヒドロキシエチルセ
ルロース1重量部につき2〜4重量部の水を
使用して水和する。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:パラフイン・ワツクスを融解し、段階
3の顆粒に添加してこれをコーテイングす
る。 段階5:コーテイングした顆粒を放冷し、米国
規格12番または14番メツシユ・スクリーンで
整粒する。 段階6:適当な滑沢剤を添加し、下記のサイ
ズ、形状及び重量の錠剤に圧縮成形する。 最終錠剤重量=124.0mg 錠剤直径=9/32インチ 1錠のプロプラノロル含有量=70mg 活性成分塩HClプロプラノロルの一部をプロプ
ラノロルで置き換えた場合に得られる溶解時間の
延長度を検討するため、同じマトリクス、同じ製
法を採用し、ただし活性成分としてHClプロプラ
ノロルだけを使用するスロー・リリーズ錠剤を下
記組成Bとして調製した。 組成 B 重量部(%) HClプロプラノロル 64.5 ヒドロキシエチルセルロース 5.2 バラフイン・ワツクス 28.3 滑沢剤(タツク、ステアリン酸マグネシウム)
2.0 100.0 錠剤圧縮データ 最終錠剤重量=124.0mg 錠剤直径=9/32インチ 1錠のプロプラノロル含有量=70mg それぞれの錠剤の溶解時間条件を測定し、下記
の結果を得た。錠剤AはHClプロプラノロル及び
プロプラノロル塩基(70:60)であり、錠剤Bは
HClプロプラノロル(100%)である。 リリーズされるプロプラノロル(%) 錠剤A 錠剤B 疑似胃液中に1時間後 38 35 疑似腸液中に2時間後 55 57 疑似腸液中に3時間後 63 68 疑似腸液中に4時間後 68 83 疑似腸液中に5時間後 73 93 疑似腸液中に6時間後 76 100% 疑似腸液中に9時間後 100% − 活性成分として塩と塩基を組み合せることによ
り、スロー・リリーズ錠剤中のプロプラノロルの
溶解時間が、活性成分の100%を塩の形で組み込
んだ場合の6時間から、塩の60%を塩基で置き換
えた場合の9時間まで引き延ばされた。 実施例 3 例えばテオフイリンのようなキサンチンを活性
成分とし、1日1回の投薬で済むようにリリーズ
時間の長い錠剤を得たい場合には、下記の方法が
好ましい。 アミノフイリンはテオフイリン含有スロー・リ
リーズ錠剤の調製に従来利用されるテオフイリン
の水溶塩として公知である。この場合、スロー・
リリーズ錠剤に含まれるテオフイリン含有量の30
重量%はアミノフイリン、残る70重量%はテオフ
イリン塩基であり、1錠中のテオフイリン総量は
280mgとなる。このスロー・リリーズ錠剤の組成
及び製法は下記の通りである。 組成 A 重量部(%) アミノフイリン 24.0 テオフイリン 45.6 ヒドロキシエチルセルロース 6.2 ポリビニルピリドン 1.0 セトステアリル・アルコール 20.6 滑沢剤(タルク・ステアリン酸マグネシウム)
2.6 100.0 段階1:適量のアミノフイリンをヒドロキシエ
チルロースと混合する。 段階2:段階1に使用したヒドロキエチルセル
ロース1重量部につき充分量の水等価物また
は2.4重量部以上の水に指示量のポリビニル
ピロリドンを溶解し、この溶液を段階1で得
た固形混合物に添加、粒状ペーストとなるま
で混合する。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:セトステアリル・アルコールを融解
し、前記顆粒を融解した脂肪族アルコールで
コーテイングする。 段階5:コーテイングした顆粒を放冷し、米国
規格12番または14番メツシユ・スクリーンで
整粒する。 段階6:適当な滑沢剤を添加し、下記のような
所期の形状、サイズ及び重量の錠剤に圧縮成
形する。 最終錠剤重量=430.9mg 最終錠剤直径=14/32インチ 1錠中のテオフイリン含有量=280mg 錠剤硬度=12Kg (塩:塩基形=30:70)から成る組成Aについ
て測定された溶解時間は24時間である。アミノフ
イリンだけが活性成分(100%塩)である場合、
溶解時間は約9時間である。アミノフイリンのテ
オフイリン分の25%をテオフイリン塩基で置き換
えると溶解時間は約12時間に延びる。そこでアミ
ノフイリン塩だけを活性成分とする場合と、種々
の比率でテオフイリン塩基をも加えた場合との溶
解時間値を並置して示せば下記の通りである。錠
剤Aはアミノフイリン(100%塩)、錠剤Bは塩75
%塩基25%、錠剤Cは塩30%塩基70%の場合であ
る。
らせ、通常の急速リリーズ形式で服用させた場合
よりも長時間に亘つて血液中に所期の薬剤濃度を
維持するめ、人畜に経口投与した後、含有されて
いる薬理活性物質をゆつくりと放出させる組成物
(スロー・リリーズ組成物)を調製することは製
薬技術において公知である。 この種のスロー・リリーズ組成物としては、服
用から一定時間後に1回分の活性化合物を順次リ
リーズさせるように工夫したものがある。 いずれにしてもスロー・リリーズ薬剤の目的は
薬剤の服用後、急速リリーズ形式で服用した場合
に通常経験するよりも長い時間に亘つて薬理的な
反応を提供することにある。 作用時間を長くした薬剤のもう1つの重要な役
割は、所期の治療効果を得るために薬剤の理想的
なピーク血液レベルを安定状態レベルに維持しな
ければならない心臓血管疾患の治療にある。 キヤリアから活性化合物をゆつくりとリリーズ
させるための組成物の公知調製法及び利用法は基
本的には活性物質を消化管の生理液中にリリーズ
しようというものである。しかし、単に活性薬剤
物質が胃腸液中に存在するというだけでは生物学
的利用能を保証するものではない。ここにいう生
物学的利用能とは薬剤物質が血液及び摂取部位に
利用されて所期の薬理作用を達成する可能性を意
味する。生物学的利用能をもつと厳密に定義する
なら、単位服用剤の形で服用した後、薬剤物質が
有効に目標の組織部位に達するよう吸収される程
度(または量)である。 吸収されるには活性薬剤物質が溶液状態でなけ
ればならない。単位服用剤に含まれる活性薬剤物
質の所与の部分が適当な生理液に溶けるのに要す
る時間を溶解時間と呼ぶ。単位服用剤からの活性
物質溶解時間は規定条件下に実施される試験によ
り、所与の時間ベースに対する単位服用剤からリ
リーズされた活性物質量の比率として測定され
る。胃腸管の生理液は溶解時間を測定するための
媒質となる。 キヤリアからの活性物質溶解に影響する要因は
いくつもあるが、特定組成物からの薬理活性物質
の溶解時間測定値は比較的一定しており、再現性
が高い。溶解時間に影響する種々の要因として、
溶媒に対する活性物質の表面積、溶液のPH、特定
溶媒に対する活性物質の可溶度、溶媒中に溶けた
活性物質の飽和濃度による駆動力などがある。即
ち、活性物質の溶解濃度は組織部位における吸収
によつて溶媒から構成成分が除かれるにつれて動
的に安定状態に変化する。生理的条件下に、溶解
物質の飽和レベルは服用剤からのリリーズによつ
て補充され、比較的均一で一定した溶解濃度を維
持して安定状態の吸収が可能である。 薬剤の吸収が吸収部位における薬剤の帯電度に
影響されることは公知である。非帯電状態の薬剤
は溶解された、または帯電した状態の薬剤よりも
急速に組織の吸収障壁を通過する。また、親油性
物質の固有O/W分配係数も消化管における活性
物質の吸収を迅速化する別の要因であり、活性物
質のイオン化力ガ増大するに従つて活性物質の吸
収が遅くなる。このような関係は吸収部位におけ
る膜を透過する時吸収可能物質がリポイド状障壁
を通過しなければならないという所見によつてす
でに確認されている。 活性物質の溶解にも吸収にも影響する要因はい
くつもあるが、服用剤について測定された試験管
内溶解時間と生体内の生物学的利用能との間に強
い相関性が認められている。この相関性はすでに
決定的に確認されているから、溶解時間はそのま
ま特定の単位服用組成物中に含まれる活性成分の
生物学的利用能を表わすようになつている。この
関係に照らして、スロー・リリーズ組成物を評価
する際に組成物の溶解時間測定値が重要な基本特
性であることは明白である。 本発明は含有する活性物質の生物学的利用能が
緩慢になるように活性物質のリリーズ速度を抑え
た薬剤組成物に係わる。本発明は特に薬理活性物
質の塩とこの薬理活性物質の遊離塩基とを、スロ
ー・リリーズ組成物中に組み込んだ際にスロー・
リリーズ組成物からの薬理活性物質のリリーズ時
間を任意に調整して薬理活性物質の生物学的利用
能に重大な影響を与えるような比率で組み合わせ
て成る新規のスロー・リリーズ組成物を提供する
ものである。 本発明の主要な目的はスロー・リリーズ・マト
リクス中に塩の形態を取る薬理活性物質と遊離塩
基の形態を取る同じ薬理活性物質とを、薬理活性
分に基づいて計算して、塩の形態を取るもの25乃
至75重量部、遊離塩基の形態を取るもの25乃至75
重量部の比率で分散させて成る作用時間を長くし
たスロー・リリーズ薬剤組成物を提供することに
ある。 スロー・リリーズ組成物からの薬理活性物質の
溶解時間は遊離塩基形態の薬理活性物質を塩形態
の薬理活性物質と適当な比率でスロー・リリー
ズ・マトリクス中に共存させることにより著しく
長くなるという予想外な所見を得た。この組み合
わせによる溶解時間の引き延ばし効果は活性物質
の増量では達成できない。即ち、公知のスロー・
リリーズ剤に使用されているのとほとんど同量の
活性物質を使用しながら本発明の組成を採用する
ことでその効果を引き延ばすことができる。ま
た、スロー・リリーズ剤からの薬理活性成分の溶
解時間は溶解抑制剤としてのマトリクスを変えて
も、使用可能な抑制コーテイングの種類を変えて
も意図した通りに引き延ばすことはできない。こ
の引き延ばし効果は組成物に含まれる薬理活性物
質固有の性質を、組み合わせた場合に生理液に対
して新しい溶解特性を呈するように任意に変化さ
せて初めて達成される。 塩の形態を取る薬理活性成分で調製されたスロ
ー・リリーズ剤からの薬理活性成分溶解時間を必
要なだけ引き延ばすには、前記塩の25〜75重量%
を遊離または塩基形態の前記薬理活性成分で置き
換える。薬理学的に活性の塩と塩基の組み合わせ
を薬理活性成分として使用し、公知のスロー・リ
リーズ剤と同様の方法でスロー・リリーズ剤を調
製する。 スロー・リリーズ剤を調製するための活性物質
の塩基形態と塩形態の比率を適当に選択すること
により、活性成分リリーズ時間の引き延ばし程度
を調製することができた。 HClプロプラノロルを活性成分とするスロー・
リリーズ剤の溶解時間を試験した結果、活性物質
の100%が6時間以内にリリーズされることが判
明した。ところが、HClプロプラノロルに含まれ
るプロプラノロル量の50重量%をプロプラノロル
塩基で置き換えたところ、溶解時間は7時間に延
びた。プロプラノロル塩とプロプラノロル塩基の
比を塩40重量%、塩基60重量%としたところ、ス
ロー・リリーズ剤の溶解時間は約10〜12時間であ
つた。 さらに別の試験では、公知の方法で溶解時間が
約10時間となるようにポリガラクツロン酸キニジ
ンを活性物質とするスロー・リリーズ抗不整脈錠
剤を試験した。ところがポリガラクツロン酸キニ
ジンとキニジン塩基の組み合わせを利用すること
により溶解時間が著しく延びた。即ち、活性成分
の組み合わせがポリガラクツロン酸キニジン75重
量%、キニジン塩基25重量%(キニジン等価分に
基づく)の場合、溶解時間は15時間に延びる。ポ
リガラクツロン酸キニジンの50重量%をキニジン
塩基で置き換えると、スロー・リリーズ剤の溶解
時間は約20時間に延びる。 例えばアミノフイリンまたはテオフイリン・エ
チレンジアミンのようなキサンチン塩を活性成分
として米国特許第3965256号の教示に従つてスロ
ー・リリーズ錠剤を調製すると、9時間以内に活
性物質の100%がリリーズされる。ところが、(テ
オフイリン含有量に基づいて)アミノフイリンの
25%をテイフイリンで置き換えると、溶解時間は
12時間に延びる。 消化管組織による活性物質の吸収は帯電したイ
オン化形態の薬理活性物質よりもむしろ帯電して
いない形の同じ物質を使用する方が促進されるこ
とはすでに公知である。ところが新規の塩/塩基
組合せ方式を採用すると、非帯電遊離塩基成分の
存在が溶解時間を長くし、吸収を促進するどころ
かむしろ生物学的利用能を長びかせるので逆の状
態が発生するという意外な所見を得た。 即ち、非帯電親油性の塩基材料を使用しても、
公知技術において見られたように溶解時間を早め
たり吸収を促進したり、従つて生物学的利用能を
増大させたりはせず、むしろ吸収を遅らせ、溶解
時間及び生物学的利用能を引き延ばす。この場
合、現象は公知技術が従来示唆して来たのとは逆
になる。 また、可溶度自体は従来考えられていたように
制御要因とはいえない。なぜなら、塩/塩基組み
合わせ形態の活性物質を使用した場合、適当な塩
基に不可溶性塩を組み合わせても可溶性塩を組合
せても、意外なことに溶解時間及び生物学的利用
能の引き延ばし効果が同程度であることが確認さ
れたからである。即ち、硫酸コデイン(水溶度=
1:30)でも燐酸コデイン(水溶度=1:2)で
もそのコデイン含有量の50%を非帯電コデイン塩
基で置き換えると、いずれの場合にもこれらの薬
剤の生物学的利用能は約12時間長くなる。もし可
溶度が溶解時間及び/または生物学的利用能の引
き延ばしに影響する制御要因なら、難溶性の塩で
ある硫酸コデインを活性成分とする錠剤とこれよ
りも可溶度の高い塩である燐酸コデインを活性成
分とする錠剤とでは異なる値が得られるはずであ
る。 本発明は塩形態と遊離塩基形態の組み合せを使
用することによつて、なぜまたはどのようにして
リリーズと生物学的利用能が引き延ばされるかに
ついて特定の理論に制限されるものではないが、
今後この分野の研究に携わる人々の参考になれば
との期待から述べるのが下記の理論である。 イオン化塩成分と非帯電塩基成分の動的共鳴交
換を伴なうこの予期しない現象はなにか新しいメ
カニズムによつて制御されるものと思われる。ス
ロー・リリーズ・キヤリアに塩を組み込んだ場
合、生理液中にリリーズされる粒子総数は組成物
の溶解時間を一定させると共にその組成物の生物
学的利用能とを相関する解離及び非解離物質から
成る。ところが塩の一部を遊離塩基で置き換える
と、溶液中の帯電粒子と非帯電粒子の比に変化が
生じ、吸収部位における活性成分の利用能を緩慢
にする。なぜなら、溶液中の塩成分と塩基成分の
組成バランスが乱れ、電気的に中性の塩基成分が
帯電イオンになろうとする傾向が強まり、系の全
体的平衡に変化を生ずるからである。この平衡変
化がそのまま溶解時間を、従つて生物学的利用能
を引き延ばす効果を生み、組成物に極めて新規の
好ましい性質を与えるのである。 塩/塩基活性成分の新しい組み合わせを利用し
たスロー・リリーズ錠剤及びカプセルは公知のこ
の種薬剤に使用されるマトリクス及びその他のキ
ヤリアを利用して調製することができる。即ち、
活性成分のリリーズを遅らせる特殊コーテイング
を施される錠剤コアを新規の塩/塩基複合活性成
分で形成すれば、同じ賦形剤中に単独で使用され
る活性成分の生物学的利用能をさらに引き延ばす
ことができる。新規の塩/塩基複合活性成分を利
用する好ましいスロー・リリーズ薬剤組成物は米
国特許第4235870号に記載されているようなヒド
ロキシアルキルセルロース成分及び高級脂肪族ア
ルコールから成るリリーズ抑制マトリクスを使用
して調製することができる。塩に対する塩基の置
換比率として25乃至75%の適当な比率を採用すれ
ばすでに遅延されている活性成分のリリーズをさ
らに3〜15時間引き延ばすことができる。このよ
うな溶解時間が長くなれば1日1回投薬を可能に
するに充分な時間に亘つて活性治療剤の理想的な
生物学的利用能を維持することができる。 新規の塩/塩基複合メカニズムを利用したスロ
ー・リリーズ錠剤及びカプセルの調製に好適な薬
理活性塩基物質としては第1表に掲げるようなも
のがある。 第1表 スロー・リリーズ組成物の調製に使用 できる好ましい塩基活性物質 アミトリプタリン アトロピン クロロフエニルアミン クロロプロミジン コデイン デキスブロムフエニルアミン ジフエニルヒドラミン ドキシルアミン エフエドリン ヒヨスチアミン モルヒネ オキシコドン パパバリン フエニルプロパノルアミン プロプラノロル キニジン スコポルアミン テオフイリン チオリダジン 上記第1表に列記した物質は長時間の活性薬理
効果を与えるように意図されたスロー・リリーズ
組成物の形で投与するのに好ましい薬理活性化合
物の代表的なものである。第1表の塩基棒物質で
スロー・リリーズ剤を調製する場合、これらの物
質を、スロー・リリーズ錠剤またはカプセル剤の
調製に従来使用される前記塩基と対応する薬理活
性塩の添加量のうち25乃至75%と置き換える。 実際には、活性成分として使用される適当な
塩/塩基組み合わせを充分に混合し、その場合塩
及び塩基の粒子サイズが同じであることが好まし
い。原則として米国規格約20〜60メツシユ・スク
リーンに相当する粒子サイズが最も好ましい粒子
サイズである。次いで粉末状の塩/塩基複合活性
成分を公知のスロー・リリーズ錠剤またはカプセ
ル剤の調製と同じ態様で加工する。即ち、活性成
分を、コーテイングを施される錠剤コア製造の公
知プロセスにおける該当段階でキヤリア材に添加
する。 塩/塩基活性成分の賦形剤としてスロー・リリ
ーズ錠剤マトリクスを使用する場合には前記粉末
状複合活性成分を製造プセスの適当な段階で、塩
だけから成る活性成分の場合と同じ要領で組成物
に添加する。ただし、塩/塩基複合活性成分には
特有の性質があるから、同じくマトリクスを利用
する従来のスロー・リリーズ錠剤及びカプセル剤
の製造方法に変更を加えることができる。即ち、
ポリガラクツロン酸キニジン及びキニジン塩基を
塩60重量%、塩基40重量%の比率で活性成分とし
て使用した抗不整脈スロー・リリーズ錠剤を調製
する場合、下記のような製法が好ましい。 重量部(%) ポリガラクツロン酸キニジン 56.8 キニジン塩基 22.9 ヒドロキシエキルセルロース 6.4 ステアリル・アルコール 12.8 滑沢剤(二酸化珪素) 1.1 100.0 この組成物中キニジン含有量の60%はポリガラ
クツロン酸キニジン、40%はキニジン塩基であ
る。 段階1:適量のポリガラクツロン酸キニジンと
キニジン塩基を充分に混合し、米国規格20番
メツシユ・スクリーンに通し、必要量のヒド
ロキシエチルセルロースを添加し、混合して
均質な組成物を得る。 段階2:段階1で得た混合物を段階1で使用し
たセルロース成分1重量部に対し2〜4重量
部、好ましくは3重量部の水で水和し、この
粒状ペーストを均質になるまで攪拌する。 段階3:ペーストを乾燥させ、米国規格16番メ
ツシユ・スクリーンに通す。 段階4:別の容器でステアリル・アルコールを
融かし、融けたアルコールに段階3で得た顆
粒を加える。 段階5:室温に冷却してから米国規格12番また
は14番メツシユ・スクリーンに段階4の顆粒
を通す。適当な滑沢剤を添加し、適当なサイ
ズ、形状の錠剤に圧縮成形する。 最終錠剤重量=360.0mg 錠剤直径=13/32インチ 硬度=8Kg(ストーク) 1錠中のキニジン含有量=206.0mg スロー・リリーズ単位服用剤としてカプセル剤
が所望なら、圧縮成形段階5までに得られた組成
物を適当なサイズ、形状及び重量のカプセルに充
填する。 この製法を利用すれば、HClのプロプラノロ
ル/プロプラノロル塩基;燐酸コデイン/コデイ
ン塩基;アミノフイリン/テオフイリンを活性成
分とするスロー・リリーズ剤を調製することもで
き、また、第1表に列記した塩基とその塩酸塩、
硫酸塩、またはマレイン酸塩との組み合わせでス
ロー・リリーズ錠剤及びカプセル剤を調製するこ
とができる。 上記第1表の塩基物質でスロー・リリーズ単位
服用剤を調製する場合、従来スロー・リリーズ錠
剤またはカプセル剤の調製に使用される対応塩の
量の25〜75重量%を上記活性塩基物質で置き換え
ればよい。新規の複合活性成分を使用すれば、同
一の賦形剤を使用して通常得られる製品に比較し
て、活性成分塩の25〜75重量%を特定塩基で置き
換えることで溶解時間が少なくとも3時間は延び
る。薬理活性塩の60〜75重量%を対応の塩基で置
き換えれば、溶解時間は10〜14時間以上延びる。
混合比50/50の塩/塩基活性成分を使用すると、
塩だけを使用した場合よりも約5時間延びる。こ
のように、対応塩基によつて置き換えられる活性
塩の重量%を適宜調節することで、活性成分の溶
解時間及びこれに対応する生物学的利用能を広い
範囲で引き延ばし、特定塩基の治療効果に必要な
条件を満たすと共に、1日1回投薬が可能とな
る。 スロー・リリーズ錠剤の調製に有機塩を使用す
る場合、新規の塩/塩基活性成分は好ましい硬度
の比較的小さい錠剤の調製を可能にするという意
外な事実も判明した。即ち、米国特許第3965256
号に記載されているスロー・リリーズ錠剤を調製
するのにポリガラクツロン酸キニジンを使用する
と、得られたスロー・リリーズ錠剤の硬度はスト
ーク硬度計で測定して4Kgとなる。この値は許容
できる硬度の下限であり、錠剤が脆くなり易い。
ところが本発明の塩/塩基複合活性成分を適当な
比率で採用すれば、錠剤の分解時間を変化させる
ことも、錠剤のサイズを増大させることも、結合
剤を添加する必要もなく硬度7〜8Kgの錠剤が得
られる。 錠剤硬度とは貯蔵、輸送及び取り扱いの条件下
における粉砕、浸食、摩耗及び欠損に対する抵抗
を表わす用語である。人差し指と中指で挾み、親
指を支点にして折つて鮮明な割れ目が生ずるか、
少なくとも3フイートの高さから落下させて砕け
なければその錠剤は適正な硬度の錠剤であると考
えられる。錠剤が硬すぎると必要時間内に分解し
て活性成分をリリーズできない。柔かすぎると、
パツケージング中の取り扱いにも、出荷などの際
の機械的応力にも耐えられない。 グリコン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、タンニ
ン酸塩、マレイン酸塩、高級脂肪酸、例えば炭素
原子8〜18個の炭素鎖長を有するアルキル脂肪
酸、または芳香族の塩、例えば安息香酸塩、サリ
チル酸塩、フタル酸塩のような有機塩から成る活
性成分を使用してスロー・リリーズ錠を調製する
時しばしば錠剤硬度の問題に直面する。この問題
を克服するために適当な結合剤を使用することも
できるが、錠剤サイズが大きくなつて錠剤を呑み
込む上で新しい問題が生ずる。圧縮力を増して錠
剤硬度を高めると錠剤分解時間に悪い影響が現わ
れ、好ましくない分解時間値となる。この錠剤硬
度の問題はスロー・リリーズ・コーテイングをコ
ーテイングする錠剤コアを調製する場合に特に起
こり易い。なぜなら、柔軟なコアならばコーテイ
ング段階でのタンブリング圧縮に耐えられないか
らである。従つて、コアの錠剤硬度が約5Kgであ
る場合、バツチの20%近い高い不合格率となる。
親油性/疎水性の錠剤マトリクスを使用してスロ
ー・リリーズ剤を調製する場合、ワツクス材固有
の性質から錠剤が柔かくなる。このよえな錠剤は
特殊な取り扱いを必要とし、従つて製造及び運送
コストが増大する。 活性物質として使用する有機酸の一部を対応す
る活性塩基成分で置き換えると、分解時間や錠剤
サイズに影響させずに錠剤硬度特性を改善できる
という意外な所見を得た。ポリガラクツロン酸キ
ニジンを使用して米国特許第3965256号(1976年
6月22日付)の実施例1及び7の方法で、水和ヒ
ドロキシアルキルセルローズ及び高級アルコール
を含むスロー・リリーズ薬剤組成を調製すると、
錠剤硬度はストークス硬度計で測定して4Kgとな
る。この錠剤はパツケージングの過程で約15%の
欠損及び浸食を示し、コストのかかる特殊な取り
扱いが必要である。ストークス硬度計で測定して
錠剤硬度が6Kgとなるように賦形剤及び結合剤を
使用すると、サイズが著しく大きい錠剤となる。
ところが組成物中に存在するポリガラクツロン酸
キニジンの少なくとも10重量%をキニジン塩基で
置き換えると、分解時間にも錠剤サイズにもほと
んど影響を及ぼすことなく錠剤硬度が著しく改善
される。塩に対する塩基の最適比率、例えば60〜
75重量%の塩に対してキニジン塩基を25〜35重量
%という比率を採用すると、約7〜10Kg(ストー
ク)の錠剤硬度となる。このスロー・リリーズ錠
剤は製造、取り扱い及び輸送の過程で僅か0.01%
以下の欠損及び浸食脆度を示す。活性成分として
使用されるその他の有機塩の一部を対応の塩基成
分で置き換えても同様の好ましい成果が得られ
る。 本発明のスロー・リリーズ組成物を治療に使用
したい場合、服用形態は錠剤でもカプセル剤でも
よく、塩/塩基複合比率は治療条件に応じて異な
る。1日1回投薬の方式を採用したい場合には、
活性成分として使用される薬理活性塩の75%を塩
基成分で置き換え、場合によつては塩の実に90%
を塩基成分で置き換えることが望ましい時もあり
得る。活性塩の何%を塩基で置き換えるかはその
服用剤によつて生物学的利用能をどの程度の時間
に引き延ばしたいかによつて正確に決定される。
本発明のスロー・リリーズ組成物に固有の利点は
スロー・リリーズ薬剤組成物中の塩/塩基活性成
分の複合比率を、錠剤サイズに著しい変化を与え
たり、活性成分を増量したりすることなく、その
服用剤を1日1回投薬用として使用するのに必要
な生物学的利用能が得られるように調節すること
によつて達成される。 本発明の組成物調製に利用される一般的な方法
を以下に説明する。 薬理活性塩で調製されたスロー・リリーズ錠剤
またはカプセル剤からの活性成分溶解時間をさら
に長くするために、薬理活性塩使用量の25〜75%
を前記塩と対応する遊離活性塩基で置き換える。
薬理活性塩の何%を塩基で置き換えるかはその塩
の薬理学的に活性の部分を基準にして決定され
る。例えば、使用される活性塩がアミノフイリン
とも呼称されるテオフイリン・エチレンジアミン
であり、塩の25〜75%を塩基で置き換えたい場
合、この計算は溶解時間を引き延ばすべきスロ
ー・リリーズ錠剤の調製に使用されているアミノ
フイリン量のうちのテオフイリンを基準にして行
なわれ、エチレンジアミン部分の重量は無視され
る。 このようにスロー・リリーズ錠剤に使用される
活性成分の溶解時間をさらに長くする方法として
ここに述べる置き換えるはいずれの場合にも生成
物中の薬理活性部分の量を基準とするのであつ
て、活性塩そのものの総重量を基準とするのでは
ない。なお、錠剤またはカプセル剤中の活性成分
を計算する場合、本発明の塩/塩基複合物は単一
の活性成分として計算される。 薬理活性塩及び活性塩基の組み合わせを利用す
る場合、材料を充分に混和し、好ましくは米国規
格16番メツシユ・スクリーンで整粒する。実際に
はスロー・リリーズ剤製造において前記混合及び
整粒段階を他との成分組合せて行なうのが便利で
ある。錠剤コアに塩/塩基活性成分を組み込む場
合、塩活性成分だけで錠剤を製造する際に採用さ
れるのと同じ順序で規定の希釈剤と混合すること
が好ましい。仕上がつた錠剤コアを適当なリリー
ズ抑制コーテイングで被覆する。 親水セルロース成分と疎水アルコール・ワツク
ス成分から成る安定したマトリクスをコーテイン
グのないスロー・リリーズ錠剤活性成分のキヤリ
アとして使用する場合、塩/塩基複合活性物質を
他の適当な希釈剤を含む親水成分と混合してから
顆粒化することが好ましい。例えばセルロース、
ラクトース、澱粉、ポビドンなどのような親水成
分と共に塩/塩基活性成分を組み込むのが好まし
いが、場合によつては、スロー・リリーズ・マト
リクスの調製に使用される脂肪族アルコールやワ
ツクスのような疎水成分と共に塩/塩基活性成分
を組み込むことが有用な時もある。 スロー・リリーズ錠剤の活性成分溶解時間を長
くするには下記の方法が有用である。 段階1:適量の薬理活性塩及びその遊離活性塩
基をセルロース成分及び必要に応じてその他
の親水性希釈剤、例えばラクトース、澱粉、
ポビドンと共に充分混合する。 段階2:段階1の混合物を、セルロース成分1
重量部につき2〜4重量部の水で水和し、攪
拌して粒状ペーストを形成する。その他の親
水ポリマーが存在する場合には水の量をやや
少なく、例えば2〜3重量部とする。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:疎水成分、例えば鎖長に10〜18個の炭
素原子を有する脂肪族アルコール、石油ワツ
クス、これらの混合物を融解させ、上記段階
3で得た顆粒に添加する。この混合物を均質
になるまで充分に攪拌する。 段階5:コーテイングされた顆粒を室温まで放
冷し、米国規格12番または14番メツシユ・ス
クリーンで整粒する。 段階6:段階5の顆粒に適当な滑沢剤を添加
し、所望の形状、サイズ及び重量の錠剤に圧
縮成形する。 このスロー・リリーズ錠剤の溶解時間は1日1
回投薬方式を含めて広範囲の投薬方式を採用でき
る程度に長い。 カプセル形式を利用したければ、圧縮成形段階
までに得られる混合物を適当なカプセルに充填
し、全体を公知の態様で抑制コーテイングで被覆
すればよい。 以下に本発明の実施例を示す。 実施例 1 ポリガラクツロン酸キニジン・スロー・リリー
ズ錠剤からの活性キニジン分溶解時間をさらに引
き延ばしたい場合には下記組成のスロー・リリー
ズ錠剤を調剤する。 錠剤 A 重量部(%) ポリガラクツロン酸キニジン 56.8 キニジン塩基 22.9 ヒドロキシエチルセルロース 6.4 ステアリル・アルコール 12.8 錠剤滑沢剤 1.1 100.0 この組成において、錠剤の活性キニジン分の60
%は塩であるポリガラクツロン酸キニジン、40%
はキニジン塩基から成る。 スロー・リリーズ錠剤の製法は下記の通りであ
る。 段階1:ポリガラクツロン酸キニジン及びキニ
ジン塩基を充分に混合し、ヒドロキシエチル
セルロースを添加し、均質になるまで混合を
続ける。 段階2:段階1の混合物を粒状ペーストを形成
するのに充分な水で水和する。重量比で1部
のセルロース材料に対して重量比で2〜4部
の水で充分なことが実証されている。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:ステアリル・アルコールを融解し、前
記顆粒をこの融解した脂肪族アルコールでコ
ーテイングし、充分に混合して均質らコーテ
イングを得る。 段階5:コーテイングした顆粒を放冷し、米国
規格12または114番メツシユ・スクリーンで
整粒する。 段階6:適当な滑沢剤を添加し、下記のような
所期のサイズ、形状及び重量の錠剤に圧縮す
る。 最終錠剤重量=360.0mg 錠剤直径=13/32インチ 硬度=8Kg(ストーク) 各錠のキニジン含有量=206.0mg このスロー・リリーズ錠剤の溶解時間を測定し
たところ、活性キニジン含有量の100%がリリー
ズされるのに20時間以上かかることが判明した。 同じキヤリアを使用し、ただし活性成分として
ポリガラクツロン酸キニジンだけを利用してスロ
ー・リリーズ錠剤を調整する場合、組成は下記の
通りである。 錠剤 B 重量部(%) ポリガラクツロン酸キニジン 77.0 ヒドロキシエチルセルロース 7.0 ステアリル・アルコール 14.0 錠剤滑沢剤 2.0 100.0 錠剤圧縮データ 最終錠剤重量=442.6mg 錠剤直径=14/32インチ 硬度=4Kg(ストーク) 各錠のキニジン含有量=206.0mg 製法は上記の製法と同じであり、キニジン含有
量の100%が溶解するのに必要な時間は12時間で
ある。 以上2種類の錠剤について溶解速度を比較した
結果は下記の通りである。錠剤Aはポリガラクツ
ロン酸キニジン及びキニジン塩基(60:40)、錠
剤Bはポリガラクツロン酸キニジン(100%塩)
である。 リリーズされるキニジン(%) 錠剤A 錠剤B 疑似胃液中1時間後 26 18 疑似腸液中2時間後 31 24 疑似腸液中3時間後 36 33 疑似腸液中4時間後 40 43 疑似腸液中6時間後 51 61 疑似腸液中9時間後 69 82 疑似腸液中12時間後 90 100% 疑似腸液中18時間後 93 − 疑似腸液中20時間後 100% − この測定結果から明らかなように、錠剤Bの調
整に使用されるポリガラクツロン酸キニジン中に
存在するキニジン量の40%をキニジン塩基(錠剤
A)で置き換えると、活性成分100%のリリーズ
に要する溶解時間は塩だけを使用する錠剤Bの場
合よりも約8時間長くなる。活性成分リリーズに
20時間という長い溶解時間を必要とすれば、不整
脈をコントロールするためのキニジン投与療法が
1日1回で済む。 有機塩ポリガラクツロン酸キニジン100%を活
性成分とするスロー・リリーズ錠剤(錠剤B)の
場合の錠剤硬度4Kg(ストーク)は、活性成分中
のキニジン量の40重量%をキニジン塩基で置き換
えることで8Kg(ストーク)に改善される(錠剤
A)。硬度がこの程度に改善されれば、包装や運
搬に際して起こる錠剤の脆さの問題を克服でき
る。 実施例 2 塩酸プロプラノロルを活性成分として含有する
スロー・リリーズ錠剤の溶解時間を引き延ばすに
は下記組成を採用する。 組成 A 重量部(%) HClプロプラノロル 25.8 プロプラノロル塩基 34.0 ラクトース 4.8 ヒドロキシエチルセルロース 5.2 パラフイン・ワツクス 28.2 滑沢剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム)
2.0 上記組成Aにおいて錠剤中のプロプラノロル含
有分の約40%はHClプロプラノロルとして存在
し、約60%はプロプラノロル塩基として存在す
る。この錠剤の製法は下記の通りである。 段階1:HClプロプラノロル、ラクトース及び
プロプラノロル塩基をヒドロキシエチルセル
ロースと共に適当なミキサーで混合する。 段階2:段階1の混合物をヒドロキシエチルセ
ルロース1重量部につき2〜4重量部の水を
使用して水和する。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:パラフイン・ワツクスを融解し、段階
3の顆粒に添加してこれをコーテイングす
る。 段階5:コーテイングした顆粒を放冷し、米国
規格12番または14番メツシユ・スクリーンで
整粒する。 段階6:適当な滑沢剤を添加し、下記のサイ
ズ、形状及び重量の錠剤に圧縮成形する。 最終錠剤重量=124.0mg 錠剤直径=9/32インチ 1錠のプロプラノロル含有量=70mg 活性成分塩HClプロプラノロルの一部をプロプ
ラノロルで置き換えた場合に得られる溶解時間の
延長度を検討するため、同じマトリクス、同じ製
法を採用し、ただし活性成分としてHClプロプラ
ノロルだけを使用するスロー・リリーズ錠剤を下
記組成Bとして調製した。 組成 B 重量部(%) HClプロプラノロル 64.5 ヒドロキシエチルセルロース 5.2 バラフイン・ワツクス 28.3 滑沢剤(タツク、ステアリン酸マグネシウム)
2.0 100.0 錠剤圧縮データ 最終錠剤重量=124.0mg 錠剤直径=9/32インチ 1錠のプロプラノロル含有量=70mg それぞれの錠剤の溶解時間条件を測定し、下記
の結果を得た。錠剤AはHClプロプラノロル及び
プロプラノロル塩基(70:60)であり、錠剤Bは
HClプロプラノロル(100%)である。 リリーズされるプロプラノロル(%) 錠剤A 錠剤B 疑似胃液中に1時間後 38 35 疑似腸液中に2時間後 55 57 疑似腸液中に3時間後 63 68 疑似腸液中に4時間後 68 83 疑似腸液中に5時間後 73 93 疑似腸液中に6時間後 76 100% 疑似腸液中に9時間後 100% − 活性成分として塩と塩基を組み合せることによ
り、スロー・リリーズ錠剤中のプロプラノロルの
溶解時間が、活性成分の100%を塩の形で組み込
んだ場合の6時間から、塩の60%を塩基で置き換
えた場合の9時間まで引き延ばされた。 実施例 3 例えばテオフイリンのようなキサンチンを活性
成分とし、1日1回の投薬で済むようにリリーズ
時間の長い錠剤を得たい場合には、下記の方法が
好ましい。 アミノフイリンはテオフイリン含有スロー・リ
リーズ錠剤の調製に従来利用されるテオフイリン
の水溶塩として公知である。この場合、スロー・
リリーズ錠剤に含まれるテオフイリン含有量の30
重量%はアミノフイリン、残る70重量%はテオフ
イリン塩基であり、1錠中のテオフイリン総量は
280mgとなる。このスロー・リリーズ錠剤の組成
及び製法は下記の通りである。 組成 A 重量部(%) アミノフイリン 24.0 テオフイリン 45.6 ヒドロキシエチルセルロース 6.2 ポリビニルピリドン 1.0 セトステアリル・アルコール 20.6 滑沢剤(タルク・ステアリン酸マグネシウム)
2.6 100.0 段階1:適量のアミノフイリンをヒドロキシエ
チルロースと混合する。 段階2:段階1に使用したヒドロキエチルセル
ロース1重量部につき充分量の水等価物また
は2.4重量部以上の水に指示量のポリビニル
ピロリドンを溶解し、この溶液を段階1で得
た固形混合物に添加、粒状ペーストとなるま
で混合する。 段階3:混合物を乾燥させ、米国規格16番メツ
シユ・スクリーンで整粒する。 段階4:セトステアリル・アルコールを融解
し、前記顆粒を融解した脂肪族アルコールで
コーテイングする。 段階5:コーテイングした顆粒を放冷し、米国
規格12番または14番メツシユ・スクリーンで
整粒する。 段階6:適当な滑沢剤を添加し、下記のような
所期の形状、サイズ及び重量の錠剤に圧縮成
形する。 最終錠剤重量=430.9mg 最終錠剤直径=14/32インチ 1錠中のテオフイリン含有量=280mg 錠剤硬度=12Kg (塩:塩基形=30:70)から成る組成Aについ
て測定された溶解時間は24時間である。アミノフ
イリンだけが活性成分(100%塩)である場合、
溶解時間は約9時間である。アミノフイリンのテ
オフイリン分の25%をテオフイリン塩基で置き換
えると溶解時間は約12時間に延びる。そこでアミ
ノフイリン塩だけを活性成分とする場合と、種々
の比率でテオフイリン塩基をも加えた場合との溶
解時間値を並置して示せば下記の通りである。錠
剤Aはアミノフイリン(100%塩)、錠剤Bは塩75
%塩基25%、錠剤Cは塩30%塩基70%の場合であ
る。
【表】
【表】
この測定結果から明らかなように、例えばテオ
フイリン組成物のようなキサンチン投薬剤の新し
い調剤法によつて治療の幅も広くなる。即ち、1
日1回投薬など個々の患者の需要を満たすように
特定のスロー・リリーズ錠剤に含まれるキサンチ
ン含有分の塩と塩基の比率を適当に選択し、溶解
時間で表わされる治療効果の幅を広げることがで
きる。 実施例 4 1錠中に60mgのコデインを含有するスロー・リ
リーズ形燐酸コデイン錠剤からの薬理コデイン溶
解時間をさらに引き延ばすには下記組成を採用す
る。 組成 A 重量部(%) 燐酸コデイン 29.6 コデイン塩基形 22.3 ヒドロキシエチルセルロース 6.0 セトステアリル・アルコール 23.8 ラクトース 16.3 滑沢剤(タルク・ステアリン酸マグネシウム)
2.0 100.0 この組成においてコデイン含有量はそれぞれ等
しい重量部の燐酸コデイン(塩)とコデイン塩基
とから成る(塩基:塩50:50)。この改良スロ
ー・リリーズ錠剤の製法は下記の通りである。 段階1:指示量の燐酸コデイン及びコデイン塩
基をラクトースと混合する。 段階2:段階で得た混合物に適量のヒドロキシ
エチルセルロースを添加、ヒドロキシエチル
ロース1重量部に対して2乃至4重量部の水
で粒状ペーストとなるまで水和する。 段階3:水和混合物を乾燥させ、米国規格16番
メツシユ・スクリーンで整粒する。 段階4:セトステアリル・アルコールを融解
し、段階3で得た顆粒に、均等に分布するま
で添加、室温まで放冷する。 段階5:段階4で得た混合物を米国規格12番ま
たは14番メツシユ・スクリーンで整粒する。 段階6:適量の滑沢剤を添加、下記サイズ、形
状及び重量の錠剤に圧縮成形する。 錠剤重量=134.5mg 1錠中のコデイン含有量=60mg 錠剤直径=9/32インチ 燐酸コデイン/コデイン塩基(50/50比)を活
性成分とする錠剤からコデイン含有量の100%が
溶解するのに要する時間は7時間である。この値
は100%塩、例えば燐酸コデインを活性成分とし
て同じ錠剤マトリクスに組み込んだ場合のコデイ
ン含有量100%リリーズに要する溶解時間3.5時間
の2倍に相当する。このことは両者の溶解時間テ
ストを同一条件下に平行して実施すれば明らかで
ある。 即ち、上記成分Aとほとんど同じマトリクスを
使用し、1錠中のコデイン含有量が60mgとなるの
に充分な量の燐酸コデインだけを活性成分として
スロー・リリーズ錠剤を調製した。 組成 B 重量部(%) 燐酸コデイン 59.5 ヒドロキシエチルセルロース 6.0 ラクトース 8.8 セトステアリル・アルコール 23.7 滑沢剤(タルク・ステアリン酸マグネシウム)
2.0 100.0 錠剤Bも上述したのとほぼ同様の段階に分けて
調製した。スロー・リリーズ錠剤は下記の条件に
従つて圧縮形成した。 錠剤重量=134.5mg 1錠中のコデイン含有量=60mg 錠剤直径=9/32インチ U.S.P.パドル法を利用した両錠剤の溶解時間を
測定し、下記の結果を得た。錠剤Aは燐酸コデイ
ン/コデイン塩基(50/50)、錠剤Bは燐酸コデ
イン(100%塩)である。 リリーズされるコデイン(%) 錠剤A 錠剤B 疑似胃液中で1時間後 46 58 疑似腸液中で2時間後 67 82 疑似腸液中で3時間後 79 96 疑似腸液中で3.5時間後 88 100% 疑似腸液中で5時間後 92 − 疑似腸液中で6時間後 95 − 疑似腸液中で7時間後 100% − 塩及び塩基を組み合せて活性成分とすることで
スロー・リリーズ錠剤からのコデイン溶解時間は
マトリクス量を増やしたり、活性成分以外の組成
に変化を加えたりせずに100%長くなる。 燐酸コデイン/コデイン塩基(50/50)から成
る錠剤Aを生物学的利用能の面で検討した結果、
7時間以上に亘つて必要な血液レベルが維持さ
れ、従つて、溶解時間と共に生物学的利用能もま
た延びることが判明した。 実施例 5 上記実施例で使用したヒドロキシエチルセルロ
ースの代りに、等量のヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、または両者
の混合物を使用することもできる。 上記実施例で使用した脂肪族アルコールの代り
に鎖長に10乃至18個の炭素原子を有する等量の高
級脂肪族アルコールの1つまたは混合物を使用し
てもよい。上記セチル・アルコールの代りに等量
の例えばセトステアリル・アルコールのような脂
肪族アルコールを使用してもよい。 上記実施例で使用したセチル・アルコールに代
わるものとしてはラウリル・アルコール、ミリス
チル・アルコール及びステアリル・アルコールが
好ましい。脂肪族アルコールが使用される場合、
いずれも等量のパラフイン・ワツクスを代用する
ことができる。 これらの代用親水及び疎水成分をスロー・リリ
ーズ剤中に使用する場合も錠剤の調製方法は同じ
であり、得られる錠剤の性向は先に述べたのと殆
ど変らない。 実施例 6 スロー・リリーズ錠剤の溶解時間を引き延ばす
ため活性成分として塩と塩基の薬理的活性複合物
を使用する本発明の方法は治療剤の生物学的利用
能の長時間維持を必要とする患者に対する治療処
置に広い融通性を与えるものである。即ち、上記
実施例1乃至実施例5に述べた錠剤組成物を、活
性成分としての活性塩基分と活性塩との比率を適
正に選択した上で1日1〜4回人畜に投与すれば
長時間に亘つて望ましい血液レベルを維持するこ
とができる。 活性塩基と活性塩の比率を50:50とした場合、
塩:塩基の比を50:50より大きくした場合よりも
溶解時間の引き延ばし幅が小さくなる。溶解時間
を引き延ばすために採用する正確な比率は活性成
分の種類及び個々の患者の治療条件によつて異な
つて来る。
フイリン組成物のようなキサンチン投薬剤の新し
い調剤法によつて治療の幅も広くなる。即ち、1
日1回投薬など個々の患者の需要を満たすように
特定のスロー・リリーズ錠剤に含まれるキサンチ
ン含有分の塩と塩基の比率を適当に選択し、溶解
時間で表わされる治療効果の幅を広げることがで
きる。 実施例 4 1錠中に60mgのコデインを含有するスロー・リ
リーズ形燐酸コデイン錠剤からの薬理コデイン溶
解時間をさらに引き延ばすには下記組成を採用す
る。 組成 A 重量部(%) 燐酸コデイン 29.6 コデイン塩基形 22.3 ヒドロキシエチルセルロース 6.0 セトステアリル・アルコール 23.8 ラクトース 16.3 滑沢剤(タルク・ステアリン酸マグネシウム)
2.0 100.0 この組成においてコデイン含有量はそれぞれ等
しい重量部の燐酸コデイン(塩)とコデイン塩基
とから成る(塩基:塩50:50)。この改良スロ
ー・リリーズ錠剤の製法は下記の通りである。 段階1:指示量の燐酸コデイン及びコデイン塩
基をラクトースと混合する。 段階2:段階で得た混合物に適量のヒドロキシ
エチルセルロースを添加、ヒドロキシエチル
ロース1重量部に対して2乃至4重量部の水
で粒状ペーストとなるまで水和する。 段階3:水和混合物を乾燥させ、米国規格16番
メツシユ・スクリーンで整粒する。 段階4:セトステアリル・アルコールを融解
し、段階3で得た顆粒に、均等に分布するま
で添加、室温まで放冷する。 段階5:段階4で得た混合物を米国規格12番ま
たは14番メツシユ・スクリーンで整粒する。 段階6:適量の滑沢剤を添加、下記サイズ、形
状及び重量の錠剤に圧縮成形する。 錠剤重量=134.5mg 1錠中のコデイン含有量=60mg 錠剤直径=9/32インチ 燐酸コデイン/コデイン塩基(50/50比)を活
性成分とする錠剤からコデイン含有量の100%が
溶解するのに要する時間は7時間である。この値
は100%塩、例えば燐酸コデインを活性成分とし
て同じ錠剤マトリクスに組み込んだ場合のコデイ
ン含有量100%リリーズに要する溶解時間3.5時間
の2倍に相当する。このことは両者の溶解時間テ
ストを同一条件下に平行して実施すれば明らかで
ある。 即ち、上記成分Aとほとんど同じマトリクスを
使用し、1錠中のコデイン含有量が60mgとなるの
に充分な量の燐酸コデインだけを活性成分として
スロー・リリーズ錠剤を調製した。 組成 B 重量部(%) 燐酸コデイン 59.5 ヒドロキシエチルセルロース 6.0 ラクトース 8.8 セトステアリル・アルコール 23.7 滑沢剤(タルク・ステアリン酸マグネシウム)
2.0 100.0 錠剤Bも上述したのとほぼ同様の段階に分けて
調製した。スロー・リリーズ錠剤は下記の条件に
従つて圧縮形成した。 錠剤重量=134.5mg 1錠中のコデイン含有量=60mg 錠剤直径=9/32インチ U.S.P.パドル法を利用した両錠剤の溶解時間を
測定し、下記の結果を得た。錠剤Aは燐酸コデイ
ン/コデイン塩基(50/50)、錠剤Bは燐酸コデ
イン(100%塩)である。 リリーズされるコデイン(%) 錠剤A 錠剤B 疑似胃液中で1時間後 46 58 疑似腸液中で2時間後 67 82 疑似腸液中で3時間後 79 96 疑似腸液中で3.5時間後 88 100% 疑似腸液中で5時間後 92 − 疑似腸液中で6時間後 95 − 疑似腸液中で7時間後 100% − 塩及び塩基を組み合せて活性成分とすることで
スロー・リリーズ錠剤からのコデイン溶解時間は
マトリクス量を増やしたり、活性成分以外の組成
に変化を加えたりせずに100%長くなる。 燐酸コデイン/コデイン塩基(50/50)から成
る錠剤Aを生物学的利用能の面で検討した結果、
7時間以上に亘つて必要な血液レベルが維持さ
れ、従つて、溶解時間と共に生物学的利用能もま
た延びることが判明した。 実施例 5 上記実施例で使用したヒドロキシエチルセルロ
ースの代りに、等量のヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、または両者
の混合物を使用することもできる。 上記実施例で使用した脂肪族アルコールの代り
に鎖長に10乃至18個の炭素原子を有する等量の高
級脂肪族アルコールの1つまたは混合物を使用し
てもよい。上記セチル・アルコールの代りに等量
の例えばセトステアリル・アルコールのような脂
肪族アルコールを使用してもよい。 上記実施例で使用したセチル・アルコールに代
わるものとしてはラウリル・アルコール、ミリス
チル・アルコール及びステアリル・アルコールが
好ましい。脂肪族アルコールが使用される場合、
いずれも等量のパラフイン・ワツクスを代用する
ことができる。 これらの代用親水及び疎水成分をスロー・リリ
ーズ剤中に使用する場合も錠剤の調製方法は同じ
であり、得られる錠剤の性向は先に述べたのと殆
ど変らない。 実施例 6 スロー・リリーズ錠剤の溶解時間を引き延ばす
ため活性成分として塩と塩基の薬理的活性複合物
を使用する本発明の方法は治療剤の生物学的利用
能の長時間維持を必要とする患者に対する治療処
置に広い融通性を与えるものである。即ち、上記
実施例1乃至実施例5に述べた錠剤組成物を、活
性成分としての活性塩基分と活性塩との比率を適
正に選択した上で1日1〜4回人畜に投与すれば
長時間に亘つて望ましい血液レベルを維持するこ
とができる。 活性塩基と活性塩の比率を50:50とした場合、
塩:塩基の比を50:50より大きくした場合よりも
溶解時間の引き延ばし幅が小さくなる。溶解時間
を引き延ばすために採用する正確な比率は活性成
分の種類及び個々の患者の治療条件によつて異な
つて来る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 薬剤として有効な量の薬理活性物質を薬剤と
して使用可能なリリーズ制御用のコアまたはマト
リクス中に分布させて成り、上記薬剤として有効
な量が上記薬理活性物質の塩については約75乃至
25重量%、上記薬理活性物質の遊離塩基について
は約25乃至75重量%であり、これらの有効量が上
記薬理活性物質の薬理活性分に基づくことを特徴
とする作用時間の長いスロー・リリーズ薬剤組成
物。 2 前記組成物が錠剤形式である特許請求の範囲
第1項に記載の作用時間の長いスロー・リリーズ
薬剤組成物。 3 前記組成物がカプセル形式である特許請求の
範囲第1項に記載の作用時間の長いスロー・リリ
ーズ薬剤組成物。 4 薬理活性物質がアミトリプタリン、アトロピ
ン、クロロフエニルアミン、クロロプロミジン、
コデイン、デキスブロムフエニルアミン、ジフエ
ニルヒドラミン、ドキシルアミン、エフエドリ
ン、ヒヨスチアミン、モルヒネ、オキシコドン、
パパバリン、フエニルプロパノルアミン、プロプ
ラノロル、キニジン、スコポルアミン、テオフイ
リンまたはチオリダジンである特許請求の範囲第
1項乃至第3項のいずれかに記載の作用時間の長
いスロー・リリーズ薬剤組成物。 5 前記薬理活性物質の薬剤として有効な量が約
60乃至40重量%の塩及び約40乃至60重量%の遊離
塩基から成る特許請求の範囲第1項に記載の作用
時間の長いスロー・リリーズ薬剤組成物。 6 塩の形を取る薬理活性物質約75乃至25重量%
と遊離塩基の形を取る薬理活性物質約25乃至75重
量%から成る薬剤として有効な量の薬理活性物質
をヒドロキシエチルセルロースと混合して均質な
混合物を得る段階と、この混合物を水で水和して
ペーストを形成する段階と、このペーストを乾燥
させて前記混合物の顆粒を得る段階と、この顆粒
を融解状態の高級アルコールに添加する段階と、
冷却して顆粒を形成する段階と、得られた顆粒を
錠剤またはカプセルに成形する段階とから成るこ
とを特徴とする作用時間の長いスロー・リリーズ
薬剤組成物の製法。 7 高級アルコールがステアリル・アルコールで
ある特許請求の範囲第6項に記載の作用時間の長
いスロー・リリーズ薬剤組成物の製法。
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