JPH0542423B2 - - Google Patents
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- JPH0542423B2 JPH0542423B2 JP11543184A JP11543184A JPH0542423B2 JP H0542423 B2 JPH0542423 B2 JP H0542423B2 JP 11543184 A JP11543184 A JP 11543184A JP 11543184 A JP11543184 A JP 11543184A JP H0542423 B2 JPH0542423 B2 JP H0542423B2
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Description
(産業上の利用分野)
本発明はN−アシルフエニルアラニン類の製造
法に関わるものである。さらに詳しくはN−アシ
ル−β−フエニルセリン類を還元触媒および強酸
の存在下、リン酸トリエステル系溶媒中で接触還
元してN−アシルフエニルアラニンを製造する方
法に関するものである。 N−アシルフエニルアラニン類は置換または無
置換のフエニルアラニンの前駆体として重要な化
合物である。とくに、無置換のN−アシルフエニ
ルアラニンは低カロリーの人工甘味剤として最近
注目されているアスパルテームの原料となるL−
フエニルアラニンの中間体として重要な化合物で
あり、例えば、N−アセチルフエニルアラニンに
酵素アシラーゼを作用させることにより容易にL
−フエニルアラニンを製造することができる。 (従来の技術) N−アシルフエニルアラニン類の製造法として
は、従来、N−アセチルグリシンまたはN−ベン
ゾイルグリシンとベンズアルデヒド類とを縮合さ
せて2−メチル(またはフエニル)−4−ベンジ
リデン−5−オキサゾロン類を得て、これを加水
分解して相当するα−アシルアミノ桂皮酸類とし
たのち、さらに接触還元する方法が一般的である
(例えば、Organic Synthesis、coll.vol.2巻、1
頁、491頁(1943年))。しかしながら、この方法
はN−アセチルグリシンまたはN−ベンゾイルグ
ルシンとベンズアルデヒド類との縮合を無水酢酸
中、酢酸ナトリウムの存在下に加熱還流下に実施
するので、種々の副生物を伴う反応であり、一般
に得られる2−メチル(またはフエニル)−4−
ベンジリデン−5−オキサゾロンの品質が悪く、
また収率も低いなどの欠点のある方法である。ま
たコバルトカルボニル触媒下に塩化ベンジル、ア
セトアミド、一酸化炭素および水素とからN−ア
セチルフエニルアラニンを製造する方法(特公昭
57−37585号)、あるいはスチレンオキシド、アセ
トアミド、一酸化炭素および水素をコバルトカル
ボニルならびにチタンイソプロポキシドの触媒存
在下に反応させてN−アセチルフエニルアラニン
を製造する方法(特開昭58−85845号)も開示さ
れている。しかし、これらの方法はいずれも高
温・高圧下での反応であり、工業的には装置上の
制約および危険を伴う方法である。このように従
来の方法はいろいろな欠点があり、工業的製法と
しては必ずしも満足できる方法とは言えない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明者らが上記のようなN−アシルフエニル
類の製造技術の現状を踏まえ、より工業的な製造
法について鋭意検討した結果、先にグリシンとベ
ンズアルデヒドから容易に製造できるβ−フエニ
ルセリンを原料とし、そのアシル誘導体を直接接
触還元してN−アシルフエニルアラニンを製造す
る新規な方法を見出し既に出願した(特願昭59−
40436号)。しかしながら、この方法はN−アシル
フエニルアラニンの新規な製法を提供したもの
の、目的物の収率は10%未満と低く、工業化でき
る技術とするには更に改良が必要であつた。そこ
で収率の大巾な向上を目的に鋭意検討した結果、
接触還元に際してある種の酸を添加することによ
り、還元反応が円滑に進行しかつ収率の大巾な向
上を達成できることがわかつた。ところが、強酸
を反応系に添加する関係上、アシル基の加水分解
反応が副反応として誘起され、そのため反応の選
択率が低下する。 例えば、N−アセチル−β−フエニルセリンを
0.5当量のp−トルエンスルホン酸の存在下に水
中、60〜65℃で接触還元反応を行うと、原料およ
び還元生成物の加水分解生成物であるβ−フエニ
ルセリンならびにフエニルアラニンがそれぞれ10
%以上副生し、目的物のN−アセチルフエニルア
ラニン収率はおよそ65%である。 本発明者らは、N−アシル−β−フエニルセリ
ン類のアシル基が加水分解する反応を抑制しつ
つ、N−アシルフエニルアラニン類を製造する方
法を種々検討した結果、N−アシル−β−フエニ
ルセリン類をリン酸トリエステル溶媒中で、酸お
よび還元触媒の存在下に接触還元することによ
り、酸が存在するにも拘らず、原料および生成物
のアセチル基が加水分解された化合物の副生を顕
著に抑制し、目的のN−アシルフエニルアラニン
類を高収率で製造できることを見出し、本発明の
方法に到達した。 (問題点を解決するための手段) 本発明は、式() (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、フエノキシ基、
ベンジルオキシ基またはメチレンジオキシ基を示
し、R3はメチル基またはフエニル基を示す)で
表わされるN−アシル−β−フエニルセリン類を
リン酸トリエステル溶媒中で、還元触媒および酸
の存在下に接触還元して、式() (式中、R4およびR5はそれぞれ独立して水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、フエノキシ基、
水酸基またはメチレンジオキシ基を示し、R3は
メチル基またはフエニル基を示す)で表わされる
N−アシルフエニルアラニン類を製造する方法で
ある。 本発明の方法で使用する原料は前記式()で
表わされるN−アシル−β−フエニルセリン類で
ある。具体的な化合物として、N−アセチル−β
−フエニルセリン、N−ベンゾイル−β−フエニ
ルセリン、N−アセチル−β−(p−メチルフエ
ニル)セリン、N−ベンゾイル−β−(p−メチ
ルフエニル)セリン、N−アセチル−β−(p−
エチルフエニル)セリン、N−ベンゾイル−β−
(p−エチルフエニル)セリン、N−アセチル−
β−(p−メトキシフエニル)セリン、N−ベン
ゾイル−β−(p−メトキシフエニル)セリン、
N−アセチル−β−(m−フエノキシフエニル)
セリン、N−ベンゾイル−β−(m−メトキシフ
エニル)セリン、N−アセチル−β−(3,4−
ジメトキシフエニル)セリン、N−ベンゾイル−
β−(3,4−ジメトキシフエニル)セリン、N
−アセチル−β−(m−フエノキシフエニル)セ
リン、N−ベンゾイル−β−(m−フエノキシフ
エニル)セリン、N−アセチル−β−(p−ベン
ジルオキシフエニル)セリン、N−ベンゾイル−
β−(p−ベンジルオキシフエニル)セリン、N
−アセチル−β−(m−ベンジルオキシフエニル)
セリン、N−ベンゾイル−β−(m−ベンジルオ
キシフエニル)セリン、N−アセチル−β−(3,
4−ジベンジルオキシフエニル)セリン、N−ベ
ンゾイル−β−(3,4−ジベンジルオキシフエ
ニル)セリン、N−アセチル−β−(3,4−ジ
メチレンジオキシフエニル)セリン、N−ベンゾ
イル−β−(3,4−メチレンジオキシフエニル)
セリン等が例示される。 これらの化合物は、グリシンとベンズアルデヒ
ド類を水酸化ナトリウムの存在下に反応後、酸処
理してβ−フエニルセリン類を得、これをひきつ
づき常法によつて無水酢酸または塩化ベンゾイル
でアシル化することによつて容易に製造すること
ができる。β−フエニルセリン類は、とくに、グ
リシンとベンズアルデヒド類を水と疏水性機溶媒
の2層系で反応させる方法(特願昭58−139455
号、特願昭59−46529号)で効率よく製造するこ
とができる。 本発明の方法は、式()のN−アシル−β−
フエニルセリン類の接触還元反応を還元触媒なら
びに酸の存在下に、リン酸トリエステル系溶媒中
で行なうところに特徴がある。 すなわち、本発明の方法で用いられる溶媒は原
料及び生成物に対する溶解力が比較的大きいリン
酸トリエステルで、とくにリン酸トリブチルが好
ましい。 溶媒の使用量は反応操作および反応後の後処理
を考慮して、原料のN−アシル−β−フエニルセ
リン類1重量部に対して1〜100重量部、好まし
くは2〜50重量部の範囲である。 本発明の方法で用いる還元触媒は不均一系の還
元触媒であり、パラジウム、白金、ロジウムまた
はルテニウムなどを挙げることができるが、とく
にパラジウムが好適である。パラジウム等は、通
常、種々の担体に担持した形で用いられる。担体
としては活性炭、硫酸バリウム、アルミナ、シリ
カまたはフエライト等の種々の担体が用いられ、
これらの担体上へのパラジウムの担持量は通常、
1〜10重量%である。勿論、パラジウムブラツク
を用いても反応には何ら差し支えない。 触媒の使用量は原料のN−アシル−β−フエニ
ルセリン類に対して0.5重量%以上、好ましくは
1重量%以上であり、上限については特に限定は
ないが経済的見地より通常、20重量%以下で使用
される。触媒の使用量が0.5重量%より少ないと
反応時間が著しく長くなり好ましくない。 また、本発明の方法で使用する酸としては塩
酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、過塩
素酸、クロルスルホン酸などの無機酸、またはト
リフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ある
いはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸、キシレンスルホン酸またはナフタリンスルホ
ン酸等の芳香族スルホン酸のような有機酸を挙げ
ることができる。これらの酸は、通常、単独で用
いられるが2種類以上を併用しても何ら差支えな
い。その使用量は原料のN−アシル−β−フエニ
ルセリン類に対して0.05〜4当量、好ましくは
0.1〜2当量である。酸の添加量が0.05当量より
少ない場合には還元反応に要する時間が著しく長
くなり、また4当量より多くなると原料及び生成
物のアシル基の加水分解反応に伴う副生物が多く
なり好ましくない。本発明の方法ではこれ等の酸
が反応を円滑に進める。 原料等の装入順序については特に限定はなく、
例えば原料をリン酸トリブチルに溶解または懸濁
させ、さらに還元触媒および強酸を添加し、反応
容器内を窒素置換つづいて水素置換したのち、接
触還元反応を行えばよい。還元反応は常圧または
加圧下のいずれでもよく、加圧下での反応であつ
ても、とくに高圧にする必要はなく、通常10Kg/
cm2以下で十分である。 還元反応の温度、時間は還元触媒の使用量、反
応時の水素圧力等によつて多少変化するが、通
常、20〜100℃、1〜100時間、好適には30〜80
℃、2〜50時間である。 本発明の方法によればN−アシル−β−フエニ
ルセリン類から、アシル基の加水分解反応をほと
んど伴うことなく、ほぼ選択的に対応するN−ア
シルフエニルアラニン類を製造することができ
る。しかし、原料としてベンジルオキシ基で置換
されたN−アシル−β−フエニルセリンを用いた
場合には、その生成物はベンジルオキシ基も還元
された水酸基置換のN−アシルフエニルアラニン
となる。 還元反応後生成したN−アシルフエニルアラニ
ン類を反応混合物より単離するには以下のように
行えばよい。すなわち、反応後生成物が溶解して
いる場合には還元触媒を別除去した液に反応
に使用した強酸と当量および原料のN−アシル−
β−フエニルセリンと当量の合計量以上の、例え
ば、水酸化ナトリウムなどのアルカリを溶解した
水溶液でN−アシルフエニルアラニン類を抽出
し、分液の後、水層に塩酸などの鉱酸を添加して
酸性化してN−アシルフエニルアラニン類を沈殿
させる。また、反応後還元生成物のN−アシルフ
エニルアラニン類が沈殿としてその一部または大
部分が析出している場合には還元触媒と一緒に
別し、塊は水酸化ナトリウムなどのアルカリ水
溶液で溶解して触媒と分離し、また液中に溶解
しているN−アシルフエニルアラニン類について
はアルカリ水溶液で抽出分離し両者を併合して酸
析すればよい。 また、アルカリ水溶液での抽出分離後回収され
る溶媒のリン酸トリエステルは水洗したのち特に
蒸留精製することなく循環使用することができ
る。 (実施例) 本発明の方法を具体的に説明するため以下に実
施例を示す。尚、実施例中の高速液体クロマトグ
ラフイーでの分析条件は以下の通りである。 高速液体クロマトグラフイー分析条件: カラム:YMC−Pack A−312 6mmφ×150mm
(充填剤:ODS) 移動相:0.005M/ヘプタンスルホン酸ナトリ
ウム 水溶液:メタノール=6:4(体積比)……
リン酸にてPH=2 流量:1.0ml/min 検出器:紫外分光光度計(波長:225nm) 実施例 1 100mlのガラス製密閉容器にN−アセチル−β
−フエニルセリン5.60gおよびリン酸トリブチル
50mlを装入し、さらに5%パラジウム/炭素0.28
g、p−トルエンスルホン酸1水和物1.2gを添
加する。反応容器内を窒素で置換、つづいて水素
で置換したのち、常圧下50〜60℃で15時間還元反
応を行つた。この間ほぼ理論量(1モル比)の水
素吸収が認められた。 反応後同温度で窒素置換したのち触媒を別除
去し少量のリン酸トリブチルで洗浄した。液と
洗液を併せ、この溶液中に5%水酸化ナトリウム
水溶液30gを加えて抽出した。静置後水層と溶媒
層を分液し、溶媒層はさらに1%水酸化ナトリウ
ム水溶液20mlで再度抽出を繰り返した。抽出水層
を併合した。 この水溶液を高速液体クロマトグラフイーにて
分析の結果N−アセチルフエニルアラニン生成率
は96.2mol%(対N−アセチル−β−フエニルセ
リン)であつた。また原料のN−アセチル−β−
フエニルセリンの残存率は0.8mol%であり、副
生物としてのβ−フエニルセリンおよびフエニル
アラニンはそれぞれ0.7mol%、1.4mol%であつ
た。 水溶液は20〜25℃で濃塩酸を添加しPHを1にし
たのち0〜5℃に冷却し析出している結晶を取
し、冷水で洗浄、乾燥することにより白色のN−
アセチルフエニルアラニン4.54gを得た。 融点:150〜151℃ 純度:99.8% 収率:87.6mol%(対N−アセチル−β−フエニ
ルセリン) 比較例 1 100mlのガラス製密閉容器にN−アセチル−β
−フエニルセリン5.6g、水50g、5%パラジウ
ム/炭素0.28gおよびp−トルエンスルホン酸1
水和物2.4gを装入した。反応容器内を窒素置換
つづいて水素置換したのち60〜65℃で20時間接触
還元反応を行つた。この間理論のほぼ80%の水素
吸収が認められた。反応後25℃に冷却し、窒素置
換し、次に45%水酸化ナトリウム水溶液を添加し
てPH8とした。触媒を別、少量の水で洗浄のの
ち、液と洗液を併せて高速液体クロマトグラフ
イーにて分析した。結果は下記の通りであつた。 N−アセチルフエニルアラニン63.5mol%(対N
−アセチル−β−フエニルセリン) N−アセチル−β−フエニルセリン6.1mol%
(対N−アセチル−β−フエニルセリン) β−フエニルセリン 14.9mol%(対N−アセチ
ル−β−フエニルセリン)フエニルアラニン
13.6mol%(対N−アセチル−β−フエニルセ
リン) 実施例 2〜9 N−アセチル−β−フエニルセリン5.6gを使
用しリン酸トリブチルの量、還元触媒の種類およ
び量、強酸の種類ならびに量を変えて反応を行つ
た結果を表−1に示す。分析値は実施例1と同様
に反応後触媒を別した液を水酸化ナトリウム
水溶液で抽出分離しその水層を分析した結果であ
る。 実施例 10 100mlのガラス製密閉容器にN−ベンゾイル−
β−フエニルセリン7.13gおよびリン酸トリブチ
ル60mlを装入し、さらに5%パラジウム/炭素
0.28gおよびp−トルエンスルホン酸1水和物
2.4gを添加した。反応容器内を窒素で置換、つ
づいて水素で置換したのち、常圧下55〜60℃で15
時間還元反応を行つた。
法に関わるものである。さらに詳しくはN−アシ
ル−β−フエニルセリン類を還元触媒および強酸
の存在下、リン酸トリエステル系溶媒中で接触還
元してN−アシルフエニルアラニンを製造する方
法に関するものである。 N−アシルフエニルアラニン類は置換または無
置換のフエニルアラニンの前駆体として重要な化
合物である。とくに、無置換のN−アシルフエニ
ルアラニンは低カロリーの人工甘味剤として最近
注目されているアスパルテームの原料となるL−
フエニルアラニンの中間体として重要な化合物で
あり、例えば、N−アセチルフエニルアラニンに
酵素アシラーゼを作用させることにより容易にL
−フエニルアラニンを製造することができる。 (従来の技術) N−アシルフエニルアラニン類の製造法として
は、従来、N−アセチルグリシンまたはN−ベン
ゾイルグリシンとベンズアルデヒド類とを縮合さ
せて2−メチル(またはフエニル)−4−ベンジ
リデン−5−オキサゾロン類を得て、これを加水
分解して相当するα−アシルアミノ桂皮酸類とし
たのち、さらに接触還元する方法が一般的である
(例えば、Organic Synthesis、coll.vol.2巻、1
頁、491頁(1943年))。しかしながら、この方法
はN−アセチルグリシンまたはN−ベンゾイルグ
ルシンとベンズアルデヒド類との縮合を無水酢酸
中、酢酸ナトリウムの存在下に加熱還流下に実施
するので、種々の副生物を伴う反応であり、一般
に得られる2−メチル(またはフエニル)−4−
ベンジリデン−5−オキサゾロンの品質が悪く、
また収率も低いなどの欠点のある方法である。ま
たコバルトカルボニル触媒下に塩化ベンジル、ア
セトアミド、一酸化炭素および水素とからN−ア
セチルフエニルアラニンを製造する方法(特公昭
57−37585号)、あるいはスチレンオキシド、アセ
トアミド、一酸化炭素および水素をコバルトカル
ボニルならびにチタンイソプロポキシドの触媒存
在下に反応させてN−アセチルフエニルアラニン
を製造する方法(特開昭58−85845号)も開示さ
れている。しかし、これらの方法はいずれも高
温・高圧下での反応であり、工業的には装置上の
制約および危険を伴う方法である。このように従
来の方法はいろいろな欠点があり、工業的製法と
しては必ずしも満足できる方法とは言えない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明者らが上記のようなN−アシルフエニル
類の製造技術の現状を踏まえ、より工業的な製造
法について鋭意検討した結果、先にグリシンとベ
ンズアルデヒドから容易に製造できるβ−フエニ
ルセリンを原料とし、そのアシル誘導体を直接接
触還元してN−アシルフエニルアラニンを製造す
る新規な方法を見出し既に出願した(特願昭59−
40436号)。しかしながら、この方法はN−アシル
フエニルアラニンの新規な製法を提供したもの
の、目的物の収率は10%未満と低く、工業化でき
る技術とするには更に改良が必要であつた。そこ
で収率の大巾な向上を目的に鋭意検討した結果、
接触還元に際してある種の酸を添加することによ
り、還元反応が円滑に進行しかつ収率の大巾な向
上を達成できることがわかつた。ところが、強酸
を反応系に添加する関係上、アシル基の加水分解
反応が副反応として誘起され、そのため反応の選
択率が低下する。 例えば、N−アセチル−β−フエニルセリンを
0.5当量のp−トルエンスルホン酸の存在下に水
中、60〜65℃で接触還元反応を行うと、原料およ
び還元生成物の加水分解生成物であるβ−フエニ
ルセリンならびにフエニルアラニンがそれぞれ10
%以上副生し、目的物のN−アセチルフエニルア
ラニン収率はおよそ65%である。 本発明者らは、N−アシル−β−フエニルセリ
ン類のアシル基が加水分解する反応を抑制しつ
つ、N−アシルフエニルアラニン類を製造する方
法を種々検討した結果、N−アシル−β−フエニ
ルセリン類をリン酸トリエステル溶媒中で、酸お
よび還元触媒の存在下に接触還元することによ
り、酸が存在するにも拘らず、原料および生成物
のアセチル基が加水分解された化合物の副生を顕
著に抑制し、目的のN−アシルフエニルアラニン
類を高収率で製造できることを見出し、本発明の
方法に到達した。 (問題点を解決するための手段) 本発明は、式() (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、フエノキシ基、
ベンジルオキシ基またはメチレンジオキシ基を示
し、R3はメチル基またはフエニル基を示す)で
表わされるN−アシル−β−フエニルセリン類を
リン酸トリエステル溶媒中で、還元触媒および酸
の存在下に接触還元して、式() (式中、R4およびR5はそれぞれ独立して水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、フエノキシ基、
水酸基またはメチレンジオキシ基を示し、R3は
メチル基またはフエニル基を示す)で表わされる
N−アシルフエニルアラニン類を製造する方法で
ある。 本発明の方法で使用する原料は前記式()で
表わされるN−アシル−β−フエニルセリン類で
ある。具体的な化合物として、N−アセチル−β
−フエニルセリン、N−ベンゾイル−β−フエニ
ルセリン、N−アセチル−β−(p−メチルフエ
ニル)セリン、N−ベンゾイル−β−(p−メチ
ルフエニル)セリン、N−アセチル−β−(p−
エチルフエニル)セリン、N−ベンゾイル−β−
(p−エチルフエニル)セリン、N−アセチル−
β−(p−メトキシフエニル)セリン、N−ベン
ゾイル−β−(p−メトキシフエニル)セリン、
N−アセチル−β−(m−フエノキシフエニル)
セリン、N−ベンゾイル−β−(m−メトキシフ
エニル)セリン、N−アセチル−β−(3,4−
ジメトキシフエニル)セリン、N−ベンゾイル−
β−(3,4−ジメトキシフエニル)セリン、N
−アセチル−β−(m−フエノキシフエニル)セ
リン、N−ベンゾイル−β−(m−フエノキシフ
エニル)セリン、N−アセチル−β−(p−ベン
ジルオキシフエニル)セリン、N−ベンゾイル−
β−(p−ベンジルオキシフエニル)セリン、N
−アセチル−β−(m−ベンジルオキシフエニル)
セリン、N−ベンゾイル−β−(m−ベンジルオ
キシフエニル)セリン、N−アセチル−β−(3,
4−ジベンジルオキシフエニル)セリン、N−ベ
ンゾイル−β−(3,4−ジベンジルオキシフエ
ニル)セリン、N−アセチル−β−(3,4−ジ
メチレンジオキシフエニル)セリン、N−ベンゾ
イル−β−(3,4−メチレンジオキシフエニル)
セリン等が例示される。 これらの化合物は、グリシンとベンズアルデヒ
ド類を水酸化ナトリウムの存在下に反応後、酸処
理してβ−フエニルセリン類を得、これをひきつ
づき常法によつて無水酢酸または塩化ベンゾイル
でアシル化することによつて容易に製造すること
ができる。β−フエニルセリン類は、とくに、グ
リシンとベンズアルデヒド類を水と疏水性機溶媒
の2層系で反応させる方法(特願昭58−139455
号、特願昭59−46529号)で効率よく製造するこ
とができる。 本発明の方法は、式()のN−アシル−β−
フエニルセリン類の接触還元反応を還元触媒なら
びに酸の存在下に、リン酸トリエステル系溶媒中
で行なうところに特徴がある。 すなわち、本発明の方法で用いられる溶媒は原
料及び生成物に対する溶解力が比較的大きいリン
酸トリエステルで、とくにリン酸トリブチルが好
ましい。 溶媒の使用量は反応操作および反応後の後処理
を考慮して、原料のN−アシル−β−フエニルセ
リン類1重量部に対して1〜100重量部、好まし
くは2〜50重量部の範囲である。 本発明の方法で用いる還元触媒は不均一系の還
元触媒であり、パラジウム、白金、ロジウムまた
はルテニウムなどを挙げることができるが、とく
にパラジウムが好適である。パラジウム等は、通
常、種々の担体に担持した形で用いられる。担体
としては活性炭、硫酸バリウム、アルミナ、シリ
カまたはフエライト等の種々の担体が用いられ、
これらの担体上へのパラジウムの担持量は通常、
1〜10重量%である。勿論、パラジウムブラツク
を用いても反応には何ら差し支えない。 触媒の使用量は原料のN−アシル−β−フエニ
ルセリン類に対して0.5重量%以上、好ましくは
1重量%以上であり、上限については特に限定は
ないが経済的見地より通常、20重量%以下で使用
される。触媒の使用量が0.5重量%より少ないと
反応時間が著しく長くなり好ましくない。 また、本発明の方法で使用する酸としては塩
酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、過塩
素酸、クロルスルホン酸などの無機酸、またはト
リフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、ある
いはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸、キシレンスルホン酸またはナフタリンスルホ
ン酸等の芳香族スルホン酸のような有機酸を挙げ
ることができる。これらの酸は、通常、単独で用
いられるが2種類以上を併用しても何ら差支えな
い。その使用量は原料のN−アシル−β−フエニ
ルセリン類に対して0.05〜4当量、好ましくは
0.1〜2当量である。酸の添加量が0.05当量より
少ない場合には還元反応に要する時間が著しく長
くなり、また4当量より多くなると原料及び生成
物のアシル基の加水分解反応に伴う副生物が多く
なり好ましくない。本発明の方法ではこれ等の酸
が反応を円滑に進める。 原料等の装入順序については特に限定はなく、
例えば原料をリン酸トリブチルに溶解または懸濁
させ、さらに還元触媒および強酸を添加し、反応
容器内を窒素置換つづいて水素置換したのち、接
触還元反応を行えばよい。還元反応は常圧または
加圧下のいずれでもよく、加圧下での反応であつ
ても、とくに高圧にする必要はなく、通常10Kg/
cm2以下で十分である。 還元反応の温度、時間は還元触媒の使用量、反
応時の水素圧力等によつて多少変化するが、通
常、20〜100℃、1〜100時間、好適には30〜80
℃、2〜50時間である。 本発明の方法によればN−アシル−β−フエニ
ルセリン類から、アシル基の加水分解反応をほと
んど伴うことなく、ほぼ選択的に対応するN−ア
シルフエニルアラニン類を製造することができ
る。しかし、原料としてベンジルオキシ基で置換
されたN−アシル−β−フエニルセリンを用いた
場合には、その生成物はベンジルオキシ基も還元
された水酸基置換のN−アシルフエニルアラニン
となる。 還元反応後生成したN−アシルフエニルアラニ
ン類を反応混合物より単離するには以下のように
行えばよい。すなわち、反応後生成物が溶解して
いる場合には還元触媒を別除去した液に反応
に使用した強酸と当量および原料のN−アシル−
β−フエニルセリンと当量の合計量以上の、例え
ば、水酸化ナトリウムなどのアルカリを溶解した
水溶液でN−アシルフエニルアラニン類を抽出
し、分液の後、水層に塩酸などの鉱酸を添加して
酸性化してN−アシルフエニルアラニン類を沈殿
させる。また、反応後還元生成物のN−アシルフ
エニルアラニン類が沈殿としてその一部または大
部分が析出している場合には還元触媒と一緒に
別し、塊は水酸化ナトリウムなどのアルカリ水
溶液で溶解して触媒と分離し、また液中に溶解
しているN−アシルフエニルアラニン類について
はアルカリ水溶液で抽出分離し両者を併合して酸
析すればよい。 また、アルカリ水溶液での抽出分離後回収され
る溶媒のリン酸トリエステルは水洗したのち特に
蒸留精製することなく循環使用することができ
る。 (実施例) 本発明の方法を具体的に説明するため以下に実
施例を示す。尚、実施例中の高速液体クロマトグ
ラフイーでの分析条件は以下の通りである。 高速液体クロマトグラフイー分析条件: カラム:YMC−Pack A−312 6mmφ×150mm
(充填剤:ODS) 移動相:0.005M/ヘプタンスルホン酸ナトリ
ウム 水溶液:メタノール=6:4(体積比)……
リン酸にてPH=2 流量:1.0ml/min 検出器:紫外分光光度計(波長:225nm) 実施例 1 100mlのガラス製密閉容器にN−アセチル−β
−フエニルセリン5.60gおよびリン酸トリブチル
50mlを装入し、さらに5%パラジウム/炭素0.28
g、p−トルエンスルホン酸1水和物1.2gを添
加する。反応容器内を窒素で置換、つづいて水素
で置換したのち、常圧下50〜60℃で15時間還元反
応を行つた。この間ほぼ理論量(1モル比)の水
素吸収が認められた。 反応後同温度で窒素置換したのち触媒を別除
去し少量のリン酸トリブチルで洗浄した。液と
洗液を併せ、この溶液中に5%水酸化ナトリウム
水溶液30gを加えて抽出した。静置後水層と溶媒
層を分液し、溶媒層はさらに1%水酸化ナトリウ
ム水溶液20mlで再度抽出を繰り返した。抽出水層
を併合した。 この水溶液を高速液体クロマトグラフイーにて
分析の結果N−アセチルフエニルアラニン生成率
は96.2mol%(対N−アセチル−β−フエニルセ
リン)であつた。また原料のN−アセチル−β−
フエニルセリンの残存率は0.8mol%であり、副
生物としてのβ−フエニルセリンおよびフエニル
アラニンはそれぞれ0.7mol%、1.4mol%であつ
た。 水溶液は20〜25℃で濃塩酸を添加しPHを1にし
たのち0〜5℃に冷却し析出している結晶を取
し、冷水で洗浄、乾燥することにより白色のN−
アセチルフエニルアラニン4.54gを得た。 融点:150〜151℃ 純度:99.8% 収率:87.6mol%(対N−アセチル−β−フエニ
ルセリン) 比較例 1 100mlのガラス製密閉容器にN−アセチル−β
−フエニルセリン5.6g、水50g、5%パラジウ
ム/炭素0.28gおよびp−トルエンスルホン酸1
水和物2.4gを装入した。反応容器内を窒素置換
つづいて水素置換したのち60〜65℃で20時間接触
還元反応を行つた。この間理論のほぼ80%の水素
吸収が認められた。反応後25℃に冷却し、窒素置
換し、次に45%水酸化ナトリウム水溶液を添加し
てPH8とした。触媒を別、少量の水で洗浄のの
ち、液と洗液を併せて高速液体クロマトグラフ
イーにて分析した。結果は下記の通りであつた。 N−アセチルフエニルアラニン63.5mol%(対N
−アセチル−β−フエニルセリン) N−アセチル−β−フエニルセリン6.1mol%
(対N−アセチル−β−フエニルセリン) β−フエニルセリン 14.9mol%(対N−アセチ
ル−β−フエニルセリン)フエニルアラニン
13.6mol%(対N−アセチル−β−フエニルセ
リン) 実施例 2〜9 N−アセチル−β−フエニルセリン5.6gを使
用しリン酸トリブチルの量、還元触媒の種類およ
び量、強酸の種類ならびに量を変えて反応を行つ
た結果を表−1に示す。分析値は実施例1と同様
に反応後触媒を別した液を水酸化ナトリウム
水溶液で抽出分離しその水層を分析した結果であ
る。 実施例 10 100mlのガラス製密閉容器にN−ベンゾイル−
β−フエニルセリン7.13gおよびリン酸トリブチ
ル60mlを装入し、さらに5%パラジウム/炭素
0.28gおよびp−トルエンスルホン酸1水和物
2.4gを添加した。反応容器内を窒素で置換、つ
づいて水素で置換したのち、常圧下55〜60℃で15
時間還元反応を行つた。
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 式() (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原
子、アルキル基、アルコシキ基、アルコキシ基、
フエノキシ基、ベンジルオキシ基またはメチレン
ジオキシ基を示し、R3はメチル基またはフエニ
ル基を示す)で表わされるN−アシル−β−フエ
ニルセリン類を還元触媒および酸の存在下に接触
還元して、式() (式中、R4およびR5はそれぞれ独立して水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、フエノキシ基、
水酸基またはメチレンジオキシ基を示し、R3は
メチル基またはフエニル基を示す)で表わされる
N−アシルフエニルアラニン類を製造するに際し
て、該還元反応をリン酸トリエステル系の溶剤中
で行うことを特徴とするN−アシルフエニルアラ
ニン類の製造法。 2 リン酸トリエステル系の溶媒がリン酸トリブ
チルである特許請求の範囲第1項記載の方法。
Priority Applications (14)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP59115431A JPS60260550A (ja) | 1984-06-07 | 1984-06-07 | N−アシルフエニルアラニン類の製造法 |
| DE3590085A DE3590085C2 (ja) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | |
| AU39984/85A AU567460B2 (en) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Preparation process of n-acylphenylalanines |
| CH4778/85A CH667085A5 (de) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Verfahren zur herstellung von n-acylphenylalaninen. |
| PCT/JP1985/000109 WO1985003933A1 (fr) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Procede de preparation de n-acylphenylanines |
| GB08525711A GB2175583B (en) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Process for preparing n-acylphenylalanines |
| EP85901089A EP0174375B1 (en) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Process for preparing n-acylphenylalanines |
| NL8520047A NL8520047A (nl) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Werkwijze voor het bereiden van n-acylphenylalanines. |
| DE19853590085 DE3590085T (de) | 1984-03-05 | 1985-03-05 | Verfahren zur Herstellung von N-Acylphenylalaninen |
| CA000481506A CA1235420A (en) | 1984-06-07 | 1985-05-14 | Preparation process of n-acylphenylalanines |
| MX20553585A MX161176A (es) | 1984-06-07 | 1985-06-04 | Procedimiento para la preparacion de n-acilfenilaninas |
| IT21007/85A IT1186724B (it) | 1984-06-07 | 1985-06-04 | Processo di preparazione di n-acilfenilanine |
| ES543960A ES8603688A1 (es) | 1984-06-07 | 1985-06-05 | Procedimiento para preparacion de n-acilfenilalaninas |
| US06/794,562 US4675439A (en) | 1984-03-05 | 1985-11-04 | Preparation process of N-acylphenylalanines |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP59115431A JPS60260550A (ja) | 1984-06-07 | 1984-06-07 | N−アシルフエニルアラニン類の製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60260550A JPS60260550A (ja) | 1985-12-23 |
| JPH0542423B2 true JPH0542423B2 (ja) | 1993-06-28 |
Family
ID=14662395
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP59115431A Granted JPS60260550A (ja) | 1984-03-05 | 1984-06-07 | N−アシルフエニルアラニン類の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60260550A (ja) |
-
1984
- 1984-06-07 JP JP59115431A patent/JPS60260550A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60260550A (ja) | 1985-12-23 |
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