JPH0544154A - 炭素繊維の表面処理方法 - Google Patents

炭素繊維の表面処理方法

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JPH0544154A
JPH0544154A JP21936891A JP21936891A JPH0544154A JP H0544154 A JPH0544154 A JP H0544154A JP 21936891 A JP21936891 A JP 21936891A JP 21936891 A JP21936891 A JP 21936891A JP H0544154 A JPH0544154 A JP H0544154A
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carbon fiber
electrolytic oxidation
treatment
stage
electrolytic
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JP21936891A
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Hiroshi Ejiri
宏 江尻
Tomimori Hosotsubo
富守 細坪
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PETOCA KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 炭素繊維の表面に主にOH基などの酸素含有
官能基を多く導入できると共に、表面の凹凸をも増加さ
せて、複合材料を構成する樹脂マトリックスと強化繊維
との接着性を向上させる炭素繊維の表面処理方法を提
供。 【構成】 炭素繊維を電解酸化により表面処理する方法
において、炭素繊維を陽極及び陰極に交互に変えながら
多段で行う連続的電解酸化又は、炭素繊維を陽極として
バッチで行う電解酸化に際し、初めに炭素繊維へ50c
/g以上の電気量を通す苛酷な条件下で電解酸化する第
1段階の処理を行い、次いで、水洗・乾燥した後に、9
50℃以上の温度で焼成処理し、その後に、20c/g
以下の電気量を通す温和な条件下で電解酸化する第2段
階の処理を行う。 【効果】 炭素繊維の表面に酸素含有官能基を優先的に
増加させることができ凹凸の増加に著しい効果があり層
間剪断強度に優れた複合材を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素繊維の新規な表面
処理方法に関する。特に、本発明は、複合材料を構成す
る樹脂マトリックスと強化繊維との接着性を向上させる
ことの出来る、炭素繊維の表面処理方法に関する。
【0002】更に、本発明は、PAN系炭素繊維に比較
して電解酸化処理による表面改質が難しいピッチ系炭素
繊維に特に好適な表面処理方法に関する。また、本発明
は、炭素繊維の表面に主にOH基などの酸素含有官能基
を多く導入できると共に、表面の凹凸をも増加させる、
炭素繊維の表面処理方法に関する。
【0003】また、本発明は、コンポジット物性のより
優れた補強用炭素繊維を与える、炭素繊維の表面処理方
法に関する。
【0004】
【従来の技術】従来から炭素繊維は、その力学的、化学
的、電気的諸特性及び軽量性などにより、各種の用途、
例えば航空、宇宙用構造材料、船舶、自動車、スポーツ
用品などに広く使用されている。
【0005】これらの用途において、炭素繊維は、一般
に該炭素繊維と各種樹脂マトリックスとの複合材料の補
強材として用いられるが、特にその力学的性質を複合材
料に反映させるためには、複合材料を構成する樹脂マト
リックスと炭素繊維との接着性、一体化が重要である。
【0006】そのために、炭素繊維には、予め何らかの
表面処理を施していないと、マトリックスに対する接着
性が十分でなく、マトリックスからの繊維の引き抜けを
生じ易く、補強効果を十分に発揮できない。
【0007】その表面処理としては、各種の方法、例え
ば酸化剤による液相酸化法、ヒートクリーニング法、気
相酸化法、ウイスカライジング法や電解酸化法等が知ら
れているが、特に、電解酸化法はその操業性が優れてい
ることから、広く採用されている。
【0008】しかしながら、従来の電解酸化法では、特
にメソフェーズピッチ系の高弾性率炭素繊維の場合に
は、接着性が悪く、得られたコンポジットの物性が劣る
問題点があると共に、結晶構造が発達しているために、
従来のPAN系炭素繊維に用いられた条件では表面処理
効果に乏しい問題点があり、このような高弾性率炭素繊
維にも十分に有効である表面処理法、特に電解酸化法の
改善が早急に求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来、工業的な炭素繊
維の表面処理法として、炭素繊維を陽極及び陰極に交互
に変えながら多段で連続的に処理して効率的に電解酸化
する方法が知られている(特開昭63−282364号
公報)。
【0010】本発明は、上記先行技術に開示の連続的多
段の手法を、より効率的に利用・展開させた新規な表面
処理方法を提供することにある。他の観点からは、本発
明は、特に複合材料を構成するマトリックス樹脂との接
着性を向上させるために、炭素繊維の表面の構造を結晶
質から苛酷な条件下で電解酸化して非晶質構造に変え、
その後、その非晶質表面をマイルドに(温和な条件で)
電解酸化する、新規な表面処理方法を提供するものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を種々検討した結果、炭素繊維の電解酸化処理に、
(イ)結晶構造の炭素繊維の表面を非晶質構造に変え
る、苛酷な条件で行う第1の電解酸化工程と、(ロ)そ
の後、表面層をクリアにする、不活性雰囲気下又は真空
中での焼成処理と、(ハ)OH基などの官能基を優先的
に導入する、温和な条件で行う第2の電解酸化工程から
なる複数工程を採用することにより、炭素繊維の表面に
凹凸とOH基などの官能基の増加を効率良く行えること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は: 炭素繊維を電解酸化により表面処理する方法におい
て、炭素繊維を陽極及び陰極に交互に変えながら多段で
行う連続的電解酸化に際し、(a) 初めに炭素繊維へ5
0c/g以上の電気量を通す苛酷な条件下で電解酸化す
る第1段階の処理を行い、(b) 次いで、水洗・乾燥し
た後に、950℃以上の温度で焼成処理し、(c) その
後に、20c/g以下の電気量を通す温和な条件下で電
解酸化する第2段階の処理を行うことを特徴とする、炭
素繊維の表面処理方法であり、さらに、
【0013】 炭素繊維を電解酸化により表面処理す
る方法において、炭素繊維を陽極としてバッチで行う電
解酸化に際し、(a) 初めに炭素繊維へ50c/g以上
の電気量を通す苛酷な条件下で電解酸化する第1段階の
処理を行い、(b) 次いで、水洗・乾燥した後に、95
0℃以上の温度で焼成処理し、(c) その後に、20c/
g以下の電気量を通す温和な条件下で電解酸化する第2
段階の処理を行うことを特徴とする、炭素繊維の表面処
理方法であり、さらに、
【0014】 焼成処理(b)が真空中又は不活性雰
囲気中でかつ、950〜1500℃の範囲の焼成処理温
度で行われる点にも特徴を有し、また、 第1段階の電解酸化に用いる電解質が硝酸、硫酸又
はリン酸等の無機強電解質である点にも特徴を有し、ま
た、
【0015】 第2段階の電解酸化に用いる電解質が
アルカリ性又は中性電解質である点にも特徴を有する。
【0016】以下、本発明を詳細に具体的に説明する。
本発明は、基本的には、炭素繊維の表面構造を高結晶化
状態から非晶質状態に変える苛酷な条件下での第1段階
の電解酸化処理を行い、別途に、その非晶質表面を温和
な条件下で電解酸化する第2段階の処理を行うと言う、
段階的な電解酸化を行うことが重要であり、かつその際
に、第1段階の電解酸化処理で得られた非晶質表面に生
成した黒鉛酸化物や官能基及び吸着ガス分子成分などを
真空中で又は不活性雰囲気下で焼成・除去してクリーン
な表面を形成させて後に、第2段階の温和な条件下での
電解酸化を行う点に特徴がある。
【0017】そして、このような特殊な複数段階の処理
によって、炭素繊維表面にマトリックス樹脂との接着性
の向上に有効な、凹凸な表面の形成によるアンカー効果
増加と酸素含有官能基の優先的な導入とが効率的に果た
せるのである。
【0018】本発明の複数段階による電解酸化方法は、
いずれのタイプの炭素繊維の電解酸化法にも有利に適用
できるが、特に結晶構造が発達していて、有効な電解酸
化の難しいとされてきた高弾性率のピッチ系炭素繊維の
電解酸化処理に有効である。
【0019】本発明の方法に有効な炭素繊維としては、
例えば、石炭ピッチ、石油ピッチ等から精製されたメソ
フェーズピッチを前駆体として製造された20×103
kgf/mm2 以上の高弾性率ピッチ系炭素繊維を挙げ
ることができる。
【0020】また、本発明の電解酸化方法は、いずれの
タイプの公知の電解酸化手法にも適用できるが、例えば
連続法に又はバッチ法に適用できる。具体的には、バッ
チ法では、所定の濃度の電解質水溶液を満たした電解処
理槽内に炭素繊維を浸漬させ、該炭素繊維に陽電圧を印
加し、所定量の電流を流して電解酸化処理する。
【0021】また、連続法では、代表的には特開昭63
−282364号公報に開示の方法、すなわち、電解液
槽から電解液をオーバーフローさせたものを陰・陽の極
とし、該陰極と陽極とを多数交互に並べた上に、該陰・
陽の極の液面の脹れ上がった部分を通して炭素繊維を走
らせ、該炭素繊維が実質的に液槽の縁取りで曲げられな
いようにして、該陰極と陽極との間にある炭素繊維及び
炭素繊維に付着した電解液に直流電流を流して電解酸化
処理する。
【0022】この場合に、該陰・陽の極の繊維走行方向
の長さを3〜300mm、該陰・陽の極の数を5〜10
0個以下とすることが好ましい。 (a) 第1段階の電解酸化処理;第1段階の電解酸化処
理においては、電解液として、硝酸、硫酸及び燐酸など
の無機酸を主体とし、必要に応じて少量のギ酸、シュウ
酸、酒石酸などの有機酸、あるいはそれらのアンモニウ
ム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などの塩類をも組
合せた強電解質の水溶液を用いることが好ましく、無機
酸の使用がより好ましい。
【0023】この場合に、特に無機酸を用いると、炭素
繊維表面の黒鉛構造の層間に入り込み易くてその構造を
歪ませると同時に、黒鉛構造自体を破壊し非晶質に変え
る作用を有効に行う。
【0024】さらに、この電解酸化に際し、50c/g
以上の通電気量で行うことが必要であり、このように強
電解質の使用と多量の通電気量の適用と言う苛酷な条件
の設定により、炭素繊維表面への凹凸の増加と表面の非
晶質化とが極めて効率的に行うことができる。
【0025】なお、通電気量の単位は、炭素繊維1g当
たりに流した電気量(クーロン;c)を表す。
【0026】ここで、電解酸化に用いる通電気量は50
c/g以上でないと、炭素繊維表面に十分な凹凸並びに
官能基を形成できないが、好ましくは50c/g〜12
00c/g、より好ましくは150〜1000c/gが
操作上好都合である。1200c/gを超えた通電気量
では、それ以上に通電気量を上げても炭素繊維の表面処
理の面での向上は見込めないし、むしろ処理が強すぎて
複合材としての強度を損なう恐れがある。
【0027】また、電解酸化に用いる電解質は、水溶液
中の溶質として存在させるのが取扱いなどの面で好まし
いが、必要に応じて少量のジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、エチルセロソルブなどの親水性有機
溶媒を混合しても良い。
【0028】電解質の水溶液の濃度は特に制限されない
が、通常0.1〜数10重量%の範囲の量を用いるのが
好ましい。処理時間については特に限定されないが、約
1分〜10分間程度が良い。
【0029】また、処理温度は特に制限されないが、室
温以上、好ましくは10〜90℃が操作上などの理由で
望ましい。
【0030】(b) 焼成処理;第1段階の電解酸化に引
き続いて、水洗、乾燥した後に、950℃以上で焼成処
理する必要がある。この処理により、炭素繊維表面に生
成した黒鉛酸化物や官能基或いはCO、CO2、H2Oな
どの吸着ガス分子を除去すると共に、炭素繊維表面に生
成した非晶質の表層構造を焼成により固定化する。
【0031】この焼成は、窒素、アルゴン、ヘリウムな
どの不活性雰囲気中に、或いは真空中、例えば10to
rr以下で引くことにより行われる。焼成温度は、表層
に形成した非晶質の構造が結晶質に変化する温度、すな
わち、2,000℃以下であり、好ましくは1,500
℃以下で焼成する必要がある。
【0032】また、焼成温度は、950℃以下では十分
に官能基及び吸着有害ガス成分を除去できないので、9
50〜1500℃の範囲で行うことが良い。焼成処理時
間は特に制限されないが、通常約1〜10分間で行われ
る。
【0033】(c) 第2段階の電解酸化処理;黒鉛構造
から非晶質化された炭素繊維に対して、アルカリ性又は
中性の電解質の水溶液中で20c/g以下の温和な条件
で電解酸化を行う。この処理により、炭素繊維の表面に
OH基などの酸素含有官能基が優先的に効率良く生成さ
れる。
【0034】アルカリ性又は中性の電解質としては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム
などの水酸化物や或いは炭酸ナトリウムなどのアルカリ
塩;燐酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、燐
酸アンモニウム、などの中性塩を挙げることができる。
【0035】この電解質は、水溶液中の溶質として存在
させるのが取扱いなどの面で好ましいが、必要に応じて
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチル
セロソルブなどの親水性有機溶媒を少量混合しても良
い。電解質の水溶液の濃度は特に制限されないが、通常
1〜50重量%の範囲の量を用いるのが好ましい。
【0036】処理時間については特に限定されないが、
約1分〜30分間程度が良い。また、処理温度は特に制
限されないが、室温以上、好ましくは10〜90℃が操
作上などの理由で望ましい。
【0037】このように、アルカリ性又は中性の電解質
の水溶液中で20c/g以下の温和な条件で電解酸化を
行うと、酸素導入量が多くて、主として酸性の強い官能
基を導入できる。
【0038】また、この第2段階での連続的な電解酸化
処理において、最終段を陰極とすると、複合材における
層間剪断断強度9kgf/mm2 以上を与えることがで
きる。
【0039】
【作用】炭素繊維と樹脂マトリックスとの複合材におい
て、樹脂マトリックスとの接着性又は密着性を向上させ
るには、炭素繊維表面の構造を結晶質から非晶質に変
え、表面に凹凸を増加させると同時にその表面にOH基
などのマトリックス樹脂との親和性の高い官能基を優先
的に導入できることが重要であることを、本発明者らは
見出した。
【0040】これらの前提にたって、本発明において
は、(a) 電解酸化を苛酷な条件下で行う第1段階処理、
(b) 真空中で或いは不活性雰囲気下での焼成処理、(c)
電解酸化を温和な条件下で行う第2段階処理からなる、
複数段階による電解酸化方法を提供するに至った。
【0041】この方法によると、(a) 第1段階処理にお
いて、硝酸などの強電解質液中で50c/g以上の高通
電気量を通す苛酷な条件下での電解酸化により、炭素繊
維表面の黒鉛構造の層間に陰イオン、例えばSO4 2-
3 - 等が入り込み易く、その構造を歪ませると同時
に、黒鉛構造自体を破壊し、表層構造を酸化し易い非晶
質に変える作用・効果がある。
【0042】(b) その後の真空中で或いは不活性雰囲気
下での焼成処理により、(a) 工程で得られた非晶質化表
面を固定化する作用がある。すなわち、(a) 工程で得ら
れた非晶質化表面を950℃以上の温度で焼成すること
で、種々の官能基及びH2O、CO、CO2 等の吸着ガ
ス分子成分を除去するものである。この場合、真空中或
いは不活性雰囲気下での焼成が有効である。
【0043】(c) 固定化された非晶質の炭素繊維表面を
再度電解酸化する第2段階の処理を行う。この電解酸化
では、OH基などの酸性の強い官能基を優先的に導入す
ることを目的とし、このためには、本発明では、アルカ
リ性又は中性の電解質の水溶液中で低通電気量で行う温
和な条件下での電解酸化処理を行うことが必要である。
【0044】この段階での電解酸化において、連続法
で、最終段階を陰極とすると、炭素繊維の表面の官能基
量は最終段階を陽極とする場合よりも少ないが、酸化物
の還元が生じて、過剰の官能基が除去されることによ
り、複合材の層間剪断強度(ILSS)を9kgf/m
2 以上に向上させる。
【0045】本発明においては、このように複数段階の
処理を組み合わせることにより、炭素繊維、特に電解酸
化により表面改質効果を上げることの難しいピッチ系炭
素繊維にあって、炭素繊維表面にOH基などの酸性の強
い官能基を優先的に導入すると共に、非晶質表面に多数
の凹凸を形成出来て、複合材を構成するマトリックス樹
脂との接着性向上効果が極めて優れ、高い層間剪断強度
の複合材を提供できる。
【0046】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、それらは本発明の範囲を制限しない。なお、実施
例に用いた各実験値の測定は、以下に従って行われた。 複合材の層間剪断強度(ILSS):得られた複合
材をASTM D2344に準じて測定した値である。
【0047】 炭素繊維表面のO/C比:得られた炭
素繊維の表面を電子分光分析法(ESCA)により分析
して得た炭素及び酸素の原子数比である。
【0048】 I1350/I1580:レーザーラマン分光
分析法により測定したスペクトルの1350-1cm付近
(乱層構造炭素)のバンドと1580-1cm付近(黒鉛
構造炭素)のバンドのピーク強度比で炭素繊維表面の黒
鉛化度と配向度を示す尺度である。
【0049】
【実施例1〜3及び比較例1〜3】(連続法)市販のメ
ソフェーズ系炭素繊維カーボニックHM50(直径10
μ、強度302kgf/mm2 、弾性率50,000k
gf/mm2 )を用い、0.05N硫酸水溶液(4%濃
度)の電解液を収めた、陽極、陰極を交互に並べた各2
0個の電解槽を設置し、40℃で50c/gの電気量を
通電し、通過速度1.5m/分で電解酸化した。
【0050】その後、水洗し、赤外線ヒーターで乾燥し
た後、窒素雰囲気中で950℃の炉中を通過させた。そ
の後、続いて0.05Nの硫酸ソーダ水溶液(0.2%
濃度)の電解液を収めた、陽極、陰極を交互に並べた各
10個の電解槽に10c/gの電気量を通電し、その中
に処理済炭素繊維を走らせ、通過速度1.5m/分で電
解酸化した。
【0051】この表面処理糸をエポキシ樹脂(シェル化
学(株)製エピコート828/BF3 ・モノエチルアミ
ン錯体)の50重量%アセトン溶液に含浸し、乾燥し、
金型内に積層し、加圧硬化して強化積層体を得た。それ
らの条件を種々変更して実施例1と同様の操作で、更に
実施例2〜3及び比較例1〜3の実験を行い、それらの
結果を表1にまとめた。
【0052】
【表1】
【0053】
【実施例4〜5】(バッチ法) 市販のメソフェーズ系炭素繊維カーボニックHM50
(直径10μ、強度302kgf/mm2 、弾性率5
0,000kgf/mm2 )の炭素繊維繊維束を陽極と
し、0.05N硫酸水溶液(4%濃度)の電解液を収め
た電解槽中に50c/gの電気量を通電しながら、40
℃で5分間電解処理した。
【0054】次いで、水洗し、赤外線ヒーターで乾燥し
た後に、窒素雰囲気中で950℃の炭化炉を通過させ、
さらに、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液(0.2
%濃度)の電解液を収めた電解槽で、7c/gの電気量
を通電しながら、25℃で5分間陽極酸化した。
【0055】この表面処理糸をエポキシ樹脂(シェル化
学(株)製エピコート828/BF3 ・メタノールアミ
ン錯体)の50重量%アセトン溶液に含浸し、乾燥し、
金型内に積層し、加圧硬化して得られた強化積層体の層
間剪断強度(ILSS)は9.3kgf/mm2 であっ
た。さらに、第1段階の電解酸化の通電気量を300c
/gとして、実施例4と同様の操作で、実施例5の実験
を行い、その結果を実施例4と共に表2にまとめた。
【0056】
【比較例4〜6】実施例4の操作において、未処理の繊
維を用いた場合と第1段の電解処理のみを行う場合とに
ついて、比較例4〜6の実験を行い、得られた強化積層
体のILSS値、O/C官能基濃度比、I1350/I1580
比を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】上記表2によると、第1段階の電解酸化処
理で、硫酸−50c/g、又は−300c/gの通電気
量の条件下では、第2段階の電解酸化を行わなくても、
O/C原子数比はある程度大きくなるが、層間剪断強度
(ILSS)は予想した程向上しない。
【0059】この繊維を950℃で窒素雰囲気下で加熱
焼成し、その後、第2段階の電解酸化を、アルカリ性又
は中性電解質水溶液中で7c/gの通電気量の条件下で
行うと、層間剪断強度(ILSS)が9.0kgf/m
2 を越えることが分かる。
【0060】
【発明の効果】本発明の特定の多段階の電解酸化法によ
り炭素繊維の表面に、酸素含有官能基を優先的に増加さ
せることができると共に、凹凸の増加に著しい効果があ
り、層間剪断強度に優れた複合材を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 101:40

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維を電解酸化により表面処理する
    方法において、 炭素繊維を陽極及び陰極に交互に変えながら多段で行う
    連続的電解酸化に際し、(a) 初めに炭素繊維へ50c
    /g以上の電気量を通す苛酷な条件下で電解酸化する第
    1段階の処理を行い、(b) 次いで、水洗・乾燥した後
    に、950℃以上の温度で焼成処理し、(c) その後
    に、20c/g以下の電気量を通す温和な条件下で電解
    酸化する第2段階の処理を行うことを特徴とする、炭素
    繊維の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 炭素繊維を電解酸化により表面処理する
    方法において、炭素繊維を陽極としてバッチで行う電解
    酸化に際し、 (a) 初めに炭素繊維へ50c/g以上の電気量を通す
    苛酷な条件下で電解酸化する第1段階の処理を行い、
    (b) 次いで、水洗・乾燥した後に、950℃以上の温
    度で焼成処理し、(c) その後に、20c/g以下の電気
    量を通す温和な条件下で電解酸化する第2段階の処理を
    行うことを特徴とする、炭素繊維の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 焼成処理が真空中又は不活性雰囲気中で
    かつ、950〜1500℃の範囲の焼成処理温度で行わ
    れることを特徴とする、請求項1または2記載の炭素繊
    維の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 第1段階の電解酸化に用いる電解質が硝
    酸、硫酸又はリン酸等の無機強電解質であることを特徴
    とする、請求項1又は2記載の炭素繊維の表面処理方
    法。
  5. 【請求項5】 第2段階の電解酸化に用いる電解質がア
    ルカリ性又は中性電解質であることを特徴とする、請求
    項1又は2記載の炭素繊維の表面処理方法。
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