JPH06280018A - 薄膜超伝導体の製造方法および製造装置 - Google Patents
薄膜超伝導体の製造方法および製造装置Info
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- JPH06280018A JPH06280018A JP5068526A JP6852693A JPH06280018A JP H06280018 A JPH06280018 A JP H06280018A JP 5068526 A JP5068526 A JP 5068526A JP 6852693 A JP6852693 A JP 6852693A JP H06280018 A JPH06280018 A JP H06280018A
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- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 超伝導臨界電流密度が高い酸化物超伝導体の
製造方法の提供。 【構成】 Bi2Sr2Ca2Cu3Oy蒸着源としては、
ターゲット13、マグネトロンカソード14とシャッ
タ、高周波原等で構成される高周波マグネトロンスパッ
タ装置、水素照射装置にはカウフマン型の小型水素イオ
ンガンを加速電圧2kVで、酸素処理装置としては、プ
ラズマ生成室16、マグネット18、マイクロ波電源等
からなるECR酸素プラズマ発生装置を用い、処理条件
は、マイクロ波パワー200W、ガス圧8.5×10-4
Torr、バイアス電圧50Vで行ったところ、反応性
水素照射と酸素処理を行っていない材料に比べ、77K
において超伝導臨界電流密度が約10倍程度改善でき
た。
製造方法の提供。 【構成】 Bi2Sr2Ca2Cu3Oy蒸着源としては、
ターゲット13、マグネトロンカソード14とシャッ
タ、高周波原等で構成される高周波マグネトロンスパッ
タ装置、水素照射装置にはカウフマン型の小型水素イオ
ンガンを加速電圧2kVで、酸素処理装置としては、プ
ラズマ生成室16、マグネット18、マイクロ波電源等
からなるECR酸素プラズマ発生装置を用い、処理条件
は、マイクロ波パワー200W、ガス圧8.5×10-4
Torr、バイアス電圧50Vで行ったところ、反応性
水素照射と酸素処理を行っていない材料に比べ、77K
において超伝導臨界電流密度が約10倍程度改善でき
た。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温酸化物超伝導体の
製造方法および製造装置に関し、特に、Bi−Sr−C
a−Cu−O、および Tl−Ba−Ca−Cu−O系
薄膜超伝導体の製造方法および製造装置に関する。
製造方法および製造装置に関し、特に、Bi−Sr−C
a−Cu−O、および Tl−Ba−Ca−Cu−O系
薄膜超伝導体の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】Y−Ba−Cu−O系に代表される酸化
物超伝導材料は、超伝導機構の詳細は明かではないが、
転移温度が液体窒素温度以上と高く、薄膜化する事によ
り量子干渉素子等各種エレクトロニクス分野への応用が
期待されている。
物超伝導材料は、超伝導機構の詳細は明かではないが、
転移温度が液体窒素温度以上と高く、薄膜化する事によ
り量子干渉素子等各種エレクトロニクス分野への応用が
期待されている。
【0003】この酸化物超伝導材料は、その結晶構造と
作製条件により超伝導特性が変化するが、結晶性がよく
制御されたものほど、超伝導転移温度が高いとされてい
る。そして結晶性の高い酸化物超伝導体が、臨界温度の
初期特性並びに長期的安定性に優れており、作製中ある
いは作製直後の結晶性、および酸素含有量の制御によ
り、良好な超伝導特性をもたらすことが確認されてい
る。
作製条件により超伝導特性が変化するが、結晶性がよく
制御されたものほど、超伝導転移温度が高いとされてい
る。そして結晶性の高い酸化物超伝導体が、臨界温度の
初期特性並びに長期的安定性に優れており、作製中ある
いは作製直後の結晶性、および酸素含有量の制御によ
り、良好な超伝導特性をもたらすことが確認されてい
る。
【0004】しかし臨界電流密度特性は、結晶性制御並
びに作製条件の最適化によってある程度改善することは
出来るものの、基本的には結晶材料中のピン止め中心の
配置を設計することが出来なければ向上は望めない。
びに作製条件の最適化によってある程度改善することは
出来るものの、基本的には結晶材料中のピン止め中心の
配置を設計することが出来なければ向上は望めない。
【0005】酸化物超伝導体においてこのピン止め中心
は、結晶中に含まれる各種の結晶欠陥、結晶粒界、不純
物等の微細な非超伝導部分ではないかと推測されている
が、新しく発見された高温酸化物超伝導体に於けるピン
止めの機構については、現在のところほとんど解明され
ていない。
は、結晶中に含まれる各種の結晶欠陥、結晶粒界、不純
物等の微細な非超伝導部分ではないかと推測されている
が、新しく発見された高温酸化物超伝導体に於けるピン
止めの機構については、現在のところほとんど解明され
ていない。
【0006】このピン止めの効果を得るため、従来では
焼結材料を合成する場合には、不純物を混入したり、焼
成条件の制御により不純物を析出させてピン止め中心の
効果を得ようとする試みが行われている。例えば薄膜材
料の場合には、数10KV以上の電圧で加速した各種イ
オン、あるいは高速中性子のような高エネルギーの粒子
を酸化物薄膜超伝導体に照射し、結晶中に欠陥を生じさ
せたり、不純物を注入したりする試みが行われた。ま
た、X線、電子線や紫外線のようなエネルギービームの
照射なども行われた。
焼結材料を合成する場合には、不純物を混入したり、焼
成条件の制御により不純物を析出させてピン止め中心の
効果を得ようとする試みが行われている。例えば薄膜材
料の場合には、数10KV以上の電圧で加速した各種イ
オン、あるいは高速中性子のような高エネルギーの粒子
を酸化物薄膜超伝導体に照射し、結晶中に欠陥を生じさ
せたり、不純物を注入したりする試みが行われた。ま
た、X線、電子線や紫外線のようなエネルギービームの
照射なども行われた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】薄膜超伝導体に要求さ
れる重要な特性の1つである臨界電流密度に関して、こ
れらエネルギービームの照射の効果については詳細な検
討はまだ不完全であり、必ずしも特性改善につながって
いなかった。また、超伝導臨界電流が改善された場合で
も、その理由は解明されていない状況である。
れる重要な特性の1つである臨界電流密度に関して、こ
れらエネルギービームの照射の効果については詳細な検
討はまだ不完全であり、必ずしも特性改善につながって
いなかった。また、超伝導臨界電流が改善された場合で
も、その理由は解明されていない状況である。
【0008】つまり、一般的には、Y−Ba−Cu−O
系薄膜には効果があっても、Bi−Sr−Ca−Cu−
O系、および Tl−Ba−Ca−Cu−O系薄膜には
効果がなく、効果的なピン止め中心を制御性良く形成す
ることは困難であり、従って、この種の薄膜の超伝導臨
界電流密度もなかなか改善の見通しが得られていなかっ
た。
系薄膜には効果があっても、Bi−Sr−Ca−Cu−
O系、および Tl−Ba−Ca−Cu−O系薄膜には
効果がなく、効果的なピン止め中心を制御性良く形成す
ることは困難であり、従って、この種の薄膜の超伝導臨
界電流密度もなかなか改善の見通しが得られていなかっ
た。
【0009】また一方では、このような酸化物超伝導材
料の実用化のためにはY−Ba−Cu−O系は酸素欠陥
構造が不安定であり、長期的な安定性、信頼性に問題が
あるので、そのような問題の小さい、さらに超伝導臨界
温度の高いBi−Sr−Ca−Cu−O系、および T
l−Ba−Ca−Cu−O系の利用が望まれている。
料の実用化のためにはY−Ba−Cu−O系は酸素欠陥
構造が不安定であり、長期的な安定性、信頼性に問題が
あるので、そのような問題の小さい、さらに超伝導臨界
温度の高いBi−Sr−Ca−Cu−O系、および T
l−Ba−Ca−Cu−O系の利用が望まれている。
【0010】さらに、従来の方法では、イオンを高電圧
で加速したり、X線装置を使用しなければならず、実用
を考えると問題があり、簡便な装置により上述の効果を
実現することが望まれていた。
で加速したり、X線装置を使用しなければならず、実用
を考えると問題があり、簡便な装置により上述の効果を
実現することが望まれていた。
【0011】本発明はこのような従来の課題に鑑みてな
した発明であり、超伝導臨界電流密度が高い酸化物超伝
導体の製造方法、および簡便で安全な製造装置を提供す
ることを目的とする。
した発明であり、超伝導臨界電流密度が高い酸化物超伝
導体の製造方法、および簡便で安全な製造装置を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる酸化物薄
膜超伝導体は、活性水素、あるいは水素イオン等の反応
性水素を照射する事により酸化物薄膜超伝導体と水素を
反応させ、酸素雰囲気下、あるいは活性酸素中での熱処
理とあわせて結晶性の向上や酸素含有量の精密制御を可
能とするものである。本発明では、このような水素処理
を薄膜作製後、薄膜作製中、あるいは薄膜作製を中断し
て行い、結晶化促進、および超伝導発現のために必要な
酸素の供給のための酸素処理についても薄膜作製中、あ
るいは薄膜作製を中断して、前述の水素処理と合わせ行
う。これらの処理は場合により、作製した薄膜を加熱し
て行う。また水素照射源に簡便な方法として水素イオン
を加速して用いる。すなわち、水素処理と酸素処理によ
る酸素制御を薄膜作製中交互に繰り返すことにより、あ
るいは薄膜作製後処理する事により高性能の薄膜超伝導
体を制御性、安定性良く実現しようとする点に大きな特
色がある。
膜超伝導体は、活性水素、あるいは水素イオン等の反応
性水素を照射する事により酸化物薄膜超伝導体と水素を
反応させ、酸素雰囲気下、あるいは活性酸素中での熱処
理とあわせて結晶性の向上や酸素含有量の精密制御を可
能とするものである。本発明では、このような水素処理
を薄膜作製後、薄膜作製中、あるいは薄膜作製を中断し
て行い、結晶化促進、および超伝導発現のために必要な
酸素の供給のための酸素処理についても薄膜作製中、あ
るいは薄膜作製を中断して、前述の水素処理と合わせ行
う。これらの処理は場合により、作製した薄膜を加熱し
て行う。また水素照射源に簡便な方法として水素イオン
を加速して用いる。すなわち、水素処理と酸素処理によ
る酸素制御を薄膜作製中交互に繰り返すことにより、あ
るいは薄膜作製後処理する事により高性能の薄膜超伝導
体を制御性、安定性良く実現しようとする点に大きな特
色がある。
【0013】
【作用】酸化物超伝導体においては、前述のように臨界
電流密度特性は、結晶性制御並びに作製条件の最適化に
よってある程度改善することは出来るものの、基本的に
は、結晶材料中のピン止め中心の配置を設計することが
必要であるといわれている。
電流密度特性は、結晶性制御並びに作製条件の最適化に
よってある程度改善することは出来るものの、基本的に
は、結晶材料中のピン止め中心の配置を設計することが
必要であるといわれている。
【0014】本発明者らは、上述の酸化物薄膜超伝導体
作製時またはその後に水素照射を行い、更にその照射
中、あるいは照射後に適切な酸素処理を行なうことによ
り、酸化物超伝導体に対する酸素含有量の制御を行い、
良好な超伝導臨界電流特性を有する酸化物薄膜超伝導体
を制御性、安定性良く実現できることを見いだした。
作製時またはその後に水素照射を行い、更にその照射
中、あるいは照射後に適切な酸素処理を行なうことによ
り、酸化物超伝導体に対する酸素含有量の制御を行い、
良好な超伝導臨界電流特性を有する酸化物薄膜超伝導体
を制御性、安定性良く実現できることを見いだした。
【0015】この原因は定かではないが、水素照射によ
りCu−O結合軌道の価電子が励起され、O2-が中性化
されて結晶中から離脱し、Cu酸化物が還元された結
果、超伝導特性が劣化した欠陥領域がピン止め中心とし
て働くと考えられる。
りCu−O結合軌道の価電子が励起され、O2-が中性化
されて結晶中から離脱し、Cu酸化物が還元された結
果、超伝導特性が劣化した欠陥領域がピン止め中心とし
て働くと考えられる。
【0016】この作用のため、従来Y−Ba−Cu−O
系でしか効果が得られていなかったピン止め中心の形成
が、Bi系およびTl系でも可能になると考えられる。
系でしか効果が得られていなかったピン止め中心の形成
が、Bi系およびTl系でも可能になると考えられる。
【0017】工程としては、まず水素処理により非超伝
導領域を作製した後、酸素処理を行い、超伝導性を支配
している平面Cu−O部分の欠陥に酸素を導入して超伝
導化する事により、薄膜材料中の平面Cu−O以外の酸
素原子の位置に制御制よくピン止めのための結晶欠陥が
導入され、これが磁束に対するピン止め中心となると考
えられる。そしてこれを薄膜超伝導体作製に対して応用
することにより、発明に至ったものである。
導領域を作製した後、酸素処理を行い、超伝導性を支配
している平面Cu−O部分の欠陥に酸素を導入して超伝
導化する事により、薄膜材料中の平面Cu−O以外の酸
素原子の位置に制御制よくピン止めのための結晶欠陥が
導入され、これが磁束に対するピン止め中心となると考
えられる。そしてこれを薄膜超伝導体作製に対して応用
することにより、発明に至ったものである。
【0018】この方法は、酸素処理の際、材料を高温で
処理するため、安定な材料を供給できる利点がある。ま
た、薄膜材料に応用した場合、水素照射により薄膜全体
に水素を供給する事が容易になり、特に薄膜作製中に極
薄膜堆積ごとに水素処理を行う事により、低加速エネル
ギーの反応性水素が使用可能となり均一性、再現性、制
御性、信頼性に優れた特性改善が可能となる。
処理するため、安定な材料を供給できる利点がある。ま
た、薄膜材料に応用した場合、水素照射により薄膜全体
に水素を供給する事が容易になり、特に薄膜作製中に極
薄膜堆積ごとに水素処理を行う事により、低加速エネル
ギーの反応性水素が使用可能となり均一性、再現性、制
御性、信頼性に優れた特性改善が可能となる。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を図面と共に説明する。
【0020】本発明の製造方法は、水素処理と酸素処理
とを施すため、水素照射装置と酸素処理装置とが必要で
ある。水素照射のための装置は、様々のものが利用可能
であるが、基本的にはおもに活性水素を利用するもの
と、おもに水素イオンを利用するものに区別できる。こ
れらは紫外線照射、高周波励起、高周波放電、あるいは
高熱フィラメントでの熱分解などにより得られるので、
このような機能を持つ水素発生源が使用可能である。ま
た、酸素処理のための装置としては、通常酸素を含むガ
スを導入出来る加熱炉装置が一般的であるが、これら水
素照射の為の装置も酸素処理に使用可能である。
とを施すため、水素照射装置と酸素処理装置とが必要で
ある。水素照射のための装置は、様々のものが利用可能
であるが、基本的にはおもに活性水素を利用するもの
と、おもに水素イオンを利用するものに区別できる。こ
れらは紫外線照射、高周波励起、高周波放電、あるいは
高熱フィラメントでの熱分解などにより得られるので、
このような機能を持つ水素発生源が使用可能である。ま
た、酸素処理のための装置としては、通常酸素を含むガ
スを導入出来る加熱炉装置が一般的であるが、これら水
素照射の為の装置も酸素処理に使用可能である。
【0021】まず酸化物薄膜を、例えばスパッタリング
法で作製する。この場合、基板としては、結晶性の高い
酸化物薄膜を作製するため単結晶の基板が有効であり、
酸化マグネシウム、LaAlO3,LaGaO3 、チタ
ン酸ストロンチウム等の単結晶を用いる。
法で作製する。この場合、基板としては、結晶性の高い
酸化物薄膜を作製するため単結晶の基板が有効であり、
酸化マグネシウム、LaAlO3,LaGaO3 、チタ
ン酸ストロンチウム等の単結晶を用いる。
【0022】本発明者らは、酸化物薄膜を基板の表面に
付着させる場合、超伝導特性を持つ結晶構造を得るため
には、基板の温度範囲として300℃以上が必要であり
500〜850℃が適当であることを確認した。酸化物
薄膜の結晶性、組成、表面状態を最適なものとするため
の最適基板温度は、この範囲に存在する。このような薄
膜作製条件により酸化物薄膜超伝導体の結晶構造を構築
し、1000Å程度堆積した後、例えば水素イオン照射
装置内にこれを設置し、加速電圧1KV,電流密度0.
6mA/cm2の条件で15分照射する。
付着させる場合、超伝導特性を持つ結晶構造を得るため
には、基板の温度範囲として300℃以上が必要であり
500〜850℃が適当であることを確認した。酸化物
薄膜の結晶性、組成、表面状態を最適なものとするため
の最適基板温度は、この範囲に存在する。このような薄
膜作製条件により酸化物薄膜超伝導体の結晶構造を構築
し、1000Å程度堆積した後、例えば水素イオン照射
装置内にこれを設置し、加速電圧1KV,電流密度0.
6mA/cm2の条件で15分照射する。
【0023】この照射により薄膜の抵抗率は、温度変化
に対し半導体的な応答を示し、水素照射以前に超伝導臨
界温度で10-4ohm・cm程度の値が、照射により0.1ohm
・cm程度となり、超伝導ゼロ抵抗を示さなくなった。
に対し半導体的な応答を示し、水素照射以前に超伝導臨
界温度で10-4ohm・cm程度の値が、照射により0.1ohm
・cm程度となり、超伝導ゼロ抵抗を示さなくなった。
【0024】この試料を酸素ガスを導入した加熱炉に設
置し、5時間、800℃の高温処理を行い、これに引き
続き、80℃/時の徐冷プロセスによって酸素供給と結
晶性改善を行なった。
置し、5時間、800℃の高温処理を行い、これに引き
続き、80℃/時の徐冷プロセスによって酸素供給と結
晶性改善を行なった。
【0025】このとき同時に水素処理を施さなかった薄
膜試料を加熱炉に設置して、水素処理の効果を確認する
事が出来た。つまり、水素処理を施した試料と施さない
試料において、超伝導転移温度はほとんど変化がなかっ
たが、臨界電流密度では、例えば77Kにおいて1×1
05A/cm2が10倍程度改善された。この改善の度合
いは、薄膜作製の条件に左右されるが、結晶性の良好な
薄膜に対する水素照射程、効果が安定に発現する事を発
明者らは確認した。
膜試料を加熱炉に設置して、水素処理の効果を確認する
事が出来た。つまり、水素処理を施した試料と施さない
試料において、超伝導転移温度はほとんど変化がなかっ
たが、臨界電流密度では、例えば77Kにおいて1×1
05A/cm2が10倍程度改善された。この改善の度合
いは、薄膜作製の条件に左右されるが、結晶性の良好な
薄膜に対する水素照射程、効果が安定に発現する事を発
明者らは確認した。
【0026】このような処理は、薄膜作製後試料を装置
より取り出して行ったが、薄膜作製が完了した後に、試
料を装置より取り出さず真空漕内で連続して水素処理と
酸素処理を行う事により、より安定した効果が得られる
と考えられる。
より取り出して行ったが、薄膜作製が完了した後に、試
料を装置より取り出さず真空漕内で連続して水素処理と
酸素処理を行う事により、より安定した効果が得られる
と考えられる。
【0027】さらに、本発明者らは、結晶性の高い酸化
物薄膜超伝導体が、初期特性並びに長期的安定性に優れ
ており、成膜中あるいは直後の結晶性および酸素含有量
の制御がより良好な超伝導特性をもたらすことを確認し
た。とくに、Y系超伝導体では、一旦、薄膜作製槽の外
に薄膜を取り出すと、空気中の水分等が表面に吸着し、
薄膜の構成元素と反応して特性を劣化させてしまうた
め、この水素処理と酸素処理を酸化物薄膜作製工程の一
部として組み入れる必要がある。
物薄膜超伝導体が、初期特性並びに長期的安定性に優れ
ており、成膜中あるいは直後の結晶性および酸素含有量
の制御がより良好な超伝導特性をもたらすことを確認し
た。とくに、Y系超伝導体では、一旦、薄膜作製槽の外
に薄膜を取り出すと、空気中の水分等が表面に吸着し、
薄膜の構成元素と反応して特性を劣化させてしまうた
め、この水素処理と酸素処理を酸化物薄膜作製工程の一
部として組み入れる必要がある。
【0028】薄膜作製工程における水素処理と酸素処理
の仕方として、(1)薄膜堆積と同時に行う、あるい
は、(2)薄膜堆積を中断して行う、すなわち、薄膜堆
積工程と水素処理工程と酸素処理工程とを交互に周期的
に繰り返す (3)酸素雰囲気中での薄膜作製中に水素
照射のみを行う。(4)酸素雰囲気中での薄膜作製中に
酸素供給水素照射に切り替えて水素処理を行う、といっ
た方法が考えられる。
の仕方として、(1)薄膜堆積と同時に行う、あるい
は、(2)薄膜堆積を中断して行う、すなわち、薄膜堆
積工程と水素処理工程と酸素処理工程とを交互に周期的
に繰り返す (3)酸素雰囲気中での薄膜作製中に水素
照射のみを行う。(4)酸素雰囲気中での薄膜作製中に
酸素供給水素照射に切り替えて水素処理を行う、といっ
た方法が考えられる。
【0029】まず、本発明者らは、(1)に相当する工
程として、酸化物薄膜作製中に水素照射を行ない薄膜作
製後直ちに作製槽内に酸素ガスを導入し、焼結体と同様
の徐冷プロセスによって後処理として酸素処理を施せば
良好な超伝導特性を得ることができることを確認した。
程として、酸化物薄膜作製中に水素照射を行ない薄膜作
製後直ちに作製槽内に酸素ガスを導入し、焼結体と同様
の徐冷プロセスによって後処理として酸素処理を施せば
良好な超伝導特性を得ることができることを確認した。
【0030】本発明者らは、更に、水素照射により欠陥
が制御性良く作製され、かつ酸素処理により酸素が薄膜
中に最も有効に取り込まれるのは、薄膜作製の基板温度
以下かつ常温以上のある限られた温度範囲であることを
発見し、水素処理と酸素処理は、この温度範囲で一定時
間行うことによって最も効率的かつ簡便に行えることを
発見した。この効果は、(2)の工程においても得られ
ることを本発明者らは確認した。
が制御性良く作製され、かつ酸素処理により酸素が薄膜
中に最も有効に取り込まれるのは、薄膜作製の基板温度
以下かつ常温以上のある限られた温度範囲であることを
発見し、水素処理と酸素処理は、この温度範囲で一定時
間行うことによって最も効率的かつ簡便に行えることを
発見した。この効果は、(2)の工程においても得られ
ることを本発明者らは確認した。
【0031】これらの水素処理と酸素処理を施すべき温
度は、薄膜の構成元素の種類、表面状態によっても異な
るため、各場合について最適なものを選ぶ必要がある
が、本発明者らは500℃以下300℃以上の温度範囲
にあることを確認した。なお、処理時間についても、薄
膜の種類、膜厚、表面状態に応じて最適の値が存在す
る。
度は、薄膜の構成元素の種類、表面状態によっても異な
るため、各場合について最適なものを選ぶ必要がある
が、本発明者らは500℃以下300℃以上の温度範囲
にあることを確認した。なお、処理時間についても、薄
膜の種類、膜厚、表面状態に応じて最適の値が存在す
る。
【0032】本発明者らは、水素処理と酸素処理を薄膜
堆積と同時に行う場合、あるいは、薄膜堆積を中断して
行う場合、すなわち、薄膜堆積工程と水素処理と酸素処
理工程とを交互に繰り返す場合に用いる水素処理、およ
び酸素処理の方法としては、少なくとも水素ガス、ある
いは酸素ガスの放電により生成されるイオンにより処理
する、あるいは励起状態にある中性原子を照射すること
が効果的かつ簡便であることを発見した。例えば、EC
Rプラズマ発生装置を用い、作製槽に連結されたプラズ
マ生成室内に水素、あるいは酸素を含むガスを導入し、
このガスにマイクロ波を照射して放電プラズマを発生さ
せ、これにマグネットによって磁場を印加し、イオン化
の確率を上げることで、イオンおよび中性原子による酸
化物薄膜の処理を効率的に行えることを見いだした。
堆積と同時に行う場合、あるいは、薄膜堆積を中断して
行う場合、すなわち、薄膜堆積工程と水素処理と酸素処
理工程とを交互に繰り返す場合に用いる水素処理、およ
び酸素処理の方法としては、少なくとも水素ガス、ある
いは酸素ガスの放電により生成されるイオンにより処理
する、あるいは励起状態にある中性原子を照射すること
が効果的かつ簡便であることを発見した。例えば、EC
Rプラズマ発生装置を用い、作製槽に連結されたプラズ
マ生成室内に水素、あるいは酸素を含むガスを導入し、
このガスにマイクロ波を照射して放電プラズマを発生さ
せ、これにマグネットによって磁場を印加し、イオン化
の確率を上げることで、イオンおよび中性原子による酸
化物薄膜の処理を効率的に行えることを見いだした。
【0033】この様な処理を酸化物薄膜作製後、蒸着糟
から取り出して後処理工程として用いた場合、臨界温度
の改善は短時間でなされるが、臨界電流密度について
は、酸素処理が十数時間のオーダーの時間を要する。こ
のことは、酸素処理が酸素の拡散挙動によって律速さ
れ、複合酸化物薄膜全体に行き渡るのに大変長い時間を
要することを意味していると考えられる。酸素処理を薄
膜堆積、水素処理と同時に行うか、あるいは、薄膜堆
積、水素処理を中断して、すなわち、薄膜堆積工程と水
素処理工程と酸素処理工程とを交互に繰り返しながら行
うことにより、短時間で効果的な処理が可能となる。
から取り出して後処理工程として用いた場合、臨界温度
の改善は短時間でなされるが、臨界電流密度について
は、酸素処理が十数時間のオーダーの時間を要する。こ
のことは、酸素処理が酸素の拡散挙動によって律速さ
れ、複合酸化物薄膜全体に行き渡るのに大変長い時間を
要することを意味していると考えられる。酸素処理を薄
膜堆積、水素処理と同時に行うか、あるいは、薄膜堆
積、水素処理を中断して、すなわち、薄膜堆積工程と水
素処理工程と酸素処理工程とを交互に繰り返しながら行
うことにより、短時間で効果的な処理が可能となる。
【0034】水素処理並びに酸素処理を施すという点か
らだけでは、これらの処理は薄膜堆積と同時に行うのが
最も望ましいが、薄膜堆積過程の種類によっては、処理
温度が堆積基板温度に限定されるために十分な効果が得
られない、あるいは高エネルギー粒子がかえって悪影響
を及ぼす場合もあることが確認された。
らだけでは、これらの処理は薄膜堆積と同時に行うのが
最も望ましいが、薄膜堆積過程の種類によっては、処理
温度が堆積基板温度に限定されるために十分な効果が得
られない、あるいは高エネルギー粒子がかえって悪影響
を及ぼす場合もあることが確認された。
【0035】本発明者らは、むしろこれら処理を薄膜堆
積を中断して行う、すなわち薄膜堆積工程と水素処理と
酸素処理工程とを交互に繰り返しながら行なった場合
に、同等もしくはそれ以上の効果が得られることを確認
した。
積を中断して行う、すなわち薄膜堆積工程と水素処理と
酸素処理工程とを交互に繰り返しながら行なった場合
に、同等もしくはそれ以上の効果が得られることを確認
した。
【0036】これら薄膜堆積過程においては、堆積直後
の各構成元素は励起状態にあり、場合によっては、安定
化するのに数分のオーダーの時間を要するものも多く、
特に積層構造をとるものについては、1周期構造分堆積
させる毎に堆積を中断して安定化が図られている場合も
ある。この様な堆積中断時間に水素処理と酸素処理を施
せば、短時間で理想的な水素処理と酸素処理を施せると
考えられる。
の各構成元素は励起状態にあり、場合によっては、安定
化するのに数分のオーダーの時間を要するものも多く、
特に積層構造をとるものについては、1周期構造分堆積
させる毎に堆積を中断して安定化が図られている場合も
ある。この様な堆積中断時間に水素処理と酸素処理を施
せば、短時間で理想的な水素処理と酸素処理を施せると
考えられる。
【0037】本発明者らは、適当な堆積時間毎に中断
し、水素処理と酸素処理を施すことによって、優れた特
性を有する薄膜超伝導体を得ることが出来ることを確認
した。更に、その堆積時間間隔として、その間に堆積さ
れる薄膜の厚みが10Å以上100Å以下とするものが
有効であることを確認した。また、このような工程では
特に低加速エネルギーの水素イオンが使用でき、5KV
以下の加速電圧でも効果のある事を確認した。
し、水素処理と酸素処理を施すことによって、優れた特
性を有する薄膜超伝導体を得ることが出来ることを確認
した。更に、その堆積時間間隔として、その間に堆積さ
れる薄膜の厚みが10Å以上100Å以下とするものが
有効であることを確認した。また、このような工程では
特に低加速エネルギーの水素イオンが使用でき、5KV
以下の加速電圧でも効果のある事を確認した。
【0038】また、この水素処理を含めた処理プロセス
を採用する事により、従来効果が確認されなかったBi
系およびTl系超伝導体に対して超伝導臨界電流が改善
されることを確認した。そしてもちろんこの新規な方法
と装置は、従来のLn(原子番号63〜71)で構成さ
れるY系にたいしても効果のある事を確認した。
を採用する事により、従来効果が確認されなかったBi
系およびTl系超伝導体に対して超伝導臨界電流が改善
されることを確認した。そしてもちろんこの新規な方法
と装置は、従来のLn(原子番号63〜71)で構成さ
れるY系にたいしても効果のある事を確認した。
【0039】(具体的実施例)このような構成の薄膜作
製装置において、酸化マグネシウム単結晶(100)面
を基板11として用い、高周波プレーナーマグネトロン
スパッタ法により、焼結した酸化物高温超伝導材料で作
製したターゲット13をArとO2 の混合ガス雰囲気で
スパッタリング蒸着して、上記基板上に結晶性のBi−
Sr−Ca−Cu−O薄膜として堆積させた。
製装置において、酸化マグネシウム単結晶(100)面
を基板11として用い、高周波プレーナーマグネトロン
スパッタ法により、焼結した酸化物高温超伝導材料で作
製したターゲット13をArとO2 の混合ガス雰囲気で
スパッタリング蒸着して、上記基板上に結晶性のBi−
Sr−Ca−Cu−O薄膜として堆積させた。
【0040】この場合、ガス圧力は、0.4 Pa、スパ
ッタリング電力160W、スパッタリング時間30分、
薄膜の膜厚0.5 μm、基板温度600℃であった。
ッタリング電力160W、スパッタリング時間30分、
薄膜の膜厚0.5 μm、基板温度600℃であった。
【0041】薄膜作製後試料を2分割し、片方の試料を
イオン照射装置のステージに設置し、ステージの温度を
10℃から500℃の間に設定し、カウフマン型のイオ
ン源で発生させた水素イオンを300Vから2KVの間
で加速して照射した。
イオン照射装置のステージに設置し、ステージの温度を
10℃から500℃の間に設定し、カウフマン型のイオ
ン源で発生させた水素イオンを300Vから2KVの間
で加速して照射した。
【0042】その後、この試料と水素処理を行わなかっ
た試料の両方について、酸素を含んだ雰囲気中に設置し
て700℃から900℃の間で熱処理を行い、100℃
/時以下で徐冷して熱処理炉から取りだした。これら2
つの試料を比較した結果、水素照射の条件として、基板
加熱を100℃、加速電圧1KV、イオン照射量2.5
×1018/cm2の場合に77Kにおいて水素処理をしな
い場合の超伝導臨界電流密度1.0×105A/cm2が1
0倍程度改善された。
た試料の両方について、酸素を含んだ雰囲気中に設置し
て700℃から900℃の間で熱処理を行い、100℃
/時以下で徐冷して熱処理炉から取りだした。これら2
つの試料を比較した結果、水素照射の条件として、基板
加熱を100℃、加速電圧1KV、イオン照射量2.5
×1018/cm2の場合に77Kにおいて水素処理をしな
い場合の超伝導臨界電流密度1.0×105A/cm2が1
0倍程度改善された。
【0043】また、これら2つの試料について結晶性、
および組成を調べた結果、変化は観測されなかった。こ
の熱処理を施した試料のX線回折パターンは、良好な結
晶性のBi2Sr2Ca2Cu3Oyが作製されている事を示してお
り、このパターンは2つの試料間で差はなかった。
および組成を調べた結果、変化は観測されなかった。こ
の熱処理を施した試料のX線回折パターンは、良好な結
晶性のBi2Sr2Ca2Cu3Oyが作製されている事を示してお
り、このパターンは2つの試料間で差はなかった。
【0044】これより水素活性種が酸化物超伝導体の結
晶構造には変化を与えず、臨界電流特性の改善に効果の
ある事が確認された。図1は水素処理を施した場合とそ
うでない場合の臨界電流密度の温度依存性を示す図であ
る。
晶構造には変化を与えず、臨界電流特性の改善に効果の
ある事が確認された。図1は水素処理を施した場合とそ
うでない場合の臨界電流密度の温度依存性を示す図であ
る。
【0045】このような水素照射は、加速電圧が小さい
ために水素が表面近傍で留まり、膜厚が大きい場合、効
果のおよぶ範囲が表面近傍に限られると考えられる。加
速電圧を大きくすることにより、効果を膜中で均一に出
来ると考えられるが、そのためには大がかりなイオン注
入装置を必要とする。一方、素活性種発生源として小型
イオンガン、高周波励起法、およびECRプラズマ法な
どは簡便な方法として良く利用されているが、上述の結
果から薄膜作製中にこれらの水素活性種発生源を用いて
臨界電流改善の効果を得る事が期待される。
ために水素が表面近傍で留まり、膜厚が大きい場合、効
果のおよぶ範囲が表面近傍に限られると考えられる。加
速電圧を大きくすることにより、効果を膜中で均一に出
来ると考えられるが、そのためには大がかりなイオン注
入装置を必要とする。一方、素活性種発生源として小型
イオンガン、高周波励起法、およびECRプラズマ法な
どは簡便な方法として良く利用されているが、上述の結
果から薄膜作製中にこれらの水素活性種発生源を用いて
臨界電流改善の効果を得る事が期待される。
【0046】この水素処理と酸素処理を酸化物薄膜作製
工程の一部として組み入れる場合、酸化物薄膜作製装置
の装置構成として、図2に示すように、薄膜作製真空槽
内に、薄膜堆積のための蒸着源と水素照射のための装
置、そして酸素処理のための装置を取り付け、水素供給
口、および酸素供給口を設ける。図2の例では、蒸着源
としては、ターゲット13、マグネトロンカソード14
とシャッタ、高周波電源などで構成される高周波マグネ
トロンスパッタ装置、水素照射のための装置には水素イ
オンガンを、酸素処理のための装置としては、プラズマ
生成室16、マグネット18、マイクロ波電源等からな
るECR酸素プラズマ発生装置を用いている。蒸着源と
水素照射のための装置、そして酸素処理のための装置の
組合せの種類によっては、作製槽を分離し、ロードロッ
ク機構を設けて、基板11をホルダーごと移動出来るも
のとする。
工程の一部として組み入れる場合、酸化物薄膜作製装置
の装置構成として、図2に示すように、薄膜作製真空槽
内に、薄膜堆積のための蒸着源と水素照射のための装
置、そして酸素処理のための装置を取り付け、水素供給
口、および酸素供給口を設ける。図2の例では、蒸着源
としては、ターゲット13、マグネトロンカソード14
とシャッタ、高周波電源などで構成される高周波マグネ
トロンスパッタ装置、水素照射のための装置には水素イ
オンガンを、酸素処理のための装置としては、プラズマ
生成室16、マグネット18、マイクロ波電源等からな
るECR酸素プラズマ発生装置を用いている。蒸着源と
水素照射のための装置、そして酸素処理のための装置の
組合せの種類によっては、作製槽を分離し、ロードロッ
ク機構を設けて、基板11をホルダーごと移動出来るも
のとする。
【0047】酸素処理法はECRプラズマ法を用い、処
理条件は、マイクロ波パワー200W、ガス圧8.5x10-4
Torr、バイアス電圧50Vで行ない、水素処理はカ
ウフマン型の小型イオンガンを加速電圧2KVで使用し
た。この組み合わせ以外にも、酸素処理を高周波励振に
よるオゾナイザーを使用し、高周波パワー800Wで酸
素ガスを流して得られたオゾンを含む酸素ガスを真空層
に導入した。
理条件は、マイクロ波パワー200W、ガス圧8.5x10-4
Torr、バイアス電圧50Vで行ない、水素処理はカ
ウフマン型の小型イオンガンを加速電圧2KVで使用し
た。この組み合わせ以外にも、酸素処理を高周波励振に
よるオゾナイザーを使用し、高周波パワー800Wで酸
素ガスを流して得られたオゾンを含む酸素ガスを真空層
に導入した。
【0048】薄膜堆積工程と水素処理工程と酸素処理工
程とを交互に周期的に繰り返す場合、1周期に堆積させ
る薄膜の厚み、および水素処理時間と酸素処理時間を、
それぞれ約100Å、5分、72秒とした。この場合薄
膜堆積は通常酸素雰囲気中で行われるため、薄膜作製条
件によっては、特に酸素処理のために時間を取らなくて
も良い。
程とを交互に周期的に繰り返す場合、1周期に堆積させ
る薄膜の厚み、および水素処理時間と酸素処理時間を、
それぞれ約100Å、5分、72秒とした。この場合薄
膜堆積は通常酸素雰囲気中で行われるため、薄膜作製条
件によっては、特に酸素処理のために時間を取らなくて
も良い。
【0049】このような薄膜作製装置において行った水
素処理と酸素処理をふくめた薄膜処理工程の結果、前述
の(1)、(2)、(4)の何れの薄膜堆積工程と水素
処理工程と酸素処理工程との組合せを用いても、全く水
素処理と酸素処理を施さない場合に比べ高い転移温度を
得ることが出来、また大きな臨界電流密度が得られるこ
とを本発明者らは確認した。これに対し、(3)の場合
には薄膜の組成が変化し結晶性が劣化した。しかし最適
条件を設定する事によりこの場合でも、上述の本発明者
らの基本的な照射実験から、特性改善できる可能性は充
分にあると類推できる。
素処理と酸素処理をふくめた薄膜処理工程の結果、前述
の(1)、(2)、(4)の何れの薄膜堆積工程と水素
処理工程と酸素処理工程との組合せを用いても、全く水
素処理と酸素処理を施さない場合に比べ高い転移温度を
得ることが出来、また大きな臨界電流密度が得られるこ
とを本発明者らは確認した。これに対し、(3)の場合
には薄膜の組成が変化し結晶性が劣化した。しかし最適
条件を設定する事によりこの場合でも、上述の本発明者
らの基本的な照射実験から、特性改善できる可能性は充
分にあると類推できる。
【0050】以上のように、これらの水素処理と酸素処
理の最適条件の変化の詳細は明かではないが、従来の方
法では改善が見られなかったBi−Sr−Ca−Cu−
O系、およびTl−Ba−Ca−Cu−O系薄膜超伝導
体の臨界電流密度を改善できる事は間違いなく、本発明
は薄膜超伝導体作製の水素処理と酸素処理の工程を確立
するものである。
理の最適条件の変化の詳細は明かではないが、従来の方
法では改善が見られなかったBi−Sr−Ca−Cu−
O系、およびTl−Ba−Ca−Cu−O系薄膜超伝導
体の臨界電流密度を改善できる事は間違いなく、本発明
は薄膜超伝導体作製の水素処理と酸素処理の工程を確立
するものである。
【0051】
【発明の効果】本発明は、AはLn(原子番号63〜7
1)、Tl、Biのうちの少なくとも一種、Bはアルカ
リ土類族元素のうち少なくとも一種の元素を示すA−B
−Cu−Oで表わされる酸化物薄膜に、反応性水素を照
射し、その後さらに酸素処理を施す薄膜超伝導体の製造
方法であるため、酸化物高温超伝導体を用いる素子の信
頼性、長期安定性を確保するプロセスが提供され、工業
上極めて大きな価値を有するものである。
1)、Tl、Biのうちの少なくとも一種、Bはアルカ
リ土類族元素のうち少なくとも一種の元素を示すA−B
−Cu−Oで表わされる酸化物薄膜に、反応性水素を照
射し、その後さらに酸素処理を施す薄膜超伝導体の製造
方法であるため、酸化物高温超伝導体を用いる素子の信
頼性、長期安定性を確保するプロセスが提供され、工業
上極めて大きな価値を有するものである。
【0052】用いられる超伝導体は、従来の薄膜に比
べ、均質かつ薄膜単結晶化されているが故に、本発明に
より非常に高性能の超伝導素子が実現できる効率的かつ
簡便な水素処理と酸素処理工程を見いだしているところ
に大きな特色がある。
べ、均質かつ薄膜単結晶化されているが故に、本発明に
より非常に高性能の超伝導素子が実現できる効率的かつ
簡便な水素処理と酸素処理工程を見いだしているところ
に大きな特色がある。
【図1】水素処理および酸素処理を行った試料と、酸素
処理のみの試料との超伝導臨界電流密度の温度依存性図
処理のみの試料との超伝導臨界電流密度の温度依存性図
【図2】本発明の一実施例の薄膜超伝導体の製造装置の
基本構成断面図
基本構成断面図
11 基板 13 ターゲット 14 マグネトロンカソード 19 O2ガス導入口
Claims (6)
- 【請求項1】A−B−Cu−Oで表わされる酸化物薄膜
に、反応性水素を照射し、その後さらに酸素処理を施す
ことを特徴とする薄膜超伝導体の製造方法。ここに、A
はLn(原子番号63〜71)、Tl、Biのうちの少
なくとも一種、Bはアルカリ土類族元素のうち少なくと
も一種の元素を示す。 - 【請求項2】A−B−Cu−Oで表わされる酸化物薄膜
の作製時に、薄膜作製工程において反応性水素を照射
し、その後さらに酸素処理を施すことを特徴とする薄膜
超伝導体の製造方法。ここに、AはLn(原子番号63
〜71)、Tl、Biのうちの少なくとも一種、Bはア
ルカリ土類族元素のうち少なくとも一種の元素を示す。 - 【請求項3】反応性水素が、5KV以下で加速された水
素イオンであることを特徴とする、請求項1または2何
れかに記載の薄膜超伝導体の製造方法。 - 【請求項4】薄膜作製の工程が、薄膜堆積工程と、水素
処理と酸素処理工程とを交互に繰り返し、かつ、1回の
薄膜堆積工程で堆積させる薄膜の厚みを100Å以下と
することを特徴とする、請求項2記載の薄膜超伝導体の
製造方法。 - 【請求項5】真空槽内に、A−B−Cu−Oで表わされ
る酸化物薄膜を作製できる蒸発源、薄膜を堆積するため
の基板を設置する加熱できるステージ、酸素を供給する
ための供給孔、および水素照射のための水素供給孔を備
えたことを特徴とする薄膜超伝導体の製造装置。 - 【請求項6】真空糟内に、基板を設置して加熱できるス
テージに対して5KV以下の電界を印加できる水素イオ
ン源を備えたことを特徴とする請求項5記載の薄膜超伝
導体の製造装置。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5068526A JPH06280018A (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | 薄膜超伝導体の製造方法および製造装置 |
| EP94302135A EP0617473B1 (en) | 1993-03-26 | 1994-03-24 | Method of fabricating an oxide superconductor |
| DE69415846T DE69415846T2 (de) | 1993-03-26 | 1994-03-24 | Verfahren zur Herstellung eines Oxid-Supraleiters |
| US08/688,687 US5731270A (en) | 1993-03-26 | 1996-07-29 | Oxide superconductor and method and apparatus for fabricating the same |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5068526A JPH06280018A (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | 薄膜超伝導体の製造方法および製造装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06280018A true JPH06280018A (ja) | 1994-10-04 |
Family
ID=13376262
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5068526A Pending JPH06280018A (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | 薄膜超伝導体の製造方法および製造装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06280018A (ja) |
-
1993
- 1993-03-26 JP JP5068526A patent/JPH06280018A/ja active Pending
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