JPH0819391A - サーマス(Thermus)属に属する新菌株 - Google Patents

サーマス(Thermus)属に属する新菌株

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JPH0819391A
JPH0819391A JP31382394A JP31382394A JPH0819391A JP H0819391 A JPH0819391 A JP H0819391A JP 31382394 A JP31382394 A JP 31382394A JP 31382394 A JP31382394 A JP 31382394A JP H0819391 A JPH0819391 A JP H0819391A
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光徳 高瀬
Koki Horikoshi
弘毅 掘越
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】75〜85℃の至適作用温度を有し、4.5〜6.5の
至適 pHを有し、かつ50ミリモルのガラクトース及びグ
ルコースによって酵素活性が実質的に低下しない新規な
β−ガラクトシダーゼを産生することを特徴とするサー
マス属に属する新菌株。 【効果】 本発明によれば、耐熱性が高く、かつ作用 p
H域が広く、さらに反応生成物による阻害度の低いβ−
ガラクトシダーゼを産生することが可能な新菌株を提供
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なβ−ガラクトシダ
ーゼを産生するサーマス属に属する新菌株に関する。
【0002】
【従来の技術】β−ガラクトシダーゼは、ラクトース
(乳糖)をグルコースとガラクトースとに分解する酵素
であり、乳糖分解乳又は乳糖分解液などの食品の製造に
利用されている。このβ−ガラクトシダーゼは動植物を
はじめとして、かび、酵母、細菌などの微生物に至るま
で広く存在するが、現在、食品工業で使用されている酵
素は主としてかびあるいは酵母に由来する比較的耐熱性
の低いβ−ガラクトシダーゼである。これらのβ−ガラ
クトシダーゼについては特公昭53-24094号公報 (先例
1) 、特開昭52-44287号公報 (先例2) に開示されてい
る。
【0003】一方、耐熱性を有するβ−ガラクトシダー
ゼについては、バイオテクノロジー・アンド・バイオエ
ンジニアリング (Biotechnology and Bioengi-neerin
g), 26巻, 1141頁, 1984年 (先例3) 、ジャーナル・オ
ブ・アプライド・マイクロバイオロジー(Journal of Ap
plied Microbiology),2巻,390 頁, 1980年 (先例
4)、カナディアン・ジャーナル・オブ・マイクロバイ
オロジー (CanadianJournalof Microbiology), 22巻, 8
17 頁, 1976年 (先例5), 特開昭56-154991 号公報(先
例6)及びジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journ
al of Bacteriology), 110巻, 691 頁, 1972年 (先例
7) に開示されている。しかしながら後述するように
(第2表参照)、これら従来のβ−ガラクトシダーゼは
いずれもが、低い耐熱性、至適 pH域の狭小あるいは反
応生成物による酵素作用の阻害の1以上を有している。
従って実用に供されていないのが実情である。
【0004】上述のように、現在工業的規模で食品の製
造に使用されているβ−ガラクトシダーゼは比較的耐熱
性が低い酵素である。このため乳糖分解処理工程は一般
に55℃以下で行なわれており、また、原料である牛乳又
は乳糖液が細菌の栄養源として良好なものであるため、
処理中の雑菌汚染による腐敗及び固定化されたβ−ガラ
クトシダーゼにあっては、製造終了後充分な洗浄殺菌が
できない等、製造上の重大な問題となっている。こうし
た問題を解決するため、耐熱性β−ガラクトシダーゼを
用いて雑菌が増殖し難い高温での目的物の処理、あるい
は洗浄、殺菌が望まれており、工業的に使用しうる耐熱
性β−ガラクトシダーゼの開発が強く要望されている。
【0005】このような要望に対処するため、前記のよ
うに耐熱性のβ−ガラクトシダーゼを検索する試みがな
され、種々の耐熱性β−ガラクトシダーゼが発見され
た。しかしながら、従来得られた耐熱性β−ガラクトシ
ダーゼには工業的に使用する上で必要と考えられる次の
〜に記載する酵素学的性質をすべて備えたものは存
在せず、未だ実用化の域には達していない。 耐熱性が充分であること:牛乳および脱脂乳の熱凝
固は78〜80℃でおこるため、酵素処理はこの温度以下で
可及的に高温であることが望ましい。従って70〜75℃付
近での酵素の熱安定性が充分であることが要求される。 中性〜酸性に至適温度を有すること:β−ガラクト
シダーゼによる加工の対象となる原料としては、牛乳、
脱脂乳、チーズホエー、乳糖液等が想定される。これら
は中性(pH6.5)〜酸性(pH4.5)の原料であるから、その
範囲で充分な酵素活性を有することが要求される。 反応生成物による酵素活性の阻害度が低いこと:β
−ガラクトシダーゼを乳糖に作用させたときの反応生成
物であるガラクトースおよびグルコースによる酵素活性
の低下が少ないことが要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い耐熱性
を有し、中性から酸性領域に至適 pHを有し、かつ反応
生成物による酵素活性の低下が少ない新規なβ−ガラク
トシダーゼ (以下、本酵素と記載する) を産生する新規
な微生物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の性質
を有するβ−ガラクトシダーゼを創製することを目的と
し、そのようなβ−ガラクトシダーゼを産生する微生物
を自然界から純粋に単離することを試みた。その結果、
多数のβ−ガラクトシダーゼを産生する微生物の中から
高度好熱菌の一種であるサーマス属に属する微生物が上
記の性質を有するβ−ガラクトシダーゼを産生すること
を見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は、75〜85℃の至適作用温度
を有し、4.5〜6.5の至適 pHを有し、かつ50ミリモル
のガラクトース及びグルコースによって酵素活性が実質
的に低下しない新規なβ−ガラクトシダーゼを産生する
こと及び少なくとも次に記載する菌学的性質を有するこ
とを特徴とするサーマス属に属する新菌株である: (a) 形態学的性質 形 状 桿 菌 運動性 − グラム染色 − 鞭 毛 − 胞 子 − 抗酸性 − 大きさ 0.4〜0.6 ×2〜7μm (b) 各種培地での生育 寒天平面培地 円形ないしは周辺不規則、隆起状ない
しは偏平状、淡黄色〜橙色 寒天斜面培地 平滑、淡黄色〜橙色 液体培地 生育菌体の沈澱を生ず リトマスミルク 変化なし 5% NaCl含有液体培地 − 2% NaCl含有液体培地 + (C) 生育の pHと温度 生育 pH 5.5〜8.5 生育温度 40 〜 80℃ (d) 生化学的性質 硝酸塩の還元 + 脱窒反応 ± VPテスト − インドールの生成 − 硫化水素の生成 − デンプンの加水分解 ± クエン酸の利用 − 無機窒素源の利用 +(NH4) 色素の生成 生成する(黄色,橙色) ウレアーゼ − オキシダーゼ + カタラーゼ + O−Fテスト O 酸素要求性 嫌気条件下では生育せず (e) 糖の資化性 D−グルコース + D−マンノース + D−フラクトース + マルトース + シュクロース + ラクトース + トレハロース + グリセリン − デンプン − 前記新菌株としては、微工研菌寄第9184号菌株、微
工研菌寄第9185号菌株微工研菌寄第9186号菌株
が挙げられる。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。 (1)微生物の取得 本発明者等は、全国各地の土壌からバージェズ・マニュ
アル・オブ・システマティック・バクテリオロジー (Be
rgeys Manual of Systema-tic Bateriology)第1巻 (以
下マニュアルと記載する) に従ってβ−ガラクトシダー
ゼを産生することが知られている微生物を多数分離し
た。そして、それらの微生物を培養し、β−ガラクトシ
ダーゼを産生せしめ、培地からβ−ガラクトシダーゼを
単離し、その理化学的性質について検討した。その結
果、目的とするβ−ガラクトシダーゼを産生する3菌種
ZK-001, ZK-002及びZK-003を分離し、これらを前記マニ
ュアルに従って同定すると、いずれも好気性無胞子桿菌
で、運動性がなく、グラム染色陰性、カタラーゼ陽性で
あり、生育温度40〜80℃、生育適温65〜75℃、生育至適
pHが中性付近であることから、サーマス属に属する微
生物であることは明らかであり、また2% NaCl含有液
体培地での生育及び糖の資化性より公知のサーマス属に
属する微生物とは異なる新規な微生物と判定された。本
発明者等はこれらの微生物を工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託し、サーマス・エスピー(Thermus sp. )
ZK-001について微工研菌寄第9184号、サーマス・エ
スピー(Thermus sp. )ZK-002について微工研菌寄第9
185号及びサーマス・エスピー(Thermus sp. ) ZK-
003 について微工研菌寄第9186号なる寄託番号が付
された。これらの微生物の菌学的性質は第1表に示すと
おりである。
【0010】
【表1】
【0011】* :リトマスミルクを除き、次の組成の培
地(pH 7.6) を基礎培地として使用した。0.1%酵母エ
キス、0.1%トリプトン、10.0%の無機塩液 (溶液1L
中に1.0gニトリロ三酢酸、 0.6g CaSO4・2H2O, 1.0g Mg
SO4・7H2O, 0.08g NaCl, 1.03g KNO3, 6.89g NaNO3, 1.
11g Na2HPO4を含む) 、1.0%の塩化第二鉄溶液(溶液1
L中に0.28g FeCl3・6H2Oを含む)、1.0%の微量元素液
(溶液1L 中に0.5ml H2SO4, 2.2g MnSO4・H2O, 0.5g
ZnSO4・7H2O, 0.5g H3BO3, 0.016g CuSO4・5H2O,0.02
5g Na2M0O4・2H2O, 0.046g CoCl2・6H2Oを含む)、0.001
%チアミン塩酸塩、0.001 %ニコチン酸アミド、0.001
%ビオチン、0.001 %パラアミノ安息香酸 (2)本酵素の取得 本酵素産生菌を後述する培地に接種し、50〜80℃より好
ましくは、65〜75℃にて12〜48時間好気的に培養する。
【0012】培地としては、炭素源、窒素源の他、必要
に応じて、無機塩、微量栄養素を含んでいる。炭素源と
しては、従来公知の各種材料を使用することができ、例
えば、グルコース、マルトース、シュクロースあるいは
可溶性澱粉などを典型例として例示できる。また窒素源
としても特に制限はなく、酵母エキス、ペプトン、肉エ
キス、コーンスティープリカー、アミノ酸液、大豆粕な
どの有機能窒素、あるいは硫安、尿素、硝酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウムなどの無機能窒素などが安価かつ
入手容易なものとして例示できる。尚有機態窒素源は炭
素源となることはいうまでもない。更にこのような炭素
源、窒素源の他、一般に使用されている各種の塩、例え
ば、マグネシウム塩、カリウム塩、リン酸塩、鉄塩等の
無機塩、ビタミンなどを添加することも可能である。好
適な培地を例示すれば0.2%のグルコース、0.2%の酵
母エキス、0.2%のトリプトン、10.0%の無機塩液 (溶
液1L 中に1.0gニトリロ三酢酸、 0.6g CaSO4・2H2O,
1.0g MgSO4・7H2O, 0.08g NaCl, 1.03g KNO3, 6.89g Na
NO3, 1.11g Na2HPO4を含む) 、1.0%の塩化第二鉄溶液
(溶液1L 中に0.28g FeCl3・6H2Oを含む) 、1.0%の微
量元素液 (溶液1L中に0.5ml H2SO4, 2.2g MnSO4・H
2O, 0.5g ZnSO4・7H2O, 0.5g H3BO3, 0.016gCuSO4・5H2
O,0.025g Na2MoO4・2H2O, 0.046g CoCl2・6H2Oを含む)
、0.001 %のチアミン塩酸塩、0.001 %のニコチン酸
アミド、 0.001%のビオチン、0.001%のパラアミノ安
息香酸を含有し、そのpHをNaOHによりpH7.6に調整し
た液体培地である。本酵素の分離精製は例えば次のよう
にして実施することができる。まず培養液中の菌体を遠
心分離、濾過などで集菌し、得られた菌体を緩衝液 (例
えば、10mMリン酸緩衝液 pH7.0)中で常法により破砕し
て抽出処理する。その抽出液の上清をとり、常法のイオ
ン交換,ゲル濾過等のクロマトグラフィーにかければ、
本酵素が得られる。
【0013】本酵素の好ましい取得法を例示すれば、次
の通りである。サーマス・エスピー(Thermus sp.) ZK-0
01を例えば上記のような培地5L に植菌し、70℃にて24
時間好気的に培養して得られる培養液を12,000g, 20 ℃
にて30分間遠心分離し、菌体を集菌し、55gの菌体を得
た。この菌体に約300mlの抽出用リン酸緩衝液(10mM, p
H7.0)を加え、ミルにより磨砕し、酵素を抽出した。抽
出液を40,000g, 60分間遠心し、上清を採取した。沈澱
に更に200ml の上記抽出用リン酸緩衝液を加え、再度抽
出した後、同様に遠心し、上清を採取した。これを最初
の上清に合わせ、粗酵素抽出液480ml を得た。この粗酵
素液に硫酸アンモニウム187gを加え60%飽和とし、1晩
静置し、沈澱を生成せしめた。沈澱を30,000g, 60分間
の遠心分離により集め、約200ml の10mMリン酸緩衝液(p
H7.0)に溶解したのち、同緩衝液で透析した。透析した
酵素液中の沈澱を40,000g, 60分間の遠心により除去し
たのち、この酵素液を10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したDEAE-TOYOPEARLカラムに吸着させた。次いで0〜
0.5Mの NaCl を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)の濃度勾
配法によって酵素を溶出した。溶出した活性画分を集
め、限外濾過膜を用いて濃縮した後、0.1Mの NaClを含
む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用いて一夜透析した。こ
の酵素液を0.1MのNaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
で平衡化したセファクリルS-300 のゲル濾過カラムにか
け3つの活性画分を分離した。集めた3つの活性画分を
それぞれ10mMリン酸緩衝液(pH7.0)を用いて一夜透析し
たのち、同緩衝液で平衡化したパラアミノフェニルベー
ターディチオガラクトピラノシド(p-amino phenyl-β-D
-thiogalactopyranoside) を共有結合させたセファロー
ズ4Bカラムに吸着させた。このカラムを10mMリン酸緩
衝液(pH7.0)で充分に洗った後、0.1Mホウ酸緩衝液(pH
10.0) を流し酵素を溶出し、活性画分を分離した。かく
して得られた3つの活性画分はポリアクリルアミドゲル
ディスク電気泳動 (ゲル濃度7.5 %, pH9.5)において
それぞれ単一であった。得られた酵素標品は3つの酵素
合計で3.4mgであり、活性収率は12%であった。尚他の
2菌株についても培養条件を種々変更して上記と同様に
して本酵素を取得することが可能である。 (3) 本酵素の性質 本発明の方法により製造した本酵素の酵素化学的性質は
次のとおりである。 (a) 作用:ラクトースをガラクトースとグルコースに分
解する。 (b) 基質特異性:ラクトースを分解するが、シュクロー
ス、メリビオース、ラフィノース、マルトース及びゲン
チオビオースは分解しない。 (c) 至適 pH及び安定 pH範囲:至適 pHは4.5〜6.5
であり、55℃で24時間保持の条件では pH4.0〜8.0の
範囲内で安定である(第1図の本酵素の作用 pH曲線参
照)。 (d) 温度に対する安定性: pH7.0において80℃で1時
間加熱後100 %の活性が残存し、85℃で1時間加熱後、
85%の活性が残存する。 (e) 作用適温の範囲:75〜85℃に至適作用温度を有する
(第2図の本酵素の作用温度曲線参照)。 (f) 無機塩の作用:1ミリモルの塩化第二鉄、塩化マン
ガン、塩化カルシウム及び硫酸マグネシウムにより酵素
活性は変化しないが、1ミリモルの塩化亜鉛及び硫酸銅
によりそれぞれ10%及び30%の酵素活性が低下する。 (g) 反応生成物による阻害:50ミリモルのガラクトース
及びグルコースによる酵素活性の低下はいずれも10%以
下である(第3図の本酵素の反応生成物による阻害に関
する図参照)。 (h) 分子量:本酵素についてセファクリルS-300 カラム
クロマトグラフィー(1.6×100 cm) を使用し、ゲル濾過
法により分子量を測定したところ、55,000±5,000 ダル
トン、11,000±10,000ダルトン及び44,000±50,000ダル
トンに相当した。
【0014】本酵素及び従来公知の微生物由来のβ−ガ
ラクトシダーゼ (前記先例1〜6の酵素) の理化学的性
質並びに酵素化学的性質を比較して第2表に示す。尚、
β−ガラクトシダーゼの活性測定法並びに活性表示法は
次のとおりである。すなわち、1.50%のO−ニトロフェ
ニル−β−D−ガラクトピラノシド (以下ONPGと記載す
る)を含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)2.4mlに本酵
素液0.1mlを加え、70℃, 10分間反応させた後、10% N
a2CO3 液2.5mlを加え反応を停止する。生成したO−ニ
トロフェノールの量を420nm における吸光度より求め、
1分間に1μmol のO−ニトロフェノールを遊離する酵
素量を1単位とした。
【0015】
【表2】
【0016】第2表に示す如く、本酵素の酵素化学的及
び理化学的性質は、公知の何れのβ−ガラクトシダーゼ
とも異なっており、特に高い熱安定性、広範な至適 pH
の範囲及び低い反応生成物による阻害度の特性を兼ね備
えており、従来の酵素にない優れた特性を有している。
従って本酵素は牛乳、脱脂乳、チーズホエーあるいは乳
糖液等の多くの乳糖含有食品を高温で処理することに適
しており、工業的に有用なβ−ガラクトシダーゼであ
る。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。但し、本発明は以下の実施例によって何等制限
されるものではない。 〔実施例1〕サーマス・エスピーZK-001(Thermus sp.ZK
-001: 微工研菌寄第9184号) を、0.2%グルコー
ス、0.2%酵母エキス、0.2%トリプトン、10.0%の無
機塩液(溶液1L 中に1.0gニトリロ三酢酸、0.6g CaSO4
・2H2O, 1.0g MgSO4・7H2O,0.08gNaCl,1.03g KNO3,
6.89g NaNO3, 1.11g Na2HPO4を含む) 、1.0%の塩化第
二鉄溶液(溶液1L 中に0.28g FeCl3・6H2Oを含む)、1.
0%の微量元素液(溶液1L 中に0.5ml H2SO4, 2.2g Mn
SO4・H2O, 0.5g ZnSO4・7H2O, 0.5g H3BO3, 0.016g CuS
O4・5H2O, 0.025g Na2MoO4・2H2O, 0.046g CoCl2・6H2O
を含む)、0.001 %のチアミン塩酸塩、0.001 %のニコ
チン酸アミド、 0.001%のビオチン、0.001 %のパラア
ミノ安息香酸を含有し、NaOHにより pH7.6に調整した
液体培地10L に植菌し、20L 容のジャーファーメンター
内で70℃で24時間通気培養した。培養液の酵素活性は、
培養液1ml当たり0.84単位であった。
【0018】この培養液を、20℃にて12,000g, 30分間
遠心分離し、菌体を集菌し、107gの菌体を得た。この菌
体に約600ml の抽出用リン酸緩衝液 (10mM,pH7.0)を加
え、ミルにより磨砕し酵素を抽出した。抽出液を40,000
g, 60分間遠心し上清を採取した。沈澱に更に400ml の
上記抽出用リン酸緩衝液を加え再度抽出した後、同様に
遠心し上清を採取した。これを最初の上清に合わせ粗酵
素抽出液975 mlをえた。この粗酵素液に硫酸アンモニウ
ム380gを加え60%飽和とし、一晩静置し沈澱を生成せし
めた。次に沈澱を30,000g, 60分間の遠心分離により集
め、約30mlの10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解したの
ち、同緩衝液で透析した。透析した酵素液中の沈澱を4
0,000g, 60分間の遠心により除去したのち、酵素液を1
0mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE-TOYOPEARL
カラム(5×45cm)に吸着させた。次いで0〜0.5M のN
aClを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)の濃度勾配法によ
って酵素を抽出した。溶出した活性画分48.0mlを限外濾
過膜 (アミコン社製 PM-10) を用いて約10mlに濃縮した
後、0.1Mの NaCl を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0) を
用いて一夜透析した。この酵素液を0.1MのNaClを含む10
mMリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したセファクリルS-30
0 のゲル濾過カラム(2.6×95cm) に通液し、3つの活性
画分を分離した。3つの活性画分を合わせ、10mMリン酸
緩衝液(pH7.0)を用いて一夜透析したのち、同緩衝液で
平衡化したパラアミノフェニルベーダーディチオガラク
トピラノシド (p-amino phenyl−β−D-thiogalactopyr
anoside)を共有結合させたセファローズ4Bカラム(1.0
×15.0cm) に吸着させた。このカラムを10mMリン酸緩衝
液(pH7.0)で充分に洗った後、0.1Mホウ酸緩衝液(pH1
0.0)を流し、酵素を溶出し、活性画分を分離した。かく
して本酵素約8.5mgを得た。
【0019】〔実施例2〕サーマス・エスピーZK-002(T
hermus sp.ZK-002: 微工研菌寄第9185号) を実施例
1の培地のグルコースを0.2%の可溶性デンプンに変え
た培地に10L に植菌し、実施例1と同一条件で培養し、
0.64単位/mlの培養液を得た。以下実施例1と同様の方
法で精製し、本酵素約6.8mgを得た。
【0020】〔実施例3〕サーマス・エスピーZK-003(T
hermus sp.ZK-003: 微工研菌寄第9186号) を実施例
1で述べた組成の培地10L に植菌し、実施例1と同一条
件で培養し、0.68単位の培養液を得た。以下実施例1と
同様の方法で精製し、本酵素約7.3mgを得た。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性が高く、かつ作
用 pH域が広く、さらに反応生成物による阻害度の低い
β−ガラクトシダーゼ及び該β−ガラクトシダーゼを産
生することが可能な新菌株を提供することができる。本
酵素は牛乳、脱脂乳、チーズホエーおよび乳糖液などの
乳糖含有食品を雑菌が腐敗し難い高温で処理することを
可能にする。このことは、これらの食品の加工時におけ
る製造工程管理をより簡便にせしめるものであり、食品
工業において極めて有意義なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本酵素の作用 pH曲線を示す図であ
る。
【図2】第2図は本酵素の作用温度曲線を示す図であ
る。
【図3】第3図は本酵素の反応生成物による阻害に関す
る図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】75〜85℃の至適作用温度を有し、4.5〜6.
    5の至適 pHを有し、かつ50ミリモルのガラクトース及
    びグルコースによって酵素活性が実質的に低下しない新
    規なβ−ガラクトシダーゼを産生すること及び少なくと
    も次に記載する菌学的性質を有することを特徴とするサ
    ーマス属に属する新菌株: (a) 形態学的性質 形 状 桿 菌 運動性 − グラム染色 − 鞭 毛 − 胞 子 − 抗酸性 − 大きさ 0.4〜0.6 ×2〜7μm (b) 各種培地での生育 寒天平面培地 円形ないしは周辺不規則、隆起状ない
    しは偏平状、淡黄色〜橙色 寒天斜面培地 平滑、淡黄色〜橙色 液体培地 生育菌体の沈澱を生ず リトマスミルク 変化なし 5% NaCl含有液体培地 − 2% NaCl含有液体培地 + (c) 生育の pHと温度 生育 pH 5.5〜8.5 生育温度 40 〜 80℃ (d) 生化学的性質 硝酸塩の還元 + 脱窒反応 ± VPテスト − インドールの生成 − 硫化水素の生成 − デンプンの加水分解 ± クエン酸の利用 − 無機窒素源の利用 +(NH4) 色素の生成 生成する(黄色,橙色) ウレアーゼ − オキシダーゼ + カタラーゼ + O−Fテスト O 酸素要求性 嫌気条件下では生育せず (e) 糖の資化性 D−グルコース + D−マンノース + D−フラクトース + マルトース + シュクロース + ラクトース + トレハロース + グリセリン − デンプン −
  2. 【請求項2】前記新菌株が微工研菌寄第9184号菌株
    であることを特徴とする請求項1記載のサーマス属に属
    する新菌株。
  3. 【請求項3】前記新菌株が微工研菌寄第9185号菌株
    であることを特徴とする請求項1記載のサーマス属に属
    する新菌株。
  4. 【請求項4】前記新菌株が微工研菌寄第9186号菌株
    であることを特徴とする請求項1記載のサーマス属に属
    する新菌株。
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