JPH0820252A - 四輪駆動車 - Google Patents

四輪駆動車

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JPH0820252A
JPH0820252A JP15370994A JP15370994A JPH0820252A JP H0820252 A JPH0820252 A JP H0820252A JP 15370994 A JP15370994 A JP 15370994A JP 15370994 A JP15370994 A JP 15370994A JP H0820252 A JPH0820252 A JP H0820252A
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JP
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drive
driven
fluid pressure
vehicle
flow rate
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JP15370994A
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Kiyotaka Ozaki
清孝 尾崎
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】車両発進時に四輪駆動状態を維持して駆動輪の
不必要な空転を抑制することができる四輪駆動車を提供
する。 【構成】エンジン1の駆動力を変速機2及び差動装置3
を介して前輪5及びピストンポンプ6の回転軸6aに伝
達する。ポンプ6の吐出口6c及び吸込口6bは、高圧
配管8H及び低圧配管8Lを介して斜板型可変容量ポン
プモータ10に内蔵された前後進切換用切換弁9のポー
トP及びTに接続され油圧伝動装置が構成され、設定車
速未満であるときにはピストンポンプ6の吐出流量をポ
ンプモータ10の吐出流量より多くし、設定車速以上で
あるときにはピストンポンプ6の吐出流量をポンプモー
タの吐出流量以下に設定して、車両発進時から設定車速
に達するまでの間常に油圧伝動装置に伝達トルクを発生
させて、四輪駆動状態を維持し、駆動輪の不必要な空転
を抑制して円滑な発進を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主原動機の回転駆動力
を前輪及び後輪に伝達するようにした四輪駆動車に係
り、特に駆動力の伝達を流体圧伝動機構で行うようにし
た四輪駆動車に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の四輪駆動車にあっては、パート
タイム式のように手動で二輪駆動と四輪駆動との機械的
な連結を切換える四輪駆動車の場合、その切換え操作が
面倒である他、タイトコーナーブレーキング現象などの
不具合を生じ乗用車には不向きである。これに対してフ
ルタイム式四輪駆動車はタイトコーナーブレーキング現
象は解消できるが、センタデフに差動制限装置が必要と
なり装置が複雑になる。また、パートタイム式及びフル
タイム式にかかわらず現在の乗用車に用いられている駆
動方式ではプロペラシャフトを有することから、これが
前輪駆動車に対する重量の増加、車室内スペースへの悪
影響、燃費の悪化、騒音や振動の悪化をもたらし、後輪
駆動車の場合でも重量増、燃費の悪化を免れない。
【0003】そこで、従来、構成部材の重量軽減を図る
目的で、例えば特開昭63−176734号公報(以
下、第1従来例と称す)に記載されているように、エン
ジンの出力で駆動輪を駆動すると共に、エンジンの出力
軸から駆動輪に至る何れかの駆動系に油圧ポンプを連動
させ、この油圧ポンプに油圧配管を介して従動軸を駆動
する油圧モータを連動させ、油圧ポンプにおける吐出管
路側と前記油圧モータにおける吐出管路側との間に、油
圧ポンプからの圧油吐出量に対して油圧モータにおける
圧油吐出量が多くなっているとき、油圧モータにおける
吐出管路側と油圧ポンプにおける吐出管路側とを連通さ
せ、逆に油圧ポンプからの圧油吐出量が油圧モータにお
ける圧油吐出量より多くなっているとき、連通状態を遮
断する切換弁を設け、さらに油圧ポンプにおける押しの
け容積と油圧モータにおける押しのけ容積との関係は、
油圧ポンプから吐出する圧油の吐出流量が、自動車が直
進し且つ駆動輪及び車輪が路面に対して滑っていないと
想定した状態において、油圧モータが吐出する圧油の吐
出流量より少ない値となる関係とした四輪駆動車が提案
されている。
【0004】また、特開平3−224831号公報(以
下、第2従来例と称す)に記載されているように、前輪
と連動回転する第1部材と、後輪と連動回転する第2部
材と、前記第1部材と前記第2部材との間に介設された
前記前輪と前記後輪との回転速度差に応じて伝達トルク
が変化するトルク伝達装置とを有する四輪駆動車両の動
力伝達装置であって、前記トルク伝達装置の伝達トルク
を車速の増大に応じて減じるように、トルク伝達装置を
構成する駆動軸側の第1流体圧ポンプの吐出流量が従動
軸側の第2流体圧ポンプの吐出流量より常に少なく設定
され、両者の差が車速の増加に応じて増大するように設
定した四輪駆動車も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1従来例及び第2従来例の四輪駆動車にあっては、共に
駆動輪側の油圧ポンプの吐出流量が従動輪側の油圧モー
タの吐出流量より常に少ない値に設定されているので、
車両の発進時には主原動機側の駆動輪が滑って他方の油
圧ポンプの吐出量を越えてから油圧が上昇することによ
り従動輪側が駆動されて四輪駆動状態となるので、四輪
駆動状態となるまでに遅れを生じると共に、駆動輪側の
車輪で必要以上の空転を感じるという未解決の課題があ
る。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、発進時を含む低速
走行時に直ちに四輪駆動状態に移行させて、駆動輪側で
の不必要な空転を確実に防止することができる四輪駆動
車を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る四輪駆動車は、主原動機により駆動
される駆動車軸の駆動力を流体圧伝動機構を介して従動
車軸に伝達するようにした四輪駆動車において、前記流
体圧伝動機構は、設定車速未満で常に伝達トルクを発生
するように構成されていることを特徴としている。
【0008】また、請求項2に係る四輪駆動車は、主原
動機により駆動される駆動車軸と、該駆動車軸に連動し
て駆動される駆動側流体圧駆動手段と、従動車軸に連動
して駆動される従動側流体圧駆動手段とを有し、前記駆
動側流体圧駆動手段及び従動側流体圧駆動手段を互いの
吐出口と吸込口とを連通する流路を設けて流体圧伝動機
構を構成した四輪駆動車において、前記駆動車軸と従動
車軸との回転数差が発生する初期状態で前記駆動側流体
圧駆動手段の吐出流量が、設定車速未満では前記従動側
流体圧駆動手段の吸入流量より多くなり、設定車速以上
では当該従動側流体圧駆動手段の吸入流量以下となるよ
うに設定されていることを特徴としている。
【0009】さらに、請求項3に係る四輪駆動車は、請
求項2の四輪駆動車において、前記駆動側流体圧駆動手
段は可変容量ポンプで構成され、当該可変容量ポンプの
流量特性が、駆動車軸の低速回転時の流量が高速回転時
の流量に比較して多くなるように設定されていることを
特徴としている。
【0010】
【作用】請求項1に係る四輪駆動車においては、主原動
機により駆動される駆動車軸の駆動力を従動車軸に伝達
する流体伝動機構で、設定車速未満であるときに常に伝
達トルクを発生することにより、車両の発進時に駆動車
軸が回転を開始した時点で直ちに流体伝動機構で伝達ト
ルクを発生することにより、四輪駆動状態に移行し、駆
動輪の不必要な空転を防止する。
【0011】また、請求項2に係る四輪駆動車において
は、主原動機により駆動される駆動車軸の回転によって
駆動側流体圧駆動手段から回転速度に応じた流量の作動
流体が吐出され、これが一方の連通流路を通じて従動車
軸の回転によって駆動される従動側流体圧駆動手段の吸
込側に供給され、この従動側流体圧駆動手段から吐出さ
れる作動流体が他方の連通流路を通じて駆動側流体圧駆
動手段に戻される。このとき、車速が設定車速未満であ
るときには、駆動側流体圧駆動手段の吐出流量が従動側
流体圧駆動手段の吸入流量より多くなるので、駆動車軸
側から従動車軸側への伝達トルクが大きくなって四輪駆
動状態を確保することができ、車両の発進時に駆動輪の
不必要な空転を防止し、設定車速以上では駆動側流体圧
駆動手段の吐出流量が従動側流体圧駆動手段の吸入流量
以上となるので、駆動車軸及び従動車軸の回転数差が小
さいときには、伝達トルクは殆どなく二輪駆動状態を維
持するが、回転数差が大きくなるに従って、伝達トルク
が大きくなって四輪駆動状態に移行する。
【0012】さらに、請求項3に係る四輪駆動車におい
ては、駆動側流体圧駆動手段を可変容量ポンプで構成す
ることにより、設定車速未満及び設定車速以上での駆動
側流体圧駆動手段の流量設定を容易に行うことができ
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明を前輪駆動車をベースとした四輪駆
動車に適用した場合の一実施例を示す概略構成図であっ
て、図中、1は主原動機としてのエンジンであって、こ
のエンジン1の回転駆動力が変速機2を介して前輪側差
動装置3に入力され、この差動装置3の出力側に駆動車
軸としての前車軸4を介して前輪5が連結されている。
【0014】前輪側差動装置3は、デファレンシャギヤ
ケース3aに形成されたリングギヤ3bが変速機2の出
力側に連結されたギヤ2aに噛合されて回転駆動され、
このディファレンシャルギヤケース3a内に形成された
一対のピニオンシャフト3cにピニオン3dが取付けら
れ、これらピニオン3dに一対のサイドギヤ3eが噛合
し、これらサイドギヤ3eに前車軸4が連結されてい
る。
【0015】また、ディファレンシャルギヤケース3a
にリングギヤ3bと並列に形成されたリングギヤ3fが
これに噛合するギヤ3gを介して流体圧ポンプとしての
吸入絞り型ピストンポンプ6の回転軸6aに連結されて
いる。この吸入絞り型ピストンポンプ6は、その吸込口
6bがリザーバタンク7内に配設されたストレーナ7a
に連結されていると共に、低圧流路としての低圧配管8
Lを通じて2位置4ポートの電磁方向切換弁9のタンク
ポートTに接続され、吐出口6cが高圧流路としての高
圧配管8Hを通じて前後進切換用の電磁方向切換弁9の
ポンプポートPに接続されている。ここで、吸入絞り型
ピストンポンプ6は、回転軸6aの回転方向によって吸
入口と吐出口とが入れ替わることがなく、その吐出流量
1 は、図2で実線図示の特性曲線L1 で示すように、
前車軸4の回転数が“0”から後述する設定車速Vsよ
り低い設定車速V1 に達するまでの間では、回転数の増
加に比例して比較的大きな増加率で増加し、設定車速V
1以上では回転数の増加に比例して比較的小さな増加率
で増加するように設定されている。
【0016】前後進切換用の電磁方向切換弁9は、ソレ
ノイド9aが非通電状態であるノーマル位置でポンプポ
ートPを出力ポートAに、タンクポートTを出力ポート
Bに夫々連通し、ソレノイド9aが通電状態であるオフ
セット位置でポンプポートPを出力ポートBに、タンク
ポートTを出力ポートAに夫々連通し、出力ポートA及
びBが流体圧ポンプモータとしての斜板型可変容量ポン
プモータ10の吸入・吐出口10a及び10bに接続さ
れており、ノーマル位置で高圧配管8Hの高圧油を可変
容量ポンプモータ10の吸入・吐出口10aに、低圧配
管8Lを吸入・吐出口10bに連通させて回転軸10c
を前進走行時の回転方向例えば左側面からみて時計方向
に回転駆動し、逆にオフセット位置で高圧配管8Hの高
圧油を可変容量ポンプモータ10の吸入・吐出口10b
に、低圧配管8Lを吸入・吐出口10aに連通させて回
転軸10cを前進走行時の回転方向例えば左側面からみ
て反時計方向に回転駆動する。
【0017】なお、電磁方向切換弁9は、斜板型可変容
量ポンプモータ10に内蔵され、出力ポートA及びBが
配管を介することなくポンプモータ10の吸入・吐出口
10a及び10bに連結されている。また、電磁方向切
換弁9のソレノイド9aへの通電、ソレノイド9aが図
示しないがシフトレバーで後進を選択したときに、オン
状態となるシフト位置検出スイッチ9bを介して直流電
源9cに接続されることにより、前進走行時には非通電
状態に、後進走行時には通電状態に夫々制御される。
【0018】この可変容量ポンプモータ10の流量Q2
は、電磁方向切換弁9のタンクポートT近傍の低圧配管
8Lに介挿された差圧検出用オリフィス11の両端に発
生する差圧で油圧シリンダ12aを含んで構成される可
変制御機構としての斜板可変機構12を制御することに
より、図2で破線図示の特性曲線L2 で示すように、設
定車速Vsより高い設定車速V2 に達するまでの間では
車速の増加に比例して駆動側のピストンポンプ6の増加
率より低い増加率で増加し、車速V2 以上となると車速
の増加に伴って前述したピストンポンプ6の設定車速V
1 以上の増加率より僅かに大きな増加率で増加するよう
に設定され、予め設定された設定車速Vs未満ではピス
トンポンプ6の吐出流量が可変容量ポンプモータ10の
吐出流量より多くなり、設定車速Vs以上では逆にピス
トンポンプ6の吐出流量が可変容量ポンプモータ10の
吐出流量より少なくなるように設定されている。ここ
で、設定車速Vsとしては、例えば5km/h或いは1
0km/h程度の極低車速に設定されている。
【0019】また、吸入絞り型ピストンポンプ6の吸込
口6b及び吐出口6c間にトルク制限手段としてのピス
トンポンプ6の吐出圧の上限を定めるリリーフ弁13が
介挿されていると共に、油圧ポンプ6及び電磁方向切換
弁9間における高圧配管8H及び低圧配管8L間を連通
する連通配管14Aに低圧配管8L側から高圧配管8H
側への流体流れを許容する逆止弁15が介挿されている
と共に、連通配管14Aと並列に配設された連通配管1
4Bに逆止弁15と並列関係に固定オリフィス16が接
続されている。
【0020】一方、斜板型可変容量ポンプモータ10の
回転軸10cにギヤ10dが取付けられ、このギヤ10
dに後輪側差動装置17のディファレンシャルギヤケー
ス17aに形成されたリングギヤ17bが噛合されてい
る。この後輪側差動装置17は、前述した前輪側差動装
置3と略同様の構成を有し、ディファレンシャルギヤケ
ース17a内に形成された一対のピニオンシャフト17
cにピニオン17dが取付けられ、これらピニオン17
dに一対のサイドギヤ17eが噛合し、これらサイドギ
ヤ17eに後車軸18が連結され、この後車軸18に後
輪19が連結されている。
【0021】次に、上記実施例の動作を説明する。今、
車両が乾燥路面等の高摩擦係数路で停車して、エンジン
1がアイドリング状態にある制動状態で、前進走行を開
始する場合には、シフトレバーを前進走行側に切換える
ことにより、発進可能状態とすることができるが、この
とき後進走行側のシフト位置検出スイッチ9bはオフ状
態を維持するため、前後進切換用電磁方向切換弁9のソ
レノイド9aは非通電状態を維持して、切換位置が図1
に示すノーマル位置を継続する。
【0022】この状態で、ブレーキペダルを解放してア
クセルペダルを踏込むことにより、エンジン1の回転力
が変速機2を介して前輪側差動装置3に伝達され、この
前輪側作動装置3で前輪5を前進方向に回転駆動するこ
とにより、前進を開始する。このとき、吸入絞り型ピス
トンポンプ6の回転軸6aが左側面からみて時計方向に
回転駆動されることにより、このピストンポンプ6から
回転速度に応じた吐出流量の作動油が吐出され、これが
高圧配管8Hを介し、前後進切換用電磁方向切換弁9を
介して斜板型可変容量ポンプモータ10の吸入・吐出口
10aに供給されるが、車両の発進により後輪19も前
輪5と同方向に同一回転速度で回転駆動されるので、後
輪側差動装置17を介して斜板型可変容量ポンプモータ
10の回転軸10cが左側面からみて時計方向に回転
し、これによって吸入・吐出口10aから作動油が吸入
され、吸入・吐出口10bから作動油が吐出される。
【0023】ここで、吸入絞り型ピストンポンプ6と斜
板型可変容量ポンプモータ10の吐出流量は、図2に示
すように、停車状態から設定車速Vsに達するまでの間
は、ピストンポンプ6の吐出流量が可変容量ポンプモー
タ10の吐出流量より多くなるように設定されているの
で、図3に示すように、前輪5が回転し始めると同時に
前後輪の回転速度差ΔNが零の状態でも所定量の伝達ト
ルクT1 を発生することができ、可変容量ポンプモータ
10がモータとして作動することにより、発進と同時に
四輪駆動状態となる。
【0024】その後、加速状態を継続して、車速が設定
車速Vs以上となると、ピストンポンプ6の吐出流量が
可変容量ポンプモータ10の吐出流量より少なくなるの
で、ピストンポンプ6から吐出された高圧作動油は可変
容量ポンプモータ10により吸い込まれしまうため、高
圧配管8Hの圧力は上がらない。すなわち、可変容量ポ
ンプモータ10は油圧モータとして作用せず後輪19に
駆動力が伝達されることはなく、前輪駆動車と同様な二
輪駆動状態で前進走行する。このとき、可変容量ポンプ
モータ10の吸入流量は、ピストンポンプ6の吐出流量
を上回ることになるため、不足分は低圧配管8L、連通
配管14A、逆止弁15を介して補給される。
【0025】この設定車速Vs以上におけるピストンポ
ンプ6及び可変容量ポンプモータ10の吐出流量差は、
タイヤの摩耗による径変化などにより生じる前後車軸
4,18の回転数差を許容することにもなり、異径タイ
ヤで生じる回転数差程度では駆動力は伝達されず、前輪
駆動車状態が維持され、燃費を悪化させることを抑制す
ることができる。
【0026】次に、凍結路、降雪路等の低摩擦係数路で
発進する場合には、前述したように、先ず前輪5が回転
駆動されるが、低摩擦係数路であるため、前輪5がスリ
ップして、前輪5及び後輪19との間に前輪5が高回転
数となる回転数差が生じて、この回転数差ΔNに応じて
伝達トルクTが増加する。このため、低摩擦係数路での
発進時には高摩擦係数路での発進時に比較して伝達トル
クTが大きくなると共に、車両が動き始めると同時に後
輪19に駆動トルクを伝達することができるので、応答
性が良いうえ、前輪5の空転が増大するまえに後輪19
へトルク伝達が可能となり、スムーズな発進を行うこと
ができる。
【0027】そして、後輪19側に伝達されるトルク
は、図3に示すように、前後輪に回転数差ΔNが生じて
いない状態でも所定値T1 を確保することができ、回転
数差ΔNが大きくなるにつれて増大し、リリーフ弁13
による圧力制限によって最大トルクTMAX が規制される
ことになる。このトルク制限作用により、後輪側差動装
置17、ドライブシャフトなどの構成部材の強度を従来
の四輪駆動車に比べて下げることが可能となり、重量、
燃費、コストの低減を図ることができる。
【0028】また、後輪19側に伝達されるトルクは、
図3に示すように、低速時ほど少ない回転数差で駆動力
を発生し易い特性を有し、これは図2に示すように、設
定車速Vs以上での吸入絞り型ピストンポンプ6と斜板
型可変容量ポンプモータ10の吐出流量特性の固有域に
おける流量が、車速が高いほどその流量差が大きくなる
ことに起因している。
【0029】このように、ピストンポンプ6及び可変容
量ポンプモータ10の流量特性を図2の特性曲線L1
びL2 のように設定することにより、設定車速Vs未満
ではピストンポンプ6の吐出流量を可変容量ポンプモー
タ10の吐出流量より大きくして、常に後輪への伝達ト
ルクを発生させて四輪駆動状態を維持することができ、
これによって駆動輪の空転を抑制して良好な発進を行う
ことができ、設定車速Vs以上では逆にピストンポンプ
6の吐出流量を可変容量ポンプモータ10の吐出流量以
下として、前後輪回転数差ΔNに応じた最適な四輪又は
二輪駆動状態を得ることができる。このように、車速に
対応する駆動軸4により駆動するピストンポンプ6を用
い、ピストンポンプ6及び可変容量ポンプモータ10の
ポンプ自体の容量特性を設定するだけで、設定車速Vs
前後の容量特性の切換を行うことができるので、このた
めのセンサやコントローラを別途設ける必要がなく、全
体の構成を簡略化することができる。
【0030】因みに、車速の他に前後加速度等をパラメ
ータとすることも考えられるが、この場合には前後加速
度センサやコントローラが必要となり、製作コストが嵩
むと共に、全体の構成を簡略化することができず、また
前述した第2従来例のように流体作動クラッチ(ビスカ
スカップリング)を適用した場合には車速感応型に構成
することができない。
【0031】さらに、図3における伝達トルクの立ち上
がりは、高圧配管8H及び低圧配管8Lを連通する連通
配管14Bに介挿された固定オリフィス16により高圧
配管8Hから低圧配管8Lへの漏れ量を管理し、圧力の
立ち上がりを変えることで特性を任意に設定可能であ
る。そして、オリフィスが有する作動油の粘性変化に伴
う温度特性により高温時に比べて低温時は漏れ量が減り
駆動力が発生し易い特性になるため、四輪駆動車として
の機能を要求される機会の多い冬期に四輪駆動になり易
くなるという利点がある。
【0032】次に、車両を後進させる場合には、シフト
レバーを後進位置に切換えることにより、シフト位置検
出スイッチ9bがオン状態となるため、前後進切換用電
磁方向切換弁9のソレノイド9aが通電状態となり、切
換位置がノーマル位置からオフセット位置に切換えら
れ、これによって高圧配管8Hの作動油を斜板型可変容
量ポンプモータ10の吸入・吐出口10bに供給し、吸
入・吐出口10aから吐出される作動油を低圧配管8L
側に戻すことにより、可変容量ポンプモータ10の回転
軸10cを前進走行時とは逆転させて、後輪19を逆回
転させる。このため、後進時においても、駆動力の伝達
については前進時と全く同様であり、発進時から設定車
速Vsに達するまでの間は四輪駆動状態を維持すると共
に、駆動輪即ち前輪5の空転を抑制することができ、設
定車速Vs以上では前輪5がスリップして前後車軸4,
18にある回転数差が生じた時のみ高圧配管8Hに圧力
が発生し、駆動力が後輪19に伝達されると共に、前後
車軸4,18の回転数差が小さい場合における斜板型可
変容量ポンプモータ10の吸入量不足分は低圧配管8
L、連通配管14A及び逆止弁15を介して補給され
る。
【0033】このとき、前輪側の吸入絞り型ピストンポ
ンプ6は、前述したように、回転方向が逆転してもポン
プの吸入口と吐出口とが入れ替わることはないと共に、
前後進切換用電磁方向切換弁9が可変容量ポンプモータ
10に内蔵されているため、高価な高耐圧配管は高圧配
管8Hに使用するだけで済むと共に、リリーフ弁13、
逆止弁15、オリフィス16なども一方向の流れのみに
対応できるように設ければよいので、他の方式のポンプ
を用いた場合に比べて油路構成を極めて簡略化すること
ができる。
【0034】また、前輪駆動車ベースのアンチスキッド
制御装置装着車においては、制動時に前輪の回転数は後
輪の回転数より小さくなるため、油圧伝達機構による駆
動力は発生されず、アンチスキッド制御装置との干渉を
小さくすることができる利点がある。なお、上記実施例
においては、差圧検出用オリフィス11の前後の差圧を
斜板可変機構12に供給する場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、低圧配管8L側に差圧
検出用オリフィス11を介挿した場合には、差圧検出用
オリフィス11の出側の圧力は大気圧となるので、可変
容量ポンプ10内のドレーン圧と同一であることによ
り、図4に示すように、差圧検出用オリフィス11の高
圧側即ち電磁方向切換弁9のタンクポートT側の圧力の
みを斜板可変機構12の油圧シリンダ12aのヘッドカ
バー側油圧室12bに導入するようにしてもよい。
【0035】また、上記実施例においては、伝達トルク
制限手段としてリリーフ弁13を適用した場合について
説明したが、これに限定されるものではなく、図5に示
すように、ピストンポンプ6の吐出圧を容量制御圧とし
て入力し、これに応じてピストンポンプ6の吸入口6b
側の吸入通路の開度を吐出圧が所定圧以上となったとき
に小さく制御する吸入絞り弁21を設けるようにしても
よく、この場合にはポンプ吐出流量が規定の圧力以上と
なるとポンプ吸入量が減少することにより、ポンプ吐出
圧が減少してトルク制限を行うことができ、これと同時
にリリーフ弁を用いた場合には連続高負荷使用時に油温
上昇を生じるが、吸入絞り弁21を設けた場合には、吐
出流量が減少することから発熱の抑制を図ることができ
る。
【0036】さらに、上記実施例においては、後輪側差
動装置17を設けた場合について説明したが、これに限
定されるものではなく、図6に示すように、後輪差動装
置17を省略し、これに代えて左右後輪19L,19R
の左右車軸18L,18Rに個別に斜板型可変容量ポン
プモータ10L及び10Rを設けるように構成してもよ
く、この場合には、旋回時などで左右輪で異なる負荷と
なる場合には、各可変容量ポンプモータ10L,10R
で自然にその差に応じた吐出流量差を生じることから差
動装置と同等の差動機能を発揮することができ、この場
合もトルク制限手段としては、図示のリリーフ弁13で
も図5に示す吸入絞り弁21の何れであってもよい。
【0037】さらにまた、流体圧ポンプとして回転軸6
aの回転方向にかかわらず吸入口6bと吐出口6cとが
変化しない吸入絞り型ピストンポンプ6を適用した場合
について説明したが、これに限定されるものではなく、
図7に示すように、回転軸30aがギヤ3gに連結され
た油圧ポンプ30の吸込口30b及び吐出口30cに夫
々ポンプポートP及びタンクポートTを接続し、出力ポ
ートA及びBを高圧配管8H及び8Lに接続した前後進
切換用電磁方向切換弁9と同様の前後進切換用電磁方向
切換弁31を設けるようにすれば、前後進で吐出方向が
切り換わるギヤポンプやベーンポンプ等の他の油圧ポン
プを適用することができ、図8に示すように低圧配管8
Lに介挿された差圧発生用オリフィス32の前後差圧が
入力される油圧シリンダ33aを含む可変機構33を備
えた可変容量式の何れであってもよく、さらに差動機構
17を省略して図6に示すように2組の斜板型可変容量
ポンプモータ10L及び10Rを適用するようにしても
よい。
【0038】さらにまた、上記実施例においては、前後
進切換用電磁方向切換弁9をポンプモータ10に内蔵さ
せた場合について説明したが、これに限定されるもので
はなく、ポンプモータ10の外側に別設するようにして
もよい。また、上記実施例においては、前輪駆動車をベ
ースとした実施例について説明したが、これに限らず後
輪駆動車をベースとした場合にも、ポンプ6を後輪側
に、ポンプモータ10を前輪側に配置することで、上記
実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】さらに、上記実施例においては、駆動側流
体圧駆動手段と従動側流体圧駆動手段とを高圧流路8H
及び低圧流路8Lで連通する場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、前後進切換用電磁方向
切換弁9及び31を省略して、高圧流路と低圧流路とを
切り分けない場合でも本発明を適用し得る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る四
輪駆動車によれば、主原動機により駆動される駆動車軸
の駆動力を流体圧伝動機構を介して従動車軸に伝達する
ようにした四輪駆動車において、前記流体圧伝動機構を
設定車速未満で常に伝達トルクを発生するように構成し
たので、車両の発進時から設定車速に達するまでの間で
四輪駆動状態を維持することができると共に、駆動輪の
不必要な空転を抑制してスムーズな発進を行うことがで
きるという効果が得られる。
【0041】また、請求項2に係る四輪駆動車によれ
ば、主原動機により駆動される駆動車軸と、該駆動車軸
に連動して駆動される駆動側流体圧駆動手段と、従動車
軸に連動して駆動される従動側流体圧駆動手段とを有
し、前記駆動側流体圧駆動手段及び従動側流体圧駆動手
段を互いの吐出口と吸込口とを連通する流路を設けて流
体圧伝動機構を構成した四輪駆動車において、前記駆動
車軸と従動車軸との回転数差が発生する初期状態で前記
駆動側流体圧駆動手段の吐出流量が、設定車速未満では
前記従動側流体圧駆動手段の吸入流量より多くなり、設
定車速以上では当該従動側流体圧駆動手段の吸入流量以
下となるように設定したので、車両の発進時から設定車
速に達するまでの間で、従動側流体圧駆動手段をモータ
として作動させることができ、車両の発進時から四輪駆
動状態を維持することができると共に、駆動輪の不必要
な空転を抑制してスムーズな発進を行うことができ、設
定車速以上では、異径タイヤ等により前後輪の回転数差
が発生しても二輪駆動状態を維持して走行抵抗増大によ
る燃費の悪化を防止することができるという効果が得ら
れる。
【0042】さらに、請求項3に係る四輪駆動車によれ
ば、請求項2において、設定車速前後の駆動側流体圧駆
動手段及び従動側流体圧駆動手段の流量特性を可変容量
ポンプの流量特性で設定するようにしたので、その調整
が容易であると共に、別途センサやコントローラを設け
ることなく、車速に応じた正確な流量特性を得ることが
できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す概略構成図である。
【図2】上記実施例に適用した吸入絞り型ピストンポン
プ及び斜板型可変容量ポンプモータの吐出流量特性を示
す特性線図である。
【図3】上記実施例の前後車軸回転数差と伝達トルクと
の関係を示す特性線図である。
【図4】可変容量ポンプモータの他の実施例を示す概略
構成図である。
【図5】トルク制限手段の他の実施例を示す概略構成図
である。
【図6】差動装置を省略した場合の実施例を示す概略構
成図である。
【図7】流体圧ポンプとして回転方向によって吐出口が
変更される流体圧ポンプを適用した場合の実施例を示す
概略構成図である。
【符号の説明】 1 エンジン 2 変速機 3 前輪側差動装置 4 前車軸 5 前輪 6 吸込絞り型ピストンポンプ 7 リザーバタンク 8H 高圧配管 8L 低圧配管 9 前後進切換用電磁方向切換弁 10 斜板型可変容量ポンプモータ 11 差圧発生用オリフィス 12 斜板可変機構 13 リリーフ弁 15 逆止弁 16 オリフィス 17 後輪側差動装置 18 後輪車軸 19 後輪 21 吸入絞り弁 10L,10R 斜板型可変容量ポンプモータ 31 前後進切換用電磁方向切換弁

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原動機により駆動される駆動車軸の駆
    動力を流体圧伝動機構を介して従動車軸に伝達するよう
    にした四輪駆動車において、前記流体圧伝動機構は、設
    定車速未満で常に伝達トルクを発生するように構成され
    ていることを特徴とする四輪駆動車。
  2. 【請求項2】 主原動機により駆動される駆動車軸と、
    該駆動車軸に連動して駆動される駆動側流体圧駆動手段
    と、従動車軸に連動して駆動される従動側流体圧駆動手
    段とを有し、前記駆動側流体圧駆動手段及び従動側流体
    圧駆動手段を互いの吐出口と吸込口とを連通する流路を
    設けて流体圧伝動機構を構成した四輪駆動車において、
    前記駆動車軸と従動車軸との回転数差が発生する初期状
    態で前記駆動側流体圧駆動手段の吐出流量が、設定車速
    未満では前記従動側流体圧駆動手段の吸入流量より多く
    なり、設定車速以上では当該従動側流体圧駆動手段の吸
    入流量以下となるように設定されていることを特徴とす
    る四輪駆動車。
  3. 【請求項3】 前記駆動側流体圧駆動手段は可変容量ポ
    ンプで構成され、当該可変容量ポンプの流量特性が、駆
    動車軸の低速回転時の流量が高速回転時の流量に比較し
    て多くなるように設定されていることを特徴とする請求
    項2記載の四輪駆動車。
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