JPH0827101A - L−シスチンの晶析方法及び新規結晶 - Google Patents

L−シスチンの晶析方法及び新規結晶

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JPH0827101A JP15750494A JP15750494A JPH0827101A JP H0827101 A JPH0827101 A JP H0827101A JP 15750494 A JP15750494 A JP 15750494A JP 15750494 A JP15750494 A JP 15750494A JP H0827101 A JPH0827101 A JP H0827101A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 L−シスチンの柱状晶を安定的に取得する方
法を開発する。 【構成】 遷移金属イオンおよびメタリン酸を含有する
L−シスチン溶液からL−シスチンを中和晶析し、L−
シスチンの柱状結晶を製造する。 【効果】 本発明により、特に晶析条件を厳しく限定す
ることなく、柱状晶を得ることができる様になり、その
工業的有用性は大きい。柱状晶は、晶析母液との分離性
が良好、含水量が少ないなど利点が大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品原料として有用
なL−シスチンの晶析方法に関するものであり、特にL
−シスチンの柱状晶を取得する方法を提供するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般にL−シスチンの晶析は、等電点に
おけるL−シスチンの溶解度が極めて低い事から、主に
中和晶析によって行われている。しかし、この方法によ
って通常析出するL−シスチンの結晶は板状であり、こ
の結晶はろ過等により固液分離する際の分離速度が遅
く、また、結晶に残留する付着母液の量が多い問題点が
あった。分離速度が遅いと分離に所要する時間が長くな
り、多大の設備が必要になり、また、付着母液が多くな
ると、結晶の純度が悪くなる事に加え、結晶を洗浄する
水量も多大になる。更に、結晶中の含水量が多くなるこ
とから結晶の乾燥に要する熱量が多大になり、しかも乾
燥時に結晶が固結しやすくなる。この結晶型が板状であ
ることによる欠点は上記の様な付着母液量が多い事のみ
によるのでは無く、得られた乾燥品が飛散しやすく、ま
たその比容が大きい事にもあった。
【0003】L−シスチンの結晶としては、上記の板状
晶の他に柱状晶が知られている。(特開昭58−596
4)L−シスチンの柱状晶は特開昭58−59964に
見られるように、Cu−Kα線を用いて粉末X線回折法
で測定した場合に、約16.2゜及び約30.0゜の回
折角度(2θ)にピ−クを有する回折図形が得られる事
を特徴とする結晶であり、特開昭58−59964によ
れば、板状結晶の湿結晶の含水量が15〜30%である
のに対し、柱状晶は2〜6%であり、また製品の密比容
も板状晶の1.5〜3.5ml/gが、柱状晶では1.
3〜1.8ml/g程度に低下している。分離された結
晶の水分は、分離方法により変化し、ラボの様な低い遠
心力の遠心ろ過機で分離する場合、通常、板状結晶の水
分は15%以上、柱状結晶のそれは15%未満である。
【0004】柱状晶はこのようにその優位性の知られた
結晶型であるにもかかわらず、実際にはこれを晶析する
事が難しく、実用には使われ難い。なぜならば、特開昭
58−59964にも記述してあるごとく、この結晶を
得る条件の範囲が限られており、且つ、その範囲でも実
際には安定して柱状晶を得ることが難しいゆえである。
特開昭58−59964によれば、中和用酸の種類とし
ては塩酸より硫酸が良く、またL−シスチンの濃度は低
い方が良く、例えば10g/dlの溶液から柱状晶を得
るのは容易ではないとしている。また、晶析温度は50
℃とか80℃では柱状晶が比較的析出しやすいが、20
℃では柱状晶は得にくいとしている。一方、特開昭58
−59964は晶析の際にあらかじめ柱状晶をシ−ドす
る事は極めて有効であるとしている。しかしながら、こ
のような不安定な系で、シ−ド結晶を添加するにして
も、安定して柱状結晶を得続ける事は容易では無く、少
量の板状晶のシ−ド結晶への混入が柱状晶を得ることを
不可能にさせることは容易に予想出来る。事実、特開昭
58−59964の実施例ではシ−ド結晶を添加した系
でも、晶析は高濃度且つ高温で行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】L−シスチンの柱状晶
を安定的に取得する方法を開発する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】本発明者らはL−シスチンの晶析における
上記のような問題点を解決すべく種々検討を行っていた
ところ、遷移金属イオンとメタリン酸の共存下でL−シ
スチンを中和晶析すると、上記のような問題点の無い柱
状晶が容易に得られることを見いだした。
【0008】本発明者は、上記の問題点を解決すべく、
L−シスチンの単離精製工程で利点の多い柱状晶を容易
に得る方法を種々検討した結果、微量の遷移金属とメタ
リン酸、特にヘキサメタリン酸の共存下でL−シスチン
を晶析すると柱状晶が容易に得られることを見いだし
た。
【0009】すなわち、遷移金属イオンとメタリン酸の
共存下でL−シスチンを中和晶析すると、L−シスチン
の濃度が高濃度であっても、晶析温度が低くても、また
中和用酸として塩酸を用いた場合でも柱状晶が容易に得
られた。また、柱状晶の結晶のシ−ドは全く必要としな
かった。また、遷移金属イオンとメタリン酸の共存下で
L−シスチンを濃縮晶析すると柱状晶が得られた。
【0010】柱状結晶が得られたことは、結晶の粉末X
線回折によって確認された。湿結晶水分も板状晶が30
%前後であるのに対し、柱状晶は15%未満であった。
【0011】本発明に用いられるL−シスチンは、植物
性または動物性タンパク質の塩酸加水分解物より得られ
た粗製L−シスチンまたは精製L−シスチンであって
も、特定の基質から酵素法により製造された粗製L−シ
スチンまたは精製L−シスチンであってもよく、晶析可
能なL−シスチンであれば、その由来は問わない。
【0012】遷移金属イオンとしては、アルミニウムイ
オン、亜鉛イオン、マンガンイオン、第1鉄イオンまた
は第2鉄イオンが使用できるが、特に第1鉄イオン、第
2鉄イオンが好ましい。また、メタリン酸としては、ペ
ンタメタリン酸、ヘキサメタリン酸またはヘプタメタリ
ン酸が使用できるが、特にヘキサメタリン酸が好まし
い。
【0013】遷移金属イオンとメタリン酸の共存下にお
ける晶析に於て、メタリン酸の濃度は、例えばヘキサメ
タリン酸の場合、1〜2mg/Lから有効であり、10
00mg/Lでも有効であった。遷移金属イオンはイオ
ンとして溶液中に溶解していることが必要であるが、そ
の必要最低濃度は添加するメタリン酸の濃度に関係し、
例えば、ヘキサメタリン酸の濃度が100mg/Lのと
きには、1〜9mg/Lで有効である。また、ヘキサメ
タリン酸の濃度が1000mg/Lのときには、10〜
90mg/Lで有効である。
【0014】得られたL−シスチンの柱状晶は通常どう
り分離、水洗すれば添加されたメタリン酸は洗い流さ
れ、良好な品質の製品が得られる。しかしながら、この
場合でも、添加されるメタリン酸濃度の低い方が洗浄水
の量が少なくてすむのは当然である。
【0015】上記の板状と柱状の二種類のL−シスチン
結晶は、理学的にはα晶(板状)とβ晶(柱状)として
知られており(永嶋伸也、日本結晶学会誌、35、38
1(1993))、その結晶構造の解析もされている。
また上記の特開昭58−59964に、両結晶の溶解度
が示されており、それによれば、β晶はα晶よりも若干
溶解度が高く、これは一般的にはα晶が安定的に存在し
得、特殊な環境下でのみβ晶が存在し得る事を意味す
る。上記、特開昭58−59964ではこの環境をL−
シスチン濃度、温度、酸の種類を限定することによって
達し得ているのであるが、実際に工業的にこのような狭
い範囲で操作することは現実的であるとは言い難い。本
発明は、添加物により、特に晶析条件を厳しく限定する
ことなくβ晶を得ることができる様にしたことに特徴が
あり、その工業的有用性は大きい。
【0016】本発明の作用原理については、更に理学的
検討を要すが、下記のような原理であると考えている。
メタリン酸は一般にキレ−ト剤として使用され、ボイラ
−清浄剤、印刷製版、ナメシなどの方面に用いられてい
る。本発明では遷移金属イオンはメタリン酸と錯体を形
成し、この錯体がL−シスチンのα晶に対し結晶成長阻
害効果を持ち、通常では準安定なβ晶を安定的に存在せ
しめていると考えている。
【0017】一方、発明者らはL−シスチンの結晶化に
当り、遷移金属の存在しない状態でメタリン酸を添加す
ると、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折法で、上記の
α晶、β晶とは異なる回折図形を持つ結晶が析出、成長
する事を見いだした。この結晶の回折角度(2θ)は、
α晶と共通するものが多いが、特徴的に約15.0度、
16.8度、21.5度、23.7度、24.2、及び
28.8度にピ−クを有する。このような回折角度を有
する結晶は従来知られておらず、新規結晶である。この
新規結晶の外観は針状であり、上記のα晶、β晶とは大
きく異なっていた。この結晶はα晶、β晶に比べ、分離
性が悪く、また結晶に付着する水分量も多いが、逆に乾
燥後の結晶間の空間が大きく、結晶を水、又は希酸等に
溶解するときに、結晶間に溶媒が早く入り込み、他の結
晶に比べ溶解する速度が速い性質を有していた。
【0018】L−シスチンは通常、溶媒に溶解し、電解
還元し、L−システインに変換した後、医薬原料にする
か、乃至は、そのまま適当な溶媒に溶解し、パ−マ用の
処理液にする。いずれにしろ、その用途の大半は、結晶
のまま使うことはなく、一度何らかの溶媒に溶解した後
に使用する。この場合、L−シスチンの水に対する溶解
度が蛋白質構成アミノ酸の中ではL−チロシンに次いで
低い為、溶解に多大の時間の要する事が問題になる。発
明者が新たに見いだした針状の新規結晶は、この使用に
当たる溶解速度の問題を解決する物として期待される。
【0019】更に、メタリン酸存在下では中和晶析時の
結晶の出始める(起晶)pHが高く、通常のα晶に比
べ、同一pHではより高濃度迄溶液状態を保ち得る。こ
の事は、人毛の加水分解物を中和し、まずチロシンを析
出除去させるに当り、より高いpH迄上げた状態でチロ
シンを分離できることを意味し、チロシンの除去率を上
げられることから、シスチンの精製に有利に働く。
【0020】この新規結晶はメタリン酸、例えばヘキサ
メタリン酸単独の添加により得られ、その濃度は1〜1
0mg/Lから有効である。一方、発明者は限られた金
属、例えば、ニッケルまたはコバルトをメタリン酸に対
する当量比で2分の1から50分の1添加すると粒径の
大きい結晶の得られる事を見いだした。これらの金属は
イオンとして溶解している必要がある。メタリン酸のみ
存在する系で晶析すると、その濃度にも依るが、長軸側
の長さは0.1mm前後乃至はそれよりも小さいが、上
記の金属の共存下では0.1mmよりも大きく、1mm
に達するものもある。
【0021】一般的に、添加物は対照となる結晶の成長
面に付着し、母体の分子の結晶への吸着を阻害し、結晶
成長に影響を与えるので、好ましくないが、最近、結晶
の分離・乾燥工程を合理化する、又は、医薬品等の用途
で、結晶の溶解速度等を調節する目的で添加物により結
晶型(構造、外形)を変化させる研究が多く行われてい
る。本発明もその内の一つであり、巧みに結晶の構造、
外形を変化させることのできた例である。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳しく説明す
る。実施例で得られた結晶の粉末X線回折は、Phil
ips社製PW1700型粉末X線回折装置を用い、線
源としてCu−Kα線を使用して測定した。
【0023】実施例1 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、塩化第二鉄六水和物9.7mgを添加溶解
後、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添
加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを1
5ml/hrで添加した。約32分後、pHが0.68
となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦
停止した。24分後にNaOH添加を再開し、pH2と
した時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であ
り、ろ過により分離した湿結晶の含水率は9%であっ
た。結晶の粉末X線回折によると結晶型はβ晶であっ
た。この結晶の粉末X線回折図を図1に示す。
【0024】実施例2 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、塩化第二鉄六水和物97mgを添加溶解
後、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを55mgを添加
し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを15
ml/hrで添加した。約20分後、pHが0.61と
なった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停
止した。27分後にNaOH添加を再開し、pH2とし
た時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であ
り、ろ過により分離した湿結晶の含水率は12%であっ
た。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶
であった。
【0025】実施例3 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、塩化第二鉄六水和物4.8mgを添加溶解
後、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mgを添
加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOHを1
5ml/hrで添加した。約20分後、pHが0.61
となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦
停止した。47分後にNaOH添加を再開し、pH2と
した時点で中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であ
り、ろ過により分離した湿結晶の含水率は3%であっ
た。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶
であった。
【0026】実施例4 3.5gのL−シスチンにあらかじめ脱気処理した4%
HClを50ml添加し、溶解後、亜硫酸ナトリウムを
0.5g添加溶解し、溶解後塩化第一鉄・n水和物を1
1.7mg添加、溶解し、更にヘキサメタリン酸ナトリ
ウムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しなが
ら27%NaOHを15ml/hrで添加した。約14
分後、pHが0.61となった時点でNaOH添加を1
0分間停止した。その後、pHを0.68迄上昇させ
た。結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。
47分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で
中和を終了した。得られた結晶は柱状晶であり、ろ過に
より分離した湿結晶の含水率は10%であった。結晶の
粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶であった。
【0027】実施例5 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、塩化アルミニウム6水和物を8.7mg添
加、溶解し、更にヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5
mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%Na
OHを15ml/hrで添加した。約21分後、pHが
0.61となった時点で結晶が出始めたのでNaOH添
加を停止した。33分後にNaOH添加を再開し、pH
2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は主とし
て柱状晶であったが、極く少量の針状晶も含有してい
た。ろ過により分離した湿結晶の含水率は14%であっ
た。結晶の粉末X線回折によると結晶型は主としてβ晶
であった。
【0028】実施例6 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、ヘキサメタリン酸ナトリウムを5.5mg
を添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%NaOH
を15ml/hrで添加した。約20分後、pHが0.
61となった時点でNaOH添加を6分間停止し、その
後、pHを0.68迄上昇させた。結晶が出始めたので
NaOH添加を一旦停止した。74分後にNaOH添加
を再開し、pH2とした時点で中和を終了した。得られ
た結晶は針状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の含
水率は73%であった。この結晶を乾燥後、Cu−Kα
線を用いた粉末X線回折を測定した。その結果、この結
晶の回折角度(2θ)は、α晶と共通するものが多い
が、特徴的に約15.0度、16.8度、21.5度、
23.7度、24.2度、及び28.8度にピ−クを有
していた。この結晶の粉末X線回折図を図2に示す。
【0029】実施例7 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、2価の塩化ニッケル・6水和物の12.8
mgを添加、溶解後、更に、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ムを5.5mgを添加し、溶解後35℃で攪拌しながら
27%NaOHを15ml/hrで添加した。約21分
後、pHが0.61となった時点でNaOH添加を5分
間停止し、その後、pHを0.65迄上昇させ、NaO
Hを一旦停止したが起晶しなかったので、更にpHを
0.68迄上昇させた。結晶が出始めたのでNaOH添
加を一旦停止した。76分後にNaOH添加を再開し、
pH2とした時点で中和を終了した。得られた結晶は粒
径の大きな針状晶であり、ろ過により分離した湿結晶の
含水率は76%であった。この結晶を乾燥後、Cu−K
α線を用いた粉末X線回折を測定した。その結果、実施
例6の結晶と同じ回折パタ−ンを有していた。
【0030】比較例1 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、35℃で攪拌しながら27%NaOHを1
5ml/hrで添加した。約19分後、pHが0.61
に達した時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦
停止した。26分後にNaOH添加を再開し、pH3と
した時点で中和終了した。得られた結晶は柱状晶、板状
晶の混合物であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率
は36%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型
はα晶とβ晶の混合物であった。
【0031】比較例2 3.5gのL−シスチンに4%HClを50ml添加
し、溶解後、塩化第二鉄六水和物97mgを添加溶解
後、35℃で攪拌しながら27%NaOHを15ml/
hrで添加した。約19分後、pHが0.61となった
時点で結晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止し
た。25分後にNaOH添加を再開し、pH2とした時
点で中和を終了した。得られた結晶は板状晶と柱状晶の
混合物であり、ろ過により分離した湿結晶の含水率は2
8%であった。結晶の粉末X線回折によると結晶型はα
晶とβ晶の混合物であった。
【0032】比較例3 3.5gのL−シスチンにあらかじめ脱気処理した4%
HClを50ml添加し、溶解後、亜硫酸ナトリウムを
0.5g添加し、溶解後35℃で攪拌しながら27%N
aOHを15ml/hrで添加した。約13分後、pH
が0.61となった時点でNaOH添加を停止した。結
晶が出始めたのでNaOH添加を一旦停止した。20分
後にNaOH添加を再開し、pH2とした時点で中和を
終了した。得られた結晶は板状晶と針状晶の混合物であ
り、ろ過により分離した湿結晶の含水率は56%であっ
た。結晶の粉末X線回折によると結晶型はほぼα晶であ
った。
【0033】
【発明の効果】本発明により、特に晶析条件を厳しく限
定することなく、柱状晶を得ることができる様になり、
その工業的有用性は大きい。柱状晶は、晶析母液との分
離性が良好、含水量が少ないなど板状晶に比べ利点が多
い。また、本発明の新規なL−シスチンの針状結晶は、
水又は希酸等に溶解するときに、結晶間に溶媒が早く入
り込み、他の結晶に比べ溶解する速度が速い性質を有し
ており、L−シスチンの溶解速度の問題を解決する物と
して期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたL−シスチンの柱状晶の粉
末X線回折図である。
【図2】実施例6で得られたL−シスチンの針状晶の粉
末X線回折図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遷移金属イオンおよびメタリン酸を含有す
    るL−シスチン溶液からL−シスチンを晶析することを
    特徴とする、L−シスチンの柱状結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】メタリン酸がヘキサメタリン酸であること
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】遷移金属イオンが第一鉄イオンまたは第二
    鉄イオンであることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の方法。
  4. 【請求項4】Cu−Kα線を用いて、粉末X線回折法で
    測定した場合に、約15.0度、16.8度、21.5
    度、23.7度、24.2、及び28.8度の回折角度
    (2θ)にピ−クを有する回折図形が得られることを特
    徴とするL−シスチンの結晶。
  5. 【請求項5】メタリン酸を含有するL−シスチン溶液か
    ら晶析することを特徴とする、請求項4に記載のL−シ
    スチン結晶を製造する方法。
  6. 【請求項6】メタリン酸がヘキサメタリン酸であること
    を特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】コバルトイオンまたはニッケルイオンの存
    在下、L−シスチンを晶析することを特徴とする請求項
    5または請求項6に記載の方法。
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