JPH085159B2 - 2層被膜構造を有するラミネート鋼板及びその製造方法 - Google Patents

2層被膜構造を有するラミネート鋼板及びその製造方法

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JPH085159B2
JPH085159B2 JP63015837A JP1583788A JPH085159B2 JP H085159 B2 JPH085159 B2 JP H085159B2 JP 63015837 A JP63015837 A JP 63015837A JP 1583788 A JP1583788 A JP 1583788A JP H085159 B2 JPH085159 B2 JP H085159B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は2層被膜構造を有するラミネート鋼板および
その製造方法に関し、特に容器用の2ピースの2回絞り
缶(以下DRD缶とする)、絞り−しごき缶(以下DI缶と
する)、あるいは開缶容易な天蓋(以下EOEとする)用
として優れた性能を発揮するラミネート鋼板およびその
製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来熱可塑性樹脂フィルムを鋼板にラミネートした複
合鋼板は、電気部品、家具、内外装建材等種々の分野で
広く使用されている。鋼板に樹脂フィルムをラミネート
する方法としては、以下の二つの方法がよく知られてい
る。一つは特開昭58−39448号公報に見られるように、
鋼板表面に溶剤系の接着剤をロールコーター、スプレー
等で塗布し、溶剤等の揮発性物質を蒸発させた後、ラミ
ネートする方法である。他の一つは特公昭57−23584号
公報、特開昭61−149340号公報に見られるように熱接着
可能な熱可塑性樹脂を、その融点以上に加熱した鋼板上
にロールによって熱圧着させる方法である。
(発明が解決しようとする問題点) しかし上記二つの方法によるラミネート鋼板では深絞
り加工、しごき加工後の加工密着性、加工耐食性が十分
得られず、特に接着剤を塗布してフィルムをラミネート
する方法では、接着剤塗布工程および溶剤等の揮発性物
質を蒸発させるオーブン設備等が必要となり作業性も著
しく低下していた。また特開昭61−149340号公報によっ
て得られるラミネート鋼板は5〜300μmという非常に
薄い一層のフィルムを配向性部分と無配向性部分とに作
りわけるというもので、作業条件が複雑でしかも配向性
部分と無配向性部分の厚みを厳密にコントロールするこ
とが非常に困難である。またラミネートする鋼板のラミ
ネート直前の温度を300℃付近まで上げる必要があるた
め、ブリキのようにめっきしている金属の融点の低いも
のは、めっき金属がほとんど合金化してしまうために鋼
板自身の耐食性、加工性を著しく低下させる。こうした
理由からラミネートする鋼板が限定されてしまう、とい
う問題点を有している。
(問題点を解決するための手段) 本発明はこのような背景ら、融点の異る樹脂フィルム
を2層に積層することによって前記の問題点を解決する
ことに特徴があり、上層フィルムの配向性を完全に残す
ことにより、簡単に深絞り加工性、しごき加工性に優れ
た容器用の樹脂フィルムラミネート鋼板が得られること
を見い出した。
すなわち本発明のラミネート鋼板は、少なくとも鋼板
の片面に2軸配向ポリエチレンテレフタレート樹脂を表
層とし、その下層に2軸配向ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂の熱固定温度より融点が10〜40℃低い無配向性の
ポリエステル樹脂被膜を有することを特徴とするラミネ
ート鋼板である。また本発明のラミネート鋼板の製造方
法は少なくとも鋼板の片面に2軸配向ポリエチレンテレ
フタレート樹脂を表層とし、この2軸配向ポリエチレン
テレフタレート樹脂の熱固定温度より融点が10〜40℃低
いポリエステル樹脂を下層として、2軸配向ポリエチレ
ンテレフタレート樹脂の熱固定温度以下から前記低融点
ポリエステル樹脂の融点以上の温度で熱圧着することを
特徴とするラミネート鋼板の製造方法である。
以下本発明をその作用とともに説明する。
一般にPET樹脂を含むポリエステル樹脂はその結晶の
配向性の有無によって大きく異なった性質を示す。配向
性を有するポリエステル樹脂は機械的特性、耐熱性、バ
リアー性に優れている。一方配向性のないポリエステル
樹脂は機械的特性、耐熱性、バリアー性は配向性のポリ
エステル樹脂に著しく劣るものの、非常にすぐれた接着
性を有している。
本発明によるラミネート鋼板は、下層に用いた低融点
ポリエステル樹脂がその融点以上に加熱されることによ
り、無配向性となり、すぐれた接着性を示すとともに、
上層の2軸配向ポリエチレンテレフタレート(以後PET
−BOと称する)フィルムはその熱固定温度まで加熱され
ないことから100%配向性を残している。つまり鋼板と
の接着剤としての下層の低融点樹脂と水または各種イオ
ンに対するバリアー性および加工密着性、加工耐食性と
いった機械的特性に非常に優れた上層のPET−BOフィル
ムを有することから、DRD缶、DI缶、EOEといった容器用
材料として優れた性能を示す。
本発明に用いる上層のPET−BOフィルムは、2軸配向
性を有する、融点265℃、熱固定温度220〜230℃のPET−
BOフィルムである。また下層は接着剤としての機能を有
し、上層のPET−BOフィルムの熱固定温度より融点が10
〜40℃低い低融点樹脂である。この下層の接着樹脂に、
上層フィルムの熱固定温度より10〜40℃融点の低い樹脂
を用いていることが、本発明における重要な要件となっ
ている。すなわち単にPET−BOフィルムをその融点以上
に加熱した鋼板に、単独で熱圧着によるラミネートをし
たのでは、加熱密着性、加工耐食性に必要なその配向性
を壊してしまう。また接着樹脂を用いる際も、下層の接
着樹脂の融点が上層のPET−BOフィルムの熱固定温度よ
りも高いと、やはりPET−BOフィルムの一部またはすべ
ての配向性を壊してしまうことになる。これでは良好な
加工密着性、加工耐食性は得られない。
また、上層フィルムの熱固定温度より融点が10〜40℃
低い低融点樹脂を接着剤として用いているのには、もう
一つ大きな理由がある。現在2ピースのビール、炭酸飲
料缶として広く使用されているDI缶用の素材としては、
Snめっきを施したブリキが最適である。特にしごき加工
を受ける缶外面は、純Snの持つ潤滑作用が重要で、今ま
での検討結果によると、純Snの量は少なくとも2g/m2
必要である。一方、ブリキ鋼板をSnの融点である。232
℃以上に加熱することによって生じるSn−Fe合金層は、
逆にDI成形性を阻害することがわかっている。ゆえにSn
系のめっき被膜を有する鋼板に熱圧着ラミネートを行っ
て製造した複合鋼板を用いてDIに供する場合、Sn−Fe合
金層の生成に配慮する必要がある。このような理由か
ら、Snの融点より高い融点の樹脂を熱圧着することは好
ましくない。それゆえ接着剤として用いる下層の低融点
樹脂は、Sn−Fe合金層を生成しない、Snの融点である23
2℃以下の融点の樹脂である必要がある。上層のPET−BO
フィルムの熱固定温度は220〜230℃であるから、接着樹
脂の融点は最低でもそれより10℃低くなければならな
い。これが低融点樹脂の融点の上限を定めた理由であ
る。また容器用材料としての使用を考えた場合、後工程
で外面印刷を行うことになる。そうすると塗料の焼付け
温度等の関係から、あまり融点の低いポリエステル樹脂
を接着剤として用いると、印刷性に悪影響を及ぼす。さ
らに缶に充填する内容物によっては高温のレトルト処理
を必要とするので、接着樹脂にもある程度の耐熱性が要
求される。これらの理由から接着樹脂の融点の下限をPE
T−BOフィルムの熱固定温度より40℃低いものと限定し
た。従ってこれらから下層の接着剤として用いられる低
融点樹脂の融点を、上層のPET−BOフィルムの熱固定温
度より10〜40℃低いものと限定した。
さらに、下層および上層の樹脂の厚みを、それぞれ1
〜20μm、8〜45μm、そして総厚みを10〜60μmに限
定した理由について以下に述べる。
今まで述べてきたように、下層の低融点樹脂は上層の
PET−BOフィルムを鋼板にラミネートするための接着剤
として用いている。したがって下限の1μmというの
は、上層のPET−BOフィルムと鋼板を十分接着するのに
必要な最低限の厚みである。また、上限の20μmという
のはDI加工性、DRD加工性に悪影響を与えない限界の厚
みである。
以上が下層樹脂の厚みを1〜20μmに限定した理由で
あり、鋼板との接着性、DI缶、DRD缶の加工成形性から
2〜6μmが好ましい。
次に、上層のPET−BOフィルムの厚みを8〜45μmと
限定した理由について述べる。前述したように、良好な
加工密着性、加工耐食性はこのPET−BOフィルムの配向
性に起因している。したがって厚みの下限を8μmとし
たのは、下層の低融点接着樹脂と熱圧着した後も良好な
加工密着性と加工耐食性を維持するのに必要な最低限の
厚みである。上限値の45μmを超えると、下層の接着樹
脂層との関係もあるが、加工成形性への効果は飽和して
しまい、時として劣ってくる場合もある。また、コスト
的にも不利である。
さらに、下層と上層の厚みの総計を10〜60μmと限定
した理由について述べる。下限値である10μm以下で
は、DI成形後のフィルムに多数の膜欠陥が発生し易く、
耐食性に問題がある。また上限値である60μmを超えて
も耐食性に対してさほど有効ではなく、性能的にも飽和
してくる。
下層接着樹脂と上層PET−BOフィルムの厚みの総計
は、当然のことながら加工密着性と加工耐食性のバラン
スを考えて設定する必要がある。このような理由から下
層の厚みは2〜6μm、上層の厚みは8〜40μm、厚み
の総計は10〜60μmが好ましい。
次に本発明に用いられる素地鋼板としては、下地処理
されていない鋼板、Snめっき鋼板のブリキ、Niめっき鋼
板、あるいはそれらにさらに化成処理を施した鋼板、さ
らには下層が金属Cr、上層がCr水和酸化物の2層構造を
有するティンフリースチールが好ましい。なお前記の化
成処理は通常、ブリキに施されているケミカル処理と呼
ばれるクロメート処理や、前記のティンフリースチール
皮膜のクロム・クロメート処理、燐酸塩処理等を指すも
のである。
また、本発明では樹脂を片面にのみラミネートする場
合と両面にラミネートする場合を問はず、前記の鋼板の
下地処理被膜は両面と同一としても良く、また両面を異
種のものとしても良く、その用途によって選択すれば良
い。例えばDI缶用鋼板として使用する場合には缶外面と
なる面にはSnめっき被膜を必要とするが、缶内面となる
面には必ずしもSnめっき被膜は必要としない。
(実施例) 以下、実施例により本発明の効果を具体的に示す。
<実施例1> Sn付着量が缶外面側2.8g/m2、缶内面側0.5g/m2にクロ
メート処理を行ったブリキ(板厚み0.30mm、T−1)
に、厚み6μm、融点が216℃のポリエステル樹脂を下
層として、板温220℃でSn付着量0.5g/m2の面にPET−BO
フィルム16μm、25μm40μmとともに熱圧着を行い、
各々複合鋼板A、B、Cを得た。
こうして得られた複合鋼板A、B、Cについて樹脂フ
ィルムを缶内面にして連続DI成形性を、缶径211φ(350
mlビール缶サイズ)のDI缶を成形することで検討を行っ
た。その結果は、複合鋼板A、B、C共に100缶以上の
連続DI成形が可能であった。
さらにDI成形缶のフィルム健全性を調べるために、缶
の中に1% NaClに界面活性剤0.2%を含む溶液を入れ、
缶体をアノード、白金電極をカソードとして+6Vの電圧
をかけた時の電流値を測定した(以下この試験をQTV試
験という)。
またDI成形缶の内面にエポキシフェノール系缶用塗料
を膜厚が8μmになるようにスプレーで上塗り塗装し、
205℃で10分間焼き付けた。この上塗り塗装を行ったDI
缶についてもQTV試験を行った。
なお比較のため市販されているスチールDI缶(以下DI
−S缶という)についてもQTV試験を行った。
以上の試験の結果を第1表に示す。
本発明で得られる複合鋼板は、連続DI成形性が可能で
あり、また第1表からわかるように、上塗り塗装後のQT
V試験値は市販のDI−S缶より優れている。
<実施例2> 下層の金属Cr量が80mg/m2、上層が15mg/m2の両面ティ
ンフリー鋼板(板厚0.19mm、硬度T−4CA)の片面に厚
み5μmの低融点PETフィルムを下層として、板温210℃
でPET−BOフィルム16μm、25μm40μmとともに熱圧着
を行い、各々複合鋼板D、E、Fを得た。
こうして得られた複合鋼板D、E、Fについて樹脂フ
ィルムを缶内面にして加工を行い、DRD成形性を缶径211
φで検討を行ったが、問題はなかった。
さらにDRD成形缶のフィルムの健全性を調べるため
に、QTV試験を行った。なお比較のため市販のDRD缶につ
いてもQTV試験を行った。以上の試験の結果を第2表に
示す。
本発明で得られる複合鋼板は、第2表からわかるよう
にQTV試験値は市販のDRD缶とほぼ同等であった。
(発明の効果) 以上の結果から本発明で得られる複合鋼板は、DI、DR
D成形後の品質に優れており、良好な加工密着性、加工
耐食性を有することがわかる。したがって従来製品と比
べて製缶メーカーでの工程省略化が可能となることか
ら、コストダウンを図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−149340(JP,A) 実開 昭63−104029(JP,U) 特公 昭59−35344(JP,B2)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも鋼板の片面に2軸配向ポリエチ
    レンテレフタレート樹脂を表層とし、その下層に2軸配
    向ポリエチレンテレフタレート樹脂の熱固定温度より融
    点が10〜40℃低い無配向性のポリエステル樹脂被膜を有
    することを特徴とする2層被膜構造を有するラミネート
    鋼板。
  2. 【請求項2】両面にめっき皮膜を有するSnめっき鋼板、
    Niめっき鋼板、あるいはこれらの表面に化成処理を施し
    た鋼板、下層が金属Cr、上層がCr水和酸化物の2層構造
    を有するティンフリースチールのいずれかの片面に樹脂
    被膜を積層した特許請求の範囲第1項記載のラミネート
    鋼板。
  3. 【請求項3】下層の低融点樹脂の厚みが1〜20μm、上
    層の2軸配向ポリエチレンテレフタレート樹脂の厚みが
    8〜45μm、樹脂の総厚みが10〜60μmである特許請求
    の範囲第1項、あるいは第2項記載のラミネート鋼板。
  4. 【請求項4】少なくとも鋼板の片面に2軸配向ポリエチ
    レンテレフタレート樹脂を表層とし、この2軸配向ポリ
    エチレンテレフタレート樹脂の熱固定温度より融点が10
    〜40℃低いポリエステル樹脂を下層として、2軸配向ポ
    リエチレンテレフタレート樹脂の熱固定温度以下から前
    記低融点ポリエステル樹脂の融点以上の温度で熱圧着す
    ることを特徴とする2層被膜構造を有するラミネート鋼
    板の製造方法。
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